JP2006245218A - チップ抵抗器とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チップ型の絶縁基板2の上面における両端に形成した上面電極4と,この両上面電極の間の部分に両端を両上面電極に一部重なるように形成した抵抗膜5と,前記抵抗膜を覆うカバーコート8と,前記絶縁基板における左右両端面に形成して成る側面電極9とから成るチップ抵抗器において,前記上面電極4における耐腐食性を向上するとともに,端子電極の比抵抗を低くする。
【解決手段】 前記両上面電極4の上面に,第2の上面電極6を,当該第2の上面電極の一部が前記抵抗膜5のうち前記上面電極の上面に重なる部分5aに対して直接重なるように形成する一方,前記カバーコート8の両端を,前記両第2の上面電極6のうち前記抵抗膜5の上面に重なる部分6aに対して重なるように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は,チップ型にした絶縁基板に,少なくとも一つの抵抗膜,その両端に対する端子電極及び前記抵抗体を覆うカバーコートを形成して成るチップ抵抗器と,その製造方法とに関するものである。
従来,この種のチップ抵抗器は,絶縁基板における上面のうち中央の部分に,抵抗膜を覆うカバーコートが高く突出した形態で,大きな段差を有する構成であったから,このチップ抵抗器を,真空吸着式のコレットに吸着するときにおいて,吸着不能になるとか,カバーコートに割れが発生する等の不具合がある。
これに加えて,前記抵抗膜の両端に対する両端子電極のうち絶縁基板の上面に抵抗膜に繋がるように形成した上面電極を,電気抵抗の小さい銀を主成分とする導電ペーストにて形成することに加えて,前記抵抗膜の形成を容易にすることのために,前記上面電極を厚さを薄くしていることにより,この上面電極には,当該上面電極の表面に半田付けのための金属メッキ層が形成されているといえども,大気空気中の硫化水素等の硫黄ガスによって銀が硫化銀になるというように,硫黄成分等によってマグレーション等の腐食が発生することになって,この上面電極の断線に至るという不具合がある。
そこで,最近においては,例えば,特許文献1及び2に記載されているように,前記抵抗膜の両端に対する両上面電極に,補助上面電極を,前記カバーコートに対して一部重なるように,厚く重ねて形成することにより,段差を無くするか,小さくするとともに,前記上面電極の腐食を回避することを提案している。
特開平8−236302号公報 特開2002−184602号公報
この場合,従来は,前記補助上面電極のうち前記カバーコートに対して重なる部分が,銀系導電ペーストによる上面電極の真上に位置していることにより,前記補助上面電極が,前記特許文献1に記載されているように銀系導電ペーストである場合において,この補助上面電極における表面のうち前記カバーコートに対する境界部分に,大気空気中の硫黄成分等によってマグレーション等の腐食が発生すると,この腐食が,直ちに,その下層の上面電極にまで進行して,上面電極が腐食することになる。
また,前記補助上面電極が,前記特許文献2に記載されているようにニッケル系導電ペーストである場合,この補助上面電極における表面のうち前記カバーコートに対する境界部分(この境界部分における厚さは薄くなっている)が割れる等の損傷が生ずると,大気空気中の硫黄成分等が,直ちに,その下層の上面電極にまで侵入して,上面電極が腐食することになる。
従って,従来の構造では,前記上面電極の腐食を防止することの効果が低いという問題があった。
これに加えて,前記補助上面電極は,前記したように,抵抗膜の全体を覆うカバーコートを形成したあとにおいて,前記上面電極に重ねて形成したもので,この補助上面電極と,前記抵抗膜とは,前記上面電極を介して電気的に導通し,直接的に導通するという構成でないから,この補助上面電極が,抵抗膜の両端に対する端子電極における比抵抗を下げることの寄与率が低いから,このことが,この両端子電極間における抵抗値,つまり,チップ抵抗器における定格抵抗値を低い値に設定することの妨げになっているという問題もあった。
本発明は,これらの問題を解消したチップ抵抗器と,その製造方法とを提供することを技術的課題とするものである。
この技術的課題を達成するため本発明のチップ抵抗器は,請求項1に記載したように,「チップ型にした絶縁基板の上面における両端に形成した上面電極と,前記絶縁基板の上面のうち前記両上面電極の間の部分に両端を両上面電極に一部重なるように形成した抵抗膜と,前記抵抗膜を覆うカバーコートと,前記絶縁基板における左右両端面に形成して成る側面電極とから成るチップ抵抗器において,
