JP2004224680A - 水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造方法 - Google Patents

水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造方法 Download PDF

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信博 大野
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Abstract

【課題】雨水及び供給水がある程度汚れていても、目詰まりを起こさずに大量に保水して、長時間に渡り水を気化しながら夏場の気温上昇を抑制し、炭酸ガスの固定化機能と施工強度を得る。
【解決手段】多孔質石炭灰を主材、場合によっては貝殼などの粉砕品を加え、セメントと繊維と水を加えて保水製品に固化さす。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保水性土木建築資材の製造方法に関する。さらに詳しくは、夏場の屋上、広場、歩道等の路面と壁面に冷却効果のある水の気化冷却作用のみならず炭酸ガスの固定化をバランスよく保つ保水性で、透水性、吸水性をあわせもつ土木建築資材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の保水材としては、いろいろな物が提案されているが、石炭灰を利用するものに関して言えば、石炭灰にセメントと水を加えて造粒固化するものや、石炭灰を熱により固化した物がある。しかし、雨水などの水の気化熱を利用して夏場の気温上昇を抑制する従来の保水材料は、保水、透水、吸水、蒸発性のバランスが悪く降雨から数時間しか保水機能が持続しないうえ、雨水中の汚れで目詰まりを起こす物が多かった。
(例えば、日刊工業新聞2002.10.7関東地方整備局のヒートアイランド対策、遮熱性舗装など公募記事。日刊工業新聞2002.11.14茨城大学・安原教授の石炭灰による吸着特性。特開平11−48234、特開2000−154526(P2000−154526A)号公報。日刊工業新聞2002.11.21保水機能つきコンクリート平板を発売したセンコンの記事。特殊法人日本化学技術情報センター情報「フライアッシュの品質評価と有効利用に関する研究」研究番号60850093、東京工業大学、長瀧 重義 教授 参照)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
夏場の気温上昇を雨水などの水の気化熱を利用して長時間抑制しようとする保水性土木資材は、従来の保水材料では保水、透水、吸水、蒸発性のバランスが悪く効率がいまひとつ良くなかったうえ、降雨の雨水中の汚れで目詰まりを起こすという問題があった。又、空気中や水中の炭酸ガスを吸収固定化する機能を合わせ持つものは無かった。
【0004】
本発明は、保水機能に加えて空気中や水中の炭酸ガスを吸収固定化し、下面又は側面や内面から供給された水を保水性土木建築資材表面からの蒸発スピードに合わせ、保水性土木建築資材表面に均一に水の量をコントロールして供給することのできる材料である。すなわち、水を有効に使用する保水性土木資材を提供することで軽量安価でありながら、屋上や広場、歩道などの舗装、壁材に耐える難燃性、耐候性、使用強度と施工性等の物性を持ち従来の保水材にない保水と気化と遮熱性能をバランスよく持たせたものである。すなわち、長時間に亘り雨水などの水を効率よく蒸発させ気化熱を奪われることで、夏場の周辺気温上昇を妨げると共に、炭酸ガスを吸収固化する材料を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鋭意検討の結果主成分が発泡性石炭灰にセメントと繊維と水とを加えてなる混合物を平板状又はブロック状又は砂利形状に造粒固化し、透水、保水、毛管現象による下面から表面への水分供給によって表面の水分蒸発による冷却機能と、セメントと石炭灰等水和物と二酸化炭素の反応で炭酸カルシウムと他の物質に変化する炭酸化による二酸化炭素の固定機能を併せ持たせた材料とすることで、長期繰り返し性能を継続させることができ、驚くべきことに上記目的を達成できることを見出し本発明に到達した。
【0006】
本発明は所定量の石炭灰に、所定量のセメントと繊維と水を加えて固化させるが、所定量の貝殻の粉砕品やゼオライト、クリンカーアッシュ等の固形物質を加えて固化させることで、追加機能を付与することが可能なので、極めて有用な態様である。
【0007】
本発明で使用する発泡性石炭灰は未燃焼炭素が多いので、セメントで固めた場合、曲げ強度が一般のものに比べて劣ることから、釘打ちしても割れないように耐アルカリ性の所定長の繊維で補強することが有用である。
【0008】
本発明で得られる保水性で水を多く含むアルカリ性の強い保水性土木建築資材は炭酸化の促進が早く、水の通過によって通過中の水に含まれている炭酸ガスを保水性土木建築資材内の水酸化カルシウムと反応して保水性土木建築資材内部に固定蓄積できる。又、水の通過によりカルシウムイオンやアルカリ分が溶け出し、水と共に保水性土木建築資材表面に移動して、大気中の炭酸ガスと結合して難溶性のカルシウム塩として炭酸ガスを固定できる。さらに添加する固形物は、吸水性ポリマー、帆立貝などの粉砕品であり、用途に合わせてより多くの水や炭酸ガスを固定することができるように働く。
【0009】
本発明で提供できる保水性土木建築資材は上層部と下層部の構成を変え二層構造体にすることで、保水量を増やしその保水能力に対して気化速度を落とすことができ、長時間冷却効果を維持し、表面磨耗強度を増すように働く。
【0010】
乾燥した天気が続き、保水した水分がすべて蒸発した場合には、水を供給できるシステムとの組み合わせることで、下部からの吸水した水は内部に保水し、上部に水を連続供給できる。
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、実施例として図1と表1を参照して説明する。
