JP2023054872A - 反射防止フィルム、並びにその使用方法及びそれを用いたプラスチック成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】光硬化前の伸び率が高く十分な成形性がありながら、光硬化後は低反射率で高耐擦傷性を有し、且つ光硬化前の表面タックが安定して低い成形用反射防止ハードコートフィルムを提供する。【解決手段】光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記ハードコート層が(メタ)アクリル系重合体と、重合性官能基を有する化合物と、光重合開始剤と、を含み、前記アクリル系重合体の配合比率が固形分全量に対し40~60重量%であり、前記光重合開始剤の配合比率が光重合成分100重量部に対し0.1~5.0重量部であることを特徴とする反射防止フィルムである。【選択図】なし

Description

本発明は、成形性に優れる反射防止フィルム、その使用方法、それを用いたプラスチック成形品に関する。
アクリル系の光硬化型樹脂は、プラスチックフィルムやプラスチック成形物表面に特別な性能を付与するために多くの分野で用いられており、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布して高硬度を付与したハードコートフィルムは、タッチパネル用フィルムや成形用フィルムとして大量に使用されている。
これらのなかで特に成形用としては、フィルム表面に絵柄を印刷後、加熱により軟化させた状態で3次元成形を行うインサートフィルムが良く知られているが、フィルムに塗布されたハードコート樹脂層を硬くすると、立体形状に加工する際に曲面においてマイクロクラックが入りやすくなり、加工形状には制約があった。そのため立体成形前にハードコート層を完全硬化させず、成形後に光硬化させるアフターキュア手法が考案され、過去に出願人も、2個以上のアクリロイル基を有する多官能重合性化合物、分子量が50~400の低分子量アミン、および分子量が1~20万のポリアミンを含有する樹脂組成物を発明している(特許文献1)。
このハードコート樹脂組成物は硬度や耐擦傷性が高く、且つ成形性も良好なハードコート皮膜を得ることができる優れるものであった。しかしながら、近年ではフィルム表面に反射防止機能を要求されるようになり、光硬化前で伸び率が高く十分な成形性がありながらタックレスであり、更に反射防止層を併せ持つという、成形用のアフターキュア型反射防止フィルムが求められていた。
特許第5654207号
本発明の課題は、光硬化前の伸び率が高く十分な成形性がありながら、光硬化後は低反射率で高耐擦傷性を有し、且つ光硬化前の表面タックが安定して低い成形用反射防止フィルム、並びにその使用方法及びそれを用いたプラスチック成形品を提供することにある。
上記の課題を解決するため請求項1記載の発明は、光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記ハードコート層が(メタ)アクリル系重合体(A1)と、重合性官能基を有する化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、を含み、前記(A1)の配合比率が固形分全量に対し40~60重量%であり、前記(C)の配合比率が光重合成分100重量部に対し0.1~5.0重量部であることを特徴とする反射防止フィルムを提供する。
また請求項2記載の発明は、前記低屈折率層が重合性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(A2)と、光重合開始剤(C)と、平均粒子径5~100nmの中空シリカ微粒子(D)と、表面調整剤(E)と、を含むことを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルムを提供する。
また請求項3記載の発明は、前記(A2)が、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシル基の一部に脂環式エポキシ(メタ)アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の反射防止フィルムを提供する。
また請求項4記載の発明は、成形用フィルムであることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の反射防止フィルムを提供する。
また請求項5記載の発明は、光透過性を有する基材フィルムに、請求項1記載のハードコート層を塗布して紫外線照射により半硬化させ、その上に請求項2又は3記載の低屈折率層を塗布して乾燥後、立体形状に成形し、その形状を保持した状態で紫外線照射により二次硬化させることを特徴とする反射防止フィルムの使用方法を提供する。
また請求項6記載の発明は、請求項1~4いずれか記載の反射防止フィルムを用いたプラスチック成形品を提供する。
本発明の反射防止フィルムは、光硬化前の伸び率が高く十分な成形性がありながら、光硬化後は低反射率で高い耐擦傷性を有し、且つ光硬化前の表面タックが安定して低いため、アフターキュア型の成形用反射防止フィルムとして有用である。
