図1は、本発明の実施例にかかる電子写真プリンタの画像処理構成を示すブロック図である。
本構成は、以下で説明されるように具体的には電子写真プリンタによって実行される処理を示しているが、これらの処理がインクジェットプリンタや昇華型プリンタ等、広義でいう画像出力装置で行われてもよく、本発明の適用はこれらのいずれの形態にも適用できることは以下の説明からでも明らかである。
図1に示すように、C1M1Y1K1画像101は図2のコンピュータ203からのR0G0B0画像、またはC0M0Y0K0画像を同図のコントローラ204によって色変換されたものである。前記コントローラにおいて、入力の画像信号R0G0B0がsRGB等のモニタ色を示す場合は、モニタ202での再現色と電子写真プリンタ205での再現色が同一になるように色分解処理される。
また、C0M0Y0K0が印刷での再現色を示す場合は、印刷での再現色と電子写真プリンタ205におけるCMYKでの再現色が同一となるような色分解処理が実行される。トナー色分解処理部102は補間演算処理部であり、トナーテーブル作成部108によって、具体的には図3の色分解処理装置108によって作成されたトナー色分解テーブル部106およびOPGテーブル作成部109によって作成されたOPGテーブル部107に基づいて四面体補間、または、立方体補間等の補間演算処理が実行される。トナー色分解テーブル部106にはC1M1Y1K1からC2M2Y2K2Lc2Lm2に変換するテーブル情報が格納される。次に、ハーフトーン処理部103は、トナー色分解処理部102からのC2M2Y2K2Lc2Lm2多値データを電子写真プリンタ205で表現できるようにN値化処理する。これにより擬似的に連続階調を表現することができる。画像形成部104は電子写真プリンタのエンジンであり、そこで形成された印刷物が105である。
図2は、前記画像処理を実行する具体的な画像処理システムを示す図である。
同図において、201はパッチを測色する測色器を示し、トナーテーブル作成部108およびOPGテーブル作成部109の入力データを作成する際に使用する。202はコンピュータ203によって編集、処理された画像信号情報を表示するモニタである。204はコントローラであり、コンピュータ203からのR0G0B0画像、またはC0M0Y0K0画像をC1M1Y1K1に色変換するものである。電子写真プリンタ205は画像出力装置であり、コントローラ204によって色変換処理されたC1M1Y1K1画像101を図1のブロック図に基づいて印刷物105をプリント出力するものである。206は電子写真プリンタ205にて印刷されたパッチであり、測色器201によって測色を行う。
図3は、図1に示したトナーテーブル作成部108の具体的な構成を示すブロック図である。
同図において、色分解処理装置108は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の基本4色からC、Mについてより濃度の薄い、Lc(淡シアン)、Lm(淡マゼンタ)を含む濃淡6色へ色分解を行うためのトナー色分解テーブルを作成する装置構成である。同図301は出力濃淡合計色材量算出部であり、C、M、Y、Kの基本4色を用いてパッチを出力する際に用いられる記録媒体の付着特性を考慮して定められる色材量制限値の範囲内で規定されるC、Mを濃淡分解テーブル302に基づいて濃淡に分解した際に使用可能な色材の最大量(以下、目標色材使用量ともいう)を算出するものである。
具体的には、301内部において、先ず、入力となるCMYK全体の色材使用量(Amt(C,M,Y,K))を算出し、印刷メディアとトナーの性質から定められるトナーの載る限界量、即ち、色材量制限値(AmtLIMIT)に基づき、CMYK全体の色材増加可能量(以下、総色材増加可能量)の算出(AmtLIMIT−Amt(C,M,Y,K))を実行する。
次に、シアンを濃淡に分解する場合のシアン目標色材使用量(AmtCmax)は、図4にて詳しく後述されるように、濃淡分解テーブル302で算出されたシアン色材増加可能量(AmtCup)、濃淡分解テーブル302に対してマゼンタのものを使用することによって、シアン色材増加可能量と同様に算出される、図示されていないマゼンタ色材増加可能量(AmtMup)、そして上記総色材増加可能量(AmtLIMIT−Amt(C,M,Y,K))に基づいて算出される。マゼンタ目標色材使用量(AmtMmax)の算出については、上述のシアン目標色材使用量の算出処理と同様であるので、その説明は省略する。シアン目標色材使用量(AmtCmax)、マゼンタ目標色材使用量(AmtMmax)の演算式を以下に示す。
一方、クロスパッチ303は、図5にて詳細が後述されるように、C(シアン)、M(マゼンタ)の色材に対し、濃い色材と淡い色材の色材量(トナー量)がクロス状に分布されたパッチパターンである。濃淡分解テーブル302は、上記クロスパッチをプリンタで印刷し、測定器で濃度を測定する。そして、クロスパッチの格子に相当する濃度以外の値が指定された場合でも、濃淡の色材量が導出できるよう、格子間補間演算処理により値を求めた図7に示す濃度特性マップに基づいて作成したものである。
