JP2006220637A - センサ装置 - Google Patents

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Kosaku Kitada
耕作 北田
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裕志 河田
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倫生 大塚
Kazuo Sawada
和男 澤田
Hiromichi Goto
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Abstract

【課題】従来のように送波素子として圧電素子を用いたセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】対象領域に疎密波を送波する送波素子1および疎密波が間欠的に送波されるように送波素子1を駆動する送波制御部たる駆動回路20を有する送波装置1と、物体Obで反射された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子30を有する受波装置3と、送波素子1が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子30に受波されるまでの時間に基づいて物体Obまでの距離および物体Obの存在する方位を求める検出部を構成する信号処理回路5とを備える。送波素子1は、残響成分が少ない疎密波を発生する熱励起式の音波発生素子により構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、物体までの距離や物体の存在する方位などの検出に用いられるセンサ装置に関するものである。
従来から、この種のセンサ装置として、例えば、超音波のような疎密波を送波素子を有する送波装置から媒質中へ間欠的に送波し物体による反射波を受波素子を有する受波装置により受波するまでの時間差に基づいて物体までの距離や物体の存在する方位を検出するセンサ装置(例えば、特許文献1参照)や、超音波のような疎密波を送波装置から媒質中へ間欠的に送波し受波装置により受波するまでの時間差に基づいて受波装置から送波装置までの距離や受波装置に対して送波装置の存在する方位を検出するセンサ装置などが知られている(例えば、特許文献2参照)。なお、上述のセンサ装置の応用装置としては、空気中で超音波を伝搬させるものとして、例えば、超音波液面計、車載用バックソナーなどが提供され、水中で超音波を伝搬させるものとして、例えば、ソナー、魚群探知機などが提供され、構造物中で超音波を伝搬させるものとして、例えば、超音波探傷装置、超音波CTなどが提供されている。
上記特許文献1に開示されたセンサ装置は、送波素子から送波された疎密波を受波する受波装置が一平面上に配列された複数個の受波素子を有しており、疎密波の到来方向(物体の存在する方位)と隣り合う受波素子において疎密波が到達する時刻の時間差とが関連することを利用して所望の方位に存在する物体を検出できるように構成されている。
上述のセンサ装置は、媒質中へ疎密波を送波可能な送波素子および受波した音波を電気信号である受波信号に変換する受波素子それぞれに、圧電素子が広く用いられている。ここにおいて、送波素子と受波素子との両方に圧電素子を用いたセンサ装置では、一般的に、送波する疎密波の音圧および受波素子における疎密波の受波感度を高くする目的で、送波素子から送波する疎密波の周波数を送波素子および受波素子の共振周波数近傍の周波数に設定している。
特開2002−156451号公報 特開2003−279640号公報
ところで、上述のセンサ装置では、送波素子から送波される疎密波に送波素子の共振による残響成分が含まれ、さらに、受波素子から出力される受波信号に受波素子の共振による残響成分が含まれる。
圧電素子は一般的に共振特性のQ値(共振の鋭さを表す値であり、機械的品質係数Qmと呼ばれている)が100よりも大きな値であり、圧電素子からなる送波素子を間欠的に駆動した場合、送波素子から発生する疎密波は図22に示すような振動波形となり、共振特性のQ値が大きいほど、振動波形の振幅が最大となるまでの時間T1および残響振動が収束するまでの時間(残響時間)T2が長くなって、疎密波を送波してから受波するまでの時間が短くなる。したがって、例えば、疎密波を送波してから受波するまでの時間に基づいて物体までの距離を検出するセンサ装置では、受波素子の近傍に位置する物体までの距離を検出することができなくなる。ここで、疎密波である音波の音速c〔m/s〕は、温度をt〔℃〕とすれば、c=331.5+0.6tであるから、例えば、音速cが340〔m/s〕であり(この場合、疎密波は1msで34cmだけ進む)、残響時間T2が2msであるとすれば、受波素子からの距離が34cm以下の位置に存在する物体までの距離の測定が不可能となる。要するに、上述のように送波素子として圧電素子を用いたセンサ装置では、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯が長く、受波素子との間の距離が比較的近い物体までの距離を検出することができない。一方、疎密波を送波してから受波するまでの時間に基づいて受波装置と送波装置との間の距離を検出するセンサ装置においても、受波装置と送波装置との間の距離が近くなると残響時間の影響で距離を検出できなくなってしまう。
また、上述のように送波素子および受波素子に圧電素子を用い物体までの距離を検出するセンサ装置では、当該センサ装置との間の距離の差が比較的小さい2つの物体が存在する場合、一方の物体により反射された疎密波が受波素子で受波されて受波信号が発生している間に、当該受波素子へ他方の物体により反射された疎密波が到達してしまうと2つの物体の識別が困難になる可能性がある。要するに、上述のセンサ装置では、送波素子から送波される疎密波における残響成分および受波素子から出力される受波信号における残響成分に起因した不感帯が長く、対象領域に複数の物体が存在しセンサ装置からの距離の差が比較的小さい場合に物体それぞれまでの距離を検出することが困難になる可能性があり、角度分解能を改善したいという要望がある。なお、上述のセンサ装置に用いる送波素子および受波素子は共振特性のQ値が大きくなるほど角度分解能が悪化する。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来のように送波素子として圧電素子を用いたセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができるセンサ装置を提供することにある。
請求項1の発明は、対象領域に疎密波を送波する送波素子および疎密波が間欠的に送波されるように送波素子を駆動する送波制御部を有する送波装置と、送波素子から送波され対象領域内に存在する物体で反射された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて前記物体までの距離と前記物体の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、残響成分が少ない疎密波を発生するものであることを特徴とする。
この発明によれば、送波素子から残響成分の少ない疎密波を送波することができるので、送波素子から送波される疎密波の残響時間が従来の圧電素子を用いた送波素子から送波される疎密波の残響時間に比べて短くなり、従来のように送波素子として圧電素子を用い物体までの距離と物体の存在する方位との少なくとも一方を検出するセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができ、従来に比べてセンサ装置からの距離差の小さな複数の物体の識別が可能となる。
請求項2の発明は、対象領域に疎密波を送波する送波素子および疎密波が間欠的に送波されるように送波素子を駆動する送波制御部を有する送波装置と、送波素子から送波され対象領域内に存在する物体で反射された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて前記物体までの距離と前記物体の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、共振の鋭さを表す値であるQ値が10以下であることを特徴とする。
この発明によれば、送波素子の共振の鋭さを表す値であるQ値が10以下であり圧電素子のQ値に比べて小さいので、送波素子から送波される疎密波の残響時間が従来の圧電素子を用いた送波素子から送波される疎密波の残響時間に比べて短くなり、従来のように送波素子として圧電素子を用い物体までの距離と物体の存在する方位との少なくとも一方を検出するセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができ、従来に比べてセンサ装置からの距離差の小さな複数の物体の識別が可能となる。
