JP2002332387A - ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体

Info

Publication number
JP2002332387A
JP2002332387A JP2002058614A JP2002058614A JP2002332387A JP 2002332387 A JP2002332387 A JP 2002332387A JP 2002058614 A JP2002058614 A JP 2002058614A JP 2002058614 A JP2002058614 A JP 2002058614A JP 2002332387 A JP2002332387 A JP 2002332387A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
weight
resin composition
polypropylene resin
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002058614A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4019748B2 (ja
Inventor
Susumu Kanzaki
進 神崎
Mitsushige Tsuji
光慈 辻
Wake Wakamatsu
和気 若松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2002058614A priority Critical patent/JP4019748B2/ja
Publication of JP2002332387A publication Critical patent/JP2002332387A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4019748B2 publication Critical patent/JP4019748B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29BPREPARATION OR PRETREATMENT OF THE MATERIAL TO BE SHAPED; MAKING GRANULES OR PREFORMS; RECOVERY OF PLASTICS OR OTHER CONSTITUENTS OF WASTE MATERIAL CONTAINING PLASTICS
    • B29B7/00Mixing; Kneading
    • B29B7/74Mixing; Kneading using other mixers or combinations of mixers, e.g. of dissimilar mixers ; Plant
    • B29B7/7476Systems, i.e. flow charts or diagrams; Plants
    • B29B7/7495Systems, i.e. flow charts or diagrams; Plants for mixing rubber