本発明の反射防止フィルムは、ハードコート(以下HCという)層を形成するためのHC樹脂組成物と、低屈折率(以下LRという)層を形成するためのLR樹脂組成物の2種類を用いて製造することができる。HC樹脂組成物は(メタ)アクリル系重合体(A1)と、重合性官能基を有する化合物(B)と、光重合開始剤(C)を含む組成物であり、LR樹脂組成物については重合性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(A2)と、光重合開始剤(C)と、中空ナノシリカ(D)と、表面調整剤(E)と、を含む組成物であることが好ましい。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
本発明のHC樹脂組成物で使用する(メタ)アクリル系重合体(A1)は、紫外線照射により半硬化させた状態での伸び率を向上させる目的で配合する。(A1)を構成するモノマーとしては、塗工性や伸び率の観点でアルキル基の炭素数が1~8であるアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、メチルメタクリレート(以下MMAという)及びブチルアクリレートを含むことが更に好ましい。
前記(A1)の重合方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば溶液重合や乳化重合、塊状重合などが挙げられる。これらの中では、ポリマーが溶液として得られる溶液重合が好ましく、具体的にはモノマーと溶媒を混合し、公知の重合開始剤や連鎖移動剤を加えて、加熱することにより重合が可能である。重合温度は70~130℃が好ましく、80~120℃が更に好ましい。
前記(A1)の重量平均分子量(以下Mw)は30,000~200,000が好ましく、50,000~150,000が更に好ましい。30,000以上とすることで充分な伸び率を確保でき、200,000以下とすることで作業性の良い粘度に調整しやすくなる。なおMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、スチレンジビニルベンゼン基材の充填剤を用いたカラムでテトラハイドロフラン溶離液を用いて、標準ポリスチレン換算の分子量を測定、算出した。
前記(A1)の配合比率は、HC樹脂組成物に含まれる固形分全量に対し40~60重量%であり、42~58重量%が好ましい。40重量%未満では半硬化時点での伸び率が十分ではなく成形性が劣る傾向があり、60重量%超では塗工外観が悪化しまた反射率も高くなる傾向がある。
本発明のLR樹脂組成物で用いる(メタ)アクリル系重合体(A2)は、バインダー樹脂成分を構成する主要成分で、重合性官能基を有する。重合性官能基は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、マレイミド基、エポキシ基等が挙げられるが、紫外線等の光照射により硬化性に優れる点で(メタ)アクリロイル基が好ましい。
前記(A2)は、溶剤乾燥後の塗膜表面をタックフリーにでき、色相変化が小さく耐熱性、耐候性に優れる点で、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシル基の一部に脂環式エポキシ(メタ)アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
前記(A2)のMwは5,000~30,000が好ましく、7,000~25,000が更に好ましい。5,000以上とすることで充分な塗膜強度を確保でき、50,000以下とすることで溶媒への溶解性が良好となり、十分な塗膜外観を確保できる。また酸価(KOHmg/g)としては20~200が好ましく、50~100が更に好ましい。20以上とすることで下地との十分な密着性を確保でき、200以下とすることでその他の重合性官能基を有する化合物(B)を併用する際の相溶性を確保できる。
前記(A2)の配合比率は、LR樹脂組成物に含まれる固形分全量に対し5~40重量%が好ましく、8~35重量%が更に好ましい。5重量%以上とすることで十分な伸び率を確保することができ、40重量%以下とすることで屈折率を十分低くすることができる。またその他の重合性官能基を有する化合物(B)を含む場合の(A2)の配合比率は、(A2)と(B)のバインダー樹脂成分合計に対し、70重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好ましい。70重量%以上とすることで十分なタックレス性が確保でき、光照射前の成形プロセスで安定した生産性を確保することができる。
HC樹脂組成物及びLR樹脂組成物において、(A1)及び(A2)以外に用いる重合性官能基を有する化合物(B)としては、オリゴマーではウレタン(メタ)アクリレート(以下ウレアクという)、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ジエン系(メタ)アクリレート等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では反応性、耐摩耗性、耐候性にバランスが取れ、(A1)及び(A2)との相溶性に優れたウレアクが好ましい。官能基数としては硬化性の点で4官能以上が好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIという)とペンタエリスリトールトリアクリレート(以下PETAという)を反応させた6官能のウレアクが挙げられる。
