本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。
本明細書でいう「塩」としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、有機アミン塩などが挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。有機アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩などが挙げられる。有機アミン塩としては、例えば、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
≪1.再生骨材含有セメント組成物用添加剤≫
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、一般式(I)で表される構造単位と一般式(II)で表される構造単位とを有する共重合体(A)を含む。一般式(I)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(II)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中の共重合体(A)の含有割合は、好ましくは1質量%~100質量%であり、より好ましくは10質量%~100質量%であり、さらに好ましくは30質量%~100質量%であり、特に好ましくは50質量%~100質量%である。本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中の共重合体(A)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中の共重合体(A)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0001質量%~10質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%~1質量%である。本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中の共重合体(A)の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
<1-1.共重合体(A)>
共重合体(A)中の一般式(I)で表される構造単位の含有割合は、好ましくは5モル%~60モル%であり、より好ましくは7モル%~55モル%であり、さらに好ましくは9モル%~50モル%であり、特に好ましくは11モル%~45モル%である。共重合体(A)中の一般式(I)で表される構造単位の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
共重合体(A)中の一般式(II)で表される構造単位の含有割合は、好ましくは40モル%~95モル%であり、より好ましくは45モル%~93モル%であり、さらに好ましくは50モル%~91モル%であり、特に好ましくは55モル%~89モル%である。共重合体(A)中の一般式(II)で表される構造単位の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
一般式(I)で表される構造単位は、一般式(1)で表される単量体由来の構造単位である。より具体的には、一般式(I)で表される構造単位は、一般式(1)で表される単量体を含む単量体組成物を重合して得られる共重合体(A)中の、一般式(1)で表される単量体由来の構造単位である。
一般式(II)で表される構造単位は、一般式(2)で表される単量体由来の構造単位である。より具体的には、一般式(II)で表される構造単位は、一般式(2)で表される単量体を含む単量体組成物を重合して得られる共重合体(A)中の、一般式(2)で表される単量体由来の構造単位である。
一般式(I)および一般式(1)中、R1、R2、およびR3は、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(I)および一般式(1)中、R4は、水素原子または炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。炭素原子数1~30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~30のアルキル基(脂肪族アルキル基や脂環式アルキル基など)、炭素原子数1~30のアルケニル基、炭素原子数1~30のアルキニル基、炭素原子数6~30の芳香族基などが挙げられる。本発明の効果を一層発現させ得る点で、R4は、好ましくは、水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であり、より好ましくは、水素原子または炭素原子数1~12の炭化水素基であり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数1~6の炭化水素基であり、特に好ましくは、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基である。
一般式(I)および一般式(1)中、A1Oは、炭素原子数2~18の直鎖または分岐のオキシアルキレン基を表し、好ましくは炭素原子数2~8の直鎖または分岐のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数2~4の直鎖または分岐のオキシアルキレン基である。A1Oが、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等の中から選ばれる任意の2種類以上の場合は、A1Oの付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基が必須成分として含まれることが好ましく、オキシアルキレン基全体の50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、オキシアルキレン基全体の90モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましく、オキシアルキレン基全体の100モル%がオキシエチレン基であることが特に好ましい。
一般式(I)および一般式(1)中、mは、A1Oで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数(「鎖長」と称することがある)を表し、mは3~500の整数であり、好ましくは3~200の数であり、より好ましくは5~200の数であり、さらに好ましくは8~100の数であり、特に好ましくは20~70の数であり、最も好ましくは40~60の数である。mが上記範囲内にあることにより、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
一般式(I)および一般式(1)中、xは0~2の整数である。
一般式(I)および一般式(1)中、yは0または1である。一つの好ましい実施形態としては、yが0である。yが0であることにより、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
一般式(II)および一般式(2)中、R5、R6、およびR7は、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表す。本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、R5およびR6が水素原子であり、R7が水素原子またはメチル基である。