そして、濃淡分解テーブルからの出力となるシアン目標濃度は、図4にて詳細が後述されるように、濃淡分解テーブル302で算出された出力濃シアン色材量と出力淡シアン色材量に基づいて、濃度特性マップから算出する。シアン濃淡分解304は、出力濃淡合計色材量算出部301で算出されたシアン目標色材使用量と濃淡分解テーブル部302で算出されたシアン目標濃度から濃淡の色材量の組合せを決定する。なお、マゼンタ目標濃度は、同色材における濃淡分解テーブルによって算出される出力濃マゼンタ色材量と出力淡マゼンタ色材量をマゼンタの濃度特性マップの入力として算出する。マゼンタ濃淡分解305は、出力濃淡合計色材量算出部301で算出されたマゼンタ目標色材使用量と上記マゼンタ目標濃度から濃淡の色材量の組合せを決定する。以上で6色の色分解テーブルを求める一連の処理を終了する。
図4は、横軸に入力シアン色材量、縦軸に出力濃淡シアン色材量としたシアン濃淡分解テーブルである。同図中には、シアン色材使用量を入力シアン色材量として、濃シアン、淡シアンへ色分解を行う出力濃シアン色材量〔1〕、出力淡シアン色材量〔2〕、前記〔1〕、〔2〕を加算した出力濃淡シアン合計色材量〔3〕、そして入力シアン色材使用量〔4〕が描かれている。本実施例では、シアン色材増加可能量(AmtCup)と濃淡分解後の濃シアン、淡シアンの色材量の組合せを決定する際に、シアン濃淡分解テーブルを使用する。
ここで、シアン色材増加可能量(AmtCup)とは、出力濃淡シアン合計色材量までの余裕となる色材量をシアン色材に割り当てるものであり、図4シアン色材増加可能量に示されているように、下記演算式によって得られる。また、マゼンタ濃淡分解テーブルについては、上述のシアン濃淡分解テーブルの処理と同様であるので、その説明は省略する。
シアン色材増加可能量(AmtCup):
AmtCup=出力濃淡シアン合計色材量−入力シアン色材量 …(5)
マゼンタ色材増加可能量(AmtMup):
AmtMup=出力濃淡マゼンタ合計色材量−入力マゼンタ色材量 …(6)
図5は、9行×9列のパッチで構成されるクロスパッチであり、C(シアン)、M(マゼンタ)の色材に対し、濃い色材と淡い色材の色材量(トナー量)がクロス状に分布されたパッチパターンを示している。同図において、左から右に行くに従い、段階的に淡い色材(淡トナー)の色材量が増えるようになっており、上から下へ行くに従い、段階的に濃い色材(濃トナー)の色材量が増えるようになっている。
図6は、色材量特性マップであり、クロスパッチの離散的なトナー量(信号値)に対し、格子に相当するトナー量(信号値)以外の値が指定された場合でも、濃淡の色材量が導出できるよう、格子間補間演算処理により求めた17行×17列のセルで構成される図である。同図は、クロスパッチの特性により、色材量が等しく、且つ濃い色材と淡い色材の色材量の組合せが異なる等色材量ラインを引くことができる。本実施例では、図6をシアン濃淡分解部304、そしてマゼンタ濃淡分解部305で参照している。
図7は、濃度特性マップであり、図5のクロスパッチをプリンタで印刷し、測定器でパッチの濃度を測定してプロットした図である。なお、濃度特性マップは、クロスパッチの格子に相当する濃度以外の値が指定された場合でも、濃淡の色材量が導出できるよう、予め格子間補間演算処理により17行×17列のセルで構成されている。また、同図は濃度がほぼ等しく、且つ濃い色材と淡い色材の色材量の組合せが異なる等濃度ラインを引くことができる。本実施例では、図7を濃淡分解テーブル部302、シアン濃淡分解部304、そしてマゼンタ濃淡分解部305で参照している。
図8は、図6に示す色材量特性マップに図7の濃度特性マップを重ね合わせたものであり、目標色材使用量を含む等色材量ラインと目標濃度を含む等濃度ラインから、濃い色材と淡い色材の色材量の決定方法を説明する図である。
濃い色材と淡い色材の色材量の決定方法は、以後詳細に説明するように、目標色材使用量を含む等色材量ラインと目標濃度を含む等濃度ラインから交差するセル801を検出することにより、矢印802が示すC07を濃い色材の色材量に、矢印803が示すLc09を淡い色材の色材量と定めている。
図9は、図3に示したシアン濃淡分解部304またはマゼンタ濃淡分解部305における濃淡分解処理の概要を示すフローチャートである。以下の説明は、シアン濃淡分解部304の処理に関したものであるが、マゼンタ濃淡分解部305の処理に関しても同様であるため、その説明は省略する。
先ず、ステップS901は、図3の出力濃淡合計色材量算出部301により計算されたシアン目標色材使用量を入力とするステップである。上述のとおり、301は、本実施例の電子写真プリンタで用いる記録媒体の種類の情報を得、この情報が示す記録媒体が定着可能な最大のトナー量(以下、載り量ともいう)を計算する。なお、目標色材使用量は、色材量特性マップ内に存在している。
次に、ステップS902は、クロスパッチ部303の濃度値から作成した濃度特性マップに基づいて、濃淡分解テーブル302から得られる出力濃シアン色材量と出力淡シアン色材量を入力として導出されたシアン目標濃度を入力とするステップである。なお、目標濃度は、濃度特性マップ内に存在している。ステップS903は、17行×17列のセルで構成される色材量特性マップおよび濃度特性マップにおける行のカウンタiを宣言し、初期化するステップである。ステップS904は、図5に示す9行×9列のパッチで構成されるシアンのクロスパッチを印刷した印刷物に対応する色材量を補間手段によって、図6に示すような17行×17列のセルで構成される色材量特性マップから目標色材使用量の探索を行うステップである。
なお、補間手段によって生成される色材量特性マップは、256行×256列のセルに拡張することも可能である。ただし、本実施例では説明を簡単にするため、17行×17列のセル構成を用いて実施する。
