以下、本発明の第1の実施形態であるテーププリンタ1について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態であるテーププリンタ1の平面図であり、この、図1において、図面下側をテーププリンタ1の前方側、図面上側をテーププリンタ1の後方側、図面右側をテーププリンタ1の右側、図面左側をテーププリンタ1の左側とする。図2は、印字ユニット7の内部をテーププリンタ1の上側から見た図であり、図3は、印字ユニット7の内部をテーププリンタ1の前方側から見た図であり、図4は、印字ユニット7の内部をテーププリンタ1の左側から見た図であり、図5は、カセット5が装着された印字ユニット7の内部をテーププリンタ1の上側から見た図であり、図6は、カセット5が装着された印字ユニット7の内部をテーププリンタ1の前方側から見た図であり、図7は、図5に示すA−A線矢視方向における部分断面図(厚いカセット5装着時)であり、図8は、図5に示すA−A線矢視方向における部分断面図(薄いカセット5装着時)である。
はじめに、テーププリンタ1の概略構造について説明する。図1に示すように、テーププリンタ1は、このテーププリンタ1の動作を制御する制御装置(図示外)や各種機構が収納された略直方体状の本体ケース2と、該本体ケース2の前部上面に設けられ、各種設定及び入力等を行うキーボード3と、該キーボード3の左側後方に設けられ、メニュー画面、入力設定画面等を表示するための液晶ディスプレイ4と、本体ケース2の右側後部に設けられ、カセット5(図5参照)を収納するとともに、熱転写による印字用テープ(図示外)の印字動作を行う印字ユニット7とを備えている。
そして、図2,図3に示すように、その印字ユニット7の内側には、カセット5を着脱可能に装着するためのカセット収納部6が設けられている。さらに、そのカセット収納部6の上側には、カセット収納部6に装着されたカセット5を覆って保護する平面視略長方形状の保護カバー13(図1,図6参照)が開閉可能に設けられている。この保護カバー13は、前面及び底面が開口されるとともに、背面側が湾曲する略箱状に形成されている。そして、その保護カバー13の天面における右側面側の裏面には、保護カバー13を閉じる際に、後述する開閉検知センサ88に当接して押圧するために、下方に向かって延出する先端を備えた突出部13a(図6参照)が設けられている。また、保護カバー13の天面の裏面側の略中央には、カセット収納部6に装着されたカセット5がズレないように、カセット5の上面を上から押圧する板状の押圧バネ13b(図5参照)が固定されている。
一方、図1に示すように、印字ユニット7の前部右側の角部近傍には、後述するカセット収納部6(図2参照)に設けられたプラテン30(図2参照)をサーマルヘッド29(図2参照)に圧接させるための平面視略円形状の操作ツマミ42が回転可能に設けられている。そして、この操作ツマミ42を右回りに一定角度以上回転させ、各種機構を介すことにより、後述するプラテン30をサーマルヘッド29に圧接させることができる。また、それとは反対に、この操作ツマミ42を左回りに一定角度以上回転させ、各種機構を介すことにより、プラテン30をサーマルヘッド29から離間させることができる。
次に、印字ユニット7について説明する。図1に示すように、印字ユニット7は、本体ケース2の後部右側に設けられ、図2,図3に示すように、底面が開口された略箱型のフレーム10の天面10aを底部としている。そして、そのフレーム10の天面10a上には、上述したカセット収納部6が設けられている。さらに、図2に示すように、天面10aの前方端部には、天面10aに対して略垂直上方に立設され、後述する移動ロッド50のローラ53が転動するための転動壁10bが設けられている。また、図2,図4に示すように、カセット収納部6内の天面10a上には、カセット5の底面に当接して支持する支持ピン16,17,18が略垂直上方に向かって各々突設されている。これら支持ピン16,17,18により、カセット5は、カセット収納部6内に位置決めされる。そして、図3,図4に示すように、フレーム10の内側(天面10aの下方)には、このテーププリンタ1の動作を制御する制御装置や各種機構部等が収納された収納部20が設けられている。
次に、印字ユニット7に設けられる各種センサについて説明する。図2,図3及び図6に示すように、フレーム10の右側面の前方側には、保護カバー13の開閉を検知するための開閉検知センサ88が設けられている。そして、図6に示すように、保護カバー13が閉じられると、保護カバー13の突出部13aの先端が、この開閉検知センサ88に当接して押圧するようになっている。さらに、開閉検知センサ88は、突出部13aの先端に押圧されたことを検知すると、その検知信号を制御装置(図示外)に出力する。
一方、図2,図3及び図6に示すように、操作ツマミ42の近傍であって、天面10aの右端部の前方側には、操作ツマミ42の回転操作を検知するセンサスイッチ89が設けられている。このセンサスイッチ89は、操作ツマミ42の支軸71側に向かって突出するとともに、その先端部が印字ユニット7の前後方向に可動してオン・オフが切り換わるスイッチ部89aを備えている。そして、このスイッチ部89aの切り換え動作は、操作ツマミ42の支軸71に固定された付勢部73によって行われる。具体的には、操作ツマミ42とともに回転する付勢部73の先端部が、センサスイッチ89のスイッチ部89aに当接して前方又は後方に付勢し、スイッチ部89aが前方又は後方に可動することにより、オン・オフが切り替わる。なお、本実施形態でのスイッチ部89aでは、操作ツマミ42が右周りに一定の角度以上回転され、スイッチ部89aが付勢部73によって前方に付勢されて可動した場合を「オン」とし、操作ツマミ42が左周りに一定の角度以上回転され、スイッチ部89aが付勢部73によって後方に付勢されて可動した場合を「オフ」としている。そして、このスイッチ部89aによるオン・オフの検知信号は、開閉検知センサ88から制御装置に向かって出力される。
したがって、制御装置では、これら開閉検知センサ88とセンサスイッチ89とから出力された検知信号をもとに、保護カバー13の開閉と、操作ツマミ42の操作によるプラテン30の位置とがそれぞれ判断される。そして、制御装置では、例えば、保護カバー13の開放が開放されている場合や、操作ツマミ42が操作されず、プラテン30がサーマルヘッド29か離間している場合は、テーププリンタ1の印字動作を行わない等の制御をすることができる。また、この他にも、制御装置によって、保護カバー13の開閉や、印字動作の可・不可を使用者に知らせるために所定の文字情報やマークを液晶ディスプレイ4に表示させることも可能である。
