JP2006213774A - エポキシ樹脂の製造方法及び高分子量エポキシ樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途にきわめて有用である耐熱性を保ち、かつ可撓性を有するエポキシ樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】
工程(1):フェノール性水酸基を有する化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下に、エピクロルヒドリンと反応させ、エポキシ樹脂を調製する工程
工程(2):得られた残渣(エポキシ樹脂)にエポキシ樹脂の良溶媒を添加し、エポキシ樹脂を溶解する工程
工程(3):得られた溶液をエポキシ樹脂の貧溶媒と混合し、することで粉末状エポキシ樹脂を析出させる工程
からなることを特徴とする粉末状エポキシ樹脂の製造方法。

Description

本発明は高信頼性半導体封止用等の電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)、さらには光学材料を始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用な硬化性樹脂組成物を与える高分子量のエポキシ樹脂及びその製造方法に関するものである。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来工業的に最も使用されているエポキシ樹脂としてはビスフェノールAにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物が知られている。また、半導体封止材などの用途においては硬化物に高い耐熱性が要求されるため、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が広く利用されている。しかしながら、最近では例えば自動車のエンジン周囲に半導体など電気・電子部品を搭載される場合が増えてきている。この様な用途においては180℃前後の高温下に長時間晒されるため、使用される樹脂(硬化物)に極めて高い耐熱性が要求される。
一般に、前記したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、高分子量になると耐熱性の高い硬化物が得られることが知られている。しかしながら、一般に知られている高分子量エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型のフェノキシ樹脂に代表されるような、低分子量のエポキシ樹脂とフェノール類(もしくは活性水素を有する化合物)をリン触媒や四級アミン触媒の存在下、あるいは無触媒で反応させることで得らる二官能性のエポキシ樹脂である。これらは主に硬化物の靭性改良や、フィルム形成能を有する樹脂組成物として扱われ、特に近年プリント配線板において多用されている樹脂であるが、二官能性であるため可撓性に優れる反面、硬化物の耐熱性は劣る。
ところで、プリント配線板のような高耐熱性がそれ程要求されていなかった分野においても、機器の小型化、軽量化、および高機能化が進んでおり、特に多層プリント配線板においては、更なる高多層化、高密度化、薄型化、軽量化の要求に伴い、その材料に対し耐熱性を初めとする高信頼性、成型加工性等が要求されるようになってきている。このため、耐熱性や吸水性のような架橋密度を高くする方向の性能と、可撓性のような分子量に関連した性能を兼ね備えた硬化物を与えるエポキシ樹脂が望まれている。
特開平08−295720号公報 特開平10−077329号公報 特開2001−172362号公報 特開2001−261789号公報 特開2001−059010号公報
耐熱性を保ち、かつ可撓性を有するエポキシ樹脂を開発するには上記フェノキシ樹脂のように架橋密度を小さくすること無く、すなわちエポキシ当量を大きくすること無く、分子量を大きくすることが重要となってくる。ところが例えば一般的なエポキシ樹脂であるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は高分子量化に伴う、高軟化点化により溶剤中への溶解性が悪くなる、エポキシ化反応中に樹脂が析出する、ゲル化を起こす等の問題がある。また高軟化点のエポキシ樹脂は、合成はできるものの、その粘度が非常に高く、製造容器から取り出すことが困難であり、簡便な製造法が望まれている。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、
(1)
工程(1):フェノール性水酸基を有する化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下に、エピクロルヒドリンと反応させ、エポキシ樹脂を調製する工程
工程(2):得られたエポキシ樹脂にエポキシ樹脂の良溶媒を添加し、エポキシ樹脂を溶解する工程
工程(3):得られた溶液とエポキシ樹脂の貧溶媒と混合し、粉末状エポキシ樹脂を析出させる工程
からなることを特徴とする粉末状エポキシ樹脂の製造方法、
(2)
工程(1):フェノール性水酸基を有する化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下に、エピクロルヒドリンと反応させ、エポキシ樹脂を調製する工程
工程(2):得られたエポキシ樹脂にエポキシ樹脂の良溶媒を添加し、エポキシ樹脂を溶解する工程
工程(3):得られた溶液とエポキシ樹脂の貧溶媒と混合し、半溶解状態に保持した後、更にこの混合物をエポキシ樹脂の貧溶媒に添加し、粉末状エポキシ樹脂を析出させる工程
からなることを特徴とする粉末状エポキシ樹脂の製造方法、
(3)工程(1)において溶剤を使用し、工程(2)の良溶媒添加前に該溶剤の除去工程を有する上記(1)または(2)記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法、
(4)良溶媒が少なくとも有機溶剤を含有する、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法、
(5)フェノール性水酸基を有する化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が2000以上である、上記(1)記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法、
