以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態では、カード状媒体としてロール紙をカットしたものを例に説明しているが、ロール紙をカットしたカード状媒体に限らず、はじめからカード状を成すカード状媒体でも良い。また、カード状媒体としては、紙製のカードに限るものではなく、プラスチック製、金属製、その他の材料製のカード状媒体でも良い。
図1〜図31に、本発明のカード状媒体搬送機構を示す。このカード状媒体搬送機構201は、搬送路202上を搬送されるカード状媒体3にヘッド129を押し当てながら搬送するもので、ヘッド129は搬送路202内に進入、退避可能に移動するとともに、ヘッド129が退避状態(図1の状態)のとき、カード状媒体3の搬送方向(図1の矢印A方向)に沿って移動し搬送路202を形成するガイド部203が設けられている。本実施形態では、例えば切符等のカード状媒体(以下、カードという)3を発行するカード発行機1に採用されているカード状媒体搬送機構201を例に説明する。ただし、カード発行機1としては、切符等を発行するものに限るものではないことは勿論である。また、ヘッド129として、例えばカード3に印刷を行う印字ヘッド129を採用している。ただし、印字ヘッド129に限るものでなく、その他のヘッドでも良いことは勿論である。
カード発行機1は、切符等のカード3の発行に使用するものであり、表側が印字面で裏側が磁性面であるロール紙2を所定の長さに切断して、磁性面に磁気データを記録すると共に印字面に文字等を感熱印字してカード3を発行するものである。図33にカード3を示す。ロール紙2の表面の一側には所定間隔でマーク257が付されており、カード発行機1はマーク257に基づいてロール紙2の長さを判断し、所定の長さに切断してカード3とする。なお、図33中符号258で示す領域は、裏面の磁性面において磁気ストライプとして使用しデータを書き込む領域である。また、符号259で示す位置にはカード3の使用時において入場を示す孔があけられ、符号260で示す位置には出場を示す孔があけられる。
このカード発行機1は、ロール紙2を保持するロール紙の取付機構4と、取付機構4に保持されたロール紙2を取り込んで搬送する第1取込機構5と、搬送中のロール紙2の弛みを形成するループ機構6と、ループ機構6からのロール紙2を取り込んで搬送する第2取込機構7と、ロール紙2を切断してカード3にするカット機構8と、カード3を待機させるカード待機部9と、カード3を直角に方向転換させながら搬送するカード送り機構10と、カード3の磁性面に磁気データを記録及び再生するライトリード部11と、カード3の印字面に印字を行う印字部12と、完成されたカード3を外部に搬出するカード発行部13と、カード3への磁気データの記録及び再生に異常があった場合にそのカード3を回収して収納する回収部14とを備えている。
そして、図4〜図6に示すように、カード発行機1の各部は薄い直方体形状のケーシング15に収容されている。このケーシング15内には、本体シャーシ210が固定されている。本体シャーシ210には、本体シャーシ210との間にガイド部203を取り付けるフレームガイド211と、本体シャーシ210との間に第1取込機構5、ループ機構6、第2取込機構7、カット機構8、カード待機部9、カード送り機構10、ライトリード部11を取り付ける図示しないフレームプレートが取り付けられている。第1取込機構5、ループ機構6、第2取込機構7、カット機構8、カード待機部9、カード送り機構10、ライトリード部11、印字部12、カード発行部13はロール紙2の搬送経路に沿って順に配設されている。また、回収部14はカード送り機構10に連続して配設されている。
また、図1に示すように、搬送路202は、カット機構8からカード送り機構10までの鉛直な第1の直線搬送路159と、カード送り機構10から印字部12までの水平な第2の直線搬送路160と、これら第1の直線搬送路159及び第2の直線搬送路160の間に位置する屈曲部98とから成る。屈曲部98は円弧形状であり、第1の直線搬送路159と第2の直線搬送路160とを90度に方向転換する。これにより、カード発行機1の小型化を図ることができる。さらに、第1の直線搬送路159は、互いに向き合う第1ガイド28及び第2ガイド29から成る。また、第2の直線搬送路160は、互いに向き合う第2ガイド29及び第3ガイド30から成る。屈曲部98は、第2ガイド29と第1ガイド28及び第3ガイド30から成る。本実施形態では屈曲部98はカード3を90度に方向転換するものとしているが、これには限られずカード発行機1での搬送路202の配置に応じて他の曲折角度とすることができる。
また、図3及び図4に示すように、ケーシング15にはガイドドア246が設けられている。このガイドドア246は、蝶番19,19により開閉可能に取り付けられている。このガイドドア246の内側面にはスペーサ板248が固着されている。
ガイドドア246を閉じた状態では、搬送路202の幅方向の一方の側部をガイドドア246の内側面又はスペーサ板248によって規制すると共に、搬送路202の幅方向の他方の側部を本体シャーシ210によって規制している。そして、カード3は本体シャーシ210を基準面として搬送される。ガイドドア246の上側には、図3に示すようなカバー板32が取り付けられている。
ロール紙2の取付機構4は、図7及び図11に示すように、巻回されたロール紙2の中心孔であるロール芯33が嵌め合わされる回転可能なスピンドル34と、このスピンドル34を回転可能に支持する固定軸35と、ロール紙2をスピンドル34に固定するロール紙取付部材36とを備えている。ロール紙取付部材36は、ロール芯33の側方に位置する押さえ部37と、固定軸35内に挿入して保持される被保持部38とを備えている。ここで、スピンドル34にロール芯33を嵌め合わせることにより、ロール紙2が回転可能に支持される。なお、図7中符号262は、本体シャーシ210に固着されたサイドフレームである。
固定軸35は、挿入された被保持部38に係止する弾性的に付勢された係止部39を備えている。固定軸35は、ほぼ円筒形状としている。固定軸35の基端面は詳しくは後述すくロール紙シャーシ247にねじ止めにより固定している。固定軸35の外周にはスピンドル34が回転可能に嵌合されている。固定軸35の先端部にはCリング41が嵌合されてスピンドル34の固定軸35からの脱落を防止している。
