JP2006256887A - セメント用添加剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸と式(1)で表されるポリエーテル系化合物との反応物を含むセメント用添加剤。
Z−[(A1O)n−R1]m (1)
(但し、式(1)中、Zは窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物の残基、A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、0〜90モル%がオキシエチレン基、10〜100モル%が炭素数3〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上であり、オキシアルキレン基が2種以上の場合にはランダム状でもブロック状でも良く、R1は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数nは、1≦n≦70であり、mは4〜250である。)
【選択図】 なし
Description
従来、減水剤としてナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩などが用いられてきたが、これらの減水剤は、モルタルやコンクリート組成物中に使用する水の量を減らす効果はあるものの、セメント組成物の凝結遅延や、セメント組成物がホッパー、バケットおよび配管等に付着してアジテータ車から排出することができないなどの問題があり、様々な要求項目を十分に満足できるものではない。
セメント組成物の凝結遅延などの問題点を解決するために、ポリカルボン酸系の減水剤、例えばポリオキシエチレンモノアリルエーテル−マレイン酸共重合体が用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、モルタルやコンクリート組成物中に使用する水の量を減らす効果は大きいが、それでも不十分であり、スランプ保持効果も低い。またポリカルボン酸系の減水剤、すなわちポリオキシエチレンアルケニルモノアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体(例えば、特許文献2参照)や、ポリカルボン酸系の共重合体と含窒素ポリエーテル化合物との併用(例えば、特許文献3参照)は、モルタルやコンクリート組成物中に使用する水の量を減らす効果は大きくスランプ保持効果も高い。
しかし、セメント組成物中に使用する水の量を減らす効果が大きく、スランプ保持効果が高いポリカルボン酸系の減水剤を用いた場合、セメント組成物に用いる練り混ぜ水の減少に伴い、セメント組成物を施工する際の粘性が高い(作業性が悪い)という問題が生じている。ここで言う「粘性」とは、従来から作業性の指標として用いられてきたスランプ値では判別できない性能であり、この「粘性」が高いとポンプ圧送によるセメント組成物の流し込み、型枠への打設、表面仕上げ等の人手に頼る工程での作業性が指摘されている。
また、配管内への付着を防止するために、コンクリート中の粉体量や細骨材量を増加したり、練り混ぜ水量を低減したり、増粘剤を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)が、これらの手法はコンクリートのバケットやホッパーへの付着、ポンプの圧送圧力の上昇、粉体量の増大による硬化体の耐久性の低下などを生じ、十分な改善方法とはなっていない。
(1) 酸と式(1)で表されるポリエーテル系化合物(A)との反応物を含むセメント用添加剤。
Z−[(A1O)n−R1]m (1)
(但し、式(1)中、Zは窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物の残基、A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、0〜90モル%がオキシエチレン基、10〜100モル%が炭素数3〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上であり、オキシアルキレン基が2種以上の場合にはランダム状でもブロック状でも良く、R1は、水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数nは、1≦n≦70であり、mは4〜250である。)
(2) 式(1)中、A1Oの20〜90モル%がオキシエチレン基であり、10〜80モル%がオキシプロピレン基であり、R1が水素原子であることを特徴とする前記のセメント用添加剤。
(3) 酸がルイス酸であることを特徴とする前記のセメント用添加剤。
(4) 前記のセメント用添加剤1〜95重量%およびポリカルボン酸系化合物5〜99重量%とからなるセメント用添加剤。
(5) ポリカルボン酸系化合物が式(2)で示されるポリアルキレングリコールエ−テルに基づく構成単位(ア)50〜99重量%、式(3)で示されるジカルボン酸または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体である前記のセメント用添加剤。
(6) 前記のセメント用添加剤、骨材、水およびセメントを含有するセメント組成物。
ポリエーテル系化合物(A)において、式(1)中、Zが窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物の残基である。Zが窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物の残基とは、脱活性水素残基である。
窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンが挙げられる。好ましくは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、平均分子量300〜3000のポリエチレンイミンである。さらに好ましくは、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、平均分子量が400〜2000のポリエチレンイミンである。
窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物は1種または、2種以上を用いても良い。
2個以上の窒素原子を有する化合物の窒素に結合した活性水素の数が、上記の範囲を外れると、本発明の効果が低くなるので好ましくない。