(6)フェノール性水酸基を有する化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が3000以上である、上記(2)記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法、
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製法により得られるエポキシ樹脂であって、該エポキシ樹脂中のエポキシ基を2個有する化合物の含有割合が10面積%以下である高分子量エポキシ樹脂、
(8)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が3000以上である上記(7)記載の高分子量エポキシ樹脂、
(9)フェノールノボラック型である上記(7)または(8)記載の高分子量エポキシ樹脂、
(10)上記(7)〜(9)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する硬化性樹脂組成物、
(11)上記(10)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物、
(12)上記(10)記載の硬化性樹脂組成物を用いて作成された基板材料
に関する。
本発明の製造方法によると高分子量のエポキシ樹脂を簡便に製造でき、この高分子量を有するエポキシ樹脂を用いた硬化物は可撓性、耐熱性に優れ、薄膜状に形成することが可能である。このようなことから本発明のエポキシ樹脂は、高信頼性半導体封止用等の電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)、さらには光学材料を始めとする各種複合材料、接着剤、塗料、光部品材料等に好適であり、特にビルドアップ基板等の基板材料に好適な材料が提供できるようになった。
本発明の製造方法は、下記工程(1)〜(3)より構成される。
工程(1):フェノール性水酸基を有する化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下に、エピクロルヒドリンと反応させ、エポキシ樹脂を調製する工程
工程(2):得られた残渣(エポキシ樹脂)にエポキシ樹脂の良溶媒を添加し、エポキシ樹脂を溶解する工程
工程(3):得られた溶液とエポキシ樹脂の貧溶媒と混合し、粉末状エポキシ樹脂を析出させる工程
工程(1)におけるフェノール水酸基を有する化合物(以下、フェノール化合物という)は、エポキシ樹脂の原料として知られている各種多官能型フェノール樹脂が使用でき、特に制限はなく、エポキシ樹脂とした場合、樹脂の溶剤中への溶解性低下、エポキシ化反応中の樹脂の析出やゲル化といった前記現象が起こる程度の分子量を有する化合物が対象となる。このようなフェノール性水酸基を有する化合物の分子量は、その構造にもより異なり一概には言えないが、通常2000以上(重量平均分子量、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算、以下同じ)、好ましくは3000以上である。なお、分子量が3000以上である場合、下記するように工程(3)で半溶解状態に保った後に、更に貧溶媒に添加する方法が好ましい。
フェノール化合物としては、特に限定は無いがフェノールノボラック型樹脂、トリスフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル型樹脂等が挙げられる。具体的にはフェノール、アルキルあるいはアリール置換フェノール、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)等のフェノール類と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、フルフラール等)との重縮合物であるフェノールノボラック型樹脂。上記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物であるフェノールノボラック型樹脂。フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレノン、アントラキノン等)との重合物であるフェノールノボラック型樹脂、あるいはフェノール類とフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒドなどとの重縮合物であるトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂。フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重合物であるフェノールアラルキル型樹脂。フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重合物であるフェノールアラルキル型樹脂等が挙げられる。
本発明においては、前記フェノール樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下にエピクロルヒドリンと反応させる(工程(1))。ここで、アルカリ金属水酸化物は、固形物を使用しても、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピクロルヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピクロルヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール化合物の水酸基1モルに対して通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モルである。
工程(1)において、4級塩を添加してもかまわない。4級塩としてはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、エチルトリフェニルホスフィンアイオダイド、エチルトリフェニルホスフィンブロマイド、エチルトリフェニルホスフィンクロライド等が挙げられる。4級塩の使用量はフェノール化合物の水酸基1モルに対し通常0.1〜15重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。
