JP2004070209A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現し、高品質な画像形成を可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】Cyan,LightCyan,Magenta,LightMagenta,Yello,Blackの6種類のトナーでカラー画像形成を行う。ここで、濃トナーCyan,Magentaと淡トナーLightCyan,LightMagentaとは、濃度および所定の彩度における明度が互いに異なるものを用いる。そして、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では濃トナーと淡トナーを併せて画像形成を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】Cyan,LightCyan,Magenta,LightMagenta,Yello,Blackの6種類のトナーでカラー画像形成を行う。ここで、濃トナーCyan,Magentaと淡トナーLightCyan,LightMagentaとは、濃度および所定の彩度における明度が互いに異なるものを用いる。そして、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では濃トナーと淡トナーを併せて画像形成を行う。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機,プリンター,ファクシミリ,デジタルプルーフなどに用いる電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高速・高画質な画像形成装置として、電子写真方式を採用した複写機やレーザービームプリンタが知られている。近年のデジタル技術の進歩によって、POD市場からオフィスや家庭のコンシューマ市場まで、電子写真画像形成装置の高画質化への要求は高まっており、印刷の様なスクリーン処理を施した画像はもとより、銀塩写真の様な高い諧調性,広い色再現範囲,良好な粒状性を有する画像特性への要求が更に高まっている。特にCG画像やデジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真に迫る広い色再現範囲の実現が望まれている。
【0003】
この種の電子写真画像形成装置は、像担持体にレーザービームなどにより光を照射し、そのとき光が照射された量により画像が記録されるもので、文字などの2値的な画像から、写真などの中間調を含んだ画像まであらゆる画像を形成することができる。このときの中間濃度を再現する際に、パルス幅変調方式(PWM方式)と、ディザ法や濃度パターン法などの画像処理手法を用いることで、様々なパターンを像担持体上に形成することができる。
【0004】
得られた像担持体上のパターンに対し、帯電したトナー粒子を付着させ、更に紙等のシート上へ転写、定着することで最終的な出力画像を得る。このときに用いるトナーとしては、シアン(Cyan),マゼンタ(Magenta),イエロー(Yellow),ブラック(Black)の4色が一般的に使用されている。トナーは、粒状性,諧調性,濃度,彩度,グロスなど、種々の画像特性向上のため、様々な改良が加えられている。
【0005】
また更なる高画質化を目的とし、特開平5−35038号公報,特開平8−171252号公報,特開2000−231279号公報,特開2000−305339号公報,特開2000−347476号公報,特開2001−290319号公報などの様に、濃度レベルの異なる複数のトナーを用い、ハイライトからハーフトーン領域にかけて、更なる粒状性の向上や諧調再現性の向上などを実現する技術が開示されている。
【0006】
この他にも、濃度レベルの異なる複数のトナーを予め混合させた現像剤を用い、帯電量や粒径の違いを利用し、ハイライトから高濃度領域にかけて、各諧調に適したトナー種で作像するシステムも技術開示されている。
【0007】
しかし、この方法は、
・“諧調に応じて濃度レベルの異なるトナーを正確に選別する”ことが出来ず、トナー種の違いによる機能分離を充分におこなえない、
・複数枚の画像を出力し、大量にトナーを消費した後、混合された複数のトナーの重量比率が初期と異なり、初期の画質と大きく異なってしまう、
・濃度レンジの異なる濃淡2種類以上のトナー種を用いた場合、高濃度領域では必ずしも淡トナーを使用する必要はなく、消費量を低減する意味では使用しない方が望ましいが、高濃度領域で淡トナーを使用しない様に制御をすることができない、
などの問題を抱えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術にあっては、濃度レンジの異なる濃淡2種類以上のトナーを用いて作像することにより、“ハイライトからハーフトーン領域にかけての粒状性”と“諧調再現性”を向上させることができる。
【0009】
しかしながら、写真画質の画像形成を行う上で特に問題となる広い色再現範囲の実現には至っていない。それゆえ、画像形成時にいわゆる色域の圧縮を行わねばならず、複写機の場合には読み込んだ原稿の色調をそのまま再現することができないため、満足な出力品質を得ることができなかった。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現し、高品質な画像形成を可能とする画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、複数のトナーを用いてカラー画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置において、少なくとも一の色に関し、濃度が互いに異なり、かつ、所定の彩度における明度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いて、高明度領域では前記淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では前記濃トナーと前記淡トナーを併せて画像形成を行うことを特徴とする。
【0012】
より好ましくは、前記濃トナーと前記淡トナーの明度は、少なくともCIELAB空間における明度60以上の領域で、互いに異なるとよい。
【0013】
前記濃トナーと前記淡トナーの明度の変位量が、CIELAB空間における明度60以上の領域で、5以上であることが好適である。
【0014】
前記濃トナーと前記淡トナーは、着色剤の異なるトナーであってもよいし、または、着色剤が同一であって、前記着色剤の含有量が異なるトナーであることも好適である。
【0015】
このとき、前記淡トナーの着色剤の含有量が、前記濃トナーの着色剤の含有量の1/5以下であることが好ましい。
【0016】
少なくともシアン,マゼンタおよびイエローの3色以上でカラー画像形成を行う画像形成装置において、シアンとマゼンタの2色に関し、前記濃トナーと前記淡トナーを用いることが好適である。
【0017】
入力画像の色信号からダイレクトマッピングにより前記濃トナーと前記淡トナーそれぞれの色信号を生成することが好適である。
【0018】
あるいは、入力画像の色信号から画像形成用の色信号に変換し、該画像形成用の色信号を前記濃トナーと前記淡トナーそれぞれの色信号に分版することも好適である。
【0019】
形成される画像濃度が0.3以下の領域では淡トナーのみで画像形成を行うことが好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。以下に述べる電子写真方式の画像形成装置は、レーザビームプリンタ・複写機・レーザファクシミリ・デジタルプルーフなどに用いられて好適なものである。
【0021】
まず、図1を参照して、電子写真方式の画像形成装置の基本構成について説明する。
【0022】
画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム11と、その周りに配置された帯電器12,画像露光器17,現像器19,転写帯電器14,定着器15,クリーニング部材16を有して構成される電子写真方式の画像形成装置である。
【0023】
感光ドラム11としては、導電性の支持基体を最下層として、電荷発生層,電荷輸送層のように2層構造よりなる機能分離タイプのものや、単層型のものが使用できる。
【0024】
帯電器12は、感光ドラム11を均一帯電する帯電手段である。帯電手段としては、ワイヤーと電界制御グリッドよりなるコロナ帯電器を用いたコロナ帯電方式、像担持体に接触させた帯電ローラーに直流あるいは直流と交流の重畳バイアスを印加して帯電するローラー帯電方式などが挙げられる。
【0025】
画像露光器17は、帯電後の感光ドラム11表面を像露光して静電潜像を形成する露光手段である。露光手段としては、半導体レーザーを使用したスキャナータイプのものや、LEDに集光装置であるセルフォックレンズを介して像露光をおこなうもの、また、EL素子やプラズマ発光素子などを用いたものなど、種々の光学系を好適に用いることができる。
【0026】
現像器19は、感光ドラム11上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像(顕画像)を形成する現像手段である。現像方式としては、磁性トナーを磁力により搬送し、現像ニップにて非接触で像担持体上に飛翔現像させる磁性1成分の非接触現像方式、あるいは現像ニップで像担持体に接触させて現像処理をおこなう磁性接触現像方式、さらに、非磁性トナーをブレードにより規制し帯電させ、現像スリーブに担時して搬送し現像ニップにおいて非接触でトナーを飛翔現像させる非磁性1成分の非接触現像方式、あるいは現像ニップで像担持体に接触させ現像処理をおこなう非磁性1成分の接触現像方式、同じく非磁性トナーを磁性粉体であるキャリアに混合させ同じく現像スリーブで現像ニップまで搬送し現像処理をおこなう2成分現像方式など様々な現像方式を使用することができる。
【0027】
転写帯電器14は、感光ドラム11上のトナー像を紙などのシート10に転写する転写手段である。転写方式としては、電気的な力、あるいは機械的な力を利用した転写方式を使用することができる。電気的な力を利用して転写をおこなう方法として、コロナワイヤーによりトナーの帯電極性と逆極性の直流バイアスを印加して転写をおこなうコロナ転写方式、ローラーを当接させ、トナーと逆極性のバイアスを印加するローラー転写方式などが挙げられる。
【0028】
図2および図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一構成例を示す概略構成図である。同図に示すように、本実施形態では、複数の現像器19を備えた画像形成装置により、複数のトナーを用いてカラー画像形成を行う。
【0029】
図2の画像形成装置は、感光ドラム11,帯電器12,現像器19,転写帯電器14からなる画像形成ステーションSTを、シート搬送方向に沿って複数(図では6つ)並べた構成の装置である。各画像形成ステーションSTの現像器には異なる色または濃度のトナーが装填されている。この装置では、各画像形成ステーションSTで作像したトナー像を順次シート上に重ね合わせていくことで、カラー画像の形成を行う。
【0030】