係止部39は、固定軸35の中央部付近に形成された1本の直径線上に位置する2本の貫通孔42,42と、各貫通孔42に摺動可能に収容された例えば鋼球であるボール43と、各貫通孔42の外側にねじ止めされた板ばねから成るばね44とから成る。このばね44は、自由端が各貫通孔42の外側を塞ぐように固定軸35のDカット面にねじ止めされている。ここで、ボール43を使用しているので、被保持部38は固定軸35に対して円滑に回転することができる。また、ボール43として鋼球を使用しているので、回転の長寿命化を図ることができる。
本実施形態では2本の貫通孔42を直線上に配置しているが、これには限られず例えば90度等の適宜な角度を開けて配置しても良い。また、本実施形態では貫通孔42とボール43とばね44とを2組設けているが、これには限られず1組としたり3組以上設けても良い。さらに、本実施形態ではばね44を板ばねとしているが、これには限られず例えば図12に示すようにボール43を固定軸35の中心側に押圧する圧縮コイルばねとすることができる。この場合、ばね44の外周側を押さえる当て板154を固定軸35のDカット面に取り付ける。また、本実施形態ではボール43を鋼球としているが、これには限られず例えばプラスチックボールとしたり他の材質のものとすることができる。この場合、被保持部38の着脱の際の節度感や操作感を変更することができる。すなわち、本実施形態のようにボール43に鋼球を用いるとカチッとした硬い節度感を得ることができるのに対し、ボール43にプラスチックボールを使用すると軟らかい操作感を得ることができる。
スピンドル34のフレーム側の端部には外周側に突出したフランジ部34aが形成されている。そして、スピンドル34に嵌合されたロール芯33はフランジ部34aに当接して固定される。ここで、スピンドル34のフランジ34aのロール芯33が当接する面とスピンドル34の先端面との長さはロール芯33の幅よりも僅かに短くしている。このため、固定軸35に装着されたロール紙取付部材36の押さえ部37はロール芯33に当接すると共にスピンドル34に対して僅かに隙間を生ずる。これにより、押さえ部37がロール芯33をフランジ34aに隙間無く押し付けることができる。
被保持部38は、固定軸35の中心孔35aに挿入される中心軸としている。被保持部38の挿入方向の先端部は円錐状としている。そして、被保持部38には、係止部39であるボール43,43が嵌入して係止する係合凹部45が形成されている。係合凹部45は被保持部38の挿入方向の先端部付近に環状に形成されている。また、係合凹部45の挿入方向先端側の段は、外周側を先端側に傾斜した押さえ面45aとしている。
さらに、押さえ部37は、外径がロール紙2のロール芯33の内径よりも若干大きい円板としている。本実施形態では押さえ部37を外径がロール芯33の内径よりも若干大きい円板としているが、これには限られず例えばロール紙2の全体の外径よりも大きい円板としたり、図13に示すようにロール紙2の外径よりも長い2本の腕部を有する十字形板とすることができる。これらの場合、巻回したロール紙2の中心と外周部とが軸方向にずれて円錐状になっていたり円柱状に巻回したロール紙2が不整列で側面に凹凸がある場合には、ロール紙2の側面を押さえ部37により押さえながら回転させることができるので、ロール紙2の安定した供給を行うことができる。
そして、被保持部38の挿入方向と反対側の端面には押さえ部37を挟んで摘み46がねじ止めされている。ここで、被保持部38での係合凹部45の形成位置は、被保持部38を固定軸35に挿入して押さえ部37がロール芯33に当接したときにボール43,43が係合凹部45の押さえ面45aを押圧する位置としている。本実施形態ではロール紙取付部材36の被保持部38と押さえ部37と摘み46とを別部材としているが、これには限られず全体を一体成形しても良い。
固定軸35の中心孔35aに被保持部38を挿入すると、被保持部38の先端部がボール43,43をばね44,44に抗して外周側に移動させる。そして、押さえ部37がロール芯33に当接するまで被保持部38を挿入する。これにより、ボール43,43はばね44,44により中心側に押圧されて係合凹部45に嵌入する。ここで、ボール43は係合凹部45の押さえ面45aに当接する。この押さえ面45aは外周側を挿入方向側に傾斜させているので、被保持部38は挿入方向に向けて付勢される。したがって、ロール紙取付部材36を固定軸35に装着した後にロール芯33にがたつきが発生することを防止できる。
また、装着されたロール紙2は、スピンドル34及びロール紙取付部材36と一体になって固定軸35に対して回転する。さらに、摘み46を引っ張ると係合凹部45の押さえ面45aがボール43,43をばね44,44に抗して移動させる。そして、被保持部38を固定軸35から抜き出すことができる。
そして、ロール紙の取付機構4から取り出されたロール紙2は、第1取込機構5に引き込まれる。第1取込機構5は、第1取込ローラ47と、この第1取込ローラ47を回転させる直流モータから成る第1の駆動モータと、第1取込ローラ47にロール紙2を押し付けるテンションローラ49とを備えている。第1取込ローラ47は図示しないフレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。テンションローラ49はホルダ51により回転可能に支持されている。このホルダ51はフレームプレートと本体シャーシ210とにより揺動可能に支持されている。さらに、ホルダ51は、ばね(図示せず)によりテンションローラ49を第1取込ローラ47に付勢している。
ループ機構6は、ループローラ53と、このループローラ53を回転可能に支持するループレバー54とを備えている。ループレバー54の基端部はフレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。この支持位置は第1取込ローラ47と第2取込ローラ55とのロール紙2の最短経路(図1中一点鎖線Lで示す)にループレバー54が跨るものとしている。また、このループレバー54に向き合う本体シャーシ210には、図8に示すように円弧形状のスライド孔57が形成されている。スライド孔57の形成位置は、ループレバー54がほぼ水平な状態から約45度下方に傾斜する範囲で回転可能な位置としている。