エピクロルヒドリンの使用量はフェノール化合物の水酸基1モルに対し通常0.8〜12モル、好ましくは0.9〜11モルである。この際、フェノール化合物の溶解性を高めるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶剤などを添加して反応を行うことが好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピクロルヒドリンの量に対し通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピクロルヒドリンの量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%である。
反応温度は通常30〜90℃、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピクロルヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、エピクロルヒドリンや溶媒等を除去後の残渣(エポキシ樹脂)にメチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を添加し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用したフェノール化合物の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下に溶剤を留去し、残渣(エポキシ樹脂)にエポキシ樹脂の良溶媒を添加し、エポキシ樹脂を良溶媒に溶解する(工程(2))。
工程(2)で用いられる良溶媒としてはケトン類、エステル類、エーテル類、非プロトン性極性溶剤、あるいは芳香族炭化水素類等が挙げられる。具体的にはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチル、カルビトールアセテート、ガンマブチロラクトン等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、他の溶剤と混合して用いても良い。ただし、後述する貧溶媒によって選択されるべきである。すなわち、極性差が大幅に大きな溶媒の組合せ、例えばトルエンを良溶媒に使用し、メタノールを貧溶媒として使用するというような場合、樹脂が析出せず、二層分離する可能性もある。したがって、樹脂、良溶媒、貧溶媒の組合せは十分に考慮する必要があり、例えば中間の極性の溶媒を加えて溶解度・極性を調節する等を行うことも場合により必要となる。良溶媒の使用量は、エポキシ樹脂1重量部に対し通常0.2〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
次いで、撹拌下にエポキシ樹脂の貧溶媒を反応系に添加し、目的とするエポキシ樹脂を析出させる(工程(3))。用いられる貧溶媒としては水、アルコール類、ケトン類、エステル類、脂肪族・芳香族炭化水素類が挙げられる。ただしエポキシ樹脂中に低分子量のエポキシ樹脂が存在する場合、貧溶媒として水を用いた場合、微細な粉体とはならず、樹脂塊となって析出したり、オイル状に析出したりする傾向がある。したがって基本的には上記に示す貧溶媒のうち有機溶剤が好ましい。具体的にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、メチルイソブチルケトン、3−ヘキサノン等の鎖状ケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。貧溶媒の使用量は、通常エポキシ樹脂1重量部に対し、通常1〜100重量部、好ましくは2〜10重量部である。なお、貧溶媒は、その全量を一度に添加してもよいが、原料であるフェノール化合物の重量平均分子量が3000以上である場合、貧溶媒の添加速度が速すぎると、粉末状のエポキシ樹脂とならない場合がある。この場合、貧溶媒を反応系に徐々に添加し懸濁状態(半溶解状態;貧溶媒の添加により析出した析出物が沈降しない状態)にした後、この混合物を貧溶媒に滴下する方法が好ましい。
得られた粉末状エポキシ樹脂はろ過後、貧溶媒で洗浄するのが好ましい。なお、この際工程(3)で使用した貧溶媒と同じ種類の溶剤を使うことはさらに好ましい。このようにして得られた粉末状エポキシ樹脂を乾燥させることにより本発明のエポキシ樹脂粉末が得られる。この粉末は平均粒径で50〜300μm程度となる。こうして得られた本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ基を2個有する化合物の割合が、GPC測定で10面積%以下となる。また、GPC測定におけるポリスチレン換算の重量平均分子量が、3000以上のもの、好ましくは150000以下のものが好ましいが、例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の場合GPC測定におけるポリスチレン換算の重量平均分子量が、3000以上のもの、好ましくは50000以下のものが好ましい。また、本発明のエポキシ樹脂の軟化点は70℃以上、特に100℃以上のものが好ましい。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。本発明の硬化性樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂を含有する。本発明のエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物は他の成分として硬化剤を含有する。本発明の硬化性樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は5重量%以上が好ましく、特に10重量%以上が好ましい。本発明のエポキシ樹脂は硬化性樹脂組成物の添加剤、あるいは改質材として使用することが可能であり、少量で可撓性等を向上させることができる。通常靭性等の特性を向上させるためにはゴム成分や、熱可塑性樹脂を改質材として添加する方法が一般的であるが、一般に靭性と引き換えに耐熱性等の機械的特性を低下させる。しかしながら本発明のエポキシ樹脂は添加剤として使用しても、その耐熱性を低下させること無く物性を改質することが可能である。
