JPH05279627A - 意匠性塗料組成物 - Google Patents

意匠性塗料組成物

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JPH05279627A
JPH05279627A JP7661092A JP7661092A JPH05279627A JP H05279627 A JPH05279627 A JP H05279627A JP 7661092 A JP7661092 A JP 7661092A JP 7661092 A JP7661092 A JP 7661092A JP H05279627 A JPH05279627 A JP H05279627A
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JP
Japan
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silicone oil
coating composition
group
particles
reaction
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JP7661092A
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Inventor
Tsugio Tomura
次男 戸村
Eiju Konno
英寿 今野
Mitsuo Kase
光雄 加瀬
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】三次元架橋構造を有するポリウレタンポリ尿素
架橋粒子と結合剤樹脂とを塗膜形成成分とし、更に反応
性基を有するシリコーンオイルを含んで成る意匠性塗料
組成物で、該反応性基を有するシリコーンオイルが、1
分子中に少なくとも1個の水酸基、アミノ基、ビニル
基、グリシジル基、チオール基から選ばれる反応基を有
するシリコーンオイルである意匠性塗料組成物。 【効果】本発明の意匠性塗料組成物は、三次元架橋構造
を有するポリマー粒子を含有するものである為、耐溶剤
性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐引掻き性並びに耐久性に優
れ、更に反応性基を有するシリコーンオイルを含有する
為、持続性のあるスリッピング効果を示し、ポリウレタ
ンポリ尿素架橋粒子と結合剤樹脂だけでは得られなかっ
た優れた耐色落ち性を有するとともに、ソフト感触(ソ
フトタッチ)に優れた極めて高級感を有する塗膜を形成
し得るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、三次元架橋構造をもっ
た特定のポリウレタンポリ尿素架橋粒子と結合剤樹脂と
を塗膜形成成分とし、反応性基を有するシリコーンオイ
ルを含んで成る意匠性塗料組成物に関し、優れた耐溶剤
性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐引掻き性並びに耐久性なら
びに色落ち性(塗膜表面の摩耗によるポリウレタンポリ
尿素架橋粒子の物理的脱落)を有すると共に、視覚、触
覚性をも兼備した意匠性塗膜を形成しうる優れた塗料組
成物に関する。本発明は、塗料産業分野や印刷インキ産
業分野等において、有用なる意匠性塗料組成物を提供す
ることが出来る。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の弾性ないしは非弾性の樹脂
粒子と合成樹脂バインダーとから成る艶消し塗膜なるも
のは、既に、よく知られており、意匠性付与塗装材料と
して用いられているが、非弾性樹脂粒子を用いた艶消し
塗膜は、とりわけ、ソフトな感触(ソフトタッチ)や耐
擦傷性等に劣るし、一方、弾性樹脂粒子を用いた塗膜
は、非弾性樹脂粒子に比して、これらの感触や耐擦傷性
等の面では優れるものの、耐溶剤性、屋外耐久性などの
点で充分なものではなかった。
【0003】しかるに、近年、こうした諸欠点を改良す
べく、例えば、特開昭48ー51949号公報、特開昭
62ー67003号公報、特開昭62ー149333号
公報もしくは特公昭63ー58610号公報などに開示
されているような、ポリイソシアネートとポリアミンと
の界面重合反応によって形成されたポリウレタンポリ尿
素架橋粒子を用いる報告が為されている。
【0004】しかしながら、このような方法で得られる
粒子は、いずれも、該粒子が尿素化反応により行われる
ものであり、従って、単なる粒子の外壁の形成化のみに
留まるものであるために、粒子は中空構造ないしは小孔
(ミクロボイド)構造のものとなる。また、このような
方法で、粒子中に顔料を内包させようとすると、どうし
てもイソシアネート類やイソシアネート・プレポリマー
類を用いて顔料分散を行なう必要を生じ、かつ顔料中の
水分の管理問題が生じる等の不都合が多い。
【0005】とりわけ、ミクロボイド構造の粒子は、多
くの不均一な穴があるために、合成樹脂バインダーと組
み合わせて塗膜を形成した場合には、耐擦傷性ないしは
耐引掻き傷性(爪で擦ったときに傷が出きにくいこと)
の上で強度に劣る傾向にある。ところで、上述した耐擦
傷性などの欠点が、弾性粒子と組み合わせるべき合成樹
脂バインダーそれ自体に、強度を付与せしめることによ
って改善しうることは既に知られており、例えば、アク
リル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂等の特定のウレタン樹脂が、この
種の合成樹脂として知られている。
【0006】しかしながら、これらの樹脂をバインダー
成分として使用した弾性粒子含有塗膜は、一般的に耐擦
傷性とソフト感を共に改善することはできず、これらの
諸性能を発現するために、バインダーそれ自体の組成や
塗料の設計面等で、極端な制約を受けることになり、従
って、近年の各種製品におけるデザインの多様化や個性
化などに対処し切れない欠点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の意
匠性付与塗装材料にあっては、問題の弾性樹脂粒子が充
分な三次元架橋構造のものではない為に、溶剤に膨潤し
易く、かつ耐候性の面でも好ましくなく、更に中空構造
のものである為に、耐擦傷性にとって重要な強度の点で
も不利であることから、結局の処は、かかる弾性粒子と
組み合わせるべき合成樹脂バインダーそれ自体が、極め
て制限されることになる、という大きな課題が残されて
いた。従って、本発明が解決しようとする課題は、耐摩
耗性、色落ち性、並びに視覚性および触覚性(以下、両
感覚性を合わせて視触覚とも言う。)等に優れ、かつ、
広範な用途に適用しうる、多目的で多機能の、意匠性塗
料組成物を提供することである。