次に、印字ユニット7の内部機構について説明する。図2に示すように、フレーム10の内側(天面10aの下方)には、装着されたカセット5内の各種テープ及びインクリボンの搬送及びインクリボンの巻き取り等を行う搬送機構部8が設けられている。さらに、天面10aの上側前方には、熱転写による印字動作を行う印刷機構部9と、操作ツマミ42の回転操作に基づいて、後述する移動ロッド50を移動させ、支持アーム35を押し上げるための押圧機構部11と、当該押圧機構部11の動作を制限するための制限機構部12とが各々設けられている。そして、この制限機構部12が本発明の特徴である。制限機構部12は、カセット収納部6にカセット5が装着された場合にのみ、プラテン30をサーマルヘッド29に圧接できるように動作する。次に、これら各種機構部について順に詳細に説明する。
搬送機構部8について説明する。搬送機構部8は、カセット5内の各種テープ及びインクリボン等の搬送や、インクリボンの巻き取り等を行う機構である。図2に示すように、搬送機構部8は、フレーム10の後半分の左寄りに設けられている。この搬送機構部8は、カセット収納部6内に各々独立して起立状に配置されたテープ駆動ギア25及びリボン巻取駆動軸26と、カセット収納部6の外側に配置された搬送用モータ95と、フレーム10の天面10aの下側に配置され、搬送用モータ95の回転駆動を、テープ駆動ギア25及びリボン巻取駆動軸26に伝達するための複数のギアとから構成されている。そして、これら複数のギアとは、搬送用モータ95によって同軸上に回転するギア97,98と、該ギア97に噛合して回転するギア100と、該ギア100に噛合して回転するとともに、テープ駆動ギア25を回転させるギア101と、ギア98に噛合して回転するギア102と、該ギア102に噛合して回転するとともに、リボン巻取駆動軸26を回転させるギア103とから構成されている。また、テープ駆動ギア25には、カセット5がカセット収納部6に装着された際に、カム部(図示外)を介してカセット5に設けられているテープ搬送ローラ41が係合する。こうして、テープ駆動ギア25の回転がテープ搬送ローラ41に伝達される。さらに、リボン巻取駆動軸26には、カセット5内に設けられたリボン駆動スプール(図示外)が係合する。よって、リボン巻取駆動軸26の回転駆動がリボン駆動スプールに伝達される。
次に、印刷機構部9について説明する。印刷機構部9は、カセット5内から引き出される印字用テープに熱転写で印字する機構である。図2に示すように、印刷機構部9は、フレーム10の天面10aの前部左側付近に設けられている。この印刷機構部9は、カセット収納部6内に起立状に配置されたプリンタヘッドとしてのサーマルヘッド29と、該サーマルヘッド29に相対し、接離可能に設けられたプラテン30と、テープ搬送ローラ41に相対し、接離可能に設けられた可動搬送ローラ31と、プラテン30及び可動搬送ローラ31をともに回転可能に軸支するプラテンホルダ33とを主体に構成されている。そして、プラテンホルダ33には、カセット収納部6の右側に向かって延出され、プラテンホルダ33を支持する支持アーム35が設けられ、該支持アーム35の延出方向先端部には軸支部36が設けられている。これにより、プラテンホルダ33は、軸支部36を中心にして、支持アーム35を介して、カセット収納部6の前後方向に対して揺動可能となっている。そして、可動搬送ローラ31及びプラテン30が、サーマルヘッド29及びテープ搬送ローラ41に対してそれぞれ接離可能となっている。なお、図2に示すプラテンホルダ33と、支持アーム35とが、「プラテン支持部」に相当する。
また、支持アーム35の上面には、後述する移動ロッド50の角部51が接触して摺動するためのカム片43が起立状に突設され、該カム片43は、軸支部36の近傍からプラテンホルダ33に向かって、支持アーム35の長手方向に沿って延設されている。さらに、そのカム片43の長手方向略中間位置には、軸支部36側からプラテンホルダ33側に向かう方向に一段前方に湾曲して折れ曲がって形成された平面視略「S」字状の湾曲部44が設けられている。例えば、移動ロッド50の角部51が、支持アーム35のカム片43に沿って摺動しながら湾曲部44を通過すると、プラテンホルダ33が前方又は後方に大きく移動する。よって、湾曲部44を備えたカム片43がプラテンホルダ33の揺動動作を行うための「カム」としての機能を担っている。さらに、カム片43における湾曲部44のプラテンホルダ33側には、移動ロッド50の角部51が係合するための係合凹部46が設けられている。そして、この係合凹部46に、移動ロッド50の角部51が係合することで、移動ロッド50の位置決めがなされる。
また、プラテンホルダ33の内部には、プラテン30及び可動搬送ローラ31を、サーマルヘッド29及びテープ搬送ローラ41側に付勢するためのバネ(図示外)が各々配設されている。これにより、プラテンホルダ33が、サーマルヘッド29側に移動した時は、プラテン30はサーマルヘッド29に、可動搬送ローラ31はテープ搬送ローラ41に確実に圧接されるようになっている。
次に、押圧機構部11について説明する。押圧機構部11は、操作ツマミ42の回転操作を、印刷機構部9に伝達するための機構である。図2に示すように、押圧機構部11は、天面10aの前方側に設けられ、具体的には、操作ツマミ42と印刷機構部9との間に設けられている。そして、押圧機構部11は、カセット収納部6内において、操作ツマミ42と印刷機構部9との間を往復移動する移動ロッド50を備え、該移動ロッド50は平面視略L字型に形成されている。この移動ロッド50の一端部はフレーム10の右側に延設され、該一端部は、操作ツマミ42に軸支された後述するローラリリースレバー70と、支軸47とによって回動可能に連結されている。一方、移動ロッド50の一端部とは反対の他端部は、前記支持アーム35のカム片43と対向する位置で、カセット収納部6の後方に向かって略直角に折れ曲がっている。そして、そのカム片43に対向する角部には、支持アーム35のカム片43に沿って摺動するための角部51が設けられている。この角部51は、カム片43の係合凹部46に係合するようにコブ状に隆起している。
