JP2006207704A - 防振ゴム - Google Patents
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Abstract
【課題】一対のフランジ板1,2とそれらの間のゴム部3とで成る防振ゴムにおいて、外筒の外周とそこに被さるゴム部との境目からの亀裂進行を阻止する。
【解決手段】内筒1と、これの軸心方向に沿う軸心Pを有するボス部2A、及び内筒1の径方向に沿う外向きフランジ部2Bから成る外筒2と、ボス部2Aの内周面4及び外向きフランジ部2Bの外面4と内筒との間に介在されて両筒1,2を互いに加硫接着により一体化するゴム部3と、を有して構成される防振ゴムAにおいて、ゴム部3は、外向きフランジ部2Bの外端から内筒1の径方向に食み出ない大きさに形成されるとともに、ゴム部3の外端部は、外向きフランジ部2Bの厚さ程度以下の厚さに設定された状態で本体ゴム部3Hに続く薄肉外周部3hに形成される。
【選択図】図1
【解決手段】内筒1と、これの軸心方向に沿う軸心Pを有するボス部2A、及び内筒1の径方向に沿う外向きフランジ部2Bから成る外筒2と、ボス部2Aの内周面4及び外向きフランジ部2Bの外面4と内筒との間に介在されて両筒1,2を互いに加硫接着により一体化するゴム部3と、を有して構成される防振ゴムAにおいて、ゴム部3は、外向きフランジ部2Bの外端から内筒1の径方向に食み出ない大きさに形成されるとともに、ゴム部3の外端部は、外向きフランジ部2Bの厚さ程度以下の厚さに設定された状態で本体ゴム部3Hに続く薄肉外周部3hに形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車のエンジン等の振動発生体を防振懸架するのに用いられる防振ゴムに関するものである。
この種の防振ゴムにおいて、内筒と、この内筒の軸心方向に沿う軸心を有するボス部、及び内筒の径方向に沿う外向きフランジ部から成る外筒と、ボス部の内周面及びフランジ部の外面と内筒との間に介在されて両筒を互いに加硫接着により一体化するゴム部と、を有して構成される構造のものがある。このような防振ゴムの例としては、特許文献1(特に、図4を参照)において開示されたものが知られている。この防振ゴムの使用例として、これ単品で使用されたり、或いは、図11に示すように、一箇所に2個用いる構造のもの等がある。
図11において、31は車体フレーム側の懸架部材、32はエンジン側で板金材製のマウント部材、33は取付ボルト、34はワッシャ、35はナット、Aは防振ゴムであり、上下一対の防振ゴムA,Aは、各々の外筒37が懸架部材31の装着孔31aに挿入され、かつ、互いに向い合せ状態で配備されている。各内筒36,36は、互いに当接される状態でマウント部材32とワッシャとの間で取付ボルト33とナット35で締付け固定される。防振ゴムAは、内筒36と、断面形状が略L字状の外筒37と、これら内外筒36,37の間のゴム部38とから構成されており、外筒37のボス部分37aを、装着孔31aに挿入して用いるように設定されている。このように、懸架部材31の上下それぞれに防振ゴムAを配置することにより、前後左右に加えて、エンジン(図示省略)のフレームに対する上下方向の動きに対しても有効な防振作用を得ることができている。
しかしながら、使用される機種や荷重条件が異なる場合には、想定される許容範囲内の使用状況下においてもゴム部38に亀裂や剥離を生じることがあった。即ち、耐久試験においては、外筒37の外周とゴム部38との境目(図11に示す矢印イ箇所参照)において、早期にゴム部38に亀裂等が生じてしまい、所期の耐久性能が得られないことがある。これは、外筒37の外周とゴム部38との境目部分に応力集中が起きるためであると推定できる。
特開平8−281664号公報
本発明の目的は、内筒と、外筒と、これら両者の間のゴム部とから成る防振ゴムにおける構造工夫により、前述した箇所(図11に「イ」で示す箇所を参照)に応力集中が生じないようにしてゴム部に亀裂や剥離が生じたり、それらが進行したりしないようにして、耐久性を向上させる点にある。
請求項1に係る発明は、内筒1と、前記内筒1の軸心方向に沿う軸心Pを有するボス部2A、及び前記内筒1の径方向に沿う外向きフランジ部2Bから成る外筒2と、前記ボス部2Aの内周面4及び前記外向きフランジ部2Bの外面4と前記内筒との間に介在されて前記両筒1,2を互いに加硫接着により一体化するゴム部3と、を有して構成される防振ゴムAにおいて、
