JP2006257366A - 紫外線硬化型皮革調塗料組成物およびその塗料組成物により仕上げられた物品 - Google Patents

紫外線硬化型皮革調塗料組成物およびその塗料組成物により仕上げられた物品 Download PDF

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Abstract

【課題】 塗膜にベタツなどの不具合がなく、軟質で良好な触感を有する皮革調の硬化塗膜を与える塗料組成物を得る。
【解決手段】 紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)、同(A)と共重合可能な官能基を少なくとも一個有するシリコン化合物(B)、架橋樹脂粒子(C)、反応開始剤(D)および必要に応じて加えられる希釈剤(E)からなることを特徴とする紫外線硬化型皮革調塗料組成物および同塗料組成物を塗装して得られる皮革調の触感を有する物品。
【選択図】 なし

Description

この発明は、紫外線硬化型の皮革調塗料組成物に関する。さらに詳しくは、外観および触感がよく、耐擦傷性に優れた硬化塗膜を与える紫外線硬化型の皮革調塗料組成物に関する。
例えば、自動車内装部品や家電製品のプラスティック製部品などの表面仕上げ方法の一つとして皮革調仕上げ塗料を用いる方法がある。これら塗料は熱乾燥により塗料中の溶剤成分が揮発することで塗膜を形成するようなラッカータイプの塗料であったり、硬化剤を加えて架橋乾燥させるようなタイプの塗料である。これらの皮革調仕上げ塗料は、主に軟質のバインダー樹脂に樹脂粒子や体質顔料を加えることで、皮革調、スェード調、ベルベット調などの触感が得られるような塗膜を与える塗料である。
しかしながら、従来の技術にあっては、乾燥方法として、熱乾燥で有機溶媒などを蒸発させて乾燥させるタイプの塗料では、通常の乾燥により熱乾燥を行えば正常な塗膜の形成が可能であった。
また、硬化剤を併用するようなタイプでは、例えばイソシアネート系硬化剤とポリオール樹を混合したものを熱で乾燥・硬化させることにより正常にウレタン塗膜が形成されるものであった。
柔らかい触感を有する硬化塗膜を与える皮革調塗料を得る場合、塗料のバインダーに用いる樹脂の機械的特性としては軟質でゴム弾性を有するバインダー樹脂を得ることが重要であることが公知(例えば、特開2003−212947号公報等)である。
しかしながらラッカータイプのような塗料系では、軟質のバインダーを使用すると、耐薬品性などの耐久性が極めて悪くなることから、そのような場合では硬質のバインダー樹脂を選ぶ場合もある。
一方、上述の軟質でゴム弾性を有する塗膜をABSやポリスチレンなどのプラスティック成形品の表面に形成させる場合、成形品の耐熱性の制約から70℃程度の温度が上限となる。このような上限温度を考えた場合、メラミン架橋のような架橋方法は極めて困難であることから例えば二液型のウレタン塗料などの塗料の使用前に硬化剤混合するような塗料系を選ぶ必要がある。
この場合、塗料へ硬化剤を混合してからの一定時間の可使時間を得ることが必須であるため、塗料中に硬化剤を混合した後に急激に硬化するような反応系にすることは極めて困難である。
従って、上述の二液型ウレタン塗料系などの硬化剤を混合して用いる塗料の場合では、塗膜を架橋硬化させるのに、一般に数十分程度の乾燥をする必要があり、塗膜の乾燥に時間がかかるという問題があった。
このような問題を解決するには、紫外線照射により架橋を起こすような塗料組成物を選ぶことが望ましい。
紫外線照射による架橋反応を取り入れた皮革調塗料などの触感塗料も、バインダーの機械的特性としては軟質でゴム弾性が得られるような樹脂組成物をバインダー樹脂に選ぶことが重要である。
しかしながら、軟質でゴム弾性がえられるような紫外線硬化型のバインダーは、架橋の度合いも硬質な塗膜を得る場合よりも少なく、そのため、特に空気中で紫外線照射により軟質のバインダーを硬化させる場合には、空気中の酸素により塗膜表面の架橋反応が阻害され、塗膜表面がべたついたり、外部からの機械的衝撃に対する傷つきなど特性が極めて悪くなるなどの問題があった。
このような問題に対応するためにシリコンオイルなどを添加して、塗膜表面の酸素による樹脂の硬化阻害を軽減させることも検討されているが、シリコンオイルなどを多量に使用した場合には、シリコンオイルによりべたつくなどの問題があった。
特開2003−212947号公報(特許請求の範囲、実施例)
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであって、紫外線照射で架橋硬化させても塗膜にべたつきや傷付きなどの問題がなく、さらに柔らかな触感を有する硬化塗膜を与える紫外線硬化型の皮革調塗料組成物を提供することを可能にしたものである。
第1の発明は紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)、同(A)と共重合可能な官能基を少なくとも一個有するシリコン化合物(B)、架橋樹脂粒子(C)、反応開始剤(D)および必要に応じて加えられる希釈剤(E)からなることを特徴とする紫外線硬化型皮革調塗料組成物を提供する。