さらに、本体シャーシ210の裏側でスライド孔57の最下部にはループレバー54の存在を検出するループセンサ(図示せず)が取り付けられている。このため、ループレバー54が最も下がった状態ではこのループレバー54がループセンサにより検出される。また、ループレバー54が上方に回転した状態ではループレバー54がループセンサから外れて検出されない。
これにより、第1取込機構5と第2取込機構7との間でロール紙2が十分な長さのループ59を形成している場合は、ループローラ53が自重でロール紙2を押し下げてループレバー54が最も下がった状態になるので、ループレバー54がループセンサにより検出される。また、第1取込機構5と第2取込機構7との間でロール紙2のループ長が短い場合は、ロール紙2がループローラ53を押し上げてループレバー54が上方に回転した状態になるので、ループレバー54がループセンサにより検出されなくなる。このループセンサの非検出により第1取込機構5を作動させて、ロール紙2のループ59を十分な長さにする。このループ機構6によればループレバー54が第1取込ローラ47と第2取込ローラ55との最短経路に跨っているので、ロール紙2を装着する際にループローラ53に掛け忘れて最短経路にショートカットして掛けてしまうことを防止できる。
第2取込機構7は、第2取込ローラ55と、この第2取込ローラ55を回転させるステッピングモータから成る第2の駆動モータ(図示せず)と、第2取込ローラ55にロール紙2を押し付けるテンションローラ61とを備えている。第2取込ローラ55はフレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。
第2取込ローラ55とカット機構8との間には、マーク検知センサ21が配置されている。マーク検知センサ21は、ロール紙2に形成されたマーク259を検出することによりロール紙2をカード1枚分の長さだけカット機構8に搬送するためのものである。
カット機構8は、図14に示すように、ロータリカッタ68とカッタ駆動モータ(図示せず)とを備えている。ロータリカッタ68は、ブラケット70に固定された固定刃71と、この固定刃71と平行かつ回転可能に設けられた回転刃72と、回転刃72の一端部に固着されたカッタアーム73とを有している。回転刃72は円柱の一部を面取りして断面D字形状としている。そして、回転刃72の面取り面72aと固定刃71の一側縁との間にロール紙2を通し、回転刃72を回転させて固定刃71との間の剪断力によりロール紙2を切断する。カッタアーム73には長手方向の溝73aが形成されている。この溝73aにカッタ駆動モータによって回転されるカムリング(図示せず)上のカムローラ(図示せず)が入れられている。このため、カッタ駆動モータの回転によりカムリングが回転されると、カムローラが円運動を行い、カッタアーム73を介して回転刃72が回転してロール紙2を切断することができる。そして、ロール紙2はカットされることによりカード3となる。
カード待機部9は、カード3を搬送するという指令がホストから出されるまでの間、カード3を保持して待機させるものである。このカード待機部9は、待機搬送ローラ78と待機テンションローラ79とを備えている。待機搬送ローラ78及び待機テンションローラ79は、フレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。待機搬送ローラ78は、直流モータから成る図示しない搬送モータによって回転される。
カット機構8によってカットされたカード3は、待機搬送ローラ78と待機テンションローラ79、駆動ローラ99,100とパッドローラ97、記録部搬送ローラ125と記録部テンションローラ126、再生部搬送ローラ115と再生部テンションローラ127によって搬送路202を第1の直線搬送路159→屈曲98→第2の直線搬送路160の順に搬送されて、印字部12へと搬送される。
屈曲部98にはカード送り機構10が設けられている。カード送り機構10は、屈曲性のあるカード3を第1の直線搬送路159から所定の角度を有する屈曲部98を介して第2の直線搬送路160に走行させるようにしたものである。このカード送り機構10は、屈曲部98の外側に配置した第1駆動ローラ99及び第2駆動ローラ100と、屈曲部98の内側に配置すると共に第1駆動ローラ99及び第2駆動ローラ100に同時に当接可能な共通ローラ97を備えている。
第1駆動ローラ99は第1ガイド28の開口部から搬送路202に突出している。第2駆動ローラ100は第3ガイド30の開口部から搬送路202に突出している。共通ローラ97は、第2ガイド29の開口部から搬送路202に突出していると共に、第1駆動ローラ99及び第2駆動ローラ100を押圧するテンションローラである。この共通ローラ97の直径は、カード3が屈曲部98を搬送する際にカール癖が付いて印字部12等で引っ掛かるといった悪影響が生じない程度に小さくしている。このため、カード送り機構10の小型化を図ることができる。
第1駆動ローラ99と第2駆動ローラ100は、上述した搬送モータによって回転される。
ところで、第1ガイド28の下流側の端部は第1駆動ローラ99と第2駆動ローラ100との間に位置する。そして、第2ガイド29は共通ローラ97に沿って円弧状に直角に折れ曲がり印字部12まで連続している。また、第3ガイド30が回収部14から第2駆動ローラ100を経て印字部12まで連続している。
ここで、回収部14から第1ガイド28の下流端部までの間にセレクタ117が設けられている。セレクタ117は、図15に示すように平板形状の板ばねで、回収部14側の端部、即ち上端部117aを下方に直角に折り曲げてリジェクトスタッカ121にねじ止めされている。また、セレクタ117の反対側の端部、即ち下端部117bは第1ガイド28の下流端部で上方に僅かに折れ曲がり第2ガイド29のカード搬送面上に位置している。
このセレクタ117は通常はばね圧で下方に位置して搬送路202を塞いでいる。そして、カード3が正方向に搬送されるときは、セレクタ117の下端部117bを押し上げて屈曲部98を通過する。また、カード3がライトリード部11から逆方向に搬送されるときは、カード3はセレクタ117の下端部117bにより上側に案内されて第1駆動ローラ99及び共通ローラ97に取り込まれることなく回収部14に搬送される。
