JP7120950B2 - フライアッシュ混合材料の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)フライアッシュ、セメント、石灰、石膏及び還元剤を含む原料を、セメントの含有量が6質量%以上となるよう調合する第一工程。
(2)調合後の前記原料に水を加えて混練し、混練物を型枠に流し込み成形する第二工程。
(3)成形した混練物に対して1時間以上24時間以内の1次養生を行い、硬化体を得る第三工程。
(4)脱型後の硬化体を破砕した後、1mm以上10mm以下の範囲で設定した分級点で破砕物を分級し、細粒分を除去する第四工程。
(5)細粒分が除去された破砕物に対して1日以上28日以内の2次養生を行う第五工程。
(6)第四工程で設定した分級点以下の粒子径である無機質細粒分を添加する第六工程。
本発明のフライアッシュ混合材料の製造方法は、フライアッシュ、セメント、石灰、石膏及び還元剤を含む原料を、セメントの含有量が6質量%以上となるよう調合する第一工程を含む。
本発明のフライアッシュ混合材料の製造方法は、調合後の前記原料に所定量の水を加えて混練し、得られた混練物を型枠に流し込み成形する第二工程を含む。混練に用いる装置は、特に限定されるものではなく、可傾式ミキサー、水平二軸型強制練りミキサー、パン型強制練りミキサー、オムニミキサーなどの市販の混練装置を用いることができる。型枠や排出設備は、流し込み成形に適したものであれば、一般的なコンクリート二次製品用の設備等を利用することができる。流し込み成形以外の成形法として、例えば、原料が流動しない状態で型枠に投入して、加圧成形する方法や遠心力成形する方法、さらに、転動造粒、攪拌造粒、圧縮造粒などの造粒による成形法があるが、これらは、生産速度が劣るために好ましくない。本発明では、後述の第四工程で、硬化体の細粒分を除去する作業があるため、生産性を確保するうえで生産速度の大きい流し込み成形が必須の要件となる。また、流し込み成形は、転動造粒や攪拌造粒と比較して硬化物の空隙が少なく、高強度を得やすいという利点もある。
<ゆるめ嵩密度>
容重升と漏斗を準備し、容重升からフライアッシュがあふれるまで、漏斗を用いてフライアッシュを落下させる。振動を与えないように容重升の天端をヘラですりきり、重量を測定する。あらかじめ測定しておいた容量升の重量を引いてフライアッシュの重量を算出し、容量升の容量で除して嵩密度を求める。
<かため嵩密度>
容量升へのフライアッシュの充填を複数回に分けて行い、各回フライアッシュの上面が沈まなくなるまでタッピングする。容量升の上端まで充填した後、容重升の天端をヘラですりきり、ゆるめ嵩密度の測定と同様にして嵩密度を求める。
これ以外にも、JIS K 2151「コークス類-試験方法」、JIS R 1628「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」、JIS R 9301-2-3「アルミナ粉末-第2部:物性測定方法-3:軽装かさ密度及び重装かさ密度」を参考に、試験器具や試験手順を定めて測定することができる。
本発明のフライアッシュ混合材料の製造方法は、第二工程で得られた混練物を流し込み成形した後、1時間以上24時間以内の1次養生を行う第三工程を含む。この工程で原料と水の混合物である混練物は硬化体となり、脱型や破砕ができる強度を発現する。養生期間が長いほど硬化体の強度は大きくなるが、24時間を超えると、第二工程の生産速度を維持するために大量の型枠が必要となり、経済的に好ましくない。また、型枠数が限られている場合には、この養生期間によって生産性が支配されるため、24時間を超えると生産性が悪化して好ましくない。1次養生の時間は3時間以上であることが好ましく、6時間以上20時間以下がより好ましい。
また、この工程では、養生温度と養生時間を調節し、得られる硬化体の強度のバラつきを少なくすることが好ましい。
