JP2006027394A - 入力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両の振動等によるドライバの意図しない誤った入力操作によって、車載機器がドライバの意に反して動作されるのを抑制できる入力制御装置を提供すること。
【解決手段】 入力制御装置10は、自動車20に搭載され、ジョイスティック11により操作されるステアバイワイヤ式のステアリング装置30の動作を制御する。入力制御装置10は、ジョイスティック11と、舵角信号を出力する舵角センサ12と、振動センサ14と、舵角信号に基づいてステアリングモータ31の回転を駆動制御するECU40とを備える。ECU40は、所定値以上の振動が振動センサ14により検出された直後或いは検出されている間にジョイスティック11の操作がなされたとき、その操作は正常な操作でないと判定し、ジョイスティック11の操作を無効にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、操作部材により操作されるステアリング装置等、各種の車載機器の動作を制御する入力制御装置に関する。
自動車等の車両には、ドライバやその他の乗員により入力操作される多数の車載機器がある。これらの車載機器として、操舵輪をステアリングホイールで操舵するステアリング装置や、変速機をシフトレバーの操作で切り換えるシフト装置、オーディオ装置等がある。
また、近年、ステアリングホイール等の操作部材とステアリング機構とを機械的に連結せずに、ステアリング機構に設けたステアリングモータを操作部材の操作に基づき電気的に制御するバイワイヤ式のステアリング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−34834号公報
ところで、上述したステアリング装置、シフト装置、オーディオ装置等の車載機器では、走行中に路面不整や横風等の外乱により発生する車両の振動等により、ドライバの意図しない入力操作がなされることがある。例えば、車両の振動等により、ドライバやその他の乗員の体の一部がステアリングホイール等の操作部材に触れてドライバの意図しない方向へステアリングホイールが操舵されたり、ドライバの意図しないギヤ段にシフトレバーが操作されたり、ドライバの意図しない音量にオーディオ装置が操作される場合等がある。
特に、特許文献1に記載されているようなステアバイワイヤ式のステアリング装置では、ステアリングホイールやジョイスティック等の操作部材は小さい操作力で操作可能である。このため、車両の振動等によりジョイスティック等の操作部材にドライバやその他の乗員の体の一部が触れたりして、ドライバの意図しない誤った入力操作が発生し易い。これと同様の問題は、シフトバイワイヤ式のシフト装置等でも起こる場合がある。このような誤った入力操作がなされると、スタアリング装置では車両の挙動が不安定になり、操縦性と安定性が損なわれるおそれがある。また、シフトバイワイヤ式のシフト装置では、ドライバの意図する速度やトルク等、所望の運転性能が得られなくなるおそれがある。また、オーディオ装置や空調装置等の車載機器では、車両の振動等により、ドライバの意図しない音量になったり、ドライバの意図しない温度や吹出しモードになると、乗員の快適性を損ねるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、車両の振動等によるドライバの意図しない誤った入力操作によって、車載機器がドライバの意に反して動作されるのを抑制できる入力制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、操作部材により操作される車載機器の動作を制御する入力制御装置において、前記操作部材の操作状態を検出し、操作信号を出力する操作状態検出手段と、前記操作信号に応じて前記車載機器の動作を制御する制御手段と、車両の走行状態を検出し、走行状態信号を出力する走行状態検出手段と、を備
え、前記制御手段は、前記操作信号と走行状態信号とに基づき、前記操作部材の操作がドライバの意図する正常な操作か否かを判定し、前記操作が正常な操作でないと判定した場合、前記操作部材の操作を無効にし或いはその操作量を減らす補正をすることを要旨とする。
これによれば、操作信号と走行状態信号とに基づき、操作部材の操作がドライバの意図する正常な操作か否かを判定し、操作が正常な操作でないと判定された場合、その操作が無効にされ或いはその操作量を減らす補正がなされる。これにより、車両の振動等により、ドライバやその他の乗員の体の一部が操作部材に触れてドライバの意図しない誤った入力操作がなされた場合に、車載機器がドライバの意に反して動作されるのを抑制することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の入力制御装置において、前記走行状態検出手段は車両の振動を検出する振動センサを備え、前記制御手段は、所定値以上の振動が前記振動センサにより検出された直後或いは検出されている間に前記操作部材の操作がなされたとき、その操作は前記正常な操作でないと判定することを要旨とする。