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形体にした場合、フローマークの発生が起
こりにくく、即ち、ダイスウェルが高く、ブツの発生が
少ない等の外観に優れ、かつ剛性と靭性のバランスに優
れたポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法および
それからなる射出成形体を提供する。 【解決手段】 135℃のテトラリン中で測定される極
限粘度[η]A1が5dl/g以上であり、示差走査熱量
計によって測定される融解ピーク温度TmA1が130〜
160℃であるプロピレンを主体とする単量体を重合し
て得られるプロピレン系重合体成分(A1)0.5〜1
0重量%と135℃のテトラリン中で測定される極限粘
度[η]A2が5dl/g未満であるプロピレンを主体と
する単量体を重合して得られるプロピレン系重合体成分
(A2)90〜99.5重量%からなるポリプロピレン
系樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる射出成
形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体
に関するものである。さらに詳細には、成形体にした場
合、フローマークの発生が起こりにくく、即ち、ダイス
ウェルが高く、ブツの発生が少ない等の外観に優れ、か
つ剛性と靭性のバランスに優れるポリプロピレン系樹脂
組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性や
耐衝撃性等に優れる材料であり、自動車内外装材や電気
部品箱体等の成形体として、広範な用途に利用されてい
る。そのポリプロピレン系樹脂組成物の中でも、プロピ
レン−エチレンブロック共重合体からなるポリプロピレ
ン系樹脂組成物、例えば、プロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体とプロピレン単独重合体、または、異なる2
種類以上のプロピレン−エチレンブロック共重合体から
なるポリプロピレン系樹脂組成物が、剛性や耐衝撃性等
に優れ、好適に使用されることは、従来から良く知られ
ている。
【0003】例えば、特開平7−157626号公報に
は、多段重合により得られるプロピレン−エチレンブロ
ック共重合体とポリオレフイン系ゴムとを含む熱可塑性
樹脂組成物が記載されている。プロピレン−エチレンブ
ロック共重合体としては、プロピレン−エチレンランダ
ム共重合相のエチレン含有量が5〜50重量%であり、
その共重合相の極限粘度が4.0〜8.0dl/gであ
るプロピレン−エチレンブロック共重合体とエチレン含
有量が50重量%を超え98重量%以下であり、極限粘
度が2.0dl/g以上4.0dl/g未満であるプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体からなるものが用い
られており、そして、極めて延性の大きい熱可塑性樹脂
組成物が得られることが記載されている。
【0004】特開平7−157627号公報には、多段
重合により得られるプロピレン−エチレンブロック共重
合体とポリオレフイン系ゴムとを含む熱可塑性樹脂組成
物が記載されている。プロピレン−エチレンブロック共
重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合
相の極限粘度が4.0〜8.0dl/gであるブロック
共重合体と極限粘度が2.0dl/g以上4.0dl/
g未満であるブロック共重合体(但し、プロピレン−エ
チレンランダム共重合相の極限粘度が4.0〜8.0d
l/gであり、その共重合相のエチレン含有量が5〜5
0重量%であるプロピレン−エチレンブロック共重合
体、および、極限粘度が2.0dl/g以上4.0dl
/g未満であり、エチレン含有量が50重量%を超え9
8重量%以下であるプロピレン−エチレンブロック共重
合体を除く)からなるものが用いられており、そして、
極めて延性の大きい熱可塑性樹脂組成物が得られること
が記載されている。
【0005】また、特開平7−233305号公報に
は、ポリプロピレン、無機フイラー、炭素数が15〜2
0で構成される脂肪酸と亜鉛の金属石鹸からなる向上し
たメルトインデックスを有するポリプロピレン樹脂組成
物が記載されている。ポリプロピレンとしては、プロピ
レンとエチレンの共重合部の[η]が2〜6dl/gで
ある共重合部と7〜15dl/gである共重合部を含む
ブロック共重合体が記載され、好ましい態様としては、
少なくとも2種類のブロック共重合体からなるものが記
載されている。そして、衝撃強さ、剛性、耐熱性等の低
下が実用上問題無く、流動性を改良し、薄肉化された成
形品を製造するに適し、ペレット化による黄、ピンクヘ
の変色、金型の表面、射出成形品表面への浮き出し物が
少ないポリプロピレン樹脂組成物が得られることが記載
されている。
【0006】ところで、近年、剛性や耐衝撃性等に優れ
ることから好適に使用されるプロピレン−エチレンブロ
ック共重合体は、製造工程が簡便であり、低価格で製造
できる連続式の気相法により製造されるようになってき
た。ところが、一般に、気相法で製造されるプロピレン
−エチレンブロック共重合体は、そのプロピレン−エチ
レンランダム共重合部分の極限粘度を高く設定すると、
ブツが発生し、成形体の外観が悪くなるという問題を有
している。
【0007】このような外観の問題を解決する方法とし
ては、例えば、特開平7−286075号公報には、連
続重合法で製造された23℃n−デカン可溶成分含有量
が0〜15重量%未満であり、かつこの23℃n−デカ
ン可溶成分が、エチレンから誘導される構成単位を30
〜60モル%の量で含有し、極限粘度[η]が3〜7d
l/gであるプロピレン重合体とバッチ式溶媒重合法又
は連続式溶媒重合法で製造された23℃n−デカン可溶
成分含有量が15〜40重量%であり、かつこの23℃
n−デカン可溶成分が、エチレンから誘導される構成単
位を30〜60モル%の量で含有し、極限粘度[η]が
5〜12dl/gであるプロピレンブロック共重合体か
らなるプロピレン重合体組成物が記載されており、剛性
及び耐衝撃性に優れ、外観にブツを発生することなく成
形物を形成することができるようなプロピレン重合体組
成物が得られることが記載されているが、ブツの発生に
ついては、さらなる改良が望まれていた。
【0008】一方、WO98/54233号公報には、
極限粘度[η]が9〜13dl/gの高分子量ポリプロ
ピレン含有量が15〜30重量%であり、Mw/Mnで
示される分子量分布が20以上で、かつMz/Mwで示
される分子量分布が7以上であり、射出成形品を成形し
た場合、この射出成形品の表面に形成されるスキン層の
厚みが300μm以上であるポリプロピレン樹脂組成物
が記載されており、軽量で、剛性および耐熱性が著しく
高く、かつ成形時の流動性もよく加工性に優れたポリプ
ロピレン樹脂組成物を提供できることが記載されてい
る。
【0009】しかし、射出成形品の表面に形成されるス
キン層の厚みが増加すると、破断伸度(引っ張り伸
び)、即ち、靭性が低下することが、例えば、Plas
ticsAge、5月号、1980年、第93頁、図
2.27に記載されており、上記WO98/54233
号公報に記載されているポリプロピレン樹脂組成物につ
いては、剛性と靭性のバランスの改良が望まれていた。
【0010】また、特開2000−226478号公報
には、極限粘度[η]が6〜11dl/gの高分子量ポ
リプロピレンと極限粘度[η]が0.6〜1.6dl/
gの低分子量ポリプロピレンとを含み、Mw/Mnで示
される分子量分布が8以上であるポリプロピレン樹脂組
成物が記載され、軽量で、剛性および耐熱性が著しく高
く、しかも耐傷付性に優れ、かつ成形時の流動性もよ
く、成形時に割れが発生しない成形性に優れたポリプロ
ピレン樹脂組成物を提供できることが記載されている。
しかし、上記特開2000−226478号公報の実施
例に記載されているポリプロピレン樹脂組成物の破断点
伸びは8〜16%であり、剛性と靭性のバランスの改良
が望まれていた。
【0011】上述したとおり、成形体にした場合に、成
形体の表面にフローマークが発生しにくく、即ち、ダイ
スウェルが高く、かつブツの発生も実用上問題がないほ
どに優れた外観特性を有し、かつ剛性と靭性のバランス
に優れたポリプロピレン系樹脂組成物の開発が望まれて
いた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
体にした場合、フローマークの発生が起こりにくく、即
ち、ダイスウェルが高く、ブツの発生が少ない等の外観
に優れ、かつ剛性と靭性のバランスに優れたポリプロピ
レン系樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる射
出成形体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み、鋭意検討した結果、極限粘度が5dl/g以
上であり、融解ピーク温度が特定の範囲であり、含有量
が一定範囲であるプロピレンを主体とする単量体を重合
して得られるプロピレン系重合体成分と、極限粘度が5
dl/g未満であり、含有量が一定範囲であるプロピレ
ンを主体とする単量体を重合して得られるプロピレン系
重合体成分からなるポリプロピレン系樹脂組成物、その
製造方法およびそれからなる射出成形体が上記課題を解
決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】すなわち、本発明は、135℃のテトラリ
ン中で測定される極限粘度[η]A1が5dl/g以上で
あり、示差走査熱量計によって測定される融解ピーク温
度TmA1が130〜160℃であるプロピレンを主体と
する単量体を重合して得られるプロピレン系重合体成分
(A1)0.5〜10重量%と135℃のテトラリン中
で測定される極限粘度[η]A2が5dl/g未満である
プロピレンを主体とする単量体を重合して得られるプロ
ピレン系重合体成分(A2)90〜99.5重量%から
なることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、そ
の製造方法およびそれからなる射出成形体に係るもので
ある。以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるプロピレン系
重合体成分(A1)は、プロピレンを主体とする単量体
を重合して得られるプロピレン系重合体であり、例え
ば、プロピレンを単独重合して得られるプロピレン単独
重合体、プロピレンとエチレンを共重合して得られるプ
ロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭
素原子数4〜12のα−オレフィンを共重合して得られ
るプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙
げられ、好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重
合体である。
【0016】プロピレン−エチレンランダム共重合体の
エチレン含有量は、通常、0.5〜8重量%であり、好
ましくは1〜7重量%である。
【0017】プロピレン−α−オレフィンランダム共重
合体で用いられる炭素原子数4〜12のα−オレフィン
としては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、
4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1等
が挙げられ、好ましくはブテン−1である。α−オレフ
ィンの含有量は、通常、1〜20重量%であり、好まし
くは2〜15重量%である。
【0018】プロピレン−α−オレフィンランダム共重
合体としては、例えば、プロピレン−ブテン−1ランダ
ム共重合体、プロピレン−ヘキセン−1ランダム共重合
体等が挙げられ、好ましくはプロピレン−ブテン−1ラ
ンダム共重合体である。
【0019】本発明で用いられるプロピレン系重合体成
分(A1)の135℃のテトラリン中で測定される極限
粘度[η]A1は5dl/g以上であり、好ましくは6d
l/g以上であり、成分(A1)の分散性の観点から、
さらに好ましくは6〜9dl/gである。極限粘度
[η]A1が5dl/g未満の場合、高いダイスウェルが
得られず、フローマークの発生防止が不充分である場合
がある。
【0020】本発明で用いられるプロピレン系重合体成
分(A1)の示差走査熱量計によって測定される昇温サ
ーモグラムの融解ピーク温度TmA1は130〜160℃
であり、好ましくは135〜155℃である。TmA1
130℃未満の場合、高い剛性が得られないことがあ
り、160℃を超えた場合、十分な引っ張り伸び特性が
得られなかったり、成分(A1)の分散が不十分である
ために、ブツが多く発生したりすることがある。
【0021】本発明で用いられるプロピレン系重合体成
分(A2)は、プロピレンを主体とする単量体を重合し
て得られるプロピレン系重合体であり、具体的には、プ
ロピレンを単独重合して得られるプロピレン単独重合
体、前述のプロピレン系重合体成分(A1)と同様な共
重合組成範囲のプロピレンとエチレンを共重合して得ら
れるプロピレン−エチレンランダム共重合体及びプロピ
レンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンを共重合し
て得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合
体、並びにプロピレン−エチレンブロック共重合体等が
挙げられ、炭素原子数4〜12のα−オレフィンとして
も、前述と同様のものが挙げられる。本発明で用いられ
るプロピレン系重合体成分(A2)の135℃のテトラ
リン中で測定される極限粘度[η]A2は5dl/g未満
であり、好ましくは0.7dl/g以上5dl/g未満
であり、より好ましくは0.9〜4dl/gである。
【0022】本発明で用いられるプロピレン系重合体成
分(A1)の含量は0.5〜10重量%であり、好まし
くは1〜7重量%である。なお、プロピレン系重合体成
分(A1)とプロピレン系重合体成分(A2)の合計含
量を100重量%とする。
【0023】プロピレン系重合体成分(A1)の含量が
0.5重量%未満の場合、高いダイスウェルが得られ
ず、フローマークの発生防止が不充分である場合があ
り、プロピレン系重合体成分(A1)の含量が10重量
%を超えた場合、ポリプロピレン樹脂組成物のメルトフ
ローレート(MFR)が低下し、流動性が低下すること
がある。
【0024】本発明で用いられるプロピレン系重合体成
分(A2)としては、本発明のポリプロピレン系樹脂組
成物の剛性と靭性のバランスの観点から、好ましくは、
極限粘度[η]B Pが1.5dl/g以下であるプロピレ
ン重合体成分(B)と極限粘度[η]C EPが8dl/g
以下でありエチレン含有量が20〜70重量%であるプ
ロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C)からな
り、極限粘度[η]A2が5dl/g未満である組成物
(A2−1)、プロピレン−エチレンブロック共重合体
(i)又は前記プロピレン−エチレンブロック共重合体
(i)とプロピレン重合体(ii)との混合物(ii
i)から選ばれた、極限粘度[η]B Pが1.5dl/g
以下であるプロピレン重合体成分(B)と極限粘度
[η]C EPが8dl/g以下でありエチレン含有量が2
0〜70重量%であるプロピレン−エチレンランダム共
重合体成分(C)から構成され、極限粘度[η]A2が5
dl/g未満であるポリプロピレン系樹(D)(組成物
(A2−2))、またはプロピレン重合体成分(B)お
よびポリプロピレン系樹脂(D)からなり、極限粘度
[η] A2が5dl/g未満である組成物(A2−3)で
ある。
【0025】組成物(A2−1)の説明 組成物(A2−1)は、プロピレン重合体成分(B)と
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C)から
なり、極限粘度[η]A2が5dl/g未満の組成物であ
る。組成物(A2−1)に用いられるプロピレン重合体
成分(B)とは、プロピレンを単独重合して得られるプ
ロピレン単独重合体、または、プロピレンと炭素原子数
4〜12のα−オレフィンを共重合して得られるプロピ
レン−α−オレフィンランダム共重合体である。炭素原
子数4〜12のα−オレフィンおよびプロピレン−α−
オレフィンランダム共重合体として、具体的には、前述
のものが挙げられる。
【0026】(A2−1)に用いられるプロピレン重合
体成分(B)の極限粘度[η]B Pは、ポリプロピレン系
樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)や流動性の
観点から、1.5dl/g以下が好ましく、さらに好ま
しくは0.7〜1.5dl/gである。
【0027】(A2−1)に用いられるプロピレン重合
体成分(B)の13C−NMRを用いて測定され、計算さ
れるアイソタクチックペンタッド分率としては、剛性、
耐熱性等の観点から、好ましくは0.95以上であり、
さらに好ましくは0.97以上である。
【0028】(A2−1)に用いられるプロピレン−エ
チレンランダム共重合体成分(C)に含有されるエチレ
ンの含量[(C2’)EP]は、耐衝撃性の観点から、2
0〜70重量%が好ましく、より好ましくは25〜65
重量%である。
【0029】(A2−1)に用いられるプロピレン−エ
チレンランダム共重合体成分(C)の極限粘度[η]C
EPは、成形品にブツが多発することを防止するという観
点から、8dl/g以下が好ましく、より好ましくは6
dl/g以下、さらに好ましくは1.5〜5dl/g、
最も好ましくは1.5〜4dl/gである。
【0030】上記のブツとは、ポリプロピレン系樹脂組
成物においてプロピレン−エチレンランダム共重合体成
分(C)の分散性が悪いために生じる、主にプロピレン
−エチレンランダム共重合体成分(C)からなる塊状物
であり、その大きさは100〜数百μm程度のものであ
る。ブツが多く存在する材料を使用して射出成形等で成
形品にした場合、その成形品表面の外観を損なうだけで
なく耐衝撃性能等の機械物性にも悪影響を及ぼすことが
ある。
【0031】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物にお
ける組成物(A2−1)の配合割合は、90〜99.5
重量%である。すなわち、成分(A1)の配合割合が
0.5〜10重量%であり、成分(A1)と(A2−
1)の合計量が100重量%である。
【0032】組成物(A2−1)におけるプロピレン重
合体成分(B)およびプロピレン−エチレンランダム重