さらに、図2,図3に示すように、移動ロッド50の他端部における角部51とは反対側の部分(前方側に対向する部分)には、転動壁10bの内側面上を転動するローラ53が設けられている。このローラ53は、移動ロッド50の移動時の摩擦抵抗を減少させるものである。また、図3に示すように、移動ロッド50の長手方向略中間位置の底面側(天面10a側の面)には、移動ロッド50の操作ツマミ42側が下方に突出して形成された段部56が設けられている。そして、この段部56には、後述するアクチュエータ60の作用部61の係止部61aが係止するようになっている。さらに、移動ロッド50の角部51近傍には、支持アーム35を前方に付勢することにより、プラテンホルダ33をサーマルヘッド29から離間させるためのバネ(図示外)が設けられている。なお、図2に示す移動ロッド50が、「移動部材」に相当する。
次に、操作ツマミ42と移動ロッド50との連結構造について説明する。図2,図3及び図6に示すように、操作ツマミ42の周縁部の下面には、鉛直下方に突出する突起部45が設けられている。また、操作ツマミ42の下面の略中央には支軸71が嵌挿され、該支軸71の下端部はフレーム10の天面10aに固定されている。これにより、操作ツマミ42は、支軸71を中心に回転可能となっている。さらに、支軸71には、ローラリリースレバー70が回転可能に連結されている。さらに、ローラリリースレバー70の係合穴55に突起部45が係合している。これにより、操作ツマミ42の回動が、ローラリリースレバー70に伝達される。さらに、ローラリリースレバー70には、支軸47を介して移動ロッド50の一端部が回転可能に連結されている。このような連結構造において、操作ツマミ42を右周り又は左周りに回転させると、その回転がローラリリースレバー70を介して、移動ロッド50に伝達され、移動ロッド50が左右方向に移動するようになっている。そして、プラテン30がサーマルヘッド29に圧接した時の移動ロッド50の位置を「圧接位置」、プラテン30がサーマルヘッド29から離間した時の移動ロッド50の位置を「リリース位置」とした場合に、移動ロッド50は、これら「圧接位置」と「リリース位置」との間を往復移動する。
一方、図2に示すように、操作ツマミ42の後方近傍の天面10a上には、固定ピン91が起立状に固定され、該固定ピン91とローラリリースレバー70との間には戻しバネ96が連結されている。これにより、操作ツマミ42は、左周り方向に常時付勢されている。よって、操作ツマミ42が右周りに回転されて、移動ロッド50が「圧接位置」に位置決めされる場合を除き、移動ロッド50は「リリース位置」に自動的に引き戻される。即ち、移動ロッド50は、常に「圧接位置」か「リリース位置」に保持されることになる。
次に、移動ロッド50の移動動作によるプラテンホルダ33の揺動動作について説明する。図2に示すように、移動ロッド50が「リリース位置」から「圧接位置」に向かって移動する場合は、移動ロッド50の角部51が、支持アーム35のカム片43上を摺動しながら湾曲部44を通過する。これにより、支持アーム35が後方に押し上げられるので、プラテンホルダ33が後方に回動する。よって、プラテン30及び可動搬送ローラ31がサーマルヘッド29及びテープ搬送ローラ41に圧接される。さらに、角部51がカム片43の係合凹部46に落ち込んで係合するので、移動ロッド50が「圧接位置」に位置決めされ、プラテン30及び可動搬送ローラ31がサーマルヘッド29及びテープ搬送ローラ41に圧接された状態で保持される。一方、移動ロッド50が「圧接位置」から「リリース位置」に移動する場合、移動ロッド50の角部51が、支持アーム35のカム片43上を摺動しながら湾曲部44を通過する。これにより、支持アーム35が前方に押し下げられるので、プラテンホルダ33が前方に回動する。よって、プラテン30及び可動搬送ローラ31がサーマルヘッド29及びテープ搬送ローラ41から離間する。
次に、本実施形態で使用されるカセット5について説明する。図5乃至図8に示すように、テーププリンタ1で使用されるカセット5は、略直方体状の筐体を本体として備える。そして、その筐体の内側には、熱転写印字が行われる印字用テープと、該印字用テープに貼り付けられる両面テープと、印字用テープに密着されるインクリボンとが各リールに巻回された状態で収容されている。また、本実施形態以外でも、例えば、感熱発色タイプの印字用テープを収容したカセットでもよい。なお、感熱発色タイプの印字用テープの一例としては、剥離紙(フィルムでも可)、粘着材層、感熱発色層の順に積層されたものが挙げられる。
次に、幅の厚いカセット5の特有な構造について説明する。上記したように、カセット5は、カセット収納部6内の天面10aに配置された支持ピン16,17,18によって支持されることにより、カセット収納部6内における高さ方向の位置決めがなされる。例えば、図8に示すように、幅の薄いカセット5の場合では、カセット5の上面と保護カバー13との間には隙間が形成されるので、カセット収納部6内には余裕をもって収納することができる。それとは反対に、幅の厚いカセット5の場合では、支持ピン16,17,18によって支持されたカセット5の上面はカセット収納部6からはみ出してしまい、保護カバー13を閉じることができなくなる。そこで、幅の厚いカセット5でもカセット収納部6内に収納できるように、図5,図7に示すように、幅の厚いカセット5の底面における支持ピン16,17,18が当接する位置には、凹状に窪んだ調整支持穴5a,5b,5cが設けられている。
そして、この調整支持穴5a,5b,5cは、支持ピン16,17,18の先端から、保護カバー13の裏面近傍までの所定の長さを超える幅の厚みを有するカセット5の底面に設けられる。さらに、その所定厚を超える厚み分が調整支持穴5a,5b,5cの深さとして調整されている。これにより、カセット5の上面がカセット収納部6の上部からはみ出さないので、幅の厚いカセット5をカセット収納部6に装着することができる。
また、図5に示すように、支持ピン18が当接する調整支持穴5cは、他の調整支持穴5a,5bよりも大きく設けられている。これは、後述するアクチュエータ60の当接部62aを、調整支持穴5cに当接して押し下げるためである。よって、幅の厚いカセット5が装着された場合でも、アクチュエータ60の当接部62aを、調整支持穴5cに当接する支持ピン18の先端と同じ高さ位置まで押し下げることができる。