一般式(II)および一般式(2)中、R8は、水素原子または炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。炭素原子数1~18の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~18のアルキル基(脂肪族アルキル基や脂環式アルキル基など)、炭素原子数1~18のアルケニル基、炭素原子数1~18のアルキニル基、炭素原子数6~18の芳香族基などが挙げられる。本発明の効果を一層発現させ得る点で、R8は、好ましくは、水素原子または炭素原子数1~12の炭化水素基であり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数1~6の炭化水素基であり、特に好ましくは、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子である。
一般式(II)および一般式(2)中、A2Oは、炭素原子数2~18の直鎖または分岐のオキシアルキレン基を表し、好ましくは炭素原子数2~8の直鎖または分岐のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数2~4の直鎖または分岐のオキシアルキレン基であり、特に好ましくは炭素原子数2~3の直鎖または分岐のオキシアルキレン基である。A2Oが、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等の中から選ばれる任意の2種類以上の場合は、A2Oの付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。本発明の効果を一層発現させ得る点で、A2Oは、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
一般式(II)および一般式(2)中、nは、A2Oで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数(「鎖長」と称することがある)を表し、nは0~2の整数であり、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは0~1の数であり、より好ましくは1である。なお、nが0のとき、R8は水素原子ではない。
一般式(II)および一般式(2)中、特に好ましい態様としては、A2Oがオキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、nが1であり、R8が水素原子である。
一般式(1)で表される単量体、すなわち、重合によって一般式(I)で表される構造単位を与える単量体としては、例えば、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体、不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体などが挙げられる。
不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、例えば、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オール、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルのいずれかにアルキレンオキシドを平均3~500モル付加した化合物が挙げられる。ここにいうアルキレンオキシドは、付加によって一般式(I)および一般式(1)中のA1Oを与える化合物である。
不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、3-メチル-3-ブテン-1-オールにアルキレンオキシドを平均3~500モル付加した化合物、メタリルアルコールにアルキレンオキシドを平均3~500モル付加した化合物である。
不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、例えば、炭素数1~20の飽和脂肪族アルコールに、炭素数2~18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコールと、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数3~20の不飽和脂肪族アルコールに、炭素数2~18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコールと、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;シクロヘキサノールなどの炭素数3~20の脂環式アルコールに、炭素数2~18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコールと、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;炭素数6~20の芳香族アルコールに、炭素数2~18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコールと、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;などが挙げられる。
不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、炭素数1~20の飽和脂肪族アルコールに、炭素数2~18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコールと、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物である。
不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
一般式(2)で表される単量体、すなわち、重合によって一般式(II)で表される構造単位を与える単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
一般式(2)で表される単量体としては、好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは、ヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシプロピルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
一般式(2)で表される単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
共重合体(A)は、上述の通り、一般式(I)で表される構造単位と一般式(II)で表される構造単位とを有し、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の構造単位を有していても良い。その他の構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
共重合体(A)中のその他の構造単位の含有割合は、好ましくは0モル%~30モル%であり、より好ましくは0モル%~20モル%であり、さらに好ましくは0モル%~10モル%であり、特に好ましくは0モル%~5モル%である。
その他の構造単位を与えるその他の単量体(すなわち、その他の構造単位は、その他の単量体を含む単量体組成物を重合して得られる共重合体(A)中の、その他の単量体由来の構造単位)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体の無水物またはこれらの塩;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのハーフエステル類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのハーフアミド類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとのジエステル類;マレアミド酸と炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2-メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸(塩)類;メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのアミド類;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族類;1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;(メタ)アクリル(アルキル)アミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類;などが挙げられる。
