JP2006250096A - 内燃機関におけるブリーザ装置 - Google Patents

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智仁 松本
Yuzo Harada
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Abstract

【課題】 内燃機関の静止側部材に、その内部空間の内外を連通させるブリーザ通路を形成した場合において、内部空間に生じたミストが上記ブリーザ通路を通り外部に流出しないようにするブリーザ装置を提供する。
【解決手段】 静止側部材19の内部空間25の内外を連通させるブリーザ通路107を形成する。内部空間25に配置されて静止側部材19に対しある軸心72回りに回転可能に支持され、内部空間25におけるミストを気体から分離可能とする遠心分離器108を設ける。内部空間25に向かって開口するブリーザ通路107の開口109の近傍に、遠心分離器108を配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関を構成する静止側部材に、この静止側部材の内部空間の内外を連通させるブリーザ通路を形成した内燃機関におけるブリーザ装置に関するものである。
内燃機関には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、内燃機関は車両に搭載されている。この内燃機関の静止側部材は、クランク軸を支持するクランクケースと、このクランクケースに突設されるシリンダと、上記クランクケースの外側面をその外方から覆うケースカバーとを備えている。上記クランクケースとケースカバーとの間には内部空間が形成され、この内部空間には、上記クランク軸に連動連結される補機が収容されている。
内燃機関は、一般に、ブリーザ装置を備えている。つまり、上記静止側部材には、上記内部空間の内外を連通させるブリーザ通路が形成されている。そして、上記内部空間の内圧が変動しようとするときには、上記ブリーザ通路を気体が流動し、これにより、上記内部空間の内圧が一定に保たれるようになっている。
また、上記の場合、内部空間内の潤滑油などのミストが上記ブリーザ通路を通り外部に流出しないよう、上記内部空間へのブリーザ通路の開口の周りにラビリンス通路が形成されたものがある。
特開平2−109727号公報
ところで、上記した従来の技術のように、車両に搭載された内燃機関では、車両の走行時の加、減速や振動の繰り返しによって、上記内部空間には多量のミストが生じがちとなる。このため、上記したラビリンス通路によるだけでは不十分であって、上記内部空間のミストは、上記ブリーザ通路を通り外部に多量に流出するおそれがある。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、内燃機関の静止側部材に、その内部空間の内外を連通させるブリーザ通路を形成した場合において、上記内部空間に生じたミストが上記ブリーザ通路を通り外部に流出しないようにするブリーザ装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記目的を達成するブリーザ装置の構成を簡単にさせることである。
請求項1の発明は、静止側部材19の内部空間25の内外を連通させるブリーザ通路107を形成した内燃機関におけるブリーザ装置において、
上記内部空間25に配置されて上記静止側部材19に対しある軸心72回りに回転可能に支持され、上記内部空間25におけるミストを気体から分離可能とする遠心分離器108を設け、上記内部空間25に向かって開口する上記ブリーザ通路107の開口109の近傍に、上記遠心分離器108を配置したものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記遠心分離器108を上記内燃機関11のクランク軸28に連動連結させたものである。
請求項3の発明は、請求項1、もしくは2の発明に加えて、上記遠心分離器108が、上記軸心72上に位置しこの軸心72回りに回転可能とされる円錐形状の回転体74を備え、この回転体74の径小部側の外周面に上記ブリーザ通路107の開口109を対向させたものである。
請求項4の発明は、請求項1から3のうちいずれか1つの発明に加えて、上記内燃機関11の補機70により上記遠心分離器108を構成したものである。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、静止側部材の内部空間の内外を連通させるブリーザ通路を形成した内燃機関におけるブリーザ装置において、