これによれば、所定値以上の振動の発生直後に或いはそのような振動の発生中に、操作部材の操作がなされたとき、その操作は正常な操作でないと判定され、その操作が無効にされ或いはその操作量を減らす補正がなされる。これにより、路面不整や横風等の外乱により発生する車両の振動により、ドライバやその他の乗員の体の一部が操作部材に触れてドライバの意図しない誤った入力操作がなされた場合に、車載機器がドライバの意に反して動作されるのを抑制することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の入力制御装置において、前記車載機器は、前記操作部材の操作量に応じてステアリングモータを駆動制御して、操舵輪を操舵するステアバイワイヤ式のステアリング装置であることを要旨とする。
これによれば、車両の振動等により、ドライバやその他の乗員の体の一部がジョイスティック等の操作部材に触れてドライバの意図しない方向へジョイスティックが操作された場合に、ステアバイワイヤ式のステアリング装置がドライバの意図しない方向へ操舵されるのを抑制することができる。これにより、操縦性と安定性が向上したステアバイワイヤ式のステアリング装置を実現することができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の入力制御装置において、前記走行状態検出手段は、車両に作用する横加速度を検出する横加速度センサを備え、前記制御手段は、前記横加速度が検出されている間、前記横加速度の方向と同じ方向へ操舵させる操作が前記操作部材によりなされたとき、その操作は前記正常な操作でないと判定し、その操作を無効にし或いはその操作量を減らす補正をすることを要旨とする。
これによれば、横加速度が検出されている間、横加速度の方向と同じ方向へ操舵させる操作が操作部材によりなされたとき、その操作は正常な操作でないと判定され、その操作が無効にされ或いはその操作量を減らす補正がなされる。これにより、ドライバの意に反するヨー運動が起こるのを抑制でき、車両の操縦性と安定性を向上させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の入力制御装置において、前記操作部材にフォースフィードバック用の外力を与える外力付与手段と、前記外力付与手段を駆動するフォースフィードバック用アクチュエータとを備え、前記制御手段は、前記フォースフィードバック用アクチュエータを、前記横加速度センサにより右方向の横加速度が検出されたとき前記操作部材に与える外力が右方向は左方向より大きくなるように駆動制御するととも
に、前記横加速度センサにより左方向の横加速度が検出されたとき前記操作部材に与える外力が左方向は右方向より大きくなるように駆動制御することを要旨とする。
これによれば、横加速度センサにより右方向の横加速度が検出されたとき、操作部材の操作反力が右方向は左方向より重くなり、横加速度センサにより左方向の横加速度が検出されたとき、操作部材の操作反力が左方向は右方向より重くなる。これにより、路面不整や横風等の外乱により発生する車両の振動により、ドライバやその他の乗員の体の一部が操作部材に触れて横加速度の方向と同じ方向へ操舵させるような、ドライバの意図しない入力操作が発生するのを抑制することができる。
本発明によれば、車両の振動等によるドライバの意図しない誤った入力操作によって、車載機器がドライバの意に反して動作されるのを抑制することができる。
以下、本発明を具体化した入力制御装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す一実施形態に係る入力制御装置10は、操作部材としてのジョイスティック11により操作される車載機器の動作を制御するものである。この入力制御装置10は、車載機器の一例として、自動車20に搭載され、ジョイスティック11により操作されるステアバイワイヤ式のステアリング装置30の動作を制御する構成になっている。
ステアバイワイヤ式のステアリング装置30は、ジョイスティック11を図1の矢印で示す左右方向へ操作すると、その操作に応じてステアリングモータ31が回転し、その回転がギヤボックス32内のラック&ピ二オン式のステアリングギヤによりラック軸33の横方向運動に変換される。ラック軸33の横方向運動により左右のタイロッド34,34が左右に動き、これにより操舵輪である前輪21,21が、キングピン軸35,35を中心に左右方向に向きを変えて操舵されるようになっている。
