JP2006228899A - 硫酸リサイクル型洗浄システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 過硫酸を用いた洗浄システムにおいて、過硫酸濃度を十分に高くして洗浄効果を高め、過酸化水素の追加添加を必要とすることなく洗浄の継続を可能とする。
【解決手段】 過硫酸溶液2で被洗浄材30を洗浄する洗浄槽1と、硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液2を再生する電解反応槽11と、洗浄槽1と電解反応槽11との間で過硫酸溶液を循環させる循環ライン4、5、6を備える。電解反応槽11の陽極12とバイポーラ電極14(陰極面)の間に隔膜16、バイポーラ電極14(陽極面)と陰極13の間に隔膜17を配置する。隔膜16、17で隔てられた陽極室に過硫酸溶液2が通液され、隔膜16、17で隔てられた陰極室に電解液が通液されて電解が行われる。電解反応槽11での過硫酸イオンの還元反応を防止して効率よく過硫酸イオンを生成して効果的な洗浄を可能にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコンウエハーなどに付着した汚染物などを剥離効果が高い過硫酸溶液で洗浄剥離する際に、硫酸溶液を繰り返し利用しつつ過硫酸溶液を再生して洗浄に供する硫酸リサイクル型洗浄システムに関するものである。
超LSI製造工程におけるウエハ洗浄技術は、レジスト残渣、微粒子、金属および自然酸化膜などを剥離洗浄するプロセスであり、濃硫酸と過酸化水素の混合溶液(SPM)あるいは、濃硫酸にオゾンガスを吹き込んだ溶液(SOM)が多用されている。高濃度の硫酸に過酸化水素やオゾンを加えると硫酸が酸化されて過硫酸が生成される。過硫酸は自己分解する際に強い酸化力を発するため洗浄能力が高く、上記ウエハなどの洗浄に役立つことが知られている。
また、過硫酸を生成する方法として、上記方法の他に、硫酸イオンを含む水溶液を電解槽で電解して過硫酸溶解水を得て洗浄に供する方法も知られている(特許文献1、2参照)。
特開2001−192874号公報 特表2003−511555号公報
ところで、SPMでは、過酸化水素水により発生する過硫酸が自己分解し酸化力が低下すると分解する分を補うため過酸化水素水の補給を繰り返すことが必要である。そして硫酸濃度がある濃度を下回ると新しい高濃度硫酸と交換する。しかし、上記方法では、過酸化水素水中の水で過硫酸溶液が希釈されるため、液組成を一定に維持することが難しく、さらには所定時間もしくは処理バッチ数毎に液を廃棄して、更新することが必要である。このため洗浄効果が一定しない他、多量の薬品を保管しなければならないという問題がある。一方、SOMでは液が希釈されることがなく、一般的にSPMより液更新サイクルを長くできるものの、洗浄効果においてはSPMより劣る。
また、SPMでは、1回洗浄槽を満たした高濃度硫酸と数回の過酸化水素水添加により発生できる過硫酸量は少なく、限度がある。また、SOM法ではオゾン吹き込み量に対する過硫酸の発生効率が非常に低い。したがって、これらの方法では、生成する過硫酸の濃度に限界があり、洗浄効果にも限界があるという問題もある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、硫酸を繰り返し使用しつつ硫酸の水溶液から電気化学的作用により過硫酸イオンを効率よく生成することで過硫酸イオンをリサイクルして硫酸使用量を大幅に低減できる硫酸リサイクル型洗浄システムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の硫酸リサイクル型洗浄システムのうち請求項1記載の発明は、過硫酸溶液を洗浄液として被洗浄材を洗浄する洗浄装置と、電解反応により、溶液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液を再生する電解反応装置と、前記洗浄装置と電解反応装置との間で、前記過硫酸溶液を循環させる循環ラインとを備えており、前記電解反応装置は、該装置に備える陽極と陰極との間が隔膜で隔てられており、前記循環に際し前記陽極と前記隔膜との間で前記過硫酸溶液が通液され、前記隔膜と陰極との間に前記循環ラインとは独立して電解液が介在されることを特徴とする。
請求項2記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1記載の発明において、前記電解液が硫酸溶液であり、前記隔膜と陰極との間に通液されるものであることを特徴とする。
請求項3記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記電解反応装置で電解される過硫酸溶液の温度を、前記洗浄液の温度よりも低く保持することを特徴とする。
請求項4記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記電解反応装置で電解される溶液の温度を10℃から90℃の範囲内とすることを特徴とする。
請求項5記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記循環ラインにおいて、前記電解反応装置からの相対的に低温な過硫酸溶液の送り液と、前記洗浄装置からの相対的に高温な過硫酸溶液の戻り液との間で熱交換を行う熱交換手段を有することを特徴とする。