本発明のフライアッシュ混合材料の製造方法は、脱型後の硬化体を破砕した後、1mm以上10mm以下の範囲で設定した分級点で破砕物を分級し、細粒分を除去する第四工程を含む。破砕機は、ジョークラッシャーやハンマーミルなどの市販の設備を使用できる。また、分級装置は、網篩や振動篩機などの市販の設備を使用できる。本発明では、硬化体の破砕物から上記分級点で分級した細粒分を取り除くことで、長期材齢における重金属、特に六価クロムの溶出を顕著に抑制できる。硬化体の破砕条件は、除去する細粒分の割合が過大とならないように設定することが好ましく、具体的には、設定した分級点より破砕物の平均粒径が大きくなる条件とすることが好ましい。また、破砕物の最大粒径が100mm以下となるように破砕することが好ましい。ここで、分級点が大きいほど六価クロムの溶出抑制効果は大きくなるが、10mmを超える場合は材料のロス量が過大となり、生産性が悪化するため好ましくない。分級点は、1mm以上8mm以下の範囲で設定することが好ましく、2mm以上7mm以下の範囲がより好ましく、2mm以上5mm以下の範囲が更に好ましい。
本発明のフライアッシュ混合材料の製造方法は、硬化物を破砕して分級し、細粒分を除去した後、細粒分が除去された破砕物に対して1日以上28日以内の2次養生を行う第五工程を含む。この工程で、土木資材や環境資材に用いるうえで実用的な強度を得ることができる。養生期間が長いほど強度が向上するほか、長期的な重金属の溶出が抑制される傾向にある。しかし、28日を超えると、生産性を維持するには広大な養生スペースが必要となるため経済的に好ましくない。
本発明のフライアッシュ混合材料の製造方法は、2次養生を行った破砕物に、第四工程で設定した分級点以下の粒子径である無機質細粒分を添加して粒度を調整する第六工程を含む。本発明で使用する無機質細粒分には、本発明の目的に鑑みて、(a)土木資材や環境資材として実績があること、(b)重金属の溶出の問題が無いこと、(c)安価に入手できること、が求められる。これらを満たすものであれば特に制限は無いが、具体的な材料としては、珪石、石灰石、スラグ、ボトムアッシュなどの鉱物資源や副産物資源が挙げられる。また、重金属溶出量の少ないフライアッシュを厳選してフライアッシュ混合材料を製造し、これを粉砕したものを、無機質細粒分として利用することも可能である。重金属溶出の問題が無いことの目安として、無機質細粒分のホウ素含有量が200mg/kg以下、六価クロム含有量が2.5mg/kg以下であることが望ましい。無機質細粒分の添加量は、第四工程で除去された細粒分と同程度の量とすることが好ましい。
本発明の製造方法で製造されるフライアッシュ混合材料は、本発明の効果を阻害しない範囲で高炉スラグ、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ドロマイトなどのマグネシウム化合物等が更に含まれていてもよい。
フライアッシュ混合材料の重金属類溶出量の評価は、実環境に即した条件下での長期にわたる重金属類溶出量測定によることが好ましい。具体的には、後述する散水型カラム試験によって評価することが好ましい。重金属類溶出量の一般的な評価方法としては、公定法である「平成3年環境庁告示第46号の溶出試験」やJIS K 0058-1「スラグ類の化学物質試験方法」」が知られているが、これらは短時間のバッチ試験であり、雨水の浸透や乾燥が繰り返される実環境での長期溶出特性を把握することが困難である。これに対し、散水型カラム試験は、カラム内が水に対して不飽和雰囲気となり、散水時と非散水時の乾湿繰返し条件で長期間の試験が可能であることが大きな特徴である。このような実環境条件では、前述のように長期的な炭酸化等による硬化物の劣化も考慮する必要があり、フライアッシュ混合材料の製造における各工程を緻密に設計することが求められる。
フライアッシュとして、石炭火力発電所の電気集塵機で回収された試料を2種使用した。使用したフライアッシュの化学成分と、ホウ素及び六価クロムの溶出量を表1に示す。ここで、化学成分はJIS R 5202「セメントの化学分析方法」に準拠した方法で測定した。また、ホウ素及び六価クロムの溶出量は、平成3年環境庁告示第46号付表に準拠して溶出試験を行って得た検液を対象に、JIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した値である。なお、表中の土壌環境基準は、平成3年環境庁告示第46号別表に記載の値である。
(実施例1)
フライアッシュ1と、セメントとして高炉セメントB種(宇部三菱セメント社製)を原料中に8質量%、石灰として消石灰(宇部マテリアルズ社製、JIS特号)を5質量%、石膏として二水石膏(排煙脱硫石膏)を5質量%、及び還元剤として塩化第一鉄(タイキ薬品工業社製)を0.8質量%となるよう混合して原料とした。該原料と、該原料100質量部に対して27.2質量部の水とを、SKミキサー(エスケーミキサー社製、型番:SK20C)に投入して、280rpmで10分間混練した。
