JP2006240413A - 車両操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 走行路面の状態に拘わらず、車両の直進安定性を良好に確保可能とする車両操舵装置の提供。
【解決手段】
車両1に含まれる一対の操舵輪2L,2Rを独立に転向させることができる車両操舵装置10は、各操舵輪2L,2Rに対して設けられており、それぞれ対応する操舵輪2L,2Rを転向させるように作動可能なアクチュエータ20L,20Rと、車両1の走行路面の状態を検出する左右の荷重センサ21L,21Rと、荷重センサ21L,21Rにより検出された走行路面の状態を判定する路面判定部32および路面判定部32の判定結果に応じて、各操舵輪2L,2Rがそれぞれトーイン側またはトーアウト側に転向させられるようにアクチュエータ20L,20Rを制御可能なアクチュエータ制御部33を含む操舵ECU30とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】
車両1に含まれる一対の操舵輪2L,2Rを独立に転向させることができる車両操舵装置10は、各操舵輪2L,2Rに対して設けられており、それぞれ対応する操舵輪2L,2Rを転向させるように作動可能なアクチュエータ20L,20Rと、車両1の走行路面の状態を検出する左右の荷重センサ21L,21Rと、荷重センサ21L,21Rにより検出された走行路面の状態を判定する路面判定部32および路面判定部32の判定結果に応じて、各操舵輪2L,2Rがそれぞれトーイン側またはトーアウト側に転向させられるようにアクチュエータ20L,20Rを制御可能なアクチュエータ制御部33を含む操舵ECU30とを備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両に含まれる一対の操舵輪を独立に転向させることができる車両操舵装置に関する。
従来から、車両の操舵輪を転向させるための車両操舵装置として、操舵輪ごとに操舵用アクチュエータを有して左右の操舵輪をそれぞれ独立に操舵させることができる車両操舵装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、従来から、操舵ギヤボックスのラックと操舵輪との間の距離を変化させる舵角可変装置を有し、操舵輪を左右独立に転向させることができる車両操舵装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。これらの車両操舵装置によれば、車両の運動性能を向上させるべく、左右の操舵輪の舵角を調整することが可能となる。
特開2003−112650号公報
特開平10−324253号公報
しかしながら、上述のような車両操舵装置を備えた車両であっても、走行路面の状態によっては、直進安定性を良好に確保し得なくなることもあった。例えば、底部を有する概ね凹状(概ねV字状)の谷路や、頂部を有する概ね凸状(概ね逆V字状)の山路においては、各操舵輪に対して接地面からその傾斜状態に応じた力が加わることから、車両を直進させるために頻繁な操舵ハンドルの修正操作が必要となることがあった。
そこで、本発明は、走行路面の状態に拘わらず、車両の直進安定性を良好に確保可能とする車両操舵装置の提供を目的とする。
本発明による車両操舵装置は、車両に含まれる一対の操舵輪を独立に転向させることができる車両操舵装置において、各操舵輪に対して設けられており、それぞれ対応する操舵輪を転向させるように作動可能なアクチュエータと、車両の走行路面の状態を検出する路面検出手段と、路面検出手段により検出された走行路面の状態を判定する路面判定手段と、路面判定手段の判定結果に応じて、各操舵輪がそれぞれトーイン側またはトーアウト側に転向させられるようにアクチュエータを制御可能な制御手段とを備えることを特徴とする。
この車両操舵装置は、それぞれ対応する操舵輪を転向させるように作動可能なアクチュエータを操舵輪ごとに備えており、各アクチュエータは、路面検出手段により検出された走行路面の状態を判定する路面判定手段の判定結果に応じて制御手段により制御される。これにより、操舵輪に対して接地面からその傾斜状態に応じた力が加わっても、少なくともその力を打ち消すように操舵輪を転向させることができる。従って、この車両操舵装置によれば、走行路面の状態に拘わらず、車両の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