また、セレクタ117の上端部117a付近の搬送路202には、リジェクト搬送ローラ118と、このリジェクト搬送ローラ118にカード3を押し付けるテンションローラ119とが向き合って配置されている。リジェクト搬送ローラ118はフレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。このリジェクト搬送ローラ118は、第1駆動ローラ99とギヤにより連結されている。このため、例えば図1中でカード3を逆方向(左方向)に搬送する場合は各コーナー搬送ローラ99,100を右回転方向に回転させるので、リジェクト搬送ローラ118は左回転方向に回転されてカード3が回収部14に搬送される。さらに、テンションローラ119はホルダ(図示せず)により回転可能に支持されている。このホルダはフレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。さらに、ホルダは、ばね(図示せず)によりテンションローラ119をリジェクト搬送ローラ118に付勢している。
ここで、セレクタ117の上端部とリジェクト搬送ローラ118及びテンションローラ119との位置関係は、図16に示すように排出寸前のカード3のセレクタ117の上端部よりも先の部分の重心Wを力点とし、セレクタ117の上端部を支点とし、テンションローラ119への反力Rを作用点としたときに、力点及び支点の距離mと支点及び作用点の距離nとの比m:nが約4.5:1となるようにしている。この比率にすることにより、カード3は排出される直前までに先端側が十分に重くなると共にカード3の後端はテンションローラ119の回転により跳ね上げられるので、排出されたカード3はカード先端3aが下向きとなって落とされる。このため、カード3が排出により先端が跳ね上がってリジェクトスタッカ121の上部に引っかかってリジェクト搬送ローラ118及びテンションローラ119により再び搬送路202に引き込まれることを防止できる。
回収部14は、図16,図17に示すように、リジェクトスタッカ121と規制ガイド122とを備えている。リジェクトスタッカ121は、セレクタ117の上端部の下方に位置する側板部121aと、この側板部121aの下端からケーシング15の側部にまで位置する底板部121bとを備えている。底板部121bはケーシング15の側部側を下方にして傾斜している。
規制ガイド122は、セレクタ117の延長線上、即ちカード3の排出方向に沿って、その上側に設けられている。このため、図17に示すように、カード3がリジェクト搬送ローラ118により排出される際に巻き癖により上向きに湾曲している場合でも、規制ガイド122によりカード3の湾曲が下方に矯正される。このため、排出されたカード3が失速してリジェクトスタッカ121の上部に引っかかって再び搬送路202に引き込まれることを防止できる。しかも、排出されたカード3は順番に重ねられるので、不良カード等の管理を容易に行うことができる。
カード送り機構10から正常に搬送されたカード3は、第2ガイド29及び第3ガイド30から成る搬送路202に案内されてライトリード部11に搬送される。ライトリード部11は、カード3に所定の磁気データを記録するための記録ヘッド123と、この記録ヘッド123の下流側に配置されると共にカード3に記録された磁気データを読み出す再生ヘッド124とを備えている。これらのヘッド123,124のヘッド面は、第2ガイド29の開口部から搬送路202に突出してバックアップローラ(図示せず)に圧接している。このバックアップローラは第3ガイド30の開口部から搬送路202に突出している。
また、記録ヘッド123のバックアップローラと同軸上に記録部搬送ローラ125が設けられている。そして、再生ヘッド124のバックアップローラと同軸上に再生部搬送ローラ115が設けられている。これら搬送ローラ125,115は第3ガイド30の開口部から搬送路202に突出している。
さらに、記録部搬送ローラ125に搬送路202を挟んで向き合う位置、即ち記録ヘッド123に対してカード3の幅方向に重なる位置に記録部テンションローラ126が設けられて記録部搬送ローラ125を押圧している。また、再生部搬送ローラ115に搬送路202を挟んで向き合う位置、即ち再生ヘッド124に対してカード3の幅方向に重なる位置に再生部テンションローラ127が設けられて再生部搬送ローラ115を押圧している。これらテンションローラ126,127は第2ガイド29の開口部から搬送路202に突出している。
記録部搬送ローラ125及び再生部搬送ローラ115はフレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。これら記録部搬送ローラ125及び再生部搬送ローラ115はカード送り機構10の第2駆動ローラ100と共に図示しないモータによって回転される。
記録部テンションローラ126及び再生部テンションローラ127は、それぞれホルダ(図示せず)により回転可能に支持されている。各ホルダはフレームプレートと本体シャーシ210とにより回転可能に支持されている。さらに、各ホルダは、ばね(図示せず)により各テンションローラ126,127を各搬送ローラ125,115に付勢している。
ライトリード部11と印字部12との間には、図示しない印字タイミングセンサが配置されている。この印字タイミングセンサによりカード3のサーマル面に印字を行うタイミングが図られる。
印字部12は、印字ヘッド129を備えている。印字ヘッド129は、例えばサーマルヘッドである。印字ヘッド129は、図32に示す駆動機構により図1に示す退避位置と図2に示す印字位置(進入位置)との間で移動される。本実施形態では、印字ヘッド129として、搬送路202に対して傾斜させた状態で使用する平面型の印字ヘッドを使用している。ただし、搬送路202に対して水平状態で使用する平面型の印字ヘッドを使用しても良く、さらには、端面型の印字ヘッドを使用しても良い。
ガイド部203は、図18〜図31に詳しく示すように、サーマルヘッド129及びプラテンローラ204を挟んで配置された前後2つのガイドユニット205,206と、各ガイドユニット205,206を駆動する駆動手段207より構成されている。各ガイドユニット205,206は、搬送路202の両側に配置された2枚の上固定ガイド208と、各上固定ガイド208の間に配置された可動ガイド209を備えている。