第2の発明は(A)に反応開始剤(D)を添加して硬化させたフィルムにした場合の常温での最大伸度が20%以上であり、引張り破断強度が5kg/cm2以上である上記発明1に記載の皮革調塗料組成物を提供する。
第3の発明は(C)が常温でゴム弾性を有する架橋樹脂粒子であり、(C)を構成するゴム成分をフィルムにした場合の常温での最大伸度が20%以上で、引張り破断強度が5kg/cm2以上であり、平均粒子径が2から20μmである上記発明1または2に記載の皮革調塗料組成物を提供する。
第4の発明は(B)の数平均分子量が3000以上である上記発明1から3のいずれかに記載の皮革調塗料組成物を提供する。
第5の発明は(C)の含有量が(A)、(B)、(C)の合計量中5から60重量%である上記発明1から4のいずれかに記載の皮革調塗料組成物を提供する。
第6の発明は(A)および(B)の合計量中0.1から20.0重量%が(B)である上記発明1から5のいずれかに記載の皮革調塗料組成物を提供する。
第7の発明はさらに体質顔料を含む上記発明1から6のいずれかに記載の皮革調塗料組成物を提供する。
第8の発明は(B)の官能基が(メタ)アクリロイル基である上記発明1から7のいずれかに記載の皮革調塗料組成物を提供する。
第9の発明は上記発明1から8のいずれかに記載の塗料組成物を塗装して得られる皮革調の触感を有する物品を提供する。
本発明により、紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー、特定のシリコン化合物および架橋樹脂粒子を用いることにより、塗膜にベタツなどの不具合がなく、軟質で良好な触感を有する皮革調の硬化塗膜を与える塗料組成物が提供される。
本発明に使用する第一の必須成分である紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)とは、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基などを有するオリゴマーまたはモノマーである。
紫外線硬化性オリゴマー中、ラジカルにより架橋反応をするものとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸PO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。ラジカルにより架橋反応をする紫外線硬化性オリゴマーの市販品としては、ユニディック V4200−70[大日本インキ化学(株)製]、ユニディック V4221[大日本インキ化学(株)製]、NKオリゴUA160TW[新中村化学(株)製]、NKオリゴU108A[新中村化学(株)製]、UP−23[根上工業(株)製]等が挙げられる。
また、紫外線硬化性モノマー中、ラジカルにより架橋反応をするものとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル、アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル、アリルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜8のアルケニルエステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル、アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシエチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数3〜18のアルケニルオキシアルキルエステル。ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン、ポリオレフィン系化合物、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン。その他、カプロラクトン変性アクリル酸エステル化合物、カプロラクトン変性メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、アリルアルコール、マレイン酸なども例示することができる。
上記紫外線硬化性オリゴマーは単独での使用、もしくは2種類以上を併用することができる。なお、紫外線硬化性モノマーは単独または複数のモノマーだけで使用することは希で、通常は前記の紫外線硬化性オリゴマーと併用される。
上記紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)を反応開始剤(D)と必要に応じて希釈剤を加えて混合した樹脂組成物をABS板などに塗布し紫外線照射して硬化させた塗膜の鉛筆硬度はHBより柔らかいものが好ましく、より好ましくはBより柔らかいものである。