請求項3の発明は、疎密波を送波可能な送波素子および送波素子を駆動する駆動回路を有する送波装置と、送波素子から送波された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、残響成分が少ない疎密波を発生するものであることを特徴とする。
この発明によれば、送波素子から残響の少ない疎密波を送波することができるので、送波素子から送波される疎密波の残響時間が従来の圧電素子を用いた送波素子から送波される疎密波の残響時間に比べて短くなり、従来のように送波素子として圧電素子を用い受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位との少なくとも一方を検出するセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができる。
請求項4の発明は、疎密波を送波可能な送波素子および送波素子を駆動する駆動回路を有する送波装置と、送波素子から送波された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、共振の鋭さを表す値であるQ値が10以下であることを特徴とする。
この発明によれば、送波素子の共振の鋭さを表す値であるQ値が10以下であり圧電素子のQ値に比べて小さいので、送波素子から送波される疎密波の残響時間が従来の圧電素子を用いた送波素子から送波される疎密波の残響時間に比べて短くなり、従来のように送波素子として圧電素子を用い受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位との少なくとも一方を検出するセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記受波装置が前記受波素子を複数個備えるとともに前記各受波素子が一平面上に配列され、前記検出部は、前記各受波素子の受波信号をそれぞれ規定した遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、遅延手段により遅延されたすべての受波信号のタイミングが重なるときの遅延時間の組み合わせに対応する方位を前記受波装置に対する疎密波の到来方向とする判断手段とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、前記受波装置に対する疎密波の到来方向を特定することができる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記送波素子が疎密波を送波した後の所定の受波期間のみ前記受波素子から出力される受波信号を前記検出部に対して有効にする受波タイミング制御部を備えることを特徴とする。
この発明によれば、受波期間のみ前記受波素子から出力される受波信号が前記検出部に対して有効となり、受波期間以外に前記受波素子から出力される受波信号が前記検出部に対して無効となるので、外来ノイズや多重反射などのノイズが前記検出部へ与える影響を低減することができる。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記送波素子は、前記送波制御部に電気的に接続され通電時に発熱する発熱部を有し、発熱部への通電に伴う発熱部の温度変化によって発熱部に接触している媒質を膨張収縮させることで疎密波を発生することを特徴とする。
この発明によれば、前記送波素子が発熱部への通電に伴う発熱部の温度変化によって発熱部に接触している媒質を膨張収縮させることで疎密波を発生するので、圧電素子のように機械的振動により疎密波を発生する場合に比べて、残響時間を大幅に低減できる。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記送波素子は、前記受波素子と同一の基板に形成され、当該基板の一表面側に形成した熱絶縁層に前記発熱部が積層されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記送波素子が前記受波素子と同一の基板に形成されているので、前記送波素子と前記受波素子とを別々の基板に形成する場合に比べて、部品点数の削減による低コスト化が図れるという利点があり、また、前記送波素子は基板の一表面側に形成した熱絶縁層に前記発熱部が積層されているので、前記送波素子から発生期間が短く且つ残響時間の短い疎密波を送波することができる。
請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明において、前記送波制御部は、前記送波素子から単発の疎密波が送波されるように前記送波素子へ単発のパルス電流を流すことを特徴とする。
この発明によれば、前記送波素子から送波される疎密波にサイドローブが形成されるのを防止することができ、角度分解能を高めることが可能となる。
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記送波素子は、エアギャップを介して対向する一対の電極を有し、両電極間に所定電圧を印加して火花放電を生じさせることにより疎密波を発生することを特徴とする。
この発明によれば、前記送波素子から発生期間が短く且つ残響時間の短い疎密波を送波することができる。
請求項11の発明は、請求項1または請求項3の発明において、前記送波素子は、圧電素子を有しピエゾ効果により振動する振動板と、振動板の周部に設けられ振動板の共振周波数を送波する疎密波の周波数から外れた周波数帯域に設定する慣性質量体とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、前記送波素子が圧電素子のピエゾ効果により疎密波を発生するので、比較的低い消費電力で疎密波を発生することができる。
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項11の発明において、前記受波素子は、前記送波素子から送波される疎密波の周波数に共振周波数を持たないことを特徴とする。
この発明によれば、従来のように受波素子として圧電素子を用いている場合に比べて、前記受波素子から出力される受波信号における残響成分を低減することができ、前記受波素子から出力される受波信号における残響成分に起因した不感帯を短くすることができる。
請求項1,2の発明では、従来のように送波素子として圧電素子を用い物体までの距離と物体の存在する方位との少なくとも一方を検出するセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができ、従来に比べてセンサ装置からの距離差の小さな複数の物体の識別が可能となるという効果がある。
請求項3,4の発明では、従来のように送波素子として圧電素子を用い受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位との少なくとも一方を検出するセンサ装置に比べて、送波素子から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態では、空気中で使用し、物体の3次元的な位置を求めるために物体までの距離と物体の存在する方位との両方を検出するセンサ装置について例示する。
本実施形態のセンサ装置は、図1に示すように、対象領域に疎密波を間欠的に送波する送波装置1と、対象領域内に存在する物体Obによる反射波を受波する受波装置3と、受波装置3の出力を信号処理する信号処理回路5とを備え、送波装置1による疎密波の送波から受波装置3により疎密波が受波されるまでの時間差に基づいて物体Obまでの距離および物体Obの存在する方位を求めるように構成されている。
送波装置1は、疎密波を送波可能な送波素子10と、送波素子10から疎密波が間欠的に送波されるように送波素子10を駆動する送波制御部たる駆動回路20とを備えている。なお、駆動回路20は、送波素子10から疎密波を間欠的に送波するタイミングを制御する送波タイミング制御部を有している。
一方、受波装置3は、送波素子10から送波され物体Obで反射された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する複数の受波素子30を有している。本実施形態のセンサ装置では、物体Obまでの距離だけでなく物体Obの存在する方位も測定できるように、10個の受波素子30を1枚の回路基板の一平面上に配列してある。具体的には、回路基板の1辺に沿った方向に5個の受波素子30を所定ピッチで配列するとともに、上記1辺に直交する方向に5個の受波素子30を所定ピッチで配列してある。なお、説明を簡単にするために、受波素子30が同一平面上において上記1辺に沿った方向のみに所定ピッチで配列されているとし、受波素子30が配列された面に対する疎密波の波面の角度がθである場合を想定すると、図2に示すように、疎密波の到来方向(すなわち、受波装置3に対して物体Obの存在する方位角)はθになり、疎密波の音速をc、疎密波の波面が隣り合う受波素子30のうちの一方の受波素子30に到達する時刻における疎密波の波面と他方の受波素子30の中心との間の距離(遅延距離)をd、隣り合う受波素子30の中心間距離(上記所定ピッチ)をLとすれば、疎密波の波面が隣り合う受波素子30間に到達する時間差Δtは、Δt=d/c=L・sinθ/cになる。したがって、時間差Δtが分かれば、物体Obの存在する方位を演算することができる。ここにおいて、上記所定ピッチは、送波素子10から送波する音波の波長の0.5倍程度に設定することが望ましい。
