JP2004137130A - セメント用添加剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式〔1〕で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体5〜50重量%およびポリカルボン酸系化合物95〜50重量%からなるセメント用添加剤組成物。
【化1】
(ただし、式中、Xは窒素原子またはNH2−(R2(A4O)kNH)j−Hで表される活性水素を(3+j)個持つポリアミン誘導体のアミンの残基、A1O、A2O、A3OおよびA4Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R1およびR2は炭素数2〜4の2価のアルキレン基、j=1〜8、k=1〜10、l=1〜10、m=0〜50、n=0〜50、m+n≧1、a=2〜10である。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体とポリカルボン酸系化合物を含有するセメント用添加剤組成物、該セメント用添加剤を含有する水硬性材料組成物またはセメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築物に対して耐震性、高層化などが求められる中で、高強度コンクリートの要求が高まり、コンクリート組成物中の水の使用量を少なくする必要性が出てきた。従来、コンクリート、モルタルなどに使用する水を減らす目的で、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩などが減水剤として用いられているが、これら減水剤は、モルタルやコンクリート組成物中に使用する水の量を減らす効果はあるものの満足できるものではなく、凝結時間が遅くなるという問題があった。近年、これらの問題点を解決するために、ポリカルボン酸系の減水剤、すなわちポリオキシエチレンモノアリルエーテル−マレイン酸共重合体が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、モルタルやコンクリート組成物中に使用する水の量を減らす効果は大きいが、それでも不十分であり、スランプ保持効果も低い。またポリカルボン酸系の減水剤、すなわちポリオキシエチレンモノアルケニルモノアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体(例えば、特許文献2参照。)や、ポリカルボン酸系の減水剤と含窒素ポリオキシアルキレン化合物との混合物(例えば、特許文献3参照。)は、モルタルやコンクリート組成物中に使用する水の量を減らす効果は大きく、スランプ保持効果も高い。
しかし、セメント組成物中に使用する水の量を減らす効果が大きく、スランプ保持効果が高いポリカルボン酸系の減水剤でも、近年、セメント組成物を施工する際の粘性が高いという問題が生じている。ここで言う「粘性」とは一般的にコンクリート組成物あるいはモルタル組成物の評価であるスランプ値では判別できない性能であり、この「粘性」が高いとポンプ圧送によるセメント組成物の流し込み、その後人手による作業でセメント組成物を扱うにあたり、作業性が悪いことが指摘されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開昭57−118058号公報(第1頁〜第8頁)
【特許文献2】
特開昭63−285140号公報(第1頁〜第5頁)
【特許文献3】
特開平7−232945号公報(第1頁〜第8頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、製造したコンクリート等の粘性を低下させ、作業性に優れたセメント用添加剤組成物、該セメント用添加剤を含有する水硬性材料組成物またはセメント組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、以下に示すものである。
(1)式〔1〕で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体5〜50重量%およびポリカルボン酸系化合物95〜50重量%からなるセメント用添加剤組成物。
【0006】
【化6】
【0007】
(ただし、式中、Xは窒素原子またはNH2−(R2(A4O)kNH)j−Hで表される活性水素を(3+j)個持つポリアミン誘導体のアミンの残基、A1O、A2O、A3OおよびA4Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R1およびR2は炭素数2〜4の2価のアルキレン基、j=1〜8、k=1〜10、l=1〜10、m=0〜50、n=0〜50、m+n≧1、a=2〜10である。)
(2)ポリカルボン酸系化合物が式〔2〕で示されるポリアルキレングリコールエ−テルに基づく構成単位(ア)50〜99重量%、式〔3〕で示されるジカルボン酸系化合物または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体である前記(1)記載のセメント用添加剤組成物。
【0008】
【化7】
【0009】
(ただし、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R7は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基、q=0〜2の整数を表し、p=1〜150である。)