成分(A)からなる塗膜の鉛筆硬度がHBよりも硬いものを使用した場合には、得られる本発明の皮革調塗料組成物から形成される塗膜に柔軟性が少ないために好ましくない。
また成分(A)からなる塗膜を剥ぎ取ったフィルム状態での機械的特性は、常温でゴム弾性を有するものが好ましく、最大伸度は10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは70%程度である。また、そのときの破断強度は5kg/cm2以上、好ましくは、20kg/cm2以上、より好ましくは60%以上である。
成分(A)からなるフィルムの最大伸度が10%未満の場合は得られる本発明の皮革調塗料組成物から形成される塗膜に柔軟性が少ないために好ましくない。また、最大伸度が70%を超えるとゴム弾性を有していないバインダー[成分(A)と成分(B)]の場合は、本発明の皮革調塗料組成物から形成された硬化塗膜が傷付きやすくなるために好ましくない。
成分(A)からなるフィルムの破断強度が5kg/cm2未満の場合は傷付きやすくなるため好ましくない。
本発明に使用する第三の必須成分である架橋樹脂粒子(C)とは、球状であるのが好ましく、アクリル樹脂粒子(例えば、メチルメタクリレートと架橋剤の混合物を懸濁重合して得られる微粒子)、ウレタン樹脂粒子(例えば、硬質ポリウレタン、軟質ポリウレタンの粒子)、ナイロン樹脂粒子(例えば、ナイロン66等の粒子)、シリコン樹脂粒子(例えば、シリコンアクリレートのラジカル共重合体等の粒子)などを例示することができる。
好ましくは常温でゴム弾性を有する球状の樹脂粒子であり、樹脂粒子を構成する樹脂をフィルム状に成形した場合の最大伸度は常温で20%以上であり、引張り破断強度は5kg/cm2以上であることが好ましい。
最大伸度が20%未満の場合は得られる塗膜に硬質感が現れるために好ましくない。また、最大伸度が20%以上あってもゴム弾性を有していないの場合は、塗膜が傷付きやすくなるために好ましくない。
樹脂粒子を構成する樹脂を成形したフィルムの破断強度が5kg/cm2未満の場合は硬化後の塗膜が傷付きやすくなるため好ましくない。
樹脂粒子は球状であることが好ましく、その平均粒子径は2から20μmであることが好ましい。この理由として、平均粒子径が2から20μmの粒子を用いた場合には、本発明の皮革調塗料組成物から形成された硬化後の塗膜において滑らかで柔らかい皮革調の触感が得られるからである。
樹脂粒子の平均粒子径が2μm未満の場合は、本発明の皮革調塗料組成物から形成された硬化後の塗膜において形成される凹凸が小さいためにゴム状の触感となり、皮革調の触感が得られないために好ましくない。
樹脂粒子の平均粒子径が20μmを超える場合は、塗膜に形成される凹凸が大きいことからザラザラとした触感となり、皮革調の触感が得られないために好ましくない。
さらに好ましくは、樹脂粒子の平均粒子径は2から20μmで、かつ、直径30μm以上の粒子は含まないか、極小量しか含まないことが必要である。
この理由としては、樹脂粒子の平均粒子径が2から20μmであっても、直径30μm以上の粒子を多く含む場合はザラザラとした触感となり、皮革調の触感が得られないからである。
本発明の皮革調塗料組成物では、塗料のバインダー成分である紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)とシリコン化合物(B)成分と架橋樹脂粒子(C)の合計量中5から60重量%の架橋樹脂粒子を使用することが好ましい。
架橋樹脂粒子の使用量が5重量%未満では硬化後の塗膜表面に凹凸が形成されにくく柔らかな皮革調の触感が得られないために好ましくない。
架橋粒子の使用量が60重量部を超える場合、塗膜成分に占めるバインダー成分である紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)の比率が低くなることから硬化後の塗膜強度が不十分となり、傷つきやすくなり、さらには塗膜にクラック等の外観不良が発生するために好ましくない。
本発明に使用する第二の必須成分であるシリコン化合物(B)とは、一分子中に少なくとも一個の官能基を有するシリコン化合物であり、その官能基は本発明における第一の必須成分である紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)の架橋と同様なメカニズムで架橋反応を行うことが可能な官能基である。
例えば、第一の必須成分である紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)が成分(D)による光開始反応で発生したラジカルで反応が進むタイプであれば、シリコン化合物(B)も同様にラジカルで反応が進行する官能基を有するもので、代表的な官能基は(メタ)アクリロイル基である。
シリコン化合物(B)が有する官能基数としては少なくとも一個以上の官能基を有するものであり、好ましくは3個以上であり、さらに好ましくは5個以上である。
これら官能基はシリコン化合物の末端、両末端、側鎖のいずれか一形態に、もしくは組み合わせとしてシリコン化合物に結合しているものである。