上記(B)としては、オリゴマー以外の成分として低分子量バインダーを用いても良い。例えば脂肪族、脂環族、ポリエーテル骨格、水酸基及びアミノ基等の官能基を有する(メタ)アクリレートや、アクリルアミド化合物を挙げることができ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。官能基数としては硬化性の点で4官能以上が好ましく、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下DPHAという)等が挙げられる。
本発明に使用される光重合開始剤(C)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
HC樹脂組成物の場合は、前記(C)は黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad2959、Omnirad127D、Omnirad184(商品名:IGM Resins社製)などが挙げられる。これらの中では、特に黄変が少なく耐擦傷性に優れるOmnirad2959が好ましい。
前記(C)のHC樹脂組成物における光重合成分100重量部に対する配合は0.1~5.0重量部であり、0.5~4.5重量部が好ましく、0.8~4.0重量部が更に好ましい。0.1重量部未満では十分に硬化しない場合があり、5.0重量部超では半硬化状態での伸び率が不十分となり成形性が劣る傾向がある。
LR樹脂組成物の場合は、前記(C)はHC樹脂組成物の場合と同様にα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、特に薄膜での硬化性に優れるOmnirad127Dが好ましい。前記(C)のLR樹脂組成物における光重合成分100重量部に対する配合は5~35重量部が好ましく、8~15重量部が更に好ましい。
本発明では、LR樹脂組成物の屈折率を低下させるため、中空ナノシリカ(D)を配合することが好ましい。(D)はLR層の塗膜強度を保持しつつ、その屈折率を下げる機能を有し、内部に屈折率1の空気を含む空洞を有するシリカ粒子である。中実シリカ粒子の屈折率が1.45程度に対し、(D)の屈折率は内部の空洞の占有率が高くなるにつれて低下し、1.20~1.40程度である。
前記(D)の一次粒子径は5~150nmが好ましく、10~100nmが更に好ましく、40~80nmが特に好ましい。この範囲とすることで、LR層の透明性を損なうことなく、良好な分散性を得られる。特に40~80nmであれば、強度不足とならない外殻の厚みを確保しつつ、空洞の占有率を上げて屈折率を下げることができる。市販品としてはスルーリア4320(商品名:日揮触媒化成社製、一次平均粒子径60nm)が挙げられる。
前記(D)のLR樹脂組成物の固形分全量に対する配合量は45~80重量%が好ましく、50~78重量%が更に好ましい。45重量%以上とすることで屈折率を十分低下させることが可能となり、80重量%以下とすることで下地ハードコート層との十分な密着性を確保できる。
本発明では、LR樹脂組成物の撥水撥油性を上げ防汚性を向上させるため、表面調整剤(E)を配合することが好ましい。例えばシリコーン系、フッ素系、アクリル系等が挙げられるが、硬化後の皮膜からブリード等により経時的に欠落することが無く効果を長期的に持続できる点で、バインダー樹脂と重合して硬化塗膜を形成できる反応性官能基を有することが好ましい。特にフッ素系化合物が、低い表面自由エネルギーにより、塗工後に塗膜表面に偏析しやすく、耐摩耗性及び防汚性を長期にわたり安定化させることができる点で好ましい。
前記(E)の固形分全量に対する配合比率は8~20重量%が好ましく、10~15重量%が更に好ましい。8重量%以上とすることで十分な撥水撥油性を確保することができ、20重量%以下とすることで十分な塗工外観を確保することができる。
本発明の組成物には、性能を損なわない範囲で必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着促進剤、ブルーイング剤、消泡剤、増粘剤、沈澱防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、有機微粒子等を添加してもよい。またHC樹脂組成物には少量のアミン、イソシアネート等の硬化成分を含んでも良い。
HC樹脂組成物及びLR樹脂組成物(以下両者を合わせて本願樹脂組成物という)を塗工する際には、塗工特性を向上させるため。トルエン、イソブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと表記)などの溶剤で希釈してもよい。希釈する場合の固形分としては1~50%が例示されるが、特に指定は無く、塗工しやすい粘度となるように適宜設定可能である。
HC樹脂組成物が塗布される基材フィルムとしては、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネート(以下PCと表記)フィルム、ポリスルフォンフィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリル(以下PMMAと表記)フィルム、ポリイミドフィルム、ABSフィルム、ポリオレフィンフィルム、PVCフィルム、PVAフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。更に自動車内装加飾用ではPMMAフィルムやPCフィルムが好ましく用いられ、またそれらの積層フィルムでも良い。フィルムの厚みは概ね25μm~500μmであればよい。