また、図3の画像形成装置は、単一の感光ドラム11の周囲に複数の現像器19(図では6つ)を配置した構成の装置である。各現像器19には、異なる色または濃度のトナーが装填される。この装置では、現像器19を順次切り換えて作像した各色のトナー像を中間転写体18上で重ね合わせ、その重ね合わされたトナー像をシートに一括転写してカラー画像の形成を行う。
【0031】
画像形成装置としては、ここで示したものの他、2つ以上の現像器を有し、2種類以上のトナーを用いて画像形成を行うタイプのものであれば、いかなる構成のものでも好適に用いることができる。
【0032】
本実施形態では、上記構成の画像形成装置において、少なくとも一の色に関し、濃度レベルが互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いる。高明度領域(ハイライト領域)で淡トナーを主に用いることによって、高明度領域の粒状性を向上することができるとともに、高い諧調再現性を実現することができる。
【0033】
各現像器で用いるトナーの組み合わせは様々な組み合わせが考えられる。代表的な組み合わせを以下に示す。以下の組み合わせにおいて、LightCyan,LightMagenta,Yellow,LightBlackのトナーは、それぞれCyan,Magenta,DarkYellow,Blackの濃トナーに比べて濃度レベルが低い淡トナーである。
【0034】
1.Cyan, LightCyan, Magenta, Yellow, Black(計5色)
2.Cyan, LightCyan, Magenta, LightMagenta, Yellow, Black(計6色)
3.Cyan, LightCyan, Magenta, LightMagenta, Yellow, DarkYellow, Black(計7色)
4.Cyan, LightCyan, Magenta, LightMagenta, Yellow, DarkYellow, Black, LightBlack(計8色)
5.LightBlue, Cyan, LightRed, Magenta, LightGreen, DarkYellow, Black(計7色)
6.LightCyan, Blue, LightMagenta, Red, Yellow, Green, Black(計7色)
7.Black, LightBlack(計2色)
etc.
【0035】
なお、トナーの組み合わせとしては、この他にも任意の組み合わせを採用することができる。たとえば、濃度レベルの異なる3種類以上のトナーを用いたり、オレンジ色,金色,銀色,白色といった特色トナーを用いて色表現の幅を広げたり、着色剤を含有しない無色トナー等を用いて光沢性を向上させるなどの手法ももちろん可能である。
【0036】
さらに本実施形態では、所定の彩度における濃トナーの明度と淡トナーの明度とが、互いに異なるように設定する。具体的には、濃トナーと淡トナーそれぞれのCIELAB空間上の彩度が等しい点(√(a*2+b*2)の値が等しい点)での明度(L*)の値が、互いに異なるように設定する。より好ましくは、高明度領域(明度にして60以上の領域)で、濃トナーと淡トナーの明度が異なるように設定するとよい。
【0037】
図4に、その一例を示す。横軸は、彩度(√(a*2+b*2))を表し、縦軸は、明度(L*)を表している。同図に示す例では、淡トナーの明度が同一彩度の濃トナーの明度よりも高明度領域において相対的に高くなるように設定している。
【0038】
このように濃度レベルの異なる複数種類のトナーの同一彩度における明度を互いに異ならせることによって、中明度領域から主に高明度領域にかけての色再現範囲を拡大することができる。
【0039】
すなわち、濃度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用い、高明度領域と低明度領域に対して用いるトナーの機能分離を行うことで、高明度領域(ハイライト領域)の粒状性を向上させるとともに、高い諧調再現性を実現させ、且つ、濃トナーと淡トナーの同一彩度における明度に変位量をもたせることで、広い色再現範囲をも実現することができるのである。
【0040】
この原理について、図5〜図8を用いて説明する。図5〜図8は、CIELAB空間上での、濃トナーと淡トナーを用いた画像形成装置の色再現範囲を模式的に表した図である。図5は、濃トナーと淡トナーの明度特性が等しい場合である。図6は、濃トナーと淡トナーの明度特性が異なる場合である。図7は、濃トナーと淡トナーの明度特性が異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用せずに画像形成を行ったものである。また、図8は、濃トナーと淡トナーの明度特性が異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用して画像形成を行ったものである。
【0041】
図6に示すように、同一彩度における淡トナーの明度を濃トナーの明度よりも高くすることにより、中明度領域〜高明度領域にかけての色再現範囲が従来(図5)に比べて拡大することがわかる。ただし、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併用しなければ、図7のように中明度の彩度が高い領域において色再現域が不連続となるため、中明度領域〜高明度領域にかけて拡大した色再現範囲を生かして良好な画像形成を行うことは難しい。
【0042】
そこで、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、かつ、中間調領域では濃トナーと淡トナーを併用して画像形成を行うことにより、図8のように、中明度領域における色再現域が滑らかに連続し、良好な諧調再現性および広い色再現範囲を実現することができるようになる。
【0043】
このとき、高明度領域から濃トナーと淡トナーを併用することは、高明度領域の粒状性が低下する(トナーの粒状感が表れる)ため好ましくない。したがって、形成される画像濃度が0.3以下の諧調では、淡トナーのみを用い、濃トナーの使用率は0%にするとよい。他方、低明度領域では、濃トナーと淡トナーを併せて使用してもよいし、あるいは濃トナーのみを使用してもよい。
【0044】
濃トナーと淡トナーの同一彩度における明度の変位量は、CIELAB空間において5以上であることが好ましい。明度の変位量が小さすぎると、色再現範囲の拡大の効果が得られないからである。
【0045】
以上述べたように、本実施形態によれば、濃度および明度の異なる濃トナーと淡トナーを用いることで、中明度領域〜高明度領域にかけての色再現範囲を大幅に広げることができる。特に、高明度領域での鮮やかな発色により、空や海などの透き通った写真調の画像の質感を大幅に向上させることが可能となるばかりでなく、会社や商品のロゴマークなどに多用される鮮やかな色の発色も実現することができる。
【0046】
なお、上述した技術は、主に中明度〜高明度の領域(明度にして60以上の領域)に着目して、明度方向および彩度方向への色再現範囲を拡大するものであり、従来のように、明度の低い方向へダイナミックレンジを広げるための技術とは全く異なる発想に基づいていることに注意されたい。
【0047】
本明細書では、明度値・濃度値は、X−Rite社製の分光濃度計MODEL:528を使用して測定した値を用いている。また、L*a*b*の値は、X−Rite社製の分光濃度計MODEL:528を使用して、観測光源D50,観測視野2°の測定条件下で測定した値を用いている。
【0048】
次に、上記の濃トナーおよび淡トナーを作製するための方法について詳しく説明する。
【0049】
淡色シアントナー、及び、濃色シアントナーに用いることのできるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66が特に好適に利用できる。これら着色剤と、後述のイエロー着色剤やマゼンタ着色剤等とを混合し、好ましい好適なa*,b*,L*の値を有するシアントナーとしても良い。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
【0050】
トナーに含有される樹脂成分としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の分子量分布において、分子量600〜50000の範囲にピークを有することが好ましい。
【0051】
トナーに用いられる結着樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)の分子量分布において、低分子量のピークが3000〜15000の範囲にあることが、粉砕法で生成したトナーの形状を熱と機械的衝撃力でコントロールする上で好ましい。
【0052】
低分子量のピークが15000を超えると、形状係数SF−1及びSF−2を好ましい範囲に制御しにくく、転写効率の向上が十分ではない。分子量3000未満では、トナー粒子の表面処理時に融着を生じやすい。
【0053】
なお、形状係数SF−1,SF−2は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値によって定義されるパラメータである。
【0054】
【数1】
【0055】
トナーの形状係数SF−1はトナー粒子の丸さの度合を示し、球形から徐々に不定形となる。SF−2はトナー粒子の凹凸度合を示し、トナー表面の凹凸が顕著となる。
【0056】
分子量は、GPCにより測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いテトラヒドロフラン(THF)で20時間抽出を行ったサンプルを用い、カラム構成は昭和電工製A−801,802,803,804,805,806,807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0057】
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)は、2〜100を示す樹脂が好ましい。
【0058】
トナーのガラス転移点(Tg)は定着性、保存性の点から50℃〜75℃(さらに好ましくは、52℃〜70℃)が好ましい。
【0059】
トナーのガラス転移点の測定にはたとえば、パーキンエルマー社製のDSC−7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本実施形態においては、試料を1回昇温させ前履歴をとった後、急冷し、再度温度速度10℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定されるDSC曲線を用いる。
【0060】