シリコン化合物には一個以上の官能基を有することが必須であるが、これは特に紫外線硬化型であることにより空気中の酸素による硬化阻害を軽減する意味合いから重要である。
先にも述べたように、柔らかな皮革調の硬化塗膜を与える触感塗料を得るためにはバインダー樹脂が柔らかいことが重要である。酸素に硬化が阻害されないような架橋反応を用いる場合には、シリコン化合物を併用しなくともべとつきの無い柔らかな塗膜が得られる。
しかし、ラジカル反応では空気中の酸素により塗膜表面では硬化反応が著しく阻害されるため、柔らかなバインダーを作る場合には、未硬化のためべとつきが発生し、柔らかな皮革調の触感を有する塗膜は得られないのである。
そこで、従来から使用されている官能基を有していない通常のシリコン化合物の使用で塗膜表面を保護して酸素による硬化阻害を防ぐ方法考えられるが、未硬化によるべたつきを軽減するには1%近い量の官能基を有していない通常のシリコン化合物を加える必要があることが分かった。
そのため、硬化した塗膜表面にはシリコン化合物による液状の膜かでき、皮革調の触感を有する塗膜ができないどころか、指紋跡の付きやすい、ヌメヌメとした仕上がりしか得られない。
しかし、シリコン化合物にバインダーである紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)と共重合するような官能基を持っている場合には、紫外線照射によって進行するバインダーの反応と共にシリコン化合物の反応も進行して、高分子化やバインダー樹脂との共重合により硬化するために、上記問題のない良好な皮革調の触感を有する塗膜が得られることが分かった。
このような作用を十分に発現させるためには、シリコン化合物が有する官能基の数は、シリコン化合物一分子中に一個以上必要であり、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上必要である。
シリコン化合物(B)が有する官能基の数がシリコン化合物一分子中に一個未満の場合は、先に説明したようにシリコン化合物の反応は十分に進まないために本発明の皮革調塗料組成物から形成された硬化後の塗膜において皮革調の触感が得られないので好ましくない。
シリコン化合物の数平均分子量は3000以上であることが好ましく、さらに好ましくは5000以上である。この理由としてはシリコン化合物の分子量が大きいほど紫外線照射時に起きる反応によるシリコン化合物の高分子化が起こりやすいからである。
また窒素雰囲気や二酸化炭素雰囲気での紫外線照射反応を行う場合でも、同様に本発明おけるように、官能基を有するシリコン化合物を用いることが可能である。
官能基を有するシリコン化合物(B)の使用量は、第一の必須成分である紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)と第二の必須成分であるシリコン化合物(B)の固形分の合計量中0.1から20.0重量%であることが好ましい。
この理由として、0.1重量%未満では、酸素による硬化阻害を十分に軽減させることが出来ないため、柔らかな皮革調の触感が得られないので好ましくない。
また、20.0重量%を超える場合は、塗装される基材との密着性や外観に不具合が生じ、良好な仕上がりが得られないために好ましくない。
なお、ここで述べるシリコン化合物(B)とは、ジメチルシロキサン鎖を分子内に有する化合物を指し、有機化合物などで修飾、変性されているような化合物も含まれる。例えば、樹脂との相溶性を高める目的でエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドで変性されたものなども含まれる。
ラジカルにより架橋反応をするシリコン化合物としては、具体的には、SA−200[新中村化学(株)製]、X−62−7586[信越化学(株)製]、X22−2445[信越化学(株)製]、X22−2457[信越化学(株)製]、X22−2458[信越化学(株)製]、X22−2459[信越化学(株)製]等が挙げられる。
本発明において使用される第三の必須成分である反応開始剤(D)中、紫外線照射によりラジカルを発生して架橋反応を進行させるものとしては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が例示される。
市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社のイルガキュアー#184、イルガキュアー 500、イルガキュアー 754、イルガキュアー 1300、イルガキュアー 1800、イルガキュアー 1870等が例示される。
反応開始剤(D)の使用量は、成分(A)および(B)の合計量100重量部に対して0.1〜10.0重量部、好ましくは、0.5〜5.0重量部である。
0.1重量部未満では、塗膜の硬化性が悪く硬化後の塗膜にタック性が残ることがあり、好ましくない。逆に、10.0重量部を超えて使用しても硬化性はそれほど変わらず、硬化塗膜の物性が低下するため、また、経済性の観点からも好ましくない。