【0008】
【問題を解決するための手段】そこで、本発明者らは上
述した如き発明が解決しようとする課題に照準を合わせ
て、鋭意、検討を重ねた結果、粒子の外壁と内壁とが充
分に形成され、しかも、三次元架橋構造を有するような
特定のポリウレタンポリ尿素架橋粒子と、結合剤樹脂と
を塗膜形成成分とし、更に反応性基を有するシリコーン
オイルを含んでなる塗料組成物が、極めて有用なるもの
であることを見いだすに及んで、本発明を完成させるに
到った。
【0009】
【構成】すなわち、本発明は、三次元架橋構造を有する
ポリウレタンポリ尿素架橋粒子と結合剤樹脂とを塗膜形
成成分とし、更に反応性基を有するシリコ−ンオイルを
含んで成る意匠性塗料組成物に関するものであり、更に
該ポリウレタンポリ尿素架橋粒子が、化学量論的にイソ
シアネート基が過剰となるようなポリイソシアネート化
合物と、ポリヒドロキシ化合物との混合になり、しか
も、反応によって三次元架橋構造を形成しうる有機相
と、この化学量論的に過剰なるイソシアネート基当量以
下のポリアミンとの間での界面重合反応、並びに粒子内
部におけるウレタン化反応を通して得られる三次元架橋
構造を有するポリウレタンポリ尿素架橋粒子である意匠
性塗料組成物、また該ポリウレタンポリ尿素架橋粒子
が、顔料を含有し、且つ、化学量論的にイソシアネート
基が過剰となるようなポリイソシアネート化合物と、ポ
リヒドロキシ化合物との混合になる有機相にして、
【0010】しかも、反応によって三次元架橋構造を形
成しうる有機相と、この化学量論的に過剰なるイソシア
ネート基当量以下のポリアミンとの間での界面重合反
応、並びに粒子内部におけるウレタン化反応を通して得
られる、顔料化されたポリウレタンポリ尿素架橋粒子で
ある意匠性塗料組成物、また該結合剤樹脂が50〜50
0kgf/cm2なる範囲内の初期弾性率を有するものである
意匠性塗料組成物である。また反応性基を有するシリコ
ーンオイルが、1分子中に少なくとも1個の水酸基、ア
ミノ基、ビニル基、チオール基から選ばれる反応基を有
するシリコーンオイルである意匠性塗料組成物であり、
更に反応性基を有するシリコーンオイルが、1分子中に
少なくとも1個のグリシジル基を有するシリコーンオイ
ルである意匠性塗料組成物に関するものである。。
【0011】ここにおいて、まず、本発明において用い
られる前記の三次元架橋を有するポリウレタンポリ尿素
架橋粒子は、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリ
ヒドロキシル化合物およびポリアミンから得られるもの
である。本発明に用いられるポリイソシアネート化合物
としては、それら自体が公知であるようなものはいずれ
も使用しうるが、それらのうちでも特に代表的なものの
み例示するに留めれば、トリレンジイソシアネート、水
添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,
4’−ジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,
4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシル
−1,4−ジソシアネート、
【0012】イソホロンジイソシアネート、1,4−テ
トラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシア
ネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジベンジル
ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネー
ト、m−ないしはp−テトラメチルキシレンジイソシア
ネートもしくはトリフェニルメタントリイソシアネート
の如き、脂肪族、芳香族ないしは脂環式ジ−ないしはト
リイソシアネート・モノマー類などであり、
【0013】これらの各種のモノマーに基ずく3官能以
上のイソシアヌレート型ポリイソシアネートまたはビュ
レット型ポリイソシアネートの如き各種の変性ポリイソ
シアネート類、あるいは、上掲された如き各種のモノマ
ー類や変性ポリイソシアネート類の1種以上と、多価ア
ルコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート
ポリオール、ポリブタジエンポリオールもしくはポリペ
ンタジエンポリオールの如き、各種のポリヒドロキシ化
合物の1種以上とを、ウレタン化反応させて得られる末
端イソシアネート基含有ウレタン変性ポリイソシアネー
トプレポリマー類などであり、これらは単独使用でも、
2種以上の併用でもよい。
【0014】ここで、得られるポリウレタンポリ尿素架
橋粒子(以下、ポリマー粒子ともいう。)が、特に強靱
性に優れるものである為には、当該ポリイソシアネート
化合物の数平均分子量としては、200〜10,000
なる範囲内が、好ましくは、300〜7,000なる範
囲内が、更に好ましくは、500〜5,000なる範囲
内が適切である。当該ポリイソシアネート化合物の設計
に当たっては、耐侯性を考慮した場合には、イソシアネ
ートモノマー単位の種類としては、脂肪族系および/ま
たは脂環式系のものを用いるのが好ましい。
【0015】一方、当該ポリイソシアネート化合物と共
に、前記有機相を構成する必須の成分たるポリヒドロキ
シ化合物は、ポリマー粒子の壁部の形成に伴う内部架橋
の不足を補い、かつ、このポリマー粒子の機械的強度
を、一層、向上化せしめるために極めて重要なる成分で
あるが、かかるポリヒドロキシ化合物としては、それ自
体が公知であるようなものは、いずれも使用し得る。そ
れらのうちでも、特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、次のような、いずれかのグループに属するも
のである。
【0016】(a)エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘ
サン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒド
ロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメ
チル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンもしく
は、ヘキサントリオールの如き多価アルコール類。
【0017】(b)ポリオキシエチレングリコール、ポ
リオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポ
リオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピ
レンポリオキシテトラメチレングリコールもしくは、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテト
ラメチレングリコールの如き、各種のポリエーテルグリ
コール類。
【0018】(c)上掲された如き各種の多価アルコー
ル類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テト
ラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピル
グリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェ
ニルグリシジルエーテルまたはアリルグリシジルエーテ
ルの如き各種の(環状)エーテル結合含有化合物との開
環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール
類。
【0019】(d)上掲された如き各種の多価アルコー
ル類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によっ
て得られるポリエステルポリオール類であって、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル
酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マ
レイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グル
タコン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,
4−シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4−ベンゼ
ントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン
酸、1,2,4−シクロヘキサトリカルボン酸または
2,5,7−ナフタレントリカルボン酸などで特に代表
される多価カルボン酸類を用いて得られるポリオール
類。
【0020】(e)上掲された如き各種の多価アルコー
ル類の1種以上と、ε−カプロラクトン、δ−バレロラ
クトンもしくは3−メチル−δ−バレロラクトンの如き
各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラク
トン系ポリエステルポリオール類。あるいは、上掲され
た如き、それぞれ、各種の多価アルコール類と、多価カ
ルボン酸類と、上掲された如き各種のラクトン類との重
縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポ
リオール類。
【0021】(f)ビスフェノールA型エポキシ化合
物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価およ
び/または多価アルコール類のグリシジルエーテル、あ
るいは、一塩基酸および/または多塩基酸類のグリシジ
ルエステルの如き各種のエポキシ化合物を、ポリエステ
ルポオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポ
キシ変性ポリエステルポリオール類。
【0022】更には、 (g)ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボ
ネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペ
ンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水
添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル
系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物または水酸基含
有シリコン樹脂などである。
【0023】これら(a)から(g)に示されたポリヒ
ドロキシ化合物は、単独使用でも2種以上の併用でもよ
いが、その数平均分子量としては、200〜10,00
0、好ましくは、300〜7,000、更に好ましく
は、500〜5,000なる範囲内が、ポリマー粒子内
部の充分なる架橋のために好ましい。また、強靱なるポ
リマー粒子を得るためには、ポリエステルポリオールの
使用が望ましく、就中、ε−カプロラクトン、δ−バレ
ロラクトンまたは3−メチル−δ−バレロラクトンの如
きラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン
系ポリエステルポリオール類の使用が望ましい。
【0024】本発明においては、ポリイソシアネート化
合物のイソシアネート基当量と、ポリヒドロキシ化合物
のヒドロキシル基当量との比率を、1:0.1〜1:
0.9、好ましくは1:0.1〜1:0.8、更に好ま
しくは1:0.2〜1:0.7なる範囲内で用いて、こ
れらの両成分を混合し、しかも、これら両成分の混合物
それ自体が三次元架橋化し得るような組成にすることが
肝要である。
【0025】即ち、これらの混合物を完全にウレタン化
させたい場合には、ゲル状となり、加温や親溶剤の希釈
によっても、もはや流動性が得られないような配合にす
る必要がある。前記有機相を設計するに当たっての上記
の二つの条件は、後述するポリアミン類の添加による界
面重合反応だけでは得られない内部架橋状態を得るため
に必須のものであり、本発明の基本的な要件の一つであ
る。この際、界面重合反応を無理なく実効せしめるため
には、上述した範囲の過剰なるイソシアネート基が必要
であり、こうした範囲は、粒子の外壁が速やかに形成さ
れべく設計されている。
【0026】また、本発明においては、粒子内部におけ
る、ウレタン化反応を三次元的に進行せしめることで、
従来技術では得られなかった粒子全体の強靱性や耐溶剤
性などの向上化が図られている。こうしたポリマー粒子
内部の三次元的ウレタン化反応の設計上、3官能性以上
のポリイソシアネート化合物および/またはポリヒドロ
キシ化合物を、有機相中に含有されるポリイソシアネー
ト化合物とポリヒドロキシ化合物との総量中に、0.1
モル%以上、好ましくは、0.2モル%以上、更に好ま
しくは、0.3モル%以上含有させることによって、良
好な粒子内部の三次元架橋状態を得ることができる。
【0027】有機相中のポリイソシアネート基が後述ポ
リアミン化合物との界面重合反応の進行に伴って消費さ
れることで、粒子中のイソシアネート基とヒドロキシル
基との当量比が接近し、粒子内部の架橋密度がウレタン
化反応の進行に伴って増大し、本発明のポリウレタンポ
リ尿素架橋粒子の強靱性や耐久性などの諸特性が、より
一層、向上する。