前記両上面電極の上面に,第2の上面電極を,当該第2の上面電極の一部が前記抵抗膜のうち前記上面電極の上面に重なる部分に対して直接重なるように形成する一方,前記カバーコートの両端を,前記両第2の上面電極のうち前記抵抗膜の上面に重なる部分に対して重なるように構成した。」
ことを特徴としている。
また,本発明のチップ抵抗器は,請求項2に記載したように,
「前記請求項1の記載において,前記両上面電極を,銀系導電ペーストにて形成する一方,前記両第2の上面電極を,Pdを含む銀系導電ペーストにて形成する。」
ことを特徴としている。
次に,本発明の製造方法は,請求項3に記載したように,
「チップ型にした絶縁基板の上面における両端に上面電極を,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
前記絶縁基板の上面のうち前記両上面電極の間の部分に抵抗膜を,当該抵抗膜における両端を両上面電極に一部重なるように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
前記両上面電極の上面に重ねて第2の上面電極を,当該第2の上面電極における一部が前記抵抗膜のうち前記上面電極の上面に重なる部分に対して直接重なるように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
前記抵抗膜を覆うカバーコートを,当該カバーコートにおける両端を前記両第2の上面電極のうち前記抵抗膜の上面に重なる部分に対して重なるように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
前記絶縁基板における左右両端面に側面電極を,前記補助上面電極に電気的に接続するように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
を備えている。」
ことを特徴としている。
また,本発明の製造方法は,請求項4に記載したように,
「前記請求項3の記載において,前記上面電極,前記抵抗膜及び前記第2の上面電極を形成する工程が,その各々における材料ペーストの塗布と,その三者に対する同時の焼成である。」
ことを特徴としている。
前記請求項1に記載した構成にしたことにより,両第2の上面電極と,カバーコートとが重なる部分における下側には,抵抗膜のうち上面電極の上面に対して重なる部分が存在しているから,前記第2の上面電極が銀系導電ペーストである場合において,この第2の上面電極における表面のうち前記カバーコートに対する境界部分に,大気空気中の硫黄成分等によってマグレーション等の腐食が発生しても,この腐食が,直ちに,その下側の上面電極にまで進行すること,及び,前記第2の上面電極の前記カバーコートに対する境界部分から大気空気が上面電極に向かって進入することを,前記抵抗膜のうち上面電極の上面に対して重なる部分にて確実に防止することができる。
一方,前記両第2の上面電極は,抵抗膜に対して直接に接続されていることにより,抵抗膜に対する通電は,前記第2の上面電極と,上面電極との両方を介して行われ,抵抗膜に対する端子電極における比抵抗を,大幅に低くすることができる。
従って,本発明によると,上面電極に重ねて形成した第2の上面電極によって,上面電極における耐腐食性を大幅に向上することができる一方,端子電極における比抵抗を大幅に下げることができる。
特に,請求項2に記載したように,前記両上面電極を,銀系導電ペーストにて形成する一方,前記両第2の上面電極を,Pdを含む銀系導電ペーストにて形成することにより,前記端子電極における比抵抗をより低減できるものでありながら,前記第2の上面電極に腐食が発生することを,これにPdを含ませることによって低減できるから,耐腐食性を更に向上できる。
また,請求項3に記載した製造方法によると,前記した性能を有するチップ抵抗器を低コストで製造することができ,更にまた,請求項4に記載した製造方法によると,上面電極,抵抗膜及び第2の上面電極の三者を一回の焼成にて形成できるから,製造コストを更に低減できる。
以下,本発明の実施の形態を図面ついて説明する。
図1は,本発明の実施の形態によるチップ抵抗器1を示す。
この実施の形態によるチップ抵抗器1は,以下に述べるように構成している。
すなわち,チップ型に構成した絶縁基板2の下面に,左右一対の下面電極3を,銀系導電ペーストにて形成している一方,前記絶縁基板2における上面のうち左右両端の部分に,左右一対の上面電極4を銀系導電ペーストにて形成している。