本発明において必要に応じて使用される希釈剤(E)としては、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤。メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤。酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤。アセトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤などの単独、混合溶剤などが例示される。
希釈剤(E)の使用量は、成分(A)〜(D)の合計量100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは、50〜200重量部である。
10重量部未満では、塗料組成物の粘度が高く、スプレー塗装などによる塗装がきわめて困難なため好ましくない。逆に、500重量部を超えて使用するとアプリケーションソリッドが小さくなるために、塗装の厚みを増すためには複数回の塗装や乾燥を繰り返す必要があり時間を要するため、および、作業環境に与える影響、安全性という観点からも好ましくない。
本発明の紫外線硬化型皮革調塗料組成物には、シリカ、タルク、ポリエチレンワックス、ポリカーボネートワックスなどの艶消し用の体質顔料を併用して艶消しの皮革調塗料組成物とすることができる。
体質顔料を併用すれば、架橋樹脂粒子(C)の使用比率を低減することができるため、コスト的に有利になるという利点があるが、触感は硬質に近づく。体質顔料の使用量は、成分(A)〜(D)の合計量100重量部に対して0.1〜10.0重量部、好ましくは、0.5〜5.0重量部である。
また、通常の塗料に使用される粘度調整剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、着色顔料などを併用することができる。
着色を目的とする場合、本発明の皮革調塗料組成物が紫外線硬化型であることからも、着色染料や顔料の使用量と光開始剤の使用量はその目的に応じて適切な比率を選択するのが好ましい。
紫外線照射を行う際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯などが用いられる。紫外線の照射ピーク強度は30〜120W/cm2、好ましくは、60〜80W/cm2であり、紫外線の積算エネルギーは200〜1000mJ/cm2、好ましくは、500〜700mJ/cm2である。
照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、10〜100秒、好ましくは、20〜60秒であり、照射強度が大きい場合は、照射時間を短縮したり照射強度が小さい場合は、照射時間を延長したり、適宜調整することができる。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
本発明の紫外線硬化型皮革調塗料組成物は通常、硬化塗膜の厚さが10〜50μm程度になるように塗布する。
[実施例]
以下、この発明を実施例および比較例を用いて説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
後記する実施例1〜16および比較例1〜4における各成分の配合比および硬化条件等を表1にまとめて記載した。
表1中の各成分を表す記号は以下の通りである。
(A1):ポリエステル骨格、カプロラクトン骨格、ウレタン結合を分子中に有する紫外線硬化型ウレタンアクリレート系多官能オリゴマー(イルガキュアー#184を2%溶解して紫外線硬化したときの最大伸度が70%、破断強度20kg/cm2
(A2):ポリエステル骨格、ウレタン結合を分子中に有する紫外線硬化型ウレタンアクリレート系多官能オリゴマー(イルガキュアー#184を2%溶解してUV硬化したときの最大伸度が10%、破断強度230kg/cm2
(B1):数平均分子量が10000で、6個のアクリロイル基を有するラジカル重合性シリコン化合物
(B2):数平均分子量が500で、1個のアクリロイル基を有するシリコン化合物
(B3):数平均分子量が18000で、18個のアクリロイル基を有するシリコン化合物
(B’1):数平均分子量が500で、アクリロイル基を有していないシリコン化合物
(B’2):数平均分子量が4000で、アクリロイル基を有していないシリコン化合物
(C1):平均粒子径6μmで20μm以上の粒子径を有する粒子を含まない架橋ウレタン樹脂粒子(粒子構成樹脂の最大伸度100%で破断強度30kg/cm2
(C2):平均粒子径15μmで30μm以上の粒子径を有する粒子を含まない架橋ウレタン樹脂粒子(粒子構成樹脂の最大伸度100%で破断強度30kg/cm2
(C3):平均粒子径30μmの架橋ウレタン樹脂粒子(粒子構成樹脂の最大伸度100%で破断強度30kg/cm2
(C4):平均粒子径6μmで20μm以上の粒子径を有する粒子を含まない架橋ウレタン樹脂粒子(粒子構成樹脂の最大伸度10%で破断強度200kg/cm2