合体成分(C)の配合割合は、それぞれ、好ましくは5
0〜94.5重量%および5〜40重量%であり、さら
に好ましくは、それぞれ、60〜94.5重量%および
5〜30重量%である。ここで成分(A1)、成分
(B)及び成分(C)成分の合計量が100重量%であ
る。
【0033】ポリプロピレン系樹脂(D)(組成物
(A2−2))の説明 ポリプロピレン系樹脂(D)は、プロピレン−エチレン
ブロック共重合体(i)または前記プロピレン−エチレ
ンブロック共重合体(i)とプロピレン重合体(ii)
との混合物(iii)であり、極限粘度[η]A2が5d
l/g未満の組成物である。
【0034】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
がプロピレン−エチレンブロック共重合体(i)である
場合、プロピレン−エチレンブロック共重合体(i)と
は、プロピレン重合体部分(これを共重合体(i)の第
1セグメントという。)とプロピレン−エチレンランダ
ム共重合体部分(これを共重合体(i)の第2セグメン
トという。)とからなるプロピレン−エチレンブロック
共重合体である。
【0035】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
がプロピレン−エチレンブロック共重合体(i)とプロ
ピレン重合体(ii)との混合物(iii)である場
合、プロピレン重合体(ii)とは、プロピレンを単独
重合して得られるプロピレン単独重合体、または、プロ
ピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンを共重合
して得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重
合体である。炭素原子数4〜12のα−オレフィンおよ
びプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体とし
て、具体的には、前述のものが挙げられる。
【0036】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
が混合物(iii)である場合、ポリプロピレン系樹脂
(D)のプロピレン重合体成分(B)とは、プロピレン
−エチレンブロック共重合体(i)の第1セグメントで
あるプロピレン重合体部分とプロピレン重合体(ii)
の両方を指し、ポリプロピレン系樹脂(D)のプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体成分(C)とは、プロピ
レン−エチレンブロック共重合体(i)の第2セグメン
トであるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を
指す。
【0037】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体
(i)とプロピレン重合体(ii)としては、それぞ
れ、必要に応じて、2種類以上のプロピレン−エチレン
ブロック共重合体、2種類以上のプロピレン重合体を用
いてもよい。
【0038】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
を構成するプロピレン重合体成分(B)の極限粘度
[η]B Pは、ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフロ
ーレート(MFR)や流動性の観点から、1.5dl/
g以下が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.5d
l/gである。
【0039】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
を構成するプロピレン重合体成分(B)の13C−NMR
を用いて測定され、計算されるアイソタクチックペンタ
ッド分率としては、剛性、耐熱性等の観点から、好まし
くは0.95以上であり、さらに好ましくは0.97以
上である。
【0040】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分
(C)の極限粘度[η]C EPは、成形品にブツが多発す
ることを防止するという観点から、8dl/g以下が好
ましい。より好ましくは6dl/g以下であり、さらに
好ましくは1.5〜4dl/gである。
【0041】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分
(C)に含有されるエチレン単位の含量[(C
2’)EP]は、耐衝撃性の観点から、20〜70重量%
が好ましい。より好ましくは25〜65重量%である。
残りはプロピレン単位である。
【0042】ポリプロピレン系樹脂(D)(A2−2)
を構成するプロピレン重合体成分(B)とプロピレン−
エチレンランダム共重合体成分(C)の割合は、成形品
の耐衝撃性、剛性、耐熱性等の観点から、好ましくは、
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C)の割
合が5〜40重量%(即ち、プロピレン重合体成分
(B)の割合が95〜60重量%)であり、さらに好ま
しくは、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分
(C)の割合が5〜30重量%(即ち、プロピレン重合
体成分(B)の割合が95〜70重量%)である。但
し、プロピレン重合体成分(B)とプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体成分(C)の合計を100重量%と
する。
【0043】組成物(A2−3)の説明 組成物(A2−3)はプロピレン重合体成分(B)およ
びポリプロピレン系樹脂(D)からなり、極限粘度
[η]A2が5dl/g未満の組成物である。組成物(A
2−3)に用いられるプロピレン重合体成分(B)およ
びポリプロピレン系樹脂(D)としては、前述の(A2
−1)または(A2−2)に用いられるものが挙げられ
る。
【0044】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に組
成物(A2−3)を用いる場合の配合割合は、好ましく
は、プロピレン系重合体成分(A1)が0.52〜9.
8重量%であり、プロピレン重合体成分(B)が0.7
8〜4.2重量%であり、ポリプロピレン系樹脂(D)
が98.7〜86重量%である。(但し、成分(A1)
と成分(B)と樹脂(D)の合計量が100重量%であ
る。)
【0045】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のメ
ルトフローレート(MFR)は、成形性、フローマーク
発生の抑制、または耐衝撃性の観点から、好ましくは5
〜150g/10分であり、より好ましくは10〜12
0g/10分である。
【0046】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)
で測定した分子量分布Q値(Mw/Mn)は、引張り伸
びの観点から、好ましくは10未満であり、より好まし
くは3〜8であり、さらに好ましくは3〜7である。
【0047】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のダ
イスウェルは、成形体表面に発生するフローマーク抑制
の観点から好ましくは1.6以上である。
【0048】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製
造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、プ
ロピレン系重合体成分(A1)を有するプロピレン系重
合体を得る方法、好ましくは前述のプロピレン系重合体
成分(A1)、プロピレン重合体成分(B)、およびプ
ロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C)を有す
るプロピレン系重合体としてポリプロピレン系樹脂組成
物を得る方法(I)、プロピレン系重合体成分(A
1)、プロピレン重合体成分(B)、およびプロピレン
−エチレンランダム共重合体成分(C)を部分的に有す
るプロピレン系重合体を溶融ブレンドしてポリプロピレ
ン系樹脂組成物を得る方法(II)等が挙げられる。ま
た、プロピレン−エチレンブロック共重合体(i)及び
混合物(iii)に用いられるプロピレン重合体(i
i)の製造方法としても、特に限定されるものではない
が、好ましくは、上記方法(I)が挙げられる。これら
の代表的な例を以下に示す。
【0049】ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
(I) 製造方法(I)は、プロピレン系重合体成分(A1)、
プロピレン重合体成分(B)、およびプロピレン−エチ
レンランダム共重合体成分(C)を有するプロピレン系
重合体としてポリプロピレン系樹脂組成物を得る方法で
ある。上記方法(I)としては、特に制限されるもので
はなく、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によ
りプロピレン系重合体を得る方法が挙げられる。公知の
重合触媒の例としては、好ましくは(a)マグネシウ
ム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分とし
て含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合
物、および(c)電子供与体成分から形成される触媒系
が挙げられる。この触媒の製造方法としては、例えば、
特開平1−319508号公報、特開平7−21601
7号公報や特開平10−212319号公報に記載され
ている製造方法が挙げられる。
【0050】本発明のプロピレン系重合体の重合方法と
しては、公知の重合方法が挙げられ、例えば、バルク重
合、溶液重合、スラリー重、気相重合等が挙げられる。
これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでも可
能であり、また、これらの重合方法を任意に組合せもよ
い。より具体的な製造方法としては、前述の固体触媒成
分(a)、有機アルミニウム化合物(b)及び電子供与
体成分(c)からなる触媒系の存在下に少なくとも3槽
からなる重合槽を直列に配置し、成分(A1)の重合後
生成物を次の重合槽に移し、ついでその重合槽で成分
(B)を、ついで次の重合槽で成分(C)を連続的に重
合する重合法などがあげられる。工業的かつ経済的な観
点から、好ましくは連続式の気相重合法である。
【0051】上記の重合方法における固体触媒成分
(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与
体成分(c)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給す
る方法は、公知の触媒の使用方法によって、適宜、決め
ることができる。
【0052】重合温度は、通常、−30〜300℃であ
り、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、通
常、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5M
Paである。分子量調整剤として、例えば、水素を用い
ることができる。
【0053】本発明のプロピレン系重合体の製造におい
て重合(本重合)の実施前に、公知の方法によって、予
備重合を行っても良い。公知の予備重合の方法として
は、例えば、固体触媒成分(a)および有機アルミニウ
ム化合物(b)の存在下、少量のプロピレンを供給して
溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられ
る。
【0054】ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
(II) 製造方法(II)は、プロピレン重合体成分(B)、お
よびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C)
を部分的に有するプロピレン系重合体を溶融ブレンドし
てポリプロピレン系樹脂組成物を得る方法である。上記
方法(II)としては、特に制限されるものではない
が、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂(D)98.7
〜86重量%と、プロピレン系重合体成分(A1)40
〜70重量%およびプロピレン重合体成分(B)60〜
30重量%からなるプロピレン系重合体マスターバッチ
(E)1.3〜14重量%を混合する方法が挙げられ
る。ポリプロピレン系樹脂(D)とプロピレン系重合体
マスターバッチ(E)の配合割合として、より好ましく
は、ポリプロピレン系樹脂(D)が98〜88重量%で
あり、プロピレン系重合体マスターバッチ(E)が2〜
12重量%である。
【0055】プロピレン系重合体マスターバッチ(E)
に用いられるプロピレン系重合体成分(A1)およびプ
ロピレン重合体成分(B)としては、前述のものが挙げ
られる。
【0056】プロピレン系重合体マスターバッチ(E)
に用いられるプロピレン系重合体成分(A1)およびプ
ロピレン重合体成分(B)の配合割合は、プロピレン系
重合体成分(A1)の分散性の観点から、好ましくはプ
ロピレン系重合体成分(A1)が40〜70重量%であ
り、より好ましくはプロピレン系重合体成分(A1)が
45〜65重量%である。(但し、プロピレン系重合体
成分(A1)とプロピレン重合体成分(B)の合計量が
100重量%である。)
【0057】プロピレン系重合体マスターバッチ(E)
の製造方法としては、特に制限されるものではないが、
好ましくは、前述のプロピレン系重合体成分(A1)、
プロピレン重合体成分(B)、およびプロピレン−エチ
レンランダム共重合体成分(C)を有するプロピレン系
重合体としてポリプロピレン系樹脂組成物を得る方法
(I)で示した触媒系及び重合方法と同様のものを用い
る製造方法が挙げられる。
【0058】より具体的には、例えば、前述の固体触媒
成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)及び電子供
与体成分(c)からなる触媒系の存在下に少なくとも2
槽からなる重合槽を直列に配置し、プロピレン系重合体
成分(A1)を重合した後、生成物を次の重合槽に移
し、その重合槽でプロピレン重合体成分(B)を連続的
に重合する方法等が挙げられる。
【0059】ポリプロピレン系樹脂(D)とプロピレン
系重合体マスターバッチ(E)を混合する方法として
は、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキ
サー、熱ロール等の混練機を用いる方法等が挙げられ
る。より具体的には、以下に示す方法等が挙げられる。 (1)ポリプロピレン系樹脂(D)とプロピレン系重合
体マスターバッチ(E)のそれぞれの重合パウダーを上
記混練機を用いて混練する方法。 (2)ポリプロピレン系樹脂(D)の重合パウダーとプ
ロピレン系重合体マスターバッチ(E)の重合パウダー
をそれぞれ個別に一軸または二軸押出機を用いて混練し
てペレットを製造し、その後、ポリプロピレン系樹脂
(D)のペレットとプロピレン系重合体(E)のペレッ
トを一軸または二軸押出機を用いて混練する方法。 (3)一軸または二軸押出機を用いて予めペレット化さ
れたプロピレン系重合体マスターバッチ(E)を、ポリ
プロピレン系樹脂(D)の重合パウダーをペレット化す
る工程において混練機に定量フィーダーを用いて添加し
混練する方法。 好ましくは、予め一軸または二軸押出機を用いて混練さ
れたプロピレン系重合体マスターバッチ(E)のペレッ
トを用いる、上記(2)または(3)の方法である。
【0060】また、必要に応じて、一軸または二軸押出
機のダイスにスクリーンパックを装着してもよい。装着
するスクリーンパックとしては、好ましくは金属繊維焼
結フィルターであり、例えば「機械設計(1981年3
月号第25巻第3号第109〜113頁)」に記載され
ているものである。混練温度は、通常、170〜250
℃であり、好ましくは190〜240℃である。
【0061】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物とし
て、より好ましくはプロピレン系重合体成分(A1)と
プロピレン系重合体成分(A2)からなるポリプロピレ
ン系樹脂組成物35〜88重量%、135℃のテトラリ
ン中で測定される極限粘度[η]Fが2以下であるプロ
ピレン単独重合体(F)0〜20重量%、エラストマー
(G)10〜35重量%、無機充填剤(H)2〜30重
量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0062】本発明で用いられるプロピレン単独重合体
(F)の極限粘度[η]Fが2以下である。
【0063】本発明で用いられるエラストマー(G)と
は、特に制限されるものではないが、好ましくは、ゴム
成分を含有するエラストマーであり、例えば、ビニル芳
香族化合物含有ゴム、エチレン−プロピレンランダム共
重合体ゴム、エチレン−α−オレフィンランダム共重合
体ゴム、または、これらの混合物からなるエラストマー
等が挙げられる。
【0064】エラストマー(G)に用いられるビニル芳
香族化合物含有ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化
合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックから
なるブロック共重合体等が挙げられ、その共役ジエン部
分の二重結合の水素添加率として、好ましくは80%以
上であり、より好ましくは85%以上である。
【0065】上記のビニル芳香族化合物含有ゴムのGP
C(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法に
よる分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下
であり、より好ましくは2.3以下である。
【0066】上記のビニル芳香族化合物含有ゴムに含有
されるビニル芳香族化合物の平均含有量として、好まし
くは10〜20重量%であり、より好ましくは12〜1
9重量%である。
【0067】上記のビニル芳香族化合物含有ゴムのメル
トフローレート(MFR、JIS−K−6758、23
0℃)として、好ましくは1〜15g/10分であり、
より好ましくは2〜13g/10分である。
【0068】上記のビニル芳香族化合物含有ゴムとして
は、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系
ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−
スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系
ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴ
ム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム
(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分
を水添したブロック共重合体等が挙げられる。さらに、
エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPD
M)にスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させたゴ
ムも挙げられる。また、2種類以上のビニル芳香族化合
物含有ゴムを併用しても良い。
【0069】上記のビニル芳香族化合物含有ゴムの製造
方法は、特に限定されるものではないが、例えば、オレ
フィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、
ビニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方
法等が挙げられる。
【0070】エラストマー(G)に用いられるエチレン
−プロピレンランダム共重合体ゴムのGPC(ゲルパー
ミュエーションクロマトグラフィー)法による分子量分
布(Q値)として、好ましくは2.7以下であり、より
好ましくは2.5以下である。
【0071】上記のエチレン−プロピレンランダム共重
合体ゴムに含有されるプロピレンの含有量として、好ま
しくは20〜30重量%であり、より好ましくは22〜
28重量%である。
【0072】上記のエチレン−プロピレンランダム共重
合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−
6758、190℃)として、好ましくは1〜15g/
10分であり、より好ましくは2〜13g/10分であ
る。
【0073】エラストマー(G)に用いられるエチレン
−α−オレフィンランダム共重合体ゴムとしては、特に
制限されるものではなく、エチレンとα−オレフィンか
らなるランダム共重合体ゴムであればよい。α−オレフ
ィンとしては炭素原子数4〜12のα−オレフィンであ
り、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−
1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン等が挙げら
れ、好ましくは、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン
−1である。
【0074】エチレン−α−オレフィンランダム共重合
体ゴムとしては、例えば、エチレン−ブテン−1ランダ
ム共重合体ゴム、エチレン−ヘキセン−1ランダム共重
合体ゴム、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴ
ム等が挙げられ、好ましくは、エチレン−オクテン−1
ランダム共重合体ゴムまたはエチレン−ブテン−1ラン
ダム共重合体ゴムである。また、2種類以上のエチレン
−α−オレフィンランダム共重合体ゴムを併用しても良
い。
【0075】エラストマー(G)に用いられるエチレン
−オクテン−1ランダム共重合体ゴムのGPC(ゲルパ
ーミュエーションクロマトグラフィー)法による分子量
分布(Q値)が2.5以下であるものが好ましく、さら
に好ましくは2.3以下のものである。
【0076】上記のエチレン−オクテン−1ランダム共
重合体ゴムに含有されるオクテン−1の含有量として、
好ましくは15〜45重量%であり、より好ましくは1
8〜42重量%である。
【0077】上記のエチレン−オクテン−1ランダム共
重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K
−6758、190℃)として、好ましくは1〜15g
/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分で
ある。
【0078】エラストマー(G)に用いられるエチレン
−ブテン−1ランダム共重合体ゴムのGPC法によるQ
値として、好ましくは2.7以下であり、より好ましく
は2.5以下である。
【0079】上記のエチレン−ブテン−1ランダム共重
合体ゴムに含有されるブテン−1の含有量として、好ま
しくは15〜35重量%であり、より好ましくは17〜
33重量%である。
【0080】上記のエチレン−ブテン−1ランダム共重
合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−
6758、190℃)として、好ましくは1〜15g/
10分であり、より好ましくは2〜13g/10分であ
る。
【0081】上記のエチレン−プロピレンランダム共重
合体ゴムおよびエチレン−α−オレフィンランダム共重
合体ゴムの製造方法は、特に限定されるものではなく、
公知の触媒を用いて、公知の重合方法により、エチレン
とプロピレン、または、エチレンと各種のα−オレフィ
ンを共重合させることによって製造することができる。
公知の触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機
アルミニウム化合物からなる触媒系、チーグラーナッタ
触媒系又はメタロセン触媒系等が挙げられ、公知の重合
方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオ
ン重合法又は気相重合法等が挙げられる。
【0082】本発明で用いられる無機充填剤(H)と
は、特に限定されるものではなく、通常、剛性を向上さ
せるために用いられるものであり、例えば、炭酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウ
ム、タルク、硫酸マグネシウム繊維等が挙げられ、好ま
しくはタルクまたは硫酸マグネシウム繊維である。これ
らの無機充填剤は、2種以上を併用しても良い。
【0083】無機充填剤(H)に用いられるタルクとし
て、特に限定されるものではないが、好ましくは含水ケ
イ酸マグネシウムを粉砕したものである。含水ケイ酸マ
グネシウムの分子の結晶構造はパイロフィライト型三層
構造であり、タルクはこの構造が積み重なったものであ
る。タルクとして特に好ましくは、含水ケイ酸マグネシ
ウムの分子の結晶を単位層程度にまで微粉砕した平板状
のものである。
【0084】上記のタルクの平均粒子径として、好まし
くは3μm以下である。ここでタルクの平均粒子径とは
遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等
の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線
から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
【0085】上記のタルクは無処理のまま使用しても良
く、または、プロピレン系重合体成分(A1)とプロピ
レン系重合体成分(A2)からなるポリプロピレン系樹
脂組成物との界面接着性および分散性を向上させるため
に、公知の各種シランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸
アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で表面
を処理して使用しても良い。
【0086】無機充填剤(H)に用いられる硫酸マグネ
シウム繊維は、特に制限されるものではないが、硫酸マ
グネシウム繊維の平均繊維長として、好ましくは5〜5
0μmであり、さらに好ましくは10〜30μmであ
る。また、硫酸マグネシウム繊維の平均繊維径として、
好ましくは0.3〜2μmであり、さらに好ましくは
0.5〜1μmである。
【0087】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に
は、その目的、効果を損なわない範囲で、各種添加剤を
加えてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、
難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止
剤、架橋剤等が挙げられる。耐熱性、耐候性、耐酸化安
定性を向上させるためには、酸化防止剤または紫外線吸
収剤を添加することが好ましい。
【0088】これらの添加剤、上記のエラストマー
(G)および上記の無機充填剤(H)は、予め溶融混練
されたポリプロピレン系樹脂組成物のペレットと配合し
てもよく、ポリプロピレン系樹脂組成物をペレット化す
る段階で配合してもよい。
【0089】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
公知の射出成形方法により射出成形体に成形することが
できる。射出成形体の用途として、特に好ましくは自動
車用射出成形体であり、例えば、ドアートリム、ピラ
ー、インストルメンタルパネル、バンパー等が挙げられ
る。
【0090】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。実施例及び比較例で用いた重合体及び組成物の
物性は、以下に示した方法に従って測定した。
【0091】(1)極限粘度(単位:dl/g) ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および
0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極
限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(198
2年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法
すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼ
ロに外挿する外挿法によって求めた。テトラリンを溶媒
として用いて、温度135℃で測定した。
【0092】(1−1)プロピレン−エチレンブロック
共重合体(i)の極限粘度 (1−1a)プロピレン単独重合体部分(共重合体
(i)の第1セグメント)の極限粘度:[η]P プロピレン−エチレンブロック共重合体(i)の第1セ
グメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度
[η]Pは、その製造時に、第1工程であるプロピレン
単独重合体の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合
体を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体の
[η]Pを測定して求めた。
【0093】(1−1b)プロピレン−エチレンランダ
ム共重合体部分(共重合体(i)の第2セグメント)の
極限粘度:[η]EP プロピレン−エチレンブロック共重合体(i)の第2セ
グメントであるプロピレン−エチレンランダム共重合体
部分の極限粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体部
分の極限粘度:[η]Pとプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体全体の極限粘度:[η]Tをそれぞれ測定
し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比
率:Xを用いて次式から計算により求めた。(プロピレ
ン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率:
Xは、下記(2)の測定方法により求めた。) [η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P [η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/
g) [η]T:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の
極限粘度(dl/g)
【0094】(1−2)プロピレン単独重合体の極限粘
度:[η]P 混合物(iii)に用いたプロピレン単独重合体の極限
粘度[η]Pは、プロピレン単独重合体を用いて、上記
(1)の方法に従って測定した。
【0095】(1−3)プロピレン系重合体成分(A
1)の極限粘度:[η]1、[η]2 1段階の重合で得たものは上記(1)の方法に従って測
定した([η]1)。2段階の重合で得たものは、1段
階重合工程後に重合曹より抜き出したサンプルと2段階
重合工程後の最終サンプルをそれぞれ上記(1)の方法
で測定した([η]1、[η]T)。2段階目の工程で重合
された成分の極限粘度[η]2は下記式から計算して求
めた。[η]2=([η]T−[η]1×X1)/X2 [η]T:2段階重合工程後の最終サンプルの極限粘度(d
l/g) [η]1:1段階重合工程後に重合曹より抜き出したサン
プルの極限粘度(dl/g) X1:1段階目の工程で重合された成分の重量比 X2:2段階目の工程で重合された成分の重量比 尚、X1、X2は重合時の物質収支から求めた。X1とX2
の合計は1である。
【0096】(2)プロピレン−エチレンランダム共重
合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体
に対する重量比率:X及びプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体
部分のエチレン含量:(C2’)EPは、下記の条件で測
定した13C−NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(M
acromolecules 1982,15,1150-1152)に基づいて求めた。
10mmΦの試験管中で約200mgのプロピレン−エ
チレンブロック共重合体を3mlのオルソジクロロベン
ゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13
−NMRスペクトルを下記の条件下で測定した。 測定温度:135℃ パルス繰り返し時間:10秒 パルス幅:45° 積算回数:2500回
【0097】(3)アイソタクチック・ペンタッド分率 アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.Zambelliら
によってMacromolecules, 6, 925 (1973)に発表されて
いる方法、すなわち13C−NMRを使用して測定される
ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタ
クチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5
個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモ
ノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの
帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules, 8,
687 (1975)に基づいて行った。
【0098】具体的には13C−NMRスペクトルのメチ
ル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分
率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定し
た。この方法により英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATOR
YのNPL標準物質 CRM No.M19-14Polypropylene PP/MWD/2
のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したとこ
ろ、0.944であった。
【0099】(4)プロピレン系重合体成分(A1)の
コモノマー含量(単位:重量%) 高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)
の第616頁以降に記載されている方法により、赤外分
光法で測定し求めた。
【0100】(5)分子量分布(Q値、Mw/Mn) GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によ
り、下記条件で測定した。 機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製) カラム:Shodex M/S 80 測定温度:145℃ 溶媒:オルトジクロロベンゼン サンプル濃度:5mg/8mL 検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件
で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/
Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であっ
た。
【0101】(6)融解ピーク温度(Tm、単位:℃) 示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7)
を用い、ポリマーを220℃で5分間熱処理後、降温速
度300℃/分で150℃まで冷却して150℃におい
て1分間保温し、さらに降温速度5℃/分で50℃まで
冷却して50℃において1分間保温し、さらに50℃か
ら180℃まで昇温速度5℃/分で加熱した際の融解ピ
ーク温度をTmとして求めた。
【0102】(7)メルトフローレート(MFR、単
位:g/10分) JIS−K−6758に規定された方法に従って、測定
した。特に断りのない限り、測定温度は230℃で、荷
重は2.16kgで測定した。
【0103】(8)ダイスウェル (株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを使用し
て、下記条件で測定した。 測定温度:220℃ L/D:40 せん断速度:2.432×103sec-1
【0104】(9)ブツ数−1(単位:個/10c
2) Tダイ押し出し機を用いて、下記条件で加工したフィル
ムを画像解析装置を用いて、下記の方法に従って定量解