次に、本発明の特徴である制限機構部12について説明する。この制限機構部12は、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、押圧機構部11の動作を制限し、カセット5が装着される場合は、押圧機構部11の動作を許容する機構である。図3,図4に示すように、この制限機構部12は、正面視略U字型のアクチュエータ60と、収納部20(図3参照)内に設けられ、アクチュエータ60全体を上下方向にガイドし、アクチュエータ60の一部(後述する係止部61a)を移動ロッド50の移動通路に侵入させるガイド部80と、該ガイド部80の内側に配設され、アクチュエータ60全体を上方に付勢するためのバネ68とを主体に構成されている。以下、この制限機構部12を構成する各部位について詳細に説明する。
アクチュエータ60について説明する。図4に示すように、正面視略U字型のアクチュエータ60は、上下方向に延設された左右一対の作用部61,62と、該作用部61,62の各下端部を両側に略水平に連結する連結部63とから構成されている。そして、作用部61は、移動ロッド50の移動通路の下方であって、その移動通路に直交する方向に移動可能に配置されている。さらに、作用部61の上端部には、移動ロッド50の段部56を下方から係止して、移動ロッド50の「圧接位置」への移動を阻止する係止部61aが設けられている。一方、作用部62は、カセット収納部6内の天面10aを介して上下方向に移動可能に配置され、その上端部には、カセット5の底面に当接して押し下げられるための当接部62aが設けられている。なお、この図4に示す当接部62aが、「接触部」に相当する。
次に、ガイド部80について説明する。図3,図4に示すように、ガイド部80は、操作ツマミ42と支持アーム35との間に設けられ、収納部20内に配置されている。このガイド部80は、アクチュエータ60のほぼ全体を収納できる程度の大きさを備え、箱型のガイド本体82を備えている。そして、このガイド本体82の内側には、アクチュエータ60を上下方向にガイドするためのガイド通路81(図4参照)が設けられている。さらに、図4に示すように、ガイド本体82の上部には、略筒状のガイド筒部84とガイド筒部85とが各々設けられている。そして、ガイド筒部84からは、アクチュエータ60の係止部61aが突出し、ガイド筒部85からは、アクチュエータ60の当接部62aが突出するようになっている。なお、図3,図4に示すガイド部80が、「ガイド部材」に相当する。
また、ガイド本体82の底面の、ガイド筒部85の下方に位置する部分には、バネ68の下端部を固定するために窪んだ固定凹部86が設けられている。そして、この固定凹部86に固定されたバネ68の上端部は、アクチュエータ60の連結部63の下側に当接している。したがって、アクチュエータ60は、バネ68によって常に上方に付勢され、ガイド筒部84からは、アクチュエータ60の係止部61aが突出し、ガイド筒部85からは、アクチュエータ60の当接部62aが突出している。なお、図4に示すバネ68が、「付勢手段」に相当する。
一方、図2に示すように、天面10aには、移動ロッド50の移動通路の下方に配置された突出口21と、カセット収納部6内に配置された突出口22とが設けられ、突出口21の内側にガイド部80のガイド筒部84が嵌挿されており、突出口22の内側にガイド部80のガイド筒部85が嵌挿されている。そして、上述したように、アクチュエータ60は、ガイド部80内のバネ68によって上方に付勢されているので、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、突出口21からは係止部61aが突出され、突出口22からは当接部62aが突出する。
なお、図5に示すように、突出口22は、幅の厚いカセット5の調整支持穴5cの内側に対向している。これにより、突出口22から突出するアクチュエータ60の当接部62aは、カセット5の調整支持穴5cで押し下げられる。これにより、幅の厚いカセット5が装着された場合でも、調整支持穴5a,5b,5cに当接する支持ピン16,17,18の先端と同じ高さ位置までアクチュエータ60の当接部62aを押し下げることができる。
次に、上記構成からなる制限機構部12の動作について説明する。なお、本実施形態では、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合と、装着される場合とで制限機構部12の動作が異なるため、それぞれの場合に分けて説明する。また、ここでは、幅の厚いカセット5がカセット収納部6に装着される場合についてのみ説明する。
まず、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合の制限機構部12の動作について説明する。図2乃至図4に示すように、カセット収納部6にカセット5が装着されないと、突出口22から突出するアクチュエータ60の当接部62aは押し下げられない。そのため、アクチュエータ60全体は、バネ68によって上方に押し上げられる。さらに、図4に示すように、突出口21からはアクチュエータ60の係止部61aが突出するため、移動ロッド50の移動通路内に係止部61aが下側から侵入する。このとき、図2に示すように、操作ツマミ42を右周りに回転させ、移動ロッド50を「リリース位置」から「圧接位置」(図面左方向)に移動させようとしても、移動ロッド50の段部56をアクチュエータ60の係止部61aが係止する。そのため、移動ロッド50の「圧接位置」への移動は阻止される。したがって、操作ツマミ42を右周りに回転させることができないため、支持アーム35を後方に押し上げることができない。さらに、プラテンホルダ33を後方に移動させることができないため、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接させることができない。こうして、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、サーマルヘッド29へのプラテン30の圧接動作が阻止される。