また、路面判定手段は、少なくとも走行路面が平坦路であるか、底部を有する概ね凹状の谷路であるか、頂部を有する概ね凸状の山路であるか否か判定可能であり、制御手段は、路面判定手段によって走行路面が谷路であると判断された際に、各操舵輪がそれぞれトーアウト側に転向させられるようにアクチュエータを制御し、路面判定手段によって走行路面が山路であると判断された際に、各操舵輪がそれぞれトーイン側に転向させられるようにアクチュエータを制御すると好ましい。
一般に、車両が概ね凹状(例えば概ねV字状)の谷路を走行している際、各操舵輪は、接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力によってトーイン側に転向しがちであり、それにより、車両の直進安定性が損なわれることがある。また、車両が概ね凸状(例えば概ね逆V字状)の山路を走行している際、各操舵輪は、接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力によってトーアウト側に転向しがちであり、それにより、車両の直進安定性が損なわれることがある。従って、この車両操舵装置のように、路面判定手段によって走行路面が谷路であると判断された際に、各操舵輪をトーアウト側に転向させる一方、路面判定手段によって走行路面が山路であると判断された際に、各操舵輪をトーイン側に転向させることにより、車両が概ね凹状の谷路や概ね凸状の山路を走行している際の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
更に、路面判定手段は、走行路面が車幅方向において概ね一様に傾斜するカント路であるか否か判定可能であり、制御手段は、路面判定手段によって走行路面がカント路であると判断された際に、一対の操舵輪の一方がトーアウト側に転向させられると共に、他方がトーイン側に転向させられるようにアクチュエータを制御すると好ましい。
これにより、車両がカント路を走行している際の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
また、路面検出手段は、各操舵輪に対して設けられて対応する操舵輪に接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力を検出する荷重検出手段であり、路面判定手段は、荷重検出手段により検出された力の大きさと向きとに基づいて走行路面の状態を判定すると好ましい。
このような構成を採用すれば、操舵輪の接地面の傾斜度を良好に検出可能となるので、走行路面の状態を的確に把握した上で、各操舵輪をトーイン側またはトーアウト側に転向させることができる。これにより、特に車両が谷路や山路等を走行している場合であって、かつ、操舵輪の接地面の傾きが左右で異なっているような場合であっても、車両の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
そして、本発明による車両操舵装置は、操舵角度を検出する舵角検出手段と、舵角検出手段の検出値に基づいて車両が直進しているか否か判定する直進判定手段とを更に備え、制御手段は、直進判定手段によって車両が直進していると判断された場合に、路面判定手段の判定結果に応じて、アクチュエータを制御すると好ましい。
本発明によれば、走行路面の状態に拘わらず、車両の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明による車両操作装置を備えた車両の要部を示す部分断面図である。同図に示される車両1は、本実施形態では前輪である左右一対の操舵輪2L,2Rまたは図示されない後輪を駆動するための内燃機関、電気モータ、あるいはこれらを組み合わせたハイブリッド動力ユニットといった駆動源(図示省略)を有すると共に、左側の操舵輪2Lおよび右側の操舵輪2Rを操舵するための車両操舵装置10を含む。操舵輪2L,2Rは、それぞれホイール3とタイヤ4とを含み、各操舵輪2L,2Rのホイール3は、ブレーキユニットを構成するディスクロータ5を介してナックル6により支持されている。ナックル6には、ナックルアーム7が一体化または連結されており、ナックル6は、車両1の懸架装置を構成するストラットバー8やロワアーム9等を介して車体に対して支持されている。
一方、車両1の車両操舵装置10は、いわゆる液圧式パワーステアリングあるいは電動パワーステアリングとして構成され得るものであり、操舵ハンドル11の回転を左右の直線運動に変換する操舵ギヤボックス12を含む。操舵ギヤボックス12は、ステアリングシャフト13の先端に固定されたピニオンギヤ14と、このピニオンギヤ14と噛合するラック15とを含む。ラック15は、車幅方向に延在するラックチューブ16内に摺動自在に収容されており、その両端には、ボールジョイントを介してラックエンド17L,17Rが連結されている。ラックチューブ16の両端には、ボールジョイントおよびラックエンド17Lまたは17Rの一部を覆うブーツ18が装着されている。更に、ステアリングシャフト13には、操舵ハンドル11の操舵角を検出する舵角センサ19が設けられている。