【0028】また、本発明において内包される顔料は、
公知慣用の有機顔料、無機顔料、及び体質顔料などが使
用されているが、そのうちでも特に代表的なもののみを
挙げるに留めれば、有機顔料としては、ベンチジンエロ
ー、ハンザエローおよびレーキレッド4Rなどの不溶性
アゾ顔料;レーキレッドC、カーミン6Bおよびボルド
ー10などの溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー及び
フタロシアニングリーンなどの銅フタロシアニン系顔
料;ローダミンレーキおよびメチルバイオレットレーキ
などの塩基性染め付けレーキ;キノリンレーキ及びファ
ストスカイブルーなどの酸性染め付けレーキ;アリザリ
ンレーキなどの媒染々量系顔料;アンスラキノン系;チ
オインジゴ系及びペリノン系などの建染々料系顔料;シ
ンカシアレッドBなどのキナクドリン系顔料;ジオキサ
ジン・バイオレットなどのジオキサジン系顔料;クロモ
フタールなどの縮合アゾ系顔料;などが挙げられ、
【0029】無機顔料としては、黄鉛、ジンクロメー
ト、及びモリブデート・オレンジなどのクロム酸塩;紺
青などのフェロシアン化合物;チタン白、亜鉛華、マピ
コエロー、鉄黒、ベンガラ及び酸化クロムグリーンなど
の金属酸化物、カドミウムエロー、カドミウムレッド、
および硫化水銀などの硫化物、セレン化合物;硫化バリ
ウム及び硫酸鉛などの硫酸塩;珪酸カルシウムおよび群
青などの珪酸塩;炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム
などの炭酸塩コバルトバイオレット及びマンガン紫;な
どの燐酸塩、アルミニウム粉、金粉、鉄粉、および、し
んちゅう粉などの金属粉末;パール顔料などが挙げら
れ、体質顔料としては、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリ
ウム、ご粉、石膏、アルミナ白、クレー、シリカ、タル
ク、珪酸カルシウム、及び沈降性炭酸マグネシウムなど
が挙げられ、無機顔料と有機顔料の双方に属さないカー
ボンブラックなども使用することができる。
【0030】これらの顔料は、前記したポリヒドロキシ
化合物の一種以上と共に混練して、ミルベースとして使
用するが、必要に応じて使用に供する以前や混練中に顔
料を化学的に表面処理したり混練にあたって2種以上の
顔料を組み合わせたり、あるいは塗料産業や印刷インキ
産業分野で公知慣用の分散剤や色分かれ防止剤などの添
加剤類を併用することもできる。
【0031】混練はボールミル、ペブルミル、サンドミ
ル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散機
および高速ストーンミルなどの公知慣用の分散機を用い
て行い、必要系に応じてヒドロキシル基やイソシアネー
ト基に対して不活性な有機溶剤を添加して混練系の粘度
を調整することも差し支えない。使用できる有機溶剤と
しては、芳香族または脂肪族系炭化水素、エステル、エ
ーテル、ケトン系のものが適し、就中、ベンゼン、トル
エン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、ジフェニルエーテルまたはミネラルスピリットなど
が適している。ミルベース混練工程における樹脂と顔料
の比率は、樹脂固形分100重量部に対して顔料は1〜
900重量部、好ましくは2〜800重量部、特に好ま
しくは5〜500重量部の範囲が適当である。
【0032】かくして得られるミルベースと、ポリヒド
ロキシ化合物及びポリイソシアネート化合物を、前記し
た本発明の種々の範囲内において配合し、均一に混合し
て疎水性有機相(1)とするが、該疎水性有機相(1)
に含有される顔料の比率は全樹脂固形分100重量部に
0.5〜200重量部、好ましくは1〜150重量部、
特に好ましくは2〜100重量部が好適である。この疎
水性有機相(1)を水相に微細に分散させ、該有機相中
に含まれる過剰なイソシアネート基の1当量につきポリ
アミンを0.2〜1.0当量、好ましくは0.3〜1.0当
量、更に好ましくは0.4〜0.9当量添加し、粒子界面
における尿素化反応を行い、また、ポリマー粒子内でウ
レタン化反応を実施することによって、極めて強靱な顔
料化されたポリウレタンポリ尿素架橋粒子が得られる。
【0033】このような設計思想に基ずいて混合された
有機相を、水相に微細分散させ、該有機相中に含まれる
過剰なイソシアネート基の1当量につき、ポリアミンを
0.2〜1.0当量、好ましくは、0.3〜1.0当
量、更に好ましくは、0.4〜0.9当量添加し、粒子
界面における尿素化反応を行い、また、粒子内部でウレ
タン化反応を実施することによって、極めて強靱なるポ
リウレタンポリ尿素架橋粒子が得られる。
【0034】本発明において使用するポリアミンは、公
知慣用のジアミン類、ポリアミン、またはそれらの混合
物が挙げられるが、それらのうちでも特に代表的なもの
のみを挙げるにとどめれば、1,2−エチレンジアミ
ン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、ヒドラジン、
ヒドラジン−2−エタノール、ビス(2−メチルアミノ
エチル)メチルアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサ
ン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、N−ヒド
ロキシエチルエチレンジアミン、N−メチル−ビス(3
ーアミノプロピル)アミン、テトラエチレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、ビス(N,N−アミノエチ
ル)−1,2−エチレンジアミン、
【0035】1−アミノエチル−1,2−エチレンジア
ミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ペンタエチレンヘキサミン、フェニレンジアミン、
トルイレンジアミン、2,4,6−トリアミノトルエン
トリハイドロクロライド、1,3,6−トリアミノナフ
タレン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、水
添、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニ
ルメタンまたは水添4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、あるいは、これらポリアミン・モノマ−の誘導体な
どが挙げられるが、耐候性の観点からは脂肪族および/
または脂環族の使用が望ましい。
【0036】本発明において、水中に分散される疎水性
有機相に、非反応性で疎水性の有機溶剤を、必要に応じ
て添加して粘度を低下せしめ、水相への分散性を向上化
せしめることができる。この場合の有機溶剤の使用量と
しては、全有機相中の50重量%以下、好ましくは、4
0重量%以下、更に好ましくは30重量%が適切であ
る。使用できる有機溶剤としては、芳香族系または脂肪
族系の炭化水素、エステル、エーテル、ケトン類が適
し、就中、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン、ジフェニルエーテルまた
はミネラルスピリットなどが好ましい。
【0037】これらの有機溶剤は、必要に応じて、粒子
形成中あるいは粒子形成後に、加熱や減圧などの処理に
よって留去してもよい。次いで、かくして調製された有
機溶剤相を水相中に分散せしめるに際し、本発明のポリ
ウレタンポリ尿素架橋粒子は、比較的簡単な操作で、ポ
リマー粒子を得ることも出来るものではあるが、一層の
分散安定化を図るために、ポリビニルアルコール、ヒド
ロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロ
ース、アラビアゴム、ポリアクリレート、ポリアクリル
アミド、ポリビニルピロリドンおよびエチレン無水マレ
イン酸共重合体の如き、各種の保護コロイドから選ばれ
る1種以上を、水相中に0.05〜20重量%なる範囲
内で、好ましくは0.1〜1.0重量%なる範囲内で用い
るのが適切である。
【0038】また、この水相は、0.1〜10重量%
の、好ましくは、0.2〜20重量%の、公知慣用の、
ノニオン系、アニオン系またはカチオン系の各種の界面
活性剤を含有させることもできる。本発明にあたって
は、粒子の内部において、積極的にウレタン化反応せし
める処に特徴を有するものであるが、公知の如く、ヒド
ロキシル基とイソシアネート基とのウレタン化反応は、
特にイソシアネート基が脂肪族系あるいは脂環式系に基
ずく場合には、アミノ基との尿素化反応に比較して、反
応速度が遅い傾向にある。
【0039】周知の如く、水とイソシアネート基との反
応性は、ヒドロキシル基との反応性に比して極めて遅
く、かつポリアミン類の添加により形成される外壁によ
る隔離効果によって、粒子中でのウレタン化反応を実施
するという、本発明の目的は、一応達成できるが、粒子
内でイソシアネート基とヒドロキシル基との反応を極め
て効果的に促進せしめる目的で、ナフテン酸コバルト、
ナフテン酸亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、テトラ−n
−ブチル錫、テトラ−n−ブチル錫、トリ−n−ブチル
錫アセテート、n−ブチル錫トリクロライド、トリメチ
ル錫ハイドロオキサイド、ジメチル錫ジクロライド、ジ
ブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクテ
ン酸錫またはカリウムオレエートの如き各種の有機金属
触媒の一種
【0040】以上を、疎水性の有機相に対して5〜1
0, 000ppm、好ましくは10〜5,000ppm
なる範囲内で添加するのが望ましく、該有機金属触媒の
添加によって、極めて短時間に、強靱なる架橋ポリマー
粒子が形成せしめることができる。 つまり、これらの
有機金属触媒は、イソシアネート基とヒドロキシル基と
の反応を極めて効果的に促進せしめるものである。上記
触媒の添加方法としては、水分散化(微細分散化)に先
だって、有機相中に添加せしめるか、あるいは有機相を
水中に分散せしめる工程と、ポリアミンを添加する工程
との中間に行うことが適切であり、より好ましくは水分
散化(微細分散化)に先だって、有機相中に添加せしめ
ることが望ましい。ポリアミン添加後の当該触媒の添加
は、ポリマー粒子の外壁が形成されつつある状態のため
に、当該触媒が粒子内部に取り込まれ難くなり、ひいて
は、粒子内部のウレタン化反応促進性が低下する傾向に
ある処から、好ましくない。
【0041】以上に詳述した通り、本発明の基本的要件
を満足している限り、比較的簡単な手法でポリウレタン
ポリ尿素架橋粒子を得ることができるが、有機相を構成
する樹脂類、分散工程における保護コロイドおよび/ま
たは界面活性剤の種類とそれらの使用量、あるいは分散
工程での攪拌速度や反応温度などの諸条件を適宜選択す
ることにより、ポリウレタンポリ尿素架橋粒子の粒子径
を自由に、設計し調製することができる。本発明のポリ
ウレタンポリ尿素架橋粒子の平均粒子径は、通常、0.
1〜500ミクロン(μm)なる程度の範囲であり、か
かる粒子径の基準は、応用用途に応じて異なるが1〜3
00μmなる範囲のものが、とりわけ機械的物性などの
諸性能に優れる処から一段と好ましい。
【0042】次いで、結合剤樹脂としては、基本的に
は、塗膜を形成しうるものであればよく、従って、公知
公用のいずれのものでもよいが、それらのうちでも特に
代表的例示するに留めれば、ポリウレタン樹脂、アルキ
ド樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、
エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化
ビニル樹脂、もしくは、フッ素系の樹脂の如き各種の合
成樹脂、または、天然ゴムないしは合成ゴムの如き各種
のゴム類などをはじめ、更には、セルロースの如き各種
の天然高分子化合物などであり、これらは単独使用でも
2種以上の併用でもよい。更に、上掲された各樹脂類
は、水溶液や水性分散液などの形で用いてもよい。
【0043】本発明の目的を充分に達成させるに当たっ
ては、当該結合剤樹脂の皮膜特性の一つとして、当該樹
脂の初期弾性率が50〜500kgf/cm2なる範囲内に入
るようなものを用いることが望ましい。ここで言う「初
期弾性率」とは、供試皮膜の1パーセントにおける引張
り強度(kgf)を、試料の断面積(cm2)で除した値とし
て定義されるものを称する。即ち、供試結合剤樹脂を含
む溶液を支持体上に、乾燥膜厚が100μmとなるよう
に塗装し、その結合剤樹脂の皮膜形成が可能なる温度
(20〜200℃)の範囲内で乾燥硬化させ、次いで、
かくして得られる皮膜を支持体より剥離して、目的とす
る幅が10mmで、かつ長さが40mmなる大きさの試験片
を作成し、しかるのち、この試験片をテンシロン引張り
試験機にかけ、20℃において、引張り速度を20mm/
分として、引張り試験を行い、引張り強度を測定するこ
とにより求められるものである。
【0044】前述した如く、本発明において使用される
当該結合剤樹脂の初期弾性率としては、50〜500kg
f/cm2なる範囲内が望ましく、50kgf/cm2未満の場合
には、どうしても、得られる意匠性塗膜の耐擦傷性など
が劣るようになるし、一方、500kgf/cm2を超えて余
りに大きい値のものの場合には、どうしても、ソフト感
触や二次加工性などが劣るようになるので、いずれの場
