JP2006249276A - ポリマー系ナノコンポジットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡便な工程で有機ポリマーにナノサイズの無機フィラーを均一分散させてポリマー系ナノコンポジットを製造することができるポリマー系ナノコンポジットの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のポリマー系ナノコンポジットの製造方法は、エポキシ樹脂等の有機ポリマーにアルミナ等のナノ無機フィラーを添加混合した後、有機ポリマー中で凝集した無機フィラーを直径10μm以下の凝集塊となるように混合分散機により混合分散する第1の工程と、第1の工程で得られた分散混合物を、加圧してオリフィスを通過させる分散均一化機により分散均一化する第2の工程とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明のポリマー系ナノコンポジットの製造方法は、エポキシ樹脂等の有機ポリマーにアルミナ等のナノ無機フィラーを添加混合した後、有機ポリマー中で凝集した無機フィラーを直径10μm以下の凝集塊となるように混合分散機により混合分散する第1の工程と、第1の工程で得られた分散混合物を、加圧してオリフィスを通過させる分散均一化機により分散均一化する第2の工程とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポリマー系ナノコンポジットの製造方法に関し、特に、簡便な工程で有機ポリマーにナノサイズの無機フィラーを均一分散させてポリマー系ナノコンポジットを製造することができるポリマー系ナノコンポジットの製造方法に関する。
ナノサイズのフィラーをポリマー材料に少量添加することにより、種々の特性が大きく改良できるポリマー系ナノコンポジットが近年、注目されてきている。ポリマー系ナノコンポジットを適用することにより、エレクトロニクス等の分野における機器や素子の軽量化、コンパクト化が可能となる。
このようなポリマー系ナノコンポジットの製造方法としては、層間挿入法、In―Situ法、超微粒子直接分散法がある。
層間挿入法とは、インターカレーション法ともいい、層状物質の層間を有機変性剤で変性して層間とモノマー又はポリマーとの親和性を増してから、モノマー又はポリマーと混合して層剥離させ、層状物質を1層ずつ剥離させ、ポリマー中に分散させる方法である。
In―Situ法とは、ゾルーゲル法ともいい、ナノ粒子の形成とナノコンポジットの形成を同時並行に行う方法で、ゾル状の液体を乾燥させゲル化して固体を合成する方法である。
超微粒子直接分散法とは、ナノサイズの微粒子を直接ポリマーと混合させてナノコンポジットを形成させる方法である。
ポリマー系ナノコンポジットを簡便に製造するという、製造工程の簡便性・簡素性の点では、3番目の超微粒子直接分散法が優れている。しかしながら、超微粒子直接分散法においては、ナノサイズの微粒子が液体中で凝集してしまい、均一的に混合分散することが難しいという問題がある。
斯かる問題を解決する方法として、無機粒子を熱可塑性樹脂に、無機粒子の粒子間凝集力相当以上の剪断力で解砕し微分散することにより、機械的性質等に優れたポリマー系ナノコンポジットを製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、液体中の微粒子を微細化する方法としては、種々の方法が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2004−189814号公報
特開平2−261525号公報
特開平10−5561号公報
しかし、特許文献1による方法は、複雑な計算式に基づく動力計算が必要であり、またその所要動力を維持するように微調整する必要もあり、簡便な方法であるとは言いがたい。
また、特許文献2や特許文献3等の液体中の微粒子を微細化する方法をポリマー系ナノコンポジットの製造にそのまま適用することは難しく、適用できたとしても、凝集したナノサイズの微粒子を一次粒子に近いサイズの粒子として均一的に分散させたポリマー系ナノコンポジットを得るための諸条件の探求には困難性がある。