析した。 フィルム加工条件 田辺プラスティック機械株式会社製 押し出し機V−2
0とフィルム引き取り装置で50mm幅、厚さ50ミク
ロンのフィルムを作成した。 定量解析方法 EPSON社製 スキャナーGT−9600でフィルム
の画像(900dpi、8bit)をコンピューターに
取り込み、その画像を旭エンジニアリング社製画像解析
ソフト A像君 で2値化した。ブツは周辺より明るい
部分として認識された。ブツの形状は不定形であるの
で、ブツと同じ面積となる円の直径をブツの大きさであ
るとして、フィルム10cm2当たり、直径が200μ
m以上であるブツの数を求めた。
【0105】(10)ブツ数−2(単位:個/43cm
2) 上記(9)に記載と同様な方法でフイルムを作成し以下
方法で解析した。 定量解析方法 EPSON社製 スキャナーGT−9600でフィルム
の画像(200dpi、8bit)をコンピューターに
取り込み、その画像を旭エンジニアリング社製画像解析
ソフト A像君 で2値化した。ブツは周辺より明るい
部分として認識された。ブツの形状は不定形であるの
で、ブツと同じ面積となる円の直径をブツの大きさであ
るとして、フィルム43cm2当たり、直径が200μ
m以上であるブツの数を求めた。
【0106】(11)引っ張り試験(UE、単位:%) ASTM D638に規定された方法による。射出成形
により成形された厚みが3.2mmである試験片を用い
て測定した。引っ張り速度は10mm/分、50mm/
分または70mm/分であり、破断伸び(UE)を評価
した。
【0107】(12)曲げ弾性率(FM、単位:kg/
cm2) JIS−K−7203に規定された方法に従って、測定
した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであ
り、スパン長さが100mmである試験片を用いて、荷
重速度は2.0mm/分または2.5mm/分で、測定
温度は23℃で測定した。
【0108】(13)アイゾット衝撃強度(Izod、
単位:kg・cm/cm2) JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定
した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであ
り、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を
用いて、測定温度は23℃または−30℃で測定した。
【0109】(14)加熱変形温度(HDT、単位:
℃) JIS−K−7207に規定された方法に従って、測定
した。ファイバーストレスは18.6kg/cm2また
は4.6kg/cm2で測定した。
【0110】(15)ロックウェル硬度(HR) JIS−K−7202に規定された方法に従って、測定
した。射出成形により成形された厚みが3.0mmであ
る試験片を用いて測定した。測定値はRスケールで表示
した。
【0111】(16)フローマーク外観 射出成形により成形された100mm×400mm×厚
み3.0mmの試験片を用いて目視により外観を観察
し、良好と不良の判定をした。
【0112】(17)成形品ブツ外観 射出成形により成形された100mm×400mm×厚
み3.0mmの試験片を用いて目視により外観を観察し
た。
【0113】(射出成形体の製造) (射出成形体の製造−1)上記(11)〜(15)の物
性評価用の射出成形体である試験片は、次の方法に従っ
て作成した。 (1a)実施例1〜16および比較例1〜13に用いた
試験片 住友重機械製NEOMAT350/120型射出成形機
用い成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間
15sec、冷却時間30secで射出成形を行い、射
出成形体である試験片を得た。 (1b)実施例17、18および比較例14、15に用
いた試験片 東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用い成形温
度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15se
c、冷却時間30secで射出成形を行い、射出成形体
である試験片を得た。
【0114】(射出成形体の製造−2)上記(16)お
よび(17)の外観評価用の射出成形体である試験片
は、次の方法に従って作成した。住友重機械製NEOM
AT515/150型射出成形機用い成形温度220
℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時
間30secで射出成形を行い、射出成形体である試験
片を得た。
【0115】実施例および比較例で用いた重合体の製造
に用いた3種類の触媒(固体触媒成分(I)、(II)
および(III)の合成方法を以下に示した。 (1)固体触媒成分(I) 攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換し
た後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55
モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラ
エトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。
次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリド
のジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温
度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴
下終了後5℃で1時間、室温でさらに1時間攪拌した
後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰
り返した。次いで、スラリー濃度が0.2Kg/Lにな
るようにトルエン量を調整した後、105℃で1時間攪
拌した。その後、95℃まで冷却し、フタル酸ジイソブ
チル47.6モル加え、95℃で30分間反応を行っ
た。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行った。
次いで、スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにト
ルエン量を調節後、フタル酸ジイソブチル3.1モル、
n−ジブチルエーテル8.9モル及び四塩化チタン27
4モルを加え、105℃で3時間反応を行った。反応終
了後、同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90
Lで2回洗浄を行った。スラリー濃度が0.4Kg/L
になるようにトルエン量を調節後、n−ジブチルエーテ
ル8.9モル及び四塩化チタン137モルを加え、10
5℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液
分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、
さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固
体触媒成分11.4Kgを得た。固体触媒成分はチタン
原子1.83重量%、フタル酸エステル8.4重量%、
エトキシ基0.30重量%、ブトキシ基0.20重量%
を含有していた。この固体触媒成分を、以下固体触媒成
分(I)と呼ぶ。
【0116】(2)固体触媒成分(II) 攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換し
た後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55
モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラ
エトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。
次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリド
のジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温
度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴
下終了後室温でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分
離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次い
で、スラリー濃度が0.6Kg/Lになるようにトルエ
ンを抜出した後、n−ジブチルエーテル8.9モルと四
塩化チタン274モルの混合液を加えた後、更にフタル
酸クロライドを20.8モル加え110℃で3時間反応
を行った。反応終了後、95℃でトルエンで2回洗浄を
行った。次いで、スラリー濃度を0.6Kg/Lに調整
した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、n−ジブ
チルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モル
を加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、
同温度で固液分離した後、95℃でトルエン90Lで2
回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.6Kg/
Lに調整した後、n−ジブチルエーテル8.9モルおよ
び四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応
を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でト
ルエン90Lで3回洗浄を行った。次いで、スラリー濃
度を0.6Kg/Lに調整した後、n−ジブチルエーテ
ル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、9
5℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液
分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、
さらにヘキサン90Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固
体触媒成分11.0Kgを得た。固体触媒成分はチタン
原紙1.89重量%、マグネシウム原子20重量%、フ
タル酸エステル8.6重量%、エトキシ基0.05重量
%、ブトキシ基0.21重量%を含有し、微粉のない良
好な粒子性状を有していた。この固体触媒成分を、以下
固体触媒成分(II)と呼ぶ。
【0117】(3)固体触媒成分(III) 攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換し
た後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55
モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入
し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマ
グネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液50L
を、反応容器内の温度を20℃に保ちながら4時間かけ
て徐々に滴下した。滴下終了後20℃でさらに1時間攪
拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗
浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.4Kg/
Lになるようにトルエンを抜出した後、n−ジブチルエ
ーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を
加えた後、更にフタル酸クロライドを20.8モル加え
110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃で
トルエンで3回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を
0.4Kg/Lに調整した後、フタル酸ジイソブチル
3.13モル、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび
四塩化チタン109モルを加え、105℃で1時間反応
を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、95
℃でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラ
リー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、n−ジブチル
エーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加
え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度
で固液分離し同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行っ
た。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した
後、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタ
ン109モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反
応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90L
で3回洗浄を行った後、さらにヘキサン90Lで3回洗
浄した後減圧乾燥して固体触媒成分12.8Kgを得
た。固体触媒成分はチタン原紙2.1重量%、マグネシ
ウム原子18重量%、塩素原子60重量%、フタル酸エ
ステル7.15重量%、エトキシ基0.05重量%、ブ
トキシ基0.26重量%を含有し、微粉のない良好な粒
子性状を有していた。この固体触媒成分を、以下固体触
媒成分(III)と呼ぶ。
【0118】(重合体の重合) (1)プロピレン単独重合体(HPP)の重合 (1−1)HPP−1の重合 (1−1a)予備重合 SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分
に脱水,脱気したヘキサンにトリエチルアルミニウム
(以下TEAと略す)25mmol/L、電子供与体成
分としてシクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下
CHEDMSと略す)をCHEDMS/TEA=0.1
(mol/mol)および固体触媒成分(I)を15g
/Lを添加し、15℃以下の温度を保持しながらプロピ
レンを固体触媒当たり2.5g/gに達するまで連続的
に供給し予備重合を実施した。得られた予備重合体スラ
リーは120LのSUS製攪拌機付きの希釈槽へ移送し
充分に精製された液状ブタンを加えて希釈し10℃以下
の温度で保存した。
【0119】(1−1b)本重合 内容積1m3の攪拌機付き流動床反応器において、重合
温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度
を7vol%を保持するようにプロピレンと水素を供給
し、TEAを62mmol/h、CHEDMSを6.2
mmol/hおよび(1)で作成した予備重合体スラリ
ーを固体触媒成分として1.2g/hを連続的に供給し
て連続の気相重合を行い、20Kg/hの重合体を得
た。得られたポリマーの極限粘度[η]Pは0.90d
l/g、アイソタクチック・ペンタッド分率は0.97
であった。
【0120】(1−2)HPP−2〜6の重合 本重合における気相部の水素濃度と固体触媒成分の供給
量を、表1に示した重合体が得られるように調整した以
外はHPP−1と同様の方法で実施した。得られた重合
体の分析結果を表1に示した。
【0121】(1−3)HPP−7〜8の重合 (1−3a)予備重合 固体触媒成分を固体触媒成分(III)とし、電子供与
体化合物をt-ブチル-n-プロピルジメトキシシラン
(以下tBunPrDMSと略す。)とした以外は、H
PP−1と同様の方法で実施した。 (1−3b)本重合 本重合における電子供与体化合物をtBunPrDMS
とし、気相部の水素濃度と固体触媒成分の供給量を、表
1に示した重合体が得られるように調整した以外はHP
P−1と同様の方法で実施した。得られた重合体の分析
結果を表1に示した。
【0122】(2)プロピレン−エチレンブロック共重
合体(BCPP)の重合 (2−1)BCPP−1の重合 (2−1a)予備重合 HPP−1と同様の方法で行った。 (2−1b)本重合 内容積1m3の攪拌機付き流動床気相反応器を2槽直列
に配置し、第1槽目においてプロピレン重合体部分を重
合後、生成ポリマーを失活することなく第2槽目に移送
し、第2槽目においてプロピレン−エチレン共重合体部
分を連続的に気相重合する方法で実施した。前段第1槽
目において、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、
気相部の水素濃度7.4vol%を保持するようにプロ
ピレンおよび水素を供給した条件下、TEAを33mm
ol/h、CHEDMSを3.3mmol/hおよび
(1)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分と
して0.8g/h供給し連続重合を行い、18.7Kg
/hのポリマーが得られ、ポリマーの極限粘度[η]P
は0.90dl/gであった。排出された生成ポリマー
は失活することなく後段第2槽目に連続的に供給した。
後段第2層目は重合温度65℃、重合圧力1.4MP
a、気相部の水素濃度4.1vol%、エチレン濃度1
7.2vol%を保持するようにプロピレン、エチレン
および水素を連続的に供給した条件下に、22mmol
/hのn−プロピルメチルジメトキシシランを供給しな
がら連続重合を継続し、22.5Kg/hのポリマーが
得られた。得られたポリマーの極限粘度[η]Tは1.
07dl/gであり、後段部での重合体含量(EP含
量)は17重量%であったので、後段部(EP部)で生
成したポリマーの極限粘度[η]EPは1.9dl/gで
あった。又、EP部でのエチレン含量は40重量%であ
った。