上記内部空間に配置されて上記静止側部材に対しある軸心回りに回転可能に支持され、上記内部空間におけるミストを気体から分離可能とする遠心分離器を設け、上記内部空間に向かって開口する上記ブリーザ通路の開口の近傍に、上記遠心分離器を配置している。
このため、上記内部空間から上記ブリーザ通路の開口に向かおうとするミストは上記遠心分離器により気体から積極的に分離され、上記ミストが上記開口に向かうことは、より確実に防止される。
よって、上記静止側部材に、その内部空間の内外を連通させるブリーザ通路を形成して、上記内部空間の内圧を一定に保つようにした場合でも、この内部空間に生じたミストが上記ブリーザ通路を通り外部に流出する、ということは効果的に防止される。
請求項2の発明は、上記遠心分離器を上記内燃機関のクランク軸に連動連結させている。
このため、上記遠心分離器の回転用駆動源としてクランク軸が利用されている。このため、上記遠心分離器の駆動源を別途に設けることに比べて、上記ブリーザ装置の構成を簡単にできる。
しかも、上記したように、遠心分離器はクランク軸に連動連結されている。このため、このクランク軸が高速になるに従って上記内部空間に、より多くのミストが生じるとしても、その一方で、上記クランク軸が高速になるに従って上記遠心分離器がより高速となり、その分離効果が、より向上する。
よって、上記内部空間に生じたミストが上記ブリーザ通路を通り外部に流出する、ということは、上記クランク軸の回転数が高くなるとしても、より確実に防止される。
請求項3の発明は、上記遠心分離器が、上記軸心上に位置しこの軸心回りに回転可能とされる円錐形状の回転体を備え、この回転体の径小部側の外周面に上記ブリーザ通路の開口を対向させている。
ここで、上記内部空間におけるミストが上記回転体の外周面に付着し、この回転体の外周面に液膜が生じたとする。すると、この液膜は、上記回転体の回転に伴う遠心力の軸方向分力により、上記回転体の径小部側から径大部側に流動する。そして、最終的には、上記液膜の液体は、上記回転体の最径大部から径方向外方に向かって液滴として放出され、その後、上記内部空間の内底部側に戻される。
よって、上記した回転体の径小部側の外周面に対向した上記ブリーザ通路の開口にミストが向かうことは防止される。つまり、上記内部空間に生じたミストが上記ブリーザ通路を通り内部空間の外部に流出する、ということは、更に確実に防止される。
請求項4の発明は、上記内燃機関の補機により上記遠心分離器を構成している。
つまり、上記遠心分離器に上記補機が利用される。よって、上記ブリーザ装置の構成は極めて簡単にできる。
本発明の内燃機関におけるブリーザ装置に関し、内燃機関の静止側部材に、その内部空間の内外を連通させるブリーザ通路を形成した場合において、上記内部空間に生じたミストが上記ブリーザ通路を通り外部に流出しないようにするブリーザ装置を提供する、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
即ち、内燃機関のブリーザ装置では、静止側部材の内部空間の内外を連通させるブリーザ通路が形成されている。上記内部空間に配置されて上記静止側部材に対しある軸心回りに回転可能に支持され、上記内部空間におけるミストを気体から分離可能とする遠心分離器が設けられる。上記内部空間に向かって開口する上記ブリーザ通路の開口の近傍に、上記遠心分離器が配置されている。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
図2,3において、符号1は、レーシングカートとして例示される車両で、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。また、下記する左右とは、上記前方に向かっての車両1の幅方向をいうものとする。
上記車両1の車体2は、その骨格を構成する車体フレーム3と、この車体フレーム3の前部に操向可能に懸架される左右一対の前車輪4と、上記車体フレーム3の後部に懸架される左右一対の後車輪5と、上記車両1の長手方向で上記車体2の中途部に支持されるシート6と、上記車体フレーム3の前部に支持され、各前車輪4と連動連結されるハンドル7と、上記シート6の外側方に配置されて上記車体フレーム3に支持される左右一対のフートレスト8とを備えている。
上記車両1は、上記シート6と右側のフートレスト8との間に配置されて、上記各後車輪5を走行駆動させる内燃機関11と、この内燃機関11に大気側の空気12と燃料13とによる混合気を供給可能とする吸気装置14と、上記内燃機関11から排出される排気15を内燃機関11の外部に導出させる排気装置16とを備えている。上記内燃機関11はリード弁式の2サイクル単気筒エンジンである。