具体的には、図10のアルゴリズムに基づいて、図11の目標色材使用量のサーチに示される矢印(実線)の方向に目標色材使用量を含む等色材量ラインを構成するセルの探索を行う。
そして、等色材量ラインを構成するセルが見つかった場合は、ステップS905へ進む。見つからなかった場合は、再び目標色材使用量を探索する。ステップS905は、図5に示す9行×9列のパッチで構成されるシアンのクロスパッチを印刷した印刷物を測色して得られた離散的な濃度値を補間手段によって、図7に示すような17行×17列のセルで構成される濃度特性マップから目標濃度の探索を行うステップである。なお、補間手段によって生成される濃度特性マップは、256行×256列のセルに拡張することも可能である。
ただし、本実施例では説明を簡単にするため、17行×17列のセル構成を用いて実施する。具体的には、図12のアルゴリズムに基づいて、図13の目標濃度のサーチに示される矢印(破線)の方向に目標濃度を含む等濃度ラインを構成するセルの探索を行う。そして、目標濃度が見つかった場合は、ステップS906へ進む。目標濃度が見つからなかった場合は、再び目標色材使用量から探索を開始する。
ステップS906は、ステップS904で見つかった等色材量ラインを構成するセルとステップS905で見つかった等濃度ラインを構成するセルが一致するセル、またはマップの同一の水平・垂直ラインにおいて等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係が逆転するセルを検出するステップであり、上述の条件を満たす場合、即ち、等濃度ラインと等色材量ラインが交差する場合は、ステップS908へ進む。ステップS908は、上述の条件を満たすセルを濃い色材と淡い色材の色材量とするステップである。ステップS906で等濃度ラインと等色材量ラインが交差しない場合は、ステップS907へ進む。
ステップS907は、等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルとの距離が最も短いセルを検出するステップである。カウンタiが濃い色材方向の最後の行に達していなかった場合は、距離計算後、ステップS904へ戻り、再び目標色材量の探索を開始する。カウンタiが濃い色材方向の最後の行に達した場合は、探索を終了し、ステップS908へ進む。ステップS908は、上述の条件を満たすセルを濃い色材と淡い色材の色材量とするステップである。最後のステップS909は、エンドステップであり、濃淡分解処理を終了する。
図10は、図9の目標色材使用量探索ステップS904を詳しく説明するためのフローチャートである。
はじめに、ステップS1001は、17行×17列のセルで構成される色材量特性マップにおける列のカウンタjを宣言し、初期化するステップである。次に、ステップS1002は、探索中の等色材量ラインを構成するセルの色材量と目標色材使用量が一致するかどうかを判定するステップであり、一致する場合はステップS1003へ進む。ステップS1003は等色材量ラインを構成するセルを規定するものであり、探索中の等色材量ラインを構成するセルの色材量と目標色材使用量が一致する場合は、等色材量ラインを構成するセルをjとする。ステップS1004は、上記規定後のセルを変数amtinkへ代入・保持する。
そして、結合子9−2へ、即ち、ステップS905へ進み、引き続き、目標濃度の探索を行う。ステップS1002で、一致しない場合は、ステップS1005へ進む。ステップS1005は、探索中の等色材量ラインを構成するセルの色材量が目標色材使用量より小さいかどうかを判定するステップであり、YESの場合はステップS1003へ進む。ステップS1003は、等色材量ラインを構成するセルを規定するものであり、探索中の等色材量ラインを構成するセルの色材量が目標色材使用量より小さい場合は、等色材量ラインを構成するセルをjとする。ステップS1004は、上記規定後のセルを変数amtinkへ代入・保持する。
そして、結合子9−2へ、即ち、ステップS905へ進み、引き続き、目標濃度の探索を行う。NOの場合はステップS1006へ進む。ステップS1006は、列のカウンタjをデクリメント処理するステップである。ステップS1007はカウンタjが列の最初のセルに達したかどうかを判定するステップであり、カウンタjが列の最初のセルに達していない場合は、ステップS1002へ戻り、再び目標色材使用量を探索する。ステップS1007でカウンタjが列の最初のセルに達した場合は、ステップS1008へ進み、行のカウンタiのインクリメント処理を行った後、ステップS1001へ戻り、再び目標色材使用量の探索を開始する。
図11は、目標色材使用量探索のアプローチを説明する図であり、同図中の目標色材使用量のサーチに示される矢印(実線)の方向に目標色材使用量を含む等色材量ラインを構成するセルの探索を行う。なお、本実施例では同図に示される濃い色材の矢印の向きにカウンタiを、淡い色材の矢印の向きに列のカウンタjを規定している。
図12は、目標濃度探索ステップS905を詳しく説明するためのフローチャートである。
先ず、ステップS904は、図10に示した目標色材使用量を探索するステップであり、目標色材使用量が見つかった場合は、引き続き、ステップS1201へと進む。見つからなかった場合は、再び目標色材使用量を探索する。ステップS1201は、17行×17列のセルで構成される濃度特性マップにおける列のカウンタkを宣言し、初期化するステップである。ステップS1202は、探索中の等濃度ラインを構成するセルの濃度と目標濃度が一致するかどうかを判定するステップであり、一致する場合はステップS1203へ進む。ステップS1203は等濃度ラインを構成するセルを規定するものであり、探索中の等濃度ラインを構成するセルの濃度と目標濃度が一致する場合は、等濃度ラインを構成するセルをkとする。