従って、本発明の目的は、簡便な工程で有機ポリマーにナノサイズの無機フィラーを均一分散させてポリマー系ナノコンポジットを製造することができるポリマー系ナノコンポジットの製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、有機ポリマーにナノサイズの無機フィラーを添加混合した後、前記有機ポリマー中で凝集した前記無機フィラーを直径10μm以下の凝集塊となるように混合分散機により混合分散する第1の工程と、前記第1の工程で得られた分散混合物を、加圧してオリフィスを通過させる分散均一化機により分散均一化する第2の工程とを有することを特徴とするポリマー系ナノコンポジットの製造方法を提供する。
本発明のポリマー系ナノコンポジットの製造方法によれば、簡便な工程で有機ポリマーにナノサイズの無機フィラーを均一分散させてポリマー系ナノコンポジットを製造することができる。
また、本発明のポリマー系ナノコンポジットの製造方法によれば、材料の軽量化ができ、かつ、機械強度、熱伝導性、電気絶縁特性等に優れた電気絶縁材料として利用できるポリマー系ナノコンポジットを製造することができる。
〔本発明のポリマー系ナノコンポジットの製造方法〕
図1は、本発明の実施の形態に係るポリマー系ナノコンポジットの製造フローを示す図である。金型準備(A)、試料準備(B)、ホモミクサーによる一次分散(C)、ナノマイザーによる微粒化(D)、注型作業(E)、離型作業(F)の各工程からなる。
図1は、本発明の実施の形態に係るポリマー系ナノコンポジットの製造フローを示す図である。金型準備(A)、試料準備(B)、ホモミクサーによる一次分散(C)、ナノマイザーによる微粒化(D)、注型作業(E)、離型作業(F)の各工程からなる。
主材として、エポキシ樹脂、ナノフィラーとしてアルミナを使用した場合を例に以下に各工程を説明する。
(金型準備(A)工程)
金型準備(A)工程では、以下の処理を行う。
(a)金型表面の汚れを取る。
(b)離型剤を金型に薄く塗布する。
(c)型を合わせてボルトで固定する。
(d)金型を一次硬化温度(例えば、80℃)に設定した恒温槽で予熱する。
金型準備(A)工程では、以下の処理を行う。
(a)金型表面の汚れを取る。
(b)離型剤を金型に薄く塗布する。
(c)型を合わせてボルトで固定する。
(d)金型を一次硬化温度(例えば、80℃)に設定した恒温槽で予熱する。
(試料準備(B)工程)
試料準備(B)工程では、以下の処理を行う。
(a)エポキシ樹脂(主材)を低粘度化するために、エポキシ樹脂に反応性希釈剤(例えば、商品名:カージュラE10)を添加し、混合攪拌する。あるいは、反応性希釈剤が予め混合されて低粘度化されたエポキシ樹脂を用いてもよい。
(b)その後、低粘度化されたエポキシ樹脂にアルミナ(ナノフィラー)を極少量ずつ添加しながら手動攪拌する。
(c)その後、真空脱泡を行う。
試料準備(B)工程では、以下の処理を行う。
(a)エポキシ樹脂(主材)を低粘度化するために、エポキシ樹脂に反応性希釈剤(例えば、商品名:カージュラE10)を添加し、混合攪拌する。あるいは、反応性希釈剤が予め混合されて低粘度化されたエポキシ樹脂を用いてもよい。
(b)その後、低粘度化されたエポキシ樹脂にアルミナ(ナノフィラー)を極少量ずつ添加しながら手動攪拌する。
(c)その後、真空脱泡を行う。
試料準備(B)工程において、主材であるエポキシ樹脂は低粘度化されることが重要である。エポキシ樹脂への反応性希釈剤の添加、及び/又はエポキシ樹脂の加熱により、その粘度を30Poise以下とする。好ましくは、8〜11Poiseとする。希釈剤の添加量は、材料によっても異なるが、主材に対し、5〜25質量%程度添加することにより粘度調整を行う。また、加熱温度は、70〜90℃程度にて加熱することにより粘度調整を行う。なお、30Poise以下の低粘度ポリマーを主材として使用する場合には、低粘度化する処理は特に必要ではない。
(ホモミクサーによる一次分散(C)工程)
ホモミクサーによる一次分散(C)工程では、ナノマイザーによる微粒化(D)工程の前処理として、エポキシ樹脂中のアルミナ・ナノ粒子を分散させるべく、以下の処理を行う。
(a)試料準備(B)工程にて得た試料をホモミクサーの所定の位置に配置し、電源を入れて攪拌する(例えば、7,000rpmで連続5時間)。
(b)その後、ナノマイザーによる微粒化(D)工程に備えて、真空脱泡を行う。
ホモミクサーによる一次分散(C)工程では、ナノマイザーによる微粒化(D)工程の前処理として、エポキシ樹脂中のアルミナ・ナノ粒子を分散させるべく、以下の処理を行う。
(a)試料準備(B)工程にて得た試料をホモミクサーの所定の位置に配置し、電源を入れて攪拌する(例えば、7,000rpmで連続5時間)。
(b)その後、ナノマイザーによる微粒化(D)工程に備えて、真空脱泡を行う。