本発明のエポキシ樹脂と併用されうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物における硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されることはない。
本発明の硬化性樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング材、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質などの面から、硬化性樹脂組成物中で50〜90重量%を占める割合で使用するのが好ましい。
更に本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、石英粉、アルミニウム粉末、グラファイト、タルク、クレー、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、アスベスト、マイカ、ガラス粉末、ガラス繊維、ガラス不織布または、カーボン繊維等の無機充填材、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明の硬化性樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明の硬化性樹脂組成物を得て、その硬化性樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
また本発明の硬化性樹脂組成物は場合により溶剤を含んでいてもよい。溶剤を含む硬化性樹脂組成物(ワニス)はガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この硬化性樹脂組成物の溶剤含量は、本発明の硬化性樹脂組成物と該溶剤の総量に対して通常10〜70%、好ましくは15〜70%程度である。また、該溶剤を含む硬化性樹脂組成物は下記ワニスとしても使用できる。該溶剤としては後記ワニスの項で挙げる溶剤を挙げることができる。
前記ワニスは、本発明のエポキシ樹脂、硬化剤及び溶剤を含有し、本発明の高分子量エポキシ樹脂の膜形成又は接着性を阻害しない、他の成分を制限なく使用できるが、好ましくは該高分子量エポキシ樹脂と共に膜を形成する高分子類、エポキシ化合物類、それに付随する添加物等が挙げられる。高分子類はワニスで使用する溶剤に溶解するものが好ましい。ワニスに用いられる溶剤としては、例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、好ましくは低級アルキレングリコールモノ又はジ低級アルキルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、好ましくは2つのアルキル基が同一でも異なってもよいジ低級アルキルケトン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。これらは単独で合っても、また2以上の混合溶媒であってもよい。
得られたワニス中の固形分濃度は通常10〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは25〜70%である。残部は溶剤である。好ましいワニスにおける本発明のポリフェノール樹脂の含量は、ワニス全量に対して10〜60%、好ましくは20〜50%であり、エポキシ樹脂の含量は10〜40%、好ましくは15〜35%、その他添加剤が0〜20%である。
本発明のエポキシ樹脂を含有するワニスをグラビアコート法、スクリーン印刷、メタルマスク法、スピンコート法などの各種塗工方法により基材上、好ましくは平面支持体面に塗布後乾燥することにより、シート状のエポキシ樹脂組成物が得られる。このようにして得られたフィルムは本発明の基板材料に使用できる。得られるシートの厚さ(乾燥後の厚さ)は、例えば5〜300μm、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜160μm程度が好ましい。平面支持体面に塗布する場合、必要に応じて、片面、両面又は部分的であってもよい。どの塗工法を用いるかは基材の種類、形状、大きさ、塗膜の膜厚により適宜選択される。基材としては、例えばポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種高分子及び/またはその共重合体から作られるフィルム、或いは銅箔等の金属箔などがあげられ、ポリイミドからなるフィルム又は金属箔が好ましい。このようにして得られたワニスから形成された膜を有するシートは電気・電子部品などの基板材料などとして有用である。
また、剥離フィルム上にワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得ることが出来る。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層の役割を有する基板材料として使用することが出来る。
本発明のエポキシ樹脂組成物及びその硬化物は光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。ここで光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を意味する。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。例えば表示装置分野では、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料等、また次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等、またLED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等が挙げられる。また、光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などが挙げられる。