車両操舵装置10の左側のラックエンド17Lには、左操舵アクチュエータ20Lが連結されており、左操舵アクチュエータ20Lは、ナックル6に一体化または連結されたナックルアーム7に連結されている。同様に、車両操舵装置10の右側のラックエンド17Rには、右操舵アクチュエータ20Rが連結されており、右操舵アクチュエータ20Rは、ナックル6に一体化または連結されたナックルアーム7に連結されている。アクチュエータ20Lおよび20Rは、例えばモータとねじ機構とにより進退移動させられるシャフトを含み、当該シャフトにより、ナックル6を移動させて操舵ギヤボックス12とは別個独立に操舵輪2L,2Rを転向させるものである。なお、アクチュエータ20Lおよび20Rは、圧電素子と倍力機構とを含むものであってもよく、油圧シリンダ等の液圧アクチュエータであってもよい。
また、左側のラックエンド17Lと左操舵アクチュエータ20Lとの間には、左荷重センサ21Lが設けられており、右側のラックエンド17Rと右操舵アクチュエータ20Rとの間には、右荷重センサ21Rが設けられている。左荷重センサ21Lは、ナックル6、ナックルアーム7、左操舵アクチュエータ20Lを介してラック15の左端に加えられる軸力を検出する。同様に、右荷重センサ21Rは、ナックル6、ナックルアーム7、右操舵アクチュエータ20Rを介してラック15の右端に加えられる軸力を検出する。すなわち、各荷重センサ21L,21Rは、操舵輪2L,2Rに対して接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力を検出するものであり、これらは、車両1の走行路面の状態を検出する路面検出手段として機能する。荷重センサ21L,21Rとしては、例えば圧電式のセンサや歪みゲージを含むセンサ等が利用され得る。
上述の舵角センサ19、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rは、操舵制御用電子制御ユニット(以下「操舵ECU」という)30に電気的に接続されており、各センサ19,21Lおよび21Rは、それぞれ検出値を示す信号を操舵ECU30に与える。また、左操舵アクチュエータ20Lおよび右操舵アクチュエータ20Rも、操舵ECU30に接続されている。操舵ECU30は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えるものであり、各センサ19,21L,21R等からの信号に基づいて、各アクチュエータ20Lおよび20Rを制御する。
図2は、上述の車両操舵装置10の制御ブロック図である。同図に示されるように、操舵ECU30には、直進判定部31、路面判定部32およびアクチュエータ制御部33が構築されている。直進判定部31は、舵角センサ19からの信号に基づいて車両が直進しているか否か判定する。また、路面判定部32は、路面検出手段としての左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rからの信号に基づいて車両1の走行路面の状態を判定する。更に、アクチュエータ制御部33は、路面判定部32の判定結果に応じて、予め定められた手順に従って左操舵アクチュエータ20Lおよび右操舵アクチュエータ20Rを所望の状態に作動させるための制御信号を生成する。なお、直進判定部31、路面判定部32およびアクチュエータ制御部33は、CPUにプログラムを実行させることにより構築される機能ブロックであるが、これらの機能ブロックの少なくとも一部がハードウエアにより構築され得ることはいうまでもない。
次に、図3〜図6を参照しながら、上述の車両操舵装置10の動作について説明する。
図3は、上述の車両操舵装置10を備えた車両1において直進安定性を確保すべく実行されるルーチンを説明するためのフローチャートである。同図に示されるルーチンは、車両1の走行中に上述の操舵ECU30によって所定時間おきに繰り返し実行されるものである。このルーチンの実行タイミングになると、操舵ECU30は、舵角センサ19からの信号に基づいて操舵ハンドル11の操舵角を取得する(S10)。操舵角を示す信号は、操舵ECU30の直進判定部31によって受け取られ、直進判定部31は、舵角センサ19により検出された操舵角に基づいて、ドライバーによって直進走行が意図されているか否か判定する(S12)。直進判定部31によってドライバーが直進走行を意図していないと判断される場合(S12におけるNo)、すなわち、ドライバーが車両1を旋回させている際には、S12以降の処理は実行されず、再度S10以降の処理が実行されることになる。