(D1):イルガキュアー#184、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製 光重合開始剤
(E1):プラネットシンナー#702、オリジン電気(株)製プラスティック用シンナー
実施例1から5は同じ(A)成分[実施例2においてのみ(A)の物性が異なる]を同じ量で使用し、同じ種類および同じ量のシリコン化合物を使用し、架橋樹脂粒子(C)の種類を変えて使用量を一定にして行った試験である。
実施例6から10は同じ(A)成分を同じ量で使用し、シリコン化合物(B)の種類および使用量も同じとし、架橋樹脂粒子(C)として同じゴム弾性を有する架橋ウレタン粒子を用い、その含有量を変化させた試験である。
実施例11から16はシリコン化合物(B)の種類および使用量を変え、同じ(A)成分および、同じ種類および同じ量の架橋樹脂粒子(C)を使用した試験である。
比較例1および2は主として実施例1、15、16と対比するための試験、比較例3は主として実施例11、12と対比するための試験、比較例4は主として実施例1、11〜16と対比するための試験である。
実施例1
UV硬化型ウレタンアクリレート系多官能オリゴマー(イルガキュアー#184を2%溶解してUV硬化したときの最大伸度が70%、破断強度20Kg/cm2)15重量部と数平均分子量10000で6官能のアクリル基を有するシリコン化合物1重量部と平均粒子径6μmで20μm以上の粒子径を有する粒子を含まない架橋ウレタン樹脂粒子(粒子構成樹脂の最大伸度100%で破断強度30Kg/cm2)を13重量部とイルガキュアー#184(UV照射によりラジカルを発生する反応開始剤)0.8重量部とトルエン30重量部と酢酸エチル(表1では、「酢酸エチ」)40.2重量部を混合して塗料溶液100重量部を得た。
この塗料100重量部に対してプラネットシンナー#702[オリジン電気(株)製プラスティック用シンナー]100重量部を加えて希釈塗料を調製した。
この塗料をスプレー塗装によりABS黒板に塗装し、塗装後60℃のボックス型乾燥炉で5分間予備乾燥した後にUVを照射した。このときのUV照射条件は、UVピーク強度は60W/cm2でUV積算エネルギーは500mJ/cm2であった。
得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られ、爪スクラッチなどによる傷つき性にも優れ、柔らかな皮革調の触感を有していた。また、硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感も無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例2
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどにより傷つきやすく、硬質な触感を有していた。硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例3
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の外観が得られ、爪スクラッチなどによる傷つき性も良好であった。触感は皮革調ではあるがやや木目の荒い感触であった。硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例4
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の外観が得られ、爪スクラッチなどによる傷つき性も良好であった。触感は皮革調ではあるが荒い感触であった。硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例5
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つき性は劣り触感も硬質な感触であった。硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例6
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の外観が得らたが、爪スクラッチなどによる傷つき性は劣っており塗膜強度が低下している状況であった。柔らかな皮革調の触感は有しており、硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は53重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例7
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しではあるが表面にクラックがあった。爪スクラッチなどでもたやすく傷が付き塗膜の強度は極めて悪かった。触感もザラザラしていたが、硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は65重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例8