また、光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部等またビデオカメラの撮影レンズ、ファインダー等、またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤等、また光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルム等が挙げられる。また、光部品分野では、光通信システムにおける光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤等、また光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤等、また光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材、接着剤等、また光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤等が挙げられる。また、光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバー等、また半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料等が挙げられる。また、次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤等が挙げられる。また、これら光学材料以外の用途として、自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品等、また鉄道車輌用の複層ガラス等、また航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コート等が挙げられる。また、建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料等が挙げられる。また、農業用分野では、ハウス被覆用フィルム等が挙げられる。
更に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は特に耐熱性の高い、線膨張変化の少ないものであることから、BGAなどの表面実装等の分野に好適である。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例において、エポキシ当量、溶融粘度、軟化点は以下の条件で測定した。
1)エポキシ当量JIS K−7236に記載の方法で測定した。
2)軟化点JIS K−7234に記載の方法で測定
3)GPCの測定条件は以下の通りである。
機種:Shodex SYSTEM−21カラム:KF−804L+KF−803L(×2本)連結溶離液:THF(テトラヒドロフラン); 1ml/min.40℃ 検出器:UV(254nm;UV−41)
サンプル:約0.4%THF溶液 (20μlインジェクト)
検量線:Shodex製標準ポリスチレン使用
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、メタ、パラ混合クレゾールノボラック樹脂(EP5000、旭有機材工業株式会社製)200部、エピクロルヒドリン610部、メタノール80部を仕込み、撹拌下で70℃まで昇温した。次いでフレーク状水酸化ナトリウム67部を90分かけて分割添加し、その後、70℃で1時間攪拌した。反応終了後、水50部を加えて2回洗浄を行い生成した塩などを除去した後、加熱減圧下過剰のエピクロルヒドリン等を留去した。得られた残渣にシクロペンタノン600部を加えて溶解させ、系を70℃に保った。ここに30重量%水酸化ナトリウム水溶液17部を加え、70〜75℃で一時間加熱した後、400部の水で水洗を3回行った。得られた有機層を加熱減圧下濃縮することでエポキシ樹脂(EP1)302部を樹脂状の固体として得た。得られたエポキシ樹脂の軟化点は111℃であった。GPC測定の結果、重量平均分子量は40480(ポリスチレン換算、以下同様)であり、エポキシ基を2個有する化合物の含有割合は7.4面積%であった。
得られたエポキシ樹脂100部を再度、メチルエチルケトン300部に溶解し、さらに系が半透明に濁ってくるまでメタノールを加えた(半溶解状態)。この溶液をメタノール1600部に徐々に滴下することで目的とするエポキシ樹脂が粉末として得られた。これを減圧下乾燥することで白色微粉末として本発明のエポキシ樹脂(EP2)が得られた。得られたエポキシ樹脂の軟化点は141℃であった。GPC測定の結果、重量平均分子量は47116であり、エポキシ基を2個有する化合物の含有割合は2.1面積%であった。またエポキシ当量は226g/eq.であった。
実施例2
実施例1において半溶解状態のエポキシ樹脂溶液を滴下する溶剤をメタノールからイソプロピルアルコール1600部に変えた以外は同様の操作を行った。得られたエポキシ樹脂の軟化点は139℃であった。GPC測定の結果より、重量平均分子量は46488であり、エポキシ基を2個有する化合物の含有割合は2.1面積%であった。またエポキシ当量は216g/eq.であった。
実施例3
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック樹脂(PAPS OCN、軟化点130℃、旭有機材工業株式会社製)90部、エピクロルヒドリン347部、メタノール36部を仕込み、撹拌下で70℃まで昇温した。次いでフレーク状水酸化ナトリウム31部を90分かけて分割添加し、その後、70℃で1時間攪拌した。反応終了後、水120部で2回洗浄を行い生成した塩などを除去した後、加熱減圧下過剰のエピクロルヒドリン等を留去した。得られた残渣にメチルイソブチルケトン100部、メチルエチルエトン200部を加えて溶解させ、系を70℃に保った。ここに30重量%水酸化ナトリウム水溶液8部を加え、70〜75℃で一時間加熱した後、150部の水で水洗を3回行った。得られた水を含む有機層から水が留出しなくなるまで加熱減圧下に溶剤を留去し、さらにメチルエチルケトン300部を追加し、均一な溶液とした後、半透明に濁ってくるまでメタノールを加えた。この溶液をメタノール800部、水1000部の混合溶液に徐々に滴下することで目的とするエポキシ樹脂が粉末として得られた。これを減圧下乾燥することで淡黄白色微粉末として本発明のエポキシ樹脂(EP3)が得られた。得られたエポキシ樹脂の軟化点は102℃であった。GPC測定の結果より、重量平均分子量は3553であり、エポキシ基を2個有する化合物の含有割合は0.6面積%であった。またエポキシ当量は216g/eq.であった。