全図において、上記内燃機関11の静止側部材19は、上記車体フレーム3に支持されるクランクケース20と、このクランクケース20から上方に突出するシリンダ21と、上記クランクケース20の左側の側面を全体的に開閉可能に覆うケースカバー22とを備えている。上記クランクケース20の内部がクランク室24とされ、上記クランクケース20とケースカバー22との間には密閉された内部空間25が形成されている。上記クランクケース20に対しケースカバー22は締結具により着脱可能に固着されている。
軸心27が水平方向、かつ、車両1の幅方向に延びるクランク軸28が上記軸心27回りに回転可能となるよう上記クランクケース20に支持されている。上記シリンダ21にはピストン29が摺動可能に嵌入され、上記クランク軸28とピストン29とは連接棒30により互いに連動連結されている。上記クランク軸28は、上記クランクケース20に軸受32により支持される左右一対のクランク主軸33,34と、上記クランク室24に内有され、上記各クランク主軸33,34に一体的に形成される左右一対のクランクアーム35と、これら両クランクアーム35に架設されて上記連接棒30の大端部に連結されるクランクピン36とを備えている。
上記シリンダ21の突出端部と上記ピストン29とで囲まれた空間が燃焼室38とされる。上記クランクケース20の前部には、上記クランク室24の内外を連通させる吸気通路39が形成されている。この吸気通路39は、上記車両1の長手方向、かつ、ほぼ水平方向に延びている。上記吸気通路39に嵌入されて上記クランクケース20の前部に取り付けられるリード弁40が設けられている。上記クランク室24を上記燃焼室38に連通させる掃気通路41がクランクケース20に形成されている。また、上記燃焼室38をシリンダ21の外部に連通させる排気通路42が上記シリンダ21に形成されている。
上記吸気装置14は、上記クランクケース20の前部に連結され、上記吸気通路39と連通する気化器44と、この気化器44に連結される吸気サイレンサ45とを備えている。一方、上記排気装置16は、上記シリンダ21の後部に連結され、上記排気通路42と連通する排気管46と、この排気管46に順次連結される排気管マフラ47と排気サイレンサ48とを備えている。また、上記シリンダ21の突出端部には点火プラグ50が取り付けられている。
上記クランク軸28と平行に延び、このクランク軸28の径方向の外方に配置される従動軸53が設けられている。この従動軸53は、その軸心54回りに回転可能となるよう軸受55により上記静止側部材19のクランクケース20とケースカバー22とに跨って支持されている。
上記内部空間25に収容され、上記従動軸53の軸心54上に配置されるフライホイールマグネト57が設けられている。このフライホイールマグネト57は、上記ケースカバー22に支持されるステータ59と、上記従動軸53にキー60により固定されてこの従動軸53と共に回転するロータ61とを備えている。
上記クランク軸28の一端部である一方のクランク主軸33に上記従動軸53を介しフライホイールマグネト57のロータ61を連動連結させる連動装置63が設けられている。この連動装置63は上記内部空間25に収容されている。上記連動装置63は、上記クランク主軸33にキー64により固定される駆動ギヤ65と、上記従動軸53に一体的に形成されて上記駆動ギヤ65と噛合する従動ギヤ66とを備えている。これら駆動ギヤ65と従動ギヤ66とはモジュールと歯数とが互いに同じとされている。上記クランク軸28の軸方向に沿った視線で見て(図4)、上記クランク軸28とフライホイールマグネト57とのそれぞれ少なくとも一部分が互いに重なり合うこととされている。
上記ロータ61の外周面には、その周方向の一部に突起67が形成されている。また、この突起67に対向してパルサコイル68が設けられ、このパルサコイル68は上記ケースカバー22に固着されている。
上記排気通路42の燃焼室38側の開口における上縁部の高さを可変とする公知の排気制御弁69が設けられている。また、上記内部空間25に収容され、上記静止側部材19のクランクケース20とケースカバー22とに跨るように支持される補機70が設けられている。この補機70は、上記排気15が上記燃焼室38側から排気通路42を通って排出されるときのタイミングを可変とするよう上記排気制御弁69を制御するガバナー装置である。上記補機70は、上記クランク軸28の径方向の外方に配置されている。また、上記フライホイールマグネト57と補機70とは、上記クランク軸28の周方向で互いに偏位させられている。