次に、カセット収納部6にカセット5が装着される場合の制限機構部12の動作について説明する。図5乃至図7に示すように、カセット収納部6にカセット5が装着されると、カセット5の底面側の調整支持穴5cに、突出口22から突出するアクチュエータ60の当接部62aが当接して押し下げられる。そのため、図7に示すように、アクチュエータ60の連結部63が、ガイド部80内のバネ68を押し下げながら、アクチュエータ60全体がガイド通路81内を下方に移動する。これにより、突出口21から突出する係止部61aはガイド筒部84内に引き込まれ、係止部61aは移動ロッド50の移動通路内から離間する。このとき、図5に示すように、操作ツマミ42を右周りに回転させ、移動ロッド50を「リリース位置」から「圧接位置」(図面左方向)に移動させる場合、移動ロッド50の段部56には、アクチュエータ60の係止部61aは係止しないため、移動ロッド50の「圧接位置」への移動が許容される。したがって、操作ツマミ42を右周りに回転させることができるため、支持アーム35を押し上げ、プラテンホルダ33を後方に移動させることができ、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接させることができる。こうして、カセット収納部6にカセット5が装着される場合は、サーマルヘッド29へのプラテン30の圧接動作が許容される。
また、図7に示すように、幅の厚いカセット5をカセット収納部6に装着する場合、アクチュエータ60の当接部62aは、カセット5の底面側の調整支持穴5cで押し下げられるため、アクチュエータ60は、支持ピン18の先端と同じ高さまで押し下げられる。一方、図8に示すように、幅の薄いカセット5をカセット収納部6に装着する場合では、カセット5には、カセット5の底面側に調整支持穴が設けられていないので、カセット5の底面で、アクチュエータ60の当接部62aを押し下げることにより、アクチュエータ60を、支持ピン18と同じ高さまで押し下げることができる。これにより、カセット5の幅の厚みの違いによって、アクチュエータ60の押し下げられる距離は変わらない。
以上説明したように、第1の実施形態であるテーププリンタ1は、カセット収納部6にカセット5が装着された場合のみ、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接させる制限機構部12を備える。この制限機構部12は、プラテンホルダ33に固定された支持アーム35を押し上げる移動ロッド50の移動を阻止するとともに、上下に移動可能な略U字型のアクチュエータ60を備えている。このアクチュエータ60は、移動ロッド50の段部56を係止する係止部61aと、カセット5の底面に押圧して押し下げられるための当接部62aとを備える。そして、カセット収納部6にカセット5が装着されていない場合、アクチュエータ60の係止部61aが移動ロッド50の段部56を係止している。カセット収納部6にカセット5が装着されると、アクチュエータ60の当接部62aがカセット5の底面側に当接して押し下げられ、アクチュエータ60全体が押し下げられる。すると、アクチュエータ60の係止部61aが、移動ロッド50の段部56の移動通路内から離間して、その係止状態を解除し、移動ロッド50の移動が自由となるため、操作ツマミ42の操作によってサーマルヘッド29にプラテン30を圧接させることができる。こうして、カセット収納部6にカセット5が装着された場合のみ、プラテン30のサーマルヘッド29への圧接動作を許容することにより、プラテン30の変形や、サーマルヘッド29への接着等を未然に防ぐことができる。
なお、本発明の印字装置は、上記第1の実施形態に限らず、各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、アクチュエータ60の形状や動作を変更することで様々な形態をとることができる。次に、このような変更に基づいて変形した第2,第3の実施形態であるテーププリンタについてそれぞれ説明する。
まず、第2の実施形態であるテーププリンタについて説明する。第2の実施形態のテーププリンタは、第1の実施形態の印字ユニット7の代わりに、印字ユニット77を備える。図9は、印字ユニット77の内部をテーププリンタの左側から見た図であり、図10は、カセット5が装着された印字ユニット77の内部をテーププリンタの上側から見た図であり、図11は、カセット5が装着された印字ユニット77の内部をテーププリンタの前方側から見た図であり、図12は、図10に示すB−B線矢視方向断面図である。
印字ユニット77は、第1の実施形態のアクチュエータ60の代わりに、アクチュエータ600を備える。即ち、印字ユニット77のアクチュエータ600と、それを回動可能に支持する支持板800以外の構成は、第1の実施形態であるテーププリンタ1と同じである。したがって、図9乃至図12に示す図中の符号について、第1の実施形態であるテーププリンタ1と同じ構成である各種機構、部品等については、第1の実施形態と同符号を付すものとする。さらに、ここではアクチュエータ600の軸支構造と、当該アクチュエータ600を備えた制限機構部120の動作を中心に説明し、それ以外の構成及び動作等を第1の実施形態の説明を援用するものとする。
印字ユニット77について説明する。図10に示すように、フレーム10の天面10aには、上記した印刷機構部9と、押圧機構部11とに加え、当該押圧機構部11の動作を制限するための制限機構部120が設けられている。そして、この制限機構部120は、第1の実施形態の制限機構部12(図2参照)を変形したものである。そして、制限機構部120は、カセット収納部6(図9参照)にカセット5が装着された場合にのみ、プラテン30をサーマルヘッド29に圧接できるように動作する。
次に、制限機構部120について説明する。この制限機構部120は、第1の実施形態の制限機構部12と同様に、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、押圧機構部11の動作を制限して、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接できないようにする機構である。図9に示すように、制限機構部120は、移動ロッド50の段部56を係止して、移動ロッド50の「圧接位置」への移動を阻止する正面視略U字型のアクチュエータ600と、収納部20内に立設され、アクチュエータ600の下部を挟み込んで軸支する一対の支持板800,800(図11参照)と、アクチュエータ600の後述する係止部610aを下側から上側に付勢するためのバネ687とを主体に構成されている。以下、制限機構部120を構成する各部位について順に説明する。