実施例4
実施例3において使用するオルソクレゾールノボラック樹脂をメタクレゾールノボラック樹脂(PAPS MCN 軟化点140℃、旭有機材工業株式会社製)90部にした以外は同様の操作を行った。得られたエポキシ樹脂(EP4)は軟化点が110℃であった。またGPCの結果より、重量平均分子量は4015であり、エポキシ基を2個有する化合物の含有割合は1.4面積%であった。またエポキシ当量は221g/eq.であった。
実施例5
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、ザイロック型フェノール樹脂(XL325、三井化学株式会社製)50部、エピクロルヒドリン94部、メタノール10部を仕込み、撹拌下で70℃まで昇温した。次いでフレーク状水酸化ナトリウム11部を90分かけて分割添加し、その後、70℃で1時間攪拌した。反応終了後、水50部を加えて2回水洗を行い生成した塩などを除去した後、加熱減圧下過剰のエピクロルヒドリン等を留去した。得られた残渣にシクロペンタノン100部を加えて溶解させ、系を70℃に保った。ここに30重量%水酸化ナトリウム水溶液2.5部を加え、70〜75℃で一時間加熱した後、100部の水で洗浄を4回行った。得られた有機層に半透明に濁ってくるまでメタノールを加えた。この溶液を0℃に冷却したメタノール1600部、水2000部の混合溶液に徐々に滴下することで本発明のエポキシ樹脂が粉末として得られた。これを減圧乾燥することで白色微粉末として本発明のエポキシ樹脂が得られた。得られたエポキシ樹脂の軟化点は96℃であった。またエポキシ当量は272g/eq.であった。
実施例6
実施例1で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP2)11.3部、ザイロック型フェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製、ミレックスXLC−3L、水酸基当量174g/eq.)8.7部にメチルエチルケトン5部、N−メチルピロリドン2部を加えて溶解し、さらにトリフェニルホスフィン0.1部を添加し混合し、ワニス(本発明の硬化性樹脂組成物)を得た。得られたワニスをポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し(アプリケータ使用、膜厚60μm)、100℃で30分かけて乾燥し、Bステージ化した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムからはがし、180℃で3時間かけて硬化させた。得られた硬化膜はフィルム状であり、この硬化物を丸めてもひび割れすることが無く、十分なフィルム形成能を有していた。さらに得られた硬化物を、DMA(動的粘弾性測定装置)を用いてガラス転移温度を測定したところ、229℃であった。

Claims (12)

  1. 工程(1):フェノール性水酸基を有する化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下に、エピクロルヒドリンと反応させ、エポキシ樹脂を調製する工程
    工程(2):得られたエポキシ樹脂にエポキシ樹脂の良溶媒を添加し、エポキシ樹脂を溶解する工程
    工程(3):得られた溶液とエポキシ樹脂の貧溶媒と混合し、粉末状エポキシ樹脂を析出させる工程
    からなることを特徴とする粉末状エポキシ樹脂の製造方法。
  2. 工程(1):フェノール性水酸基を有する化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下に、エピクロルヒドリンと反応させ、エポキシ樹脂を調製する工程
    工程(2):得られたエポキシ樹脂にエポキシ樹脂の良溶媒を添加し、エポキシ樹脂を溶解する工程
    工程(3):得られた溶液とエポキシ樹脂の貧溶媒と混合し、半溶解状態に保持した後、更にこの混合物をエポキシ樹脂の貧溶媒に添加し、粉末状エポキシ樹脂を析出させる工程
    からなることを特徴とする粉末状エポキシ樹脂の製造方法。
  3. 工程(1)において溶剤を使用し、工程(2)の良溶媒添加前に該溶剤の除去工程を有する請求項1または2記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法。
  4. 良溶媒が少なくとも有機溶剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法。
  5. フェノール性水酸基を有する化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が2000以上である、請求項1記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法。
  6. フェノール性水酸基を有する化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が3000以上である、請求項2記載の粉末状エポキシ樹脂の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製法により得られるエポキシ樹脂であって、該エポキシ樹脂中のエポキシ基を2個有する化合物の含有割合が10面積%以下である高分子量エポキシ樹脂。
  8. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が3000以上である請求項7記載の高分子量エポキシ樹脂。
  9. フェノールノボラック型である請求項7または8記載の高分子量エポキシ樹脂。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項10に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
  12. 請求項10記載の硬化性樹脂組成物を用いて作成された基板材料。
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