そして、結合子9−3へ、即ち、ステップS906へ進み、引き続き、目標色材使用量と目標濃度の交点計算を行う。ステップS1202で、一致しない場合は、ステップS1204へ進む。ステップS1204は、探索中の等濃度ラインを構成するセルの濃度が目標濃度より小さいかどうかを判定するステップであり、YESの場合はステップS1203へ進み、等濃度ラインを構成するセルをkとする。
そして、結合子9−3へ、即ち、ステップS906へ進み、引き続き、目標色材使用量と目標濃度の交点計算を行う。NOの場合はステップS1205へ進む。ステップS1205は、列のカウンタkをデクリメント処理するステップである。ステップS1206はカウンタkが列の最初のセルに達したかどうかを判定するステップであり、カウンタkが列の最初のセルに達していない場合は、ステップS1202へ戻り、再び目標濃度を探索する。ステップS1206でカウンタkが列の最初のセルに達した場合は、ステップS1207へ進み、行のカウンタiのインクリメント処理を行った後、ステップS904へ戻り、再び目標色材使用量の探索を開始する。
図13は、目標濃度探索のアプローチを説明する図であり、同図中の目標濃度のサーチに示される矢印(破線)の方向に目標濃度を含む等濃度ラインを構成するセルの探索を行う。なお、本実施例では同図に示される濃い色材の矢印の向きに行のカウンタiを、淡い色材の矢印の向きに列のカウンタkを規定している。
図14は、図9の目標色材使用量と目標濃度の交点計算ステップS906を詳しく説明するためのフローチャートである。
はじめに、ステップS904は、図10に示した目標色材使用量を探索するステップであり、目標色材使用量が見つかった場合は、引き続き、ステップS905へと進み、図12に示した目標濃度を探索する。目標色材使用量が見つからなかった場合は、再び目標色材使用量の探索を開始する。ステップS905は、目標濃度を探索するステップであり、目標濃度が見つかった場合は、ステップS1401へと進む。目標濃度が見つからなかった場合は、再び目標色材使用量から探索を開始する。
ステップS1401は、等濃度ラインを構成するセルの列のカウンタと等色材量ラインを構成するセルの列のカウンタが一致するかどうかを判定するステップである。一致する場合とは、図15にて詳細に後述されるように、同じセル上に等濃度ラインと等色材量ラインが存在する、セル1503の状態を示し、このとき、矢印1504が示すC07を濃い色材の色材量に、つづいて矢印1505が示すLc09を淡い色材の色材量とするものである。上記を踏まえ再び図14へ戻ると、ステップS1401で一致する場合は、ステップS1402へ進み、そのときの行のカウンタiを濃い色材の色材量変数shadeに、つづいてステップS1403へと進み、図10で保持した列のカウンタamtinkを淡い色材の色材量変数lightに格納する。
そして、結合子9−5へ、即ち、ステップS908へ進み、最終的に上述の変数shadeを濃い色材の色材量に、変数lightを淡い色材の色材量と定める。そして、ステップS909でプログラムを終了する。ステップS1401の判定で一致しない場合は、ステップS1404へと進む。
ステップS1404は、色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上の同一水平ラインにおいて、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係が逆転するかどうかを判定するステップである。セルの位置関係が逆転するとは、図16にて詳細に後述されるように、等色材量ラインを中心に等濃度ラインを構成するセルがC07からC08の水平ラインにかけてセルの位置関係が逆転している状態をいう。載り量を考慮した場合、セル1603が最適解であり、このとき、濃い色材と淡い色材の色材量の組合せは、矢印1604が示すC08を濃い色材の色材量に、つづいて矢印1605が示すLc08を淡い色材の色材量とするものである。上記を踏まえ再び図14へ戻ると、ステップS1404で逆転する場合は、ステップS1402へ進み、そのときの行のカウンタiを濃い色材の色材量変数shadeに、つづいてステップS1403へと進み、図10で保持した列のカウンタamtinkを淡い色材の色材量変数lightに格納する。
そして、結合子9−5へ、即ち、ステップS908へ進み、最終的に上述の変数shadeを濃い色材の色材量に、変数lightを淡い色材の色材量と定める。そして、ステップS909でプログラムを終了する。ステップS1404の判定で逆転しない場合は、結合子9−4へ、即ち、ステップS907へ進み、引き続き、目標色材使用量と目標濃度との間の最短距離計算を行う。
図15は、等濃度ラインと等色材量ラインが、色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上で交差し、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルが一致する場合を説明する図である。
濃い色材の色材量0[%]、淡い色材の色材量の最大値[%]のセル(C00,Lc16)を探索の出発点とし、淡い色材の色材量を最大値[%]から色材量が減る方向に探索を行う。同図中の矢印1501(実線)は目標色材使用量のサーチであり、矢印の向きに目標色材使用量の探索を行う。