合も好ましくない。そして、本発明における前述のポリ
ウレタンポリ尿素架橋粒子と当該結合剤樹脂との混合比
率としては、これら両成分の合計容量に基ずいて、それ
ぞれの固形分換算で、結合剤樹脂:ポリマー粒子=25
〜75:75〜25(容量パーセント比)なる範囲内が
適当である。結合剤樹脂の固形分容量が25%よりも少
ない場合には、塗膜にクラックが生じ易くなるし、一
方、75%よりも多い場合には、どうしても、艶消し塗
膜とはなり難くなるので、いずれの場合も好ましくな
い。
【0045】次いで、本意匠性塗料組成勿を構成すると
ころの反応性基を有するシリコーンオイルとしては、塗
膜の耐擦傷性、耐色落ち性、スリップ性を持続的に向上
させ得る反応性基を有するシリコーンオイルが好まし
い。本発明の反応性基を有するシリコーンオイルは塗膜
表面のスリップ性を飛躍的に向上させると共に、通常の
非反応性のシリコーンオイルに比して活性な反応基を有
するため、該シリコーンオイル中の反応性基が結合剤樹
脂と化学的に結合し、優れた持続効果を示すこととな
り、従来のポリウレタンポリ尿素架橋粒子と結合剤樹脂
だけでは得られなかった優れた持続性の耐擦傷性、耐色
落ち性を有する意匠性塗料組成物を得ることができる。
【0046】該反応性基を有するシリコーンオイルとし
ては、基本的には次のような構造を有しているものであ
る。
【化1】 ここで反応性基を有するシリコーンオイルとして、特に
代表的なもののみを例示するに留めれば、
【0047】(a)水酸基を有するシリコーンオイルと
しては、両末端に水酸基を有するものとして、X−22
−160−AS、X−22−160A、X−22−16
0B、X−22−160C〔信越シリコーン株式会社
製〕、また、片末端に水酸基を有するものとして、X−
22−170D 〔信越シリコーン株式会社〕、更に、
側鎖に水酸基を有するものとして、SH3746、SF
8428、SH3771、BY16−036、BY16
−027、BY16−038〔東レダウコーニング・シ
リコーン株式会社〕などが挙げられる。
【0048】(b)アミノ基を有するシリコーンオイル
としては、両末端にアミノ基を有するものとして、X−
22−161AS,X−22−161A,X−22−1
61B、X−22−161C〔信越シリコーン株式会社
製〕、また、片末端にアミノ基を有するものとして、X
−22−171D〔信越シリコーン株式会社〕、更に、
側鎖にアミノ基を有するものとして、BY16−82
8,BY16−850,BY16−8417,BY16
−849,BY−16−872〔東レダウコーニング・
シリコーン株式会社〕などが挙げられる。
【0049】(c)グリシジル基を有するシリコーンオ
イルとしては、両末端にグリシジル基を有するものとし
て、X−22−163AS,X−22−163A,X−
22−163B,X−22−163C〔信越シリコーン
株式会社製〕、また、片末端にグリシジル基を有するも
のとして、X−22−173D、〔信越シリコーン株式
会社製〕、更に側鎖にグリシジル基を有するものとし
て、SF8413,SF8411〔東レダウコーニング
・シリコーン株式会社〕などが挙げられる。
【0050】(d)ビニル基を有するシリコーンオイル
としては、両末端にビニル基を有するものとして、X−
22−164AS,X−22−164A,X−22−1
64B,X−22−164C〔信越シリコーン株式会社
製〕、また、片末端にビニル基を有するものとして、X
−22−174D〔信越シリコーン株式会社製〕などが
挙げられる。
【0051】(e)チオール基を有するシリコーンオイ
ルとしては、両末端にチオール基を有するものとして、
X−22−167AS、X−22−167A、X−22
−167B、X−22−167C〔信越シリコーン株式
会社製〕、また、片末端にチオール基を有するものとし
て、X−22−177D〔信越シリコーン株式会社製〕
などが挙げられる。
【0052】これら(а)〜(е)に示された反応性基
有するシリコーンオイルは単独使用でも2種以上の併用
でもよいが、その添加量としては、ポリウレタンポリ尿
素架橋粒子の固形分換算に対し、0.1〜10重量%、
好ましくは、0.5〜5重量%なる範囲が適当である。
【0053】反応基を有するシリコーンオイルの添加量
が0.1重量%より少ない場合には反応性有するシリコ
ーンオイル添加による塗膜表面のスリップ性付与効果が
小さく、一方10重量%よりも多い場合には、塗膜の表
面が該シリコーンオイルのためにべたつく傾向を示し、
タッチ感が低下し、いずれの場合にも好ましくない。本
発明の意匠性塗料組成物には、前述した、それぞれ、ポ
リウレタンポリ尿素架橋粒子、結合剤樹脂および反応基
有するシリコーンオイルのほかに、通常の顔料、染料、
紫外線吸収剤、沈殿防止剤またはチキソ付与剤などの各
種添加剤成分を添加、混合せしめてもよい。
【0054】特に、本発明組成物を着色せしめるに当た
っては、勿論、予め顔料が含有されている形のポリマー
粒子をそのまま、用いることが推奨されるものではある
が、本発明の特徴を損ねない範囲内で、顔料や染料など
を添加して着色に及ぶことは、一向に差し支えがない。
かくして、本発明の意匠性塗料組成物は、必要に応じ
て、そのうちの前記結合剤樹脂に希釈可能な溶剤または
水などで希釈して、刷毛塗り,ロールコーター、フロー
コーター、スプレー塗装または浸漬塗装などの公知慣用
の塗装方法により機材に対して塗装を行うことができ
る。上述のように構成された本発明の意匠性塗料組成物
を用いて得られる塗膜は、結合剤樹脂でくるまれたポリ
マー粒子により、この塗膜の表面が均一な凹凸上を呈す
る処となり、完全な艶消し効果を発揮し、視覚を通じ
て、スウェード調として高級感のある特徴を有する。
【0055】また、ポリウレタンポリ尿素架橋粒子と、
該ポリマー粒子を被覆し、並びに該ポリマー粒子相互間
を結合するという作用を有する結合剤樹脂とから構成さ
れる本発明の意匠性塗料組成物は、強靱な塗膜を形成し
うるものであるが、とりわけ、この結合剤樹脂それ自体
の皮膜特性の一つである初期弾性率が50〜500kgf
/cm2の値を有し、いわゆる外力に対して変形し易い範
囲内にあるような結合剤樹脂を用いるときには、擦り
傷、摩耗傷または引掻き傷などに対して、塗膜に与えら
れる外的エネルギーを吸収し発散しうる塗膜構造のもの
となり、更に、顔料を含む三次元架橋構造を有するポリ
ウレタンポリ尿素は、実質的に着色剤としての機能を有
し、着色剤としての作用効果を発揮するものであり、し
かも顔料それ自体は該ポリマー粒子の表面に殆ど存在し
ておらず、専ら顔料は該ポリマー粒子の内部、または塗
膜内に封じ込められている。
【0056】更に、本意匠性塗料組成物が反応性基を有
するシリコーンオイルを含有するため、塗膜表面のスリ
ップ性が飛躍的に向上し、しかも該シリコーンオイル中
