JP2006213917A - ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性が低下することなく、剛性と耐衝撃性に優れ、特に、落錘衝撃強度に優れるポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂(A)と、当該樹脂(A)100重量部に対して、造核剤(B)0.001〜5重量部とを、180℃以上で溶融混合し、得られた溶融混合物を、濾過精度(開き目)が30〜200μmであるフィルターを通過させるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、前記フィルターを通過する前記溶融混合物の重量が、単位時間およびフィルターの単位面積あたり、1(kg/cm2・時)以上であるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法に関するものである。さらに詳細には、生産性が低下することなく、剛性と耐衝撃性に優れ、特に、落錘衝撃強度に優れるポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂に造核剤が配合されたポリプロピレン系樹脂組成物は、機械的特性に優れる材料であることから、自動車内外装材、家電用材料、各種容器や日用雑貨等の成形体に用いられる材料として、広範な用途に利用されている。
例えば、特開平2−49047号公報には、極限粘度が特定の範囲にあり、極限粘度とアイソタクチックペンタッド分率が特定の関係を満たすプロピレン単独重合体に、造核剤として特定の構造を有する有機リン系化合物が配合され、前記有機リン化合物の特定の大きさの範囲にある粒子が、単位重量あたりの個数が特定の範囲にあるプロピレン重合体組成物を、前記プロピレン単独重合体および予め微粉砕された前記有機リン系化合物を配合して製造する方法や、二軸混練機を用いて、前記有機リン系化合物の粒径が所定以下となるまで強混練して製造する方法が記載されている。
また、特開平5−194685号公報には、結晶性ポリプロピレン部分とエチレン−プロピレンランダム共重合体部分を有し、結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度、Q値および20℃キシレン可溶分のそれぞれが特定の範囲にあり、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の極限粘度、および、前記共重合体部分の含有量のそれぞれが特定の範囲にあるエチレン−プロピレンブロック共重合体が記載されており、目的に合わせて、造核剤を配合できることも記載されている。そして、タンブラー、ヘンシェルミキサー、リオボンブレンダー等で混合した後に、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等溶融混練することによって、組成物を製造できることが記載されている。
特開平2−49047号公報 特開平5−194685号公報
しかし、ポリプロピレン系樹脂と造核剤とが含有されたポリプロピレン系樹脂組成物を、従来技術のように、ポリプロピレン系樹脂と造核剤の混合物を、連続混錬機等によって溶融混練し、フィルターによって濾過して製造した場合、濾過工程でフィルターに造核剤が詰まり、圧力が増加し、濾過効率が低下して、ポリプロピレン系樹脂組成物の生産性が低下することや、フィルターの消耗が早く、濾過能力が不十分になることがあり、改良が望まれていた。
また、上記の公報等に記載されているポリプロピレン系樹脂組成物においても、剛性と耐衝撃性については、さらなる改良が求められており、特に、落錘衝撃強度の改良が求められていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、生産性が低下することなく、剛性と耐衝撃性に優れ、特に、落錘衝撃強度に優れるポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
ポリプロピレン系樹脂(A)と、当該樹脂(A)100重量部に対して、造核剤(B)0.001〜5重量部とを、180℃以上で溶融混合し、得られた溶融混合物を、濾過精度(開き目)が30〜200μmであるフィルターを通過させるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、前記フィルターを通過する前記溶融混合物の重量が、単位時間およびフィルターの単位面積あたり、1(kg/cm2・時)以上であるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法に係るものである。
本発明によれば、生産性が低下することなく、剛性と耐衝撃性に優れ、特に、落錘衝撃強度に優れるポリプロピレン系樹脂組成物を製造することができる。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなるモノマーを重合して得られる重合体成分(以下、重合体成分(I)と称する)と、エチレンおよび炭素数4〜12のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のモノマーと、プロピレンとを共重合して得られる共重合体(以下、重合体成分(II)と称する)からなるポリプロピレン系共重合体(以下、プロピレン系ブロック共重合体と称する)等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は単独で使用しても良く、2種以上をブレンドして使用しても良い。
α−オレフィンとして、好ましくは炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、さらに好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
前記プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるエチレンまたはα−オレフィンの含有量は、通常0.01〜30重量%である。好ましくは0.1〜20重量%である。
前記プロピレン系ブロック共重合体に含有される重合体成分(I)が主にプロピレンからなるモノマーを重合して得られる重合体成分である場合、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分等が挙げられ、重合体成分(II)としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。
重合体成分(I)に含有されるエチレンおよび炭素原子数4〜12のα−オレフィンから選択されるモノマーの少なくとも1種以上のモノマーの含有量は、通常0.01〜30重量%である。
重合体成分(II)に含有されるエチレンおよび炭素数4〜12のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のモノマーの含有量は、通常1〜80重量%であり、好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。
また、前記プロピレン系ブロック共重合体に含有される重合体成分(II)の含有量は、通常、1〜70重量%であり、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。ただし、前記プロピレン系ブロック共重合体の全量を100重量%とする。
そして、前記プロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体等が挙げられる。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)として、好ましくは、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン系ブロック共重合体である。より好ましくは、重合体成分(II)がエチレンおよび炭素数4〜12のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のモノマーと、プロピレンとを共重合して得られる共重合体成分であるプロピレン系ブロック共重合体である。
さらに好ましくは、重合体成分(II)がプロピレンとエチレンの共重合体成分であり、その重合体成分(II)の割合が5〜50重量%であり(ただし、プロピレン系ブロック共重合体の全量を100重量%とする)、そして、その重合体成分(II)に含有されるエチレンの含有量が20〜70重量%(ただし、重合体成分(II)の全量を100重量%とする)であるプロピレン系ブロック共重合体である。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)がプロピレン系ブロック共重合体である場合、重合体成分(I)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]I)は、ポリプロピレン系樹脂組成物の機械的物性や成形加工性の観点から、通常、0.1〜5dl/gであり、好ましくは0.3〜4dl/gであり、より好ましくは0.5〜3dl/gである。
また、重合体成分(II)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]II)は、ポリプロピレン系樹脂組成物の機械的物性や成形加工性の観点から、通常、1〜20dl/gであり、好ましくは1〜10dl/gであり、より好ましくは2〜7dl/gである。
極限粘度([η]、単位:dl/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定される。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。尚、試料は、ポリプロピレン樹脂(A)であり、重合槽から採取した重合体パウダー又はそれからなるペレットが用いられる。重合体成分(I)の場合、第一段階の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーを用いて測定される。
また、前記プロピレン系ブロック共重合体が、重合体成分(I)が第一段階の重合工程で得られ、重合体成分(II)が第二段階目の工程で得られる方法によって、製造される共重合体である場合、重合体成分(I)および重合体成分(II)の割合、極限粘度([η]Total、[η]I、[η]II)の測定および算出については、以下のとおりである。なお、極限粘度([η]Total)は前記プロピレン系ブロック共重合体全体の極限粘度を示す。
第一段階の重合工程で得た重合体成分(I)の極限粘度([η]I)、第二段階の重合工程後の最終重合体(成分(I)と成分(II)の合計)の前記(2)の方法で測定した極限粘度([η]Total)、最終重合体に含有される重合体成分(II)の含有量(重量比)から、重合体成分(II)の極限粘度[η]IIを、下記式から計算して求める。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:2段階重合工程後の最終重合体の極限粘度(dl/g)
[η]I:1段階重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度(dl/g)
I:1段階目の工程で重合された成分の重量比
II:2段階目の工程で重合された成分の重量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