前記絶縁基板2における上面のうち前記両上面電極4間の部分に,抵抗膜5を,当該抵抗膜5の両端の部分が前記両上面電極4の上面の一部に対して直接重なるように形成している。
前記両上面電極4の上面に,同じく銀系導電ペーストによる第2の上面電極6を厚く重ねて形成するにおいて,この両第2の上面電極6の一部が,前記抵抗膜5のうち前記上面電極4の上面に重なる部分5aに対して直接重なるように構成している。
また,前記抵抗膜5のうち前記両第2の上面電極6の間の部分に,当該抵抗膜5を覆うガラス等によるアンダーコート7と,このアンダーコート7を覆うガラス等によるカバーコート8とを形成するにおいて,前記カバーコート8の両端が,前記両補助上面電極6のうち前記抵抗膜5の上面に重なる部分6aに対して重なるように構成している。
この場合において,前記カバーコート8の上面と,前記第2の上面電極6の上面との間に大きな段差ができるときには,前記第2の上面電極6を,図示のように,前記の段差を無くするか小さくするように厚い厚さにして形成するか,或いは,前記第2の上面電極6の上面に,前記従来の場合と同様に,前記の段差を無くするか低くするための補助上面電極を形成するように構成しても良い。
一方,前記絶縁基板2における左右両端面2aに,側面電極9を,前記下面電極3と前記第2の上面電極6(及び,補助上面電極)との両方に対して電気的に繋がるように形成している。
そして,前記下面電極3,第2の上面電極6及び側面電極9の表面には,例えば,下地としてのニッケルメッキ層と,錫又は半田等の半田付け用メッキ層とからなる金属メッキ層10を形成している。
この構成において,前記両第2の上面電極6と,カバーコート8とが重なる部分における下側には,抵抗膜5のうち上面電極4の上面に対して重なる部分5aが存在しているから,前記第2の上面電極6が銀系導電ペーストである場合において,この第2の上面電極6における表面のうち前記カバーコート8に対する境界部分に,大気空気中の硫黄成分等によってマグレーション等の腐食が発生しても,この腐食が,直ちに,上面電極4にまで進行すること,及び,前記第2の上面電極6の前記カバーコート8に対する境界部分から大気空気が上面電極4に向かって進入することを,前記抵抗膜5のうち上面電極4の上面に対して重なる部分5aにて確実に防止することができる。
一方,前記両第2の上面電極6は,抵抗膜5に対して直接に接続されていることにより,抵抗膜5に対する通電は,前記第2の上面電極6と,上面電極4との両方を介して行われるから,抵抗膜5に対する端子電極における比抵抗を,大幅に低くすることができる。
この場合において,前記両第2の上面電極6を,Pdを含む銀系導電ペーストにて形成することにより,当該第2の上面電極6における比抵抗を低くした状態のもとで,当該第2の上面電極6に腐食が発生することを低減できる。
前記構成によるチップ抵抗器1は,以下に述べる順序の工程によって製造される。
先ず,第1の工程において,図2に示すように,絶縁基板1に,下面電極3及び上面電極4を,銀系導電性ペーストのスクリーン印刷による塗布と,その後における高い温度での焼成にて形成する。
なお,この場合,下面電極3の方を先に形成し,次いで,上面電極5を形成するか,両者を同時に形成するようにしても良い。
次いで,第2の工程において,図3に示すように,前記絶縁基板2の上面に抵抗膜5を,その材料ペーストのスクリーン印刷による塗布と,その後における高温での焼成にて形成する。
次いで,第3の工程において,図4に示すように,前記両上面電極4の上面に補助上面電極6を,銀系導電性ペースト又はPdを含む銀系導電ペーストのスクリーン印刷による塗布と,その後における高温での焼成にて形成する。
この場合,別の製造方法においては,絶縁基板2に対して,下面電極3を,銀系導電性ペーストのスクリーン印刷等による塗布とその後の焼成にて形成し,次いで,上面電極4用の銀系導電性ペーストのスクリーン印刷等による塗布,抵抗膜5用の材料ペーストのスクリーン印刷等による塗布及び補助上面電極6用の銀系導電性ペースト又はPdを含む銀系導電ペーストのスクリーン印刷等による塗布を行ったのち,前記上面電極4,抵抗膜5及び補助上面電極6の三者における焼成を,一回の焼成にて行うようにしても良い。
次いで,第4の工程において,図5に示すように,前記抵抗膜5を覆うアンダーコート7を,そのガラスの材料ペーストのスクリーン印刷による塗布と,その後におけるガラスの軟化温度での焼成にて形成する。