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は半艶消し状であった。爪スクラッチなどによる傷つき性は優れており、触感は硬質な皮革調であった。硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は30重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例9
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は光沢のある半艶消し状であった。爪スクラッチなどによる傷つき性は優れていたが、触感はゴム質で皮革調といった触感ではなかった。硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は10重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であった。
実施例10
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は良好な艶消し状であり、爪スクラッチなどによる傷つき性も良好であった。しかし、触感はやや硬質であった。硬化阻害などによる塗膜表面のベトツキ感は無かった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は30重量部でシリコン化合物の樹脂中での含有率は6重量部であり、PWCとして5.5重量部のシリカ微粉末を含有する。
実施例11
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つき性は劣っていた。ゴム調の柔らかな触感を有していたが、硬化阻害によると思われる塗膜表面のベトツキがみられた。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量10000で6官能のアクリル基を有するシリコン化合物の樹脂中での含有率は0.05重量部であった。
実施例12
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つき性はやや劣っていた。柔らかな皮革調の触感を有していたが、硬化阻害によると思われる塗膜表面のベトツキが少しみられた。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量10000で6官能のアクリル基を有するシリコン化合物の樹脂中での含有率は0.2重量部であった。
実施例13
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られ、爪スクラッチなどによる傷つき性も優れていた。塗膜は柔らかな皮革調の触感を有しており、硬化阻害になどによる不具合は見られなかった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量10000で6官能のアクリル基を有するシリコン化合物の樹脂中での含有率は10.0重量部であった。
実施例14
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られ、爪スクラッチなどによる傷つき性も良好であった。塗膜は柔らかな皮革調の触感を有しており、硬化阻害になどによる不具合は見られなかった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量10000で6官能のアクリル基を有するシリコン化合物の樹脂中での含有率は30.0重量部であった。
実施例15
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つきは劣っていた。塗膜は柔らかな皮革調の触感を有していた。塗膜表面にはベタツキがみられた。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量500で1官能のアクリル基を有するシリコン化合物の樹脂中での含有率は6.0重量部であった。
実施例16
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られた。爪スクラッチなどによる傷つき性にも優れていた。塗膜はやや柔らかな皮革調の触感を有していた。塗膜表面にはベタツキなどの不具合はみられなかった。
本実施例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量18000で18官能のアクリル基を有するシリコン化合物の樹脂中での含有率は6.0重量部であった。
比較例1
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つき性は極めて悪くかった。塗膜はやや柔らかな皮革調の触感を有していたが、塗膜表面にはシリコン化合物によるものと思われるベタツキがみられた。