請求項6記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記循環ラインにおける流路が石英またはテトラフルオロエチレン製からなることを特徴とする。
請求項7記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記洗浄によって被洗浄材から除去された除去物を分解する分解部を有することを特徴とする。
請求項8記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記電解装置で電解される溶液は、硫酸濃度が8Mから18Mであることを特徴とする。
請求項9記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、電解反応装置に備える電極のうち、少なくとも陽極が導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
請求項10記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の発明において、電解反応装置に備える導電性ダイヤモンド電極が、基板上に積層させた後に基板を取り去った自立型導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
請求項11記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の発明において、前記被洗浄材が半導体基板であることを特徴とする。
請求項12記載の硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の発明において、前記洗浄装置における洗浄による有機汚染物の全有機性炭素濃度(TOC)生成速度と、前記電解装置における過硫酸生成速度との比(過硫酸生成速度〔g/l/hr〕/(洗浄槽内TOC生成速度〔g/l/hr〕)が、10から500となるように電解制御されることを特徴とする。
すなわち本発明によれば、洗浄液中の過硫酸イオンが自己分解して酸化力を発し、この酸化力によって被洗浄材の汚染物などが効果的に剥離洗浄される。そして洗浄液では、溶液中の過硫酸イオンが自己分解することにより過硫酸濃度が次第に低下する。この過硫酸溶液は、循環ラインを通して電解反応装置に送液される。電解反応装置では、硫酸イオンを含む溶液に陽極及び陰極を浸漬し、電極間に電流を流し電解することによって硫酸イオンが酸化されて過硫酸イオンが生成され、過硫酸濃度が十分に高い過硫酸溶液に再生される。しかも、上記電解反応装置では、再生される過硫酸溶液が、電解反応装置に備える陽極と隔膜との間にのみ通液され、陰極側には通液されないので、電解により生成される過硫酸イオンが陰極側で還元されるのを抑止して効率的に過硫酸イオンを生成することができる。なお、電解は、上記過硫酸溶液と、隔膜と陰極と間に介在させた電解液とを通して行われる。
上記により再生された過硫酸溶液は、循環ラインを通して洗浄装置に送液され、上記と同様に被洗浄材を高濃度の過硫酸によって効果的に剥離洗浄する。過硫酸は、洗浄装置と電解反応装置との間で繰り返し循環することで、過硫酸組成を維持した状態で効果的な洗浄を継続することができる。なお、立ち上げ時には、硫酸を用意し、これを電解反応装置で過硫酸溶液として洗浄装置に送液するようにして過硫酸溶液の循環を開始することもできる。
なお、過硫酸は、温度が高い程、自己分解速度が速くなり高い剥離洗浄作用が得られる。130℃といった高温では半減期が5分程度と自己分解速度が非常に速くなる。一方、電解反応装置では、溶液温度が低いほど過硫酸の生成効率が良く、また電極の損耗も小さくなる。本発明では、洗浄装置と電解反応装置とを分離することから、電解反応装置で電解される溶液の温度を、洗浄液の温度よりも低く保持することが可能になり、洗浄装置および電解反応装置での効率を上げることができる。
洗浄液は、適宜の加熱手段により加熱して適温にすることができる。加熱手段としてはヒータや熱水、蒸気などとの熱交換を利用した加熱器などが例示されるが本発明としては特定のものに限定されない。洗浄液の適温としては、例えば100℃〜150℃を示すことができる。該温度範囲を下回ると、過硫酸による剥離洗浄効果が低下する。一方、160℃を超えると、過硫酸の自己分解速度が極めて大きくなり、レジストを十分に酸化できないので、洗浄液の適温を上記範囲に定めた。
また、電解反応装置で電解される過硫酸溶液は、適宜の冷却手段で冷却して適温にすることができる。冷却手段としては空冷、水冷などの冷却器を例示することができる。電解される溶液としての適温は、10〜90℃の範囲を示すことができる。上記温度範囲を超えると、電解効率が低下し、電極の損耗も大きくなる。一方、上記温度範囲を下回ると、洗浄槽内温度130℃まで加熱するための熱エネルギーが莫大になるとともに、熱交換のための配管経路が大幅に長くなり実用的でない。なお、同様の理由により、下限を40℃、上限を80℃とするのが一層望ましい。なお、隔膜と陰極との間に介在させる電解液も上記と同様の理由で90℃以下の温度とするのが望ましい。該電解液は、洗浄槽には送液しないので上記過硫酸溶液とは異なり特に下限温度を定める必要はない。また、該電解液に、過硫酸溶液に対する冷却作用や恒温作用を与えるようにしても良い。
上記した加熱手段や冷却手段は、洗浄装置や電解反応装置に付設してもよく、また、循環ラインに設けても良い。さらに洗浄装置や電解反応装置に別ラインを設けて溶液の加熱や冷却を行うようにしてもよい。