信号処理回路5は、各受波素子30から出力された受波信号をそれぞれ増幅する複数のアンプ51aを有する信号増幅部51と、各アンプ51aにて増幅されたアナログの受波信号それぞれをディジタルの受波信号に変換して出力するA/D変換部52と、A/D変換部52の出力が格納されるメモリ53と、上記送波タイミング制御部から疎密波の送波タイミングを制御する制御信号に同期して出力されるタイミング信号を受けたときにA/D変換部52を所定の受波期間だけ作動させメモリ53に格納された受波信号のデータを用いて物体Obまでの距離を求める演算および物体Obの存在する方位を求める演算を行うマイクロコンピュータからなる演算部54とを備えている。
本実施形態では、信号処理回路5が、送波素子10が疎密波を送波してから当該疎密波が物体Obで反射されて受波素子30に受波されるまでの時間に基づいて前記物体までの距離と前記物体の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部を構成している。また、本実施形態では、A/D変換部52が、送波素子10が疎密波を送波した後の所定の受波期間のみ受波素子30から出力される受波信号を検出部に対して有効にする受波タイミング制御部としての機能を有しているが、受波タイミング制御部は、A/D変換部52とは別に受波素子30とメモリ53との間に設けられて受波期間以外の受波信号を無効にするものであってもよい。また、本実施形態では、受波素子30として後述の静電容量型のマイクロホンを用いているので、受波素子30が受波期間にのみ疎密波を受波信号に変換して変換して出力するように、受波素子30が送波タイミング制御部からのタイミング信号を受けて動作するように構成してもよい。本実施形態では、上述の受波タイミング制御部を有していることにより、受波期間のみ各受波素子30から出力される受波信号が上記検出部に対して有効となり、受波期間以外に各受波素子30から出力される受波信号が上記検出部に対して無効となるので、外来ノイズや多重反射などのノイズが上記検出部へ与える影響を低減することができる。
演算部54は、上記タイミング信号を受けた時刻(つまり、送波素子10から疎密波を送波したタイミング)と、ディジタルの受波信号がメモリ53に格納された時刻(信号処理回路5内での遅れ時間を無視すれば、受波素子30により疎密波を受波したタイミング)との時間差(言い換えれば、送波装置1が疎密波を送波してから受波装置3が疎密波を受波するまでの時間)に基づいて、物体Obまでの距離を演算する距離演算手段と、メモリ53に格納された各受波素子30の受波信号のデータを利用して物体Obの存在する方位(物体Obにより反射された疎密波の到来方向)を求める方位検出手段とを備えている。ここにおいて、方位検出手段は、各受波素子30で疎密波を受波した時間の時間差と各受波素子30の配置位置とに基づいて受波装置3に対する疎密波の到来方向を求める。
なお、本実施形態のセンサ装置は、最大測定距離を例えば5mとすれば、疎密波は空気中において最大で10mの距離を伝搬すればよいが、送波素子10から送波された疎密波は発散損失(距離減衰)や吸収損失や反射損失などの伝搬損失により減衰し、各受波素子30それぞれから出力される受波信号が100〜800μV程度の微小な電圧なので、各アンプ51aの増幅利得(電圧利得)を40dB〜60dBに設定することでS/N比の低下を防止している。また、上述のように最大測定距離を5mとすれば、疎密波が空気中で10mの距離を伝搬するのに要する時間は30ms程度であるから、上述の受波期間は30ms程度に設定すればよい。また、メモリ53には、受波期間における各受波素子30それぞれの受波信号が格納される、言い換えれば、メモリ53には、〔受波素子30の個数〕×〔各受波素子30からの受波信号のデータ数〕の数だけデータが格納されることになるので、例えば、受波素子30の個数を10個、受波期間を30ms、A/D変換部52のサンプリング周期を1μs(サンプリング周波数を1MHz)とした場合には、1データを16bitとして、10×{(30×10−3)÷(1×10−6)×16}=4800000bit=600kbyteの容量が必要となるから、600kbyte以上の容量のSRAMなどを使用すればよい。
上述の方位検出手段は、メモリ53に格納された各受波素子30それぞれの受波信号をそれぞれ各受波素子30の配列パターン(配置位置)に応じた遅延時間で遅延させた受波信号を組にして出力する遅延手段と、遅延手段により遅延された受波信号の組を加算する加算器と、加算器の出力波形のピーク値と適宜の閾値との大小関係を比較し閾値を超えるピーク値が得られたときに遅延手段で設定されている遅延時間の組み合わせに対応する方向を物体Obの存在する方位(疎密波の到来方向)と判断する判断手段とを備えている。要するに、判断手段は、加算器の出力波形のピーク値が閾値を超えているとき、言い換えれば遅延手段により遅延されたすべての受波信号のタイミングが重なる(受波信号の時刻が一致する)ときの遅延時間の組み合わせに対応する方位を受波装置3に対する疎密波の到来方向(物体Obの存在する方位)とするように構成されている。なお、演算部54の距離演算手段および方位検出手段は、上記マイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現できる。
方位検出手段での処理について、図3(a)に示すように、対象領域内に2つの物体Ob1,Ob2が存在し、受波装置3の各受波素子30へ2つの方位から疎密波が到来する場合について例示する。ただし、図3(a)では、説明を簡単にするために、受波装置3が4個の受波素子30を有し当該4個の受波素子30が同一平面上において1次元的に等間隔で配列されている場合を示してある。
図3の(b)は物体Ob2の存在する方位に対応する各受波素子30の遅延時間の組み合わせを示し(四角の横辺の長さが遅延時間の長さに対応している)、同図の(c)は(b)の遅延時間で遅延された受波素子30の受波信号の組を示し、同図の(d)は(c)の受波信号の組を加算した出力波形を示している。また、図3の(e)は物体Ob1の存在する方位に対応する各受波素子30の遅延時間の組み合わせを示し(四角の横辺の長さが遅延時間の長さに対応している)、同図の(f)は(e)の遅延時間で遅延された受波素子30の受波信号の組を示し、同図の(g)は(f)の受波信号の組みを加算した出力波形を示している。図3から分かるように、物体Ob1,Ob2の存在する方位によって遅延時間の組み合わせが相違しており、判断手段により各物体Ob1,Ob2それぞれの存在する方位を判断することができる。
ここで、送波素子10から送波される疎密波における残響時間が従来のように圧電素子よりなる送波素子から送波される疎密波と同様に長い場合には、上述の受波信号の組を加算した出力波形の発生期間が長くなり、物体Ob1、Ob2の識別が困難になる可能性がある。これに対して、本実施形態では、送波素子10として、空気に熱衝撃を与えることにより疎密波を発生させる熱励起式の音波発生素子を用いることで、送波素子10の共振特性のQ値を圧電素子に比べて十分に小さくして残響時間が短い疎密波を送波するようにし、かつ、受波素子30として共振特性のQ値が圧電素子に比べて十分に小さく受波信号に含まれる残響成分の発生期間が短い静電容量型のマイクロホンを用いている。
送波素子10は、図4に示すように、単結晶のp形のシリコン基板からなるベース基板11の一表面(図4における上面)側に多孔質シリコン層からなる熱絶縁層(断熱層)12が形成され、熱絶縁層12上に発熱部として金属薄膜からなる発熱体層13が形成され、ベース基板11の上記一表面側に発熱体層13と電気的に接続された一対のパッド14,14が形成された熱励起式の音波発生素子により構成してある。なお、ベース基板11の平面形状は長方形状であって、熱絶縁層12、発熱体層13それぞれの平面形状も長方形状に形成してある。