また、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)が、前記プロピレン系ブロック共重合体である場合、重合体成分(I)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]I)と重合体成分(II)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]II)の比([η]II/[η]I)として、好ましくは1〜20であり、重合体成分(II)の含有量が20〜50重量%である。より好ましくは、極限粘度([η]I)と極限粘度([η]II)の比([η]II/[η]I)が2〜10であり、重合体成分(II)の含有量が20〜50重量%である。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)は、通常、0.01〜600g/10分の範囲である。好ましくは0.1〜400g/10分であり、より好ましくは1〜200g/10分である。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の結晶性は、剛性の観点から結晶性が高いものが好ましい。結晶性が高いポリプロピレン系樹脂としては、結晶性の指標として用いられるA.Zambelliらによって発表された方法(Macromolecules 第6巻、第925頁、1973年)に記載の13C−NMR法に従って求められるポリプロピレン分子中のペンタッド単位でプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率(アイソタクチックペンダット分率と称し、[mmmm]で表す。)が0.96以上のものが好ましく、より好ましくは0.97以上のものであり、さらに好ましくは0.98以上のものである。但し、13C−NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules、第8巻、第687頁(1975年)に基づいて行うものである。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)が、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン系ブロック共重合体であって、かつ、その重合体成分(I)が、主にプロピレンからなるプロピレン系重合体成分である場合、ポリプロピレン系樹脂(A)の結晶性が高く、剛性、耐熱性が高いという観点から、重合体成分(I)の20℃キシレン可溶部(CXS(I)と称する)の含有量は、好ましくは1.0重量%未満であり、より好ましくは0.8重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以下ある。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法は、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造することができる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
上記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報、特開平9−316147号公報に記載の触媒系が挙げられる。
また、重合方法としては、バルク重合、溶液重合、スラリー重合または気相重合が挙げられる。バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法であり、溶液重合もしくはスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法であり、また、気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法である。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法、バルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法による製造方法が好ましい。
また、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂(A)を一段階で製造する方法であってもよく、二段階以上の多段階で製造する方法であってもよい。特に、前記プロピレン系ブロック共重合体の製造方法として、好ましくは、重合体成分(I)を製造する段階と重合体成分(II)を製造する段階とからなる少なくとも二段階の製造方法である。
多段階の製造方法としては、例えば、特開平5−194685号公報、特開2002−12719号公報に記載の多段階の重合法による製造方法等が挙げられる。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするポリプロピレン系樹脂(A)に応じて、適宜、変更し、決定すればよい。
また、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の製造において、ポリプロピレン系樹脂(A)中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じてポリプロピレン系樹脂(A)をその樹脂(A)が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
本発明で用いられる造核剤(B)は、無機系造核剤、有機系造核剤のいずれでもよく、例えば、無機系造核剤としては、タルク、クレイ、炭酸カルシウム等が挙げられ、有機系造核剤としては、芳香族カルボン酸の金属塩類、後に挙げる一般式(II)で表される金属塩類、芳香族リン酸の金属塩類、ポリマー型造核剤(ポリ−3−メチルブテン−1、ポリシクロペンテン、ポリビニルシクロヘキサン)等の公知の造核剤が挙げられる。
造核剤(B)が、タルク、クレイ、炭酸カルシウム等の無機系造核剤である場合、粒子の凝集防止や、ポリプロピレン系樹脂への分散性を改善するために、シランカップリング剤、脂肪酸、その他酸性或いは塩基性物質によって、無機系造核剤を前処理してもよい。
造核剤(B)は、通常、レーザー回折式測定法で求められる平均粒子径が0.01〜3μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が5重量%未満である粒子からなる造核剤である。好ましくは、平均粒子径が0.01〜3μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が3重量%未満である粒子からなる造核剤であり、より好ましくは、平均粒子径が0.01〜2μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が1重量%以下である粒子からなる造核剤である。なお、レーザー回折式測定法とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(Sympatec社製HELOS(商品名))を用いて粒度分布を測定する方法である。
造核剤(B)の製造方法としては、公知の製造方法が挙げられる。レーザー法で測定される平均粒子径が0.01〜3μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が5重量%未満である粒子は、適切に設定された条件下で行われる粉砕法または析出法によって製造することができ、製造時に粒子同士の凝集を防止するために、表面処理剤を接触させた状態で製造してもよい。
造核剤(B)として、好ましくは、芳香族カルボン酸の金属塩類、一般式(II)で表される金属塩類、芳香族リン酸の金属塩類から選択される少なくとも1種の有機系造核剤である。
芳香族カルボン酸の金属塩類としては、例えば、下記一般式(I)で表される環状の炭化水素からなる構造が置換されたアシルオキシル基を有する化合物が挙げられる。
Figure 2006213917
式(I)
(式(I)中、R1は、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アラルキル基又はフェニル基を示し、aは芳香族基に結合する置換基(R1)の数を表し、0〜3の整数であり、*は金属原子との結合部位を示す。)
また、造核剤(B)に用いられる芳香族カルボン酸の金属塩の金属原子としては、元素の周期表の第1族の金属原子、第2族の金属原子、第4族の金属原子、第13族の金属原子、第14族の金属原子等が挙げられ、好ましくは、第1族の金属原子、第2族の金属原子または第13族の金属原子である。
具体的には、第1族の金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、第2族の金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、第4族の金属原子としては、チタニウム、ジルコニウム等が挙げられ、第13族の金属原子としては、アルミニウム、ガリウム等が挙げられ、第14族の金属原子としては、ゲルマニウム、錫、鉛等が挙げられる。
造核剤(B)が芳香族カルボン酸類の金属塩である場合、好ましくは、安息香酸リチウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ヒドロキシ−ジ(p−tert−ブチル安息香酸)アルミニウム、シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム、p−tert−ブチル安息香酸ナトリウム、シクロペンタンカルボン酸ナトリウムであり、より好ましくは、安息香酸ナトリウム、ヒドロキシ−ジ(p−tert−ブチル安息香酸)アルミニウム、p−tert−ブチル安息香酸ナトリウムであり、さらに好ましくは、ヒドロキシ−ジ(p−tert−ブチル安息香酸)アルミニウム、p−tert−ブチル安息香酸ナトリウムである。
また、下記一般式(II)で表される金属塩類としては、例えば、特表2004−524417号公報、特表2004−530006号公報に記載の化合物である。
Figure 2006213917
(式(II)中、M1およびM2は、それぞれナトリウム原子および水素原子よりなる群から選ばれ、ここでM1およびM2のうち少なくとも一つはナトリウム原子であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ水素、炭素原子数1〜9個のアルキル基、水酸基、炭素原子数1〜9個のアルコキシ基、炭素原子数1〜9個のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素原子数1〜9個のアルキルアミン基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭原子素、およびヨウ素原子)、およびフェニル基よりなる群から選択される。ここで、これらの基がアルキル基である場合、アルキル基が結合して炭素原子数6個までの炭素環を形成してよい。この化合物はトランスまたはシス配置のいずれであってもよく、好ましくはシス配置である。)
一般式(II)で表される金属塩類として、より好ましくは、ヘキサヒドロフタル酸基の金属塩類であり、さらに好ましくは、下記の構造式で表されるジナトリウム−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン−2,3−ジカルボキシラートである。
Figure 2006213917
また、芳香族リン酸基の金属塩類としては、例えば、下記一般式(III)および一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006213917
(式(III)中、R12は直接結合、硫黄原子またはアルキリデン基を示し、R13及びR14は各々水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を示す。b及びcは整数の0または1を示し、dは金属の原子価を示し、Mは金属原子を示す。)
上記一般式(III)において、R12で示されるアルキリデン基としては、メチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、ヘキシリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロオクチリデン基等が挙げられる。