また、電解される溶液と洗浄液とされる溶液との温度調整は、過硫酸溶液を循環ラインで一方の装置から他方の装置に送液する際に互いに熱交換することにより行うことができる。すなわち、相対的に温度が高くされ、洗浄装置から電解反応装置に送液する過硫酸溶液(戻り液)と、相対的に温度が低くされ、電解反応装置から洗浄装置に送液する過硫酸溶液(送り液)とを互いに熱交換すると、温度の高い戻り液は、熱交換によって熱が奪われることで温度が低下し、電解反応装置の電解用の溶液として望ましい温度調整がなされる。また、温度の低い送り液は熱交換によって熱が与えられることで温度が上昇し、洗浄液として望ましい温度調整がなされる。熱交換は、熱交換器等の適宜の熱交換手段により行うことができる。熱交換器の流路を含めて循環ラインにおける流路材料には、過硫酸による損傷を受けにくい石英やテトラフルオロエチレンが望ましい。
なお、上記熱交換に加えて洗浄液を加熱する手段や電解される溶液を冷却する手段を付設することも可能である。
また、洗浄によって過硫酸溶液に含まれるに至ったレジストなどの有機物は、循環ライン系または循環ライン系外に設けた分解部によって分解処理してもよい。該分解部としては、加熱分解装置、電解反応装置などを例示することができる。
上記システムでは、電解反応装置の陽極側で電解される溶液は、硫酸イオンを含むものであり、電解反応装置における過硫酸イオンの生成効率は、硫酸濃度に大きく影響される。具体的には硫酸濃度が低いほど過硫酸発生効率は大きくなる。一方で、硫酸濃度を低くすると、レジスト等の有機化合物の溶解度が低くなり、被洗浄材から剥離しにくくなる。これらの観点から、循環ラインに用いられる溶液の硫酸濃度は、例えば8M〜18Mの範囲が望ましい。同様の理由で、下限は12M、上限は17Mであるのが一層望ましい。
一方、陰極側の電解液は、本発明としては電気伝導性があればよく、特定のものに限定されないが、隔膜を通して過硫酸溶液に不純物が極力混入しないように硫酸溶液を用いるのが望ましい。該硫酸溶液における濃度は0.1Mから18Mの範囲が望ましい。
電解反応装置では、陽極と陰極とを対にして電解がなされる。なおこれら陽極と陰極には、電源に電気的に直接接続される電極の他に、バイポーラ電極において通電時に出現する陽極および陰極を含むものであってもよい。これら電極の材質は、本発明としては特定のものに限定はしない。しかし、電極として一般に広く利用されている白金を本発明の電解反応装置の陽極として使用した場合、過硫酸イオンを効率的に製造することができず、白金が溶出するという問題がある。これに対し、ダイヤモンド電極は、過硫酸イオンの生成を効率よく行えるとともに、電極の損耗が小さい。したがって、電解反応装置の電極のうち、少なくとも、硫酸イオンの生成がなされる陽極をダイヤモンド電極で構成するのが望ましく、陽極、陰極ともにダイヤモンド電極で構成するのが一層望ましい。
導電性ダイヤモンド電極は、シリコンウエハ等の半導体材料を基盤とし、このウエハ表面に導電性ダイヤモンド薄膜を合成させた後に、ウエハを溶解させたものや、基盤を用いない条件で板状に析出合成したセルフスタンド型導電性多結晶ダイヤモンドを挙げることができる。また、Nb,W,Tiなどの金属基板上に積層したものも利用できるが、電流密度を大きくした場合には、ダイヤモンド膜が基板から剥離するという問題が生じやすい。
導電性ダイヤモンド電極によって、硫酸イオンから過硫酸イオンを製造することは、電流密度を0.2A/cm程度にした場合については報告されている(Ch.Comninellis et al.,Electrochemical and Solid−State Letters,Vol.3(2)77−79(2000),特表2003−511555号)。しかし、金属基板にダイヤモンド薄膜を担持した電極ではダイヤモンド膜の剥離が生じて、作用効果が短期間で消失するという問題がある。よって、基板上に析出させた後に基板を取り去った自立型導電性ダイヤモンド電極が望ましい。
なお、導電性ダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド薄膜の合成の際にボロン、窒素などの所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜20,000ppmの範囲のものが適している。
本発明において、導電性ダイヤモンド電極は、通常は板状のものを使用するが、網目構造物を板状にしたものも使用できる。すなわち、本発明としては、電極の形状や数は特に限定されるものではない。
この導電性ダイヤモンド電極を用いて行う電解処理は、導電性ダイヤモンド電極表面の電流密度を10〜100,000A/mとし、硫酸イオンを含む溶液をダイヤモンド電極面と平行方向に、通液線速度を1〜10,000m/hrで接触処理させることが望ましい。
また、洗浄装置でレジストの剥離溶解に伴って生成するTOC生成速度〔g/l/hr〕に対して、電解反応装置での過硫酸生成速度〔g/l/hr〕が10倍から500倍となるように電解条件を設定するのが望ましい。これにより過硫酸の消費と生成がバランスし、効率的な洗浄と効率的な電解処理がなされる。なお、同様の理由で下限を20、上限を300とするのが望ましい。