その他の構造単位を与えるその他の単量体(すなわち、その他の構造単位は、その他の単量体を含む単量体組成物を重合して得られる共重合体(A)中の、その他の単量体由来の構造単位)としては、好ましくは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体またはこれらの塩;であり、より好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸である。
共重合体(A)中の各種構造単位の含有割合は、例えば、共重合体(A)の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、共重合体(A)を製造する際に用いる各種単量体の使用量に基づいて算出される該各種単量体由来の構造単位の含有割合をもって、共重合体(A)中の各種構造単位の含有割合としても良い。すなわち、共重合体(A)を製造する際に用いる単量体組成物(全単量体成分とも称することがある)中の各種単量体の質量の含有割合を、共重合体(A)中の各種構造単位の含有割合として扱ってよい。なお、共重合体(A)の構造単位の含有比率を求める場合には、構造単位がカルボキシル基の塩を有する場合には、カルボキシル基の酸部分を全てナトリウム塩に換算して計算を行う。
共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算による重量平均分子量(Mw)として、好ましくは5000~500000であり、より好ましくは6000~100000であり、さらに好ましくは7000~80000であり、特に好ましくは8000~60000である。共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内に収まることより、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
共重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。共重合体(A)は、好ましくは、一般式(1)で表される単量体および一般式(2)で表される単量体を含む単量体組成物の重合を重合開始剤の存在下で行って製造し得る。
共重合体(A)の製造に用い得る各種単量体の使用量は、共重合体(A)を構成する全構造単位中の各種構造単位の割合が前述したものとなるように、適宜調整すればよい。好ましくは、重合反応が定量的に進行するとして、前述した共重合体(A)を構成する全構造単位中の各種構造単位の含有割合と同じ割合で、各単量体を用いればよい。
単量体組成物の重合は、任意の適切な方法で行い得る。例えば、溶液重合、塊状重合が挙げられる。溶液重合の方式としては、例えば、回分式、連続式が挙げられる。溶液重合で使用し得る溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物;などが挙げられる。
単量体組成物の重合を行う場合は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、好ましくは、水溶性の重合開始剤が挙げられる。水溶性の重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2′-アゾビス-2-メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2′-アゾビス-2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2-カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物、等の水溶性アゾ系開始剤;などを採用し得る。これらの重合開始剤は、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L-アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)などの促進剤と併用することもできる。これらの併用形態の中でも、過酸化水素とL-アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。これらの重合開始剤や促進剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物、ケトン化合物、またはこれらの中の2種以上の組み合わせを溶媒とする溶液重合を行う場合、または、塊状重合を行う場合には、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド化合物;t-ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;などを用いることが好ましい。このような重合開始剤を用いる場合、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水-低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々の重合開始剤または重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
単量体組成物の重合の際の反応温度としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により、任意の適切な反応温度を採用し得る。このような反応温度としては、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上であり、また、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
単量体組成物の反応容器への投入方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法を採用し得る。このような投入方法としては、例えば、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法等が挙げられる。さらに、反応途中で各単量体の反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えて、各単量体の単位時間あたりの投入質量比を連続的又は段階的に変化させることにより、構造単位(I)と構造単位(II)との比率が異なる2種以上の共重合体を重合反応中に同時に合成するようにしてもよい。なお、重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
単量体組成物の重合の際には、好ましくは、連鎖移動剤を用い得る。連鎖移動剤を用いると、得られる共重合体の分子量調整が容易となる。連鎖移動剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な連鎖移動剤を採用し得る。このような連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロパノール等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物およびその塩;などが挙げられる。