の反応性基が、結合剤樹脂と化学的に結合することによ
りその効果は持続性を有するものとなり、ポリウレタン
ポリ尿素架橋粒子と結合剤樹脂だけでは得られなかった
優れた耐摩耗性、耐色落ち性を示すこととなる。
【0057】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例
により、一層具体的に説明する。以下において、部およ
び%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるもの
とする。なお用いた原料成分について、予め以下に説明
する。ポリイソシアネート化合物としては、以下のもの
を用いた。 「バーノック DN−901S」〔大日本インキ化学
工業株式会社製の、ヘキサメチレンジイソシアネートを
用いて得られるイソシアヌレート環含有ポリイソシアネ
ート化合物、固形分換算イソシアヌレート基含有率=2
3.5%〕以下これをPI−1と略記する。
【0058】「バーノック DN−950」〔大日本
インキ化学工業株式会社製の、ヘキサメチレンジイソシ
アネート・アダクト型ポリイソシアネート化合物、数平
均分子量=640、固形分換算イソシアネート基含有率
=16.8%〕の固形分を用いたが、以下、これをPI
−2と略記する。 1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートも用いた
が、以下、HDIと略記する。
【0059】次いで、ポリヒドロキシル化合物として
は、以下のものを用いた。トリメチロールプロパンとε
−カプロラクトンとの重縮合反応によって得られる、水
酸基価が11.22なるポリカプロラクトンポリエステ
ルポリオールをも用いたが、以下これをPΟー1と略記
する。更に、トリメチロールプロパンとε−カプロラク
トンとの重縮合反応によって得られる、水酸基価が16
8.5なるポリカプロラクトンポリエステルポリオール
をも用いたが、以下、これをPO−2と略記する。
【0060】更に、ネオペンチルグリコールとアジピン
酸との共縮合によって得られる、水酸基価が187なる
ポリカプロラクトンポリエステルポリオールをも用いた
が、以下これをPΟ−3と略記する。更に、ポリアミン
としては、以下のものを用いた。すなわち、エチレンジ
アミンを用いたが、以下、これをEDAと略記する。ま
た、1、6−ヘキサメチレンジアミンをも用いたが、以
下、これをHMDAと略記する。更に、イソホロンジア
ミンをも用いたが、以下これをIPDAと略記する。
【0061】(合成例1)(ポリウレタンポリ尿素架橋
粒子の調製例) 1リットルのフラスコに、「PVA−205」〔株式会
社クラレ製の、ポリビニルアルコールの部分鹸化物〕の
2部を398部の水に溶解した水相を準備した。別の容
器でPI−2の80.0部と、PO−3の20部を用
い、ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレート(以
下、これをDBTDLと略記する)の0.01部を水分
散に先だって、有機相中に添加した。
【0062】室温にて、ホモミキサーを用いて、7,0
00〜7500rpm.で水相を攪拌しながら、ここへ予め
用意しておいた有機相を仕込み、1分間の間攪拌して分
散液を得た。次いで、この分散液を別のフラスコに移
し、パドラー型の攪拌翼によって200rpm.で攪拌しな
がら、EDAの50%水溶液の6.5部を添加した。室
温に2時間保持したのち、50℃に昇温して同温度に1
時間、更に80℃で2時間保持して反応を続行させ、目
的とするポリウレタンポリ尿素架橋粒子の懸濁液を得
た。この粒子の平均粒径は18μmであった。
【0063】(合成例2)(顔料を含有するポリウレタ
ンポリ尿素樹脂粒子の調製例) まず、PO−2の80部「カーボンブラックMA−10
0」〔三菱カーボン株式会社〕の20部、およびトルエ
ンの25部を混合し、サンドグラインダーにて、1時間
のあいだ分散せしめて、黒のミルベースを得た。以下こ
れをMB−1と略記する。次いで、1リットルのフラス
コに「PVA−205」の2部を398部の水に溶解し
た水相を準備し、室温において、ホモミキサーを用いて
7,000〜7,500rpm.で攪拌しながら、ここへ予
め別の容器でMB−1の37.5部、PO−1の16
部、PI−1の30部およびHDIの20部を混合した
後、調製しておいた有機相を添加し、更にDBTDLの
0.02部を添加し、1分間攪拌して分散液を得た。
【0064】しかるのち、この分散液を別のフラスコに
移し、パドラー型の攪拌翼によって200rpm.で攪拌し
ながら、HMDAの50%水溶液の19.0部を添加し
た。室温(約25℃)に2時間の間保持したのち、50
℃に昇温し、同温度に1時間、更に80℃に2時間保持
して反応を続行させ、目的とする顔料化された、黒色の
ポリウレタンポリ尿素架橋粒子の懸濁液を得た。得られ
たポリマー粒子の平均粒径は22μmであった。この粒
子はアセトンに膨潤し溶解することもなく、従って、ア
セトン中において、黒色顔料の流出も認められなかっ
た。
【0065】(比較例1)第1表に示されるような組み
合わせで、ポリマー粒子の20部と結合剤樹脂の20部
と、キシレン/酢酸n−ブチル=50/50(重量部
比)なる混合溶剤の60部とを、均一に混合してPVC
が50%なる、対照用の塗料組成物を調製した。
【0066】(比較例2)同様に第1表に示されるよう
な組み合わせで、ポリマー粒子の20部と結合剤樹脂の
20部と反応性を有しないシリコーンオイルとしてKF
−96(信越シリコーン社製)と更に、キシレン/酢酸
n−ブチル=50/50(重量部比)なる混合溶剤の6
0部とを均一に混合してPVCが50%なる塗料組成物
を調製した。
【0067】第1表に示されるような組み合わせで、ポ
リマー粒子の20部と、結合剤樹脂の20部と、反応性
を有するシリコーンオイルを同表に示した量と、更にキ
シレン/酢酸nーブチル=50/50(重量部比)なる
混合溶剤の60部とを、均一に混合してPVC(顔料容
積濃度)が50%なる、本発明の意匠性塗料組成物を調
製した。本発明による意匠性塗料組成物の組成、並びに
それらを用いて作成した塗膜の物性及び比較例を、第1
表にまとめて示す。
【0068】
【表1】
【0069】(塗膜作成並びに塗膜性能評価例)各実施
例および比較例で得られた各種の塗料組成物を、それぞ
れ、ABS板上に、乾燥膜厚が50μmとなるように塗
布し、60℃で30分間の乾燥硬化を行った。次いで、
室温に1週間放置してから、以下に記載する塗膜性能の
評価を行った。 外観 : 光電光沢計(東京電色株式会社製 モデル
TC−108D)にて60度の鏡面光沢を測定した。 (評価) ◎: 光沢が2以下で、かつ塗面が一様に、完全艶消し
の状態である ○: 光沢が2以下で塗面の艶むらが認められる。 ×: 光沢は2以上である。