13およびR14で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第2級ブチル基、第3級ブチル基、n−アミル基、第3級アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、第3オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。また、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。また、Mで示される金属原子としては、元素の周期表の第1族の金属原子、第2族の金属原子、第4族の金属原子、第13族の金属原子、第14族の金属原子等が挙げられ、好ましくは、第1族の金属原子、第2族の金属原子である。
具体的には、第1族の金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、第2族の金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、第4族の金属原子としては、チタニウム、ジルコニウム等が挙げられ、第13族の金属原子としては、アルミニウム、ガリウム等が挙げられ、第14族の金属原子としては、ゲルマニウム、錫、鉛等が挙げられる。
一般式(III)で示される芳香族リン酸の金属塩類として、好ましくは、R12が直接結合またはメチリデンであり、R13およびR14で示されるアルキル基が第3級ブチル基であり、bが1であり、cが1であり、dが1であり、Mが第1族の金属原子である化合物である。また、さらに好ましくは、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−第3ブチルフェニル)リチウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−第3ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−第3ブチルフェニル)カリウムである。
Figure 2006213917
(式(IV)中、R15は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を示し、R16およびR17はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Mは元素の周期表の第1族の金属原子、第2族の金属原子、アルミニウム、亜鉛を表し、Mが第1族の金属原子のときeは0をfは1を表し、Mが第2族の金属原子のときfは1または2を表し、fが1のときeは1を、fが2のときeは0を表し、Mがアルミニウムのときeは1をfは2を表す。)
上記一般式(IV)において、R15で示される炭素原子数1〜4個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第2ブチル基、イソブチル基などが挙げられ、R16およびR17で示される炭素原子数1〜12個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第2級ブチル基、第3級ブチル基、アミル基、第3級アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第3級オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、第3級ドデシル基などが挙げられる。
また、Mで示される第1族の金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、第2族の金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
一般式(IV)で示される芳香族リン酸の金属塩類として、好ましくはR15が水素原子であり、R16およびR17が第3級ブチル基である化合物であり、さらに好ましくは、金属原子がアルミニウムであるビス(2,4,8,10−テトラー第3ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩である。
また、一般式(IV)で示される芳香族リン酸の金属塩類は、ポリプロピレン系樹脂に対する分散性を考慮して、カルボン酸の金属塩類と混合して使用してもよい。カルボン酸の金属塩類に用いられるカルボン酸としては、芳香族カルボン酸以外のカルボン酸であり、例えば、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、βードデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸などの脂肪族モノカルボン酸、また、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、また、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸などの脂環式モノまたはポリカルボン酸が挙げられる。
また、前記カルボン酸の金属塩類に用いられる金属としては、元素の周期表の第1族の金属原子、第2族の金属原子から選択される金属が好ましい。第1族の金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、第2族の金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
前記カルボン酸の金属塩類としては、一般に、脂肪族モノカルボン酸と第1族の金属原子からなるカルボン酸の金属塩類が使用される。
前記一般式(II)、(III)および(IV)で表される有機系造核剤は、公知の合成法によって製造することができる。
本発明で用いられる造核剤(B)は、剛性と耐衝撃性の改良の観点から、より好ましくは、ヒドロキシ−ジ(p−tert−ブチル安息香酸)アルミニウム、ジナトリウム−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン−2,3−ジカルボキシラートである。
本発明で用いられる造核剤(B)の含有量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、好ましくは、0.01〜1重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。0.001重量部未満の場合、剛性、耐衝撃性の改良が不十分なことがあり、5重量部を超えた場合、耐衝撃性が低下することがあり、また、過剰になり、不経済なだけである。
本発明の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂組成物の230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)として、好ましくは、成形加工性を高めるという観点から、0.1〜400g/10分であり、より好ましくは、0.5〜300g/10分であり、さらに好ましくは、1〜200g/10分である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂(A)と、当該樹脂(A)100重量部に対して、造核剤(B)0.001〜5重量部とを、180℃以上で溶融混合し、得られた溶融混合物を、濾過精度(開き目)が30〜200μmであるフィルターを通過させる製造方法であって、前記フィルターを通過する前記溶融混合物の重量が、単位時間およびフィルターの単位面積あたり、1(kg/cm2・時)以上である製造方法である。
前記フィルターの濾過精度(開き目)は、好ましくは、30〜150μm、より好ましくは、40〜110μmである。
前記フィルターの濾過精度(開き目)とは、ポリプロピレン系樹脂(A)および造核剤(B)がフィルターを通過することのできる空間であり、濾過精度は、JIS−B8356の方法によりフィルターメディアを通過した最大グラスビーズの粒子径(μm)として測定された値である。
前記フィルターの濾過精度(開き目)が、上記範囲よりも小さい場合、ポリオレフィン樹脂組成物の濾過効率が悪くなったり、樹脂圧力が上昇し生産が不安定になることがあり、また、上記範囲よりも大きい場合は、得られたポリオレフィン樹脂組成物の剛性や耐衝撃性が低下することがある。
フィルターの材質は、金属製や樹脂製のいずれでもよく、好ましくは、ステンレス製である。好ましくは、SUS304、SUS316、SUS316L製のものである。
フィルターの形状は、取扱い易さの観点から、好ましくは、ディスク状(円形、半月形、長円形、ドーナツ形、角形)、円筒状である。
フィルターの種類としては、例えば、織金網、クリンプ金網、溶接金網、デミスター、スパイラル金網、積層金属フィルター、金属焼結フィルター等が挙げられる。織金網としては、平織の織金網、綾織の織金網、繻子織の織金網、平畳織の織金網、綾畳織の織金網等が挙げられる。金属焼結フィルターとしては、ミクロンオーダーのステンレス鋼(SUS316L)繊維の焼結によって製造されるフィルターが挙げられる。フィルターとして、好ましくは、金属焼結フィルターである。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法において、単位時間およびフィルターの単位面積あたりに、前記フィルターを通過する前記溶融混合物の重量は、1(kg/cm2・時)以上であり、好ましくは、2.0(kg/cm2・h)以上であり、より好ましくは、3.5(kg/cm2・h)以上である。
そして、単位時間およびフィルターの単位面積あたりに、前記フィルターを通過する前記溶融混合物の重量は、通常、20(kg/cm2・h)以下である。
なお、フィルターの面積は、溶融状態の樹脂が通過することができる表面積の合計であり、フィルターは1段式または多段式に、並列もしくは樹脂の通過方向に直列に設置して、使用してもよい。
本発明の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性等や外観の観点から、ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られる成形体(フィルム、シート、射出成形体等)の表面に発生するフィッシュアイの個数が少ない方が好ましい。フィッシュアイの測定は、目視、画像解析装置、フィッシュアイ連続計測装置等で測定することができる。フィッシュアイの個数としては、厚みが50μmのフィルムに含有される直径が100μm以上のフィッシュアイの個数を指標とする場合、フィルムの単位面積(100cm2)あたりの個数として、好ましくは2000個/100cm2未満、より好ましくは1500個/100cm2、さらに好ましくは1000個/100cm2未満である。また、厚みが50μmのフィルムに含有される直径が200μm以上のフィッシュアイの個数を指標とする場合、フィルムの単位面積(100cm2)あたりの個数として、好ましくは300個/100cm2未満、より好ましくは100個/100cm2、さらに好ましくは50個/100cm2未満である。
また、本発明の製造方法によって製造されるポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、公知の添加剤を配合してもよい。例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、着色剤、発泡剤、抗菌剤、有機系過酸化物、可塑剤、難燃剤、有機過酸化物、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。中でも、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤がよく用いられる。
中和剤としては、例えば、高級脂肪酸の金属塩(金属石鹸)、ハイドロタルサイト、アルカリ土類金属の酸化物または水酸化物等が挙げられる。これらの中和剤は、ポリプロピレン系樹脂製造時の触媒残渣である塩素化合物の中和を目的に配合されることがあり、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
例えば、高級脂肪酸の金属塩(金属石鹸)は、一般に公知の金属塩であり、高級脂肪酸としては、例えば、炭素原子数が10〜30個のものが好ましく、さらに好ましくは、炭素原子数が12〜18個のものである。金属塩としては、例えば、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩が好ましく、さらに好ましくはカルシウム塩である。一般によく用いられるのは、ステアリン酸のカルシウム塩である。