製造された共重合体(A)は、そのままで用いることもできるが、取り扱い性の観点から、製造後の反応溶液のpHを5以上に調整しておくことが好ましい。この場合、重合率向上のため、pH5未満で重合を行い、重合後にpHを5以上に調整することが好ましい。pHの調整は、例えば、1価金属または2価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン;などのアルカリ性物質を用いて行うことができる。
製造された共重合体(A)は、製造によって得られた溶液に対して、必要に応じて、濃度調整を行うこともできる。
製造された共重合体(A)は、溶液の形態でそのまま使用してもよいし、あるいは、カルシウム、マグネシウム等の2価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用してもよい。
<1-2.アルカノールアミン化合物(B)>
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、アルカノールアミン化合物(B)を含んでいてもよい。
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合は、好ましくは0質量%~99質量%であり、より好ましくは0質量%~90質量%であり、さらに好ましくは0質量%~70質量%であり、特に好ましくは0質量%~50質量%である。本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤がアルカノールアミン化合物(B)を含むとき、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%~1質量%である。本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整すれば、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
アルカノールアミン化合物(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカノールアミン化合物(B)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアルカノールアミン化合物を採用し得る。このようなアルカノールアミン化合物(B)としては、例えば、低分子型のアルカノールアミン化合物、高分子型のアルカノールアミン化合物などが挙げられる。
低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2-ヒドロキシブチル)アミンなどが挙げられる。これらの中でも、低分子型のアルカノールアミン化合物としては、好ましくは、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジイソプロパノールエタノールアミンが挙げられる。他の低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するモノマーなども挙げられる。
高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、アルカノールアミンの一部がポリマーと結合している構造のアルカノールアミンが挙げられる。このような高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するポリマーが挙げられる。
<1-3.その他の成分>
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なその他の成分を採用し得る。このようなその他の成分としては、例えば、セメント分散剤、AE剤、消泡剤、界面活性剤、凝結・硬化遅延剤、凝結・硬化促進剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、粘着剤、接着剤、セメント湿潤剤、膨張材、収縮・ひび割れ低減剤、着色剤、防水剤、防錆剤、防腐剤、防かび剤などが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤中のその他の成分の含有割合は、好ましくは0質量%~30質量%であり、より好ましくは0質量%~20質量%であり、さらに好ましくは0質量%~10質量%であり、特に好ましくは0質量%~5質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
≪2.再生骨材含有セメント組成物用混和剤≫
共重合体(A)に分散剤(C)を組み合わせることにより、再生骨材含有セメント組成物用混和剤とすることができる。再生骨材含有セメント組成物用混和剤は、共重合体(A)を含むので、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性を向上させ得る。共重合体(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。分散剤(C)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
<2-1.再生骨材含有セメント用混和剤の概要>
再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の共重合体(A)と分散剤(C)との合計量の含有割合は、好ましくは1質量%~100質量%であり、より好ましくは10質量%~100質量%であり、さらに好ましくは30質量%~100質量%であり、特に好ましくは50質量%~100質量%である。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の共重合体(A)と分散剤(C)との合計量の含有割合を上記範囲内に調整することによって、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより向上させ得る。
再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の共重合体(A)の含有割合は、好ましくは0.5質量%~99.5質量%であり、より好ましくは1質量%~99質量%であり、さらに好ましくは5質量%~95質量%であり、特に好ましくは10質量%~90質量%である。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の共重合体(A)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の共重合体(A)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0001質量%~10質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%~1質量%である。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の共重合体(A)の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
再生骨材含有セメント組成物用混和剤は、アルカノールアミン化合物(B)を含んでいてもよい。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合は、好ましくは0質量%~99質量%であり、より好ましくは0質量%~90質量%であり、さらに好ましくは0質量%~70質量%であり、特に好ましくは0質量%~50質量%である。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合が上記範囲内にあれば、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
再生骨材含有セメント組成物用混和剤がアルカノールアミン化合物(B)を含むとき、再生骨材含有セメント組成物用混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%~1質量%である。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の分散剤(C)の含有割合は、好ましくは0.5質量%~99.5質量%であり、より好ましくは1質量%~99質量%であり、さらに好ましくは5質量%~95質量%であり、特に好ましくは10質量%~90質量%である。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の分散剤(C)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の分散剤(C)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0005質量%~5質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.005質量%~1質量%である。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中の分散剤(C)の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
再生骨材含有セメント組成物用混和剤は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。再生骨材含有セメント組成物用混和剤中のその他の成分の含有割合は、好ましくは0質量%~30質量%であり、より好ましくは0質量%~20質量%であり、さらに好ましくは0質量%~10質量%であり、特に好ましくは0質量%~5質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
共重合体(A)、アルカノールアミン(B)、その他の成分のそれぞれの具体的な説明については、≪1.再生骨材含有セメント組成物用添加剤≫の項における説明を援用し得る。
<2-2.分散剤(C)>
分散剤(C)としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な分散剤を採用し得る。代表的には、例えば、下記の分散剤(C-1)、分散剤(C-2)、分散剤(C-3)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
分散剤(C-1)は、一般式(I)で表される構造単位と一般式(III)で表される構造単位とを有するポリカルボン酸系共重合体である。一般式(I)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、分散剤(C-1)が有する一般式(I)で表される構造単位は、共重合体(A)が有する一般式(I)で表される構造単位と同一であっても異なっていてもよい。一般式(III)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、分散剤(C-1)は、共重合体(A)とは異なる。
一般式(I)で表される構造単位は、前述したように一般式(1)で表される単量体由来の構造単位である。
一般式(III)で表される構造単位は、一般式(3)で表される単量体由来の構造単位である。より具体的には、一般式(III)で表される構造単位は、一般式(3)で表される単量体を含む単量体組成物を重合して得られる共ポリカルボン酸系共重合体中の、一般式(3)で表される単量体由来の構造単位である。
一般式(3)および一般式(III)中、R9~R11は、同一または異なって、水素原子、メチル基、または-(CH2)zCOOM基を表す。-(CH2)zCOOM基は-COOX基または他の-(CH2)zCOOM基と無水物を形成していても良い。zは0~2の整数である。
Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。
Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。
一般式(3)で表される不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体の無水物またはこれらの塩;などが挙げられる。
一般式(3)で表される不飽和カルボン酸系単量体としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸であり、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。
一般式(3)で表される不飽和カルボン酸系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
分散剤(C-1)中の一般式(I)で表される構造単位の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは30質量%~99質量%であり、より好ましくは40質量%~98質量%であり、さらに好ましくは50質量%~97質量%であり、特に好ましくは60質量%~96質量%であり、最も好ましくは70質量%~95質量%である。
分散剤(C-1)中の一般式(III)で表される構造単位の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは1質量%~70質量%であり、より好ましくは2質量%~60質量%であり、さらに好ましくは3質量%~50質量%であり、特に好ましくは4質量%~40質量%であり、最も好ましくは5質量%~30質量%である。
分散剤(C-1)中の一般式(I)で表される構造単位と一般式(III)で表される構造単位の合計の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは70質量%~100質量%であり、より好ましくは80質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90質量%~100質量%であり、特に好ましくは95質量%~100質量%である。
分散剤(C-1)中には、一般式(I)で表される構造単位と一般式(III)で表される構造単位以外に、他の単量体由来の構造単位(IV)を含んでいてもよい。他の単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
他の単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのエステル類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の各種(アルコキシ)(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのハーフエステル類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのハーフアミド類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを平均1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを平均1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとのジエステル類;マレアミド酸と炭素原子数2~18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2-メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸(塩)類;メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのアミド類;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族類;1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;(メタ)アクリル(アルキル)アミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類;などが挙げられる。
分散剤(C-1)中の他の単量体由来の構造単位(IV)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0質量%~30質量%であり、より好ましくは0質量%~20質量%であり、さらに好ましくは0質量%~10質量%であり、特に好ましくは0質量%~5質量%である。
分散剤(C-1)中の各種構造単位の含有割合は、例えば、分散剤(C-1)の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、分散剤(C-1)を製造する際に用いる各種単量体の使用量に基づいて算出される該各種単量体由来の構造単位の含有割合をもって、分散剤(C-1)中の各種構造単位の含有割合としても良い。すなわち、分散剤(C-1)を製造する際に用いる単量体組成物(全単量体成分とも称することがある)中の各種単量体の質量の含有割合を、分散剤(C-1)中の各種構造単位の含有割合として扱ってよい。なお、分散剤(C-1)中の構造単位の含有比率を求める場合には、構造単位がカルボキシル基の塩を有する場合には、カルボキシル基の酸部分を全てナトリウム塩に換算して計算を行う。
分散剤(C-1)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算による重量平均分子量(Mw)として、好ましくは5000以上であり、より好ましくは5000~1000000であり、さらに好ましくは6000~600000であり、特に好ましくは7000~200000である。分散剤(C-1)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内に収まることより、再生骨材を含むセメント組成物から形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性をより一層向上させ得る。
分散剤(C-1)は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、≪1.再生骨材含有セメント組成物用添加剤≫の項における共重合体(A)の製造方法に関する説明を援用し得る。
分散剤(C-2)は、スルホン酸系分散剤である。分散剤(C-2)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
スルホン酸系分散剤は、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発によりセメントに対する分散性を発現する分散剤であって、任意の適切なスルホン酸系分散剤を用いることができ、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。スルホン酸系分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の、芳香族アミノスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;ポリスチレンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体および不飽和スルホン酸系単量体を含む単量体から得られる重合体またはその塩;などが挙げられる。
分散剤(C-3)は、リン酸系分散剤である。分散剤(C-3)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
リン酸系分散剤としては、分子中にリン酸基を有する任意の適切なリン酸系分散剤を用いることができ、例えば、特開2006-52381号公報に記載のリン酸系分散剤、特表2008-517080号公報に記載のリン酸系分散剤などが挙げられる。
≪3.セメント組成物およびその製造方法≫
本発明のセメント組成物は、一般式(I)で表される構造単位と一般式(II)で表される構造単位とを有する共重合体(A)と、再生骨材と、セメントと、を含む。共重合体(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。再生骨材は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。セメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。本発明のセメント組成物は、このような構成を有することにより、優れた凍結融解抵抗性を発現するコンクリートを与え得る。
共重合体(A)の具体的な説明については、≪1.再生骨材含有セメント組成物用添加剤≫の項における説明を援用し得る。
再生骨材としては、任意の適切な再生骨材を採用し得る。このような再生骨材としては、例えば、砂利や砕石の含有量が多い再生粗骨材、砂の含有量が多い再生細骨材、ペースト部分が主体の再生骨材微粉末などが挙げられる。
再生骨材は、通常、精製処理の程度によって、再生骨材L、再生骨材M、再生骨材Hの順に、精製の度合いが高くてグレードの高いものとなる。本発明においては、グレードの高い再生骨材Hだけでなく、再生骨材Hよりもグレードの低い再生骨材Lや再生骨材Mを用いても、本発明の効果を十分に発現し得る。
再生骨材には、骨材として、砕石、川砂利などの粗骨材;砂、川砂などの細骨材;タイルなどの陶磁器;レンガ屑、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材;など、任意の適切な他の骨材(再生骨材以外の骨材)を併用してもよい。
再生骨材には、任意の適切な混和材を併用してもよい。混和材としては、例えば、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、膨張剤などが挙げられる。
セメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。このようなセメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩、およびそれぞれの低アルカリ型)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。
本発明のセメント組成物は、構成成分を任意の適切な方法で配合して調整すればよい。例えば、構成成分をミキサー中で混練する方法などが挙げられる。
本発明のセメント組成物は、共重合体(A)、再生骨材、セメント、および必要によりその他の成分が独立して配合されて調製されたものであってもよいし、共重合体(A)を含む本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤、再生骨材、セメント、および必要によりその他の成分が配合されて調製されたものであってもよいし、共重合体(A)を含む再生骨材含有セメント組成物用混和剤、再生骨材、セメント、および必要によりその他の成分が配合されて調製されたものであってもよい。すなわち、本発明のセメント組成物は、最終的に、共重合体(A)、再生骨材、セメント、および必要によりその他の成分が配合された状態になるような方法であれば、どのような方法によって調製したものであってもよい。代表的には、本発明のセメント組成物の製造方法は、一般式(I)で表される構造単位と一般式(II)で表される構造単位とを有する共重合体(A)を、再生骨材とセメントに配合する。
本発明のセメント組成物中の共重合体(A)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0001質量%~10質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%~1質量%である。本発明のセメント組成物中の共重合体(A)の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、より優れた凍結融解抵抗性を発現するコンクリートを与え得る。