本実施形態に使用される結着樹脂は、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン,ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体,スチレン−ビニルトルエン共重合体,スチレン−ビニルナフタリン共重合体,スチレン−アクリル酸エステル共重合体,スチレン−メタクリル酸エステル共重合体,スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体,スチレン−アクリロニトリル共重合体,スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体,スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体,スチレン−ビニルメチルケトン共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体,スチレン−イソプレン共重合体,スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル,フェノール樹脂,天然変性フェノール樹脂,天然樹脂変性マレイン酸樹脂,アクリル樹脂,メタクリル樹脂,ポリ酢酸ビニール,シリコーン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリウレタン,ポリアミド樹脂,フラン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹脂,ポリビニルブチラール,テルペン樹脂,クマロンインデン樹脂,石油系樹脂等が使用できる。架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
【0061】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸オクチル,アクリル酸−2−エチルヘキシル,アクリル酸フェニル,メタクリル酸,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸オクチル,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸,マレイン酸ブチル,マレイン酸メチル,マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル,酢酸ビニル,安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;エチレン,プロピレン,ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;ビニルメチルケトン,ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;ビニルメチルエーテル,ビニルエチルエーテル,ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;等のビニル単量体が挙げられる。これらは、単独もしくは組み合わせて用いられる。
【0062】
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン,ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート,エチレングリコールジメタクリレート,1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン,ジビニルエーテル,ジビニルスルフィド,ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;が挙げられる。これらは単独もしくは混合して使用される。
【0063】
定着時の定着部材からの離型性の向上、定着性の向上の点から次のようなワックス類をトナー粒子中に含有させることも好ましい。パラフィンワックス及びその誘導体,マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体,フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体,ポリオレフィンワックス及びその誘導体,カルナバワックス及びその誘導体である。誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合体,グラフト変性物が挙げられる。
【0064】
その他、長鎖アルコール,長鎖脂肪酸,酸アミド,エステルワックス,ケトン,硬化ヒマシ油及びその誘導体,植物系ワックス,動物系ワックス,鉱物系ワックス,ペトロラクタム等も場合により使用しても良い。
【0065】
トナーを作製するには、結着樹脂,ワックス,着色剤としての顔料,染料,又は磁性体,必要に応じて荷電制御剤の如き添加剤をヘンシェルミキサー,ボールミルの如き混合器により十分混合してから加熱ロール,ニーダー,エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂を溶融せしめた中に顔料,染料又は磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕,分級を行なってトナーを得ることが出来る。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0066】
さらに、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、特公昭36−10231号公報,特開昭59−53856号公報,特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いてトナー粒子を製造しても良い。
【0067】
さらに、Cyan,Magenta,Yellow,Blackの各トナーの着色剤について説明する。
【0068】
黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
【0069】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12,13,14,15,17,62,74,83,93,94,95,97,109,110,111,120,127,128,129,147,168,174,176,180,181,191が好適に用いられる。
【0070】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2,3,5,6,7,23,48;2,48;3,48;4,57;1,81;1,144,146,166,169,177,184,185,202,206,220,221,254が特に好ましい。
【0071】
シアン着色剤としては、上述したように、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66が特に好適に利用できる。
【0072】
磁性体としては、鉄,コバルト,ニッケル,銅,マグネシウム,マンガン,アルミニウム,珪素などの元素を含む金属酸化物がある。中でも四三酸化鉄,γ−酸化鉄の如き酸化鉄を主成分とするものが好ましい。トナーの帯電性コントロールの点から硅素元素またはアルミニウム元素の如き金属元素を含有していてもよい。これら磁性粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましく2〜30m2/g、特に3〜28m2/gが好ましく、モース硬度が5〜7の磁性体が好ましい。
【0073】
上述した濃トナーと淡トナーは、それぞれ着色剤を異ならせることによって、濃度レベルおよび色相角を適宜異ならせたものである。または、同一の着色剤を用い、かつ、その含有量を異ならせることによっても、濃度レベルおよび色相角を適宜異ならせることもできる。この場合、淡トナーの着色剤の含有量を、濃トナーの着色剤の含有量の1/5以下にすることで、好ましい濃度レベルに設定することができる。
【0074】
次に、上記した画像形成装置の画像形成動作について説明する。
【0075】
ここでは、Red(R),Green(G),Blue(B)の3色からなる入力画像を、Cyan(DC),LightCyan(LC),Magenta(DM),LightMagenta(LM),Yellow(Y),Black(K)の6種類のトナーを用いて画像形成を行う場合について述べる。すなわち、シアンをLCとDCの2種類のトナーを用いて出力し、マゼンタをLMとDMの2種類のトナーを用いて出力する。
【0076】
画像形成装置は、原稿読取装置(スキャナ部)によって原稿上のカラー画像を読み取り、CCDでRGBに色分解された入力画像信号を得る。あるいは、画像形成装置がプリンタ機能を有する場合には、コンピュータからRGBのプリントデータ(入力画像信号)を得る場合もある。なお、ここではRGBの入力画像を用いているが、これは単に原稿読取装置やコンピュータのプリンタドライバの仕様に基づくものにすぎない。入力画像としては、RGB画像の他にも、CMYK画像,CMYK+LC+LM画像,L*a*b*画像や、特色用のチャンネルを含む画像なども入力可能である。
【0077】
画像形成を行う際には、入力されたRGBの色信号を、画像形成用の(出力デバイスで出力可能な)CMYK+LC+LMの色信号に変換しなければならない。
【0078】
図9に、色変換方式の一手法を示す。
【0079】
図9では、入力画像のRGB信号をCMYKの4色に色分解した後、特定色(CとM)について濃淡2つの版データに分版し、最終的に、Y,K,LC,DC,LM,DMの6色の色信号を得る。そして、6色の色信号に対して、所定のγ補正を施した後、ハーフトーン処理を行って、PWM回路に入力する。ここで、分版とは、ある色(版またはチャンネルともいう。)の画像データを、濃トナー用と淡トナー用の2つの画像データに分割することをいう。
【0080】
濃淡2つの版データへの変換方法については、トナーの濃度レベル等により様々な組み合わせが考えられる。図10に基本となる直線的な諧調変換方法を示す。
【0081】
図示したとおり、ハイライトで先に淡トナーが立ち上がり、中間調付近から濃トナーが入り始め、しばらく濃淡の組み合わせで諧調を再現しながら、高濃度部では淡トナーの使用が制限されていく。このときの濃淡の諧調の組み合わせは、粒状性や諧調性、色域などの画像品質と、トナー消費量の関係より決定される。またここでは簡単のため、直線的な諧調を図示したが、実際にはトーンジャンプを防止する観点から、濃淡各トナーの濃度の入り始めは緩やかなカーブを描くことが好適である。
【0082】
図11は、色変換方式の別の手法を示したものである。
【0083】
図9の色変換方式の場合、RGBの色信号をCやMの一次色に変換した後、LC+DC,LM+DMのように濃淡それぞれの色信号に分解しているので、濃淡2種類のトナーの色相が大きく異なると、単色のグラデーションやハイライト部分などにおいて色相が不均一となり、見た目に違和感を生ずるおそれがある。
【0084】
このような問題を解決すべく、ここでは、ダイレクトマッピングにより、入力画像のRGB信号から直接Y,K,LC,DC,LM,DMの6色の信号に色分解している。
【0085】
ダイレクトマッピングとは、ルックアップテーブル(LUT)を参照して、入力信号(入力画像の色情報)から出力デバイスの出力信号(画像形成用の色情報)へダイレクトに変換する色変換方式をいう。たとえば、色空間内のL*a*b*やRGBなどの3つの入力信号を与えることにより、その色を再現するために必要な出力色空間内の信号値を、CMYKの4色あるいはCMYK+LC+LMの6色などのかたちで出力する。
【0086】
この色変換方式はマトリクス演算を必要とせず、非線形な変換が可能となることから、UCRの設定など色変換の自由度が大幅に向上し、トナーの載り量をコントロールしながら、所望の色再現を可能にすることができる。
【0087】
また、ダイレクトマッピングによれば、入力画像のRGB信号から直接濃トナーと淡トナーそれぞれの色信号を発生させるので、図9の方法で懸念されるような濃淡トナーの色相の違いによる出力品位の低下を招くこともない。
【0088】
以上述べたように、本実施形態の画像形成装置によれば、濃度が互いに異なり、かつ、所定の彩度における明度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いて、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では淡トナーと濃トナーを併せて画像形成を行うので、良好な諧調性・粒状性を実現できるとともに、特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現し、高品質な画像形成を行うことが可能となる。
【0089】
【実施例】
(実施例1)
CMKYの各色のうち、シアンとマゼンタの2色について、濃度レベルの異なる2種類のトナーを用い、Cyan,LightCyan,Magenta,LightMagenta,Yellow,Blackの6種類のトナーでカラー画像形成を行う画像形成装置を構成した。
【0090】
ここで、濃トナーには顔料系の着色剤、淡トナーには染料系の着色剤というように、互いに異なる着色剤を用いることとし、濃トナーと淡トナーの濃度レベルおよび明度再現範囲を互いに異ならせた。具体的には、下記の原材料を用いて各トナーを作製した。
【0091】
<Cyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / フタロシアニン顔料 (3重量部)
<LightCyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / アントラキノン染料 (0.6重量部)
<Magenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / キナクリドン顔料 (3重量部)
<LightMagenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / アントラキノン染料 (0.6重量部)
【0092】
上記原料をヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押し出し式混練機により溶融混連し、冷却後ハンマーミルを用いて1〜2mm程度に粗粉砕した。次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級し、シリカを外添して、重量平均粒子5.6μmのCyan,LightCyan,Magenta,LightMagentaの各粒子を得た。
【0093】
得られたトナーの特性を図12のa*−b*平面図に示す。また、各々のトナーの諧調性を図13に示す。図12より、濃トナーと淡トナーの色相は互いに異なっていることがわかる。LightCyanはCyanに比べて緑色側にやや変位し、LightMagentaはMagentaに比べて紫色側にやや変位している。また、図13より、濃トナーと淡トナーの濃度が互いに異なることがわかる。
【0094】
また、得られたCyanとLightCyanのL*方向の特性の違いについて、図14および図15を用いて説明する。
【0095】
図14に示すように、今回使用したCyanとYellow,LightCyanとYellowの各組み合わせについて、a*−b*平面上でほぼ重なるように(ほぼ同一の色相となるように)混色させ、Cyan(LightCyan)100%からYellow100%まで、5種類の色相を作製した。図中の濃丸がCyanを用いたものであり、薄丸がLightCyanを用いたものである。
【0096】
そのとき、同一色相,同一彩度での明度成分を比較すると、図15に示すように、Cyanを用いたものに比べて、LightCyanを用いたもののほうが大幅に高い明度を示し、かつ、彩度方向および明度方向に広い色再現範囲を有していることがわかる。
【0097】
以上の様な構成のトナーを用いて画像形成を行ったところ、表1に示すとおり、比較例に比べて色再現域を約20%増加させることが可能となり、写真画質に迫る広い色再現範囲を実現することができた。
【0098】
なお、比較例1は、Cyan,Magenta,Yellow,Blackの4色のトナーを用いた、キヤノン株式会社製CLC1100複写機の結果である。また、比較例2はシアンとマゼンタに濃淡トナーを使用し、そのときの濃淡トナーの明度成分の変位量がない場合の結果である。
【0099】
色再現域の広さの比較は、比較例1の色再現域の体積を100としたときの相対値で評価した。
【0100】
【表1】
【0101】
このように、2種類の濃度レンジの異なるトナーを使用し、且つ、両トナーに異なる明度再現範囲を持たせることにより、色再現範囲を高明度領域に広げながら、粒状性や諧調性の向上を図ることが可能となる。
【0102】
(実施例2)
CMKYの各色のうち、シアンとマゼンタの2色について、濃度レベルの異なる2種類のトナーを用い、Cyan,LightCyan,Magenta,LightMagenta,Yellow,Blackの6種類のトナーでカラー画像形成を行う画像形成装置を構成した。
【0103】
ここで、濃トナーと淡トナーにはともに顔料系の同一の着色剤を用いることとし、着色剤の含有量を変化させることで、濃トナーと淡トナーの濃度レベルおよび明度再現範囲を互いに異ならせた。具体的には、下記の原材料を用いて各トナーを作製した。
【0104】
<Cyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / フタロシアニン顔料 (4重量部)
<LightCyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / フタロシアニン顔料 (0.7重量部)
<Magenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / キナクリドン顔料 (5重量部)
<LightMagenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / キナクリドン顔料 (1重量部)
【0105】
上記原料をヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押し出し式混練機により溶融混連し、冷却後ハンマーミルを用いて1〜2mm程度に粗粉砕した。次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級し、シリカを外添して、重量平均粒子5.6μmのCyan,LightCyan,Magenta,LightMagentaの各粒子を得た。
【0106】
以上の様な構成のトナーを用いて画像形成を行ったところ、表2に示すとおり、比較例に比べて色再現域を約30%増加させることが可能となり、写真画質に迫る広い色再現範囲を実現することができた。なお、比較例1,比較例2については、上記実施例1のものと同様である。
【0107】
【表2】
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、濃度が互いに異なり、かつ、所定の彩度における明度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いて、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では淡トナーと濃トナーを併せて画像形成を行うので、良好な諧調性・粒状性を実現できるとともに、特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現し、写真画質にも迫る高品質な画像形成を行うことが可能となる。
【0109】
特に、高明度領域での広い色再現範囲の実現は、空や海などの画像の質感を大幅に向上させるばかりでなく、会社や商品のロゴマークなどに多用される鮮やかな色の発色も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真方式の画像形成装置の基本構成を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一構成例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の他の構成例を示す概略構成図である。
【図4】高明度領域における濃トナーと淡トナーの明度の相違を示す図である。
【図5】濃トナーと淡トナーの明度特性が等しい場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図6】濃トナーと淡トナーの明度特性が互いに異なる場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図7】濃トナーと淡トナーの明度特性が互いに異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用せずに画像形成を行った場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図8】濃トナーと淡トナーの明度特性が互いに異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用して画像形成を行った場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図9】色変換方式の一手法を説明する図である。
【図10】濃トナーと淡トナーの諧調カーブの一例を示す図である。
【図11】色変換方式の他の手法(ダイレクトマッピング)を説明する図である。
【図12】実施例1に係るトナーの特性を示すa*−b*平面図である。
【図13】実施例1に係るトナーの諧調性を示す図である。
【図14】実施例1に係るCyanトナーとLightCyanトナーの特性を示すa*−b*平面図である。
【図15】実施例1に係るCyanトナーとLightCyanトナーの特性を示すCIELAB空間の立体図である。
【符号の説明】
10 シート
11 感光ドラム
12 帯電器
14 転写帯電器
15 定着器
16 クリーニング部材
17 画像露光器
18 中間転写体
19 現像器
ST 画像形成ステーション
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機,プリンター,ファクシミリ,デジタルプルーフなどに用いる電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高速・高画質な画像形成装置として、電子写真方式を採用した複写機やレーザービームプリンタが知られている。近年のデジタル技術の進歩によって、POD市場からオフィスや家庭のコンシューマ市場まで、電子写真画像形成装置の高画質化への要求は高まっており、印刷の様なスクリーン処理を施した画像はもとより、銀塩写真の様な高い諧調性,広い色再現範囲,良好な粒状性を有する画像特性への要求が更に高まっている。特にCG画像やデジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真に迫る広い色再現範囲の実現が望まれている。
【0003】
この種の電子写真画像形成装置は、像担持体にレーザービームなどにより光を照射し、そのとき光が照射された量により画像が記録されるもので、文字などの2値的な画像から、写真などの中間調を含んだ画像まであらゆる画像を形成することができる。このときの中間濃度を再現する際に、パルス幅変調方式(PWM方式)と、ディザ法や濃度パターン法などの画像処理手法を用いることで、様々なパターンを像担持体上に形成することができる。
【0004】
得られた像担持体上のパターンに対し、帯電したトナー粒子を付着させ、更に紙等のシート上へ転写、定着することで最終的な出力画像を得る。このときに用いるトナーとしては、シアン(Cyan),マゼンタ(Magenta),イエロー(Yellow),ブラック(Black)の4色が一般的に使用されている。トナーは、粒状性,諧調性,濃度,彩度,グロスなど、種々の画像特性向上のため、様々な改良が加えられている。
【0005】
また更なる高画質化を目的とし、特開平5−35038号公報,特開平8−171252号公報,特開2000−231279号公報,特開2000−305339号公報,特開2000−347476号公報,特開2001−290319号公報などの様に、濃度レベルの異なる複数のトナーを用い、ハイライトからハーフトーン領域にかけて、更なる粒状性の向上や諧調再現性の向上などを実現する技術が開示されている。
【0006】
この他にも、濃度レベルの異なる複数のトナーを予め混合させた現像剤を用い、帯電量や粒径の違いを利用し、ハイライトから高濃度領域にかけて、各諧調に適したトナー種で作像するシステムも技術開示されている。
【0007】
しかし、この方法は、
・“諧調に応じて濃度レベルの異なるトナーを正確に選別する”ことが出来ず、トナー種の違いによる機能分離を充分におこなえない、
・複数枚の画像を出力し、大量にトナーを消費した後、混合された複数のトナーの重量比率が初期と異なり、初期の画質と大きく異なってしまう、
・濃度レンジの異なる濃淡2種類以上のトナー種を用いた場合、高濃度領域では必ずしも淡トナーを使用する必要はなく、消費量を低減する意味では使用しない方が望ましいが、高濃度領域で淡トナーを使用しない様に制御をすることができない、
などの問題を抱えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術にあっては、濃度レンジの異なる濃淡2種類以上のトナーを用いて作像することにより、“ハイライトからハーフトーン領域にかけての粒状性”と“諧調再現性”を向上させることができる。
【0009】
しかしながら、写真画質の画像形成を行う上で特に問題となる広い色再現範囲の実現には至っていない。それゆえ、画像形成時にいわゆる色域の圧縮を行わねばならず、複写機の場合には読み込んだ原稿の色調をそのまま再現することができないため、満足な出力品質を得ることができなかった。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現し、高品質な画像形成を可能とする画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、複数のトナーを用いてカラー画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置において、少なくとも一の色に関し、濃度が互いに異なり、かつ、所定の彩度における明度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いて、高明度領域では前記淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では前記濃トナーと前記淡トナーを併せて画像形成を行うことを特徴とする。
【0012】
より好ましくは、前記濃トナーと前記淡トナーの明度は、少なくともCIELAB空間における明度60以上の領域で、互いに異なるとよい。
【0013】
前記濃トナーと前記淡トナーの明度の変位量が、CIELAB空間における明度60以上の領域で、5以上であることが好適である。
【0014】
前記濃トナーと前記淡トナーは、着色剤の異なるトナーであってもよいし、または、着色剤が同一であって、前記着色剤の含有量が異なるトナーであることも好適である。
【0015】
このとき、前記淡トナーの着色剤の含有量が、前記濃トナーの着色剤の含有量の1/5以下であることが好ましい。
【0016】
少なくともシアン,マゼンタおよびイエローの3色以上でカラー画像形成を行う画像形成装置において、シアンとマゼンタの2色に関し、前記濃トナーと前記淡トナーを用いることが好適である。
【0017】
入力画像の色信号からダイレクトマッピングにより前記濃トナーと前記淡トナーそれぞれの色信号を生成することが好適である。
【0018】
あるいは、入力画像の色信号から画像形成用の色信号に変換し、該画像形成用の色信号を前記濃トナーと前記淡トナーそれぞれの色信号に分版することも好適である。
【0019】
形成される画像濃度が0.3以下の領域では淡トナーのみで画像形成を行うことが好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。以下に述べる電子写真方式の画像形成装置は、レーザビームプリンタ・複写機・レーザファクシミリ・デジタルプルーフなどに用いられて好適なものである。
【0021】
まず、図1を参照して、電子写真方式の画像形成装置の基本構成について説明する。
【0022】
画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム11と、その周りに配置された帯電器12,画像露光器17,現像器19,転写帯電器14,定着器15,クリーニング部材16を有して構成される電子写真方式の画像形成装置である。
【0023】
感光ドラム11としては、導電性の支持基体を最下層として、電荷発生層,電荷輸送層のように2層構造よりなる機能分離タイプのものや、単層型のものが使用できる。
【0024】
帯電器12は、感光ドラム11を均一帯電する帯電手段である。帯電手段としては、ワイヤーと電界制御グリッドよりなるコロナ帯電器を用いたコロナ帯電方式、像担持体に接触させた帯電ローラーに直流あるいは直流と交流の重畳バイアスを印加して帯電するローラー帯電方式などが挙げられる。
【0025】
画像露光器17は、帯電後の感光ドラム11表面を像露光して静電潜像を形成する露光手段である。露光手段としては、半導体レーザーを使用したスキャナータイプのものや、LEDに集光装置であるセルフォックレンズを介して像露光をおこなうもの、また、EL素子やプラズマ発光素子などを用いたものなど、種々の光学系を好適に用いることができる。
【0026】
現像器19は、感光ドラム11上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像(顕画像)を形成する現像手段である。現像方式としては、磁性トナーを磁力により搬送し、現像ニップにて非接触で像担持体上に飛翔現像させる磁性1成分の非接触現像方式、あるいは現像ニップで像担持体に接触させて現像処理をおこなう磁性接触現像方式、さらに、非磁性トナーをブレードにより規制し帯電させ、現像スリーブに担時して搬送し現像ニップにおいて非接触でトナーを飛翔現像させる非磁性1成分の非接触現像方式、あるいは現像ニップで像担持体に接触させ現像処理をおこなう非磁性1成分の接触現像方式、同じく非磁性トナーを磁性粉体であるキャリアに混合させ同じく現像スリーブで現像ニップまで搬送し現像処理をおこなう2成分現像方式など様々な現像方式を使用することができる。
【0027】
転写帯電器14は、感光ドラム11上のトナー像を紙などのシート10に転写する転写手段である。転写方式としては、電気的な力、あるいは機械的な力を利用した転写方式を使用することができる。電気的な力を利用して転写をおこなう方法として、コロナワイヤーによりトナーの帯電極性と逆極性の直流バイアスを印加して転写をおこなうコロナ転写方式、ローラーを当接させ、トナーと逆極性のバイアスを印加するローラー転写方式などが挙げられる。
【0028】
図2および図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一構成例を示す概略構成図である。同図に示すように、本実施形態では、複数の現像器19を備えた画像形成装置により、複数のトナーを用いてカラー画像形成を行う。
【0029】
図2の画像形成装置は、感光ドラム11,帯電器12,現像器19,転写帯電器14からなる画像形成ステーションSTを、シート搬送方向に沿って複数(図では6つ)並べた構成の装置である。各画像形成ステーションSTの現像器には異なる色または濃度のトナーが装填されている。この装置では、各画像形成ステーションSTで作像したトナー像を順次シート上に重ね合わせていくことで、カラー画像の形成を行う。
【0030】
また、図3の画像形成装置は、単一の感光ドラム11の周囲に複数の現像器19(図では6つ)を配置した構成の装置である。各現像器19には、異なる色または濃度のトナーが装填される。この装置では、現像器19を順次切り換えて作像した各色のトナー像を中間転写体18上で重ね合わせ、その重ね合わされたトナー像をシートに一括転写してカラー画像の形成を行う。
【0031】
画像形成装置としては、ここで示したものの他、2つ以上の現像器を有し、2種類以上のトナーを用いて画像形成を行うタイプのものであれば、いかなる構成のものでも好適に用いることができる。
【0032】
本実施形態では、上記構成の画像形成装置において、少なくとも一の色に関し、濃度レベルが互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いる。高明度領域(ハイライト領域)で淡トナーを主に用いることによって、高明度領域の粒状性を向上することができるとともに、高い諧調再現性を実現することができる。
【0033】
各現像器で用いるトナーの組み合わせは様々な組み合わせが考えられる。代表的な組み合わせを以下に示す。以下の組み合わせにおいて、LightCyan,LightMagenta,Yellow,LightBlackのトナーは、それぞれCyan,Magenta,DarkYellow,Blackの濃トナーに比べて濃度レベルが低い淡トナーである。
【0034】
1.Cyan, LightCyan, Magenta, Yellow, Black(計5色)
2.Cyan, LightCyan, Magenta, LightMagenta, Yellow, Black(計6色)
3.Cyan, LightCyan, Magenta, LightMagenta, Yellow, DarkYellow, Black(計7色)
4.Cyan, LightCyan, Magenta, LightMagenta, Yellow, DarkYellow, Black, LightBlack(計8色)
5.LightBlue, Cyan, LightRed, Magenta, LightGreen, DarkYellow, Black(計7色)
6.LightCyan, Blue, LightMagenta, Red, Yellow, Green, Black(計7色)
7.Black, LightBlack(計2色)
etc.