【0011】
図1は、水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造法を示したものである。石炭灰の供給は、火力発電所等で発生した未燃焼炭素含有量5、10、20、30、35%の石炭灰をそれぞれ1のサイロに貯め、2のサイロのセメント(普通ポルトランドセメント)と3の繊維、を各分量で定量供給して6の1軸タイプの連続混練装置で混練しながらスランプが4±1cmとなるように5から水を加え、吐出口の下に内寸長さ30cm、巾30cm、深さ5cmの養生型枠7に連続的に受け、厚みが3cmとなるように計量して連続注入した。その後、運搬装置8で振動を与えながら養生場所へ運び、温度20度の恒温室9で湿潤養生し、24時間後に脱型した後、28日間20度水中養生した。水中から取り出した製品ブロックを屋外に並べて、下記の評価を繰り返し行い、代表的な性能評価結果を「表1と表2」にまとめた。
【0012】
上記組成に付け加えて、粒径2mm以下の帆立貝の粉砕品を追加添加した製品ブロックを作成して同じ評価に付け加えた。又上層部11と下層部12の石炭灰の種類や量組成を変えて積層した。又組成型枠を透水性のゴム材料で作っておき、上記材料を流し込み透水性ゴム型枠13から離型しないまま製品とした。これらの製品も同じように施工して評価に加えた。
【0013】
保水性と水の気化冷却性能評価方法は、各組成の違う製品ブロックを太陽が当たる屋外に並べ施工しておき、夏日が1日続いた日の18:00時に、1平方センチあたり30mmの水を20:00〜20:10の間散水、翌日晴天の場合、1時間単位の気温、重量変化と周辺及び製品表面の温度変化を測定した。
【0014】
製品下部からの供給水による評価は14形状の製品を一定量の水15を入れた器16に置き、15の水の消費量と温度変化を測定した。
【0015】
二酸化炭素固定量測定は、図4に示すように製品を置き、水中の二酸化炭素の変化と保水性土木建築資材表面に残ったカルシウム塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム量を測定した。
【0016】
【表1】
Figure 2004224680
【0017】
【表2】
Figure 2004224680
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する
【0018】
前記材料を施工することで、雨水等の水の保水と毛管現象による下からの水分供給、その水分の蒸発による気化熱で固化物の表面温度を連続的に奪うことで、周囲の気温上昇を連続的に下げることが出来る。
【0019】
また、セメント、石炭灰、貝殼は水分と水和反応を起こし水酸化カルシウムを生じる炭酸化と、保水性土木建築資材のナトリウム、カリウムが空気中や水中の炭酸ガスと反応して炭酸ナトリウムや炭酸カリウムを生成、空気や水中の炭酸ガスを固定化することができる。
【0020】
また、一般的に未燃焼炭素分の多い多孔質性石炭灰はコンクリートの混和材としては硬化後の圧縮強度が低く、コンクリートへの混和利用が敬遠され、埋め立てされることが多く、費用もかかり埋め立て場所の問題があり、多孔質粒子の多い発泡性石炭灰とその発生につながる石炭は敬遠されていたが、有効利用することが可能となる。
【0021】
また、帆立貝などの貝殼や、工業繊維の処分先として有効利用できる。
【0022】
また、急激な降雨に対して、吸水、保水機能は、洪水の防止に役立つ。
【0023】
また、防草効果もあることから、施工場所においての草刈も省略できる。
【0024】
また、使用後も海中の藻場漁礁への再利用又、粉砕後して下層路盤材としての利用やモルタルの骨材とも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水の気化冷却と炭酸ガス吸着を利用することができる保水性土木建築資材の製造工程。
【図2】水の気化冷却と炭酸ガス吸着を利用することができる保水性土木建築資材積層物の断面。
【図3】透水性型枠に保水性土木建築資材を流し込んだ積層物の断面。
【図4】製品下部からの供給水による評価と二酸化炭素の固定化の測定に用いた実験装置。
【符号の説明】
1石炭灰サイロと計量装置
2セメントサイロと計量装置
3繊維サイロと切断計量装置
4固形物サイロと計量装置
5水タンクと計量装置(硬化剤添加追加装置付き)
6連続混練装置
7養生型枠
8搬送装置
9恒温室
10水中養生層
11上層部
12下層部
13透水性型枠
14下部形状
15水
16器

Claims (5)

  1. 多孔質粒子状発泡性石炭灰5〜9重量部にセメント1〜5重量部と、繊維0.002〜0.5重量部と、単位水量比80〜150%を加えて混練して得られる混合物を型枠等に流し込み常温又は加温養生して固化することを特徴とする、水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造方法。
  2. 前記混合物に固形物1〜3重量部を加え混合した後、型枠等に流し込み常温又は加温養生して固化することを特徴とする請求項1記載の水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造法。
  3. 前記石炭灰は未燃焼炭素の含有量が5〜35%である多孔質性石炭灰である請求項1又は2記載の水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造法。
  4. 前記繊維は耐アルカリ性に強い5〜100mmの長さの繊維である請求項1または2記載の、水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造方法。
  5. 前記固形物質は耐アルカリ性に強い天然物1〜100メッシュに粉砕された無害なリサイクル品や廃棄物から選ばれたものである請求項2または3記載の水の気化冷却と炭酸ガス固定化を利用することができる保水性土木建築資材の製造方法。
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