上述の送波素子10では、発熱体層13の両端のパッド14,14間に通電して発熱体層13に急激な温度変化を生じさせると、発熱体層13に接触している空気(媒質)に急激な温度変化(熱衝撃)が生じる(つまり、発熱体層13に接触している空気に熱衝撃が与えられる)。したがって、発熱体層13に接触している空気は、発熱体層13の温度上昇時には膨張し発熱体層13の温度下降時には収縮するから、発熱体層13への通電を適宜に制御することによって空気中を伝搬する疎密波を発生させることができる。要するに、送波素子10を構成する熱励起式の音波発生素子は、発熱体層13への通電に伴う発熱体層13の急激な温度変化を媒質の膨張収縮に変換することにより媒質を伝搬する疎密波を発生するので、圧電素子のように機械的振動により疎密波を発生する場合に比べて、残響時間を低減できる(言い換えれば、送波素子10から送波される疎密波における残響成分を少なくできる)。なお、圧電素子を用いた送波素子から送波される疎密波では残響時間が0.5ms程度であるのに対して、熱励起式の音波発生素子を用いた送波素子10から送波される疎密波は残響時間を0.05ms程度に抑えることができる。疎密波(音波)が空気中で1msの間に34cm進むものとし、疎密波における残響時間が0.5msであるとすれば、センサ装置1からの往復距離の距離差が17cm以下である2つの物体を識別することすら困難であるが、本実施形態では、疎密波における残響時間を0.05msとすれば、センサ装置1からの往復距離の距離差が例えば2cmしか異ならない2つの物体であっても容易に識別することができる。
上述の送波素子10は、ベース基板11としてp形のシリコン基板を用いており、熱絶縁層12を多孔度が略60〜略70%の多孔質シリコン層により構成しているので、ベース基板11として用いるシリコン基板の一部をフッ化水素水溶液とエタノールとの混合液からなる電解液中で陽極酸化処理することにより熱絶縁層12となる多孔質シリコン層を形成することができる(ここで、陽極酸化処理により形成された多孔質シリコン層は、結晶粒径がナノメータオーダの微結晶シリコンからなるナノ結晶シリコンを多数含んでいる)。多孔質シリコン層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率および熱容量が小さくなるので、熱絶縁層12の熱伝導度および熱容量をベース基板11の熱伝導度および熱容量に比べて小さくし、熱絶縁層12の熱伝導度と熱容量との積をベース基板11の熱伝導度と熱容量との積に比べて十分に小さくすることにより、発熱体層13の温度変化を空気に効率よく伝達することができ発熱体層13と空気との間で効率的な熱交換が起こり、かつ、ベース基板11が熱絶縁層12からの熱を効率良く受け取って熱絶縁層12の熱を逃がすことができて発熱体層13からの熱が熱絶縁層12に蓄積されるのを防止することができる。なお、熱伝導率が148W/(m・K)、熱容量が1.63×10J/(m・K)の単結晶のシリコン基板を陽極酸化して形成される多孔度が60%の多孔質シリコン層は、熱伝導率が1W/(m・K)、熱容量が0.7×10J/(m・K)であることが知られている。本実施形態では、上述のように熱絶縁層12を多孔度が略70%の多孔質シリコン層により構成してあり、熱絶縁層12の熱伝導率が0.12W/(m・K)、熱容量が0.5×10J/(m・K)となっている。
発熱体層13は、高融点金属の一種であるタングステンにより形成してあるが、発熱体層13の材料はタングステンに限らず、例えば、タンタル、モリブデン、イリジウム、アルミニウムなどを採用してもよい。また、上述の送波素子10では、ベース基板11の厚さを300〜700μm、熱絶縁層12の厚さを1〜10μm、発熱体層13の厚さを20〜100nm、各パッド14の厚さを0.5μmとしてあるが、これらの厚さは一例であって特に限定するものではない。また、ベース基板11の材料としてSiを採用しているが、ベース基板11の材料はSiに限らず、例えば、Ge,SiC,GaP,GaAs,InPなどの陽極酸化処理による多孔質化が可能な他の半導体材料でもよい。
上述のように送波素子10は、一対のパッド14,14を介した発熱体層13への通電に伴う発熱体層13の温度変化に伴って疎密波を発生するものであり、発熱体層13へ与える駆動電圧波形あるいは駆動電流波形からなる駆動入力波形を例えば周波数がf1の正弦波波形とした場合、理想的には、発熱体層13で生じる温度振動の周波数が駆動入力波形の周波数f1の2倍の周波数f2となり、駆動入力波形f1の略2倍の周波数の疎密波を発生させることができる。すなわち、上述の送波素子10は、平坦な周波数特性を有しており、発生させる疎密波の周波数を広範囲にわたって変化させることができる。また、上述の送波素子10では、例えば正弦波波形の半周期の孤立波を駆動入力波形として駆動回路20から一対のパッド14,14間へ与えることによって、残響の少ない略1周期の疎密波を発生させることができる。本実施形態では、略1周期の疎密波を発生させる場合、当該疎密波の1周期の時間を50kHz〜70kHz程度の超音波の1周期の時間に設定してあるが、この数値は特に限定するものではない。
また、上述の送波素子10では、一対のパッド14,14を介して発熱体層13へ与える駆動電流の波形を図5(a)に示すようなガウス波形状の電流波形とした場合、同図(b)に示すようなガウス波形状の疎密波を送波することができる。要するに、駆動回路20が送波素子10へ単発のパルス電流を流すことにより、送波素子10から単発の疎密波を送波させることができ、送波素子10から送波される疎密波にサイドローブが形成されるのを防止することができるから、角度分解能を高めることが可能となる。
ここにおいて、送波素子10から図5(b)に示すようなガウス波形状の疎密波(ここでは、当該疎密波の発生期間を50kHz〜70kHz程度の超音波の1周期の時間に設定してある)を送波させるには、駆動回路20として、例えば図6に示す回路を採用すればよい。図6に示す構成の駆動回路20は、直流電源Eの両端間にスイッチSWを介してコンデンサCが接続され、コンデンサCの両端間にサイリスタThとインダクタLと抵抗R1と保護用抵抗R2との直列回路が接続され、保護用抵抗R2の両端間に送波素子10を接続するように構成されている。また、駆動回路20は、上述のように送波素子10から音波を送波させるタイミングを制御する上述の送波タイミング制御部(図示せず)を有しており、送波タイミング制御部によってスイッチSWのオンオフが制御されるとともにサイリスタThへ制御信号を与えるタイミングが制御される。ここにおいて、駆動回路20では、スイッチSWのオン期間にコンデンサCが充電されるが、タイミング制御部は、コンデンサCの両端電圧を検出しており、コンデンサCの両端電圧が所定のしきい値を超えるとスイッチSWをオフさせてからサイリスタThのゲートへ制御信号を与える。すなわち、図6に示す構成の駆動回路20では、直流電源EからコンデンサCに電荷を蓄積し、コンデンサCの両端電圧が所定のしきい値を超えると、送波タイミング制御部からサイリスタThへ制御信号が与えられてサイリスタThがターンオンし、送波素子10のパッド14,14間に電圧が印加されて発熱体層13の温度変化に伴って疎密波が送波される。ここに、インダクタLのインダクタンスおよび抵抗R1の抵抗値を適宜設定することにより、図5(a)に示すようなガウス波形状の駆動電圧波形を送波素子10のパッド14,14間へ印加することができる。
また、上述の受波素子30を構成する静電容量型のマイクロホンは、マイクロマシンニング技術を利用して形成されており、例えば、図7に示すように、シリコン基板に厚み方向に貫通する窓孔31aを設けることで形成された矩形枠状のフレーム31と、フレーム31の一表面側においてフレーム31の対向する2つの辺に跨る形で配置されるカンチレバー型の受圧部32とを備えている。ここにおいて、フレーム31の一表面側には熱酸化膜35と熱酸化膜35を覆うシリコン酸化膜36とシリコン酸化膜36を覆うシリコン窒化膜37とが形成されており、受圧部32の一端部がシリコン窒化膜37とを介してフレーム31に支持され、他端部が上記シリコン基板の厚み方向においてシリコン窒化膜37に対向している。また、シリコン窒化膜37における受圧部32の他端部との対向面に金属薄膜(例えば、クロム膜など)からなる固定電極33aが形成され、受圧部32の他端部におけるシリコン窒化膜37との対向面とは反対側に金属薄膜(例えば、クロム膜など)からなる可動電極33bが形成されている。なお、フレーム31の他表面にはシリコン窒化膜38が形成されている。また、受圧部32は、上記各シリコン窒化膜37,38とは別工程で形成されるシリコン窒化膜により構成されている。
図7に示した構成の静電容量型のマイクロホンからなる受波素子30では、固定電極33aと可動電極33bとを電極とするコンデンサが形成されるから、受圧部32が疎密波の圧力を受けることにより固定電極33aと可動電極33bとの間の距離が変化し、固定電極33aと可動電極33bとの間の静電容量が変化する。したがって、固定電極33aおよび可動電極33bに設けたパッド(図示せず)間に直流バイアス電圧を印加しておけば、パッドの間には疎密波の音圧に応じて微小な電圧変化が生じるから、疎密波の音圧を電気信号に変化することができる。
受波素子30として用いる静電容量型のマイクロホンの構造は図7の構造に特に限定するものではなく、例えば、図8に示すように、シリコン基板141の一表面側に、中央部が周部に比べて薄肉である第1のダイアフラム部145を有するシリコン層が設けられ、シリコン基板141の他表面に凹所142を設けることによりシリコン基板141の中央部に第1のダイアフラム部145とギャップ144を介して対向する第2のダイアフラム部143が形成された構造体において、第1のダイヤフラム部145に可動電極146を設けるとともに第2のダイアフラム部143に固定電極(図示せず)を設けた構造としてもよい。また、受波素子30として用いる静電容量型のマイクロホンとしては、シリコン基板などをマイクロマシンニング技術などにより加工して形成され、疎密波を受けるダイヤフラム部からなる可動電極と、ダイヤフラム部に対向する背板部からなる固定電極との間に、疎密波を受けていない状態でのダイヤフラム部と背板部とのギャップ長を規定するスペーサ部が介在し、背板部に複数の排気孔が貫設された構造を有するものでもよい。上述のように、受波素子30としての静電容量型のマイクロホンをシリコン基板に形成する場合には、上述の送波素子10を受波素子30と同一の基板(つまり、シリコン基板)に形成することが可能であり、送波素子10と各受波素子30とを同一の基板に形成するようにすれば、送波素子10と各受波素子30とを別々の基板に形成する場合に比べて、部品点数の削減による低コスト化が図れる。
ところで、図4に示した熱励起式の音波発生素子からなる送波素子10は共振特性のQ値が1程度であり、図7に示した静電容量型のマイクロホンからなる受波素子30の共振特性のQ値は3〜4程度であり、圧電素子に比べてQ値が十分に小さく、従来のように送波素子および受波素子に圧電素子を用いている場合に比べて、角度分解能を改善することができる。共振特性のQ値と角度分解能との関係を図9に示す。図9から分かるように、上述の送波素子10の角度分解能は5°程度、上述の受波素子30の角度分解能は9〜10°程度である。なお、送波素子10および受波素子30それぞれの共振特性のQ値はいずれも10以下が望ましく、いずれも5以下がより望ましい。
以上説明したように、本実施形態のセンサ装置は、送波素子10が空気に熱衝撃を与えることにより疎密波を発生させる音波発生素子により構成されているので、送波素子10の共振特性のQ値が圧電素子の共振特性のQ値に比べて小さく、従来のように送波素子として圧電素子を用いている場合に比べて、送波する疎密波の残響時間を短くできる。言い換えれば、従来に比べて送波素子10から送波する疎密波に含まれる残響成分が少なく、残響成分の発生期間を従来に比べて短くできる。また、受波素子30が疎密波の音圧を静電容量の変化に変換する静電容量型のマイクロホンにより構成されているので、受波素子の共振特性のQ値が圧電素子の共振特性のQ値に比べて小さく疎密波の周波数に共振周波数を持たず、従来のように受波素子として圧電素子を用いている場合に比べて、受波信号における残響時間を短くできる。言い換えれば、受波素子30の受波信号に含まれる残響成分の発生期間を従来に比べて短くできる。
しかして、本実施形態のセンサ装置では、従来のように送波素子および受波素子として圧電素子を用い物体までの距離と物体の存在する方位とを検出するセンサ装置に比べて、送波素子10から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯および受波素子30から出力される受波信号における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができ、従来に比べてセンサ装置からの距離差の小さな複数の物体の識別が可能となり、且つ、物体Obの存在する方位の検出精度が向上する。ここに、上述の受波装置3では、10個の受波素子30が一平面上に配列されているが、当該一平面に直交する方向に対して角度が0°のときの強度を0dBとすると、角度が5°のときの強度は−3dB程度であり、比較的鋭い指向性を有している。
なお、上述の信号処理回路5が、受波素子30の受波信号の立ち上がるタイミングを利用して疎密波の送受波に要する時間を求めるようにすれば、受波素子30の受波信号における残響成分を無視できるので、物体Obまでの距離および物体Obの存在する方位の検出精度をより一層向上できる。
(実施形態2)
本実施形態の音波センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図10に示すように、送波装置1を構成する送波素子10および駆動回路20の構成が相違し、他の構成は実施形態1と同じなので図示および説明を省略する。
本実施形態における送波素子10は、熱衝撃により疎密波を発生する音波発生素子であって、空気中で対向する一対の電極19,19を有し(両電極19,19間にはエアギャップが形成されている)、両電極19,19間に所定電圧を印加して火花放電を生じさせることにより空気に熱衝撃を与えることで疎密波を発生させる。この送波素子10における共振特性のQ値は2程度である。したがって、本実施形態の送波素子10でも、送波素子10から発生期間が短く且つ残響時間の短い疎密波を送波することができる。なお、上述のように火花放電の熱衝撃により疎密波を発生する音波発生素子では、両電極19,19が対向する方向に直交する平面上において無指向性の疎密波を発生することができる。また、火花放電によって生じる疎密波は比較的広帯域(100kHzまで)の周波数成分を含んでいる。
送波素子10を駆動する駆動回路20は、直流電源E1の両端間に充電用スイッチSW1を介してコンデンサC1が接続され、コンデンサC1の両端間に放電用スイッチSW2を介して送波素子10を接続するように構成されている。また、駆動回路20は、実施形態1と同様に送波素子10から音波を送波させるタイミングを制御する送波タイミング制御部(図示せず)を有しており、送波タイミング制御部によって各スイッチSW1,SW2のオンオフが制御される。ここにおいて、駆動回路20では、充電用スイッチSW1と放電用スイッチSW2とを同時にオンさせることはなく、充電用スイッチSW1のオン期間にコンデンサC1が充電されるが、送波タイミング制御部は、コンデンサC1の両端電圧を検出しており、コンデンサC1の両端電圧が所定のしきい値(例えば、送波素子10の両電極19,19間に火花放電が発生する火花電圧)を超えると充電用スイッチSW1をオフさせてから放電用スイッチSW2をオンさせる制御信号を放電用スイッチSW2へ与える。すなわち、図10に示す構成の駆動回路20では、直流電源E1からコンデンサC1に電荷を蓄積し、コンデンサC1の両端電圧が所定のしきい値を超えると、送波タイミング制御部から放電用スイッチSW2へ制御信号が与えられて放電用スイッチSW2がオンし、送波素子10の両電極19,19間に火花電圧以上の電圧が印加されて火花放電を生じる。この電極19、19間の火花放電により両電極19,19周囲の空気に熱衝撃が与えられて空気が膨張収縮することで疎密波を発生する。
(実施形態3)
本実施形態のセンサ装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、送波素子10として、図11に示すように、円形状の金属板120の両面に互いに分極方向の異なる圧電体からなるバイモルフ層121a,121bが積層された振動板122の周部に弾性材料からなる一対の慣性質量体127を設けたスピーカを用いている点が相違する。ここにおいて、一対のバイモルフ層121a,121bにより圧電素子を構成している。
本実施形態における送波素子10は、上述の振動板122と、振動板122に平行となるように対向配置される音響振動板123とを備えており、振動板122の中央部が、振動板122に平行な断面が円環状である中空のホーン124を介して音響振動板123に連結されている。ホーン124において振動板122と音響振動板123との間に介在する部位は、音響振動板123に近づく程広がる形状に形成されている。また、ホーン124において音響振動板123の端部とは反対側の端部はエンドキャップ125により閉塞されている。ホーン124と振動板122との連結部位は、振動板122を厚み方向に挟み込む振動伝達部材126によって固定されている。
ところで、慣性質量体127は、振動板122における音響振動板123との対向面とは反対側の一面の周部に設けられている。慣性質量体127は、振動板122の共振周波数を疎密波の周波数からずらすものであって、振動板122の周方向に離間し且つホーン124を挟むように配置されている。なお、慣性質量体27の材料としては、例えば、合成ゴムや天然ゴム、低密度ポリエチレンや軟質ポリ塩化ビニル(例えば、エラストマなど)、などを採用すればよい。
以下に、本実施形態における送波素子10の動作を説明する。駆動回路20から送波素子10のバイモルフ層21a,21b間に駆動電圧が印加されると、ピエゾ効果により振動板22が図11の上下方向に湾曲を繰り返す(図11において上に凸となる形で湾曲する状態と下に凸となる形で湾曲する状態とを繰り返す)。このとき、慣性質量体127は元の位置に停止し続けようとするので、振動板122の中央部が図11の上下方向に振動し、この振動板122の中央部の振動がホーン124を介して音響振動板123に伝達されて音響振動板123を振動させる。ここで、音響振動板123が振動することにより、音響振動板123に接する媒質(ここでは、空気)中に疎密波を送波する。本実施形態では、振動板122を60kHzの周波数で振動させて60kHzの疎密波を発生させるが、慣性質量体127によって振動板122の共振周波数を疎密波の周波数からずらしてあるので、振動板122の共振による振動を防止でき、周波数に依存しないフラットな音圧レベルを確保することができ、しかも、比較的低い消費電力で疎密波を発生することができる。
なお、本実施形態のように疎密波の周波数から外れた周波数帯域に共振周波数を持つ送波素子10を用いる他にも、共振周波数で振動しても共振による残響成分が少ないQ値(例えば、Q値が10以下)の送波素子を用いることによって、送波素子から送波される疎密波の残響成分を少なくしてもよい。
(実施形態4)
本実施形態のセンサ装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、受波素子30の構造が相違する。本実施形態における受波素子30は、図示していないが、シリコン基板の一表面に凹所を設けることによりダイアフラム状の受圧部を形成した構造体を有し、一部に白金の電極が形成されたPZTなどの圧電素子層を受圧部に積層してある。このような構成の受波素子30では、ダイアフラムが疎密波を受けたときにピエゾ効果により発生する微小な電圧を受波信号として出力する。
本実施形態のセンサ装置では、受波素子30に圧電素子を用いているが、実施形態1と同様に、共振による残響成分の少ない疎密波を発生する送波素子10を採用して、送波素子10から送波される疎密波の残響成分を低減したことによって、センサ装置からの距離の差が比較的小さい複数の物体であっても容易に識別できる。
(実施形態5)
本実施形態では、センサ装置を利用した位置検出システムとして、図12(a)に示すように、位置検出対象の物体Obが建物内で床面100上を移動する移動体(例えば、ショッピングカートなど)であり、疎密波(音波)を送波可能な音源である送波素子10および送波素子10を間欠的に駆動する駆動回路20を有する送波装置1を備えた送波側ユニットAを物体Obの上面に搭載する一方で、送波装置1から間欠的に送波された疎密波を受波する複数の受波素子30を有する受波装置3(図13参照)を備えた受波側ユニットBを施工面である天井面200の定位置に設置し、送波装置1に対する物体Obの相対位置を送波装置1の相対位置として求め、物体Obの移動状況(物体Obの動き)を追跡する動線計測を行う動線計測システムを例示する。ここにおいて、送波素子10は、実施形態1にて説明した熱励起式の音波発生素子により構成されており、駆動回路20の回路構成も実施形態1と同様であるが、送波素子10および駆動回路20として実施形態2の構成を採用してもよい。
送波側ユニットAは、図13に示すように、上述の送波素子10および送波素子10を駆動する駆動回路20の他に、光もしくは電波からなるトリガ信号を発信するトリガ信号発信器63と、トリガ信号発信器63を駆動する駆動回路64と、固有の識別情報信号を発信する識別情報信号発信器65と、識別情報信号発信器65を駆動する駆動回路66と、各駆動回路20,64,66を制御する制御部67とを備えている。ここにおいて、送波装置1からの疎密波の送波開始タイミング、トリガ信号発信器63からのトリガ信号の送信開始タイミング、識別情報信号発信器65からの識別情報信号の送信タイミングは、制御部67により制御される。なお、制御部67は、マイクロコンピュータを主構成とし、制御部67の上述の機能はマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現される。
一方、受波側ユニットBには、上述の受波装置3と、トリガ信号発信器63から送信されたトリガ信号を受信したときにトリガ受信信号を出力するトリガ信号受信器73と、識別情報信号発信器65から送信された識別情報信号を受信する識別情報信号受信器75と、受波装置3から出力される受波信号とトリガ信号受信器73から出力されるトリガ受信信号とに基づいて受波装置3に対する送波装置1の相対位置(送波装置1の存在する方位および送波装置1までの距離)を求めて出力する位置演算部72と、トリガ信号受信器73からのトリガ受信信号を受けた時刻(以下、トリガ受信時刻と称す)を出力するタイマ76と、位置演算部72から出力される演算結果(送波装置1の存在する方位および送波装置1までの距離)をタイマ76から出力されたトリガ受信時刻と対応付けて時系列的に記憶するメモリ74とを備えている。メモリ74に格納されているトリガ受信時刻、トリガ受信時刻毎の送波装置1の存在する方位および送波装置1までの距離(要するに、各送波装置1それぞれの時系列的な相対位置の変化に関するデータ)は制御部77により出力部78のデータ転送形式のデータ列に変換され出力部78を通して外部のコンピュータなどの管理装置へ出力される。出力部78としては、例えば、TIA/EIA−232−EやUSBなどのようなシリアル転送方式のインタフェースや、SCSIなどのようなパラレル転送方式のインタフェースなどを採用することができる。なお、制御部77の機能はマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現される。
トリガ信号発信器63は、トリガ信号として光を採用する場合には、例えば、発光ダイオードを用いればよく、トリガ信号として電波を採用する場合には、例えば、電波発信器を用いればよい。ここにおいて、光や電波は音波に対して十分に高速なので、送波側ユニットAから受波側ユニットBまでの音波の到達時間のレンジでは、光や電波の到達時間はゼロとみなすことができる。
識別情報信号発信器65としては、識別情報信号として光を採用する場合には、例えば、発光ダイオードを用いればよく、識別情報信号として電波を採用する場合には、例えば、電波発信器を用いればよく、識別情報信号として音波を採用する場合には、例えば、熱励起式の音波発生素子を用いればよい。
受波側ユニットBの受波装置3は、図12(b)に示すように、送波素子10から送波された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する複数個(図示例では、4個であるが、個数は特に限定するものではない)の受波素子30が同一基板39上で2次元的に配列されている。ここにおいて、受波素子30の中心間距離(配列ピッチ)Lは送波素子10から発生させる疎密波の波長程度(例えば、疎密波の波長の0.5〜5倍程度)に設定することが望ましく、疎密波の波長の0.5倍よりも小さいと疎密波が隣り合う受波素子30それぞれへ到達する時間の時間差が小さくなり、当該時間差の検出が困難となる。受波素子30としては、例えば、実施形態1において説明した静電容量型のマイクロホンを用いればよい。なお、静電容量型のマイクロホンでは、圧電素子に比べて共振特性のQ値が十分に小さく、受波周波数の範囲を広くとることが可能になる。
トリガ信号受信器73は、トリガ信号発信器63から送信するトリガ信号として光を採用する場合には、例えば、フォトダイオードを用いればよく、トリガ信号として電波を採用する場合には、例えば、電波受信アンテナを用いればよい。要するに、トリガ信号受信器73は、トリガ信号を受信してトリガ信号を電気信号(トリガ受信信号)に変換して出力できるものであればよい。
識別情報信号受信器75は、識別情報信号発信器65から送信する識別情報信号として光を採用する場合には、例えば、フォトダイオードを用いればよく、識別情報信号として電波を採用する場合には、例えば、電波受信アンテナを用いればよく、識別情報信号として音波を採用する場合には、例えば、静電容量型のマイクロホンを用いればよい。要するに、識別情報信号受信器75は、識別情報信号を受信して識別情報信号を電気信号からなる識別情報に変換して出力できるものであればよい。
位置演算部72は、受波装置3の各受波素子30で疎密波を受波した時間の時間差と各受波素子30の配置位置とに基づいて受波装置3に対して送波装置1の存在する方位を示す方位角θ(疎密波の到来方向)を求める機能を有している。
以下、位置演算部72について説明するが、説明を簡単にするために、受波装置3の受波素子30が図14に示すように同一平面上において1次元的に等間隔で配列されている例について説明する。受波素子30が配列された面に対する疎密波(音波)の波面の角度がθである場合を想定すると、疎密波の到来方向(すなわち、受波装置3に対して送波装置1の存在する方位角)はθになり、音速をc、疎密波の波面が隣り合う受波素子30のうちの一方の受波素子30に到達する時刻における疎密波の波面と他方の受波素子30の中心との間の距離(遅延距離)をd、隣り合う受波素子30の中心間距離をLとすれば、音波の波面が隣り合う受波素子30間に到達する時間差Δt(図15参照)は、Δt=d/c=L・sinθ/cになる。
図15(a)〜(c)は送波素子10を構成する熱励起式の音波発生素子(図4参照)の発熱体層13へ正弦波波形の半周期の波形の駆動電圧を与えたときの図14の各受波素子30それぞれの受波信号を示しており、図15(a)が図14の一番上の受波素子30の受波信号、図15(b)が図14の真ん中の受波素子30の受波信号、図15(c)が図14の一番下の受波素子30の受波信号を示している。ここにおいて、位置演算部72は、受波装置3の各受波素子30で疎密波を受波した時間の時間差と各受波素子30の配置位置とに基づいて受波装置3に対して送波装置1の存在する方位(疎密波の到来方向)を求める方位検出手段を有する信号処理部72cを備えている。信号処理部72cは、受波装置3の各受波素子30から出力された電気信号である受波信号をそれぞれ各受波素子30の配列パターンに応じた遅延時間で遅延させた受波信号を組にして出力する遅延手段と、遅延手段により遅延された受波信号の組を加算する加算器と、加算器の出力波形のピーク値と適宜の閾値との大小関係を比較し閾値を超えるピーク値が得られたときに遅延手段で設定されている遅延時間に対応する方向を送波装置1の存在する方位(疎密波の到来方向)と判断する判断手段とを備えているので、受波装置3に対して送波装置1の存在する方位(疎密波の到来方向)を検出することができる。要するに、判断手段は、加算器の出力波形のピーク値が閾値を超えているとき、言い換えれば遅延手段により遅延されたすべての受波信号のタイミングが重なる(受波信号の時刻が一致する)ときの遅延時間の組み合わせに対応する方位を受波装置3に対する疎密波の到来方向(送波装置1の存在する方位)とするように構成されている。
ここで、位置演算部72は、上述の信号処理部72cの他に、受波装置3の各受波素子30から出力されるアナログの受波信号をディジタルの受波信号に変換して出力するA/D変換部72aと、トリガ信号受信器73からのトリガ受信信号が入力された時点から所定の受波期間だけA/D変換部72aの出力が格納されるデータ格納部72bとを備えており、上述の信号処理部72cは、データ格納部72bにトリガ受信信号が入力されたときに受波期間を設定し、受波期間にのみA/D変換部72aを作動させ、受波期間にデータ格納部72bに格納された受波信号のデータを用いて送波装置1の存在する方位を求める。なお、信号処理部72cはマイクロコンピュータなどにより構成される。また、データ格納部72bには、〔受波素子30の個数〕×〔各受波素子30からの受波信号のデータ数〕の数だけデータが格納されることになる。また、本実施形態では、位置演算部72が、送波素子10が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子30に受波されるまでの時間に基づいて受波装置3から送波装置1までの距離と受波装置3に対して送波装置1の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部を構成している。また、A/D変換部72aが、送波素子10が疎密波を送波した後の所定の受波期間のみ受波素子30から出力される受波信号を上記検出部に対して有効にする受波タイミング制御部としての機能を有している
ところで、本実施形態では、送波装置1における送波素子10として上述の熱励起式の音波発生素子を用いているので、図16に示すように、受波装置3の各受波素子30へ2つの方位から疎密波が到来する場合に方位角がθの方位から到来する疎密波の方が方位角θの方位から到来する疎密波に比べて先に到達するとすれば、図17(a)〜(c)に示すように各受波素子30それぞれから出力される2つの受波信号が重なりにくく、各送波装置1それぞれの存在する方位角(疎密波の到来方向)θ,θを求めることができる。ここで、図17は、(a)が図16の一番上の受波素子30の2つの受波信号、(b)が図16の真ん中の受波素子30の2つの受波信号、(c)が図16の一番下の受波素子30の2つの受波信号を示しており、(a)〜(c)それぞれにおける左側の受波信号がθの方位から到来した疎密波に対応し、右側の受波信号がθの方位から到来した疎密波に対応している。なお、θの方位からの疎密波の波面が隣り合う受波素子30のうちの一方の受波素子30に到達する時刻における疎密波の波面と他方の受波素子30の中心との間の距離(遅延距離)をd(図16参照)とすれば、疎密波の波面が隣り合う受波素子30間に到達する時間差Δt(図17参照)は、Δt=d/c=L・sinθ/cになり、θの方位からの疎密波の波面が隣り合う受波素子30のうちの一方の受波素子30に到達する時刻における疎密波の波面と他方の受波素子30の中心との間の距離(遅延距離)をd(図16参照)とすれば、疎密波の波面が隣り合う受波素子30間に到達する時間差Δt(図17参照)は、Δt=d/c=L・sinθ/cになる。
また、位置演算部72の信号処理部72cは、トリガ信号受信器73によりトリガ信号を受信した時刻と受波素子30により疎密波を受波した時刻との関係から受波装置3と送波装置1との距離を求める距離演算手段を備えている。ここにおいて、上述のようにトリガ信号として光もしくは電波のように音波に比べて十分に高速な信号を採用していることにより、送波側ユニットAから受波側ユニットBまでのトリガ信号の到達時間は送波側ユニットAから受波側ユニットBまでの到達時間に比べて十分に短く(無視できる程度に短く)、トリガ信号の到達時間をゼロとみなすことができるので、距離演算手段では、図18(a)〜(c)に示すようにデータ格納部72bを介してトリガ受信信号STを受信した時刻と当該トリガ信号STの受信後に最初に受波素子30からの受波信号SPを受信した時刻との時間差Tと、音速とによって受波装置3と送波装置1との間の距離を求めるようにしてある。なお、信号処理部72cの距離演算手段は、当該信号処理部72cを構成するマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現される。
以上説明した本実施形態の位置検出システムでは、1つの受波側ユニットBを施工面である天井面200に設置することで1つの受波装置3を配置することにより当該受波装置3を中心とした検知エリア内に存在する物体Obに搭載された送波装置1の存在する方位を求めることができるので、複数の超音波受信機(受波装置)を天井面200において離間して配置する場合に比べて、施工が容易になるとともに受波装置3の配置設計が容易になる。
また、本実施形態の位置検出システムにおけるセンサ装置は、送波装置1と、送波装置1の送波素子10から送波された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子30を有する受波装置3とを備え、受波装置3から送波装置1までの距離と受波装置3に対して送波装置1の存在する方位との両方を検出するものであり、送波素子10が空気に熱衝撃を与えることにより疎密波を発生させる音波発生素子からなり、受波素子30が疎密波の音圧を静電容量の変化に変換する静電容量型のマイクロホンからなるので、送波素子10の共振特性のQ値が圧電素子の共振特性のQ値に比べて小さく、且つ、受波素子30の共振特性のQ値が圧電素子の共振特性のQ値に比べて小さいから、従来のように送波素子および受波素子として圧電素子を用い受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位とを検出するセンサ装置に比べて、送波素子10から送波される疎密波における残響成分に起因した不感帯および受波素子30から出力される受波信号における残響成分に起因した不感帯を短くすることができるとともに、角度分解能を向上させることができる。なお、位置検出システムへの利用を考えずに、単にセンサ装置を構成するだけであれば、受波装置3から送波装置1までの距離と受波装置3に対して送波装置1の存在する方位とのいずれか一方のみを検出するようにしてもよい。
ところで、本実施形態の位置検出システムを適用する建物の床面100が平坦であって床面100から天井面200までの高さが一定であり、かつ、物体Obの大きさが一定(つまり、床面100から物体Obの上面までの高さが一定)であれば、天井面200に平行な面であって受波装置3を含む平面と、天井面200に平行な面であって送波装置1を含む平面との間の距離は床面100上の物体Obの位置によらず一定距離となるので、当該一定距離をあらかじめ既知の距離情報(高さ情報)として距離演算手段に記憶させておくことにより、距離演算手段では、当該距離情報と送波装置1の存在する方位とから受波装置3と送波装置1との間の距離を求めることができる。これに対して、信号処理部72cの距離演算手段が上述のようにトリガ信号受信器73によりトリガ信号を受信した時刻と受波素子30により疎密波を受波した時刻との関係から受波装置3と送波装置1との距離を求めることにより、図19に示すように建物の床面100に段差100bが存在するような場合でも、受波側ユニットBの受波装置3と送波側ユニットAの送波装置1との間の距離を精度良く求めることができ、受波装置3に対する送波装置1の相対位置を精度良く求めることができる。
また、上述の制御部77は、識別情報信号受信部75から出力されメモリ74に記憶された識別情報に基づいて各送波装置1を個別に特定する音源特定手段を備えており、受波装置3により疎密波を検出可能な検知エリア内に複数の送波装置1が存在する場合であっても、受波装置1に対する各送波装置1それぞれの相対位置を求めることができる。ここにおいて、例えば、物体Obが4つ存在する場合には、各物体Obそれぞれに搭載する送波側ユニットAそれぞれの識別情報信号発信器65から送信する識別情報信号を図20(a)〜(d)に示すように異なるパルス列からなる識別情報信号としておくことにより、メモリ74には識別情報と位置演算部72の信号処理部72cの演算結果とが対応付けて格納される。したがって、制御部77では、位置演算部72により得られた送波装置1の存在する方位(疎密波の到来方向)および受波装置3と送波装置1との間の距離がどの送波側ユニットAからのものか識別することができる。なお、識別情報信号として光もしくは電波を採用し、受波装置3により疎密波を検出可能な検知エリア内に1つの送波側ユニットAが存在する場合を想定すると、受波側ユニットBの識別情報信号受信器75から出力される識別情報と、各受波素子30それぞれから出力される受波信号との関係は図21(a)〜(c)に示すようになるので、識別情報信号発信器65を上述のトリガ信号発信器63に兼用する(識別情報信号をトリガ信号として兼用する)こともでき、この場合には上述の音源特定手段を位置演算部72に設けてもよい。ここで、図21(a)は図14の一番上の受波素子30の受波信号、図21(b)は図14の真ん中の受波素子30の受波信号、図21(c)は図14の一番下の受波素子30の受波信号を示している。
なお、上述の位置検出システムでは、送波側ユニットAにトリガ信号発信器63を設けるとともに受波側ユニットBにトリガ信号受信器73を設けてあるが、トリガ信号発信器63を受波側ユニットBに設けるとともにトリガ信号受信器73を送波側ユニットAに設けて、制御部67がトリガ信号受信器73の出力に基づいて送波素子10から疎密波が送波されるように駆動回路20を制御するようにし、位置演算部72における信号処理部72cの距離演算手段が、トリガ信号発信器63からトリガ信号が発信された時刻と受波素子30により疎密波を受波した時刻との関係から送波装置1までの距離を求めるようにしてもよい。ここにおいて、制御部67は、トリガ信号受信器73から出力されたトリガ受信信号が入力されたときに直ちに駆動回路20を制御するようにしてもよいし、所定時間後に駆動回路20を制御するようにしてもよい。
また、上述の位置検出システムでは、移動体からなる物体Obに送波装置1を搭載し、天井面200のような固定面に受波装置3を配置しているが、固定面に送波装置1を配置し、移動体からなる物体Obに受波装置3を配置するようにしてもよい。
実施形態1を示す概略構成図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上における送波素子の概略断面図である。 同上における送波素子の動作説明図である。 同上における送波素子の駆動回路の一例を示す回路図である。 同上における受波素子を示し、(a)は一部破断した概略斜視図、(b)は概略断面図である。 同上における受波素子の他の構成例を示す概略断面図である。 共振特性のQ値と角度分解能との関係説明図である。 実施形態2における送波装置の回路図である。 実施形態3における送波素子の概略断面図である。 実施形態5を示し、(a)は位置検出システムの概略構成図、(b)は受波装置の概略斜視図である。 同上のブロック図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 同上の動作説明図である。 圧電素子の動作説明図である。
符号の説明
1 送波装置
3 受波装置
5 信号処理回路
10 送波素子
20 駆動回路
30 受波素子

Claims (12)

  1. 対象領域に疎密波を送波する送波素子および疎密波が間欠的に送波されるように送波素子を駆動する送波制御部を有する送波装置と、送波素子から送波され対象領域内に存在する物体で反射された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて前記物体までの距離と前記物体の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、残響成分が少ない疎密波を発生するものであることを特徴とするセンサ装置。
  2. 対象領域に疎密波を送波する送波素子および疎密波が間欠的に送波されるように送波素子を駆動する送波制御部を有する送波装置と、送波素子から送波され対象領域内に存在する物体で反射された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて前記物体までの距離と前記物体の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、共振の鋭さを表す値であるQ値が10以下であることを特徴とするセンサ装置。
  3. 疎密波を送波可能な送波素子および送波素子を駆動する駆動回路を有する送波装置と、送波素子から送波された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、残響成分が少ない疎密波を発生するものであることを特徴とするセンサ装置。
  4. 疎密波を送波可能な送波素子および送波素子を駆動する駆動回路を有する送波装置と、送波素子から送波された疎密波を受波するとともに受波した疎密波を電気信号である受波信号に変換する受波素子を有する受波装置と、送波素子が疎密波を送波してから当該疎密波が受波素子に受波されるまでの時間に基づいて受波装置から送波装置までの距離と受波装置に対して送波装置の存在する方位との少なくとも一方を求める検出部とを備え、送波素子は、共振の鋭さを表す値であるQ値が10以下であることを特徴とするセンサ装置。
  5. 前記受波装置が前記受波素子を複数個備えるとともに前記各受波素子が一平面上に配列され、前記検出部は、前記各受波素子の受波信号をそれぞれ規定した遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、遅延手段により遅延されたすべての受波信号のタイミングが重なるときの遅延時間の組み合わせに対応する方位を前記受波装置に対する疎密波の到来方向とする判断手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のセンサ装置。
  6. 前記送波素子が疎密波を送波した後の所定の受波期間のみ前記受波素子から出力される受波信号を前記検出部に対して有効にする受波タイミング制御部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のセンサ装置。
  7. 前記送波素子は、前記送波制御部に電気的に接続され通電時に発熱する発熱部を有し、発熱部への通電に伴う発熱部の温度変化によって発熱部に接触している媒質を膨張収縮させることで疎密波を発生することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のセンサ装置。
  8. 前記送波素子は、前記受波素子と同一の基板に形成され、当該基板の一表面側に形成した熱絶縁層に前記発熱部が積層されてなることを特徴とする請求項7記載のセンサ装置。
  9. 前記送波制御部は、前記送波素子から単発の疎密波が送波されるように前記送波素子へ単発のパルス電流を流すことを特徴とする請求項7または請求項8記載のセンサ装置。
  10. 前記送波素子は、エアギャップを介して対向する一対の電極を有し、両電極間に所定電圧を印加して火花放電を生じさせることにより疎密波を発生することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のセンサ装置。
  11. 前記送波素子は、圧電素子を有しピエゾ効果により振動する振動板と、振動板の周部に設けられ振動板の共振周波数を送波する疎密波の周波数から外れた周波数帯域に設定する慣性質量体とを備えることを特徴とする請求項1または請求項3記載のセンサ装置。
  12. 前記受波素子は、前記送波素子から送波される疎密波の周波数に共振周波数を持たないことを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のセンサ装置。
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