ここで、ホモミクサーとは、羽根回転型攪拌機であり、回転羽根の攪拌により、ナノサイズの凝集フィラーを分散させるものである。ナノサイズの凝集フィラーを分散させることができれば羽根回転型攪拌機に限らず、種々の混合分散機を用いることができる。
ホモミクサーによる処理条件は、材料によっても異なるが、1,000〜12,000rpmで0.5〜24時間程度が好ましく、5,000〜10,000rpmで1〜12時間程度がより好ましい。攪拌処理中の主材の温度が25〜120℃の範囲内、好ましくは60〜100℃の範囲内となるように処理条件を調節する。主材の温度が120℃を超えないように適宜、水浴などを利用してもよい。
この一次分散(C)工程において、ナノマイザーによる微粒化(D)工程処理前の試料中に存在するフィラー凝集体の直径が10μm以下とされていることが重要である。好ましくは、5μm以下とする。斯かる直径となるように、ホモミクサーによる処理条件(回転数、時間)を上記の範囲内で適宜調整する。例えば、回転数6,000〜8,000rpm、1.5〜5時間程度が好適な条件として挙げられる。
(ナノマイザーによる微粒化(D)工程)
ナノマイザーによる微粒化(D)工程では、以下の処理を行う。
(a)一次分散(C)した試料を予熱しておき(例えば、80℃前後)、ナノマイザーの試料注入口に泡を巻き込まないようにゆっくりと流し込む。
(b)ナノマイザーを起動し、アルミナ・ナノ粒子の微粒化を行う。処理圧力は、例えば、150MPaにて行う。120〜180MPaの範囲内で好適に行うことができる。
(c)ナノマイザーから試料が吐き出された後、次のパスに備えて真空脱泡を行う。
(d)上記のa〜cの工程を1パス(pass)として、2〜20パス、好ましくは5〜15パス繰り返す。1パスであってもよい。
ナノマイザーによる微粒化(D)工程では、以下の処理を行う。
(a)一次分散(C)した試料を予熱しておき(例えば、80℃前後)、ナノマイザーの試料注入口に泡を巻き込まないようにゆっくりと流し込む。
(b)ナノマイザーを起動し、アルミナ・ナノ粒子の微粒化を行う。処理圧力は、例えば、150MPaにて行う。120〜180MPaの範囲内で好適に行うことができる。
(c)ナノマイザーから試料が吐き出された後、次のパスに備えて真空脱泡を行う。
(d)上記のa〜cの工程を1パス(pass)として、2〜20パス、好ましくは5〜15パス繰り返す。1パスであってもよい。
ここで、ナノマイザーとは、オリフィス加圧通過型分散機であり、加圧してオリフィス内を通過させることで、せん断力等により、試料を微粒化、均一分散化させるものである。
(注型作業(E)工程)
注型作業(E)工程では、以下の処理を行う。
(a)ナノマイザーにより微粒化処理された試料に硬化剤(例えば、商品名:エピキュア113)を化学当量に基づき適量(例えば、エピキュア113であれば主材に対して30質量%)加え、手動攪拌する。
(b)その後、真空脱泡を十分に行う。
(c)真空脱泡した試料を金型に注ぐ。
(d)金型ごと真空脱泡を十分に行う。
(e)一次硬化を行う(例えば、80℃で2時間)。一次硬化温度は、70〜90℃程度が好適である。
注型作業(E)工程では、以下の処理を行う。
(a)ナノマイザーにより微粒化処理された試料に硬化剤(例えば、商品名:エピキュア113)を化学当量に基づき適量(例えば、エピキュア113であれば主材に対して30質量%)加え、手動攪拌する。
(b)その後、真空脱泡を十分に行う。
(c)真空脱泡した試料を金型に注ぐ。
(d)金型ごと真空脱泡を十分に行う。
(e)一次硬化を行う(例えば、80℃で2時間)。一次硬化温度は、70〜90℃程度が好適である。
(離型作業(F)工程)
離型作業(F)工程では、以下の処理を行う。
(a)一次硬化終了後、試料を金型から取り出す。
(b)試料を平らな金属板の上に乗せる。
(c)二次硬化を行う(例えば、125℃で3時間)。二次硬化温度は、110〜130℃程度が好適である。
(d)自然徐熱(ヒーターの電源を切り、室温までゆっくりと温度を下げる)を行う。
離型作業(F)工程では、以下の処理を行う。
(a)一次硬化終了後、試料を金型から取り出す。
(b)試料を平らな金属板の上に乗せる。
(c)二次硬化を行う(例えば、125℃で3時間)。二次硬化温度は、110〜130℃程度が好適である。
(d)自然徐熱(ヒーターの電源を切り、室温までゆっくりと温度を下げる)を行う。
以上の処理工程により、板状のエポキシ/アルミナナノコンポジット試料が得られる。得られたエポキシ/アルミナナノコンポジット試料は透明度に優れ、絶縁破壊特性、曲げ特性等にも優れている。
(主材)
本発明における主材であるポリマーとしては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、及びポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニール樹脂などの熱可塑性樹脂を含み、特にエポキシ樹脂を好適に用いることができる。
本発明における主材であるポリマーとしては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、及びポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニール樹脂などの熱可塑性樹脂を含み、特にエポキシ樹脂を好適に用いることができる。
(ナノフィラー)
本発明におけるナノフィラーとしては、ナノサイズ、特に一次粒径が数ナノメーターサイズ、の種々の無機物質、例えば、層状シリケート、SiO2(シリカ)、TiO2(酸化チタン)、Al2O3(アルミナ)、AlN(窒化アルミ)、BN(窒化ホウ素)が挙げられ、特にベーマイト・アルミナを好適に用いることができる。これらのフィラーを添加混合することにより、ポリマーに種々の機能を付加することが可能となる。例えば、機械的特性、耐熱性、熱伝導率、酸化防止効果、誘電率コントロール、耐トラッキング性等に優れた機能を付加可能である。複数の機能を期待して2種以上、添加混合してもよい。
本発明におけるナノフィラーとしては、ナノサイズ、特に一次粒径が数ナノメーターサイズ、の種々の無機物質、例えば、層状シリケート、SiO2(シリカ)、TiO2(酸化チタン)、Al2O3(アルミナ)、AlN(窒化アルミ)、BN(窒化ホウ素)が挙げられ、特にベーマイト・アルミナを好適に用いることができる。これらのフィラーを添加混合することにより、ポリマーに種々の機能を付加することが可能となる。例えば、機械的特性、耐熱性、熱伝導率、酸化防止効果、誘電率コントロール、耐トラッキング性等に優れた機能を付加可能である。複数の機能を期待して2種以上、添加混合してもよい。
ナノフィラーの添加混合量は、特に限定されるものではないが、主材と硬化剤の総量に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%の範囲内がより好ましい。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〜3、比較例1〜4〕
(試料の作成)
本発明の製造方法にしたがい、表1及び表2に示すアルミナ添加量と攪拌処理条件にて、実施例1〜3、及び比較例1〜4の試料を作製した。
(試料の作成)
本発明の製造方法にしたがい、表1及び表2に示すアルミナ添加量と攪拌処理条件にて、実施例1〜3、及び比較例1〜4の試料を作製した。
主材としては、予め反応性希釈剤(商品名:カージュラE10)が主材に対して約20質量%添加されているビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート816B、JER株式会社製)を用いた。ナノフィラーとしては、ナノサイズのベーマイト・アルミナ(商品名:DISPERAL OS-1、サソール・ジャパン株式会社製)を用いた。
また、硬化剤としては、アミン系の硬化剤(商品名:エピキュア113、JER株式会社製)を用いた。試料は、500ml用ビーカーを用いて、試料高さが約1cmとなるように作製した。
表1及び表2に示すアルミナ添加量は、主材と硬化剤の総量に対する量(質量%)である。
また、表1及び表2に示す攪拌処理条件は、以下の各条件の通りである。
(1)低速攪拌機:(アズワン株式会社製、高トルク低速攪拌機DC-300RM、モータ出力150W、最高300rpm):300rpm、2時間
(2)ホモミクサー:(特殊機化工業株式会社製、T.K.ホモミクサーMARK II f-model、モータ出力200W、最高12,000rpm):7,000rpm、2時間
(3)ナノマイザー:(吉田機械興業株式会社製、YSNM-1500-0005、最大150MPa):140MPa、5又は15パス
(1)低速攪拌機:(アズワン株式会社製、高トルク低速攪拌機DC-300RM、モータ出力150W、最高300rpm):300rpm、2時間
(2)ホモミクサー:(特殊機化工業株式会社製、T.K.ホモミクサーMARK II f-model、モータ出力200W、最高12,000rpm):7,000rpm、2時間
(3)ナノマイザー:(吉田機械興業株式会社製、YSNM-1500-0005、最大150MPa):140MPa、5又は15パス
(評価方法)
得られた各試料について、目視にて凝集塊の有無、大きさを確認した。また、文字を書いた白い紙の上に各試料を置き、各試料を介して文字を判読できるか否か(試料の透明度)について確認した。表3及び表4に評価結果を示す。文字判読の可否(試料の透明度)については、以下の5段階で評価した。
5:明瞭に判読可能、無色透明
4:判読可能、僅かに白濁
3:判読可能(小さな文字はやや見難い)、少し白濁
2:判読困難、かなり白濁
1:判読不能、完全に白濁
得られた各試料について、目視にて凝集塊の有無、大きさを確認した。また、文字を書いた白い紙の上に各試料を置き、各試料を介して文字を判読できるか否か(試料の透明度)について確認した。表3及び表4に評価結果を示す。文字判読の可否(試料の透明度)については、以下の5段階で評価した。
5:明瞭に判読可能、無色透明
4:判読可能、僅かに白濁
3:判読可能(小さな文字はやや見難い)、少し白濁
2:判読困難、かなり白濁
1:判読不能、完全に白濁
(評価結果)
表3及び表4より、ホモミクサー及びナノマイザーを適用した実施例1〜実施例3において、凝集塊が無く、透明度があるものが得られたことが分かる。特に、実施例3において、アルミナ添加量を10質量%に増やしても、凝集塊が無く、透明度があるものが得られたことより、ナノフィラー添加量を多くした場合にも本発明の効果があることが確認できた。また、ナノマイザーのパス数を15回とした実施例2では、パス数5回の実施例1よりも若干透明度が高かった。
表3及び表4より、ホモミクサー及びナノマイザーを適用した実施例1〜実施例3において、凝集塊が無く、透明度があるものが得られたことが分かる。特に、実施例3において、アルミナ添加量を10質量%に増やしても、凝集塊が無く、透明度があるものが得られたことより、ナノフィラー添加量を多くした場合にも本発明の効果があることが確認できた。また、ナノマイザーのパス数を15回とした実施例2では、パス数5回の実施例1よりも若干透明度が高かった。
一方、手動混合の比較例2では、凝集塊が多数見られ、その大きさも5mm前後以上のものがほとんどであった。また、低速攪拌機にて300rpm、2時間処理した比較例3でも、凝集塊が多数見られ、その大きさも1mm前後以上のものがほとんどであった。ホモミクサーのみでナノマイザーによる処理を行わなかった比較例4では、透明度は許容範囲であるが、1mm未満程度の大きさの凝集塊が僅かであるが目視で確認された。
〔実施例4、比較例5〜6〕
〔絶縁破壊特性の評価〕
図2は、電気トリーイング絶縁破壊の試験回路を示す図である。図2に示すトリーイング用試験電極(トリー電極)を以下のように作製し、試料の絶縁破壊特性の評価を行った。
〔絶縁破壊特性の評価〕
図2は、電気トリーイング絶縁破壊の試験回路を示す図である。図2に示すトリーイング用試験電極(トリー電極)を以下のように作製し、試料の絶縁破壊特性の評価を行った。
1.トリーイング用試験電極(トリー電極)の作製
本発明の製造方法にしたがって、エポキシ/アルミナナノコンポジット試料1(実施例4)を作製した。主材としては、予め反応性希釈剤であるカージュラE10が主材に対して約20質量%添加されているビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート816B、JER株式会社製)を用いた。ナノフィラーとしては、ナノサイズのベーマイト・アルミナ(商品名:DISPERAL OS-1、サソール・ジャパン株式会社製)を用いた。アルミナは、後述の硬化剤が添加された成型後のエポキシ樹脂に対して5質量%に相当する量をエポキシ樹脂に添加した。
本発明の製造方法にしたがって、エポキシ/アルミナナノコンポジット試料1(実施例4)を作製した。主材としては、予め反応性希釈剤であるカージュラE10が主材に対して約20質量%添加されているビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート816B、JER株式会社製)を用いた。ナノフィラーとしては、ナノサイズのベーマイト・アルミナ(商品名:DISPERAL OS-1、サソール・ジャパン株式会社製)を用いた。アルミナは、後述の硬化剤が添加された成型後のエポキシ樹脂に対して5質量%に相当する量をエポキシ樹脂に添加した。
ベーマイト・アルミナ混合後、アミン系の硬化剤(エピキュア113、JER株式会社製)を主材に対して30質量%添加してトリー電極作製用の金型に注型し、その後、充分に真空脱泡して加熱硬化させた。硬化条件は、70℃,3時間(一次)、120℃,3時間(二次)にて行った。トリー電極4として用いた針電極2は、長さ60mm、直径1mm、針先端曲率半径5μmの鉄製の針である。加熱硬化させて作製した試料1は透明性が保たれていた。
硬化後のブロック状の試料1の底面に平板電極3として50mm×50mmの銅板を導電性接着剤で固定して、電極間距離3mmの針−平板電極系のトリー電極4を作製した。
ナノサイズのベーマイト・アルミナを無添加とした以外は試料1と同様にして作製した比較試料1aを用いて、トリー電極4を上記同様に作製した(比較例5)。また、ホモミクサー及びナノマイザーを適用せず手攪拌のみを適用した以外は試料1と同様にして作製した比較試料1bを用いて、トリー電極4を上記同様に作製した(比較例6)。
2.試験方法
作製したトリー電極4をアクリル容器5中のシリコン油6に浸し、針−平板電極間に30kVrmsの交流電圧(60Hz)を印加し、絶縁破壊するまでの時間を計測した。試料1、比較試料1a、比較試料1bそれぞれ5個ずつ計測した。
作製したトリー電極4をアクリル容器5中のシリコン油6に浸し、針−平板電極間に30kVrmsの交流電圧(60Hz)を印加し、絶縁破壊するまでの時間を計測した。試料1、比較試料1a、比較試料1bそれぞれ5個ずつ計測した。
3.試験結果
図3は、絶縁破壊特性の試験結果である。図中のシンボルは平均値を示し、最大値と最小値を各シンボル上下に示す。各試料の絶縁破壊時間の平均値は、試料1が約20分であり、比較試料1aでは約7分であり、エポキシ/アルミナナノコンポジット試料1の方が絶縁破壊時間が長かった。これは、エポキシ樹脂中において、高電界部の針先端から接地電極へ発生・伸展する電気トリーをナノフィラーであるアルミナが阻害したものと考えられる。また、5%アルミナ添加品を手で撹拌したのみの比較試料1b(コンポジット未完成品)では、無添加に比べて絶縁破壊時間の向上が見られず、本発明の製造方法の優位性が明らかになった。
図3は、絶縁破壊特性の試験結果である。図中のシンボルは平均値を示し、最大値と最小値を各シンボル上下に示す。各試料の絶縁破壊時間の平均値は、試料1が約20分であり、比較試料1aでは約7分であり、エポキシ/アルミナナノコンポジット試料1の方が絶縁破壊時間が長かった。これは、エポキシ樹脂中において、高電界部の針先端から接地電極へ発生・伸展する電気トリーをナノフィラーであるアルミナが阻害したものと考えられる。また、5%アルミナ添加品を手で撹拌したのみの比較試料1b(コンポジット未完成品)では、無添加に比べて絶縁破壊時間の向上が見られず、本発明の製造方法の優位性が明らかになった。
1 試料
2 針電極
3 平板電極
4 トリー電極
5 アクリル容器
6 シリコン油
2 針電極
3 平板電極
4 トリー電極
5 アクリル容器
6 シリコン油
Claims (5)
- 有機ポリマーにナノサイズの無機フィラーを添加混合した後、前記有機ポリマー中で凝集した前記無機フィラーを直径10μm以下の凝集塊となるように混合分散機により混合分散する第1の工程と、
前記第1の工程で得られた分散混合物を、加圧してオリフィスを通過させる分散均一化機により分散均一化する第2の工程とを有することを特徴とするポリマー系ナノコンポジットの製造方法。 - 前記有機ポリマーは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載のポリマー系ナノコンポジットの製造方法。
- 前記無機フィラーは、層状シリケート、SiO2(シリカ)、TiO2(酸化チタン)、Al2O3(アルミナ)、AlN(窒化アルミ)、BN(窒化ホウ素)であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポリマー系ナノコンポジットの製造方法。
- 前記有機ポリマーは、前記第1の工程において、希釈剤の添加及び/又は加熱処理により、粘度が30Poise以下とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポリマー系ナノコンポジットの製造方法。
- 前記混合分散機は、羽根回転型攪拌機であり、その処理条件が1,000〜12,000rpmで0.5〜24時間であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポリマー系ナノコンポジットの製造方法。
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