式(1)中のA1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、その0〜90モル%がオキシエチレン基であり、10〜100モル%が炭素数3〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、オキシプロピレン基としては、1,2−オキシプロピレン基が好ましく、オキシブチレン基としては、1,2−オキシブチレン基が好ましい。
オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基は、それぞれブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、炭素数3〜4のオキシアルキレン基が2種以上の場合、ブロック状に付加していても、ランダム状に付加していても良い。
オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基が、ブロック状に付加している場合、オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基付加の順序は、どちらが先でも良く、また繰り返しても良い。
具体的には、以下に挙げる方法で製造することができる。
1)酸とポリエーテル系化合物(A)を反応させる場合
アルキレンオキシドの付加反応において、触媒を使用しても良く、場合によっては触媒を使用しなくても良い。アルキレンオキシドの付加反応の触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物などのほかに、ナトリウム、カリウム、ナトリウムハイドライド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどのアルカリ金属化合物や、トリエチルアミンなどのアルキルアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンを用いることができる。また、上記のアルカリ触媒の他に、三フッ化ホウ素や四塩化錫などの酸触媒を用いても良い。
アルキレンオキシドの付加反応は、例えばアルゴン、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、50〜200℃、0.02〜1.0MPaで原料の窒素原子を有する化合物に対し、必要に応じて触媒の存在下、アルキレンオキシドを連続して加圧添加して製造することができる。
上記の方法で製造したポリエーテル末端の水酸基は、例えば、水酸化ナトリウム等の存在下、ハロゲン化炭化水素を反応させるなどの公知の方法でアルキルエーテル化することもできる。
ポリエーテル系化合物(A)と反応させる酸の割合は、ポリエーテル系化合物(A)のN原子1モルに対して、通常は0.3〜2.0モルである。1価の酸においては、好ましくは0.7〜2.0モル、さらに好ましくは、0.9〜1.2モルである。2価以上の酸においては、好ましくは0.3〜1.2モル、さらに好ましくは、0.4〜0.6モルである。この上記の範囲を外れると、本目的である粘性低減効果、および付着低減効果が低くなるので好ましくない。
酸とポリエーテル系化合物(A)との反応温度は、0〜130℃が好ましく、室温〜100℃で行うのがさらに好ましい。
酸の主成分と窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させる。酸の窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2つ以上の窒素原子を有する化合物と反応させる酸の割合は、窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2つ以上の窒素原子を有する化合物のN原子1モルに対して、通常は0.3〜2.0モルである。1価の酸においては、好ましくは0.7〜2.0モル、さらに好ましくは、0.9〜1.2モルである。2価以上の酸においては、好ましくは0.3〜1.2モル、さらに好ましくは、0.4〜0.6モルである。
また、酸と窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物との反応温度は、0〜130℃が好ましく、室温〜100℃で行うと良い結果が得られるのでさらに好ましい。
続いて、ポリエーテル系化合物(A)の原料である窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物に付加させるアルキレンオキシドは1)の方法と同様に、触媒を使用しても良く、場合によっては触媒を使用しなくても良い。アルキレンオキシドの付加反応の触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物などのほかに、ナトリウム、カリウム、ナトリウムハイドライド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどのアルカリ金属化合物や、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類を用いることができる。また、上記のアルカリ触媒の他に、三フッ化ホウ素や四塩化錫などの酸触媒を用いても良い。
アルキレンオキシドの付加反応は、例えばアルゴン、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、50〜200℃、0.02〜1.0MPaで原料の窒素原子を有する化合物に対し、必要に応じて触媒の存在下、アルキレンオキシドを連続して加圧添加して製造することができる。
上記の方法で製造したポリエーテル末端の水酸基は、例えば、水酸化ナトリウムの存在下、ハロゲン化炭化水素を反応させるなどの公知の方法でアルキルエーテル化することもできる。
上記で得られた化合物は、公知の方法で精製してもよい。
a)式(2)で示されるポリアルキレングリコールエーテルに基づく構成単位(ア)50〜99重量%と、式(3)で示されるジカルボン酸または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体。
その中でもより好ましくは、以下の共重合体である。
式(2)で示されるポリアルキレングリコールエーテルに基づく構成単位(ア)80〜99重量%と、式(3)で示されるジカルボン酸または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜20重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜10重量%を有する共重合体。