各ガイドユニット205,206の上固定ガイド208は、本体シャーシ210又はフレームガイド211に固着されている。上固定ガイド208は、本体シャーシ210又はフレームガイド211に固着されている下固定ガイド212との間に所定の隙間をあけて配置されており、上固定ガイド208と下固定ガイド212との間が搬送路202になっている。なお、下固定ガイド212は、プラテンローラ204を挟んで前後(カード3の搬送方向上流側と下流側)に設けられている。
前側(搬送方向上流側)ガイドユニット205の可動ガイド209は1本の固定ガイド軸213によって図18に示す位置から後側に向けてスライド可能に支持されており、後側(搬送方向下流側)ガイドユニット206の可動ガイド209は2本の固定ガイド軸213によって図18に示す位置から前側に向けてスライド可能に支持されている。なお、前側ガイドユニット205の可動ガイド209を支持する固定ガイド軸213は1本であるが、この可動ガイド209には駆動手段207のスライドレバー214が連結されているので、可動ガイド209が固定ガイド軸213を中心に揺動してしまうことはない。可動ガイド209の両脇には側板209aが設けられており、各側板209aにはカード3の搬送方向に細長い長孔215が設けられている。各長孔215に固定ガイド軸213を貫通させることで可動ガイド209を搬送方向Aにスライド可能に支持している。各固定ガイド軸213の両端部にはガイドスペーサ216がはめ込まれており、可動ガイド209の両脇の上固定ガイド208に対してどちらかに偏らせることなく、両脇の上固定ガイド208の中央に可動ガイド209を位置決めしている。
前後のガイドユニット205,206の可動ガイド209の対向端には、互い違いになる凹凸が形成されている。本実施形態では、前側ガイドユニット205の可動ガイド209の後端に2つの凹部217を設け、後側ガイドユニット206の可動ガイド209の先端には2つの凸部218を設けている。
前側ガイドユニット205の可動ガイド209には、パッドローラ219を搬送路202に突出させる長孔209dが設けられている。パッドローラ219を回転自在に支持するパッドレバー220は、前側ガイドユニット205の可動ガイド209に重ねるように配置され、可動ガイド209と一緒に固定ガイド軸213に支持されている。パッドレバー220と本体シャーシ210との間にはパッドばね221が伸ばされた状態で設けられており、パッドばね221によってパッドローラ219は搬送路202に突出する方向に付勢されている。パッドローラ219の下には、駆動ローラ222が設けられている。
このようにパッドレバー220を可動ガイド209に重ねるように配置しているので、機構を小型化することができる。また、パッドレバー220と可動ガイド209を共通の固定ガイド軸213によって支持することで、いわばパッドレバー220の支点軸と可動ガイド209のガイド軸とを共通化することができるので、機構を小型化することができる。
また、後側ガイドユニット206の可動ガイド209には、パッドローラ223を搬送路202に突出させる長孔209bと、パッドローラ224を媒体搬送路202に突出させる長孔209cが設けられている。パッドローラ223を回転自在に支持するパッドレバー225は、後側ガイドユニット206の可動ガイド209に重ねるように配置され、可動ガイド209と一緒に固定ガイド軸213に支持されている。また、パッドローラ224を回転自在に支持するパッドレバー226は、パッドレバー225と可動ガイド209との間に重ねるように配置され、可動ガイド209と一緒に固定ガイド軸213に支持されている。パッドレバー225及びパッドレバー226と本体シャーシ210との間にはパッドばね227が伸ばされた状態で設けられており、パッドばね227によってパッドローラ223,224は搬送路202に突出する方向に付勢されている。各パッドローラ223,224の下には、駆動ローラ228,229がそれぞれ設けられている。
このようにパッドレバー225とパッドレバー226を重ね、更に可動ガイド209に重ねるように配置しているので、機構を小型化することができる。また、パッドレバー225と可動ガイド209を共通の固定ガイド軸213によって支持することで、いわばパッドレバー225の支点軸と可動ガイド209のガイド軸とを共通化することができ、パッドレバー226と可動ガイド209を共通の固定ガイド軸213によって支持することで、いわばパッドレバー226の支点軸と可動ガイド209のガイド軸とを共通化することができるので、機構を小型化することができる。
駆動手段207は、本体シャーシ210に固定されたソレノイド230と、ソレノイドレバー支点軸231によって揺動可能に本体シャーシ210に取り付けられてソレノイド230によって揺動されるソレノイドレバー232と、ソレノイドレバー232によって前後方向に移動する2本のスライドレバー214と、スライドレバー214と後側ガイドユニット206の可動ガイド209を連結する2本のレバー233を備えている。2本のスライドレバー214は、その前後部分を連動軸234,235によって連結され一体となってスライドする。後側の連動軸235にはソレノイドレバー232が連結されている。また、各スライドレバー214の前端にはアーム236がそれぞれ一体成形されており、各アーム236の先端は連動軸237によって前側ガイドユニット205の可動ガイド209にそれぞれ連結されている。レバー233は、駆動ローラ229が固定されているシャフト238にレバースリーブ239を介して揺動可能に取り付けられている。レバー233の一端は軸262を介してスライドレバー214に、他端は軸263を介して後側ガイドユニット206の可動ガイド209にそれぞれ連結されている。ソレノイドレバー232には軸264が取り付けられており、軸264と本体シャーシ210との間にはコイルスプリング240が伸びた状態で設けられている。
ソレノイド230がオフ状態の場合には、コイルスプリング240によってソレノイドレバー232が図18に示す位置に引き寄せられており、スライドレバー214は前側ガイドユニット205の可動ガイド209を前側に移動させている。また、レバー233は後側ガイドユニット206の可動ガイド209を後側に移動させている。即ち、前後の可動ガイド209が開いている。