前記基材フィルムは、本願樹脂組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
本願樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。
HC樹脂組成物の膜厚は乾燥時で1μm~10μmが例示できるが、これに限定されるものではない。またHC層上に塗布するLR樹脂組成物の膜厚は乾燥時で50~200nmであることが好ましく、80~150nmであることが更に好ましい。LR層の厚さがこの範囲であれば、反射率を十分低くすることが可能となる。
本願樹脂組成物を硬化させる際に用いる紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあり、また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。また紫外線照射時にバックロールの加温や、IRヒーターなどにより塗膜を加熱することで、より硬化性を上げることができる。
照射条件としては照射強度500mW/cm~3000mW/cm、露光量50~400mJ/cmが例示されるが、これに限定されるものではない。紫外線照射の方法としては、HC層については低露光量により一旦半硬化させた後、その上にLR樹脂組成物を塗布して乾燥させ、更に立体形状に成形してから最終的に紫外線照射により二次硬化させることが好ましい。
HC層を半硬化させることにより、固形分が低いLR樹脂組成物を塗布した際に、その溶剤によるHC層中のバインダー樹脂成分の溶解を低減することができ、結果として外観の低下や反射率の上昇を抑えられるという効果が期待できる。
本明細書において半硬化とは、HC樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の一部が架橋反応し塗膜形成は完了しているが、HC層の最終的な硬化を完了させる前の状態であることを意味する。紫外線照射前後で未反応の(メタ)アクリロイル基量が変化するため、赤外線分光測定による反射ATR測定法にて、波長810cm-1付近のピーク面積(以下P810という)と、波長1720cm-1付近のピーク面積(以下P1720という)の測定を行い、その比から定義することができる。下記式(1)において硬化率が15~45%であることが好ましい。
硬化率(%)=((紫外線照射前P810/紫外線照射前P1720)-(紫外線照射後P810/紫外線照射後P1720))/(紫外線照射前P810/紫外線照射前P1720)・・・・式(1)
HC樹脂組成物を基材フィルム上に塗布して半硬化させ、LR樹脂組成物を塗布して乾燥させた段階において、雰囲気温度130℃の環境下、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行った際の伸び率が、50%以上であること好ましく、100%以上であることが更に好ましい。50%以上の伸び率であれば、アフターキュア型の成形フィルムとして十分な伸び特性を有していると言える。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行い、配合表の単位は重量部で固形分換算とする。
HC樹脂組成物配合
前記(A1)としてZ-624BA-2(商品名:アイカ工業社製、MMA及びブチルメタクリレートモノマーからなるアクリル系共重合体、Mw100,000)を、(B)としてウレタンアクリレート(PETA-HDI-PETA骨格)及びDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を、(C)としてOmnirad2959(商品名:IGM Resins社製、α-ヒドロキシアセトフェノン系)及びOmnirad184(商品名:IGM Resins社製、α―ヒドロキシアセトフェノン系)を、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、1~10のHC樹脂組成物を得た。
LR樹脂組成物配合
前記(A2)としてサイクロマーP ACA Z250(商品名:ダイセルオルネクス社製、Mw22,000、酸化70(KOHmg/g))を、(C)としてOmnirad127D(商品名:IGM Resins社製、α―ヒドロキシアセトフェノン系)を、(D)としてスルーリア4320(商品名:日揮触媒化成社製、粒子径60nm、屈折率1.3)を、(E)としてKY-1203(商品名:信越化学工業社製、反応性フッ素系化合物)を、表2記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が3%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、11~13のLR樹脂組成物を得た。
表1
Figure 2023054872000001
表2
Figure 2023054872000002
評価方法は以下の通りとした。
HCフィルムの作成