次に、アクチュエータ600について説明する。図9に示すように、アクチュエータ600は、上下方向に延設された左右一対の作用部610,620と、該作用部610,620の各下端部を両側に連結する連結部630とから構成されている。そして、作用部610は、移動ロッド50の移動通路の下方に配置されている。さらに、作用部610の上端部には、移動ロッド50の段部56を下方から係止して、移動ロッド50の「圧接位置」への移動を阻止する係止部610aが設けられている。一方、作用部620は、カセット収納部6内の天面10aの突出口220を介して上方向に延設され、その先端部には、カセット5の側面(図10,図12参照)に当接するためにカセット収納部6側にやや隆起して設けられた当接部620aが設けられている。
次に、支持板800について説明する。図9,図11に示すように、支持板800は、一対の断面略L字型の支持板800,800から構成されている。そして、この支持板800は、図9,図11に示すように、上下方向に立設され、アクチュエータ600の下部の軸支部分に当接して支持する支持片800aと、該第1支持片800aの下端部から略水平に折り返して延設され、本体ケース2の底面に当接して固定するための固定片800bとから構成されている。さらに、この支持片800aの上端部近傍には、アクチュエータ600を軸支するための軸支穴(図示外)が設けられている。
次に、一対の支持板800,800による、アクチュエータ600の軸支構造について説明する。図9に示すように、アクチュエータ600は、連結部630の作用部620側の端部近傍が軸支される。そして、そのアクチュエータ600の軸支部分は、一対の支持板800,800によって挟み込まれ、支軸650を介すことにより、アクチュエータ600が回動可能に支持される。さらに、アクチュエータ600の連結部630における係止部610a側の端部の下部と、本体ケース2の底面との間には、バネ687が配設されている。なお、バネ687の下端部は、本体ケース2の底面に接着されて固定されているが、例えば、バネ687の下端部を固定するための窪み等を本体ケース2の底面に設けたりしてもよい。また、カセット収納部6の天面10aには、アクチュエータ600の作用部610が、移動ロッド50の移動通路内を揺動するための突出口210と、作用部620が、カセット収納部6内を揺動するための突出口220とが各々設けられている。そして、突出口210内で、アクチュエータ600の作用部610が揺動可能とするために、突出口210は、天面10aの前端部から切り欠き状に設けられている。さらに、突出口220内で、作用部620が揺動可能とするために、突出口220は、作用部610の揺動範囲よりもやや大き目に設けられている。
次に、上記構成からなる制限機構部120の動作について説明する。なお、本実施形態についても、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合と、装着される場合とで制限機構部120の動作が異なるため、それぞれの場合に分けて説明する。また、ここでも、幅の厚いカセット5がカセット収納部6に装着される場合について説明する。
まず、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合の制限機構部120の動作について説明する。図9に示すように、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、アクチュエータ600は支軸650を軸心として、その当接部620aがカセット収納部6側に位置している。これと同時に、係止部610aは上方に位置し、移動ロッド50の移動通路内に係止部610aが侵入している。このとき、操作ツマミ42を右周りに回転させると、移動ロッド50の段部56を係止部610aが係止するので、移動ロッド50が「圧接位置」に移動することができず、支持アーム35(図10参照)を後方に押し上げることができない。さらに、プラテンホルダ33を後方に移動させることができないため、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接させることができない。こうして、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、サーマルヘッド29へのプラテン30の圧接動作が阻止される。
次に、カセット収納部6にカセット5が装着された場合の制限機構部120の動作について説明する。図11,図12に示すように、カセット収納部6にカセット5が装着されると、カセット5の側面に、アクチュエータ600の当接部620aが当接する。すると、当接部620aは、カセット5から離れる方向に向かって付勢される。すると、アクチュエータ600は支軸650を軸心として回動するので、アクチュエータ600の連結部630の下部でバネ687が押し下げられる。これにより、突出口210から突出する作用部610の係止部610aは、移動ロッド50の移動通路内から離間するように回動する。このとき、図10に示すように、操作ツマミ42を右周りに回転させ、移動ロッド50を「リリース位置」から「圧接位置」(図面左方向)に移動させようとした場合、図12に示すように、移動ロッド50の段部56は、アクチュエータ600の係止部610aにより係止されないため、移動ロッド50の「圧接位置」への移動が許容される。したがって、図10に示すように、操作ツマミ42を右周りに回転させることができるため、支持アーム35を押し上げ、プラテンホルダ33を上方に移動させることができ、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接させることができる。このように、カセット収納部6にカセット5が装着される場合は、サーマルヘッド29へのプラテン30の圧接動作が許容されることとなる。
また、図12に示すように、本実施形態の制限機構部120では、アクチュエータ600の当接部620aは、カセット5の底面ではなく、側面に当接する。これにより、カセット収納部6にカセット5が装着される場合は、カセット5の幅の厚みに関わらず、アクチュエータ600を常に同じ回転角度だけ回動させることができる。