本比較例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量500でアクリル基を有さないシリコン化合物の樹脂中での含有率は6.0重量部であった。
比較例2
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つき性は極めて悪かった。塗膜はやや柔らかな皮革調の触感を有していたが、塗膜表面にはシリコン化合物によるものと思われるベタツキがみられた。
本比較例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量4000でアクリル基を有さないシリコン化合物の樹脂中での含有率は6.0重量部であった。
比較例3
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つき性は極めて悪くかった。塗膜は硬質な皮革調の触感を有していたが、塗膜表面は表面が未硬化であるとおもわれるベタツキみられた。
本比較例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、数平均分子量500でアクリル基を有さないシリコン化合物の樹脂中での含有率は0.05重量部であった。
比較例4
表1に記載した各成分の配合比で実施し、実施例1と同様の条件で塗装、乾燥および硬化を行った。得られた塗膜は艶消しの皮革調の良好な外観が得られたが、爪スクラッチなどによる傷つき性は極めて悪くかった。塗膜は硬質な皮革調の触感を有していたが、塗膜表面は表面が未硬化であるとおもわれるベタツキみられた。
本比較例の架橋樹脂粒子の含有量(PWC%)は45重量部で、シリコン化合物は含まない。
表2、3、4に実施例、比較例で得られた結果をまとめて示す。
評価項目と評価基準
1.外観
◎:塗装面にムラなどの不具合がなく、良好な艶消し感のある皮革調硬化塗膜である。
○:塗装面にムラなどの不具合がなく、艶消し感にかけるが、皮革調硬化塗膜である。
△:硬化塗膜に塗装ムラなどの不具合がみられる。
×:硬化塗膜に塗装ムラやクラックなどが顕著にみられる。
2.傷つき性
◎:爪などで強く引っかき傷を付けようとしても傷の付がつかない皮革調硬化塗膜である。
○:爪などで強く引っかき傷を付ければ傷つくが、傷は容易に消えるか僅かに残る皮革調硬化塗膜である。
△:硬化塗膜に爪などで引っかき傷が付き、傷跡が残る。
×:硬化塗膜に爪などで容易に引っかき傷が付き、傷跡が残る。
3.触感
◎:柔らかで滑らかな触感を有する皮革調硬化塗膜である。
○:やや硬質であるか、滑らかさが欠けるが皮革調硬化塗膜として良好である。
△:硬化塗膜が硬質であったり、滑らかさに欠けるもの。
×:ザラザラとした触感であったりして皮革調硬化塗膜塗膜としてふさわしくない。
4.表面状態
◎:表面の硬化性に関し、良好に硬化していると判断できる皮革調硬化塗膜である。
○:表面の硬化性に関し、僅かに未硬化やシリコン化合物などによるベタツキが見られるが、良好な範囲と考えられる皮革調硬化塗膜である。
△:表面の硬化性に関し、未硬化やシリコン化合物などによるベタツキが見られる硬化塗膜である。
×:明らかに表面の未硬化もしくは多量のシリコン化合物によるベタツキがある硬化塗膜である。

Claims (9)

  1. 紫外線硬化性オリゴマーまたはモノマー(A)、同(A)と共重合可能な官能基を少なくとも一個有するシリコン化合物(B)、架橋樹脂粒子(C)、反応開始剤(D)および必要に応じて加えられる希釈剤(E)からなることを特徴とする紫外線硬化型皮革調塗料組成物。
  2. (A)に反応開始剤(D)を添加して硬化させたフィルムにした場合の常温での最大伸度が20%以上であり、引張り破断強度が5kg/cm2以上である請求項1に記載の皮革調塗料組成物。
  3. (C)が常温でゴム弾性を有する架橋樹脂粒子であり、(C)を構成するゴム成分をフィルムにした場合の常温での最大伸度が20%以上で、引張り破断強度が5kg/cm2以上であり、平均粒子径が2から20μmである請求項1または2に記載の皮革調塗料組成物。
  4. (B)の数平均分子量が3000以上である請求項1から3のいずれかに記載の皮革調塗料組成物。
  5. (C)の含有量が(A)、(B)、(C)の合計量中5から60重量%である請求項1から4のいずれかに記載の皮革調塗料組成物。
  6. (A)および(B)の合計量中0.1から20.0重量%が(B)である請求項1から5のいずれかに記載の皮革調塗料組成物。
  7. さらに体質顔料を含む請求項1から6のいずれかに記載の皮革調塗料組成物。
  8. (B)の官能基が(メタ)アクリロイル基である請求項1から7のいずれかに記載の皮革調塗料組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装して得られる皮革調の触感を有する物品。
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