また、本発明の洗浄システムでは、前述したように、電解反応装置における陽極と陰極との間に隔膜が配置されている。隔膜の材料としては、イオンの通過が可能であって、電解反応装置における電解を阻害しないものであればよく、本発明としては特定のものに限定されないが、フッ素樹脂系、炭化水素系が挙げられ、過硫酸、濃硫酸による溶解や組成変化などが生じにくいフッ素系樹脂が望ましい。好適には陽イオンを通過させ、陰イオンの通過を阻害するフッ素樹脂系陽イオン交換膜(「Nafion」(商標)など)が好ましい。
なお、隔膜の製法や厚さ、枚数などは本発明としては特に限定されるものではなく、適宜選定することができる。
なお、本発明の洗浄システムでは、種々の被洗浄材を対象にして洗浄処理を行うことができるが、シリコンウエハ、液晶用ガラス基板、フォトマスク基板などの電子材料基板を対象にして洗浄処理をする用途に好適である。さらに具体的には、半導体基板上に付着したレジスト残渣などの有機化合物の剥離プロセスに利用することができる。また、半導体基板上に付着した微粒子、金属などの異物除去プロセスに利用することができる。
なお、従来、半導体基板の処理プロセスなどでは、洗浄処理に先立って、通常、前処理工程としてドライエッチングやアッシングプロセスを利用して有機物であるレジストを予め酸化して灰化する工程が組み込まれている。この工程は、装置コストや処理コストを高価にするという問題を有している。ところで、本発明のシステムでは、優れた洗浄効果が得られることから、上記したドライエッチングやアッシングプロセスなどの前処理工程を組み込むことなく洗浄処理を行った場合にも、十分にレジストなどの除去効果が得られる。すなわち、本発明は、これらの前処理工程を省略したプロセスを確立することも可能にする。
以上説明したように、本発明の硫酸リサイクル型洗浄システムによれば、過硫酸溶液を洗浄液として被洗浄材を洗浄する洗浄装置と、電解反応により、溶液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液を再生する電解反応装置と、前記洗浄装置と電解反応装置との間で、前記過硫酸溶液を循環させる循環ラインとを備え、前記電解反応装置は、該装置に備える陽極と陰極との間が隔膜で隔てられており、前記循環に際し前記陽極と前記隔膜との間で前記過硫酸溶液が通液され、前記隔膜と陰極との間に前記循環ラインとは独立して電解液が介在されるので、硫酸溶液を繰り返し利用するとともに剥離効果を高めるための過硫酸溶液を電解反応装置によってオンサイトで効率的に再生して洗浄に使用することができる。また、外部からの過酸化水素やオゾンなどの薬液添加を必要とすることなく効率的な洗浄を継続することができる。
(実施形態1)
以下に、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
本発明の洗浄装置に相当する洗浄槽1と電解反応装置10が戻り管4と送り管5とによって接続されている。戻り管4と送り管5とは、それぞれ少なくとも内面がテトラフルオロエチレンで構成されており、戻り管4には過硫酸溶液2を送液するための送液ポンプ6が介設されている。上記戻り管4、送り管5、送液ポンプ6によって、本願発明の循環ラインが構成されている。また、戻り管4と送り管5との間には、本発明の熱交換手段に相当する熱交換器7が介設されており、該熱交換器7によって戻り管4を流れる溶液と送り管5を流れる溶液とが互いに熱交換可能になっている。なお、熱交換器7内の流路(図示しない)も少なくとも内面がテトラフルオロエチレンで構成されている。上記のように戻り管4、送り管5、熱交換器7の流路を過硫酸に対し耐性のあるテトラフルオロエチレンなどで構成することで、過硫酸による損耗を回避することができる。
上記洗浄槽1は、収容された硫酸溶液または過硫酸溶液2を加熱するためのヒータ3を備えており、また、硫酸溶液または過硫酸溶液2に超純水を補給するための超純水補給ライン25を備えている。
次に、上記電解反応装置10の詳細を説明する。電解反応装置10は、図2に示すように電解反応槽11を備えており、該電解反応槽11内に、陽極12および陰極13が配置され、さらに陽極12と、陰極13との間に間隔をおいてバイポーラ電極14が配置されている。この実施形態では、上記電極12、13、14は直径15cmのダイヤモンド電極によって構成されている。該ダイヤモンド電極は、基板上にダイヤモンド薄膜を形成するとともに、該ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、好適には50〜20,000ppmの範囲でボロンをドープすることにより製造したものである。また、薄膜形成後に基板を取り去って自立型としたものであってもよい。
なお、本発明としてはバイポーラ式ではなく、陽極と陰極のみを電極として備えるものであってもよい。上記陽極12および陰極13には、直流電源15が接続されており、これにより電解反応槽11での直流電解が可能になっている。また、上記陽極12とバイポーラ電極14の間に隔膜16が配置され、バイポーラ電極14と陰極13との間に隔膜17が配置されて隣接する電極同士が隔離されるように構成されている。なお、隔膜16、17はフッ素樹脂系のイオン交換膜で構成されている。