HC樹脂組成物1~10を用い、PMMA/PCフィルムC003(商品名:住友化学社製、厚み300μm)のPMMA面に乾燥膜厚で3μmとなるように塗布し、80℃で1分乾燥した。その後、高圧水銀ランプで出力300mW/cm,25mJ/cmの条件(硬化率30%)で半硬化させたHCフィルムを作成した。
反射防止フィルムの作成
上記で作成したHCフィルム上に、LR樹脂11~13を乾燥膜厚で100nmとなるように表3の組合せで塗布し、80℃で1分乾燥して紫外線による二次硬化前のフィルムを作成した。その後、高圧水銀ランプで出力100mW/cm,800mJ/cmの条件で二次硬化させ反射防止フィルムを形成した。
塗工外観:紫外線による半硬化後のHCフィルム、及び紫外線による二次硬化前の反射防止フィルムの外観を目視にて確認し、白化等が無くレベリング性も良好な場合を○、外観に異常がある場合を×とした。
タックレス性:紫外線による半硬化後のHCフィルム、及び紫外線による二次硬化前の反射防止フィルムを用い、指触にて表面タック性を確認し、タックが無い場合を○、ある場合を×とした。
伸び率:紫外線による二次硬化前の反射防止フィルムを用い、横25mm×縦50mmにカットし、ミネベア社製TechnoGraph TGI-1KNを用い、チャック間距離50mmで雰囲気温度130℃、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行い、目視で割れを確認し、伸び率が50%以上を○、100%以上を◎、50%未満を×とした。
計算式:50mmを基準として何mm伸びたかで計算。
伸びた長さ(mm)/50mm×100=伸び率(%)。
密着性:紫外線硬化後のフィルムを用い、JIS K 5600-5-6のクロスカット法に準拠し、塗工面に1mm間隔で10×10にマス目を作成し、セロハンテープCT-24(商品名:ニチバン社製)を貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認した。100/100は〇、0/100~99/100を×とした。
最小反射率:紫外線硬化後のフィルムを用い、塗工面とは反対面を紙やすりで擦り傷を付け、黒色顔料マーカーで塗りつぶし、更に黒色PETを貼り合せ反対面側の反射率を0%とする。その後HC面側を分光光度計にて300nm~780nmの範囲で1nm毎に反射率をプロットし、最低の反射率を測定し、2.0%以下を〇、2.0%超は×とした。
耐スチールウール性:紫外線硬化後のフィルムを用い、スチールウール#0000の上に100g/cm2の荷重を載せて10往復させ、目視による観察で傷が付かないものを○、傷が付くものを×とした。
評価結果
表3
Figure 2023054872000003
実施例は、塗工外観、タックレス性、伸び率、密着性、最小反射率、耐スチールウール性の全ての評価で問題はなく良好であった。
一方、(A1)の配合量が上限を超えている比較例1はLR層の塗工外観及び最小反射率が大きく、(A1)の配合量が下限以下の比較例2は伸び率が低かった。また、(A1)を含まない比較例3は伸び率が劣ると同時にHC層のタックが強く、(C)の配合量が上限を超えている比較例4は伸び率が低く、いずれも本願発明に適さないものであった。

Claims (6)

  1. 光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記ハードコート層が(メタ)アクリル系重合体(A1)と、重合性官能基を有する化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、を含み、前記(A1)の配合比率が固形分全量に対し40~60重量%であり、前記(C)の配合比率が光重合成分100重量部に対し0.1~5.0重量部であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記低屈折率層が重合性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(A2)と、光重合開始剤(C)と、平均粒子径5~100nmの中空シリカ微粒子(D)と、表面調整剤(E)と、を含むことを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
  3. 前記(A2)が、側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシル基の一部に脂環式エポキシ(メタ)アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の反射防止フィルム。
  4. 成形用フィルムであることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の反射防止フィルム。
  5. 光透過性を有する基材フィルムに、請求項1記載のハードコート層を塗布して紫外線照射により半硬化させ、その上に請求項2又は3記載の低屈折率層を塗布して乾燥後、立体形状に成形し、その形状を保持した状態で紫外線照射により二次硬化させることを特徴とする反射防止フィルムの使用方法。
  6. 請求項1~4いずれか記載の反射防止フィルムを用いたプラスチック成形品。

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