一方、直進判定部31によってドライバーが直進走行を意図していると判断された場合(S12におけるYes)、操舵ECU30の路面判定部32は、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rからの信号に基づいて、車両操舵装置10のラック15の左端に加えられている軸力と、ラック15の右端に加えられている軸力とを取得する(S14)。ラック15の両端に加えられている軸力を取得すると、路面判定部32は、取得したラック15の両端に加えられている軸力に基づいて車両1の走行路面が平坦路以外であるか否か判定する(S16)。
ここで、車両1の走行路面が概ね平坦になっていれば、基本的に、操舵輪2L,2Rに対して接地面から加えられる力は概ねゼロとなるので、ラック15の左端および右端に加えられる軸力も、それぞれ概ねゼロとなる。そして、この際、各操舵輪2L,2Rのトー角は、基本的には設定値(トーゼロまたは予め設定された若干のトーイン若しくはトーアウト状態)に保たれる。
これに対して、車両1が、図4(a)に示されるように、底部Bを有する概ね凹状の谷路、すなわち底部Bから両側に概ねV字状に傾斜する谷路Rvを走行している場合、操舵輪2L,2Rには、接地面からその傾斜に応じて車幅方向内側に向けた力が加えられるので、操舵輪2L,2Rは、図4(b)に示されるように、それぞれトーイン側に転向するようになる。これにより、谷路Rvの走行中には、ラック15の左端および右端に、当該ラック15を圧縮する方向の軸力Sfが加えられる。この場合、ラック15を圧縮する方向を正とし、ラック15を引っ張る方向を負とすれば、谷路Rvの走行中、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力Sfの符号は正となる(ただし、ここでは、一方の軸力Sfがゼロとなる場合も含まれるものとする。)。
また、車両1が、図5(a)に示されるように、頂部Tを有する概ね凸状の山路、すなわち、頂部Tから両側に概ね逆V字状に傾斜する山路Rmを走行している場合、操舵輪2L,2Rには、接地面からその傾斜に応じて車幅方向外側に向けた力が加えられるので、操舵輪2L,2Rは、図5(b)に示されるように、それぞれトーアウト側に転向するようになる。これにより、山路Rmの走行中には、ラック15の左端および右端に、当該ラック15を引っ張る方向の軸力Sfが加えられ、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力Sfの符号は負となる(ただし、一方の軸力Sfがゼロとなる場合も含まれるものとする。)。
更に、車両1が、図6(a)に示されるように、車幅方向において概ね一様に傾斜するカント路Rcを走行している場合、操舵輪2Lおよび2Rのうち、一方(図6の例では左の操舵輪2L)には、接地面からその傾斜に応じて車幅方向内側に向けた力が加えられ、他方(図6の例では右の操舵輪2R)には、接地面からその傾斜に応じて車幅方向外側に向けた力が加えられる。これにより、図6(b)に示されるように、操舵輪2Lおよび2Rのうちの一方が、トーイン側に転向し、他方がトーアウト側に転向するようになる。そして、カント路Rcの走行中には、ラック15の左端および右端のうち、一方に圧縮方向の軸力Sfが加えられ、他方に引っ張り方向の軸力Sfが加えられる。この場合、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力Sfの符号は一方が正となり、他方が負となる。
従って、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出されるラック15に作用する軸力の大きさ(概ねゼロである否か)と向きとから、車両1の走行路面が平坦路であるか、谷路Rvであるか、山路Rmであるか、更には、カント路Rcであるか否かを判定することができる。すなわち、S16において、操舵ECU30に含まれる路面判定部32は、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力の符号が何れも正である場合および何れか一方が正で他方が概ねゼロである場合、車両1の走行路面が谷路Rvであると判断する。また、路面判定部32は、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力の符号が何れも負である場合および何れか一方が負で他方が概ねゼロである場合、車両1の走行路面が山路Rmであると判断する。