前記ハイドロタルサイトとは、下記一般式(V)で示されるアニオン交換性の層状化合物である。
〔M2+ 1-X3+ X(OH)2X+〔An- X/n・mH2O〕X- 式(V)
〔M2+ 1-X3+ X(OH)2X+が基本層であり、〔An- X/n・mH2O〕X-が中間層である。M2+は、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等の2価金属カチオンであり、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等の3価金属カチオンである。An-は、OH-、F-、Cl-、Br-、NO3-、CO3 2-、SO4 2-、Fe(CN)6 3-、CH3COO-、シュウ酸イオン、サリチン酸イオンなどのn価のアニオンであり、nは正の整数である。Xは、0<X≦0.33であり、mは正の数である。
上記ハイドロタルサイトは、天然鉱物であっても、合成品であっても良く、またその結晶構造、結晶粒子径、含水率等は、適宜、決定すればよい。また、必要に応じて、上記ハイドロタルサイトには表面処理を行ってもよい。
上記一般式で表されるハイドロタルサイトの中で、好ましくは下記式(VI)で表されるハイドロタルサイトである。
MgYAl2(OH)2Y+4CO3・mH2O 式(VI)
(式中、Yは、Y≧4であり、mは正の数である。)
より好ましくは、一般式(VI)のM2+が、Mg2+、Zn2+の何れか1種、または2種の2価金属カチオンから構成されるものであり、さらに好ましくは、下記のハイドロタルサイトである。
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3H2
Mg4.5Al2(OH)13(CO30.8・O0.2
Mg4Al2(OH)12CO3・3H2
Mg5Al2(OH)14CO3・4H2
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O(天然鉱物)
Zn4Al2(OH)12CO3・mH2O(mは0〜4)
Mg3ZnAl2(OH)12CO3・mH2O(mは0〜4)
アルカリ土類金属の酸化物または水酸化物とは、周期表第2族の金属原子の酸化物または水酸化物であり、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。好ましくは水酸化カルシウムである。
中和剤の配合量は、例えば、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜0.5重量部である。好ましくは0.005〜0.2重量部であり、より好ましくは0.01〜0.2重量部である。
また、酸化防止剤は、公知のものを使用することができ、酸化防止剤とは、ポリプロピレン系樹脂の熱、光、酸素、等による分解を防止する作用を有する化合物である。例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
好ましくは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤である。さらに好ましくは、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤と、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤とを組み合わせた酸化防止剤である。具体的には、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の組み合わせ、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の組み合わせ、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤の組み合わせである。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、トコフェロール類等が挙げられる。トコフェロール類としては、α−トコフェロールであるビタミンEが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤として、好ましくは、下記一般的(VII)で示される基を少なくとも1つ有するフェノール系酸化防止剤である。
Figure 2006213917
(式(VII)中、R18、R19は水素、メチル基、t―ブチル基を示し、これらは同一であってもよく、異なっていてもよい。)
式(VII)で示される基を少なくとも1つ有するフェノール系酸化防止剤としては、例えば、
テトラキス[メチレン−3(3’,5’ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
好ましくは、色相安定性に優れる樹脂組成物を得ることができるということから、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンである。
フェノール系酸化防止剤の配合量は、一般には、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部である。好ましくは0.01〜1重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
また、リン系酸化防止剤としては、例えば、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) 2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
好ましくは、樹脂組成物の加工安定性を良好にできるということから、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンである。
リン系酸化防止剤の配合量は、一般には、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部である。好ましくは0.01〜1重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
また、硫黄系酸化防止剤としては、例えば、
ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(C12〜C14)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等が挙げられる。
好ましくは、耐熱老化性に優れる樹脂組成物が得られるということから、ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(C12〜C14)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドである。
硫黄系酸化防止剤の配合量は、一般には、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部である。好ましくは0.01〜1重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
また、紫外線吸収剤としては、例えば、
フェニル サリシレート、4−t−ブチルフェニル サリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ミリスチル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ラウリル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、パルミチル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ステアリル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ベヘニル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、モンタニル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニル サリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
好ましくは、色相に優れる樹脂組成物が得られるということから、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ラウリル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、パルミチル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ステアリル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ベヘニル 3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである。
また、光安定剤としては、例えば、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートおよびメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(混合物)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステルおよび1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールと高級脂肪酸のエステル混合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタ−メチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオクスアスピロ(5,5)ウンデカン]ジメチル}−1,2,3,4ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
好ましくは、光安定性に優れる樹脂組成物が得られるということから、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1, 2,2,6,6−ペンタ−メチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステルおよび1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}である。
光安定剤の配合量は、一般には、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部である。好ましくは0.01〜1重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
添加剤の配合は、ポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)とからポリプロピレン系樹脂組成物を調製したのちに、更に添加剤を添加する方法や、ポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)と混合してポリプロピレン系樹脂組成物を製造する際に、添加剤を前記樹脂(A)及び造核剤(B)と混合する方法により行なうことができる。
本発明の製造方法によって製造されるポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)以外の他の樹脂やゴムなどを配合してもよい。
例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン/α−オレフィン系共重合体(L−LDPEやエラストマー)、ポリスチレン類(例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。