以上説明したように、第2の実施形態であるテーププリンタは、第1の実施形態のアクチュエータ60とは形状の異なるアクチュエータ600を備える。そして、アクチュエータ600を回動可能に軸支するとともに、当接部620aを、カセット5の底面でなく、カセット5の側面に当接させて回動させる点を特徴としている。これにより、カセット収納部6にカセット5が装着される場合は、カセット5の幅の厚みに関わらず、アクチュエータ600を常に同じ回転角度だけ回動させることができ、移動ロッド50の「リリース位置」から「圧接位置」への移動を許容することができる。
次に、第3の実施形態であるテーププリンタについて説明する。なお、第3の実施形態であるテーププリンタは、第2の実施形態の印字ユニット77の代わりに、印字ユニット700を備える。そして、印字ユニット700は、第2の実施形態のアクチュエータ600の代わりに、上記したアクチュエータ660を備えるものである。即ち、印字ユニット700のアクチュエータ660以外の構成は、第2の実施形態であるテーププリンタと同じである。図13は、印字ユニット700の内部をテーププリンタの左側から見た図であり、図14は、カセット5が装着された印字ユニット700の内部をテーププリンタの上側から見た図であり、図15は、カセット5が装着された印字ユニット700の内部をテーププリンタの前方側から見た図であり、図16は、図14に示すC−C線矢視方向断面図である。この第3の実施形態であるテーププリンタは、第2の実施形態のアクチュエータ600の形状を変形したアクチュエータ660を備える。そして、このアクチュエータ660の後述する当接部690は、カセット5の底面と側面との稜線に当接して付勢されるための傾斜部690aを設けていることに特徴を有する。
したがって、図13乃至図16に示す図中の符号について、第1、第2の実施形態であるテーププリンタと同じ構成である各種機構、部品等については、第1,第2の実施形態と同符号を付すものとする。さらに、ここではアクチュエータ660の軸支構造と、当該アクチュエータ660を備えた制限機構部320の動作を中心に説明し、それ以外の構成及び動作等を第1,第2の実施形態の説明を援用するものとする。
印字ユニット700について説明する。図14に示すように、フレーム10の天面10aには、上記した印刷機構部9と、押圧機構部11とに加え、当該押圧機構部11の動作を制限するための制限機構部320とが各々設けられている。そして、この制限機構部320は、制限機構部120を変形したものである。そして、制限機構部320も、カセット収納部6にカセット5が装着された場合にのみ、プラテン30をサーマルヘッド29に圧接できるように動作する。
次に、制限機構部320について説明する。この制限機構部320は、第2の実施形態の制限機構部120と同様に、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、押圧機構部11の動作を制限して、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接できないようにする機構である。図13に示すように、制限機構部320は、移動ロッド50の段部56を係止して、移動ロッド50の「圧接位置」への移動を阻止する正面視略U字型のアクチュエータ660と、収納部20内に立設され、アクチュエータ660の下部を挟み込んで軸支する第2の実施形態と同様の一対の支持板800,800(図15参照)と、アクチュエータ660の後述する係止部680aを下側から上側に付勢するためのバネ688とを主体に構成されている。
アクチュエータ660について説明する。図13に示すように、アクチュエータ660は、略水平方向に延設された連結部670と、その長手方向一端部に設けられ、上方に延設された作用部680と、他端部に設けられた平面視略三角形状の当接部690とから構成されている。そして、作用部680は、移動ロッド50の移動通路の下方に配置されている。さらに、作用部680の上端部には、移動ロッド50の段部56の移動通路内に下方から進入して、移動ロッド50の「圧接位置」への移動を阻止すべく係止する係止部680aが設けられている。一方、当接部690は、カセット収納部6内の天面10aの突出口222を介して配置され、その当接部690の、カセット収納部6側に対向する部分には、カセット5の底面と側面とが交わる角部に当接するための傾斜部690aが設けられている。そして、このような構成からなるアクチュエータ660は、第2の実施形態と同一の一対の支持板800,800によって挟み込まれ、支軸650によって回動可能に支持される。なお、図13に示す傾斜部690aが、「傾斜面」に相当する。
次に、一対の支持板800,800による、アクチュエータ660の軸支構造について説明する。図13に示すように、アクチュエータ660の軸支される位置は、第2の実施形態のアクチュエータ600とは異なる。即ち、アクチュエータ660は、連結部670の当接部690側の端部近傍において、支軸650によって軸支されている。さらに、アクチュエータ660の連結部670における作用部680側の端部の下部と、本体ケース2の底面との間にはバネ688が配設され、該バネ688の下部が本体ケース2の底面に固定されている。また、カセット収納部6の天面10aには、アクチュエータ660の作用部680が、移動ロッド50の移動通路内を揺動するための突出口211と、当接部690が、カセット収納部6内を揺動するための突出口222とが各々設けられている。そして、突出口211内で、アクチュエータ660の作用部680を揺動させるために、突出口211は、天面10aの前端部から切り欠き状に設けられている。さらに、突出口222内で、当接部690を揺動させるために、突出口222は、当接部690の揺動範囲よりもやや大き目に設けられている。
また、本実施形態のカセット収納部6に装着される幅の厚いカセット5の底面には、上記第1,第2の実施形態と同様に、調整支持穴5a,5b,5c(図14参照)が設けられている。このうち調整支持穴5cは他の調整支持穴5a,5bより大き目に設けられ、その底部は、カセット5の側面に連続するように切り欠き状に設けられる。なお、カセット5の上面から調整支持穴5cの底部までの厚さは、幅の薄いカセット5の厚さと等しい。そして、この調整支持穴5cの底部と側面とが交わる角部に、アクチュエータ660の傾斜部690aが当接して押し下げられるようにしている。なお、幅の薄いカセット5の底面と側面とが交わる角部に、アクチュエータ660の傾斜部690aが当接して押し下げられるようにしている。これにより、カセット5の幅の厚みが異なった場合でも、アクチュエータ660の傾斜部690aを、支持ピン16,17,18の先端と同じ高さ位置まで押し下げることができるため、アクチュエータ660を常に同じ角度だけ回転させることができる。