【0010】
【化8】
【0011】
(ただし、Vは−M2または−W−(AO)rR8を表し、M1およびM2はそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Wは−O−または−NH−を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R8は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基、r=1〜150である。)
(3)ポリカルボン酸系化合物が式〔4〕で示されるポリアルキレングリコールエステルに基づく構成単位(エ)50〜99重量%、式〔5〕で示されるモノカルボン酸系化合物に基づく構成単位(オ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体である前記(1)記載のセメント用添加剤組成物。
【0012】
【化9】
【0013】
(ただし、R9は水素原子またはメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、R10は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基を表し、S=1〜150である。)
【0014】
【化10】
【0015】
(ただし、R11は水素原子またはメチル基を表し、M3は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表す。)
(4)前記(1)、(2)または(3)記載のセメント用添加剤組成物、水および水硬性材料からなる水硬性材料組成物。
(5)前記(1)、(2)または(3)記載のセメント用添加剤組成物、水およびセメントからなるセメント組成物。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる含窒素ポリオキシアルキレン誘導体は式〔1〕で示される化合物である。Xは窒素原子またはNH2−(R2(A4O)kNH)j−Hで表される活性水素を(3+j)個持つポリアミン誘導体のアミンの残基である。
窒素原子またはNH2−(R2(A4O)kNH)j−Hで表わされる活性水素を(3+j)個持つポリアミン誘導体のアミンの残基の活性水素の1つに式〔1〕で示される−(A1O)l−R1−N−〔(A2O)m−H〕2基が結合し、残りの活性水素に−〔(A3O)n−H〕a基が結合したものである。
【0017】
式〔1〕のA1O、A2O、A3OおよびA4Oで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあり、これらは1種または2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良い。オキシプロピレン基としては、1,2−オキシプロピレン基が好適であり、オキシブチレン基としては、1,2−オキシブチレン基、2,3−オキシブチレン基が好適である。
式〔1〕のA1O、A2O、A3OおよびA4Oで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、親水性、親油性のバランスを考慮にいれることが好ましく、式〔1〕の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体中に存在する炭素数2〜4のオキシアルキレン基のモル比が、オキシエチレン基:オキシプロピレン基あるいはオキシブチレン基=20〜70:30〜80となることが好ましい。オキシブチレン基を含む場合には、オキシエチレン基が50モル%以上であることが好ましい。
式〔1〕のA1OおよびA4Oで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基のモル比が上記を満たしていることに加えて、オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基が70モル%以上が好ましく、オキシエチレン基が100モル%がより好ましい。また、式〔1〕のA2OおよびA3Oで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基のモル比が上記を満たしていることに加えて、オキシプロピレン基および/またはオキシブチレン基が50モル%以上が好ましく、オキシプロピレン基および/またはオキシブチレン基が70モル%以上がより好ましい。
オキシアルキレン基の炭素数が4を超えると、有機アミンヘの付加が困難となるため好ましくない。
【0018】
式〔1〕のR1およびR2で示される炭素数2〜4の2価アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基が挙げられ、ブチレン基としては、1,2−ブチレン基、2,3−ブチレン基が好適である。R1で示される炭素数2〜4のアルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基が好ましい。R2で示される炭素数2〜4の2価のアルキレン基としてはエチレン基が好ましい。R1およびR2の炭素数が4を超えると製造が困難となり、また親水性が十分でなくなるため好ましくない。
ポリアミン誘導体におけるjは、1〜8であり、好ましくは1〜5である。jが8を超えると製造が困難になるため好ましくない。