この状態からソレノイド230がオン操作されると、図19に示すようにソレノイド230がコイルスプリング240の付勢力に抗してソレノイドレバー232を揺動させる。このため、スライドレバー214が後側にスライドし、前側ガイドユニット205の可動ガイド209を後側にスライドさせる。また、スライドレバー214のスライドによってレバー233が揺動し、後側ガイドユニット206の可動ガイド209を前側に移動させる。このため、前後の可動ガイド209が閉じる。閉じた状態では、後側ガイドユニット206の可動ガイド209の凸部218が前側ガイドユニット205の可動ガイド209の凹部217に入り込んでおり、カード3の幅方向から見ると各可動ガイド209の端部が重なり合う構造となっている。このため、各可動ガイド209ユニット205,206間をカード3が往復方向のいずれの方向にもスムースに通過することができる。
この状態から、ソレノイド230がオフ操作されると、ソレノイドレバー232が図18に示す元の位置に戻り、スライドレバー214を前側位置に戻すので、前後の可動ガイド209が開く。
可動ガイド209の開閉にソレノイド230を使用しているので、素早く可動ガイド209を開閉することができる。
カード発行機1のホストは、カード発行機1が客待ちの待機状態の時には、ソレノイド230をオフしている。このため、可動ガイド209は開いた状態になっている。そして、客によってカード発行機1が操作されると、即ちカード発行機1が作動すると、ホストはソレノイド230をオン操作して可動ガイド209を閉じる。
カード発行機1の作動中において、ホストは、サーマルヘッド129が退避している場合には前後の可動ガイド209を閉じており、カードに印字するためにサーマルヘッド129を媒体搬送路202に進入させる場合にのみ前後の可動ガイド209を開く。
印字ヘッド129を移動させる構造を図32示す。印字ヘッド129は、本体シャーシ210に軸354を中心に揺動自在に取り付けられたヘッド支持レバー351に固定されている。ヘッド支持レバー351にはアーム352が取り付けられており、アーム352と本体シャーシ210との間にはコイルスプリング353が伸ばされた状態で設けられている。したがって、印字ヘッド129は搬送路202に進入させる方向にコイルスプリング353によって常時付勢されている。また、本体シャーシ210には図示しないヘッド駆動用モータが取り付けられており、ヘッド駆動用モータの回転軸に取り付けられたカムを回転させることで、ヘッド支持レバー251を上げ下げする。
ヘッド駆動用モータは、ホストによって操作される。ホストの操作によってヘッド駆動モータが回転すると、ヘッド駆動用モータの回転軸に取り付けられたカムが回転し、コイルスプリング353の付勢力に抗してヘッド支持レバー351を持ち上げ印字ヘッド129を上昇させる。そして、印字ヘッド129を退避位置まで上昇させると、ホストはヘッド駆動用モータを停止させる。
この状態では、コイルスプリング353の付勢力がヘッド支持レバー351を下降させる方向に作用しているが、この力がカムに作用してもカムは回転しない。このため、ヘッド駆動用モータがカムを回転させない限り、ヘッド支持レバー351が下がることはない。即ち、ヘッド駆動用モータの停止状態では、印字ヘッド129が退避位置に保持される。
一方、ホストの操作によってヘッド駆動モータが回転すると、カムが回転してヘッド支持レバー351を上昇させる力が解除される。このため、コイルスプリング353の付勢力によってヘッド支持レバー251が下がり、印字ヘッド129が搬送路202に進入する。
印字ヘッド129の近傍には、インクリボン251を案内するガイドローラ252,253とガイドピン254が設けられている。供給側リール255に巻かれているインクリボン251は、ガイドローラ252とパッドローラ219の間を通り、印字ヘッド129と搬送路202の間を通り、ガイドピン254とガイドローラ253の間を通って巻き取りリール256によって巻き取られる。巻き取りリール256は図示しないモータによって駆動される。供給側リール255に巻かれているインクリボン251を巻き取りリール256によって巻き取ることで、インクリボン251の新しい部分が次々に印字ヘッド129に供給される。
印字されたカード3は発行口261から発行される。
上述したカード発行機1の動作を説明する。まず、図7及び図11に示すようにロール紙2を装填する。この装填は、ロール紙2のロール芯33をスピンドル34に嵌合してロール紙取付部材36を固定軸35に装着することにより行われる。そして、ガイドドア246を開いた状態で、ロール紙2の外周端部を第1取込機構5とループ機構6と第2取込機構7とを通してカット機構8に装着する。
そして、ガイドドア246を閉じてフィードスイッチ(図示せず)を押して各取込ローラ47,55と搬送モータを回転させる。ここで、ロール紙2の最外周分に相当する枚数分のカードに順次切断しつつ搬送し、これを回収部14に取り込んで無効とする。これは、ロール紙2は外周面が磁性面となっているので、この磁性面の傷や汚れによる誤動作を回避するためである。この回収部14への取込は、搬送モータを正転させてカード3を第2ガイド29及び第3ガイド30の間に位置させてから搬送モータを逆転させてセレクタ117及びリジェクト搬送ローラ118を経て行われる。
リジェクト動作が終了すると、最初の1枚目のカード3が待機状態となる。これにより、セット完了状態となる。また、この状態では、ソレノイド230はオフされており、ガイド部203の可動ガイド209は開いている。
そして、ホストによりカード発行指令信号が出力されると、搬送モータが回転される。これにより、カード待機部9にあったカード3が第1の直線搬送路159→屈曲98→第2直線搬送路160へと搬送される。また、同時に、ソレノイドがオン操作され、開いていたガイド部203の可動ガイド209が閉じられる。
このカード3は、記録ヘッド123により磁気データが書き込まれて再生ヘッド124により磁気データが読み出される。ここで、データの読み出しが正常で有れば、カード3が印字部12の印字ヘッド129の位置に搬送される。この状態では、可動ガイド209が閉じているので、たとえカード3がカールや湾曲等していても、カード3の先端が搬送路202から外れて印字ヘッド129の手前側の隙間等に入り込むのを防止することができる。