【0070】 静摩擦係数及び動摩擦係数:塗装板の
上に接触面積3×5cm、重量200gの重りをガーゼで
くるんだものを置き、800mm/minの速度で、テンシ
ロンを用いて引っ張る。おもりが動きだす時の第1極大
荷重を重りの重量で割った値を静摩擦係数とし、おもり
が動いている時の積分平均荷重を重りの重量で割った値
を動摩擦係数とした。
【0071】 耐擦傷性: #000スチ−ルウ−ルを
30kg/cm2なる面圧で擦って、その1時間後に、塗面
の状態を目視により判定した。 (評価) ◎: 全く傷がつかない。 ○: 僅かに傷がつく。 ×: はっきり擦り傷が残る。
【0072】 色落ち性(1回目):ラビングテスタ
−;ABO型〔大平理化 工業株式会社〕を用い、フエ
ルト(10×50×10mm)をガ−ゼ(100×150
mm)でくるんだ試験片を所定の場所へ設定後、ここへ5
kg荷重をかけ、塗板上を100回擦って、ガーゼへの着
色状態を目視により判定した。 (評価) ◎: ガ−ゼには全く色がつかない ○: ガ−ゼに僅かに色がつく ×: ガ−ゼにはっきり色がつく
【0073】 色落ち性(2回目):1回目の塗板を
1週間静置後、再度同じ条件で擦って、ガ−ゼへの着色
状態を目視により判定した。 (評価) ◎: ガ−ゼには全く色がつかない ○: ガ−ゼに僅かに色がつく ×: ガ−ゼにはっきり色がつく 得られた試験結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】第2表から明らなように、本発明の意匠性
塗料組成物を用いた塗膜表面は、優れたスリップ性を付
与され、持続性のある優れた耐色落ち性、耐擦傷性を発
揮するものであり、また視覚を通じての外観(艶消し
能)も優れたものであることが明らかである。
【0076】
【発明の効果】本発明の意匠性塗料組成物は、三次元架
橋構造を有するポリマー粒子を含有するものである為、
耐溶剤性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐引掻き性並びに耐久
性に優れ、更に反応性基を有するシリコーンオイルを含
有する為、持続性のあるスリッピング効果を示し、ポリ
ウレタンポリ尿素架橋粒子と結合剤樹脂だけでは得られ
なかった優れた耐色落ち性を有するとともに、ソフト感
触(ソフトタッチ)に優れた極めて高級感を有する塗膜
を形成し得るものである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三次元架橋構造を有するポリウレタンポ
    リ尿素架橋粒子と結合剤樹脂とを塗膜形成成分とし、更
    に反応性基を有するシリコーンオイルを含んで成る意匠
    性塗料組成物。
  2. 【請求項2】 ポリウレタンポリ尿素架橋粒子が、化学
    量論的にイソシアネート基が過剰となるようなポリイソ
    シアネート化合物と、ポリヒドロキシ化合物との混合に
    なり、しかも反応によって三次元架橋構造を形成しうる
    有機相と、この化学量論的に過剰なるイソシアネート基
    当量以下のポリアミンとの間での界面重合反応、並びに
    粒子内部におけるウレタン化反応を通して得られる三次
    元架橋構造を有するポリウレタンポリ尿素架橋粒子であ
    る請求項1記載の意匠性塗料組成物。
  3. 【請求項3】 ポリウレタンポリ尿素架橋粒子が、顔料
    を含有し、且つ、化学量論的にイソシアネート基が過剰
    となるようなポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロ
    キシ化合物との混合になる有機相にして、しかも、反応
    によって三次元架橋構造を形成しうる有機相と、この化
    学量論的に過剰なるイソシアネート基当量以下のポリア
    ミンとの間での界面重合反応、並びに粒子内部における
    ウレタン化反応を通して得られる、顔料化されたポリウ
    レタンポリ尿素架橋粒子である請求項1記載の意匠性塗
    料組成物。
  4. 【請求項4】 結合剤樹脂が50〜500kgf/cm2なる
    範囲内の初期弾性率を有するものである請求項1〜3の
    いずれか1項記載の意匠性塗料組成物。
  5. 【請求項5】 反応性基を有するシリコーンオイルが、
    1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するシリコーン
    オイルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の意匠
    性塗料成物。
  6. 【請求項6】 反応性基を有するシリコーンオイルが、
    1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するシリコー
    ンオイルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の意
    匠性塗料組成物。
  7. 【請求項7】 反応性基を有するシリコーンオイルが、
    1分子中に少なくとも1個のグリシジル基を有するシリ
    コーンオイルである請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の意匠性塗料組成物。
  8. 【請求項8】 反応性基を有するシリコーンオイルが、
    1分子中に少なくとも1個のビニル基を有するシリコー
    ンオイルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の意
    匠性塗料組成物。
  9. 【請求項9】 反応性基を有するシリコーンオイルが、
    1分子中に少なくとも1個のチオール基を有するシリコ
    ーンオイルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    意匠性塗料組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006257366A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Origin Electric Co Ltd 紫外線硬化型皮革調塗料組成物およびその塗料組成物により仕上げられた物品
JP2008285631A (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Sanyo Chem Ind Ltd 樹脂粒子分散体
CN111138959A (zh) * 2019-12-25 2020-05-12 重庆新久融科技有限公司 一种覆膜建筑铝模板及其制备方法

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