前記した戻り管4は、電解反応槽11との接続に際し2つに分岐して、陽極12と隔膜16との間およびバイポーラ電極14と隔膜17との間(以下「陽極室」という)の一端に連結されている。そして、送り管5は、同じく電解反応槽11との接続に際し2つに分岐して、前記陽極室の他端側にそれぞれ連結されている。上記構成により、戻り管4および送り管5を移動する過硫酸溶液は、上記陽極室に通液される。一方、隔膜16とバイポーラ電極14の間および隔膜17と陰極13との間(以下「陰極室」という)の一端には、電解液貯槽20に接続された電解液戻り管21が2つに分岐して接続されており、上記陰極室の他端側には電解液送り管23が2つに分岐してそれぞれ連結されている。電解液送り管23の他端は、前記電解液貯槽20に接続されており、前記電解液戻り管21に送液ポンプ22を介設することで、電解貯槽20と電解反応槽10との間で電解液の循環が可能になっている。なお、この実施形態では、電解液として硫酸溶液が用いられ、前記電解液貯槽20に貯蔵される。
次に、上記構成よりなる硫酸リサイクル型洗浄システムの作用について説明する。
上記洗浄槽1内に、硫酸濃度が10〜18Mの硫酸を収容し、これに超純水を体積比で5:1となるように混合して硫酸溶液とする。これを送液ポンプ6によって順次、電解反応槽11に送液する。一方、電解貯槽20内に、1M〜18Mの硫酸を収容し、送液ポンプ22によって順次、電解反応槽11に送液する。電解反応槽11では、陽極12および陰極13に直流電源14によって通電すると、バイポーラ電極13が分極し、陰極(陽極12側面)、陽極(陰極13側面)が出現する。送液ポンプ6によって戻り管4を通して電解反応槽11に送液される溶液は、前記陽極室に通水される。この際に通液線速度が1〜10,000m/hrとなるように送液ポンプ6の出力を設定するのが望ましい。なお、上記通電では、ダイヤモンド電極表面での電流密度が10〜100,000A/mとなるように通電制御するのが望ましい。
また、送液ポンプ22によって電解液戻り管21を通して電解反応槽11に送液される硫酸溶液は、前記陰極室に通液される。この際の通液線速度は特に特定する必要はなく、1〜10,000m/hrの範囲であればよい。
電解反応槽11で溶液に対し通電されると、陽極室では循環ラインを流れる溶液中の硫酸イオンが酸化反応して過硫酸イオンが生成され過硫酸溶液2が再生される。この際に、過硫酸イオンは、隔膜16、17によって陰極への移動が抑止されるので、過硫酸イオンが陰極側で還元されて硫酸イオンに戻ることを回避できる。また、陰極室では、水素イオンが還元されて水素ガスが発生し、通液に伴って電気反応槽11外に排出される。
上記陽極室の過硫酸溶液2は、送り管5から洗浄槽1へと送液され、洗浄槽1内において高濃度の過硫酸溶液2が得られる。洗浄槽1内では、自己分解によって過硫酸イオン濃度が漸減するものの、電解反応槽11の陽極室との間で溶液が循環し電解反応槽11において電解されて過硫酸イオンが生成されることから、高い過硫酸イオン濃度が維持される。なお、この実施形態では、立ち上げ時に硫酸から過硫酸を製造する過程について説明したが、本発明としては、当初から過硫酸が用意されているものであってもよい。ただし、オンサイトで過硫酸を製造するという点では、電解反応装置を用いて過硫酸を製造することが有利である。
また、洗浄槽1内の過硫酸溶液2は、さらに、ヒータ3によって加熱することで、洗浄に適した温度に昇温させることができる。上記昇温によって、洗浄液となる過硫酸溶液2の温度が洗浄槽1内において130℃程度になった状態で、被洗浄材である半導体ウエハ30を洗浄槽1内に浸漬して洗浄を開始する。洗浄槽1内では、過硫酸イオンの自己分解によって高い酸化作用が得られており、半導体ウエハ30上の汚染物などが効果的に剥離除去され、過硫酸溶液2中に移行する。さらに過硫酸溶液2中でレジスト等の有機化合物が加熱分解されて過硫酸溶液2の清浄度が高まる。洗浄槽1内の過硫酸は、戻り管4、送液ポンプ6によって電解反応槽11に送液され、上記のように陽極室で硫酸イオンから過硫酸イオンが生成されて、自己分解によって低下した過硫酸濃度を高めて過硫酸溶液2を再生する。
また、過硫酸溶液2が洗浄槽1から電解反応槽11に向けて上記戻り管4を移動する際に、電解反応槽11において電解処理がなされて送り管5を移動する過硫酸溶液2との間で、熱交換器7において熱交換がなされる。洗浄槽1から送液される過硫酸溶液2は、洗浄に好適なように130℃程度に加熱されている。一方、電解反応槽10から送液される過硫酸溶液2は、40℃程度の温度を有している。これら過硫酸溶液2が熱交換されることによって戻り管4を移動する過硫酸溶液2は40℃に近い温度に低下し、一方、送り管5を移動する過硫酸溶液2は、130℃に近い温度にまで加熱される。熱交換器7で熱交換され、戻り管4を移動する過硫酸溶液2は、その後、自然冷却によって次第に降温し、電解反応に好適な40℃程度の温度となる。なお、確実に温度を低下させたい場合には、電解反応槽11を水冷、空冷するなどして強制的に冷却する冷却手段を付設することもできる。また、電解反応槽11の陰極室では、定温状態の硫酸溶液24が循環しており、該硫酸溶液24によって電解反応槽11内の温度を適温に維持することが容易になり、電解反応槽11における溶液を冷却する手段(上記熱交換器7を除く)を不要にできる。
なお、熱交換器7で熱交換され、送り管5を移動する過硫酸溶液2は、洗浄槽1に送られ、洗浄槽1内に残存する過硫酸溶液2に混合される。洗浄槽1内の過硫酸溶液2の温度が低下してしまった場合には、前記ヒータ3での加熱によって洗浄に最適な温度に昇温させることができる。上記のように、過硫酸溶液2は洗浄槽1から電解反応槽10へ送られる際に冷却され、電解された後、電解反応槽10から洗浄槽1へ戻される際に加温される。この1サイクルの中で冷却される熱量と加温される熱量はほぼ等しいため、高効率の熱交換器7を組み込み、放熱分程度について外部から熱エネルギーを加えることで、効率的に過硫酸溶液2の温度調整を行うことができる。