このとき、図示しない印字タイミングセンサによってカード3が検出されると、ホストがソレノイド230をオフするので、可動ガイド209が開く。同時に、ホストはヘッド駆動モータを作動させて印字ヘッド129を搬送路202に進入させる。これにより、カード3に印字が行われる。そして、印字されたカード3は、カード発行口261から排出される。ホストはヘッド駆動モータを作動させて印字ヘッド129をカード搬送路から退避させると共に、ソレノイドをオン操作して可動ガイドを閉じる。
また、カード3の傷や埃により磁気データの読み出しに異常があった場合は、エラーを検出した時点で搬送モータが逆転してカード3をセレクタ117を経て回収部14に送り込む。これにより、異常が発生したカード3をリジェクトスタッカ121に取り込む。
一方、次カードの発行は、先行カードの後端が記録ヘッド123の近傍に到達した時点で第2取込ローラ55が回転されることにより開始される。このため、次のカード3を作成するためのロール紙2がカット機構8からカード待機部9に送り込まれる。このロール紙2は上述と同様の動作により所定の長さのカード3に切断されて、カード待機部9に待機される。
ここで、第2取込ローラ55の回転によりループ59が短くなると、ループ機構6が作動して第1取込ローラ47が回転される。これにより、ループ59を常に所定の長さに確保することができる。
また、一旦発行したカード3を取り込む場合には、発行口261に差し込まれたカード3を図示しないEJSセンサが検出すると、ホストは各駆動ローラ229,228、プラテンローラ204、駆動ローラ222を逆転させて印字部12を逆行させてライトリード部11に搬送し、さらに搬送モータを逆転させてカード3をセレクタ117を経て回収部14に送り込む。このとき、ガイド部203の可動ガイド209は閉じており、たとえカード3が湾曲やカールしていても、印字ヘッド129周辺の隙間に入り込むことがなく、カード3のジャムを防止してスムースに搬送することができると共に、カード3の先端部が痛んだり折れたりすることを防止できる。
このように、カード状媒体搬送機構201では、動作中において、カード3に印字を行う時以外は、印字部12の隙間を可動ガイド209で塞ぐことができるので、カード3の搬送をスムースに行うことができ、ジャムを防止することができる。特に印字ヘッド129として平面型のものを採用するとジャムが生じ易いが、カード状媒体搬送機構201では、平面型の印字ヘッド129を採用してもジャムを確実に防止することができる。また、平面型の印字ヘッド129を採用すると、印字を迅速に行うことができるので、迅速にカード3を発行することができる。さらに、印字部12において、カード3の搬送方向を往復方向にできるので、カード3を発行するための搬送路と、一旦発行したカードを取り込むための搬送路を別々に設ける必要がなくなり、構造が簡単になり、部品点数を少なくすることができ、製造コストを安くすることができると共に、機構を小型化、軽量化することができる。
一方、本実施形態のロール紙2の取付機構4によれば、ロール紙取付部材36の被保持部38は固定軸35の係止部39に弾性的に付勢されて係止されると共にこの係止にはねじ部材による締付を必要としないので、ロール紙2及びスピンドル34の回転方向に拘わらずロール紙2はスピンドル34に対して常に緩みやがたつきを生ずることなく保持することができる。このため、ロール紙2の安定した供給を行うことができるようになる。
また、このロール紙2の取付機構4によれば、被保持部38は係止部39に弾性的に付勢されて係止されたものであると共にこの係止にはねじ部材による締付を必要としないので、この付勢力よりも大きな力で被保持部38を固定軸35から引っ張ればロール紙取付部材36をスピンドル34から取り外すことができる。この状態でロール紙2をスピンドル34に対して着脱することができる。このため、ロール紙の交換作業をワンタッチで迅速に行うことができ作業性を向上させることができる。
さらに、被保持部38は係止部39に弾性的に付勢されて係止されたものであるので、被保持部38が固定軸35に対して回転するときに係止部39により長期間の安定した摩擦が与えられる。このため、ロール紙2を引っ張ることを停止すると、ロール紙2は被保持部38と係止部39との摩擦により停止する。これにより、ロール紙2の慣性で回転が続くことによりロール紙2と第1取込機構5との間に弛みが生ずることを軽減できるので、次に第1取込機構5を作動させたときにロール紙2が弛んだ状態から引っ張って弛みがなくなって張力が急増することを軽減できる。このため、ロール紙2のスリップを防いで安定した搬送を維持することができる。
このように、カード状媒体搬送機構201は、ロール紙2を搬送路202に配置された例えば第1取込ローラ47、テンションローラ49、第2取込ローラ55、テンションローラ61によって構成されたローラ手段241により引き出し、ローラ手段241により搬送されたロール紙2を所定の長さに切断してカード3とし、カード3を搬送するものである。そして、ロール紙2が収納されている収納部242は図7に示すように、カード3の搬送路202の基準面243よりも外側に突出してロール紙2の幅よりも大きな幅W2を有するとともに、カード3を搬送する搬送路202にはカット機構8よりも上流側の位置に搬送されるカード3の幅方向を規制する規制手段244が配置されている。
収納部242では本体シャーシ210にロール紙2よりも僅かに大径の窓245が設けられており、その窓245はロール紙シャーシ(磁気ロール紙装着プレート)247によって塞がれている。この構造によって本体シャーシ210の厚さ分だけ収納部242の幅W2が広くなる。
ここで、本体シャーシ210は、搬送路202の幅方向奥側の位置を決定する部材であり、本体シャーシ210の内側面は搬送路202の基準面243である。ロール紙2を収納する収納部242は、一般的に基準面243を基準にして形成されている。即ち、従来は、搬送路202の基準面243である本体シャーシ210とガイドドア246とで収納部242が構成されていた。この構造では、収納部242の手前側(ロール紙取付部36側)にはロール紙2の巻き乱れを吸収できる空間を設けることができるが、収納部242の奥側(本体シャーシ210側)にはロール紙2の巻き乱れを吸収する空間を設けることができない。