【0123】(2−2)BCPP−2およびBCPP−
3の重合 本重合における気相部の水素濃度、エチレン濃度および
固体触媒成分の供給量を、表2に示した重合体が得られ
るように調整した以外はBCPP−1と同様の方法で実
施した。得られた重合体の分析結果を表2に示した。
【0124】(2−3)BCPP−4およびBCPP−
5の重合 (2−3a)予備重合 固体触媒成分を固体触媒成分(III)とし、電子供与
体化合物をtBunPrDMSとした以外は、HPP−
1と同様の方法で実施した。 (2−3b)本重合 本重合における電子供与体化合物をtBunPrDMS
とし、気相部の水素濃度、エチレン濃度およびと固体触
媒成分の供給量を、表2に示した重合体が得られるよう
に調整した以外はBPP−1と同様の方法で実施した。
得られた重合体の分析結果を表2に示した。
【0125】(2−4)BCPP−6の重合 (2−4a)予備重合 固体触媒成分を固体触媒成分(II)とし、電子供与体
化合物をtBunPrDMSとした以外は、HPP−1
と同様の方法で実施した。 (2−4b)本重合 本重合における電子供与体化合物をtBunPrDMS
とし、気相部の水素濃度、エチレン濃度およびと固体触
媒成分の供給量を、表2に示した重合体が得られるよう
に調整した以外はBPP−1と同様の方法で実施した。
得られた重合体の分析結果を表2に示した。
【0126】表1に示した[η]P、および、表2に示
した[η]P、[η]EP、EP中のエチレン含量及びE
P含量は、それぞれ、上述の重合により得られたプロピ
レン単独重合体(HPP−1〜HPP−6)およびプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体(BCPP−1〜B
CPP−3)のパウダーの分析値であり、MFRは、4
0mmφ単軸押し出し機(220℃、スクリーンパッ
ク:100メッシュ)を用いてパウダー100重量部
に、安定剤としてステアリン酸カルシウム(日本油脂
製)0.05重量部、3,9−ビス[2−{3−(3−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ン(スミライザーGA80、住友化学製)0.05重量
部、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジフォスファイト(ウルトラノックスU6
26、GEスペシャリティーケミカルズ製)0.05重
量部を添加し造粒したペレットのMFRである。
【0127】(3)プロピレン系重合体成分(A1)
(HMS)の製造 (3−1)HMS−1の製造 減圧乾燥後、窒素で置換した内容積3リットルの撹拌機
付きステンレス製オートクレーブ内に、前記固体触媒成
分(II)5.1mgとTEA8.8mmol及び電子
供与体成分としてジターシャリーブチルジメトキシシラ
ン88.1μmolを、ガラスチャージャー内のヘプタ
ン溶液中で接触させたのち投入した。さらに水素50m
mHg,プロピレン780gを前記オートクレーブに仕
込んで80℃まで昇温し重合を開始した。80℃昇温直
後からエチレン分圧が0.1Kg/m2Gとなるようエ
チレンガスを連続的にフィードして60分重合を行っ
た。60分後オートクレーブ内のガスをパージし、生成
した重合体を60℃で5時間減圧乾燥し、198.3g
の重合パウダーを得た。得られたポリマーの極限粘度は
7.6(dl/g)、エチレン含量は2.7重量%であ
った。融解温度ピークTmは148.1℃であった。得
られたHMS−1の分析結果を表3に示した。
【0128】(3−2)HMS−2の製造 固体触媒成分(II)の量を5.0mg、水素添加量1
10mmHg、重合中のエチレン分圧が0.2Kg/m
2Gに変更した以外はHMS−1と同様に重合を行っ
た。得られたポリマー量は410.5g、極限粘度は
5.8(dl/g)、エチレン含量は4.5重量%であ
った。融解温度ピークTmは137.5℃であった。得
られたHMS−2の分析結果を表3に示した。
【0129】(3−3)HMS−3の製造 (3−3a)予備重合 SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分
に脱水,脱気したヘキサンにトリエチルアルミニウム
(以下TEAと略す)25mmol/L、電子供与体成
分としてtBunPrDMSをtBunPrDMS/T
EA=0.1(mol/mol)および固体触媒成分
(III)を15g/Lを添加し、15℃以下の温度を
保持しながらプロピレンを固体触媒当たり1g/gに達
するまで連続的に供給し予備重合を実施した。得られた
予備重合体スラリーは120LSUS製攪拌機付きの希
釈槽へ移送し充分に精製された液状ブタンを加えて希釈
し10℃以下の温度で保存した。 (3−3b)本重合 300LSUS製攪拌機付き重合槽において、重合温度
60℃、スラリー量95Lを維持するように液化プロピ
レンを35Kg/h供給し、更に気相部の1−ブテン濃
度を15.6vol%を保持するように液状1−ブテン
を供給し、TEAを31mmol/h、tBunPrD
MSを4.7mmol/hおよび上記(3−a)で作成
した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.3g
/h供給しながらプロピレン−1−ブテンの連続共重合
を行い、4.6Kg/hの重合体を得た。得られたポリ
マーの極限粘度[η]は7.0dl/g、1−ブテン含
量は13.6重量%であり、融解ピーク温度は152.
5℃であった。得られたHMS−3の分析結果を表3に
示した。
【0130】(3−4)HMS−4の製造 (3−4a)予備重合 HMS−3と同様の方法で実施した。 (3−4b)本重合 300LSUS製攪拌機付き重合槽において、重合温度
60℃、スラリー量95Lを維持ように液化プロピレン
を45Kg/h供給し、更に気相部の1−ブテン濃度を
5.5vol%を保持するように液状1−ブテンを供給
し、TEAを31mmol/h、tBunPrDMSを
4.7mmol/hおよび上記(3−4a)で作成した
予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.5g/h
供給しながらプロピレン−1−ブテンの連続共重合を行
い、4.0Kg/hの重合体を得た。得られたポリマー
の極限粘度[η]は5.1dl/g、1−ブテン含量は
5.1重量%であり、融解ピーク温度は154.0℃で
あった。得られたHMS−4の分析結果を表3に示し
た。
【0131】(3−5)HMS−5の製造 (3−5a)予備重合 HMS−3と同様の方法で実施した。 (3−5b)本重合 300LSUS製攪拌機付き重合槽において、重合温度
60℃、スラリー量95Lを維持ように液化プロピレン
を50Kg/h供給し、TEAを31mmol/h、t
BunPrDMSを4.5mmol/hおよび上記(3
−5a)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分
として1.3g/h供給しながらプロピレンの連続重合
を行い、2.6Kg/hの重合体を得た。得られたポリ
マーの極限粘度[η]は7.9dl/gであり、融解ピ
ーク温度は164.8℃であった。得られたHMS−5
の分析結果を表3に示した。
【0132】(3−6)HMS−6の製造 (3−6a)予備重合 固体触媒成分を固体触媒成分(II)とし、電子供与体
化合物をtBunPrDMSとした以外は、HPP−1
と同様の方法で実施した。 (3−6b)本重合 内容積1m3のSUS製の攪拌機付き気相流動床反応器
において、重合温度65℃、重合圧力1.8MPa、気
相部の水素濃度0.1vol%および気相部エチレン濃
度7.3vol%を保持するようにプロピレン、水素お
よびエチレンを供給し、TEAを60mmol/h、t
BunPrDMSを6mmol/hおよび上記(3−6
a)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分とし
て0.9g/hを連続的に供給し、プロピレン−エチレ
ンの連続気相重合を行い、22.5Kg/hの重合体を
得た。得られたポリマーの極限粘度[η]は5.3dl
/gであり、エチレン含量は9.6重量%、融解温度ピ
ークは115.6℃であった。得られたHMS−6の分
析結果を表3に示した。
【0133】(3−7)HMS−7の製造 (3−7a)予備重合 固体触媒成分を固体触媒成分(I)とした以外はHMS
−3と同様の方法で実施した。 (3−7b)本重合 300LSUS製攪拌機付き重合槽において、重合温度
60℃、スラリー量95Lを維持するように液化プロピ
レンを35Kg/h供給し、更に気相部のエチレン濃度
を2.9vol%を保持するようにエチレン供給し、T
EAを51mmol/h、tBunPrDMSを5mm
ol/hおよび上記(3−7a)で作成した予備重合体
スラリーを固体触媒成分として1.0g/h供給し、実
質的に水素の不存在下でプロピレン−エチレンの連続共
重合を行い、6.5Kg/hの重合体を得た。得られた
重合体は失活することなく第2槽目に連続的に移送し
た。第2槽目は内容積1m3のSUS製攪拌機付き流動
床気相反応器において、重合温度70℃、重合圧力0.
8MPaおよび気相部のエチレン濃度を1.8vol%
を保持するように、プロピレンとエチレンを供給し、水
素の実質的に不存在下で第1槽目より移送された固体触
媒成分含有重合体で連続気相重合を継続し、16.3K
g/hの重合体を得た。得られたポリマーの極限粘度
[η]は8.4dl/gであり、エチレン含量は3.4
重量%、融解温度ピークは144.8℃であった。得ら
れたHMS−7の分析結果を表3に示した。
【0134】(3−8)HMS−8の製造 (3−8a)予備重合 固体触媒成分を固体触媒成分(I)とした以外はHMS
−3と同様の方法で実施した。 (3−8b)本重合 300LSUS製攪拌機付き重合槽において、重合温度
60℃、スラリー量95Lを維持するように液化プロピ
レンを35Kg/h供給し、更に気相部の1−ブテン濃
度を10.1vol%を保持するように液状1−ブテン
供給し、TEAを53mmol/h、tBunPrDM
Sを4.7mmol/hおよび上記(3−8a)で作成
した予備重合体スラリーを固体触媒成分として1.7g
/h供給し、実質的に水素の不存在下でプロピレン−1
−ブテンの連続共重合を行い、4.4Kg/hの重合体
を得た。得られた重合体の極限粘度[η]は8.4dl
/gであり、1−ブテン含量は7.4重量%、融解温度
ピークは149.8℃であった。得られたHMS−8の
分析結果を表3に示した。
【0135】(3−9)HMS−9の製造 (3−9a)予備重合 固体触媒成分を固体触媒成分(I)に変更した以外は、
HMS−3と同様の方法で実施した。 (3−9b)本重合 300LSUS製攪拌機付き重合槽において、重合温度
60℃、スラリー量95Lを維持するように液化プロピ
レンを35Kg/h供給し、更に気相部のエチレン濃度
を2.8vol%を保持するようにエチレン供給し、T
EAを51mmol/h、tBunPrDMSを5mm
ol/hおよび上記(3−9a)で作成した予備重合体
スラリーを固体触媒成分として1.0g/h供給し、実
質的に水素の不存在下でプロピレン−エチレンの連続共
重合を行い、6.1Kg/hの重合体を得た。得られた
重合体は失活することなく第2槽目に連続的に移送し
た。第2槽目は内容積1m3のSUS製攪拌機付き流動
床気相反応器において、重合温度70℃、重合圧力1.
8MPaおよび気相部のエチレン濃度を1.9vol%
を保持するように、プロピレンとエチレンを連続的に供
給し、水素の実質的に不存在下で第1槽目より移送され
た固体触媒成分含有重合体で連続気相重合を継続し、1
5.7Kg/hの重合体を得た。得られたポリマーがプ
ロピレン系重合体成分(A1)に相当し、その極限粘度
[η]は8.7dl/gであり、エチレン含量は3.5
重量%、融解温度ピークは144.8℃であり、分析結
果を表3に示した。次いで、得られた重合体は失活する
ことなく第3槽目に連続的に移送した。第3槽目は内容
積1m3のSUS製攪拌機付き気相流動床反応器におい
て、重合温度85℃、重合圧力1.4MPaおよび気相
部の水素濃度を11.7vol%に保持するようにプロ
ピレンおよび水素を連続的に供給し、第2槽目より供給
された固体触媒成分を含有する重合体でプロピレンを連
続気相重合を継続する事により25.6Kg/hの重合
体を得た。得られた重合体がHMS−9であり、プロピ
レン系重合体マスターバッチ(E)に相当し、その重合
体の極限粘度[η]は5.7dl/gであった。以上の
結果から、第1槽目+第2槽目の重合量と第3槽目の重
合体比は61:39であり、第3槽目で重合された重合
体の極限粘度[η]は0.9dl/gと求められた。
【0136】(3−10)HMS−10の重合 本重合における、第1槽目、第2槽目の気相部のエチレ
ン濃度および固体触媒成分の供給量および第3槽目の気
相部水素濃度を変更した以外はHMS−9と同様の方法
で実施し、プロピレン系重合体マスターバッチ(E)に
相当するHMS−10を得た。第2槽目までに生成した
重合体がプロピレン系重合体(A1)に相当し、その極
限粘度[η]は8.2dl/g、エチレン含量は2.0
重量%および融解温度ピーク150.8℃であり、分析
結果を表3に示した。第1槽目+第2槽目の重合量と第
3槽目の重合量の比は60:40で有り、第3槽目で重
合された重合体の極限粘度1.1dl/gである重合体
を得た。
【0137】(3−11)HMS−11の製造 本重合における、第1槽目、第2槽目に供給したコモノ
マーを1−ブテンに変更し、気相部の1−ブテン濃度お
よび固体触媒成分の供給量を調整した以外はHMS−1
0と同様の方法で実施し、プロピレン系重合体マスター
バッチ(E)に相当するHMS−11を得た。第2槽目
までに生成した重合体がプロピレン系重合体(A1)に
相当し、その極限粘度[η]は7.6dl/g、1−ブ
テン含量は6.5重量%および融解温度ピーク150.
7℃であり、分析結果を表3に示した。第1槽目+第2
槽目の重合量と第3槽目の重合量の比は47:53で有
り、第3槽目で重合された重合体の極限粘度1.1dl
/gである重合体を得た。
【0138】(3−12)HMS−12の製造 本重合における、第1槽目、第2槽目の気相部の1−ブ
テン濃度および固体触媒成分の供給量を調整した以外は
HMS−11と同様の方法で実施し、プロピレン系重合
体マスターバッチ(E)に相当するHMS−11を得
た。第2槽目までに生成した重合体がプロピレン系重合
体(A1)に相当し、その極限粘度[η]は7.3dl
/g、1−ブテン含量は8.2重量%および融解温度ピ
ーク148.0℃であり、分析結果を表3に示した。第
1槽目+第2槽目の重合量と第3槽目の重合量の比は4
5:55で有り、第3槽目で重合された重合体の極限粘
度1.1dl/gである重合体を得た。
【0139】実施例1 プロピレン単独重合体パウダー(HPP−5)20重量
%とプロピレン単独重合体パウダー(HPP−6)75
重量%及び、プロピレン系重合体パウダー(HMS−
1)5重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し
て、安定剤としてステアリン酸カルシウム(日本油脂
製)0.05重量部、3,9−ビス[2−{3−(3−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ン(スミライザーGA80、住友化学製)0.05重量
部、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジフォスファイト(ウルトラノックスU6
26、GEスペシャリティーケミカルズ製)0.05重
量部を添加しドライブレンドした後、40mmφ単軸押
し出し機(220℃、スクリーンパック:日本精線製金
属繊維焼結フィルターNF13D)で3回繰り返し造粒
し、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表4に各成分
の配合割合と造粒して得られたポリプロピレン系樹脂組
成物のMFR、ダイスウェル、ブツ数−1(フィルム1
0cm2当たりに観察される200μm以上の大きさを
有するブツの数)および機械物性の評価結果を示した。
【0140】実施例2〜4 表4に示した各成分の配合割合で、実施例1と同様の方
法でドライブレンドした後、造粒して得られたポリプロ
ピレン系樹脂組成物のMFR、ダイスウェル、ブツ数−
1(フィルム10cm2当たりに観察される200μm
以上の大きさを有するブツの数)および機械物性の評価
結果を表4に示した。
【0141】比較例1〜4 表5に示した各成分の配合割合で、実施例1と同様の方
法でドライブレンドした後、造粒して得られたポリプロ
ピレン系樹脂組成物のMFR、ダイスウェル、ブツ数−
1(フィルム10cm2当たりに観察される200μm
以上のブツの数)および機械物性の評価結果を表5に示
した。
【0142】実施例5 プロピレン−エチレンブロック共重合体(i)パウダー
(BCPP−1)65重量%とプロピレン単独重合体パ
ウダー(HPP−5)30重量%との混合物(ii
i)、及びプロピレン系重合体組成物(MB−1)5重
量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、安定剤
としてステアリン酸カルシウム(日本油脂製)0.05
重量部、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオ
キシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(スミライ
ザーGA80、住友化学製)0.05重量部、ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジフォスファイト(ウルトラノックスU626、G
Eスペシャリティーケミカルズ製)0.05重量部を添
加しドライブレンドした後、40mmφ単軸押し出し機
(220℃、スクリーンパック:日本精線製金属繊維焼
結フィルターNF13D)で造粒し、ポリプロピレン系
樹脂組成物を得た。
【0143】上記のプロピレン系重合体組成物(MB−
1)とは、プロピレン単独重合体パウダー(HPP−
5)50重量%とプロピレンを主体とするプロピレン系
重合体パウダー(HMS−7)50重量%からなる樹脂
組成物100重量部に対して、安定剤としてステアリン
酸カルシウム(日本油脂製)0.05重量部、3,9−
ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−
ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサス
ピロ[5.5]ウンデカン(スミライザーGA80、住
友化学製)0.05重量部、ビス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト
(ウルトラノックスU626、GEスペシャリティーケ
ミカルズ製)0.05重量部を添加しドライブレンドし
た後、Φ40mm単軸押し出し機(220℃、スクリー
ンパック:#100の金網)で造粒したプロピレン系重
合体組成物であり、プロピレン系重合体マスターバッチ
(E)に相当するものである。表6に示した各成分の配
合割合で造粒して得られたポリプロピレン系樹脂組成物
のMFR、ダイスウェル、ブツ数−1(フィルム10c
2当たりに観察される200μm以上の大きさを有す
るブツの数)の評価結果を表6に示した。
【0144】実施例6〜14 表6(実施例6〜9)または表7(実施例10〜14)
に示した各成分の配合割合で、実施例5と同様の方法で
ドライブレンドした後、造粒して得られたポリプロピレ
ン系樹脂組成物のMFR、ダイスウェル、ブツ数−1
(フィルム10cm2当たりに観察される100μm以
上及び200μm以上の大きさを有するブツの数)の評
価結果を、それぞれ表6(実施例6〜9)または表7
(実施例10〜14)に示した。
【0145】実施例6〜9で用いた(MB−2)、(M
B−3)は以下に示した樹脂組成物であり、プロピレン
系重合体マスターバッチ(E)に相当するものである。 (MB−2):プロピレン単独重合体パウダー(HPP
−5)50重量%とプロピレン系重合体パウダー(HM
S−8)50重量%からなる樹脂組成物。 (MB−3):プロピレン単独重合体パウダー(HPP
−5)50重量%とプロピレン系重合体パウダー(HM
S−3)50重量%からなる樹脂組成物。また、上記の
(MB−2)および(MB−3)は、実施例5に記載の
(MB−1)と同じ安定剤を用いて、同様の造粒方法で
ペレット化したものである。
【0146】比較例5〜12 表8(比較例5〜8)または表9(比較例9〜12)に
示した各成分の配合割合で、実施例5と同様の方法でド
ライブレンドした後、造粒して得られたポリプロピレン
系樹脂組成物のMFR、ダイスウェル、ブツ数−1(フ
ィルム10cm 2当たりに観察される200μm以上の
ブツの数)の評価結果を、それぞれ表8(比較例5〜
8)または表9(比較例9〜12)に示した。
【0147】比較例5〜8で用いた(MB−4)は以下
に示した樹脂組成物であり、プロピレン系重合体マスタ
ーバッチ(E)に相当するものである。 (MB−4):プロピレン単独重合体パウダー(HPP
−5)50重量%とプロピレン系重合体パウダー(HM
S−5)50重量%からなる樹脂組成物。また、上記の
(MB−4)は、実施例5に記載の(MB−1)と同じ
安定剤を用いて、同様の造粒方法でペレット化したもの
である。
【0148】実施例15 実施例1記載のポリプロピレン系樹脂組成物60重量
%、プロピレン単独重合体(F)パウダー(HPP−
4)6重量%、エラストマー(G)としてオクテン−1
の含有量が24重量%でメルトフローレート(MFR、
JIS-K-6758、190℃)が5g/10分である
エチレン−オクテン−1ランダム共重合体(EOR)1
4重量%、無機充填材(H)として平均粒子径2.5μ
mのタルク20重量%からなる樹脂組成物100重量部
に対して、実施例5と同じ安定剤を添加しタンブラーで
均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社
製TEX44SS 30BW−2V型)を用いて、押出
量を30〜50kg/hrで、スクリュー回転数を35
0rpmで、ベント吸引下で混練押出して、ポリプロピ
レン系樹脂組成物を製造した。スクリュ−は三条タイプ
のローターとニーディングディスクを混練ゾーン2ヶ
所、各々第1フィード口、第2フィード口の次のゾーン
に配置して構成した。
【0149】表10に各成分の配合割合と、得られたポ
リプロピレン系樹脂組成物のMFR、ダイスウェル、フ
ローマーク及びブツ外観、機械的物性の評価結果を示し
た。
【0150】実施例16 実施例15で用いたポリプロピレン系樹脂組成物を実施
例10に記載のポリプロピレン系樹脂組成物に変更した
以外は実施例15と同様の方法で実施した。表10に各
成分の配合割合と、得られたポリプロピレン系樹脂組成
物のMFR、ダイスウェル、フローマーク及びブツ外
観、機械的物性の評価結果を示した。
【0151】比較例13および14 実施例15で用いたポリプロピレン系樹脂組成物を、そ
れぞれ比較例5または比較例9に記載のポリプロピレン
系樹脂組成物に変更した以外は実施例15と同様の方法
で実施した。表10に各成分の配合割合と、得られたポ
リプロピレン系樹脂組成物のMFR、ダイスウェル、フ
ローマーク及びブツ外観、機械的物性の評価結果を示し
た。
【0152】実施例17 実施例15で用いたポリプロピレン系樹脂組成物をプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体パウダー(BCPP
−4)49重量%と、プロピレン単独重合体パウダー
(HPP−7)45.5重量%と、プロピレン系重合体
組成物(HMS−9)5.5重量%の配合割合で実施例
5と同様の方法でドライブレンドした後、造粒して得ら
れたポリプロピレン系樹脂組成物に変更した以外は実施
例15と同様の方法で実施した。表11に各成分の配合
割合と得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、
ダイスウェル、フローマーク及びブツ外観、機械的物性
の評価結果を示した。
【0153】実施例18 プロピレン−エチレンブロック共重合体パウダー(BC
PP−5)53重量%と、プロピレン単独重合体パウダ
ー(HPP−8)43重量%と、プロピレン系重合体組
成物(HMS−9)4重量%の配合割合で実施例5と同
様の方法でドライブレンドした後、造粒して得られたポ
リプロピレン系樹脂組成物50重量%、プロピレン単独
重合体(F)パウダー(HPP−4)10重量%、エラ
ストマー(G)としてオクテン−1の含有量が23重量
%でメルトフローレート(MFR、JIS-K-675
8、190℃)が1g/10分であるエチレン−オクテ
ン−1ランダム共重合体(EOR)25重量%、無機充
填材(H)として平均粒子径2.5μmのタルク15重
量%からなる樹脂組成物100重量部に変更した以外は
実施例15と同様の方法で実施した。表11に各成分の
配合割合と、得られたポリプロピレン系樹脂組成物のM
FR、ダイスウェル、フローマーク及びブツ外観、機械
的物性の評価結果を示した
【0154】実施例19 プロピレン−エチレンブロック共重合体パウダー(BC
PP−6)75.5重量%と、プロピレン系重合体組成
物(HMS−9)4重量%の配合割合で実施例5と同様
の方法でドライブレンドした後、造粒して得られたポリ
プロピレン系樹脂組成物72.5重量%、エラストマー
(G)としてオクテン−1の含有量が24重量%でメル
トフローレート(MFR、JIS-K-6758、190
℃)が5g/10分であるエチレン−オクテン−1ラン
ダム共重合体(EOR)8.5重量%、無機充填材
(H)として平均粒子径2.5μmのタルク16重量%
からなる樹脂組成物100重量部に変更した以外は実施
例15と同様の方法で実施した。表11に各成分の配合
割合と、得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMF
R、ダイスウェル、フローマーク及びブツ外観、機械的
物性の評価結果を示した。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
【表5】
【0160】
【表6】
【0161】
【表7】
【0162】
【表8】
【0163】
【表9】
【0164】
【表10】 成形品ブツ外観目視 ○:ブツの存在は確認されなかった。 △:ブツの存在がわずかに確認された。
【0165】
【表11】 成形品ブツ外観目視 ○:ブツの存在は確認されなかった。 △:ブツの存在がわずかに確認された。
【0166】本発明の要件を満足する実施例1〜19
は、成形体にした場合、フローマークの発生が起こりに
くく、即ち、ダイスウェルが高く、ブツの発生が少ない
等の外観に優れ、かつ剛性と靭性のバランスに優れたも
のであることが分かる。
【0167】これに対して、比較例1はプロピレン系重
合体成分(A1)の融解温度ピークTmA1が、本発明の
要件を満足しないために引っ張り伸び(UE)が低く、
比較例2はプロピレン系重合体成分(A1)の融解温度
ピークTmA1が、本発明の要件を満足しないために曲げ
弾性率(FM)が低く、比較例3、4はプロピレン系重
合体成分(A1)が含まれないためにダイスウェルが低
く、流動性(MFR)と引っ張り伸び(UE)のバラン
スが十分でない事が分かる。
【0168】また、比較例5〜8はプロピレン系重合体
成分(A1)の融解温度ピークTm A1が、本発明の要件
を満足しないためにブツが多く、比較例9〜12はプロ
ピレン系重合体成分(A1)が含まれないためにダイス
ウェルが低くいことが分かる。
【0169】そして、比較例13はプロピレン系重合体
成分(A1)の融解温度ピークTm A1が、本発明の要件
を満足しないために引っ張り伸び(UE)が低く、比較
例14はプロピレン系重合体成分(A1)が含まれない
ためにダイスウェルが低く、フローマーク外観が不良で
あることが分かる。
【0170】
【発明の効果】以上、詳述したとおり、本発明により、
成形体にした場合、フローマークの発生が起こりにく
く、即ち、ダイスウェルが高く、ブツの発生が少ない等
の外観に優れ、かつ剛性と靭性のバランスに優れたポリ
プロピレン系樹脂組成、その製造方法およびそれからな
る射出成形体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 53/00 C08L 53/00 //(C08L 23/10 23:16 23:16) B29K 23:00 (C08L 53/00 23:16) B29K 23:00 (72)発明者 若松 和気 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA13 AA15 AA16 AB11 AB16 AB22 AB23 AC11 AC22 AE01 FA01 FA17 FB03 FC05 4F071 AA10 AA15 AA20 AA21 AA75 AA76 AA81 AA84 AA88 AA89 AB30 AD02 AE17 AF14 AF26 AH10 AH11 BA01 BB05 BC07 4F201 AA09 AA11 AC08 AR17 BA01 BC01 BC12 BC37 BD04 BK01 BK02 BK13 BK15 BK25 BK73 4J002 BB121 BB123 BB141 BB143 BB144 BB152 BB153 BB154 BP014 BP021 DE236 DG046 DJ006 DJ046 FA046 FD016 GN00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】135℃のテトラリン中で測定される極限
    粘度[η]A1が5dl/g以上であり、示差走査熱量計
    によって測定される融解ピーク温度TmA1が130〜1
    60℃であるプロピレンを主体とする単量体を重合して
    得られるプロピレン系重合体成分(A1)0.5〜10
    重量%と135℃のテトラリン中で測定される極限粘度
    [η]A2が5dl/g未満であるプロピレンを主体とす
    る単量体を重合して得られるプロピレン系重合体成分
    (A2)90〜99.5重量%からなることを特徴とす
    るポリプロピレン系樹脂組成物。(但し、成分(A1)
    と成分(A2)の合計量を100重量%とする。)
  2. 【請求項2】プロピレン系重合体成分(A2)が、13
    5℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]B P
    1.5dl/g以下であるプロピレン重合体成分(B)
    50〜94.5重量%と135℃のテトラリン中で測定
    される極限粘度[η]C EPが8dl/g以下でありエチ
    レン含有量が20〜70重量%であるプロピレン−エチ
    レンランダム共重合体成分(C)5〜40重量%からな
    ることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹
    脂組成物。(但し、成分(A1)と成分(B)と成分
    (C)の合計量を100重量%とする。)
  3. 【請求項3】プロピレン系重合体成分(A2)が、プロ
    ピレン−エチレンブロック共重合体(i)又は前記プロ
    ピレン−エチレンブロック共重合体(i)とプロピレン
    重合体(ii)との混合物(iii)から選ばれた、1
    35℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]B P
    1.5dl/g以下であるプロピレン重合体成分(B)
    と135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]
    C EPが8dl/g以下でありエチレン含有量が20〜7
    0重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体
    成分(C)から構成されるポリプロピレン系樹脂(D)
    であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン
    系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】プロピレン系重合体成分(A1)が0.5
    2〜9.8重量%であり、プロピレン系重合体成分(A
    2)がプロピレン重合体成分(B)0.78〜4.2重
    量%およびポリプロピレン系樹脂(D)98.7〜86
    重量%からなることを特徴とする請求項1または3のい
    ずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】プロピレン系重合体成分(A1)の135
    ℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]A1が6〜
    9dl/gであり、示差走査熱量計によって測定される
    融解ピーク温度TmA1が135〜155℃であることを
    特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】プロピレン系重合体部分(A1)が、エチ
    レン含量が1〜7重量%であるプロピレンとエチレンの
    ランダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載
    のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】プロピレン重合体成分(B)の135℃の
    テトラリン中で測定される極限粘度[η]B Pが0.7〜
    1.5dl/gであり、プロピレン−エチレンランダム
    共重合体成分(C)の135℃のテトラリン中で測定さ
    れる極限粘度[η]C EPが1.5〜5dl/gであるこ
    とを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のポ
    リプロピレン系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフロ
    ーレート(MFR)が5〜150g/10分であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリプロ
    ピレン系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】ポリプロピレン系樹脂組成物のGPCで測
    定した分子量分布Q値(Mw/Mn)が10未満である
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリ
    プロピレン系樹脂組成物。
  10. 【請求項10】ポリプロピレン系樹脂組成物のダイスウ
    ェルが1.6以上であることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載のポリ
    プロピレン系樹脂組成物35〜88重量%、135℃の
    テトラリン中で測定される極限粘度[η]Fが2以下で
    あるプロピレン単独重合体(F)0〜20重量%、エラ
    ストマー(G)10〜35重量%、無機充填剤(H)2
    〜30重量%からなることを特徴とするポリプロピレン
    系樹脂組成物。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれかに記載のポリ
    プロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする射出
    成形体。
  13. 【請求項13】プロピレン系重合体成分(A1)40〜
    70重量%およびプロピレン重合体成分(B)60〜3
    0重量%からなるプロピレン系重合体マスターバッチ
    (E)。
  14. 【請求項14】ポリプロピレン系樹脂(D)98.7〜
    86重量%と、プロピレン系重合体マスターバッチ
    (E)1.3〜14重量%を混合することを特徴とする
    請求項4記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方
    法。
JP2002058614A 2001-03-07 2002-03-05 ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体 Expired - Fee Related JP4019748B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002058614A JP4019748B2 (ja) 2001-03-07 2002-03-05 ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001063020 2001-03-07
JP2001-63020 2001-03-07
JP2002058614A JP4019748B2 (ja) 2001-03-07 2002-03-05 ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002332387A true JP2002332387A (ja) 2002-11-22
JP4019748B2 JP4019748B2 (ja) 2007-12-12