上記硫酸リサイクル型洗浄システムによって半導体ウエハ30の洗浄を行うことで、過酸化水素水やオゾンの添加を必要とすることなく、硫酸溶液を繰り返し使用して過硫酸溶液2を再生しつつ効果的な洗浄を継続することができる。
(実施形態2)
次に、他の実施形態を図3に基づいて説明する。
なお、この実施形態2において前記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化する。
この実施形態では、洗浄槽1に、電解反応装置10に備える電解反応槽11a、11bが戻り管4と送り管5とによって接続されている。戻り管4には送液ポンプ6が介設されており、また、戻り管4と送り管5との間には前記実施形態1と同様に熱交換器7が設けられている。
電解反応槽11a、11bは、同構造からなり、それぞれ陽極12a、陰極13aと陽極12b、陰極13bを対にして備えている。該陽極12a、12bと陰極13a、13b間には、それぞれバイポーラ電極14a、14bが配置されている。これらの陽極12a、12、陰極13a、13bおよびバイポーラ電極14a、14bは前記実施形態1と同構成のダイヤモンド電極によって構成されている。上記陽極12aと陰極13aおよび陽極12bと陰極13bは、直流電源15に並列状態で接続されており、これにより電解反応槽11a、11bでの直流電解が可能になっている。
また、陽極12a、12bとバイポーラ電極13a、13bの間は、それぞれ隔膜16a、16bで隔てられており、バイポーラ電極13a、13bと陰極13a、13bとの間は、それぞれ隔膜17a、17bで隔てられている。上記隔膜16a〜17bは、それぞれ同素材からなり、フッ素樹脂系からなるイオン交換膜によって構成されている。
上記電解反応槽11aと電解反応槽11bとは直列に接続されており、戻り管4は2つに分岐して、電解反応槽11aにおける陽極12aと隔膜16aの間およびバイポーラ電極14aと隔膜17aの間(陽極室aという)の一端に連結されている。該陽極室aの他端側は、連結管110を介して電解反応槽11bにおける陽極12bと隔膜16bの間およびバイポーラ電極14bと隔膜17bの間(陽極室bという)の一端に連結されている。陽極室bの他端側には、二つに分岐した送り管5がそれぞれ連結されている。
また、この実施形態においても前記実施形態1と同様に、電解液貯槽20、電解液戻り管21、送液ポンプ22、電解液送り管23を備えている。
電解液戻り管21は、2つに分岐して、電解反応槽11aにおける隔膜16aとバイポーラ電極14aの間および隔膜17aと陰極13aの間(陰極室aという)の一端に連結されている。上記陰極室aの他端側は、連結管111を介して電解反応槽11bにおける隔膜16bとバイポーラ電極14bの間および隔膜17bと陰極13bの間(陰極室bという)の一端に連結されている。陰極室bの他端側には、二つに分岐した電解液送り管23がそれぞれ連結されている。
次に、上記硫酸リサイクル型洗浄システムの作用について説明する。
上記洗浄槽1内では、前記実施形態1と同様に8M〜18Mの硫酸を収容し、ヒータ3によって130℃程度に加熱する。また、電解液貯槽20においても0.1M〜18Mの硫酸を収容する。
洗浄槽1内の硫酸溶液は、送液ポンプ6によって電解反応槽11aの陽極室aに送液する。電解反応槽11a、11bでは、陽極12a、陰極13a間および陽極12b、陰極13b間に直流電源14によって通電することにより、バイポーラ電極13a、13bが分極する。なお、電解反応槽11a、11bにおける通液線速度は1〜10,000m/hr、ダイヤモンド電極表面での電流密度は10〜100,000A/mとなるように制御される。また、電解液貯槽20内の硫酸溶液は、送液ポンプ23によって電解反応槽11aの陰極室aに送液する。
電解反応槽11aの陽極室aを通液する溶液は、硫酸イオンから過硫酸イオンが生成され、さらに、連結管110を介して電解反応槽11bの陽極室bに送液される。一方、電解反応槽11aにおける陰極室aを通液する電解液24は、電解反応に寄与した後、連結管111を通して電解反応槽11bの陰極室bに送液される。
電解反応槽11bにおいても陽極区間bでは同様に硫酸イオンから過硫酸イオンが生成され、より高濃度となった過硫酸溶液2が得られる。高濃度の過硫酸溶液2は、送り管5を通して洗浄槽1へと送液される。また、電解反応槽11bの陰極区間bで電解反応に寄与した電解液24は、電解液送り管23を通して電解液貯槽20に送液される。
洗浄槽1内では、高濃度の過硫酸溶液2によって前記実施形態と同様に半導体ウエハ30の洗浄がなされる。洗浄槽1内で、自己分解によって過硫酸濃度が次第に低下した過硫酸溶液2は、戻り管4、送液ポンプ6を通して電解反応槽11aの陽極区画a、電解反応槽11bの陽極区間bに送液されて電解され、再生される。また、上記戻り管4を移動する際に、電解反応槽11bで電解処理がなされて送り管5を移動する過硫酸溶液2との間で、熱交換器7において熱交換がなされ、それぞれ洗浄に適した温度と電解反応に適した温度に調整される。送り管5を移動する過硫酸溶液2は、洗浄槽1に送られ、その後、ヒータ3での加熱によって洗浄に最適な温度に温度調整される。この実施形態においても、硫酸溶液を繰り返し使用して過硫酸溶液2を再生しつつ効果的な洗浄を継続することができる。