ポリアミン誘導体におけるA4Oの平均付加モル数kは、1〜10であり、好ましくは1〜5である。kが10を超えると製造が困難になるため好ましくない。1より小さいとセメント組成物の粘性を低減させる効果が低下するので好ましくない。
【0019】
式〔1〕におけるA2OおよびA3Oの平均付加モル数mおよびnは、0〜50であり、好ましくは0〜30、より好ましくは0〜5である。これらの値が50を超えると高粘度のため製造が困難となり好ましくない。式〔1〕におけるaの値は、a=2〜10であり、これはXの活性水素の個数と相関し、必ずしも整数とは限らない。
A2OおよびA3Oの平均付加モル数mおよびnの和であるm+nは1以上であり、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜10である。1より小さいとセメント組成物の粘性を低減させる効果が低下するので好ましくない。
式〔1〕におけるA1Oの平均付加モル数lは、1〜10であり、好ましくは1〜5である。これらの値が10を超えると製造が困難となり好ましくない。1より小さいとセメント組成物の粘性を低減させる効果が低下するので好ましくない。
【0020】
式〔1〕で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体の分子量は、100〜10,000であり、好ましくは100〜2,000、より好ましくは100〜1,000である。
【0021】
本発明に用いるポリカルボン酸系化合物としては、マレイン酸−スチレンスルホン酸塩の共重合物またはその塩、無水マレイン酸−スチレン共重合物、その加水分解物またはその塩、無水マレイン酸−オレフィン共重合物、その加水分解物またはその塩、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合物またはその塩、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アリルエーテル−マレイン酸共重合物またはその塩、ポリオキシアルキレンモノアルキルモノ(メタ)アリルエーテル−無水マレイン酸共重合物、その加水分解物またはその塩等が挙げられる。
【0022】
ポリカルボン酸系化合物の中でも、式〔2〕で示されるポリアルキレングリコールエ−テルに基づく構成単位(ア)50〜99重量%、式〔3〕で示されるジカルボン酸系化合物または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体を用いることが好ましく、式〔2〕で示されるポリアルキレングリコールエ−テルに基づく構成単位(ア)85〜99重量%、式〔3〕で示されるジカルボン酸系化合物または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜15重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜10重量%を有する共重合体を用いることがさらに好ましい。
また、式〔4〕で示されるポリアルキレングリコールエステルに基づく構成単位(エ)50〜99重量%、式〔5〕で示されるモノカルボン酸系化合物に基づく構成単位(オ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体を用いることが好ましく、式〔4〕で示されるポリアルキレングリコールエステルに基づく構成単位(エ)70〜99重量%、式〔5〕で示されるモノカルボン酸系化合物に基づく構成単位(オ)1〜30重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜20重量%を有する共重合体を用いることがより好ましい。
【0023】
式〔2〕、式〔4〕および式〔5〕において、R4、R5、R6、R9、およびR11はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。
式〔2〕、式〔3〕および式〔4〕において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられ、好ましくはオキシエチレン基またはオキシプロピレン基が100モル%であり、より好ましくはオキシエチレン基が100モル%である。
【0024】
qはメチレン基の数であり、0〜2の整数であり、好ましくは1である。qの値が2を超えると製造が困難になるため好ましくない。
pはAOで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基の付加モル数であり、1〜150であり、好ましくは10〜100、より好ましくは20〜70である。pの値が150を超えると得られる化合物が高粘度になるため製造が困難になるので好ましくない。
【0025】
式〔3〕および式〔5〕のM1、M2およびM3は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムである。
アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
有機アンモニウムとしては、以下に示すアミン由来のアンモニウムである。アミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等などのアルキルアミンが挙げられ、好ましくはモノエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンである。