b)式(5)で示されるポリアルキレングリコールエステルに基づく構成単位(エ)50〜99重量%と式(6)で示されるモノカルボン酸に基づく構成単位(オ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体。
その中でもより好ましくは、以下の共重合体である。
式(5)で示されるポリアルキレングリコールエステルに基づく構成単位(エ)80〜99重量%と式(6)で示されるモノカルボン酸に基づく構成単位(オ)1〜20重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜10重量%を有する共重合体。
式(3)のXは−OM2または−Y−(AO)rR7〔式(4)〕である。Yはエーテル基またはイミノ基であり、エーテル基は−O−を表し、イミノ基は−NH−を表す。
式(2)、式(4)および式(5)のR6、R7およびR9は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基であり、炭素数1〜22の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ドコシル基、フェニル基、ベンジル基、クレジル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ナフチル基等がある。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基など炭素数1〜4の炭化水素基である。
R5は炭素数1〜4のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基があり、プロピレン基としては、1,2−プロピレン基が好適であり、ブチレン基としては、1,2−ブチレン基、2,3−ブチレン基が好適である。R5の炭素数が4を超えると製造が困難なため好ましくない。
式(2)において好ましくは、R5がメチレン基であり、さらに好ましくはR2、R4が水素原子であり、かつR5がメチレン基の場合である。
式(2)、式(4)および式(5)において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられ、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプロピレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基である。
pは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の付加モル数であり、1〜150であり、好ましくは10〜100である。
式(4)において、rは1〜150であり、好ましくは1〜100である。
式(5)において、sは1〜150であり、好ましくは1〜100である。
アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムが挙げられる。
有機アンモニウムとしては、有機アミン由来のアンモニウムであり、有機アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミンが挙げられ、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンである。
また、本発明のセメント用添加剤に用いるポリカルボン酸系化合物は、公知の方法により、重合開始剤を用いて重合することにより得ることができる。重合の方法については、塊状重合でも溶液重合でも良い。溶液重合で水を溶剤として用いる場合は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、過酸化水素、水溶性のアゾ系開始剤を用いることができ、その際に亜硫酸水素ナトリウム、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、次亜リン酸ナトリウムなどの促進剤を併用することもできる。また、溶液重合でメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、n−ヘキサン、2−エチルヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤を用いた重合の場合や塊状重合の際には、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレートなどの有機過酸化物やアゾイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物を用いることができる。また、その際にはチオグリコール酸、メルカプトエタノールなどの連鎖移動剤を用いることもできる。
その使用方法は、使用する水に予め溶解させて使用することができ、また注水と同時に添加して使用することができ、また注水から練り上がりまでの間に添加して使用することができ、また一旦練り上がったセメント組成物に後から添加して使用することもできる。
本発明のセメント用添加剤は、その効果を損なわない程度で、必要に応じて他の添加剤と併用することが可能である。他の添加剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩、芳香族アミノスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩など他の減水剤、空気連行剤、消泡剤、分離低減剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、膨張剤、乾燥収縮低減剤、防錆剤などを挙げることができる。
セメント組成物に使用するセメント用添加剤は、セメント組成物中で、セメントなどの粉体に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜3重量%であり、0.01重量%未満では効果が得られないので好ましくなく、10重量%を超えて使用しても効果の向上はみられない。
また、セメント組成物の水の比率は、セメントに対して15〜300重量%である。本発明のセメント組成物は、必要に応じて他の添加剤と併用することが可能である。他の添加剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩、芳香族アミノスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩など他の減水剤、空気連行剤、消泡剤、分離低減剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、膨張剤、乾燥収縮低減剤、防錆剤などを挙げることができる。