以上、上記実施形態1、2に基づいて本発明の説明を行ったが、本発明は上記実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において変更が可能である。
次に、図1に示す硫酸リサイクル型洗浄システムを用いて、次の条件で洗浄処理を行った。
洗浄槽に、98%濃硫酸40l、超純水10lの割合で調整した高濃度硫酸溶液を収容し、130℃に加熱保持した。電解反応槽内には、直径15cm、厚さ1mmのSi基板にボロンドープ(ボロンドープ量:5,000ppm)した導電性ダイヤモンド電極を10枚組み込み、各電極間にはNafion膜を具備した槽を2槽直列に配列させた。電解のための有効電解面積は、全体で、30dmであり、電流密度を3,000A/mに設定して、40℃で電解した。電解反応槽出口水をサンプリングしたところ、過硫酸生成速度が3.5g/l/hrであることを確認した。洗浄槽には、レジスト付きの5インチのシリコンウエハを10分を浸漬サイクルとして60枚/サイクルで浸漬させて、レジスト溶解を行なった(TOC生成速度は0.07g/l/hr)。この溶解液を洗浄槽と電解反応槽との間で送液ポンプで1l/min(通液線速度は、80m/hr)の流量で循環させた。レジスト付きシリコンウエハを浸漬させた時点では洗浄槽内の溶液は茶褐色に着色し、TOC濃度は36mg/lであったが、10分弱の循環処理によって、洗浄槽内の溶液は無色透明となりTOC濃度も検出限界以下となった。このようなウエハ洗浄を8時間(洗浄ウエハ枚数は2,880枚)継続したが、高濃度硫酸溶液のレジスト剥離効果は良好であり、TOC濃度についても検出限界以下であった。そこで、さらに32時間(洗浄ウエハ枚数は11,520枚、総処理枚数は14,400枚)継続したが、高濃度硫酸溶液のレジスト剥離効果は良好であり、TOC濃度についても検出限界以下であった。隔膜を用いない場合に比べて、総処理枚数は1.2倍になった。
(比較例1)
洗浄槽に、98%濃硫酸40lを収容し、35%過酸化水素水10lを添加した溶液を130℃に加熱保持した。この溶液に実施例2と同様の浸漬サイクルでレジスト付きウエハを浸漬させて、レジスト溶解を行った。最初の6サイクル(洗浄ウエハ枚数は300枚)までは、ウエハ浸漬直後に溶液が茶褐色に着色したが、10分弱で無色透明となり、TOC濃度についても検出限界となった。しかし、次の50枚については、浸漬直後から10分経過しても溶液は茶褐色を呈したままで、TOC溝度として30mg/lの残存が認められた。そこで、洗浄槽内の溶液10lを引き抜きき、過酸化水素水10lを追加添加し、溶液を130℃に加熱保持した。再びウエハ浸漬を継続した。最初の2サイクル(洗浄ウエハ枚数は100枚)までは、ウエハ浸漬直後に溶液が茶褐色に着色するが、10分弱で無色透明となり、TOC濃度についても検出限界となった。しかし、次の50枚については、浸漬直後から10分経過しても溶液は茶褐色を呈したままで、TOC濃度として30mg/lの残存が認められた。再度、洗浄槽内の溶液10lを引き抜いて、過酸化水素水10lを追加添加した。ウエハ浸漬を継続したが、50枚のウエハを浸漬したところで、レジスト剥離溶解効果が悪く10分経過してもレジストがウエハに残存した。ウエハの総処理枚数は、400枚のところで、全体の溶液の交換が必要となった。
実施例1の条件で、洗浄槽における過硫酸溶液の温度を変えて、洗浄試験を行った。なお、他の条件は、実施例1と同様である。
その結果、洗浄液を90℃に加熱して行った洗浄例では、最初の1サイクルにおいてウエハ上のレジスト剥離速度が遅くウエハ上にレジストが残存し洗浄が十分になされなかった。一方、洗浄液を130℃に加熱して行った洗浄例(実施例2)では、レジスト剥離速度も速く、TOC生成速度(0.07g/l/hr)に対して十分な過硫酸生成速度(3.5g/l/hr)を確保できるため効果的な洗浄効果が得られた。また、洗浄液を160℃に加熱して行った洗浄例では、最初の1サイクルにおいてTOC生成速度(0.07g/l/hr)に対して十分な過硫酸生成速度(3.5g/l/hr)は確保できたが洗浄槽での過硫酸の自己分解速度が大きく、TOCを除去するのに十分な過硫酸が残存せず、溶液中にTOC濃度として30mg/l残存した。したがって、洗浄液の温度は100℃〜150℃が望ましいことが明らかである。
次に、実施例1の条件で、電解反応槽における溶液の温度を変えて洗浄試験を行った。なお、その他の試験条件は、実施例1と同様である。
その結果、電解反応槽を5℃とした例では、過硫酸生成速度が5g/l/hrとなりTOC生成速度0.07g/l/hrに対して十分な過硫酸量を確保できているが、洗浄温度は130℃であるため125℃分の加熱を行う必要があり、多大な熱エネルギー投入が必要であるばかりか、配管経路を長くとる必要があり、洗浄槽に到達する前に過硫酸の大部分が消費されてしまい、最初の1サイクルにおいて溶液中にTOC濃度が30mg/l残留した。一方、電解反応槽における溶液の温度を10℃、40℃、80℃、90℃とした例では過硫酸生成速度がそれぞれ、4.5g/l/hr、3.5g/l/hr、1.4g/l/hr、1.1g/l/hrとなり、効率よく過硫酸イオンが生成された。また、1,000時間の電解処理においても電極の損耗は見られなかった。一方、電解反応槽の溶液温度を100℃とした例では、過硫酸生成速度は0.3g/l/hrとなり、過硫酸イオンの生成が明らかに低下した。すなわち(過硫酸生成速度〔g/l/hr〕)/(TOC生成速度〔g/l/hr〕)<10となり十分な酸化分解効果が得られなかった。また、500時間の電解反応によって導電性ダイヤモンド層がSi基盤より剥離した。したがって、電解に供する溶液の温度は10〜90℃が望ましいことが明らかである。