なお、フライアッシュ1のゆるめ嵩密度は0.872g/cm3であり、この値を図4に示した式y=-54.524x+72.246のxに代入し、混錬水量y=24.7を得たことから、これを目安に水量不足とならないように水量を決定した。
次いで、スラリー化した混練物を、型枠となる長方形容器(幅25cm×長さ37cm×深さ10cm)に流し込み、容器に振動を加えて混練物を容器内に均一に充填して成形し、20℃で18時間1次養生して硬化させた。その後、容器から脱型し、ジョークラッシャー(吉田製作所社製、型番:1021-BN)で破砕した。破砕物を粒子径2mmの分級点で分級し、細粒分を除去した後、20℃で27日間の2次養生を行った。最後に、無機質微粉末としてクリンカアッシュ(宇部興産(株)自家発電所製)を添加して表2に示すように粒度を調整し、フライアッシュ混合材料を得た。
分級及び無機質微粉末の添加を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてフライアッシュ混合材料を得た。
無機質微粉末の添加を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてフライアッシュ混合材料を得た。
フライアッシュ1の代わりにフライアッシュ2を用い、水量を24.5質量部とした以外は、実施例1と同様にしてフライアッシュ混合材料を得た。
なお、フライアッシュ2のゆるめ嵩密度は0.956g/cm3であり、この値を図4に示した式y=-54.524x+72.246のxに代入し、混錬水量y=20.1を得たことから、これを目安に水量不足とならないように水量を24.5質量部に決定した。
フライアッシュ1の代わりにフライアッシュ2を用い、分級点を5mmとした以外は、実施例1と同様にしてフライアッシュ混合材料を得た。
調製したフライアッシュ混合材料について、以下に示した散水型カラム試験を行い、長期的なホウ素及び六価クロムの溶出量を測定した。浸出水のホウ素及び六価クロムの濃度は、JIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。
円筒形のカラム(φ250mm、高さ300mm)にフライアッシュ混合材料を約11kg充填し充填高さ約200mm)、週に2回、散水速度0.15L/h、散水量3.84Lの条件で上部から散水し、カラムの底面から流出した浸出水の重金属濃度を測定し、フライアッシュ混合材料の質量に対する累積散水量の比(累積液固比)と重金属濃度との関係を作図した。結果を図1~3に示した。
図1及び図2においてL/Sが20に達するまで(2年超分の降雨に相当)に、土壌環境基準を超えない場合を合格、超えた場合を不合格として、フライアッシュ混合材料の製造条件とともに表3に示す。これより、本発明の製造方法で得られるフライアッシュ混合材料は、長期にわたって重金属の溶出が抑えられていることが分かる。
Claims (3)
- 以下の工程を含むフライアッシュ混合材料の製造方法。
(1)フライアッシュ、セメント、石灰、石膏及び還元剤を含む原料を、セメントの含有量が6質量%以上となるよう調合する第一工程。
(2)調合後の前記原料に水を加えて混練し、混練物を型枠に流し込み成形する第二工程。
(3)成形した混練物に対して1時間以上24時間以内の1次養生を行い、硬化体を得る第三工程。
(4)脱型後の硬化体を破砕した後、1mm以上10mm以下の範囲で設定した分級点で破砕物を分級し、細粒分を除去する第四工程。
(5)細粒分が除去された破砕物に対して1日以上28日以内の2次養生を行う第五工程。
(6)第四工程で設定した分級点以下の粒子径である無機質細粒分を添加する第六工程。 - 前記第二工程において、フライアッシュの嵩密度と所要水量との関係式を予め求めておき、この関係式と使用するフライアッシュの嵩密度から決定された量の水を加える、請求項1に記載のフライアッシュ混合材料の製造方法。
- 前記第四工程において除去した細粒分を、第二工程において前記原料とともに混練する工程を更に含む、請求項1又は2に記載のフライアッシュ混合材料の製造方法。
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