他の樹脂やゴムとしては、一般には、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−α−オレフィン系共重合体からなるエラストマーが使用され、エチレン−α−オレフィン系共重合体からなるエラストマーとしては、例えば、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体からなるエラストマーが挙げられ、メタロセン系触媒に代表される均一系触媒を用いて製造されるエラストマーが挙げられる。これらの他の樹脂は、単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
これら共重合体に含有されるα−オレフィンの含有量は、一般には、5〜50重量%であり、エチレン−α−オレフィン系エラストマーの190℃で測定されるMFRは、一般には、0.05〜50g/10分である。
前記のポリプロピレン系樹脂(A)以外の他の樹脂やゴムなどを配合は、ポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)とからポリプロピレン系樹脂組成物を製造したのちに、更に前記樹脂(A)以外の他の樹脂やゴムなどを配合する方法や、ポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)と混合してポリプロピレン系樹脂組成物を製造する際に、前記樹脂(A)以外の他の樹脂やゴムなどを前記樹脂(A)及び造核剤(B)と混合する方法により行なうことができる。
また、本発明の製造方法によって製造されるポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤を配合してもよい。
充填剤としては、例えば、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、珪酸カルシウム、ベントナイト、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、フェライト、アルミナ繊維、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球、金属粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化珪素繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、合成有機繊維、天然繊維、木粉等が挙げられる。
前記の充填剤の配合は、ポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)とからポリプロピレン系樹脂組成物を調製したのちに、更に充填剤を配合する方法や、ポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)と混合してポリプロピレン系樹脂組成物を製造する際に、充填剤を前記樹脂(A)及び造核剤(B)と混合する方法により行なうことができる。
また、着色剤としては、一般に使用されている公知の着色剤が挙げられ、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、前記充填材としても用いられる酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛や、弁柄、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、群青、コバルトブルー、チタンイエロー、鉛白、鉛丹、鉛黄、紺青等が挙げられ、有機顔料としては、例えば、キナクリドン、ポリアゾイエロー、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ペリレン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。これらの着色剤は単独で用いても良く、少なくとも2種類を併用しても良い。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造、および、ポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)、それに更に添加剤、前記の樹脂(A)以外の樹脂、ゴムや充填材等の配合は、180℃以上の溶融混合によって行うことができ、溶融混合の温度として、好ましくは180〜300℃、より好ましくは180〜250℃である。そして、溶融混練には、例えば、溶融押出機やバンバリーミキサー等を使用することができる。
また、本発明で用いられる造核剤(B)を配合する方法としては、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)と造核剤(B)を溶融混合して製造され、造核剤(B)の濃度が1〜90重量%である造核剤(B)の高濃度マスターバッチや、造核剤(B)と少なくとも1種の添加剤とを混合し、顆粒状に固形化し、造核剤(B)の濃度が10〜90重量%である造核剤(B)の高濃度顆粒物をあらかじめ用意し、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)に、希釈配合する方法が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法で用いられる溶融混練装置としては、公知の溶融混練装置が挙げられる。例えば、単軸押出機、二軸同方向回転押出機(Wernw Pfleideren製 ZSK[登録商標]や東芝機械(株)製 TEM[登録商標]、日本製鋼所(株)製 TEX[登録商標]等)、二軸異方向回転押出機(日本製鋼所(株)製 CMP[登録商標]、TEX[登録商標]、神戸製鋼所(株)製 FCM[登録商標]、NCM[登録商標]、LCM[登録商標]等)が挙げられる。
本発明の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂組成物の形状としては、例えば、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等が挙げられる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形加工へ適用するためには、得られる成形体の生産安定性の観点から、形状として好ましくは、長さが1〜50mmのペレット状である。
本発明の製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂組成物を各種成形方法によって、成形体を得ることができ、得られる成形体の形状やサイズ等は、適宜、決定すればよい。
前記成形体の製造方法としては、例えば、通常工業的に用いられている射出成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法、押出成形法等が挙げられ、また、目的に応じて、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物と同種のポリオレフィン系樹脂や他の樹脂と貼合する成形方法、共押出成形する方法等も挙げられる。
成形体として、好ましくは、射出成形法によって製造された射出成形体である。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。
成形体の用途としては、例えば、自動車材料、家電材料、OA機器材料、建材、医療用材料、排水パン、トイレタリー材料、各種ボトル、コンテナー、シート、フィルム等が挙げられる。
自動車材料としては、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメンタルパネル、コンソール、ロッカーパネル、アームレスト、ドアーパネル、スペアタイヤカバー等の内装部品等、および、バンパー、スポイラー、フェンダー、サイドステップ等の外装部品、その他エアインテークダクト、クーラントリザーブタンク、フェンダーライナー、ファン、アンダーデフレクター等の部品、また、フロント・エンドパネル等の一体成形部品等が挙げられる。
また、排水パンとしては、洗面所、洗濯機用防水パン等が挙げられる。トイレタリー材料としては、便座、便蓋、インナータンク、アウタータンク、ペーパーホルダー等が挙げられる。
また、家電材料としては、例えば、洗濯機用材料(外槽、内槽、蓋、パルセータ、バランサー等)、乾燥機用材料、掃除機用材料、炊飯器用材料、ポット用材料、保温機用材料、食器洗浄機用材料、空気清浄機用材料等が挙げられる。
OA機器・メディア関連材料としては、磁気記録媒体や光記録媒体のケース、パソコン用部品、プリンター用部品、インク保存タンク等が挙げられる。
医療用材料としては、輸液バッグ、注射筒等が挙げられる。ボトルとしては、食品、飲料水、洗剤等の充填用ボトル等が挙げられる。コンテナー材料としては、食品充填用容器、ビール等の運搬用コンテナー、衣装コンテナー、文具用コンテナー等が挙げられる。
シート材料としては、文具、雑貨用のシート等が挙げられる。フィルムとしては、各種包装用の延伸フィルム、未延伸フィルム、インフレーションフィルム等が挙げられる。
好ましい用途としては、自動車材料、家電材料、医療用材料、排水パン、トイレタリー材料、コンテナーである。
以下、実施例および比較例によって本発明を説明する。実施例および比較例で使用したポリプロピレン系樹脂、添加剤を下記に示した。
(1)ポリプロピレン系樹脂(成分(A))
プロピレン系ブロック共重合体(A−1)は特開平7−216017号公報の実施例5記載の方法、(A−2)および(A−3)は特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる触媒を用いて、下記物性のプロピレン系ブロック共重合体が得られるような条件で気相重合法またはバルク−気相重合法によって製造した。
(A−1)プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体
ブロック共重合体のMFR(230℃):26g/10分
ブロック共重合体のエチレン含量:7.4重量%
ブロック共重合体の極限粘度([η]total):1.4(dl/g)
[η]II/[η]I=2.52
重合体成分(I):プロピレン単独重合体成分
重合体成分(I)の立体規則性(mmmm分率):0.970
重合体成分(I)の極限粘度([η]I):1.07(dl/g)
重合体成分(I)の20℃キシレン可溶部(CXS(I)):0.80重量%
重合体成分(II):プロピレン−エチレン共重合体成分
重合体成分(II)の含有量:20重量%
重合体成分(II)のエチレン含有量:37重量%
重合体成分(II)の極限粘度([η]II):2.7(dl/g)
(A−2)プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体
ブロック共重合体のMFR(230℃):38g/10分
ブロック共重合体のエチレン含量:9.9重量%
ブロック共重合体の極限粘度([η]total):1.38(dl/g)
[η]II/[η]I=3.09
重合体成分(I):プロピレン単独重合体成分
重合体成分(I)の立体規則性(mmmm分率):0.983
重合体成分(I)の極限粘度([η]I):0.90(dl/g)
重合体成分(I)の20℃キシレン可溶部(CXS(I)):0.39重量%
重合体成分(II):プロピレン−エチレン共重合体成分
重合体成分(II)の含有量:25.5重量%
重合体成分(II)のエチレン含有量:38.8重量%
重合体成分(II)の極限粘度([η]II):2.78(dl/g)
(A−3)プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体
ブロック共重合体のMFR(230℃):27g/10分
ブロック共重合体のエチレン含量: 重量%
ブロック共重合体の極限粘度([η]total):1.48(dl/g)
[η]II/[η]I=4.09
重合体成分(I):プロピレン単独重合体成分
重合体成分(I)の立体規則性(mmmm分率):0.985
重合体成分(I)の極限粘度([η]I):0.99(dl/g)
重合体成分(I)の20℃キシレン可溶部(CXS(I)):0.30重量%