【0035】
なお、トナーの組み合わせとしては、この他にも任意の組み合わせを採用することができる。たとえば、濃度レベルの異なる3種類以上のトナーを用いたり、オレンジ色,金色,銀色,白色といった特色トナーを用いて色表現の幅を広げたり、着色剤を含有しない無色トナー等を用いて光沢性を向上させるなどの手法ももちろん可能である。
【0036】
さらに本実施形態では、所定の彩度における濃トナーの明度と淡トナーの明度とが、互いに異なるように設定する。具体的には、濃トナーと淡トナーそれぞれのCIELAB空間上の彩度が等しい点(√(a*2+b*2)の値が等しい点)での明度(L*)の値が、互いに異なるように設定する。より好ましくは、高明度領域(明度にして60以上の領域)で、濃トナーと淡トナーの明度が異なるように設定するとよい。
【0037】
図4に、その一例を示す。横軸は、彩度(√(a*2+b*2))を表し、縦軸は、明度(L*)を表している。同図に示す例では、淡トナーの明度が同一彩度の濃トナーの明度よりも高明度領域において相対的に高くなるように設定している。
【0038】
このように濃度レベルの異なる複数種類のトナーの同一彩度における明度を互いに異ならせることによって、中明度領域から主に高明度領域にかけての色再現範囲を拡大することができる。
【0039】
すなわち、濃度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用い、高明度領域と低明度領域に対して用いるトナーの機能分離を行うことで、高明度領域(ハイライト領域)の粒状性を向上させるとともに、高い諧調再現性を実現させ、且つ、濃トナーと淡トナーの同一彩度における明度に変位量をもたせることで、広い色再現範囲をも実現することができるのである。
【0040】
この原理について、図5〜図8を用いて説明する。図5〜図8は、CIELAB空間上での、濃トナーと淡トナーを用いた画像形成装置の色再現範囲を模式的に表した図である。図5は、濃トナーと淡トナーの明度特性が等しい場合である。図6は、濃トナーと淡トナーの明度特性が異なる場合である。図7は、濃トナーと淡トナーの明度特性が異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用せずに画像形成を行ったものである。また、図8は、濃トナーと淡トナーの明度特性が異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用して画像形成を行ったものである。
【0041】
図6に示すように、同一彩度における淡トナーの明度を濃トナーの明度よりも高くすることにより、中明度領域〜高明度領域にかけての色再現範囲が従来(図5)に比べて拡大することがわかる。ただし、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併用しなければ、図7のように中明度の彩度が高い領域において色再現域が不連続となるため、中明度領域〜高明度領域にかけて拡大した色再現範囲を生かして良好な画像形成を行うことは難しい。
【0042】
そこで、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、かつ、中間調領域では濃トナーと淡トナーを併用して画像形成を行うことにより、図8のように、中明度領域における色再現域が滑らかに連続し、良好な諧調再現性および広い色再現範囲を実現することができるようになる。
【0043】
このとき、高明度領域から濃トナーと淡トナーを併用することは、高明度領域の粒状性が低下する(トナーの粒状感が表れる)ため好ましくない。したがって、形成される画像濃度が0.3以下の諧調では、淡トナーのみを用い、濃トナーの使用率は0%にするとよい。他方、低明度領域では、濃トナーと淡トナーを併せて使用してもよいし、あるいは濃トナーのみを使用してもよい。
【0044】
濃トナーと淡トナーの同一彩度における明度の変位量は、CIELAB空間において5以上であることが好ましい。明度の変位量が小さすぎると、色再現範囲の拡大の効果が得られないからである。
【0045】
以上述べたように、本実施形態によれば、濃度および明度の異なる濃トナーと淡トナーを用いることで、中明度領域〜高明度領域にかけての色再現範囲を大幅に広げることができる。特に、高明度領域での鮮やかな発色により、空や海などの透き通った写真調の画像の質感を大幅に向上させることが可能となるばかりでなく、会社や商品のロゴマークなどに多用される鮮やかな色の発色も実現することができる。
【0046】
なお、上述した技術は、主に中明度〜高明度の領域(明度にして60以上の領域)に着目して、明度方向および彩度方向への色再現範囲を拡大するものであり、従来のように、明度の低い方向へダイナミックレンジを広げるための技術とは全く異なる発想に基づいていることに注意されたい。
【0047】
本明細書では、明度値・濃度値は、X−Rite社製の分光濃度計MODEL:528を使用して測定した値を用いている。また、L*a*b*の値は、X−Rite社製の分光濃度計MODEL:528を使用して、観測光源D50,観測視野2°の測定条件下で測定した値を用いている。
【0048】
次に、上記の濃トナーおよび淡トナーを作製するための方法について詳しく説明する。
【0049】
淡色シアントナー、及び、濃色シアントナーに用いることのできるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66が特に好適に利用できる。これら着色剤と、後述のイエロー着色剤やマゼンタ着色剤等とを混合し、好ましい好適なa*,b*,L*の値を有するシアントナーとしても良い。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
【0050】
トナーに含有される樹脂成分としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の分子量分布において、分子量600〜50000の範囲にピークを有することが好ましい。
【0051】
トナーに用いられる結着樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)の分子量分布において、低分子量のピークが3000〜15000の範囲にあることが、粉砕法で生成したトナーの形状を熱と機械的衝撃力でコントロールする上で好ましい。
【0052】
低分子量のピークが15000を超えると、形状係数SF−1及びSF−2を好ましい範囲に制御しにくく、転写効率の向上が十分ではない。分子量3000未満では、トナー粒子の表面処理時に融着を生じやすい。
【0053】
なお、形状係数SF−1,SF−2は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値によって定義されるパラメータである。
【0054】
【数1】
【0055】
トナーの形状係数SF−1はトナー粒子の丸さの度合を示し、球形から徐々に不定形となる。SF−2はトナー粒子の凹凸度合を示し、トナー表面の凹凸が顕著となる。
【0056】
分子量は、GPCにより測定される。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いテトラヒドロフラン(THF)で20時間抽出を行ったサンプルを用い、カラム構成は昭和電工製A−801,802,803,804,805,806,807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定し得る。
【0057】
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)は、2〜100を示す樹脂が好ましい。
【0058】
トナーのガラス転移点(Tg)は定着性、保存性の点から50℃〜75℃(さらに好ましくは、52℃〜70℃)が好ましい。
【0059】
トナーのガラス転移点の測定にはたとえば、パーキンエルマー社製のDSC−7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本実施形態においては、試料を1回昇温させ前履歴をとった後、急冷し、再度温度速度10℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定されるDSC曲線を用いる。
【0060】
本実施形態に使用される結着樹脂は、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン,ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体,スチレン−ビニルトルエン共重合体,スチレン−ビニルナフタリン共重合体,スチレン−アクリル酸エステル共重合体,スチレン−メタクリル酸エステル共重合体,スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体,スチレン−アクリロニトリル共重合体,スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体,スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体,スチレン−ビニルメチルケトン共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体,スチレン−イソプレン共重合体,スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル,フェノール樹脂,天然変性フェノール樹脂,天然樹脂変性マレイン酸樹脂,アクリル樹脂,メタクリル樹脂,ポリ酢酸ビニール,シリコーン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリウレタン,ポリアミド樹脂,フラン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹脂,ポリビニルブチラール,テルペン樹脂,クマロンインデン樹脂,石油系樹脂等が使用できる。架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
【0061】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸オクチル,アクリル酸−2−エチルヘキシル,アクリル酸フェニル,メタクリル酸,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸オクチル,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸,マレイン酸ブチル,マレイン酸メチル,マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル,酢酸ビニル,安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;エチレン,プロピレン,ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;ビニルメチルケトン,ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;ビニルメチルエーテル,ビニルエチルエーテル,ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;等のビニル単量体が挙げられる。これらは、単独もしくは組み合わせて用いられる。