合成例1(反応物(a)の合成)
攪拌機、圧力計、安全弁、破裂弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却コイル、蒸気ジャケットを装備したステンレス製(SUS316L)の耐圧反応装置に、トリエチレンテトラミン146gと水酸化ナトリウム3.2gを仕込み、系内の空気を窒素ガスで置換した。攪拌下、80℃まで昇温後、80〜120℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件下でプロピレンオキシド696gをガス吹き込み管より窒素ガスにより加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa以下で0.5時間処理を行った。続いて、撹拌下、80℃まで昇温後、80〜100℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件下でエチレンオキシド528gをガス吹き込み管より窒素ガスにより加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa以下で0.5時間処理を行い、5リットルビーカーに取り出した後、硝酸277g(ポリエーテル系化合物(A)中のN原子1モルに対して1.1モル)を加え約1時間攪拌し、表1に示した反応物(a)を得た。
合成例1と同様にして、表1に示した反応物(b)を得た。(ポリエーテル系化合物(A)と酸との反応割合は、合成例1と同じである。)
合成例3(反応物(c)の合成)
合成例1で用いたものと同様の装置に、エチレンジアミン61gを仕込み、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、80℃まで昇温後、80〜120℃でエチレンオキシド88g、プロピレンオキシド116gを混合したものを、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で窒素ガスにより加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa以下で0.5時間処理を行った。温度を60℃まで下げ、水酸化ナトリウムを6.4g仕込み、系内の空気を窒素ガスで置換した。その後、80℃まで昇温後、80〜120℃でエチレンオキシド616g、プロピレンオキシド812gを混合したものを、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で窒素ガスにより加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。温度を65℃まで下げたあと、メチルクロライドガス101g(ポリエーテル系化合物(A)中のN原子1モルに対して1.0モル)を圧入した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させ、表1に示した反応物(c)を得た。
合成例3と同様にして、表1に示した反応物(d)を得た。(ポリエーテル系化合物(A)と酸との反応割合は、合成例3と同じである。)
合成例5(反応物(e)の合成)
合成例1で用いたものと同様の装置に、ポリエチレンイミン(和光純薬株式会社製、平均分子量1800)45gと水酸化ナトリウム4.6gを仕込み、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、80℃まで昇温後、80〜120℃でエチレンオキシド249gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で窒素ガスにより加圧添加した。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa以下で0.5時間処理を行った。続いて、撹拌下、80℃まで昇温後、80〜100℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件下でプロピレンオキシド1311gをガス吹き込み管より窒素ガスにより加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。温度を65℃まで下げたあと、メチルクロライドガス80g(ポリエーテル系化合物(A)中のN原子1モルに対して1.5モル)を圧入した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させ、表1に示した反応物(e)を得た。
合成例6(反応物(f)の合成)
合成例1で用いたものと同様の装置に、ポリエチレンイミン(和光純薬株式会社製、平均分子量1800)45gと水酸化ナトリウム4.6gを仕込み、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、80℃まで昇温後、80〜120℃でエチレンオキシド249gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で窒素ガスにより加圧添加した。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa以下で0.5時間処理を行った。続いて、撹拌下、80℃まで昇温後、80〜100℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件下でプロピレンオキシド1311gをガス吹き込み管より窒素ガスにより加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa以下で0.5時間処理を行い、5リットルビーカーに取り出した後、酢酸63g(ポリエーテル系化合物(A)中のN原子1モルに対して1.0モル)を加え約1時間攪拌し、表1に示した反応物(f)を得た。
合成例1で用いたものと同様の装置に、ポリエチレンイミン(和光純薬工業株式会社、平均分子量600)120gと水酸化ナトリウム2.4gを仕込み、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、80℃まで昇温後、80〜120℃でエチレンオキシド1047gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で窒素ガスにより加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させた。窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa以下で0.5時間処理を行い、表1に示した反応物(g)を得た。