更に、路面判定部32は、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力の符号が互いに反転している場合、車両1の走行路面がカント路Rcであると判断する。そして、路面判定部32は、左右の荷重センサ21Lおよび21Rにより検出される軸力がそれぞれ概ねゼロである場合、車両1の走行路面が平坦路であると判断する。このように、操舵輪2L,2Rに対して接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力を検出する荷重センサ21L,21Rを操舵輪2L,2Rごとに設けることにより、操舵輪2L,2Rの接地面の傾斜度を良好に検出可能となり、走行路面の状態を的確に把握することが可能となる。
路面判定部32によって車両1の走行路面が谷路Rv、山路Rmあるいはカント路Rcであると判断されると(S16におけるYes)、アクチュエータ制御部33により、路面判定部32の判定結果、すなわち、各操舵輪2L,2Rの接地面の傾斜度に応じて左操舵アクチュエータ20Lおよび右操舵アクチュエータ20Rを所望の状態に作動させるための制御量が算出され(S18)、当該制御量を示す信号が各アクチュエータ20Lおよび20Rに与えられる(S20)。S18において、アクチュエータ制御部33は、予め作成されているマップ等を用いながら、左荷重センサ21Lの検出値に基づいて、ラック15の左端に加えられる軸力がゼロに、すなわち、左の操舵輪2Lのトー角が設定値になるように左操舵アクチュエータ20Lの制御量を算出し、右荷重センサ21Rの検出値に基づいて、ラック15の右端に加えられる軸力がゼロに、右の操舵輪2Rのトー角が設定値になるように右操舵アクチュエータ20Rの制御量を算出する。
これにより、路面判定部32によって車両1の走行路面が谷路Rvであると判断された際には、図4(c)に示されるように、各操舵輪2L,2Rがそれぞれアクチュエータ20L,20Rによってトーアウト側に転向させられ、各操舵輪2L,2Rのトー角が設定値に保たれる。また、路面判定部32によって車両1の走行路面が山路Rmであると判断された際には、図5(c)に示されるように、各操舵輪2L,2Rがそれぞれアクチュエータ20L,20Rによってトーイン側に転向させられ、各操舵輪2L,2Rのトー角が設定値に保たれる。更に、路面判定部32によって車両1の走行路面がカント路Rcであると判断された際には、図6(c)に示されるように、アクチュエータ20L,20Rにより、各操舵輪2Lおよび2Rのうちの一方(図6の例では左の操舵輪2L)がトーアウト側に、他方(図6の例では右の操舵輪2R)がトーイン側に転向させられ、それにより、各操舵輪2L,2Rのトー角が設定値に保たれる。
このように、車両操舵装置10を備えた車両1では、接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力によって各操舵輪2L,2Rがトーイン側に転向しがちである谷路Rvの走行中、少なくとも接地面からの力が打ち消されるように各アクチュエータ20L,20Rによって各操舵輪2L,2Rがトーアウト側に転向させられる。この結果、車両操舵装置10によれば、車両1が概ねV字状の谷路Rvを走行している際の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
また、接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力によって各操舵輪2L,2Rがトーアウト側に転向しがちである山路Rmの走行中には、少なくとも接地面からの力が打ち消されるように各アクチュエータ20L,20Rによって各操舵輪2L,2Rがトーイン側に転向させられる。そして、接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力によって操舵輪2Lおよび2Rのうちの一方がトーイン側に転向しがちであり、他方がトーアウト側に転向しがちであるカント路Rcの走行中にも、少なくとも接地面からの力が打ち消されるように各アクチュエータ20L,20Rによって操舵輪2L,2Rがトーイン側またはトーアウト側に転向させられる。この結果、車両操舵装置10によれば、車両1が概ね逆V字状の山路Rmやカント路Rcを走行している際の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