また、矢印1502(破線)は目標濃度のサーチであり、矢印の向きに目標濃度の探索を行う。探索を開始して間もなくは、目標濃度を含む等濃度ラインが色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上に存在しておらず(カウンタiがC00からC04にある状態)、同一水平ライン上に等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルが存在するまで探索を続ける。
カウンタiがC05に至ると、初めて同一水平ライン上で等色材量ラインを構成するセル(C05,Lc11)と等濃度ラインを構成するセル(C05,Lc16)が存在し、交点の計算が行われる。その後、カウンタiがC06に進むまで、同一水平ライン上で、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係は変わらない状態が続くため、引き続き、探索を開始する。そして、カウンタiがC07に進んだとき、セル1503(C07,Lc09)上に等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルが存在する状態となり、このときの矢印1504が示すC07を濃い色材の色材量に、矢印1505が示すLc09を淡い色材の色材量とする。
続いてカウンタiがC08に進んだとき、等色材量ラインを中心に等濃度ラインを構成するセルの位置関係が逆転する状態となる。その後、カウンタiがC10に進むまでの間、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係は再び変わらない状態が続き、やがて、目標濃度を含む等濃度ラインは色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上から存在しなくなる。
図16は、等濃度ラインと等色材量ラインが、色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上で交差し、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルが一致しない場合を説明する図である。
図15と同様に、セル(C00,Lc16)を探索の出発点とし、淡い色材の色材量を最大値[%]から色材量が減る方向に探索を行う。同図中の矢印1601(実線)は目標色材使用量のサーチであり、矢印の向きに目標色材使用量の探索を行う。また、矢印1602(破線)は目標濃度のサーチであり、矢印の向きに目標濃度の探索を行う。探索を開始して間もなくは、目標濃度を含む等濃度ラインが色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上に存在しておらず(カウンタiがC00からC04にある状態)、同一水平ライン上に等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルが存在するまで探索を続ける。
カウンタiがC05に至ると、初めて同一水平ライン上で等色材量ラインを構成するセル(C05,Lc11)と等濃度ラインを構成するセル(C05,Lc16)が存在し、交点の計算が行われる。その後、カウンタiがC07に進むまでの間、同一水平ライン上で、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係は変わらない状態が続くため、引き続き、探索を開始する。そして、カウンタiがC08に進んだとき、等色材量ラインを中心に等濃度ラインを構成するセルの位置関係が逆転する状態となる。
ここで、等濃度ラインと等色材量ラインが色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上で交差し、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルが一致しない場合に、濃い色材の色材量と淡い色材の色材量の組合せを決定するには、等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルが近接していなければならず、更に載り量を考慮すると、等濃度ラインを構成するセルは等色材量ラインを構成するセルより小さく、即ち、等色材量ラインを軸に左側に位置していなければならない。
したがって、上記条件下では、セル1603(C08,Lc08)が最適解であり、濃い色材と淡い色材の色材量の組合せは、矢印1604が示すC08を濃い色材の色材量に、矢印1605が示すLc08を淡い色材の色材量とする。その後、カウンタiがC10に進むまでの間、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係は再び変わらない状態が続き、やがて、目標濃度を含む等濃度ラインは色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上から存在しなくなる。
図17は、図9の目標色材使用量と目標濃度との間の最短距離計算ステップS907を詳しく説明するためのフローチャートである。
はじめに、ステップS1701は、等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルとの最短距離を求める際の最小値minを宣言し、初期化するステップである。初期値代入の際は、考えられる限り最大の値を代入しておく必要がある。最も大きい値を初期値として代入しておけば、最初の値は必ず最小値に適したものと判断されるからである。よって、最小値minの初期値は、本実施例に示された値に限られないことはもちろんであり、考えられる限り最大の値を代入してあればよい。