合成例7と同様にして、表1に示した反応物(h)を得た。
合成例9(ポリカルボン酸系化合物(イ)の合成)
温度計、攪拌機、冷却管および窒素導入管を装着した3リットル四つ口フラスコに、ポリオキシエチレン(平均付加モル数25)アリルメチルエーテル762g、無水マレイン酸73gおよびイオン交換水1,070gを秤取り、窒素ガス雰囲気下、60〜65℃に加温し、均一に溶解させた。続いて、過硫酸アンモニウム12gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を、60〜65℃で6時間かけて滴下した。滴下終了後さらに3時間撹拌反応させ、ポリカルボン酸系化合物(イ)を含む水溶液を得た。水溶液10gを120±2℃に調整した恒温槽で2時間放置後の重量変化により求めた水溶液の有効成分は40.1%であり、GPC(ポリエチレングリコールを標準体として換算)により求めた重量平均分子量23,800であった。
温度計、攪拌機、冷却管および窒素導入管を装着した3リットル四つ口フラスコに、ポリオキシエチレン(平均付加モル数33)アリルメチルエーテル767g、無水マレイン酸54g、酢酸ビニル6.5gおよびトルエン150gを秤取り、開始剤として過酸化ベンゾイル4.7gをトルエン47gに溶解させて滴下して、80〜85℃で8時間反応させた。続いて80〜90℃の範囲で、窒素ガスを吹き込みながら27kPa以下の減圧下でトルエンを除去した。反応物を60℃まで冷却後、イオン交換水1236gを加え、ポリカルボン酸系化合物(ロ)を含む水溶液を得た。水溶液10gを120±2℃に調整した恒温槽で2時間放置後の重量変化により求めた水溶液の有効成分は40.1%であり、GPC(ポリエチレングリコールを標準体として換算)により求めた重量平均分子量は19,900であった。
2リットルビーカーに合成例1で合成した反応物(c)20g、合成例9で合成したポリカルボン酸系化合物(イ)を含む水溶液180g、およびイオン交換水260gを秤取り、30分撹拌、混合し添加剤(1)の20%水溶液を得た。
配合例2〜9
配合例1と同様にして、表2の組成にしたがって配合を行い、20%水溶液を得た。
配合例1で得られたセメント用添加剤組成物の溶液に、さらに市販の消泡剤(ディスホームCC−118 日本油脂(株)製)を1%水溶液にしたものを添加した。JISR5201記載のモルタルミキサにセメント[普通ポルトランドセメント]750g、細骨材[君津産山砂(比重2.4)]1500gをミキサーに秤取り、低速回転で30秒間空練りを行ったのち、前記セメント用添加剤の溶液を15g、1%水溶液にした消泡剤を2.7g添加した水道水337.5gを加えて低速回転で60秒で練り混ぜた後、高速回転で60秒間練り混ぜ、その後、5分間静置しモルタル組成物を調整した。調整したモルタルは、フロー試験およびJ14ロート試験を行った。尚、モルタル調整および各試験は20±5℃に調整した試験室で行った。
「フロー試験」
15秒間に15回の落下運動は与えない以外はJISR5201に準拠してフロー試験を行った。
「J14ロート試験」
モルタルを、土木学会基準に準拠した上部内径70mm、下部内径14mm、高さ420mmで内容積640mlの真鍮製の漏斗(以下J14ロートと呼ぶ)に充填し、上面をペーストナイフで均一にならした。下部の栓をはずし、下部よりモルタル組成物を落下させ始めてから、1000g落下するまでの時間をJ14ロート落下時間とし、すべて流出した後J14ロートの重量を測定し、付着したモルタルの重量を算出し、J14ロート残重量とした。結果は表3に示す。
実施例2〜6
配合例2〜6で得られたセメント用添加剤の溶液を使用し、実施例1と同様の方法で、表3の添加量によりモルタル試験を行った。得られた結果を表3に示す。
比較例1〜3
配合例7〜9で得られたセメント用添加剤の溶液を使用し、実施例1と同様の方法で、表3の添加量によりモルタル試験を行った。得られた結果を表3に示す。
本発明のセメント用添加剤はセメントペースト、セメントグラウト、モルタル、コンクリート等の水硬性セメント組成物に対して用いることができ、特にセメント分散剤として高性能減水剤や高性能AE減水剤を使用して製造されるコンクリートの練り混ぜ時に添加すると、粘性を低減させ、バケット内に付着分も少なく、建設現場における作業性及び施工性を高めることができる。
Claims (6)
- 酸と式(1)で表されるポリエーテル系化合物との反応物を含むセメント用添加剤。
Z−[(A1O)n−R1]m (1)
(但し、式(1)中、Zは窒素原子に結合した活性水素を4〜250個持つ2個以上の窒素原子を有する化合物の残基、A1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、0〜90モル%がオキシエチレン基、10〜100モル%が炭素数3〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上であり、オキシアルキレン基が2種以上の場合にはランダム状でもブロック状でも良く、R1は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数nは、1≦n≦70であり、mは4〜250である。) - 式(1)中、A1Oの20〜90モル%がオキシエチレン基、10〜80モル%がオキシプロピレン基であり、R1が水素原子であることを特徴とする請求項1記載のセメント用添加剤。
- 酸がルイス酸であることを特徴とする請求項1記載のセメント用添加剤。
- 請求項1〜3記載のセメント用添加剤1〜95重量%およびポリカルボン酸系化合物5〜99重量%とからなるセメント用添加剤。
- ポリカルボン酸系化合物が式(2)で示されるポリアルキレングリコールエ−テルに基づく構成単位(ア)50〜99重量%、式(3)で示されるジカルボン酸または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体である請求項4記載のセメント用添加剤。
- 請求項1〜5記載のセメント用添加剤、骨材、水およびセメントを含有するセメント組成物。
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