このように、ステアリング装置30は、ジョイスティック11と、上記ステアリングギヤ等を含むステアリング機構とが機械的には切り離されており、ステアリングモータ31の回転をジョイスティック11の操作により制御して操舵輪の操舵を行う、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリング装置となっている。
入力制御装置10は、ジョイスティック11と、ジョイスティック11の操作状態を検出し、操作信号としての舵角信号を出力する操作状態検出手段としての舵角センサ12と、その舵角信号に基づいてステアリングモータ31の回転(車載機器の動作)を駆動制御する制御手段としてのECU40とを備えている。また、入力制御装置10は、車両の走行状態を検出し、走行状態信号を出力する走行状態検出手段として、車速センサ13、振動センサ14、及び横加速度センサ(横Gセンサ)15を備えている。
さらに、入力制御装置10は、ジョイスティック11にフォースフィードバック用の外力を与える外力付与手段としての外力付与機構16と、ECU40により駆動制御されて外力付与機構16を駆動するフォースフィードバック用アクチュエータ17とを備えている。
ジョイスティック11の軸部18の下端部は支軸19に固定され、この支軸19は支持ケース25に回転可能に支持されている。支持ケース25は、ドライバがジョイスティック11を操作し易い運転席の近くに配置されている。このように、ジョイスティック11は図1の左右方向に操作できるように、支持ケース25に揺動可能に支持されている。
舵角センサ12は、ジョイスティック11を左右方向に操作する際の舵角(操作状態)を検出し、舵角信号を出力する。この舵角信号は、例えば、その符号が負の舵角信号は、ジョイスティック11を図1に示す中立位置から左方向へ操作した際の操作量を表わし、その符号が正の舵角信号は、ジョイスティック11を中立位置から右方向へ操作した際の操作量を表わすものとする。
振動センサ14は、走行中に路面不整等の外乱により発生する自動車20の振動を検出し、その振動の大きさに応じた値の振動信号を走行状態信号として出力するもので、加速度センサで構成される。
車速センサ13は、自動車20における各種の電子制御で用いるセンサの1つとして一般の自動車に設けられているものを使用する。横加速度センサ15は、図4(a),(b)に示すようなコーナリング時に自動車20の横方向に作用する横加速度(横G)50,51を検出し、その横加速度の大きさに応じた値の横G信号を走行状態信号として出力するもので、一般の自動車に設けられているものを使用する。
外力付与機構16は、支軸19に摩擦力やばねによる付勢力等の外力を与えて、ジョイスティック11にフォースフィードバック用の外力を与える外力付与手段としての外力付与機構16と、ECU40により駆動制御されて外力付与機構16を駆動するフォースフィードバック用アクチュエータ17とを備えている。
ECU40は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成されている。ECU40は、舵角センサ12で検出されるジョイスティック11の舵角及び車速センサ13で検出される車速等に基づいて、ステアリングモータ31を駆動制御するステアリング制御を、ROMに格納されたプログラムに従って実行するなっている。
また、ECU40は、そのようなステアリング制御の他に、以下の3つの制御を、ROMにそれぞれ格納されたプログラムに従って実行するなっている。
(1)操作信号と走行状態信号とに基づき、ジョイスティック11の操作がドライバの意図する正常な操作か否かを判定し、その操作が正常な操作でないと判定した場合、ジョイスティック11の操作を無効にする制御。具体的には、ECU40は、所定値以上の振動が振動センサ14により検出された直後或いは検出されている間にジョイスティック11の操作がなされたとき、その操作は正常な操作でないと判定し、ジョイスティック11の操作を無効にする制御。
(2)横加速度センサ15により横加速度50,51(図4(a),(b)参照)のいずれかが検出されている間、横加速度50又は51の方向と同じ方向へ操舵させる操作がジョイスティック11によりなされたとき、その操作はドライバの意図する正常な操作でないと判定し、その操作を無効にする制御。
(3)横加速度センサ15により右方向の横加速度50が検出されたときジョイスティック11に与える外力が右方向は左方向より大きくなるとともに、横加速度センサ15により左方向の横加速度51が検出されたときジョイスティック11に与える外力が左方向は右方向より大きくなるようにする、アクチュエータ17の制御。
次に、ECU40の実行する上記(1)の制御を、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ECU40は、図2に示す処理を所定時間毎に繰り返し実行する。
まず、ステップS100では、自動車20の振動を検出する振動センサ14の出力値をサンプリングする。このサンプリング周期は、図2の処理を繰り返す所定時間より短い。
次のステップS110では、ステップS100でサンプリングした振動センサ14の出力値が所定値以上であるか否かを判定する。つまり、舵角センサ12の出力値が所定値以上となるような急激な振動が発生しているか否かを判定する。なお、その所定値は、通常の走行中に発生する自動車20の小さな振動は除外されるように、適宜な値に設定される。このステップS110での判定結果がYesの場合にはステップS120に進み、その判定結果がNoの場合には、自動車20の振動によるドライバの意図しない正常でない操作がジョイスティック11についてなされないと考えらえるので、図2の処理を一旦終了する。
ステップS120に進むと、急激な振動が発生して振動センサ14の出力値が所定値以上になった時点からの時間t1の計時を開始する。
次のステップS130では、ジョイスティック11が操作されたか否かを判定する。ここでの判定は、舵角センサ12の出力値が「0」のときは、ジョイスティック11が操作されていない(操作無し)と判定し、その出力値が「0」以外の正又は負の値を持つときはジョイスティック11が操作された(操作有り)と判定する。以下の説明においても、ジョイスティック11が操作されたか否かの判定は同様にして行う。このステップS130での判定結果がYesの場合にはステップS140に進み、その判定結果がNoの場合には、図2の処理を一旦終了する。
ステップS140に進むと、ステップS120で計時を開始した時間t1が所定時間以内か否かを、つまり、舵角センサ12の出力値が所定値以上となるような急激な振動の発生直後か否かを判定する。急激な振動の発生時点からの時間t1が所定時間を経過していないときには、急激な振動の発生直後と判定し、ステップS150に進む。また、その時間t1が所定時間を経過したときは、急激な振動の発生直後でないと判定し、ステップS160に進む。
ステップS150に進む場合は、ステップS130で「操作有り」と判定されたジョイスティック11の操作は、急激な振動によるドライバの意図しない正常でない操作と考えられるので、ジョイスティック11の操作を無効にする。この後、図2の処理を一旦終了する。
一方、時間t1が所定時間を経過してステップS160に進むと、上記ステップS110と同様に、ステップS100でサンプリングした振動センサ14の出力値が所定値以上であるか否かを再度判定する。つまり、急激な振動の発生時点から時間t1が所定時間を経過している場合には、舵角センサ12の出力値が所定値以上となるような急激な振動が発生しているか否かを再度判定する。
ステップS160での判定結果がYesで急激な振動が発生している場合、つまり振動発生中の場合には、ステップS150に進み、ジョイスティック11の操作を無効にする。この後、図2の処理を一旦終了する。
一方、ステップS160での判定結果がNoで急激な振動は発生していない場合、つまり振動発生中でない場合には、ステップS170に進む。このように、ステップS160での判定結果がNoになる場合は、ステップS130で「操作有り」と判定されたジョイスティック11の操作は、その操作時点が急激な振動発生直後でなくかつ振動発生中でもないので、ドライバの意図する正常な操作であることになる。したがって、このステップS170では、ステップS130で「操作有り」と判定されたジョイスティック11の操作量に応じてステアリングモータ31を駆動制御する。つまり、舵角センサ12で検出されるジョイスティック11の舵角及び車速センサ13で検出される車速等に基づいて、ステアリングモータ31を駆動制御する。
このようにして、ECU40は、所定値以上の急激な振動が振動センサ14により検出された直後或いは検出されている間にジョイスティック11の操作がなされたときには、その操作はドライバの意図しない正常な操作でないと判定する(ステップS140でYes又はステップS160でYes)。この判定時には、ステップS150でジョイスティック11の操作を無効にする。一方、ECU40は、ジョイスティック11の操作時点が急激な振動発生直後でなくかつ振動発生中でもないときには、その操作はドライバの意図する正常な操作であると判定し(ステップS160でNo)、ステップS170でジョイスティック11の操作量に応じてステアリングモータ31を駆動制御しステアリング装置30を動作させる。
次に、ECU40の実行する上記(2)の制御を、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ECU40は、図3に示す処理を所定時間毎に繰り返し実行する。
まず、ステップS200では、横加速度センサ15の出力値(横G信号の値)をサンプリングする。このサンプリング周期は、図3の処理を繰り返す所定時間より短い。
図4(a)に示すように、自動車20が左カーブを走行しているときには、進行方向に対して右方向の横加速度50が発生する。このとき、横加速度センサ15から出力される横加速度の大きさに応じた値の横G信号の符号を例えば正とする。また、図4(b)に示すように、自動車20が右カーブを走行しているときには、進行方向に対して左方向の横加速度51が発生する。このとき、横加速度センサ15から出力される横G信号の符号を例えば負とする。これにより、ステップS200でサンプリングした横加速度センサ15の出力値の符号が正であれば、右方向の横加速度50が発生していると判定でき、その出力値の符号が負であれば、左方向の横加速度51が発生していると判定できる。
次のステップS210では、図2のステップS130と同様に、ジョイスティック11が操作されたか否かを判定する。この判定結果がYesの場合にはステップS220に進み、その判定結果がNoの場合には、図3の処理を一旦終了する。
ステップS220に進むと、ジョイスティック11の操作方向が横加速度の方向と同じか否かを判定する。ジョイスティック11の操作方向については、舵角センサ12から負の舵角信号が出力される場合には、ジョイスティック11の操作方向は左であり、同センサから正の舵角信号が出力される場合には、その操作方向が右であると判定できる。また、横加速度の方向については、上述したように、横加速度センサ15の出力値の符号が正であれば右方向の横加速度50(図4(a)参照)が発生しており、その出力値の符号が負であれば左方向の横加速度51(図4(b)参照)が発生していると判定できる。
ジョイスティック11の操作方向が横加速度の方向と同じと判定される場合として、図4(a)に示す右方向の横加速度50が発生しているときにジョイスティック11の操作方向が右である場合と、図4(b)に示す左方向の横加速度51が発生しているときにジョイスティック11の操作方向が左である場合とがある。このように、ジョイスティック11の操作方向が横加速度の方向と同じ場合には、ステップS220の判定結果がYesとなり、ステップS230に進む。一方、ジョイスティック11の操作方向が横加速度の方向と同じでない場合には、ステップS220の判定結果がNoとなり、ステップS240に進む。
ステップS230に進む場合は、ジョイスティック11の操作はドライバの意図しない正常でない操作と判定された場合であるので、ステップS230では、図2の上記ステップS150と同様に、ジョイスティック11の操作を無効にする。この後、図3の処理を一旦終了する。
一方、ステップS240に進む場合は、ジョイスティック11の操作はドライバの意図する正常な操作であると判定された場合であるので、ステップS240では、図2の上記ステップS170と同様に、ステップS210で「操作有り」と判定されたジョイスティック11の操作量に応じてステアリングモータ31を駆動制御する。この後、図3の処理を一旦終了する。
このようにして、ECU40は、横加速度センサ15により横加速度50,51のいずれかが検出されている間、横加速度50又は51の方向と同じ方向へ操舵させる操作がジョイスティック11によりなされたとき、その操作はドライバの意図する正常な操作でないと判定し(ステップS220でYes)、その操作を無効にする(ステップS230)。一方、ECU40は、横加速度50,51のいずれかが検出されている間、横加速度50又は51の方向とは異なる方向へ操舵させる操作がジョイスティック11によりなされたとき、その操作はドライバの意図する正常な操作であると判定する(ステップS220でNo)。この判定時には、ステップS240でジョイスティック11の操作量に応じてステアリングモータ31を駆動制御しステアリング装置30を動作させる。
次に、ECU40の実行する上記(3)の制御を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ECU40は、図5に示す処理を所定時間毎に繰り返し実行する。
まず、ステップS300では、図3のステップS200と同様に、横加速度センサ15の出力値(横G信号の値)をサンプリングする。このサンプリング周期は、図5の処理を繰り返す所定時間より短い。
次のステップS310では、横加速度の方向は右か否かを判定する。ここでの判定は、図3の上記ステップS220と同様に、横加速度センサ15の出力値の符号が正であれば右方向の横加速度50(図4(a)参照)が発生しており、その出力値の符号が負であれば左方向の横加速度51(図4(b)参照)が発生していると判定できる。右方向の横加速度50が発生しており横加速度の方向が右であると判定される場合には、ステップS310の判定結果はYesとなり、ステップS320に進む。一方、左方向の横加速度51が発生しており横加速度の方向が左であると判定される場合には、ステップS310の判定結果はNoとなり、ステップS330に進む。