ステップS904は、図10に示した目標色材使用量を探索するステップであり、目標色材使用量が見つかった場合は、引き続き、ステップS905へと進み、図12に示した目標濃度を探索する。目標色材使用量が見つからなかった場合は、再び目標色材使用量の探索を開始する。ステップS905は、目標濃度を探索するステップであり、目標濃度が見つかった場合は、ステップS906へと進み、図14に示した目標色材使用量と目標濃度の交点計算を行う。目標濃度が見つからなかった場合は、再び目標色材使用量から探索を開始する。
ステップS906は、等濃度ラインと等色材量ラインが色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上で交差するセルを検出するステップであり、交差するセルが見つかった場合は、ステップS908へと進み、濃い色材と淡い色材の色材量を決定する。交差するセルが見つからなかった場合は、ステップS1702へ進む。ステップS1702は、等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルとの距離dを計算するステップである。ステップS1703は、距離dが格納されている最小値minよりも小さいかどうかを判定するステップであり、小さい場合は、ステップS1704へ進み、距離dを最小値minに格納し、つづいてステップS1705へと進み、そのときの行のカウンタiを濃い色材の色材量変数shadeに、列のカウンタamtinkを淡い色材の色材量変数lightに格納する。
そして、ステップS1707へ進み、行のカウンタiのインクリメント処理を行う。ステップS1703で距離dが最小値minより大きい、または等しい場合は、ステップS1707へ進み、行のカウンタiのインクリメント処理を行う。ステップS1708は、カウンタiが行の最後に達したかどうかを判定するステップであり、カウンタiが行の最後に達していない場合は、ステップS904へ戻り、再び目標色材使用量を探索する。カウンタiが行の最後に達した場合は、ステップS1709へ進み、上述した変数shadeに格納された値を最終的に濃い色材の色材量に、変数lightに格納された値を淡い色材の色材量と定める。
そして、ステップS909でプログラムを終了する。以上で濃淡分解における濃い色材と淡い色材の色材量を求める一連の処理を解が見つかるまで探索し、見つかり次第、プログラムを終了する。
図18は、図17の最短距離計算のアプローチを説明する図であり、同図中に示される線分(実線)1801は、同一水平ラインにおける等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルとの距離dを表している。なお、本実施例では同図に示される濃い色材の矢印の向きにカウンタiを規定している。
以上説明したように本実施例によれば、濃い色材から同じ色調で濃度が淡い色材を含む濃淡2種類の色材へ色分解する濃淡色材量分解画像処理方法において、同じ色調で濃度が異なる2種類の色材に関して離散的な色材量がクロス状に分布された9行×9列のクロスパッチをプリンタ等の画像出力装置で印刷し、その印刷物を測色して得られた離散的な濃度値を補間手段によって、17行×17列のセルで構成される濃度特性マップを生成する。
また、クロスパッチの離散的な色材量を補間手段によって、17行×17列のセルで構成される色材量特性マップを生成する。よって、色材量特性マップから目標色材使用量を越えない範囲で等色材量ラインのセルを探索し、前記濃度特性マップから目標濃度を超えない範囲で等濃度ラインのセルを探索することによって、等色材量ラインと等濃度ラインが交差するセルを検出することが可能となる。
したがって、交差するセルから濃い色材と淡い色材の色材量の組合せを決定することが可能となる。一方、等濃度ラインと等色材量ラインが交差しない場合もあり、そのような場合は、同一の水平ラインにおいて、目標濃度を含む等濃度ラインを構成するセルと目標色材使用量を含む等色材量ラインを構成するセルとの距離を求め、最も近い距離にある目標色材使用量を含む等色材量ラインを構成するセルを近似的に濃淡分解における濃い色材と淡い色材の色材量と決定することができる。
上述した実施例1では、先ずC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の基本4色からC、Mについて、色材量制限値の範囲内で規定される目標色材使用量と目標濃度を計算し、これらを入力として色材量特性マップから目標色材使用量を含む等色材量ラインを探索し(図9のS904)、濃度特性マップから目標濃度を含む等濃度ラインを探索し(同図S905)、そして、等濃度ラインと等色材量ラインが交差するセルを検出し(同図S906)、検出された場合は、上記セルを濃淡分解における濃い色材と淡い色材の色材量とし(同図S908)、検出されなかった場合は、同一水平ラインにおける等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルとの距離が最も短いセルを検出し(同図S907)、上記セルを濃淡分解における濃い色材と淡い色材の色材量とした(同図S908)。
しかし、本発明の適用はこのような処理に限られず、濃淡分解処理の計算時間を第一優先とする必要がないのであれば、高精度に色材量を計算することが可能である。そこで、本実施例では、高精度の濃淡分解手法について説明する。