更に、上述のS20では、操舵輪2L,2Rをトーイン側またはトーアウト側に転向させるべく、荷重センサ21L,21Rの検出値に基づいて、左操舵アクチュエータ20Lの作動量と、右操舵アクチュエータ20Rの作動量とが独立に算出される。従って、車両1が谷路Rvや山路Rm、更にはカント路Rcを走行している場合であって、かつ、操舵輪2Lの接地面の傾きと操舵輪2Rの接地面の傾きとが異なっているような場合であっても(基本的には、このようなケースが一般的である。)、各操舵輪2L,2Rを精度よく所望量だけ転向させて、走行路面の状態に拘わらず車両1の直進安定性を良好に確保することが可能となる。
こうして、S20にて各アクチュエータ20L,20Rが作動させられると、再度S10以降の処理が実行されることになる。一方、路面判定部32は、左右の荷重センサ21Lおよび21Rにより検出される軸力がそれぞれ概ねゼロである場合、車両1の走行路面が平坦路であると判断する(S16におけるNo)。このように、操舵輪2L,2Rに対して接地面から加えられる力が概ねゼロであれば、各操舵輪2L,2Rのトー角は、基本的には上述の設定値に保たれることから、車両1の直進安定性は良好に保たれる。従って、路面判定部32によって車両1の走行路面が平坦路であると判断された場合(S16におけるNo)、S16以降の処理は実行されず、再度S10以降の処理が実行されることになる。
なお、車両1がカント路Rcを走行している際、各操舵輪2L,2Rは、接地面からその傾斜に応じて加えられる力によって基本的に同じ方向に転向するので、アクチュエータ20L,20Rが作動されなくても、ドライバーのハンドル操作により比較的容易に直進安定性を確保することができる。従って、S16にて路面判定部32により車両1の走行路面がカント路Rcであると判断された場合には、S18およびS20の処理が実行されなくてもよい。ただし、図3のルーチンのように、カント路Rcの走行中に各操舵輪2L,2Rの接地面の傾斜度に応じてアクチュエータ20L,20Rを作動されば、ドライバーのハンドル操舵によらずにカント路Rcの走行中に直進安定性を確保することができるので、図3のルーチンは、ドライバーの負担を減らして安全走行を実現する上で極めて有用である。
また、上述の車両操舵装置10に対して設けられる路面検出手段は、操舵輪2L,2Rに対して接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力を検出する荷重センサ21L,21Rに限られるものではない。すなわち、路面検出手段としては、例えば各操舵輪2L,2Rの近傍に配置され、それぞれ車体の所定箇所と路面との間隔を検出する少なくとも2体のギャップセンサ(測距センサ)が用いられてもよい。この場合、車両1が平坦路を直進走行する際の車体の所定箇所と路面との間隔を基準値として求めておけば、当該基準値と各ギャップセンサの検出値とに基づいて操舵輪2L,2Rの接地面の傾斜度を良好に検出可能となり、走行路面の状態を的確に把握することができる。また、このようなギャップセンサが用いられた場合も、アクチュエータ制御部33は、予め作成されているマップ等を用いながら、ギャップセンサの検出値に基づいて操舵輪2L,2Rをトーイン側またはトーアウト側に転向させるべく、荷重センサ21L,21Rの検出値に基づいて、左操舵アクチュエータ20Lの作動量と、右操舵アクチュエータ20Rの作動量とが独立に算出する。
更に、上述の車両操舵装置10に設けられた左右のアクチュエータ20Lおよび20R並びに左右の荷重センサ21L,21Rは、左右の後輪に対して設けられてもよい。かかる構成のもとでは、走行路面を判定するための軸力Sfの符号が、上述のものとは逆となる。この場合、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力の符号が何れも負である場合および何れか一方が負で他方が概ねゼロである場合、車両1の走行路面が谷路Rvであると判断され、左荷重センサ21Lおよび右荷重センサ21Rにより検出される軸力の符号が何れも正である場合および何れか一方が正で他方が概ねゼロである場合、車両1の走行路面が山路Rmであると判断される。そして、本発明の車両操舵装置は、いわゆる操舵ギヤボックスを有さず、左右のアクチュエータのみにより操舵輪を独立に操舵させるものであってもよい。