ステップS320に進むと、外力付与機構16によりジョイスティック11に与える外力がその右方向操作時はその左方向操作時より大きくなるように、アクチュエータ17を駆動制御する。これにより、ジョイスティック11を右方向に操作する際の反力(操作反力)はこれを左方向に操作する際の反力(操作反力)より大きくなるので、ジョイスティック11の右方向への操作は左方向への操作よりも重くなる。
一方、ステップS330に進むと、外力付与機構16によりジョイスティック11に与える外力がその左方向操作時はその右方向操作時より大きくなるように、アクチュエータ17を駆動制御する。これにより、ジョイスティック11を左方向に操作する際の反力はこれを右方向に操作する際の反力より大きくなるので、ジョイスティック11の左方向への操作は右方向への操作よりも重くなる。
以上のように構成された一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○上記(1)の制御により、所定値以上の振動の発生直後に或いはそのような振動の発生中に、ジョイスティック11の操作がなされたとき、その操作は正常な操作でないと判定され、その操作が無効にされる。これにより、路面不整や横風等の外乱により発生する自動車20の振動により、ドライバやその他の乗員の体の一部がジョイスティック11に触れてドライバの意図しない誤った入力操作がなされた場合に、ステアバイワイヤ式のス
テアリング装置30がドライバの意に反して動作されるのを抑制することができる。
○ステアバイワイヤ式のステアリング装置30がドライバの意図しない方向へ操舵されるのを抑制することができるので、操縦性と安定性が向上したステアリング装置30を実現することができる。
○上記(2)の制御により、横加速度50,51のいずれかが検出されている間、横加速度の方向と同じ方向へ操舵させる操作がジョイスティック11によりなされたとき、その操作は正常な操作でないと判定され、その操作が無効にされる。これにより、ドライバの意に反するヨー運動が起こるのを抑制でき、自動車20の操縦性と安定性を向上させることができる。
○上記(3)の制御により、横加速度センサ15により右方向の横加速度50が検出されたとき、ジョイスティック11の操作反力が右方向は左方向より重くなり、横加速度センサにより左方向の横加速度51が検出されたとき、操作部材の操作反力が左方向は右方向より重くなる。これにより、路面不整や横風等の外乱により発生する車両の振動により、ドライバやその他の乗員の体の一部がジョイスティック11に触れて横加速度の方向と同じ方向へ操舵させるような、ドライバの意図しない入力操作が発生するのを抑制することができる。
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記一実施形態で説明したステアバイワイヤ式のステアリング装置30は一例であって、本発明は、ECUがステアリングモータの回転をジョイスティックの操作に応じて駆動制御して操舵輪の操舵を行う、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリング装置に広く適用可能である。
・上記一実施形態では、上記(1)の制御により、所定値以上の急激な振動が振動センサ14により検出された直後或いは検出されている間にジョイスティック11の操作がなされたとき、その操作は正常な操作でないと判定し、ステップS150でジョイスティック11の操作を無効にするようになっている。本発明は、このような構成に限定されない。ステップS150において、ジョイスティック11の操作を無効にする代わりに、ジョイスティック11の操作量、つまり舵角センサ12で実際に検出される実舵角を減らす補正を行い、その補正後の操作量(舵角)に基づいてステアリングモータ31を駆動制御する構成にしても良い。
その補正は、例えば、図2のステップS110における所定値以上の急激な振動の大きさ(振動センサ14の出力値)に応じて前記実舵角を減らす量を大きくするように、予め用意したマップに基づき或いは所定の計算式によって、補正後の操作量(舵角)を算出するようにすれば良い。
・上記一実施形態では、本発明に係る入力制御装置を自動車に適用した構成を一例として説明したが、本発明は自動車以外の車両、例えばトラック、バス等にも適用可能であることは、言うまでもない。
・上記一実施形態では、ECU40が上記ステアリング制御の他に、上記(1)の制御と上記(2)の制御の両方を行う入力制御装置について一例として説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、本発明は、ECU40がステアリング制御の他に上記(1)の制御のみを行うもの、或いはECU40がステアリング制御の他に上記(2)の制御のみを行うものにも適用可能である。
・上記一実施形態では、入力制御装置10を、車載機器の一例として、ジョイスティック11により操作されるステアバイワイヤ式のステアリング装置30の動作を制御する構成とした。しかし、本発明に係る入力制御装置は、上記ステアバイワイヤ式のステアリング装置30の代わりに、シフトバイワイヤ式のシフト装置、オーディオ装置、空調装置等の車載機器の動作を制御する構成として良い。
本発明に係る入力制御装置をシフトバイワイヤ式のシフト装置に適用した場合には、ドライバの意図する速度やトルク等、所望の運転性能が得られなくなるという不具合の発生を抑制することができる。また、本発明に係る入力制御装置を、オーディオ装置や空調装置等に適用した場合には、車両の振動等により、ドライバの意図しない音量になったり、ドライバの意図しない温度や吹出しモードになるといった、乗員の快適性を損ねるような事態の発生を抑制することができる。
・上記一実施形態では、入力制御装置10のECU40により、1つの車載機器(ステアバイワイヤ式のステアリング装置30)の動作を制御する構成としているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、入力制御装置10のECU40により、複数の車載機器、例えば、ステアバイワイヤ式のステアリング装置30、シフトバイワイヤ式のシフト装置、オーディオ装置、空調装置等の車載機器の動作を制御する構成として良い。
・また、上記複数の車載機器毎にECU40と同様のECUを個別に設ける構成としても良い。
一実施形態に係る入力制御装置を示す構成図。 同装置が実行する制御の1つを示すフローチャート。 同装置が実行する別の制御を示すフローチャート。 (a)は右方向の横加速度が発生する走行状態を示す説明図、(b)は左方向の横加速度が発生する走行状態を示す説明す。 同装置が実行する別の制御を示すフローチャート。
符号の説明
10…入力制御装置、14…振動センサ、15…横加速度センサ、17…フォースフィードバック用アクチュエータ、30…ステアリング装置、31…ステアリングモータ、50,51…横加速度。

Claims (5)

  1. 操作部材により操作される車載機器の動作を制御する入力制御装置において、
    前記操作部材の操作状態を検出し、操作信号を出力する操作状態検出手段と、
    前記操作信号に応じて前記車載機器の動作を制御する制御手段と、
    車両の走行状態を検出し、走行状態信号を出力する走行状態検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記操作信号と走行状態信号とに基づき、前記操作部材の操作がドライバの意図する正常な操作か否かを判定し、前記操作が正常な操作でないと判定した場合、前記操作部材の操作を無効にし或いはその操作量を減らす補正をすることを特徴とする入力制御装置。
  2. 請求項1に記載の入力制御装置において、
    前記走行状態検出手段は車両の振動を検出する振動センサを備え、
    前記制御手段は、所定値以上の振動が前記振動センサにより検出された直後或いは検出されている間に前記操作部材の操作がなされたとき、その操作は前記正常な操作でないと判定することを特徴とする入力制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の入力制御装置において、
    前記車載機器は、前記操作部材の操作量に応じてステアリングモータを駆動制御して、操舵輪を操舵するステアバイワイヤ式のステアリング装置であることを特徴とする入力制御装置。
  4. 請求項3に記載の入力制御装置において、
    前記走行状態検出手段は、車両に作用する横加速度を検出する横加速度センサを備え、
    前記制御手段は、前記横加速度が検出されている間、前記横加速度の方向と同じ方向へ操舵させる操作が前記操作部材によりなされたとき、その操作は前記正常な操作でないと判定し、その操作を無効にし或いはその操作量を減らす補正をすることを特徴とする入力制御装置。
  5. 請求項4に記載の入力制御装置において、
    前記操作部材にフォースフィードバック用の外力を与える外力付与手段と、前記外力付与手段を駆動するフォースフィードバック用アクチュエータとを備え、
    前記制御手段は、前記フォースフィードバック用アクチュエータを、前記横加速度センサにより右方向の横加速度が検出されたとき前記操作部材に与える外力が右方向は左方向より大きくなるように駆動制御するとともに、前記横加速度センサにより左方向の横加速度が検出されたとき前記操作部材に与える外力が左方向は右方向より大きくなるように駆動制御することを特徴とする入力制御装置。
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