重合体成分(II):プロピレン−エチレン共重合体成分
重合体成分(II)の含有量:16.9重量%
重合体成分(II)のエチレン含有量:43.2重量%
重合体成分(II)の極限粘度([η]II):4.05(dl/g)
(2)造核剤(成分(B))
(B−1)AL−PTBBA(共同薬品(株)製)
化学名:ヒドロキシ−ジ(パラ−t−ブチル安息香酸)アルミニウム
平均粒子径:1.5μm
粒子径が10μm以上である粒子の割合:0重量%(検出されない)
(粒子径は、レーザー回折式の粒度分布測定器(Sympatec社製HELOS(商品名))を用いて測定した。)
(B−2)AL−PTBBA(共同薬品(株)製)
化学名:ヒドロキシ−ジ(パラ−t−ブチル安息香酸)アルミニウム
平均粒子径:4.8μm
粒子径が10μm以上である粒子の割合:11.4重量%
(粒子径は、レーザー回折式の粒度分布測定器(Sympatec社製HELOS(商品名))を用いて測定した。)
(B−3)Hyperform HPN−68L(ミリケン・ジャパン(株)製)
化学名:ジナトリウム=(1R,2R,3S,4S)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシラート(80%含有)
平均粒子径:1.8μm
粒子径が10μm以上である粒子の割合:0.5重量%(検出されなかった)。
(粒子径は、レーザー回折式の粒度分布測定器(Sympatec社製HELOS(商品名))を用いて測定した。)
(3)添加剤(成分C)
(C−1)カルシウムステアレート:共同薬品(株)製
(C−2)スミライザーGA80:住友化学(株)製
化学名:3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン
(C−3)アデカスタブPEP−24G:旭電化工業(株)製
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(4)他樹脂、エラストマー(成分D)
(D−1)低密度ポリエチレン(VL100:住友化学(株)製)
密度: 0.90 g/cm3
MFR: 0.8 g/10分
(JIS−K−6758に規定された方法に従って測定した。測定温度は190℃で、荷重は2.16kgで測定した。)
(D−2)エチレン/オクテン−1共重合体からなるエラストマー(ENGAGE8200、デュポン ダウ エラストマー ジャパン(株)製)
オクテン−1含有量:13 mol%
密度: 0.87 g/cm3
MFR: 4.2 g/10分
(JIS−K−6758に規定された方法に従って測定した。測定温度は190℃で、荷重は2.16kgで測定した。)
(5)フィルター
フィルターA:ファインポアNF15N(日本精線株式会社製、焼結金網フィルター)濾過精度:100μm
フィルターB:ファインポアNF13D(日本精線株式会社製、焼結金網フィルター)濾過精度:60μm
フィルターC:200メッシュ(織金網フィルター)濾過精度:87μm
フィルターD:50メッシュ(織金網フィルター)濾過精度:410μm
ポリプロピレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従って測定した。測定温度は230℃で、荷重は2.16kgで測定した。
(2)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定した。尚、試料は重合槽から採取した重合体パウダーを用いた。重合体成分(I)の場合、第一段階の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーを用いて測定し、これの極限粘度を [η]Iとした。
(3)重合体成分(I)及び(II)の割合、極限粘度([η]Total、[η]I、[η]II)の測定および算出
第一段階の重合工程で得た重合体成分(I)の極限粘度([η]I)、第二段階の重合工程後の最終重合体(成分(I)と成分(II)の合計)の前記(2)の方法で測定した極限粘度([η]Total)、最終重合体に含有される重合体成分(II)の含有量(重量比)から、第二段階目の工程で重合された重合体成分(II)の極限粘度[η]IIを、下記式から計算して求めた。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:2段階重合工程後の最終重合体の極限粘度(dl/g)
[η]I:1段階重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度(dl/g)
I:1段階目の工程で重合された成分の重量比
II:2段階目の工程で重合された成分の重量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求めた。
(4)プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体のプロピレン−エチレン共重合体成分(II)の含有量(単位:重量%)及びプロピレン−エチレン共重合体成分(II)中のエチレン含有量(単位:重量%)の算出
下記の条件で測定した13C−NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules 1982年,第15巻,第1150〜1152頁)に基づいて求めた。
10mmΦの試験管中で約200mgのプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体を3mlの混合溶媒(オルトジクロロベンゼン/重オルトクロロベンゼン=4/1(容積比))に均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13C−NMRスペクトルを下記の条件下で測定した。測定は、日本電子社製JNM−EX270を用いて行った。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
(5)立体規則性(mmmm分率)
プロピレン単独重合体成分(第一段階の重合槽からサンプリングしたパウダー)について測定を行った。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules, 第6巻, 第925頁 (1973年)に記載されている13C−NMRを使用して測定する方法によって得られるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖であり、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules, 第8巻, 第687頁 (1975年)に基づいて行った。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。なお、測定はBRUKER社製AM400を用いて行った。
(6)20℃キシレン可溶部の含有量(CXS(I)、単位:重量%)
重合体成分(I)のサンプル5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた後、20℃に降温させ4時間放置した。その後これを濾別し、20℃キシレン不溶部を分離した。濾液を濃縮、乾固してキシレンを蒸発させ、さらに減圧下60℃で乾燥することにより20℃キシレン可溶部を得た。この20℃キシレン可溶部の乾燥重量を測定して、以下の式に従い、20℃キシレン可溶部の含有量(CXS(I):重量%)を算出した。
CXS(I)=(20℃キシレン可溶部の乾燥重量/仕込み重合体成分(I)の重量)×100
(7)曲げ弾性率(単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、スパン長さが100mmである試験片を用いて、荷重速度は2.5mm/分で、測定温度は23℃で行った。
(8)引張り試験
ASTM D638に規定された方法に従って測定した。射出成形によって得られた厚みが3.2mmである試験片を用いて測定した。引張り速度は50mm/分であり、降伏強度(単位:MPa)、破断強度(単位:MPa)、破断伸び(%)を評価した。測定温度は23℃で行った。
(9)アイゾット衝撃強度(単位:KJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形によって得られた厚みが6.4mmであり、成形の後にノッチ加工された、ノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は−20℃で行った。
(10)耐衝撃性(落錘衝撃強度:FWI、単位:J)
図1に示した形状の鉄製の重錘を用いた以外は、JIS K7211の測定方法に従い、試験片の数の50%が破壊するときの衝撃エネルギーを求めた。測定温度は−20℃で実施した。
尚、試験片は射出成形によって得られたものを用いた。具体的には、MD×TD×厚み=400×100×3mmの長平板状試験片を数枚成形し、その試験片をTD方向に平行に5等分割し(すなわち、分割された1片は、MD×TD=80×100mmの長平板である。)、その中央部の3枚を試験片として使用した。
(射出成形体の作製)
上記の機械的特性評価用および落錘衝撃強度評価用の試験片(射出成形体)は下記の方法に従い作製した。
(1)機械的特性評価用試験片の作製
住友重機械製NEOMAT350/120型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃で射出成形を行い、機械的特性評価用試験片を得た。
(2)落錘衝撃強度評価用試験片の作製
住友重機械製NEOMAT515/150型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃で射出成形を行い、MD×TD×厚み=400×100×3mmの寸法の落錘衝撃強度評価用試験片を得た。
(11)フィッシュアイ(個/100cm2
Tダイ付き単軸押出機を用いて、下記条件で加工したフィルムを画像解析装置を用いて、下記の方法に従って定量解析した。
[フィルム加工条件]
田辺プラスティック機械株式会社製 単軸押出機V−20とフィルム引き取り装置で幅:50mm、厚み:50μmのフィルムを作成した。
[定量解析方法]
EPSON社製 スキャナーGT−9600でフィルムの画像(900dpi、8bit)をコンピューターに取り込み、その画像を旭エンジニアリング社製画像解析ソフト A像君 で2値化した。フィッシュアイは周辺より明るい部分として認識された。フィッシュアイの形状は不定形であるので、フィッシュアイと同じ面積となる円の直径をフィッシュアイの大きさであるとして、フィルム100cm2当たり、直径が100μm以上および200μm以上であるフィッシュアイの個数を求めた。
実施例1
[プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体(A−1)の製造方法]
[予備重合]
内容積3m3のジャケット付きのSUS製反応器中に、脱気・脱水されたn−へキサン、特開平7−216017号公報の実施例5に記載の方法で製造した固体触媒成分(A)、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン(B)、トリエチルアルミニウム(C)が、C/A=1.67mmol/g、B/C=0.13mmol/mmolの比率になるように供給して、プロピレンによる予備重合度が3.5(g・予備重合体/g・固体触媒成分(A))になるように予備重合触媒成分を調製した。
[本重合]
内容積248m3のジャケット付きのSUS製反応器中(第一槽)で、反応温度83℃、反応圧力2.1MPaGが保たれた条件で、前記予備重合で調製した予備重合触媒成分と、プロピレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度を3.7%に保つように供給しながら、粉末状のプロピレン単独重合体成分(以下、重合体成分(I)と省略する)の気相重合を連続的に行った。ついで、この重合体成分(I)の一部を、断続的に内容量115m3のジャケット付きのSUS製反応器中(第二槽)に移し、反応温度83℃、反応圧力1.7MPaGが保たれた条件で、プロピレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度を3.6vol%に保つように供給しながら、(重合体成分(I))の気相重合を継続した。第二槽による重合で得られた重合体成分(I)をサンプリングし分析した結果、極限粘度([η]I)は1.07dl/g、立体規則性(mmmm分率)は0.970であり、20℃キシレン可溶部(CXS(I))は0.75重量%であった。
引き続いて、第二槽で重合した重合体成分(I)の一部を、内容積219m3のジャケット付きのSUS製反応器中(第三槽)に移し、プロピレン及びエチレンによるエチレン−プロピレン共重合体成分(以下、重合体成分(II)と省略する)の重合を開始し、反応温度70℃で反応圧力を1.3MPa Gに保つようにプロピレン/エチレン=2/1(重量比)の割合で、プロピレン/エチレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度が2.3vol%に保たれるように調整しながら重合体成分(II)の気相重合を継続した。
ついで、反応器内(第三槽)の重合体成分(I)と重合体成分(II)からなる粉末を断続的に失活槽へ導き、水で触媒成分の失活処理を行った後、該粉末を65℃の窒素により乾燥して、プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体からなる白色の粉末状パウダーを得た。
得られたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体全体の極限粘度([η]Total)は、1.4dl/gであり、エチレン含量は7.4重量%であった。又、プロピレン単独重合体成分(重合体成分(I))とプロピレン−エチレン共重合体成分(重合体成分(II))の重合比は、最終的に得られたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体の重量とプロピレン単独重合体成分(重合体成分(I))の量から算出したところ、重量比で80/20であった。したがってプロピレン−エチレン共重合体成分(重合体成分(II))中のエチレンの含有量は37重量%であり、プロピレン−エチレン共重合体成分(重合体成分(II)の極限粘度([η]II)は2.7dl/gであった。
[造粒(溶融混練、濾過)]
得られたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体のパウダー100重量部に、添加剤(C−1、C−2、C−3)をそれぞれ0.05重量部、さらに、造核剤として、レーザー法で測定される平均粒子径が1.5μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が検出され無いヒドロキシ−ジ(パラ−t−ブチル安息香酸)アルミニウムの粒子(AL−PTBBA、共同薬品(株)製、B−1)0.1重量部をミキサーで混合することにより配合して、二軸混練機(バレル内径:φ246mm、スクリュー回転数:241rpm、シリンダー温度:200〜210℃の条件)を用いて、このプロピレン(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体のパウダーと上記添加剤からなる混合物を溶融混練し、この溶融混練物を二軸混練機のダイ部にセットした日本精線(株)製の金属焼結フィルター(NF15N:開き目(濾過精度)が100μm、円筒状フィルター、面積:2900m2)で濾過した後にダイ部より押出し、この押出物を冷水により冷却固化、切断してポリプロピレン系樹脂組成物からなるペレットを得た。このときの押出能力は12トン/時間であった。また、金属製フィルターの前圧は10〜12MPa、後圧は5MPa、差圧は5〜7MPaであり、このときの押出状態は安定しており、フィルターの消耗は少なかった。また、この溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、4.1(kg/cm2・h)であった。
(成形体の製造)
この得られたペレットを用いて、上記に示したように射出成形機によって物性評価用の試験片を作成し、状態調整後、物性を測定した。評価結果を表1に示した。
実施例2
実施例1で用いた造核剤(B−1)をレーザー法で測定される平均粒子径が4.8μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が11.4重量%のヒドロキシ−ジ(パラ−t−ブチル安息香酸)アルミニウムの粒子(B−2)に変更した以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。但し、金属製フィルターの差圧上昇が大きく、安定した溶融混練およびペレットの製造を行うため、ポリプロピレン樹脂組成物の押出能力は、9.5トン/時間であり、フィルターの消耗はやや早かった。この溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、3.3(kg/cm2・h)であった。結果を表1に示した。
Figure 2006213917
実施例3
実施例1で用いたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体(A−1)と低密度ポリエチレン(D−1)を94/6重量比で使用し、これを100重量部として、実施例1で用いた造核剤(B−1)を0.2重量部、実施例1で用いた添加剤を配合した以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。このときの押出能力は12トン/時間であった。また、金属製フィルターの前圧は10〜12MPa、後圧は5MPa、差圧は5〜12MPaであり、このときの押出状態は安定しており、フィルターの消耗は小さかった。また、この溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、4.1(kg/cm2・h)であった。結果を表2に示した。
実施例4
実施例3で用いた造核剤(B−1)の代わりに造核剤(B−2)を用いた以外は、実施例3記載の方法と同様に行った。但し、金属製フィルターの差圧上昇が大きく、安定した溶融混練およびペレットの製造を行うため、ポリプロピレン樹脂組成物の押出能力は、9.5トン/時間であり、フィルターの消耗はやや早かった。この溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、3.3(kg/cm2・h)であった。結果を表2に示した。
Figure 2006213917
実施例5
実施例1で用いたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体(A−1)100重量部、造核剤(B−1)0.1重量部、添加剤(C−1、C−2、C−3)をそれぞれ0.05重量部配合し、タンブラーにより混合物を作製した。この混合物を、実施例1で用いた金属焼結フィルター(NF15N:開き目(濾過精度)が100μm、円形状、面積:14.5cm2)をダイ部にセットした内径40mmの単軸押出機(田辺製作所製)にて設定温度:220℃、スクリュー回転数:100rpm、押出量:16kg/時間の条件で加熱溶融混練し、これをフィルターで濾過した後にダイ部より押出し、この押出物を冷水により冷却固化、切断してプロピレン系樹脂組成物からなるペレットを得た。また、この条件における、ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、1.1(kg/cm2・h)であった。
この得られたペレットを用いて、上記に示したように射出成形機によって物性評価用の試験片を作成し、状態調整後、物性を測定した。評価結果を表3に示した。
実施例6
実施例5で用いた金属焼結フィルターを表3に記載のように、フィルターBに変更した以外は、実施例5と同様に行った。結果を表3に示した。
比較例1、2、3
実施例5で用いた造核剤(成分B)、金属焼結フィルターを表3に記載のように変更した以外は、実施例5と同様に行った。結果を表3に示した。
Figure 2006213917
[共通配合]
成分A:A−1:100(重量部)
成分C:C−1/C−2/C−3:0.05/0.05/0.05(重量部)
実施例7
実施例1で用いたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体(A−1)、低密度ポリエチレン(D−1)を94/6重量比で使用し、これを100重量部として、造核剤(B−1)0.1重量部、添加剤(C−1、C−2、C−3)をそれぞれ0.05重量部配合し、タンブラーにより混合物を作製した。この混合物を、実施例3で用いた金属焼結フィルター(NF15N:開き目(濾過精度)が100μm、円形状、面積:14.5cm2)をダイ部にセットした内径40mmの単軸押出機(田辺製作所製)にて設定温度:220℃、スクリュー回転数:100rpm、押出量:16kg/時間の条件で加熱溶融混練し、これをフィルターで濾過した後にダイ部より押出し、この押出物を冷水により冷却固化、切断してプロピレン系樹脂組成物からなるペレットを得た。また、この条件における、ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、1.1(kg/cm2・h)であった。
この得られたペレットを用いて、上記に示したように射出成形機によって物性評価用の試験片を作成し、状態調整後、物性を測定した。評価結果を表4に示した。
実施例8、9
実施例7で用いた金属焼結フィルターを表4に記載のように変更した以外は、実施例7と同様に行った。結果を表4に示した。
実施例10
実施例7で用いた低密度ポリエチレン(D−1)の代わりに、エチレン/オクテン−1共重合体からなるエラストマー(ENGAGE8200、デュポン ダウ エラストマー ジャパン(株)製)に変更した以外は、実施例7と同様に行った。結果を表4に示した。
比較例4
実施例7で用いた金属焼結フィルターを表4に記載のように、フィルターDに変更した以外は、実施例7と同様に行った。結果を表4に示した。
Figure 2006213917
[共通配合]
成分C:C−1/C−2/C−3:0.05/0.05/0.05(重量部)
実施例11
[プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体(A−2)の製造方法]
内容積0.36m3のSUS製ループ型液相重合反応器をプロピレンで十分置換したのち、トリエチルアルミニウム0.105mol/時間及びt−ブチルn−プロピルジメトキシシラン0.0057mol/時間を供給し、さらに内温を45〜55℃、圧力をプロピレン及び水素で3.3〜3.4MPaGに調整し、固体触媒成分(特開2004−182981号公報の実施例1に記載の方法で合成した)0.040〜0.050kg/時間を連続して供給して重合を開始した。ループ型液相重合反応器で生成された重合体は気相重合反応器へ抜き出される。気相重合反応器は3槽で構成され、第1槽(内容積が45.75m3)は反応温度70℃で反応圧力1.9MPaGを保つようにプロピレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度を17.5〜18.5vol%に保つように供給しながらプロピレン単独重合体成分の気相重合を継続した。ついで、この第一槽で重合したプロピレン単独重合体成分を断続的に第二槽へ導入した。第二槽(内容積が22.68m3)は反応温度70℃で反応圧力1.5MPaGを保つようにプロピレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度を17.5〜18.5vol%に保つように供給しながら気相重合を継続し、プロピレン単独重合体成分(以下、重合体成分(I)と省略する)を生成した。ついで、この第二槽で重合したプロピレン単独重合体成分(重合体成分(I))を断続的に第三槽へ導入した。第三槽(内容積が40.59m3)は反応温度70℃で反応圧力1.1MPaGを保つようにプロピレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度を2.5〜3.5vol%、気相部のエチレン濃度を24〜25vol%に保つように供給しながらプロピレン−エチレン共重合体成分(以下、重合体成分(II)と省略する)の気相重合を継続した。ついで、反応器内(第三槽)の重合体成分(I)と重合体成分(II)からなる粉末を断続的に失活槽へ導き、水で触媒成分の失活処理を行った後、該粉末を80℃の窒素により乾燥して、プロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体からなる白色の粉末状パウダーを得た。
第二槽で重合した重合体成分(I)を少量採取して分析した結果、この重合体成分(I)の極限粘度([η]I)は0.90dl/gであり、立体規則性(mmmm分率)は0.983であり、20℃キシレン可溶部(CXS(I))は0.39重量%であり、得られたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体全体の極限粘度([η]Total)は1.38dl/gであり、MFRは38(g/10分)、エチレン含有量は9.9重量%であった。又、プロピレン単独重合体成分(重合体成分(I))とプロピレン−エチレン共重合体成分(重合体成分(II))の重合比は、最終的に得られたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体の重量とプロピレン単独重合体成分(重合体成分(I))の量から算出したところ、重量比で74.5/25.5であった。したがって、プロピレン−エチレン共重合体成分(重合体成分(II))中のエチレン含有量は38.8重量%であり、重合体成分(II)の極限粘度([η]II)は2.78dl/gであった。
[造粒(溶融混練、濾過)]
得られたプロピレン(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体のパウダー100重量部に、添加剤(C−1、C−2、C−3)をそれぞれ0.05重量部、さらに、造核剤として、レーザー法で測定される平均粒子径が1.5μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が検出され無いヒドロキシ−ジ(パラ−t−ブチル安息香酸)アルミニウムの粒子(B−1)0.1重量部を配合して、タンブラーにより混合物を作製した。この混合物を、実施例1で用いた金属焼結フィルター(NF15N:開き目(濾過精度)が100μm、円形状、面積:14.5cm2)をダイ部にセットした内径40mmの単軸押出機(田辺製作所製)にて設定温度:220℃、スクリュー回転数:100rpm、押出量:16kg/時間の条件で加熱溶融混練し、これをフィルターで濾過した後にダイ部より押出し、この押出物を冷水により冷却固化、切断してプロピレン系樹脂組成物からなるペレットを得た。また、この条件における、ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、1.1(kg/cm2・h)であった。
この得られたペレットを用いて、上記に示したように射出成形機によって物性評価用の試験片を作成し、状態調整後、物性を測定した。評価結果を表3に示した。結果を表3に示した。
実施例12、13、比較例5
実施例11で用いた金属焼結フィルターを表5に記載のように変更した以外は、実施例11と同様に行った。結果を表5に示した。
Figure 2006213917
[共通配合]
成分C:C−1/C−2/C−3:0.05/0.05/0.05(重量部)
実施例14
実施例1で用いたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体(A−1)100重量部、造核剤(B−1)1.0重量部、添加剤(C−1、C−2、C−3)をそれぞれ0.05重量部配合し、タンブラーにより混合物を作製した。この混合物を、実施例1で用いた金属焼結フィルター(NF13D:開き目(濾過精度)が60μm、円形状、面積:2.8cm2)をダイ部にセットした内径15mmの二軸混練機(テクノベル社製KZW15−45MG、内径:15mm、L/D=45)にて設定温度:230℃、スクリュー回転数:300rpmで加熱溶融混練し、これをフィルターで濾過した後にダイ部より連続的に押出すことにより、ポリプロピレン系樹脂組成物の生産性を評価した(押出量:10kg/時間)。60分間経過後のフィルターの差圧を測定したところ、4MPaであり、継続して押出が可能であった。また、この条件における、ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、3.6(kg/cm2・h)であった。
実施例15
実施例14で使用した造核剤(B−1)の配合量を5重量部、生産性評価の条件である二軸混練機のスクリュー回転数を150rpm、ポリプロピレン系樹脂組成物の押出量を3kg/時間に変更した以外は、実施例14に記載の方法と同様に行うことで生産性を評価した。30分間経過後、60分間経過後のフィルターの差圧を測定したところ、それぞれ1.5MPa、1.9MPaであり、さらに継続して押出が可能であった。また、この条件における、ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、1.1(kg/cm2・h)であった。
実施例16
実施例5で用いたプロピレン−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体(A−1)の代わりに(A−3)100重量部、造核剤(B−1)0.1重量部、添加剤(C−1、C−2、C−3)をそれぞれ0.05重量部配合し、タンブラーにより混合物を作製した。この混合物を、実施例5で用いた金属焼結フィルター(フィルターA)の代わりにフィルターB(NF13D:開き目(濾過精度)が60μm、円形状、面積:14.5cm2)をダイ部にセットした内径40mmの単軸押出機(田辺製作所製)にて設定温度:220℃、スクリュー回転数:100rpm、押出量:16kg/時間の条件で加熱溶融混練し、これをフィルターで濾過した後にダイ部より押出し、この押出物を冷水により冷却固化、切断してプロピレン系樹脂組成物からなるペレットを得た。また、この条件における、ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融混練物が金属製フィルターを通過する重量は、単位時間および金属製フィルターの単位面積あたり、1.1(kg/cm2・h)であった。
この得られたペレットを用いて、上記に示したように射出成形機によって物性評価用の試験片を作成し、状態調整後、物性を測定した。また、厚み:50μのフィルムを作製してフィッシュアイを測定した。評価結果を表6に示した。
実施例17
実施例16で用いた造核剤を表6に記載のように変更した以外は、実施例16と同様に行った。結果を表6に示した。
比較例6
実施例17で用いた金属焼結フィルターを表6に記載のように変更した以外は、実施例17と同様に行った。結果を表6に示した。
比較例7
実施例16で用いた造核剤を表6に記載のように用いなかった以外は、実施例16と同様に行った。結果を表6に示した。
Figure 2006213917
[共通配合]
成分C:C−1/C−2/C−3:0.05/0.05/0.05(重量部)
本発明の要件を満足する実施例1〜4は、剛性と耐衝撃性と引張伸びのバランスに優れ、フィルター差圧上昇が小さく生産性がよいことが分かる。中でも、造核剤として、レーザー回折式測定法で求められる平均粒子径が0.01〜3μmであり、粒子径が10μm以上である粒子の割合が5重量%未満である粒子からなる造核剤を用いた実施例1および実施例3はフィルター差圧がより小さく生産性がよいことが分かる。
また、本発明の要件を満足する実施例5〜6は、剛性と耐衝撃性と引張伸びのバランスに優れることが分かる。
これに対して、フィルターの濾過精度が410μmであるフィルターを使用した本発明の要件を満足しない比較例1〜2は耐衝撃性が劣り、造核剤を配合しなかった比較例3は、剛性とアイゾッド衝撃強度が劣ることが分かる。
また、本発明の要件を満足する実施例7〜9は、剛性と耐衝撃性と引張伸びのバランスに優れ、フィルター差圧上昇が小さく生産性がよいことが分かる。
これに対して、フィルターの濾過精度が410μmであるフィルターを使用した本発明の要件を満足しない比較例4は、引張伸びが劣ることが分かる。
また、本発明の要件を満足する実施例11〜13は、剛性と耐衝撃性のバランスに優れることが分かる。
これに対して、フィルターの濾過精度が410μmであるフィルターを使用した本発明の要件を満足しない比較例5は、耐衝撃性が劣ることが分かる。
また、本発明の要件を満足する実施例14および15は、フィルター差圧上昇が小さく生産性がよいことが分かる。
また、本発明の要件を満足する実施例16および17は、剛性と耐衝撃性のバランスに優れることが分かる。
これに対して、フィルターの濾過精度が410μmであるフィルターを使用した本発明の要件を満足しない比較例6は、耐衝撃性が劣り、造核剤を配合しなかった比較例7は、剛性が劣ることが分かる。
落錘衝撃強度試験用重錘の略図である。

Claims (3)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)と、当該樹脂(A)100重量部に対して、造核剤(B)0.001〜5重量部とを、180℃以上で溶融混合し、得られた溶融混合物を、濾過精度(開き目)が30〜200μmであるフィルターを通過させるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、前記フィルターを通過する前記溶融混合物の重量が、単位時間およびフィルターの単位面積あたり、1(kg/cm2・時)以上であるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法において、
    フィルターを通過する溶融混合物の重量が、単位時間およびフィルターの単位面積あたり、3(kg/cm2・時)以上であるポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法において、ポリプロピレン系樹脂(A)として、下記の要件(a)、(b)、(c)および(d)を満足するプロピレン系ブロック共重合体を用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法。
    要件(a):
    重合体成分(I)および重合体成分(II)からなるプロピレン系ブロック共重合体であり、
    重合体成分(I)が、135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]I)が0.1〜5(dl/g)のプロピレン単独重合体であり、
    重合体成分(II)が、エチレンおよび炭素数4〜12のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のモノマーと、プロピレンとを共重合して得られ、135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]II)が1〜20(dl/g)の共重合体である。
    要件(b):
    重合体成分(I)の13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上である。
    要件(c):
    重合体成分(II)に含有されるエチレンおよび炭素数4〜12のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のモノマーの含有量が、1〜80重量%である(ただし、重合体成分(II)の全量を100重量%とする)。
    要件(d):
    重合体成分(II)の含有量が、1〜70重量%である(ただし、プロピレン系ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
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