Vは−M2または−W−(AO)rR8である。Wは−O−または−NH−である。rはAOで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基の付加モル数であり、1〜150であり、好ましくは5〜100、より好ましくは5〜30である。rの値が150を超えると得られる化合物が高粘度になるため製造が困難になるので好ましくない。
【0026】
式〔2〕、式〔3〕および式〔4〕において、R7、R8およびR10は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基であり、炭素数1〜22の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ドコシル基、フェニル基、ベンジル基、クレジル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜4の炭化水素基である。R7、R8およびR10で示される炭化水素基の炭素数が22を超えると、式〔1〕で示される化合物の親水性が十分でなくなるので好ましくない。
式〔4〕において、AOの平均付加モル数sは1〜150であり、好ましくは1〜100である。sの値が150を超えると得られる化合物が高粘度になるため製造が困難になるので好ましくない。
【0027】
ポリカルボン酸系化合物は、共重合可能な他の単量体に基づく構成単位を有していても良い。共重合可能な単量体としては、スチレン、酢酸ビニル、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
【0028】
本発明のセメント用添加剤組成物に用いるポリカルボン酸系化合物の重量平均分子量は、500〜100,000であり、好ましくは5,000〜30,000である。重量平均分子量が100,000を超える化合物はセメント用添加剤組成物としての分散性が低下してしまい、また高粘度のため製造が困難になるので好ましくない。
【0029】
また、本発明のセメント用添加剤組成物に用いるポリカルボン酸系化合物は、公知の方法により、重合開始剤を用いて重合することにより得ることができる。重合の方法については、塊状重合でも溶液重合でも良い。溶液重合で水を溶剤として用いる場合は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、過酸化水素、水溶性のアゾ系開始剤を用いることができ、その際に亜硫酸水素ナトリウム、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、次亜リン酸ナトリウムなどの促進剤を併用することもできる。
【0030】
また、溶液重合でメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、n−ヘキサン、2−エチルヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤を用いた重合の場合や塊状重合の際には、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物やアゾイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物などを用いることができる。また、その際にはチオグリコール酸、メルカプトエタノールなどの連鎖移動剤を用いることもできる。
【0031】
本発明のセメント用添加剤の式〔1〕で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体とポリカルボン酸系化合物の組成割合は、含窒素ポリオキシアルキレン化合物5〜50重量%とポリカルボン酸系化合物95〜50重量%であり、好ましくは含窒素ポリオキシアルキレン化合物5〜30重量%とポリカルボン酸系化合物70〜95重量%であり、より好ましくは含窒素ポリオキシアルキレン化合物5〜15重量%とポリカルボン酸系化合物85〜95重量%である。ポリカルボン酸系化合物に対して含窒素ポリオキシアルキレン化合物が5重量%以下であると、硬化前のセメント組成物の粘性を低減させる効果が向上しないため、本来必要とするセメント組成物の粘性を低減させる効果を得るために多量の添加が必要となり、過剰添加による材料分離や水硬性材料の硬化遅延等が起こるため好ましくない。ポリカルボン酸系化合物に対して含窒素ポリオキシアルキレン化合物が50重量%以上であると、コンクリート組成物中の水の使用量を減らす効果が低下するため好ましくない。
【0032】
本発明のセメント用添加剤は、そのままの形態で用いることもできるが、必要に応じて水で希釈して用いることも可能である。
本発明のセメント用添加剤の式〔1〕で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体とポリカルボン酸系化合物はその組成物を製造する段階で、一部または全部が反応していてもよいが、これらが反応せず、それぞれ単一の成分として溶液中に存在していることが好ましい。
【0033】