Family

ID=26610749

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002058614A Expired - Fee Related JP4019748B2 (ja) 2001-03-07 2002-03-05 ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4019748B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004231911A (ja) * 2003-02-03 2004-08-19 Mitsui Chemicals Inc 長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物及びその製造方法
JP2005146160A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Sumitomo Chemical Co Ltd プロピレン系重合体、その重合体を含むポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなる射出成形体
JP2005298725A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Mitsui Chemicals Inc ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2006045446A (ja) * 2004-08-09 2006-02-16 Japan Polypropylene Corp 高剛性ポリプロピレン系組成物及び製造法
JP2006083323A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Riken Technos Corp 射出成形用熱可塑性エラストマー組成物
JP2006104278A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Sumitomo Chemical Co Ltd 無機微粒子を含有する樹脂組成物
JP2006213917A (ja) * 2005-01-07 2006-08-17 Sumitomo Chemical Co Ltd ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP2015034292A (ja) * 2013-07-12 2015-02-19 住友化学株式会社 プロピレン樹脂組成物

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004231911A (ja) * 2003-02-03 2004-08-19 Mitsui Chemicals Inc 長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物及びその製造方法
JP2005146160A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Sumitomo Chemical Co Ltd プロピレン系重合体、その重合体を含むポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなる射出成形体
JP4595316B2 (ja) * 2003-11-18 2010-12-08 住友化学株式会社 プロピレン系重合体、その重合体を含むポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなる射出成形体
JP2005298725A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Mitsui Chemicals Inc ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2006045446A (ja) * 2004-08-09 2006-02-16 Japan Polypropylene Corp 高剛性ポリプロピレン系組成物及び製造法
JP2006083323A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Riken Technos Corp 射出成形用熱可塑性エラストマー組成物
JP2006104278A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Sumitomo Chemical Co Ltd 無機微粒子を含有する樹脂組成物
JP4661155B2 (ja) * 2004-10-04 2011-03-30 住友化学株式会社 無機微粒子を含有する樹脂組成物
JP2006213917A (ja) * 2005-01-07 2006-08-17 Sumitomo Chemical Co Ltd ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP2015034292A (ja) * 2013-07-12 2015-02-19 住友化学株式会社 プロピレン樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4019748B2 (ja) 2007-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4736435B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
US8263701B2 (en) Polypropylene resin composition and molded article
JP2006193643A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP6498760B2 (ja) 熱可塑性加硫物組成物
JP4736417B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP5417681B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体
US8507608B2 (en) Propylene polymer resin composition
JP4595316B2 (ja) プロピレン系重合体、その重合体を含むポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなる射出成形体
WO2010104174A1 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物、その成型品及びそれを用いた自動車用内外装材料
US6777497B2 (en) Polypropylene-based resin composition, process for producing the same and injection molded article
JP3931725B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体
JP4019748B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体
JP2003327642A (ja) プロピレン−エチレンブロック共重合体
JP2007092050A (ja) プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体
JP2008208306A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2004149651A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその射出成形体
JP2008208303A (ja) プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体
JP5098360B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP2887379B2 (ja) 硬質熱可塑性樹脂組成物およびその射出成形体
JP6229384B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2003128855A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその射出成形体
JP2006225418A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物、それからなる成形体
JP2887378B2 (ja) 軟質熱可塑性樹脂組成物およびその射出成形体
JP2005029681A (ja) 難白化性ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2876362B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその射出成形体

Legal Events

Date Code Title Description
RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20021030

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070619

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070904

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070917

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4019748

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005

Year of fee payment: 3

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D05

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005

Year of fee payment: 3

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D05

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111005

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131005

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees