JP2006214147A - 給水型保水性舗装構造及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開粒度アスファルトコンクリート3の間隙部に石炭灰を主体とするスラリー4を充填させた表層を成すアスファルト保水層1と、このアスファルト保水層の下側に位置するとともに、石炭灰固化砕石5を主体とし所定の密度に締め固められた石炭灰固化砕石貯水層2とから構成する。前記石炭灰を主体とするスラリーは、石炭灰、石膏、石灰又はセメント、及び水とを混合するとともに、必要に応じて混和剤を添加したスラリーであってPロートフロー値を10秒以下に調整したものを用い、前記石炭灰固化砕石は石炭灰に石灰及び石膏を添加材として加え、水で混練した後成形し、次いで混練物の養生を行った後、養生固化体を破砕して得た砕石状固化体を用いる。
【選択図】図1
Description
本発明に係る給水型保水性舗装構造は、図1に示されるように、開粒度アスファルトコンクリート3(以下、単に開粒度アスコンという。)の間隙部に石炭灰を主体とするスラリー4(以下、石炭灰混合スラリーという。)を充填させた表層を成すアスファルト保水層1と、このアスファルト保水層1の下側に位置する石炭灰固化砕石5を主体とし所定の密度に締め固められた石炭灰固化砕石貯水層2とからなる二層構造の保水性舗装である。この給水型保水性舗装は、通常のアスファルト舗装又はコンクリート舗装を本発明の保水性舗装に改良する場合には、既設の表層舗装のみを撤去した後、既設路盤上に敷設するのが望ましい。
前述した保水性舗装は、既設路盤の上部に石炭灰固化砕石5を、冷却効果の持続性を確保するために、その層厚を5〜10cmとなるように締め固め石炭灰固化砕石貯水層2を形成した後、この石炭灰固化砕石貯水層2の上面に開粒度アスコン3を好ましくは層厚5cm以上となるように敷設する。その後、石炭灰混合スラリー4を開粒度アスコン3の間隙に自己充填し、石炭灰固化砕石貯水層2との界面まで浸透させ、二層構造の連続性を持たせる。前記石炭灰混合スラリーには石膏を使用しているので、3時間以内に空気と触れる表層部は粘土状になるため、路面上に存在する粘土状の余剰スラリー固化体を清掃する。この工法によれば、前記石炭灰混合スラリー4の充填から約3時間で交通開放が可能で迅速に施工が可能である。
雨水時は、図2(A)に示されるように、雨水はアスファルト保水層1に保水されながら下層へ浸透するとともに、石炭灰固化砕石貯水層2に貯水され、余剰水が既設路盤へと浸透する。真夏の高温時には、図2(B)に示されるように、アスファルト保水層1の表面から水分が気化熱として奪われ、表面温度の上昇が抑制される。水分は二層構造体における毛細管現象により石炭灰固化砕石貯水層2からアスファルト保水層1へ連続的に給水され、路面温度の冷却効果が持続する。なお、路面冷却効果は、夏場の路面温度を少なくとも連続4日間40℃以下で維持できるように、前記石炭灰混合スラリー4の配合、アスファルト保水層1の層厚を設定するとともに、前記石炭灰固化砕石5の配合、その層厚を設定するのが望ましい。
石炭灰混合スラリー4の吸水・保水特性を確認するために、下表1に示される配合を変えた7つの供試体CASE1〜CASE7を作製し、Pロートフロー値と水粉体比との相関性、吸水性能試験、保水性能試験を実施した。なお、石炭灰としてはフライアッシュを用いた。
表中、CASE-1〜CASE-6の6つの各供試体について、Pロートフロー値と水粉体比との関係を図3に示す。同図より、Pロートフロー値を10秒以下に調整するためには、水と粉体(フライアッシュ(FA)、石膏(G)、生石灰(QL)、消石灰(SL)又はセメント(C)を混合したものを指す。)の重量百分率(水粉体比)を概ね70〜80%程度で調整すれば良いことが分かる。
石炭灰混合スラリー4の吸水性及び保水性を検証するために各種の実験を行った。
実験(その1)は、上記CASE-1の供試体(φ5cm×10cm)について、供試体の1/3を水に浸し、供試体の吸水による変色状態から毛細管現象による吸水状態を観察した。その結果を図4に示す。同図から毛細管現象により約2時間で飽和度が90%に達しており、非常に高い吸水性能を示すことが確認された。
供試体の内、石炭灰の他、石膏、生石灰を配合したCASE-1と、石炭灰とセメントのみを配合したCASE-7について、上記実験(その1)の試験を行い、毛管現象の差異を調べた。その結果、図5に示されるように、両者間では毛細管現象の効果に大きな差が出ることが確認された。すなわち、毛細管現象の速度は、石膏(G)、生石灰(QL)・消石灰(SL)またはセメント(C)の配合により調整することができることが確認された。
また、上表1に示した配合による供試体の内、CASE-2,5,6,7の配合条件を選定し、下表2に示される供試体を作製した。
実験(その4)では、上表2に示した各供試体について最大吸水率を調べた。
最大吸水率は、φ5cm×10cmの円柱供試体の乾燥重量に対する表乾重量と乾燥重量の差の百分率とした。ここに、表乾重量は供試体を24時間以上水浸した後の表乾状態の重量、乾燥重量は表乾状態にした供試体を40℃の乾燥炉で24時間以上乾燥したときの重量とした。
CASE-2で使用する消石灰の代わりにセメントを配合したCASE-5は、最大吸水率が30%まで低下した。また、フライアッシュとセメントのみを配合したCASE-6とCASE-7を見てみると、セメント量の少ないCASE-6の最大吸水率は38%、セメントとフライアッシュの比が1:2のCASE-7の最大吸水率は30%となった。また、CASE-6とCASE-7は、供試体が所定高さの10cmで固化せず、ブリーディングの影響が問題となった。
実験(その5)では、内径φ10cmの鋼製容器内に打設した開粒度アスコンに、表2に示した配合の内、CASE-2,5,6の配合の石炭灰混合スラリーを自己充填したアスファルト保水層の最大保水量を調べた。
本発明に係る石炭灰固化砕石と一般砕石とについて、締固め時と保水時の含水比と湿潤密度を調べた。試験は、1日水に浸した後、余剰水を排水するために1日放置した後、含水比(%)と湿潤密度(g/cm3)とを調べた。その結果を下表3に示す。
石炭灰固化砕石は、石炭灰に生石灰と石膏を添加し、水で混練・成形した後、蒸気養生で固化し、固化体を破砕し粒度調整したものである。石炭灰固化砕石(径26.5〜37.5mm)の単体の含水比は、図9に示されるように、気中(自然状態)で13%だったのものが、一日の水浸で35%まで増加する。このように石炭灰固化砕石は高い吸水性能を持つ材料であることがわかる。ここでは、吸水性能を砕石内部に水を溜め込むことと定義する。
a) 周辺温度及び湿度の影響
恒温恒湿の状態下における石炭灰固化砕石中の水分損失を図10及び図11に示す。湿度を一定とした場合は、図10に示されるように、石炭灰固化砕石中の水分損失は温度の影響を受けないことがわかる。次に、温度を一定とした場合には、図11に示されるように、湿度が低くなると水分損失が多くなる結果となった。すなわち、石炭灰固化砕石中の水分は、周辺環境の保湿状態が低下すると砕石内部に蓄えられた水分が外部へ移動するものと考えられる。
図13に石炭灰固化砕石中の水分損失と周辺環境(周囲砕石の含水比)の乾湿条件の関係を示す。実験は、図12に示されるように、周辺環境とする砕石層の含水比を0, 2, 7%の3水準設定し、石炭灰固化砕石を飽和状態(含水比35%程度)にして砕石層に埋め込み、7日後の含水比の変化を測定した。石炭灰固化砕石は周辺環境の含水比が0%(乾燥条件)であると、水分損失があることがわかる。すなわち、周辺環境が湿潤から乾燥へと変化する過程で、石炭灰固化砕石中の水分が外部へ移動するものと考えられる。
次に、本発明に係る保水性舗装構造の性能を確認するため、図14に示される本発明の保水性舗装構造を模擬した実験装置と、比較のために図15に示される従来の密粒度舗装を模擬した実験装置とを作製し比較試験を実施した。
Claims (5)
- 開粒度アスファルトコンクリートの間隙部に石炭灰を主体とするスラリーを充填させた表層を成すアスファルト保水層と、このアスファルト保水層の下側に位置するとともに、石炭灰固化砕石を主体とし所定の密度に締め固められた石炭灰固化砕石貯水層とからなることを特徴とする給水型保水性舗装構造。
- 前記石炭灰を主体とするスラリーは、石炭灰、石膏、石灰またはセメント、および水とを混合するとともに、必要に応じて混和剤を添加したスラリーであって、Pロートフロー値が10秒以下とされる請求項1記載の給水型保水性舗装構造。
- 前記石炭灰固化砕石は、石炭灰に石灰及び石膏を添加材として加え、水で混練した後成形し、次いで混練物の養生を行った後、養生固化体を破砕して得た砕石状固化体である請求項1、2いずれかに記載の給水型保水性舗装構造。
- 前記石炭灰固化砕石中に繊維材料を混合してある請求項1〜3いずれかに記載の給水型保水性舗装構造。
- 既設路盤の上部に石炭灰固化砕石を所定厚で締固めた後、この石炭灰固化砕石層の上面に開粒度アスファルトコンクリートを所定厚で敷設し、次いで石炭灰を主体とするスラリーを前記開粒度アスファルトコンクリートの上面から供給し、前記石炭灰固化砕石層との界面まで浸透させることを特徴とする給水型保水性舗装構造の施工方法。
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