上記補機70は、上記クランク軸28と平行に延び、このクランク軸28の径方向の外方に配置されるガバナー軸71を備えている。このガバナー軸71は、その軸心72回りに回転可能となるよう軸受73により上記静止側部材19のクランクケース20とケースカバー22とに跨って支持されている。
上記補機70は、上記内部空間25に収容され、上記ガバナー軸71の軸心72上に配置されてこのガバナー軸71に固着される円錐筒形状の回転体74と、この回転体74内に嵌入される球形状の重り75と、上記ガバナー軸71の軸方向に移動可能となるようこのガバナー軸71に支持される可動体76と、この可動体76を介し上記重り75を上記回転体74の内面に圧接させるばね77とを備えている。前記排気制御弁69は上記可動体76に回動アームなどの連動体により連動連結されている。
上記クランク軸28の一端部である一方のクランク主軸33に上記ガバナー軸71を連動連結させる他の連動装置79が設けられている。この連動装置79は上記内部空間25に収容されている。上記連動装置79は、前記駆動ギヤ65と、上記ガバナー軸71に固着されて上記駆動ギヤ65と噛合する従動ギヤ80とを備えている。
上記クランク軸28の径方向の外方で、このクランク軸28と平行に延びる軸心82上に配置される他の補機70の例である水ポンプ83が設けられている。この水ポンプ83は、上記軸心82上に配置されるポンプ軸84と、このポンプ軸84が上記軸心82回りに回転可能となるよう上記ポンプ軸84をクランクケース20に支持させる左右一対の軸受85と、これら軸受85を上記ポンプ軸84の軸方向の所定位置に位置決めする位置決め具86と、上記ポンプ軸84に固着され、上記クランクケース20に形成されたポンプ室87に嵌入されるロータ88とを備えている。
上記フライホイールマグネト57のロータ61に上記水ポンプ83を連動連結させる更に他の連動装置91が設けられている。この連動装置91は、前記従動ギヤ66と、上記ポンプ軸84に固着されて上記従動ギヤ66と噛合する従動ギヤ92とを備えている。
上記各連動装置63,79,91は、上記クランク軸28の軸方向で互いにほぼ同じところに配置されている。そして、上記各連動装置63,79,91の一側方に上記クランク軸28のクランクアーム35と水ポンプ83のロータ88とが配置されている。この場合、上記クランク軸28の軸方向で、上記クランク軸28のクランクアーム35と水ポンプ83のロータ88とは互いにほぼ同じところに配置されている。また、上記各連動装置63,79,91の他側方に上記フライホイールマグネト57と補機70の回転体74とが配置されている。
上記クランク軸28の他端部である他方のクランク主軸34が、上記内燃機関11の出力部とされている。上記クランク軸28の軸心27上で、上記他方のクランク主軸34に遠心クラッチ94の駆動側部材95が固着されている。また、上記クランク軸28の軸心27上で、このクランク軸28のクランク主軸34に上記遠心クラッチ94の従動側部材96が支持されている。この従動側部材96は、上記軸心27回りで、上記クランク軸28と駆動側部材95とに対し相対回転可能とされている。上記従動側部材96に対し、上記後車輪5を連動連結させるチェーン巻掛式の連動装置97が設けられている。
上記内部空間25の内底部に潤滑油99を溜める油溜め部100が形成されている。上記更に他の連動装置91の従動ギヤ92の少なくとも下部が上記油溜め部100内に配置され、上記潤滑油99により油浴されている。
その他、102は始動電動機であり、この始動電動機102に上記クランク軸28が連動可能とされている。
上記内燃機関11はブリーザ装置106を備えている。即ち、上記静止側部材19のケースカバー22の上部には、その内部空間25の上部の内外を連通させるブリーザ通路107が形成されている。そして、上記内部空間25の内圧が変動しようとするときには、上記ブリーザ通路107を気体が流動し、これにより、上記内部空間25の内圧が一定に保たれる。
上記ブリーザ装置106は、上記内部空間25の上部に配置される遠心分離器108を備えている。上記内部空間25に向かって開口する上記ブリーザ通路107の開口109の下方近傍に、上記遠心分離器108が配置されている。この遠心分離器108は、上記内部空間25における潤滑油99などのミストを気体から分離可能とする。この分離により、上記ミストが、上記内部空間25から上記ブリーザ通路107の開口109に向かおうとすることが防止される。