本発明の水硬性材料組成物には、少なくとも、水、水硬性材料および本発明のセメント用添加剤を含むが、砂、砂利などの骨材、粘土や他の増量材などを配合することもできる。水硬性材料としては、普通、早強、中庸熟、ビーライト等のポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、シリカフューム、石灰石等の鉱物系粉体を配合した混合セメント、石膏等が挙げられる。水硬性材料組成物に使用するセメント用添加剤は、水硬性材料組成物中で、水硬性材料の重量に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%であり、0.01重量%以下では効果が得られないので好ましくなく、5重量%を超えて使用しても効果の向上はみられない。
水硬性材料組成物の水の比率は、水硬性材料に対して15〜300重量%である。
また、本発明のセメント組成物には、少なくとも、水、セメントおよび本発明のセメント用添加剤を含むが、砂、砂利などの骨材、粘土や他の増量材などを配合することもできる。セメントとしては、前述した普通、早強、中庸熱、ビーライト等のポルトランドセメントが挙げられる。
本発明のセメント用添加剤はセメント組成物中でセメントに対して0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%であり、0.01重量%以下では効果が得られないので好ましくなく、5重量%を超えて使用しても効果の向上はみられない。
セメント組成物の水の比率は、セメントに対して15〜300重量%である。その使用方法は、モルタルやコンクリートに使用する水に予め溶解させて使用することができ、また注水と同時に添加して使用することができ、また注水から練り上がりまでの間に添加して使用することができ、また一旦練り上がった水硬性材料組成物およびセメント組成物に後から添加して使用することもできる。
【0034】
本発明のセメント用添加剤は、その効果を損なわない程度で、必要に応じて他のセメント用添加剤と併用することが可能である。他のセメント用添加剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩、芳香族アミノスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩など他の減水剤、空気連行剤、消泡剤、分離低減剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、膨張剤、乾燥収縮低減剤、防錆剤などを挙げることができる。
【0035】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明する。なお、式〔1〕で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体の構造式、分子量を表1に、式〔2〕および式〔4〕で示される化合物の構造式、式〔3〕および式〔5〕で示される化合物の構造式、その共重合組成および重量平均分子量を表2に示す。また、実施例に用いた式〔1〕で示される含窒素ポリオキシアルキレン誘導体とポリカルボン酸系化合物の重量%を表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
[注1]表中、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基を表す。
[注2][/]は、ランダム状付加を表す。
[注3]アミン価の測定方法:試料をビーカーに正しくはかり取り、これに中性エタノール(エチルアルコール(99.5V/V%)を使用直前にブロムクレゾールグリーン指示薬を用いてN/2塩酸標準液で中和したもの。)を加えて溶解させる。つぎに、ブロムクレゾールグリーン指示薬を数滴加え、N/2塩酸標準液で滴定し、液の緑色が黄色に変わったときを終点とした。アミン価は下記の式より算出した。
アミン価=(28.05×F×A)/W
ただし、A:N/2塩酸標準液使用量、F:N/2塩酸標準液のファクター、
W:試料採取量(g)
【0038】
【表2】
【0039】
[注1][/]は、ランダム状付加を表す。
[注2]化合物の(モル)は全てモル比を表す。
[注3]表中、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。
【0040】
【表3】
【0041】
合成例1
5リットル加圧反応器にジェファーミンXTJ−512(ハンツマンコーポレーション社製)1820g(4モル)をとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、90〜110℃でプロピレンオキシド1276g(22モル)を0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行い、表1に示した式〔1〕の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体を得た。得られた含窒素ポリオキシアルキレン誘導体のアミン価は253.7KOHmg/gであり、アミン価から求められる分子量は774であった。
合成例2
合成例1と同様に、5リットル加圧反応器にジェファーミンD−230(ハンツマンコーポレーション社製)920g(4モル)をとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、90〜110℃でエチレンオキシド704g(16モル)を0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行い、50℃まで冷却した。さらに、水酸化カリウム17gを加え、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、90〜110℃でプロピレンオキシド1856g(32モル)を0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行い、表1に示した式〔1〕の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体を得た。得られた含窒素ポリオキシアルキレン誘導体のアミン価は129.0KOHmg/gであり、アミン価から求められる分子量は870であった。
合成例3〜7
合成例1および2と同様に、5リットル加圧反応器にジェファーミンXTJ−512(合成例3、5、6)、ジェファーミンD−400(ハンツマンコーポレーション社製、合成例4)、ジェファーミンHK−511(同社製、合成例7)をそれぞれ秤取り、アルキレンオキシドの付加反応を行い、表1に示した式〔1〕の含窒素ポリオキシアルキレン誘導体を得た。それぞれ得られた含窒素ポリオキシアルキレン誘導体のアミン価を測定し、分子量を算出した。
【0042】
合成例8
5リットル加圧反応器にメタノール64gと触媒としてナトリウムメトキシド2.0gをとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、100〜120℃でエチレンオキシド2904gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行った。反応終了後50℃まで冷却した。次に水酸化カリウム112gを加え、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、80℃で撹拌しながらアリルクロリド153gを徐々に加えた。6時間撹拌したあと反応をやめ、塩酸で中和し副生した塩を除いて表2に示した式〔2〕のポリオキシアルキレン化合物を得た。
続いて、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3リットルフラスコに、上記で合成した式〔2〕の化合物1,524g(1モル)、無水マレイン酸107.8g(1.1モル)、およびトルエン300gを秤取った。窒素ガス雰囲気下、重合開始剤(以下開始剤と称す)として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル13.1gをトルエン262gに溶解させたものを、85±2℃のフラスコ中に3時間で滴下した。滴下終了後、さらに85±2℃で3時間反応させた。減圧下にてトルエンを留去させ、共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は20,200、動粘度は100℃で224mm2/sであった。
合成例9
合成例8と同様の方法で、表2に示したポリオキシアルキレン化合物を合成し、続いて合成例8と同様の反応容器にそのポリオキシアルキレン化合物2052g(1モル)、無水マレイン酸98g(1モル)およびトルエン300gを秤取り、窒素ガス雰囲気下、開始剤として過酸化ベンゾイル12.1gをトルエン300gに溶解させたものを滴下して、合成例8と同様の温度、時間で共重合させ、共重合体のトルエン溶液を得た。同フラスコにポリオキシエチレン(n=10)アリルエーテル481g(1モル)、ナトリウムメトキシド4.8gを加え、100±2℃で4時間反応させ、トルエンを留去させた。共重合体の重量平均分子量は27,400、動粘度は100℃で343mm2/sであった。
合成例10
5リットル加圧反応器にアリルアルコール116gと触媒として水酸化ナトリウム3.0gをとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、100〜120℃でエチレンオキシド2640gおよびプロピレンオキシド228gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行った。反応終了後50℃まで冷却した。塩酸で中和し副生した塩を除いて表2に示した式〔2〕のポリオキシアルキレン化合物を得た。
続いて、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3リットルフラスコに、上記で合成した式〔2〕の化合物1,492g(1モル)、無水マレイン酸147g(1.5モル)、およびイオン交換水410gを秤取った。窒素ガス雰囲気下、重合開始剤として過硫酸アンモニウム5.8gをイオン交換水164gに溶解させたものを、85±2℃のフラスコ中に3時間で滴下した。滴下終了後、さらに85±2℃で3時間反応させた。得られた共重合体の重量平均分子量は15,600であった。共重合体の水溶液を得た後、40%NaOH水溶液150gを加え中和し、共重合体の60%水溶液を得た。
【0043】
合成例11
5リットル加圧反応器にメタノール32gと触媒としてナトリウムメトキシド1.0gをとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、100〜120℃でエチレンオキシド2992gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行った。反応終了後50℃まで冷却した。次に水酸化カリウム56gを加え、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、80℃で撹拌しながらメタリルクロリド90.5gを徐々に加えた。6時間撹拌したあと反応をやめ、塩酸で中和し副生した塩を除いて表2に示した式〔2〕のポリオキシアルキレン化合物を得た。
続いて、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3リットルフラスコに、上記で合成した式〔2〕の化合物1539g(0.5モル)、無水マレイン酸68.6g(0.7モル)、およびトルエン300gを秤取った。窒素ガス雰囲気下、開始剤としてtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート5.4gをトルエン200gに溶解させたものを、85±2℃のフラスコ中に3時間で滴下した。滴下終了後、さらに85±2℃で3時間反応させた。減圧下にてトルエンを留去させ、共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は25,800、動粘度は100℃で728mm2/sであった。
合成例12
合成例8と同様の方法で、表2に示したポリオキシアルキレン化合物1,524g(1.0モル)、無水マレイン酸127.4g(1.3モル)、酢酸ビニル25.8g(0.3モル)およびトルエン300gを秤取り、開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル13.1gをトルエン262gに溶解させて滴下して共重合させ、トルエンを留去させ、目的とする共重合体を得た。共重合体の重量平均分子量は23,400、動粘度は100℃で550mm2/sであった。
【0044】
合成例13
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えた5Lフラスコにイオン交換水1698部を仕込み、撹拌下で反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)1668部、メタクリル酸332部、イオン交換水500部、および連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸16.7部を混合したモノマー水溶液を反応容器内に4時間かけて滴下し、さらに、該モノマー水溶液滴下開始と同時に、過硫酸アンモニウム23部とイオン交換水207部とからなる開始剤水溶液を5時間かけて反応容器内に滴下した。開始剤水溶液の滴下終了後、引き続き反応容器内を1時間80℃に維持し、重合反応を完結させた。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、重量平均分子量27000の共重合体水溶液を得た。
合成例14
合成例13と同様の反応容器にイオン交換水847.7部を仕込み、撹拌下で反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次いで、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数75)275.6部、メタクリル酸24.4部、イオン交換水200部、および連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.3部を混合したモノマー水溶液を反応容器内に4時間かけて滴下し、さらに、該モノマー水溶液滴下開始と同時に、過硫酸アンモニウム3.4部とイオン交換水146.6部とからなる開始剤水溶液を5時間かけて反応容器内に滴下した。開始剤水溶液の滴下終了後、引き続き反応容器内を80℃で1時間維持し、重合反応を完結させた。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、重量平均分子量38,000の共重合体水溶液を得た。
【0045】
配合例1
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を装着した2リットルフラスコに合成例1で合成した含窒素ポリオキシアルキレン誘導体63g、および合成例8で合成した共重合体837g、イオン交換水600gを秤取り、30分撹拌、混合し、60%水溶液を得た。
配合例2〜7
配合例1と同様にして、表3の化合物、重量%にしたがって配合を行い、配合例2〜5は60%水溶液を、配合例6、7は40%水溶液を得た。
【0046】
実施例1
配合例1で得られたセメント添加剤組成物の溶液をイオン交換水で希釈して、20重量%水溶液に調整し、さらに適宜消泡剤(ディスホームCC−118 、日本油脂(株)製)を添加した。モルタルの調整は、室温20℃の試験室において、5Lモルタルミキサーを用い、セメント[普通ポルトランドセメント]600g、細骨材[君津産山砂(比重2.55)]1380gをミキサーにとり30秒空練りを行ったのち、前記セメント添加剤組成物を5.4g添加した水道水240gを加えて低速回転で60秒、その後高速回転で2分間練り混ぜた。添加量は、直後のモルタルスランプが10.5±0.5cmになるように調整した。練り上がり直後、30分後、60分後のモルタルスランプ、モルタルスランプフローの測定を行った。なお練り上がり直後の空気量は9.0±1.5%、また温度は20±2℃であることを確認した。得られた結果を表4−1に示す。