先ず、図19に高精度な色材量組合せ決定処理を含む濃淡分解処理概要のプロセスを示す。以下の説明は、シアン濃淡分解部304の処理に関したものであるが、マゼンタ濃淡分解部305の処理に関しても同様であるため、その説明は省略する。先ず、ステップS901は、図3の出力濃淡合計色材量算出部301により計算されたシアン目標色材使用量を入力とするステップである。
上述のとおり、301は、本実施例の電子写真プリンタで用いる記録媒体の種類の情報を得、この情報が示す記録媒体が定着可能な最大のトナー量(以下、載り量ともいう)を計算する。なお、目標色材使用量は、色材量特性マップ内に存在している。次に、ステップS902は、クロスパッチ部303の濃度値から作成した濃度特性マップに基づいて、濃淡分解テーブル302から得られる出力濃シアン色材量と出力淡シアン色材量を入力として導出されたシアン目標濃度を入力とするステップである。なお、目標濃度は、濃度特性マップ内に存在している。
ステップS903は、17行×17列のセルで構成される色材量特性マップおよび濃度特性マップにおける行のカウンタiを宣言し、初期化するステップである。ステップS904は、図5に示す9行×9列のパッチで構成されるシアンのクロスパッチを印刷した印刷物に対応する色材量を補間手段によって、図6に示すような17行×17列のセルで構成される色材量特性マップから目標色材使用量の探索を行うステップである。具体的には、図10のアルゴリズムに基づいて、図11の目標色材使用量のサーチに示される矢印(実線)の方向に目標色材使用量を含む等色材量ラインを構成するセルの探索を行う。
ステップS905は、図5に示す9行×9列のパッチで構成されるシアンのクロスパッチを印刷した印刷物を測色して得られた離散的な濃度値を補間手段によって、図7に示すような17行×17列のセルで構成される濃度特性マップから目標濃度の探索を行うステップである。具体的には、図12のアルゴリズムに基づいて、図13の目標濃度のサーチに示される矢印(破線)の方向に目標濃度を含む等濃度ラインを構成するセルの探索を行う。
ステップS906は、ステップS904で見つかった等色材量ラインを構成するセルとステップS905で見つかった等濃度ラインを構成するセルが一致するセル、またはマップの同一の水平・垂直ラインにおいて等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係が逆転するセルを検出するステップであり、上述の条件を満たす場合、即ち、等濃度ラインと等色材量ラインが交差するが交差する場合は、ステップS908へ進む。
ステップS908は、上述の条件を満たすセルを濃い色材と淡い色材の色材量と定めるステップである。ステップS906で等濃度ラインと等色材量ラインが交差しない場合は、カウンタiの判定を行い、カウンタiが行の最後に達していない場合は、ステップS904へ戻り、再び目標色材使用量を探索する。カウンタiが行の最後に達した場合は、ステップS907へ進み、目標色材使用量と目標濃度との間の最短距離を計算し、ステップS908で最短距離に相当するセルを濃い色材と淡い色材の色材量と定める。
最後のステップS909は、エンドステップであり、濃淡分解処理を終了する。
以上、説明したようにステップS901からステップS905までの処理に関しては、実施例1と同じである。そこで、本実施例では、ステップS906以降の処理に関して説明する。
図20は、図19の目標色材使用量と目標濃度の交点計算ステップS906を詳しく説明するためのフローチャートである。
はじめに、ステップS2001は、等色材量ラインを構成するセルを表す行のカウンタpおよび等濃度ラインを構成するセルを表す行のカウンタqを宣言し、初期化するステップである。ステップS904は、図10に示した目標色材使用量を探索するステップであり、目標色材使用量が見つかった場合は、引き続き、ステップS905へと進み、図12に示した目標濃度を探索する。目標色材使用量が見つからなかった場合は、再び目標色材使用量の探索を開始する。
ステップS905は、目標濃度を探索するステップであり、目標濃度が見つかった場合は、ステップS2002へと進む。目標濃度が見つからなかった場合は、再び目標色材使用量から探索を開始する。ステップS2002は、等濃度ラインを構成するセルの列のカウンタと等色材量ラインを構成するセルの列のカウンタが一致するかどうかを判定するステップである。一致する場合は、ステップS2003へ進み、そのときの行のカウンタiを濃い色材の色材量変数shadeに、つづいてステップS2004へと進み、図10で保持した列のカウンタamtinkを淡い色材の色材量変数lightに格納する。
そして、結合子9−5へ、即ち、ステップS908へ進み、最終的に上述の変数shadeを濃い色材の色材量に、変数lightを淡い色材の色材量と定める。そして、ステップS909でプログラムを終了する。ステップS2002の判定で一致しない場合は、ステップS2005へと進む。ステップS2005は、色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上の同一水平ラインにおいて、等濃度ラインを構成するセルと等色材量ラインを構成するセルの位置関係が逆転するかどうかを判定するステップである。逆転する場合は、ステップS2003へ進み、そのときの行のカウンタiを濃い色材の色材量変数shadeに、つづいてステップS2004と進み、図10で保持した列のカウンタamtinkを淡い色材の色材量変数lightに格納する。