【0062】
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン,ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート,エチレングリコールジメタクリレート,1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン,ジビニルエーテル,ジビニルスルフィド,ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;が挙げられる。これらは単独もしくは混合して使用される。
【0063】
定着時の定着部材からの離型性の向上、定着性の向上の点から次のようなワックス類をトナー粒子中に含有させることも好ましい。パラフィンワックス及びその誘導体,マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体,フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体,ポリオレフィンワックス及びその誘導体,カルナバワックス及びその誘導体である。誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合体,グラフト変性物が挙げられる。
【0064】
その他、長鎖アルコール,長鎖脂肪酸,酸アミド,エステルワックス,ケトン,硬化ヒマシ油及びその誘導体,植物系ワックス,動物系ワックス,鉱物系ワックス,ペトロラクタム等も場合により使用しても良い。
【0065】
トナーを作製するには、結着樹脂,ワックス,着色剤としての顔料,染料,又は磁性体,必要に応じて荷電制御剤の如き添加剤をヘンシェルミキサー,ボールミルの如き混合器により十分混合してから加熱ロール,ニーダー,エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂を溶融せしめた中に顔料,染料又は磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕,分級を行なってトナーを得ることが出来る。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0066】
さらに、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、特公昭36−10231号公報,特開昭59−53856号公報,特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いてトナー粒子を製造しても良い。
【0067】
さらに、Cyan,Magenta,Yellow,Blackの各トナーの着色剤について説明する。
【0068】
黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
【0069】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12,13,14,15,17,62,74,83,93,94,95,97,109,110,111,120,127,128,129,147,168,174,176,180,181,191が好適に用いられる。
【0070】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2,3,5,6,7,23,48;2,48;3,48;4,57;1,81;1,144,146,166,169,177,184,185,202,206,220,221,254が特に好ましい。
【0071】
シアン着色剤としては、上述したように、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66が特に好適に利用できる。
【0072】
磁性体としては、鉄,コバルト,ニッケル,銅,マグネシウム,マンガン,アルミニウム,珪素などの元素を含む金属酸化物がある。中でも四三酸化鉄,γ−酸化鉄の如き酸化鉄を主成分とするものが好ましい。トナーの帯電性コントロールの点から硅素元素またはアルミニウム元素の如き金属元素を含有していてもよい。これら磁性粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましく2〜30m2/g、特に3〜28m2/gが好ましく、モース硬度が5〜7の磁性体が好ましい。
【0073】
上述した濃トナーと淡トナーは、それぞれ着色剤を異ならせることによって、濃度レベルおよび色相角を適宜異ならせたものである。または、同一の着色剤を用い、かつ、その含有量を異ならせることによっても、濃度レベルおよび色相角を適宜異ならせることもできる。この場合、淡トナーの着色剤の含有量を、濃トナーの着色剤の含有量の1/5以下にすることで、好ましい濃度レベルに設定することができる。
【0074】
次に、上記した画像形成装置の画像形成動作について説明する。
【0075】
ここでは、Red(R),Green(G),Blue(B)の3色からなる入力画像を、Cyan(DC),LightCyan(LC),Magenta(DM),LightMagenta(LM),Yellow(Y),Black(K)の6種類のトナーを用いて画像形成を行う場合について述べる。すなわち、シアンをLCとDCの2種類のトナーを用いて出力し、マゼンタをLMとDMの2種類のトナーを用いて出力する。
【0076】
画像形成装置は、原稿読取装置(スキャナ部)によって原稿上のカラー画像を読み取り、CCDでRGBに色分解された入力画像信号を得る。あるいは、画像形成装置がプリンタ機能を有する場合には、コンピュータからRGBのプリントデータ(入力画像信号)を得る場合もある。なお、ここではRGBの入力画像を用いているが、これは単に原稿読取装置やコンピュータのプリンタドライバの仕様に基づくものにすぎない。入力画像としては、RGB画像の他にも、CMYK画像,CMYK+LC+LM画像,L*a*b*画像や、特色用のチャンネルを含む画像なども入力可能である。
【0077】
画像形成を行う際には、入力されたRGBの色信号を、画像形成用の(出力デバイスで出力可能な)CMYK+LC+LMの色信号に変換しなければならない。
【0078】
図9に、色変換方式の一手法を示す。
【0079】
図9では、入力画像のRGB信号をCMYKの4色に色分解した後、特定色(CとM)について濃淡2つの版データに分版し、最終的に、Y,K,LC,DC,LM,DMの6色の色信号を得る。そして、6色の色信号に対して、所定のγ補正を施した後、ハーフトーン処理を行って、PWM回路に入力する。ここで、分版とは、ある色(版またはチャンネルともいう。)の画像データを、濃トナー用と淡トナー用の2つの画像データに分割することをいう。
【0080】
濃淡2つの版データへの変換方法については、トナーの濃度レベル等により様々な組み合わせが考えられる。図10に基本となる直線的な諧調変換方法を示す。
【0081】
図示したとおり、ハイライトで先に淡トナーが立ち上がり、中間調付近から濃トナーが入り始め、しばらく濃淡の組み合わせで諧調を再現しながら、高濃度部では淡トナーの使用が制限されていく。このときの濃淡の諧調の組み合わせは、粒状性や諧調性、色域などの画像品質と、トナー消費量の関係より決定される。またここでは簡単のため、直線的な諧調を図示したが、実際にはトーンジャンプを防止する観点から、濃淡各トナーの濃度の入り始めは緩やかなカーブを描くことが好適である。
【0082】
図11は、色変換方式の別の手法を示したものである。
【0083】
図9の色変換方式の場合、RGBの色信号をCやMの一次色に変換した後、LC+DC,LM+DMのように濃淡それぞれの色信号に分解しているので、濃淡2種類のトナーの色相が大きく異なると、単色のグラデーションやハイライト部分などにおいて色相が不均一となり、見た目に違和感を生ずるおそれがある。
【0084】
このような問題を解決すべく、ここでは、ダイレクトマッピングにより、入力画像のRGB信号から直接Y,K,LC,DC,LM,DMの6色の信号に色分解している。
【0085】
ダイレクトマッピングとは、ルックアップテーブル(LUT)を参照して、入力信号(入力画像の色情報)から出力デバイスの出力信号(画像形成用の色情報)へダイレクトに変換する色変換方式をいう。たとえば、色空間内のL*a*b*やRGBなどの3つの入力信号を与えることにより、その色を再現するために必要な出力色空間内の信号値を、CMYKの4色あるいはCMYK+LC+LMの6色などのかたちで出力する。
【0086】
この色変換方式はマトリクス演算を必要とせず、非線形な変換が可能となることから、UCRの設定など色変換の自由度が大幅に向上し、トナーの載り量をコントロールしながら、所望の色再現を可能にすることができる。
【0087】
また、ダイレクトマッピングによれば、入力画像のRGB信号から直接濃トナーと淡トナーそれぞれの色信号を発生させるので、図9の方法で懸念されるような濃淡トナーの色相の違いによる出力品位の低下を招くこともない。
【0088】
以上述べたように、本実施形態の画像形成装置によれば、濃度が互いに異なり、かつ、所定の彩度における明度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いて、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では淡トナーと濃トナーを併せて画像形成を行うので、良好な諧調性・粒状性を実現できるとともに、特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現し、高品質な画像形成を行うことが可能となる。
【0089】
【実施例】
(実施例1)
CMKYの各色のうち、シアンとマゼンタの2色について、濃度レベルの異なる2種類のトナーを用い、Cyan,LightCyan,Magenta,LightMagenta,Yellow,Blackの6種類のトナーでカラー画像形成を行う画像形成装置を構成した。
【0090】
ここで、濃トナーには顔料系の着色剤、淡トナーには染料系の着色剤というように、互いに異なる着色剤を用いることとし、濃トナーと淡トナーの濃度レベルおよび明度再現範囲を互いに異ならせた。具体的には、下記の原材料を用いて各トナーを作製した。
【0091】
<Cyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / フタロシアニン顔料 (3重量部)
<LightCyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / アントラキノン染料 (0.6重量部)
<Magenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / キナクリドン顔料 (3重量部)
<LightMagenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / アントラキノン染料 (0.6重量部)
【0092】
上記原料をヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押し出し式混練機により溶融混連し、冷却後ハンマーミルを用いて1〜2mm程度に粗粉砕した。次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級し、シリカを外添して、重量平均粒子5.6μmのCyan,LightCyan,Magenta,LightMagentaの各粒子を得た。
【0093】
得られたトナーの特性を図12のa*−b*平面図に示す。また、各々のトナーの諧調性を図13に示す。図12より、濃トナーと淡トナーの色相は互いに異なっていることがわかる。LightCyanはCyanに比べて緑色側にやや変位し、LightMagentaはMagentaに比べて紫色側にやや変位している。また、図13より、濃トナーと淡トナーの濃度が互いに異なることがわかる。
【0094】
また、得られたCyanとLightCyanのL*方向の特性の違いについて、図14および図15を用いて説明する。
【0095】
図14に示すように、今回使用したCyanとYellow,LightCyanとYellowの各組み合わせについて、a*−b*平面上でほぼ重なるように(ほぼ同一の色相となるように)混色させ、Cyan(LightCyan)100%からYellow100%まで、5種類の色相を作製した。図中の濃丸がCyanを用いたものであり、薄丸がLightCyanを用いたものである。
【0096】
そのとき、同一色相,同一彩度での明度成分を比較すると、図15に示すように、Cyanを用いたものに比べて、LightCyanを用いたもののほうが大幅に高い明度を示し、かつ、彩度方向および明度方向に広い色再現範囲を有していることがわかる。
【0097】
以上の様な構成のトナーを用いて画像形成を行ったところ、表1に示すとおり、比較例に比べて色再現域を約20%増加させることが可能となり、写真画質に迫る広い色再現範囲を実現することができた。
【0098】
なお、比較例1は、Cyan,Magenta,Yellow,Blackの4色のトナーを用いた、キヤノン株式会社製CLC1100複写機の結果である。また、比較例2はシアンとマゼンタに濃淡トナーを使用し、そのときの濃淡トナーの明度成分の変位量がない場合の結果である。
【0099】
色再現域の広さの比較は、比較例1の色再現域の体積を100としたときの相対値で評価した。
【0100】
【表1】
【0101】
このように、2種類の濃度レンジの異なるトナーを使用し、且つ、両トナーに異なる明度再現範囲を持たせることにより、色再現範囲を高明度領域に広げながら、粒状性や諧調性の向上を図ることが可能となる。
【0102】
(実施例2)
CMKYの各色のうち、シアンとマゼンタの2色について、濃度レベルの異なる2種類のトナーを用い、Cyan,LightCyan,Magenta,LightMagenta,Yellow,Blackの6種類のトナーでカラー画像形成を行う画像形成装置を構成した。
【0103】
ここで、濃トナーと淡トナーにはともに顔料系の同一の着色剤を用いることとし、着色剤の含有量を変化させることで、濃トナーと淡トナーの濃度レベルおよび明度再現範囲を互いに異ならせた。具体的には、下記の原材料を用いて各トナーを作製した。
【0104】
<Cyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / フタロシアニン顔料 (4重量部)
<LightCyan>
ポリエステル樹脂(100重量部) / フタロシアニン顔料 (0.7重量部)
<Magenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / キナクリドン顔料 (5重量部)
<LightMagenta>
ポリエステル樹脂(100重量部) / キナクリドン顔料 (1重量部)
【0105】
上記原料をヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押し出し式混練機により溶融混連し、冷却後ハンマーミルを用いて1〜2mm程度に粗粉砕した。次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級し、シリカを外添して、重量平均粒子5.6μmのCyan,LightCyan,Magenta,LightMagentaの各粒子を得た。
【0106】
以上の様な構成のトナーを用いて画像形成を行ったところ、表2に示すとおり、比較例に比べて色再現域を約30%増加させることが可能となり、写真画質に迫る広い色再現範囲を実現することができた。なお、比較例1,比較例2については、上記実施例1のものと同様である。
【0107】
【表2】
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、濃度が互いに異なり、かつ、所定の彩度における明度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いて、高明度領域では淡トナーのみにより画像形成を行い、中間調領域では淡トナーと濃トナーを併せて画像形成を行うので、良好な諧調性・粒状性を実現できるとともに、特に自然画像等を出力する際に重要となる、中間調から明度の高い領域にかけて、広い色再現範囲を実現し、写真画質にも迫る高品質な画像形成を行うことが可能となる。
【0109】
特に、高明度領域での広い色再現範囲の実現は、空や海などの画像の質感を大幅に向上させるばかりでなく、会社や商品のロゴマークなどに多用される鮮やかな色の発色も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真方式の画像形成装置の基本構成を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一構成例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の他の構成例を示す概略構成図である。
【図4】高明度領域における濃トナーと淡トナーの明度の相違を示す図である。
【図5】濃トナーと淡トナーの明度特性が等しい場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図6】濃トナーと淡トナーの明度特性が互いに異なる場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図7】濃トナーと淡トナーの明度特性が互いに異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用せずに画像形成を行った場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図8】濃トナーと淡トナーの明度特性が互いに異なり、且つ、中間調領域で濃トナーと淡トナーを併せて使用して画像形成を行った場合の色再現範囲を示す模式図である。
【図9】色変換方式の一手法を説明する図である。
【図10】濃トナーと淡トナーの諧調カーブの一例を示す図である。
【図11】色変換方式の他の手法(ダイレクトマッピング)を説明する図である。
【図12】実施例1に係るトナーの特性を示すa*−b*平面図である。
【図13】実施例1に係るトナーの諧調性を示す図である。
【図14】実施例1に係るCyanトナーとLightCyanトナーの特性を示すa*−b*平面図である。
【図15】実施例1に係るCyanトナーとLightCyanトナーの特性を示すCIELAB空間の立体図である。
【符号の説明】
10 シート
11 感光ドラム
12 帯電器
14 転写帯電器
15 定着器
16 クリーニング部材
17 画像露光器
18 中間転写体
19 現像器
ST 画像形成ステーション
Claims (10)
- 複数のトナーを用いてカラー画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置において、
少なくとも一の色に関し、
濃度が互いに異なり、かつ、所定の彩度における明度が互いに異なる濃トナーと淡トナーを用いて、
高明度領域では前記淡トナーのみにより画像形成を行い、
中間調領域では前記濃トナーと前記淡トナーを併せて画像形成を行う
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記濃トナーと前記淡トナーの明度は、少なくともCIELAB空間における明度60以上の領域で、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記濃トナーと前記淡トナーの明度の変位量が、CIELAB空間における明度60以上の領域で、5以上であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記濃トナーと前記淡トナーは、着色剤の異なるトナーであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記濃トナーと前記淡トナーは、着色剤が同一であって、前記着色剤の含有量が異なるトナーであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記淡トナーの着色剤の含有量が、前記濃トナーの着色剤の含有量の1/5以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
- 少なくともシアン,マゼンタおよびイエローの3色以上でカラー画像形成を行う画像形成装置において、
シアンとマゼンタの2色に関し、前記濃トナーと前記淡トナーを用いることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 入力画像の色信号からダイレクトマッピングにより前記濃トナーと前記淡トナーそれぞれの色信号を生成することを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 入力画像の色信号から画像形成用の色信号に変換し、該画像形成用の色信号を前記濃トナーと前記淡トナーそれぞれの色信号に分版することを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 形成される画像濃度が0.3以下の領域では淡トナーのみで画像形成を行うことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
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