これに対し、本実施形態では、搬送路202の基準面243は本体シャーシ210であるが、本体シャーシ210よりも外側のロール紙シャーシ247とガイドドア246とで収納部242の幅W2を決定している。このため、収納部242の幅W2を奥側に広げることができる。つまり、収納部242の手前側にロール紙2の巻き乱れを吸収できる空間S1を設けることができるのは勿論のこと、収納部242の奥側にもロール紙2の巻き乱れを吸収できる空間S2を設けることができる。したがって、ロール紙2が巻き乱れていてもロール紙2をスムースに回転させることができる。また、ロール紙2と収納部242を構成する部材(本実施形態ではロール紙シャーシ247、従来の構成では本体シャーシ)との接触防止を図ることができ、異音等の発生防止やロール紙側面のつぶれ等の防止を図ることができる。例えば、0.6mmだけ収納部242の幅を広くしている。
規制手段244はガイドドア246の内面に設けられている。本実施形態では、規制手段244は、例えばロール紙2に当たり幅方向にずれないようにガイドし位置決めする凸部である。本実施形態では、ロール紙2の搬送経路であって、第1の取込機構5の近傍位置に1つの規制手段244を、第2取込機構7の近傍に2つの規制手段244を設けている。規制手段244を設けることで、収納部242の幅W2をカット機構8,ライトリード部11、印字部12における搬送路202の幅W1よりも大きくしても、ロール紙2の幅方向の位置決めを行った状態でカット機構8に供給することができる。
また、搬送されたカード状媒体3を回収する回収部14及び回収部14近傍の搬送路202は、カード3の幅よりも大きな幅W3で形成されている。本実施形態では、ガイドドア246の内側にスペーサ板248を固着させているが、このスペーサ板248に、回収部14及び回収部14近傍の搬送路202に対応する部分で切り欠きを設けておくことで、スペーサ板248の厚みの分だけ回収部14及び回収部14近傍の搬送路202の幅W3を相対的に広くしている。
つまり、磁気記録部249に対応する範囲にはスペーサ板248を配置し、このスペーサ板248によってカード3を幅方向に位置決めすることで、即ち、搬送路202の幅をW1にすることで、カード3の幅方向へのずれを防止している。一方、回収部14及び回収部14近傍の搬送路202に対応する範囲では、スペーサ板248を切り欠いておくことで、スペーサ板248の厚みの分だけ幅を広くし、カード3が自重によって落下する際の引っかかりを防止している。例えば、0.6mmだけ回収部14及び回収部14近傍の搬送路202の幅W3を広くしている。
また、本実施形態では、第1の取込機構5、ループ機構6、第2取込機構7に対応する部分にスペーサ板248がかからないようにしているので、回収部14と同様に、スペーサ板248の厚みの分だけ幅が広くなっている(W3)。これにより、ロール紙2の移動がスムースになり、ループ59の形成や搬送を容易にしている。例えば、0.6mmだけ第1の取込機構5、ループ機構6、第2取込機構7に対応する範囲の搬送路202の幅を広くしている。
本体シャーシ210には、磁気記録部249を囲むようにして、例えば4本の幅決め支柱250が取り付けられている。ガイドドア246を閉めるとスペーサ板248が4本の幅決め支柱250に度当たりし、磁気記録部249における搬送路202の幅を正確に決めることができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の説明では、2つの可動ガイド209をスライドさせて開閉させるようにしていたが、必ずしも可動ガイド209を2つ設ける必要はなく、例えば可動ガイド209を1つ設け、この可動ガイド209を大きく移動させるようにして各固定ガイド208の間を開閉するようにしても良い。
また、上述の説明では、ソレノイド230によってソレノイドレバー232を駆動していたが、駆動源としてはソレノイド230に限るものではなく。例えばモータ等によってソレノイドレバー232を駆動しても良い。また、スライドレバー214をモータ等により直接駆動しても良い。
また、2本のスライドレバー214の間隔を搬送路202の幅とほぼ同じ寸法にし、スライドレバー214によって上固定ガイド208を兼ねるようにしても良い。
また、上述の説明では、パッドレバー220の支点軸と可動ガイド209のガイド軸とを固定ガイド軸213によって共通化していたが、支点軸とガイド軸とを別々に設けても良い。同様に、パッドレバー225の支点軸と可動ガイド209のガイド軸とを固定ガイド軸213によって共通化していたが、支点軸とガイド軸とを別々に設けても良い。同様に、パッドレバー226の支点軸と可動ガイド209のガイド軸とを固定ガイド軸213によって共通化していたが、支点軸とガイド軸とを別々に設けても良い。
また、上述の説明では、印字ヘッド129はサーマルヘッドであったが、サーマルヘッド以外の印字ヘッド129でも良い。
また、上述の説明では、ガイドドア246とスペーサ板248によって媒体幅方向ガイドを構成することで、ドア方式の媒体幅方向ガイドとしていたが、ドア方式にせず、固定式の媒体幅方向ガイドにしても良い。
また、上述の説明では、ガイドドア246にスペーサ板248を固着することでガイドドア246の内側面に段差を形成するようにしていたが、スペーサ板248を固着するのに代えてガイドドア246の内側面自体を絞り加工等により膨出させて段差を設けるようにしても良い。
また、上述の説明では、本体シャーシ210に幅決め支柱250を取り付け、幅決め支柱250にスペーサ板248を度当たりさせることでスペーサ板248の位置決めを行っていたが、幅決め支柱250に代えて、幅決めスペーサを本体シャーシ210に取り付け、幅決めスペーサによってスペーサ板248を位置決めするようにしても良い。
また、上述の説明では、本体シャーシ210に窓245を設けると共に、その窓245をロール紙シャーシ247によって塞ぐことで、収納部242の幅W2を奥側に広げていたが、必ずしもこの構成に限るものではなく、本体シャーシ210に絞り加工等による段差を設けることでその段差分だけ収納部242の幅W2を奥側に広げるようにしても良い。
なお、上述の説明では、規制手段244を第1の取込機構5の近傍と第2の取込機構7の近傍に設けることで、ロール紙2を送り出す駆動力の発揮される部分の近くに設けるようにしているので、作用する駆動力が大きな位置でロール紙2の幅方向の位置決めを行うことができ、ジャムの無い搬送が可能である。