次に、実施例1の条件で、電解反応槽における電流密度を変えることで過硫酸生成速度を変えて洗浄試験を行った。なおその他の試験条件は、実施例1と同様である。
その結果、表1のように電流密度が10〜100,000A/mの範囲においてTOC生成速度に対して十分な過硫酸生成速度が得られ、良好な洗浄効果が得られた。
Figure 2006228899
次に、実施例1の条件で、電解反応槽における通液線速度を変えることで過硫酸生成速度を変えて洗浄試験を行った。なおその他の試験条件は、実施例1と同様である。
その結果、表2のようになった。すなわち、通液線速度が0.3m/hrにおいては、電解セル内に気泡が溜まり電解操作が不可能であった。また、通液線速度を20,000m/hrとした場合では、熱交換器において配管経路が莫大となり装置設計ができなかった。通液線速度が1〜10,000m/hrの範囲においてTOC生成速度に対して十分な過硫酸生成速度が得られ、良好な洗浄効果が得られた。
Figure 2006228899
本発明の一実施形態におけるシステムを示す概略図である。 同じく電解反応装置の詳細図である。 本発明の他の実施形態におけるシステムを示す概略図である。
符号の説明
1 洗浄槽
2 過硫酸溶液
3 ヒータ
4 戻り管
5 送り管
6 送液ポンプ
7 熱交換器
10 電解反応装置
11、11a、11b 電解反応槽
12、12a、12b 陽極
13、13a、13b 陰極
14、14a、14b バイポーラ電極
16、16a、16b 隔膜
17、17a、17b 隔膜
20 電解液貯槽
21 電解液戻り管
22 送液ポンプ
23 電解液送り管
30 半導体ウエハ

Claims (12)

  1. 過硫酸溶液を洗浄液として被洗浄材を洗浄する洗浄装置と、電解反応により、溶液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液を再生する電解反応装置と、前記洗浄装置と電解反応装置との間で、前記過硫酸溶液を循環させる循環ラインとを備えており、前記電解反応装置は、該装置に備える陽極と陰極との間が隔膜で隔てられており、前記循環に際し前記陽極と前記隔膜との間で前記過硫酸溶液が通液され、前記隔膜と陰極との間に前記循環ラインとは独立して電解液が介在されることを特徴とする硫酸リサイクル型洗浄システム。
  2. 前記電解液が硫酸溶液であり、前記隔膜と陰極との間に通液されるものであることを特徴とする請求項1記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  3. 前記電解反応装置で電解される過硫酸溶液の温度を、前記洗浄液の温度よりも低く保持することを特徴とする請求項1または2に記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  4. 前記電解反応装置で電解される溶液の温度を10℃から90℃の範囲内とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  5. 前記循環ラインにおいて、前記電解反応装置からの相対的に低温な過硫酸溶液の送り液と、前記洗浄装置からの相対的に高温な過硫酸溶液の戻り液との間で熱交換を行う熱交換手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  6. 前記循環ラインにおける流路が石英またはテトラフルオロエチレン製からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  7. 前記洗浄によって被洗浄材から除去された除去物を分解する分解部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  8. 前記電解装置で電解される溶液は、硫酸濃度が8Mから18Mであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  9. 電解反応装置に備える電極のうち、少なくとも陽極が導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  10. 電解反応装置に備える導電性ダイヤモンド電極が、基板上に積層させた後に基板を取り去った自立型導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の洗浄システム。
  11. 前記被洗浄材が半導体基板であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
  12. 前記洗浄装置における洗浄による有機汚染物の全有機性炭素濃度(TOC)生成速度と、前記電解装置における過硫酸生成速度との比(過硫酸生成速度〔g/l/hr〕/(洗浄槽内TOC生成速度〔g/l/hr〕)が、10から500となるように電解制御されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の硫酸リサイクル型洗浄システム。
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