1 車両、2L,2R 操舵輪、3 ホイール、4 タイヤ、5 ディスクロータ、6 ナックル、7 ナックルアーム、8 ストラットバー、9 ロワアーム、10 車両操舵装置、11 操舵ハンドル、12 操舵ギヤボックス、13 ステアリングシャフト、14 ピニオンギヤ、15 ラック、16 ラックチューブ、17L,17R ラックエンド、18 ブーツ、19 舵角センサ、20L 左操舵アクチュエータ、20R 右操舵アクチュエータ、21L 左荷重センサ、21R 右荷重センサ、30 操舵ECU、31 直進判定部、32 路面判定部、33 アクチュエータ制御部。
Claims (5)
- 車両に含まれる一対の操舵輪を独立に転向させることができる車両操舵装置において、
前記各操舵輪に対して設けられており、それぞれ対応する操舵輪を転向させるように作動可能なアクチュエータと、
前記車両の走行路面の状態を検出する路面検出手段と、
前記路面検出手段により検出された前記走行路面の状態を判定する路面判定手段と、
前記路面判定手段の判定結果に応じて、前記各操舵輪がそれぞれトーイン側またはトーアウト側に転向させられるように前記アクチュエータを制御可能な制御手段とを備えることを特徴とする車両操舵装置。 - 前記路面判定手段は、少なくとも前記走行路面が平坦路であるか、底部を有する概ね凹状の谷路であるか、頂部を有する概ね凸状の山路であるか否か判定可能であり、
前記制御手段は、前記路面判定手段によって前記走行路面が前記谷路であると判断された際に、前記各操舵輪がそれぞれトーアウト側に転向させられるように前記アクチュエータを制御し、前記路面判定手段によって前記走行路面が前記山路であると判断された際に、前記各操舵輪がそれぞれトーイン側に転向させられるように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両操舵装置。 - 前記路面判定手段は、前記走行路面が車幅方向において概ね一様に傾斜するカント路であるか否か判定可能であり、
前記制御手段は、前記路面判定手段によって前記走行路面が前記カント路であると判断された際に、前記一対の操舵輪の一方がトーアウト側に転向させられると共に、他方がトーイン側に転向させられるように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項2に記載の車両操舵装置。 - 前記路面検出手段は、前記各操舵輪に対して設けられて対応する操舵輪に接地面からその傾斜状態に応じて加えられる力を検出する荷重検出手段であり、
前記路面判定手段は、前記荷重検出手段により検出された力の大きさと向きとに基づいて前記走行路面の状態を判定することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車両操舵装置。 - 操舵角度を検出する舵角検出手段と、
前記舵角検出手段の検出値に基づいて前記車両が直進しているか否か判定する直進判定手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記直進判定手段によって前記車両が直進していると判断された場合に、前記路面判定手段の判定結果に応じて、前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車両操舵装置。
Priority Applications (1)
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JP2005057042A JP2006240413A (ja) | 2005-03-02 | 2005-03-02 | 車両操舵装置 |
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JP2005057042A JP2006240413A (ja) | 2005-03-02 | 2005-03-02 | 車両操舵装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008162398A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Nissan Motor Co Ltd | 車両用操舵制御装置 |
JP7400686B2 (ja) | 2020-10-13 | 2023-12-19 | 株式会社デンソー | 車両転舵装置 |
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2005
- 2005-03-02 JP JP2005057042A patent/JP2006240413A/ja not_active Withdrawn
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