本発明のセメント組成物は、アルカノールアミン化合物(B)を含んでいてもよい。本発明のセメント組成物中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%~1質量%である。本発明のセメント組成物がアルカノールアミン化合物(B)を上記範囲内で含有すれば、より優れた凍結融解抵抗性を発現するコンクリートを与え得る。
本発明のセメント組成物は、分散剤(C)を含んでいてもよい。本発明のセメント組成物中の分散剤(C)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.0005質量%~5質量%であり、より好ましくは0.001質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.005質量%~1質量%である。本発明のセメント組成物が分散剤(C)を上記範囲内で含有すれば、より優れた凍結融解抵抗性を発現するコンクリートを与え得る。
本発明のセメント組成物は、≪1.再生骨材含有セメント組成物用添加剤≫の項で説明したその他の成分、≪2.再生骨材含有セメント組成物用混和剤≫の項で説明した分散剤(C)を含んでいてもよい。これらを含む場合の含有量は、≪1.再生骨材含有セメント組成物用添加剤≫の項および≪2.再生骨材含有セメント組成物用混和剤≫の項における説明から導かれる含有量を援用し得る。
本発明のセメント組成物においては、その1m3あたりの単位水量、セメント使用量、および水/セメント比としては任意の適切な値を設定し得る。このような値としては、好ましくは、単位水量が100kg/m3~250kg/m3であり、使用セメント量が200kg/m3~800kg/m3であり、水/セメント比(質量比)=0.1~0.7であり、より好ましくは、単位水量が120kg/m3~185kg/m3であり、使用セメント量が250kg/m3~800kg/m3であり、水/セメント比(質量比)=0.12~0.65である。このように、本発明のセメント組成物は、貧配合~富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m3以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
本発明のセメント組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。このようなその他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなその他の成分としては、例えば、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、早強剤・促進剤、AE剤、消泡剤、ひび割れ低減剤、界面活性剤、防水材、防錆剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤などが挙げられる。
水溶性高分子物質としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β-1.3グルカン類等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類;ポリアクリルアミド;が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の重合物が挙げられる。
早強剤・促進剤としては、例えば、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;が挙げられる。
AE剤としては、例えば、樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α-オレフィンスルホネートが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、オキシアルキレン系消泡剤、鉱油系消泡剤、油脂系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、アルコール系消泡剤、アミド系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、シリコーン系消泡剤が挙げられる。オキシアルキレン系消泡剤としては、例えば、ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;が挙げられる。
ひび割れ低減剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、各種アニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤;が挙げられる。
防水剤としては、例えば、脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックスが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛が挙げられる。
膨張材としては、例えば、エトリンガイト系膨張材、石炭系膨張材が挙げられる。
その他の成分の種類、組み合わせ、配合量等は目的に応じて適切に設定され得る。
本発明のセメント組成物中におけるその他の成分の含有割合は、固形分割合として、好ましくは0質量%~50質量%であり、より好ましくは0質量%~10質量%であり、さらに好ましくは0質量%~1質量%であり、特に好ましくは0質量%~0.1質量%である。
本発明のセメント組成物は、例えば、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり得る。
本発明のセメント組成物は、例えば、中流動コンクリート(スランプ値が22~25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50~70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効であり得る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、部とある場合は質量部を意味し、%とある場合は質量%を意味する。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)の測定は下記条件のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて行った。
装置:Alliance HPLCシステム(Waters製)
解析ソフト:Empower2プロフェッショナル+GPCオプション(いずれもWaters製)
カラム:TSKgel guardcolumnSWXL(内径6.0mm×40mm)+TSKgel G4000SWXL(内径7.8mm×300mm)+TSKgel G3000SWXL(内径7.8mm×300mm)+TSKgel G2000SWXL(内径7.8mm×300mm)(いずれも東ソー製)
検出器:示差屈折率(RI)検出器(Waters社製、Waters2414)
溶離液:イオン交換水10999gとアセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解させ、更に酢酸でpH6.0に調整した溶液。
流量:1mL/分
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(試料濃度0.5質量%の溶離液溶液)
較正曲線:標準物質として東ソー製ポリエチレングリコール(Mp=255000、200000、107000、72750、44900、31140、21300、11840、6450、4020、1470)を使用し、Mp値と溶出時間を基礎に3次式で作成。
<単量体残存量の測定>
反応原料として用いた各単量体の残存量の測定は、下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。
装置:Alliance HPLCシステム(Waters製)
解析ソフト:Empower2プロフェッショナル(Waters製)
カラム:Atlantis dC18 5μm(内径4.6mm×250mm)×2本(Waters製)
検出器:示差屈折率(RI)検出器(Waters社製、Waters2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters製、Waters2996)
溶離液:100mM酢酸ナトリウム水溶液とアセトニトリルを6:4の比率で混合した溶液
流量:1mL/分
カラム温度:40℃
測定時間:30分
試料液注入量:100μL(試料濃度は1質量%)
〔製造例1〕:分散剤(1)の製造
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水:80.0部を仕込み、撹拌下に反応容器内を窒素置換し、70℃に昇温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数:9モル):133.4部、メタクリル酸:26.6部、3-メルカプトプロピオン酸:1.53部、およびイオン交換水:106.7部の混合溶液を反応容器内へ4時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水:50.6部に過硫酸アンモニウム:1.19部を溶解させた水溶液を反応容器内へ5時間かけて滴下した。滴下完了後、1時間引き続いて70℃に温度を維持し重合反応を終了させた。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、重量平均分子量(Mw)20,000の分散剤(1)の水溶液を得た。
〔実施例1〕:共重合体(A-1)の合成
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水:219.0部を仕込み、撹拌下に反応容器内を窒素置換し、58℃に昇温した。次に、3-メチル-3-ブテン-1-オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN-50):382.5部をイオン交換水:95.6部で溶解させた水溶液と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA):67.5部をイオン交換水:89.3部で希釈した水溶液を反応容器内へ5時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水:64.1部に過硫酸アンモニウム:2.73部を溶解させた水溶液と、イオン交換水:77.2部にL-アスコルビン酸:0.53部及び3-メルカプトプロピオン酸:1.59部を溶解させた水溶液をそれぞれ反応容器内へ5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて58℃に温度を維持し重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)28900の共重合体(A-1)の水溶液である、セメント組成物用添加剤(1)を得た。各原料単量体の反応率について、HPLCによりそれぞれ残存量を測定して求めたところ、IPN-50の反応率は86.5%であり、HEAの反応率は100%であった。
〔実施例2〕
共重合体(A-1)とトリイソプロパノールアミン(TIPA、和光純薬工業製)とを2:1の比率(質量比、固形分)で混合することにより、セメント組成物用添加剤(2)を得た。
〔実施例3〕
実施例1で得られたセメント組成物用添加剤(1)を用いて、後述するコンクリート試験を行った。
結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例2で得られたセメント組成物用添加剤(2)を用いて、後述するコンクリート試験を行った。
結果を表1に示した。
なお、実施例2で得られたセメント組成物用添加剤(2)を用いる代わりに、共重合体(A-1)とトリイソプロパノールアミン(TIPA、和光純薬工業製)とを2:1の比率(質量比、固形分)となるようにして個別に用いた場合においても、同様の結果が得られた。
〔比較例1〕
セメント組成物用添加剤(1)もセメント組成物用添加剤(2)も用いることなく、後述するコンクリート試験を行った。
結果を表1に示した。
<コンクリートの製造>
コンクリート試験は、温度が20℃±1℃、相対湿度が60%±15%の環境下で行った。
(配合)
コンクリートの材料としては、セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として再生粗骨材M(RMG2005A、豊田商店製)、混練水として水道水を用い、各単位量は、セメント:350kg/m3、水:175kg/m3、細骨材:887kg/m3、粗骨材:887kg/m3、水/セメント比(質量比)=0.5のコンクリート配合とした。また、水/セメント比の異なるコンクリートを製造する場合は、上記配合を基本として、単位水量と単位セメント量を調整した。
(調製)
上記配合条件にて強制練りミキサーを用いて90秒間混練し、コンクリートを調製した。得られたフレッシュコンクリートのスランプ値、フロー値、および空気量は、それぞれ日本工業規格(JIS-A-1101、1128)に準拠して測定した。なお、フレッシュコンクリートのスランプ値が18.0±0.5cm、空気量が4.5±0.5%となるように分散剤量、消泡剤(ポリアルキレングリコール系)量、およびAE剤(変性ロジン酸化合物系)量を調整した。
<圧縮強度の測定>
得られたフレッシュコンクリートを用いて、以下の条件にて供試体を作成し、材齢28日の圧縮強度を測定した。
供試体成形:10cm×20cmの供試体型枠に流し込んで成形した。
供試体養生:温度20℃・湿度60%の恒温恒湿室内で24時間養生を行い、脱型した後、20℃水中でさらに27日間養生(合計28日間の養生)した。
供試体研磨:供試体端面研磨機(マルイ製)を用いて研磨した。
圧縮強度測定:自動圧縮試験機(前川試験機製作所製)を用いて測定した。
<凍結融解抵抗性の評価>
得られたフレッシュコンクリートを10cm×10cm×40cmの供試体型枠に入れ、20℃にて24時間封緘養生し、脱型した後、20℃の静水中でさらに27日間養生した後、凍結融解抵抗性の評価を開始した。
凍結融解抵抗性の評価は、JIS-A-1148中のA法に準じて、30サイクルごとにJIS-A-1127に従って、一次共鳴振動数を測定することにより実施した。この際、30サイクルごとの凍結融解抵抗性は、下記の式(i)で示されるように、凍結融解サイクル開始前(0サイクル)の一次共鳴振動数に対する、各サイクル終了時点での一次共鳴振動数から相対動弾性係数を算出し、評価した。凍結融解のサイクルは、最大300サイクルとし、300サイクル以前に相対動弾性係数が60%以下となった場合には、その時点で評価を終了した。最終的な凍結融解抵抗性は、下記の式(ii)で示す耐久性指数を算出することにより評価した。耐久性指数は、100に近いほど、良好な凍結融解抵抗性を有することを示す。
相対動弾性係数(%)=(fn
2/f0
2)×100 (i)
fn:凍結融解nサイクル後のたわみ振動の一次共鳴振動数(Hz)
f0:凍結融解0サイクルにおけるたわみ振動の一次共鳴振動数(Hz)
耐久性指数=(P×N)/300 (ii)
P:凍結融解Nサイクル時の相対動弾性係数(%)
N:相対動弾性係数が60%以下になった凍結融解サイクル数、または300サイクルのいずれか小さい方
表1によれば、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤あるいは本発明のセメント組成物を用いた実施例3、4においては、本発明の再生骨材含有セメント組成物用添加剤および本発明のセメント組成物を用いない比較例1に比べて、硬化させて形成されるコンクリートの凍結融解抵抗性が向上することが判った。また、圧縮強度についても、比較例1に比べて、実施例3、4においては優れた結果が見られた。