上記遠心分離器108は、前記補機70により構成されている。つまり、上記遠心分離器108は上記補機70の回転体74を備え(兼用し)ている。この回転体74の径小部側の外周面近傍に上記ブリーザ通路107の開口109が対向させられている。より具体的には、上記回転体74の径小部側の上方近傍で、上記開口109が下方に向かって開口している。
上記内燃機関11を駆動させる時には、まず、上記始動電動機102の駆動により上記クランク軸28をクランキングする。すると、内燃機関11の外部の空気12が上記吸気装置14、リード弁40、および吸気通路39を通ってクランク室24に吸入される。また、この際、上記吸気装置14の気化器44により、上記空気12に燃料13が混入されて、混合気が生成され、この混合気が上記クランク室24で予圧縮される。
次に、上記混合気が上記掃気通路41を通り燃焼室38に吸入され、ここで、上記点火プラグ50により点火させられ、燃焼させられる。上記点火プラグ50による点火のタイミングは、上記突起67がパルサコイル68に対向したときにこのパルサコイル68が出力する出力信号に基づき定められる。上記燃焼により生じた燃焼ガスは、上記排気通路42と排気装置16とを通し排気15として内燃機関11の外部に排出される。
上記燃焼による熱エネルギーに基づき、上記クランク軸28が一方向に回転Aさせられて、動力が出力される。上記クランク軸28に上記連動装置63を介し上記従動軸53とフライホイールマグネト57とが連動して、上記軸心54回りに回転Bさせられる。これにより、上記フライホイールマグネト57が発電し、その電力は上記点火プラグ50の放電や制御用等の電源とされる。この場合、クランク軸28とフライホイールマグネト57のロータ61とは互いに逆回転A,Bさせられる。
また、上記クランク軸28に上記連動装置79を介し上記補機70のガバナー軸71、回転体74、および重り75が連動して、上記軸心72回りに回転Cさせられる。上記クランク軸28が高速であれば、これに連動する上記重り75の遠心力が大きくなり、上記ばね77の付勢力に対抗して上記可動体76が上記ガバナー軸71の軸方向の一方向に移動させられる。上記クランク軸28が低速であれば、これに連動する上記重り75の遠心力が小さくなり、上記ばね77の付勢力により上記可動体76は上記一方向とは反対方向に移動させられる。上記した可動体76の各移動に連動して、上記排気制御弁69が制御され、排気15についての前記タイミングが自動的に調整される。
上記クランク軸28に各連動装置63,79,91が連動すると、これら63,79,91によって潤滑油99が飛散させられ、上記内部空間25に多量のミストが生じがちとなる。一方、上記クランク軸28に上記連動装置79を介し上記遠心分離器108が連動する。この遠心分離器108により、上記内部空間25から上記ブリーザ通路107の開口109に向かおうとするミストが気体から分離され、上記ミストが上記内部空間25から上記ブリーザ通路107の開口109に向かうことが防止される。
上記クランク軸28に上記連動装置63,91を介し上記水ポンプ83が連動して、この水ポンプ83のポンプ軸84とロータ88とが上記軸心82回りに回転Dさせられる。これにより、上記ポンプ室87から冷却水が吐出され、この冷却水は、上記内燃機関11の各部を循環して冷却し、その後、空冷されて上記水ポンプ83の吸入部に戻される。
上記連動装置91の従動ギヤ92は、上記油溜め部100の潤滑油99を掻き上げる。すると、この潤滑油99は、上記従動ギヤ92と順次噛合する従動ギヤ66、駆動ギヤ65、および従動ギヤ80へと移送されて、これら各ギヤ65,66,80,92の各噛合部を潤滑する。
上記クランク軸28が所定回数以上になれば、上記遠心クラッチ94が接続動作する。すると、上記クランク軸28からの駆動力は、上記遠心クラッチ94と連動装置97とを介し上記後車輪5に伝達され、車両1が走行可能とされる。
上記構成によれば、内部空間25に配置されて上記静止側部材19に対しある軸心72回りに回転可能に支持され、上記内部空間25におけるミストを気体から分離可能とする遠心分離器108を設け、上記内部空間25に向かって開口する上記ブリーザ通路107の開口109の近傍に、上記遠心分離器108を配置している。
このため、上記内部空間25から上記ブリーザ通路107の開口109に向かおうとするミストは上記遠心分離器108により気体から積極的に分離され、上記ミストが上記開口109に向かうことは、より確実に防止される。
よって、上記静止側部材19に、その内部空間25の内外を連通させるブリーザ通路107を形成して、上記内部空間25の内圧を一定に保つようにした場合でも、この内部空間25に生じたミストが上記ブリーザ通路107を通り外部に流出する、ということは効果的に防止される。