次に、上記構成からなる制限機構部320の動作について説明する。なお、本実施形態についても、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合と、装着される場合とで制限機構部320の動作が異なるため、それぞれの場合に分けて説明する。また、ここでは、幅の厚いカセット5がカセット収納部6に装着される場合について説明する。
まず、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合の制限機構部320の動作について説明する。図13に示すように、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、アクチュエータ660は支軸650を軸心として、当接部690がカセット収納部6側に位置している。これと同時に、係止部680aは上方に位置するため、移動ロッド50の移動通路内に侵入し、移動ロッド50の段部56を係止部680aが係止する。したがって、操作ツマミ42(図14参照)を右周りに回転させることができないため、支持アーム35を後方に押し上げることができない。さらに、プラテンホルダ33を後方に移動させることができないため、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接させることができない。こうして、カセット収納部6にカセット5が装着されない場合は、サーマルヘッド29へのプラテン30の圧接動作が阻止されることになる。
次に、カセット収納部6にカセット5が装着された場合の制限機構部320の動作について説明する。図15,図16に示すように、カセット収納部6にカセット5が装着されると、カセット5における底面と、アクチュエータ660側の側面とが接触する角部に、アクチュエータ660の当接部690の傾斜部690aが当接する。また、本実施例では、幅の厚いカセット5が装着されるため、傾斜部690aには、カセット5の裏面側に設けられた調整支持穴5cの底部と、アクチュエータ660側の側面とが交わる角部に当接するようになっている。これにより、アクチュエータ660の当接部690は、下方に付勢されるため、支軸650を軸心として、アクチュエータ660が回動し、アクチュエータ660の連結部670の下部がバネ688を押し下げる。これにより、突出口211から突出する作用部680の係止部680aは、移動ロッド50の移動通路内から離間するように回動する。このとき、図14に示すように、操作ツマミ42を右周りに回転させ、移動ロッド50を「リリース位置」から「圧接位置」(図面左方向)に移動させる場合、移動ロッド50の段部56には、アクチュエータ660の係止部680aは係止しないため、移動ロッド50の「圧接位置」への移動が許容される。したがって、操作ツマミ42を右周りに回転させることができるため、支持アーム35を押し上げ、プラテンホルダ33を上方に移動させることにより、サーマルヘッド29にプラテン30を圧接させることができる。このように、カセット収納部6にカセット5が装着される場合は、サーマルヘッド29へのプラテン30の圧接動作が許容されることになる。
以上説明したように、第3の実施形態であるテーププリンタは、第2の実施形態のアクチュエータ600の形状を変形したアクチュエータ660を備える。そして、このアクチュエータ660の当接部690には、カセット5の底面と側面とが交わる角部に当接して付勢されるための傾斜部690aが設けられている。そして、この傾斜部690aを設けることで、カセット5の底面(又は調整支持穴5cの底部)と側面とが交わる角部に傾斜部690aを確実に当接させて押し下げることができ、アクチュエータ660を回動させることができる。
また、この第3の実施形態のアクチュエータ660の形状を、例えば、図17に示すようなアクチュエータ666のような形状にしてもよい。図17は、第3の実施形態のアクチュエータ660を変形した一例であるアクチュエータ666の動作説明図である。このアクチュエータ666は、略水平に延設された連結部675をベースとし、該連結部675の一端部は支軸650を介して、一対の支持板800,800(図17では1つのみ図示)によって軸支されている。さらに、連結部675の他端部には、略垂直上方に延設され、移動ロッド50の移動通路の下方に配置された作用部685が設けられ、連結部675の軸支側の端部近傍には、カセット収納部6側に配置された作用部695が設けられている。そして、その作用部695の上端部に設けられた当接部695aが、カセット5の底面(調整支持穴5c)に当接することにより、アクチュエータ666を回動させ、作用部685の上端部に設けられた係止部685aを、移動ロッド50の段部56から離間させて係止を解除することも可能である。
なお、本発明の印字装置は、上記第1,第2,第3の実施形態に限らず、各種の変形が可能なことはいうまでもない。
例えば、印字ユニット7に保護カバー13を閉じた状態で保持するロック機構を設け、該ロック機構は、操作ツマミ42を右周りの操作に連動して、カバーをロックするように構成してもよい。ただし、本実施形態では、カセット5がカセット収納部6に装着されていない状態で、操作ツマミ42が操作されると、その操作に伴って移動ロッド50が移動するが、やがて、移動ロッド50の段部56がアクチュエータ60の係止部61aにより係止される。前記ロック機構は、移動ロッド50の移動が係止部61aにより係止される位置の手前で、保護カバー13を閉じた状態に保持するように構成される。また、カセット5がカセット収納部6に装着されている状態では、操作ツマミ42の操作により、移動ロッド50が「リリース位置」から「圧接位置」まで移動するが、その移動途中で、ロック機構は、保護カバー13を閉じた状態に保持するが、その保持状態を、移動ロッド50が「圧接位置」まで移動した後も継続するように構成してもよい。当然、操作ツマミ42が左回りに操作されれば、ロック機構は保護カバー13を閉じた状態に保持することを止めて、保護カバー13を開くことを可能にするように構成されている。