粘性の評価は、モルタルスランプを測定する際、モルタルスランプが同じでも粘性の差異によってモルタルスランプフローの値が変化するという現象をもとに行った。すなわち「モルタルスランプが同じでフローが大きくなる=粘性が低く取り扱いやすい」という現象を利用し、スランプフローの(長径/2)×(短径/2)×円周率で求められるフロー面積をスランプ値で除した値で表した。この値は粘性が低いものほど大きくなる。スランプフローの(長径/2)×(短径/2)×円周率で求められるフロー面積をスランプ値で除した値を表4−2に示す。粘性をモルタルで評価するには、本試験方法は非常に有効である。
【0047】
【表4】
【0048】
〔注1〕20%水溶液での添加量。
〔注2〕スランプフローは、スランプフローの長径と短径の平均値で示した。
【0049】
【表5】
【0050】
実施例2〜7
配合例2〜7で得られたセメント添加剤組成物の溶液を使用し、実施例1と同様の方法で、表4−1の添加量によりモルタル試験を行った。得られた結果を表4−1および表4−2に示す。
【0051】
比較例1、2
合成例10、13で得られた共重合体の溶液を使用し、実施例1と同様の方法で、表4−1の添加量によりモルタル試験を行った。得られた結果を表4−1および4−2に示す。
比較例3
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を装着した2リットルフラスコに、H2NCH(CH3)CH2(PO)3NH2(ジェファーミンD−230)63g、および合成例8で合成した共重合体837g、イオン交換水600gを秤取り、30分撹拌、混合し、60%水溶液を得たあと、実施例1と同様の方法で、表4−1の添加量によりモルタル試験を行った。得られた結果を表4−1および4−2に示す。
比較例4
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を装着した2リットルフラスコにジエチレントリアミンの全ての活性水素にプロピレンオキシドを8モルずつ付加させた化合物を90g(プロピレンオキシド総付加モル数40モル)、および合成例11で合成した共重合体810g、イオン交換水600gを秤取り、30分撹拌、混合し、60%水溶液を得たあと、実施例1と同様の方法で、表4−1の添加量によりモルタル試験を行った。得られた結果を表4−1および4−2に示す。
【0052】
これらの結果より、実施例1〜7に用いた本発明のセメント添加剤組成物は、比較例1〜4に用いたセメント添加剤組成物に比べて低い粘性を有し、作業性に優れることがわかる。比較例1、2は含窒素ポリオキシアルキレン誘導体を加えず、ポリカルボン酸系重合体のみで試験をし、表4−1では減水性、スランプ保持性が良好であることがわかるが、表4−2の粘性の評価では本発明が低粘性であることがわかる。また、比較例3、4は本発明の範囲ではない含窒素ポリオキシアルキレン誘導体を加えて試験を行い、表4−2の粘性の評価では何も加えないときよりは粘性が低くなっているが、本発明と比較すると、本発明のセメント用添加剤はさらに粘性が低くなっており、非常に優れていることがわかる。
【0053】
本発明のセメント添加剤組成物はセメントペースト、セメントグラウト、モルタル、コンクリート等の水硬性セメント組成物に対して用いることができるが、特にセメント分散剤として高性能減水剤や高性能AE減水剤を使用して製造されるコンクリートの練り混ぜ時に添加すると、高流動性を維持しながら、そのスランプロスを防止し、建設現場における作業性及び施工性を高めることができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明のセメント添加剤組成物は、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどの流動性を高めることができ、高い減水性を有し、スランプ保持効果も高く、かつ得られたコンクリートの粘性が低く、作業性に優れることから、レディーミックストコンクリート用の減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤として、あるいはコンクリート二次製品製造用の高性能減水剤として有効に使用することができ、土木建築関係の工事における作業性、施工性などの改善をもたらす。
Claims (5)
- ポリカルボン酸系化合物が式〔2〕で示されるポリアルキレングリコールエ−テルに基づく構成単位(ア)50〜99重量%、式〔3〕で示されるジカルボン酸系化合物または無水マレイン酸に基づく構成単位(イ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体である請求項1記載のセメント用添加剤組成物。
- ポリカルボン酸系化合物が式〔4〕で示されるポリアルキレングリコールエステルに基づく構成単位(エ)50〜99重量%、式〔5〕で示されるモノカルボン酸系化合物に基づく構成単位(オ)1〜50重量%および共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)0〜30重量%を有する共重合体である請求項1記載のセメント用添加剤組成物。
- 請求項1、請求項2または請求項3記載のセメント用添加剤組成物、水および水硬性材料からなる水硬性材料組成物。
- 請求項1、請求項2または請求項3記載のセメント用添加剤組成物、水およびセメントからなるセメント組成物。
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