また、前記したように、遠心分離器108を上記内燃機関11のクランク軸28に連動連結させている。
このため、上記遠心分離器108の回転用駆動源としてクランク軸28が利用されている。このため、上記遠心分離器108の駆動源を別途に設けることに比べて、上記ブリーザ装置106の構成を簡単にできる。
しかも、上記したように、遠心分離器108はクランク軸28に連動連結されている。このため、このクランク軸28が高速になるに従って上記内部空間25に、より多くのミストが生じるとしても、その一方で、上記クランク軸28が高速になるに従って上記遠心分離器108が、より高速となり、その分離効果が、より向上する。
よって、上記内部空間25に生じたミストが上記ブリーザ通路107を通り外部に流出する、ということは、上記クランク軸28の回転数が高くなるとしても、より確実に防止される。
また、前記したように、遠心分離器108が、上記軸心72上に位置しこの軸心72回りに回転可能とされる円錐形状の回転体74を備え、この回転体74の径小部側の外周面に上記ブリーザ通路107の開口109を対向させている。
ここで、上記内部空間25におけるミストが上記回転体74の外周面に付着し、この回転体74の外周面に液膜が生じたとする。すると、この液膜は、上記回転体74の回転Cに伴う遠心力の軸方向分力により、上記回転体74の径小部側から径大部側に流動する。そして、最終的には、上記液膜の液体は、上記回転体74の最径大部から径方向外方に向かって液滴として放出され、その後、上記内部空間25の内底部の油溜め部100に戻される。
よって、上記した回転体74の径小部側の外周面に対向した上記ブリーザ通路107の開口109にミストが向かうことは防止される。つまり、上記内部空間25に生じたミストが上記ブリーザ通路107を通り内部空間25の外部に流出する、ということは、更に確実に防止される。
また、前記したように、内燃機関11の補機70により上記遠心分離器108を構成している。
つまり、上記遠心分離器108に上記補機70が利用される。よって、上記ブリーザ装置106の構成は極めて簡単にできる。
なお、以上は図示の例によるが、上記内燃機関11は車両以外の乗り物に搭載されるものでもよく、産業機械などに用いられるものでもよい。また、内燃機関11は4サイクル内燃機関でもよい。また、上記ブリーザ装置106は、補機70の全部で構成してもよく、一部だけで構成してもよい。また、ブリーザ装置106は、他の補機であるフライホイールマグネト57のロータ61を利用して構成してもよく、別途に設けてもよい。また、上記回転体74は円錐台筒形状であってもよく、他の形状であってもよい。
図4の1−1線矢視の一側部断面図である。 車両の全体平面図である。 図2の3−3線矢視図である。 図3の部分拡大破断図である。 図4の5−5線矢視の他側部断面図である。
符号の説明
11 内燃機関
19 静止側部材
20 クランクケース
21 シリンダ
22 ケースカバー
25 内部空間
27 軸心
28 クランク軸
70 補機
72 軸心
74 回転体
99 潤滑油
100 油溜め部
106 ブリーザ装置
107 ブリーザ通路
108 遠心分離器
109 開口

Claims (4)

  1. 静止側部材の内部空間の内外を連通させるブリーザ通路を形成した内燃機関におけるブリーザ装置において、
    上記内部空間に配置されて上記静止側部材に対しある軸心回りに回転可能に支持され、上記内部空間におけるミストを気体から分離可能とする遠心分離器を設け、上記内部空間に向かって開口する上記ブリーザ通路の開口の近傍に、上記遠心分離器を配置したことを特徴とする内燃機関におけるブリーザ装置。
  2. 上記遠心分離器を上記内燃機関のクランク軸に連動連結させたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関におけるブリーザ装置。
  3. 上記遠心分離器が、上記軸心上に位置しこの軸心回りに回転可能とされる円錐形状の回転体を備え、この回転体の径小部側の外周面に上記ブリーザ通路の開口を対向させたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の内燃機関におけるブリーザ装置。
  4. 上記内燃機関の補機により上記遠心分離器を構成したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の内燃機関におけるブリーザ装置。
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