また,このアンダーコート7を形成したあとにおいて,前記抵抗膜5に対して,その抵抗値が所定値になるようにトリミング調整を行う。
次いで,第5の工程において,図6に示すように,前記アンダーコート7を覆うカバーコート8を,そのガラスの材料ペーストのスクリーン印刷による塗布と,その後におけるガラスの軟化温度での焼成にて形成する。
このカバーコート8を形成した状態において,このカバーコート8の上面と,前記第2の上面電極6の上面との間に大きな段差ができるときには,前記第2の上面電極6を,図示のように,前記の段差を無くするか小さくするように厚い厚さにして形成するか,或いは,前記第2の上面電極6の上面に,前記従来の場合と同様に,図6に二点鎖線で示すように,前記の段差を無くするか低くするための補助上面電極6′を形成するという構成にすれば良い。
次いで,第6の工程おいて,図7に示すように,前記絶縁基板2の左右両側面2aに,側面電極9を,銀系導電ペーストの塗布と,その後における高い温度での焼成にて形成する。
そして,前記第7の工程において,前記下面電極3,第2の上面電極6(補助上面電極6′)及び側面電極9の表面に,金属メッキ層10を,バレルメッキ処理等にて形成する。
これにより,前記図1に示す構造のチップ抵抗器1を製造することができる。
本発明の実施の形態によるチップ抵抗器を示す縦断正面図である。 第1の製造工程を示す図である。 第2の製造工程を示す図である。 第3の製造工程を示す図である。 第4の製造工程を示す図である。 第5の製造工程を示す図である。 第6の製造工程を示す図である。
符号の説明
1 チップ抵抗器
2 絶縁基板
2a 端面
3 下面電極
4 上面電極
5 抵抗膜
5a 抵抗膜のうち上面電極の上面に重なる部分
6 第2の上面電極
6a 第2の上面電極のうち抵抗膜の上面に重なる部分
6′ 補助上面電極
7 アンダーコート
8 カバーコート
9 側面電極
10 金属メッキ層

Claims (4)

  1. チップ型にした絶縁基板の上面における両端に形成した上面電極と,前記絶縁基板の上面のうち前記両上面電極の間の部分に両端を両上面電極に一部重なるように形成した抵抗膜と,前記抵抗膜を覆うカバーコートと,前記絶縁基板における左右両端面に形成して成る側面電極とから成るチップ抵抗器において,
    前記両上面電極の上面に,第2の上面電極を,当該第2の上面電極の一部が前記抵抗膜のうち前記上面電極の上面に重なる部分に対して直接重なるように形成する一方,前記カバーコートの両端を,前記両第2の上面電極のうち前記抵抗膜の上面に重なる部分に対して重なるように構成したことを特徴とするチップ抵抗器。
  2. 前記請求項1の記載において,前記両上面電極を,銀系導電ペーストにて形成する一方,前記両第2の上面電極を,Pdを含む銀系導電ペーストにて形成することを特徴とするチップ抵抗器。
  3. チップ型にした絶縁基板の上面における両端に上面電極を,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
    前記絶縁基板の上面のうち前記両上面電極の間の部分に抵抗膜を,当該抵抗膜における両端を両上面電極に一部重なるように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
    前記両上面電極の上面に重ねて第2の上面電極を,当該第2の上面電極における一部が前記抵抗膜のうち前記上面電極の上面に重なる部分に対して直接重なるように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
    前記抵抗膜を覆うカバーコートを,当該カバーコートにおける両端を前記両第2の上面電極のうち前記抵抗膜の上面に重なる部分に対して重なるように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
    前記絶縁基板における左右両端面に側面電極を,前記補助上面電極に電気的に接続するように,材料ペーストの塗布と焼成にて形成する工程,
    を備えていることを特徴とするチップ抵抗器の製造方法。
  4. 前記請求項3の記載において,前記上面電極,前記抵抗膜及び前記第2の上面電極を形成する工程が,その各々における材料ペーストの塗布と,その三者に対する同時の焼成であることを特徴とするチップ抵抗器の製造方法。
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