そして、結合子9−5へ、即ち、ステップS908へ進み、最終的に上述の変数shadeを濃い色材の色材量に、変数lightを淡い色材の色材量と定める。そして、ステップS909でプログラムを終了する。ステップS2005の判定で逆転しない場合は、ステップ2006へ進み、探索した等色材量ラインを構成するセルの値amtinkを配列amt[p]に、つづいてステップS2007へと進み、探索した等濃度ラインを構成するセルの値deninkを配列den[q]に格納する。
そして、ステップS2008、S2009、S2010へ進み、行のカウンタp、q、iのインクリメント処理をそれぞれ行う。ステップ2011は、カウンタiが行の最後に達したかどうかを判定するステップであり、カウンタiが行の最後に達していない場合は、ステップS904へ戻り、再び目標色材使用量を探索する。カウンタiが行の最後に達した場合は、結合子9−4へ、即ち、ステップS907へ進み、引き続き目標色材使用量と目標濃度との間の最短距離計算を行う。
図21は、交差するセルが検出されない場合の高精度な色材量決定処理を含む図19のステップS907を詳しく説明するためのフローチャートである。
はじめに、ステップS906は、等濃度ラインと等色材量ラインが色材量および濃度の特性が記述されたm行×m列のセル上で交差するセルを検出するステップであり、交差するセルが見つかった場合は、ステップS908へ、即ちステップS2112、S2113へと進み、濃い色材と淡い色材の色材量を決定する。交差するセルが見つからなかった場合は、ステップS2101へ進む。
ステップS2101は、等濃度ラインを構成するセルを表す行のカウンタqを初期化し、等色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルとの最短距離を求める際の最小値minを宣言し、初期化するステップである。初期値代入の際は、考えられる限り最大の値を代入しておく必要がある。最も大きい値を初期値として代入しておけば、最初の値は必ず最小値に適したものと判断されるからである。よって、最小値minの初期値は、本実施例に示された値に限られないことはもちろんであり、考えられる限り最大の値を代入してあればよい。ステップS2102は、等色材量ラインを構成するセルを表す行のカウンタpを宣言し、初期化するステップである。
ステップS2103は、色材量ラインを構成するセルと等濃度ラインを構成するセルとの距離dp,qを計算するステップである。ステップS2104は、距離dp,qが格納されている最小値minよりも小さいかどうかを判定するステップであり、小さい場合は、ステップS2105へ進み、距離dp,qを最小値minに格納し、ステップS2106へと進み、そのときの等色材量ラインを構成するセルを表す行のカウンタpを濃い色材の色材量変数shadeに、そして、ステップS2107へと進み、等色材量ラインを構成するセルの値amt[p]を淡い色材の色材量変数lightに格納する。
そして、ステップS2108へ進み、カウンタpのインクリメント処理を行う。ステップS2104で距離dp,qが最小値minより大きい、または等しい場合は、ステップS2108へ進み、行のカウンタpのインクリメント処理を行う。ステップS2109は、カウンタpが探索した等色材量ラインのセルの最後に達したかどうかを判定するステップであり、カウンタpがセルの最後に達していない場合は、ステップS2103へ戻り、再び距離dp,qを計算する。カウンタpがセルの最後に達した場合は、ステップS2110へ進み、等濃度ラインを構成するセルを示す行のカウンタqのインクリメント処理を行う。
ステップS2111は、カウンタqが探索した等濃度ラインのセルの最後に達したかどうかを判定するステップであり、カウンタqがセルの最後に達していない場合は、ステップS2102へ戻り、カウンタpを初期化後、再び距離dp,qを計算する。カウンタqがセルの最後に達した場合は、ステップS2112へ進み、上述した変数shadeの値を最終的に濃い色材の色材量に、変数lightの値を淡い色材の色材量と定める。
そして、ステップS909でプログラムを終了する。以上で濃淡分解における濃い色材と淡い色材の色材量を求める一連の処理を解が見つかるまで探索・計算し、見つかり次第、プログラムを終了する。
図22は、図21の最短距離計算のアプローチを説明する図であり、同図中に示される線分(破線)2201は、等濃度ラインを構成するセルden[q](2202)に対して、等色材量ラインを構成するセルamt[p](2203)との距離dp,qを表している。
同図に示されるように、例えば、等濃度ラインを構成するセルden[0](C03,Lc09)と目標色材使用量を含む等色材量ラインとの最短距離は線分(破線)2204であり、このとき最も近い距離にある等色材量ラインを構成するセルはセル2205とセル2206の二つ存在する。このような場合は、色材による画像の粒状度の低減、光沢の均一性の向上を考慮して、淡い色材の色材量が多いセル、即ち、セル2205を濃淡分解における濃い色材と淡い色材の色材量と規定する。
以上説明したように本実施例によれば、等濃度ラインと等色材量ラインが交差しない場合は、目標濃度を含む等濃度ラインを構成するセルと目標色材使用量を含む等色材量ラインを構成する全てのセルとの距離を求め、最も近い距離にある目標色材使用量を含む等色材量ラインを構成するセルを求めることによって、近似的且つ高精度に濃淡分解における濃い色材と淡い色材の色材量を決定することができる。