前記ゴム部3は、前記外向きフランジ部2Bの外端から前記内筒1の径方向に食み出ない大きさに形成されるとともに、前記ゴム部3の外端部は、前記外向きフランジ部2Bの厚さ程度以下の厚さに設定された状態で本体ゴム部3Hに続く薄肉外周部3hに形成されていることを特徴とするものである。
前記ゴム部3は、前記外向きフランジ部2Bの外端から前記内筒1の径方向に食み出ない大きさに形成されるとともに、前記ゴム部3の外端部は、前記外向きフランジ部2Bの厚さ程度以下の厚さに設定された状態で本体ゴム部3Hに続く薄肉外周部3hに形成されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の防振ゴムAにおいて、前記本体ゴム部3Hと前記薄肉外周部3hとの境目部分に形成される隅角部の表面が滑らかな凹曲面16に設定されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の防振ゴムAにおいて、前記薄肉外周部3hの外径と前記外向きフランジ部2Bの外径とが同寸法に設定されるとともに、前記外向きフランジ部2Bの外周面2tと前記外面4との境目部分に形成される角部cが、二以上の鈍角部12,12を有する多角形状又は曲面形状に設定されていることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の防振ゴムAにおいて、前記ゴム部3は、前記ボス部2Aの端面2aに回り込む形状に形成されるとともに、前記ボス部2Aにおける前記端面2aと前記内周面4との境目部分に形成される角部kが、二以上の鈍角部12,12を有する多角形状又は曲面形状に形成されていることを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に記載の防振ゴムAにおいて、前記二以上の鈍角部12,12を有する形状又は曲面形状は、前記角部c,kに面取り処理が為されたことによるものであることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、外向きフランジ部の外端から内筒の径方向にゴム部が食み出ないようにしてあるので、直角の角部とゴム部とが接触する部分自体が存在しなくなり、従って、「角部への応力集中による亀裂や剥離」という従来の問題を一掃することができる。そして、ゴム部の外端部は、外向きフランジ部の厚さ程度以下の厚さに設定された状態で本体ゴム部に続く薄肉外周部に形成されているので、ゴム部の外端部を単純に外向きフランジ部に当接させる場合に比べて、ゴム部の外端部に作用する応力集中を分散させることができ、ゴム部の外端部が外向きフランジ部から剥離するおそれを回避させることが可能である。
その結果、規定の荷重を作用させた使用状態における所定の耐久テストをクリアすることができ、耐久性が向上して信頼性に富むようなる。しかも、そのための構造工夫としては、外向きフランジ部の外端を薄肉状にし、かつ、外筒の径以下とする程度の簡単なもので済むから、コスト変動が殆どないようにしながら、外観的にも何ら変らない状態で防振性能が向上する合理的な防振ゴムを提供することができる。
請求項2の発明によれば、本体ゴム部と薄肉外周部との境目部分の隅角部の表面が滑らかな凹曲面に設定されているので、その境目部分における断面形状変化が急激なものから穏やかなものに緩和され、その境目部分に応力集中による亀裂等の不具合が発生するおそれが未然に防止される効果が得られる。
請求項3の発明によれば、薄肉外周部が外径側に延長されてその外径と外向きフランジ部の外径とが同寸法に設定されているので、薄肉外周部の外筒との接着面積が増大され、これら両者の剥離がより生じ難くなる。加えて、外向きフランジ部の外周面と外面との境目部分に形成される角部が、二以上の鈍角部を有する多角形状又は曲面形状に設定されているので、薄肉外周部の外筒との接着面積を無理なく増大させることができ、これら両者の剥離がさらに生じ難くなる利点が得られる。この場合、請求項5のように、二以上の鈍角部を有する形状又は曲面形状は、面取り加工によって容易に得ることができる。
請求項4の発明によれば、外筒のボス部端面へのゴム部の回り込みにより、ゴム部と外筒との加硫接着面積を無理なく増やすことができるとともに、ボス部端の角部に面取り処理されることによって、外筒の内側端におけるゴム部に亀裂が発生するおそれも回避することができるので、より安定的に使用できる防振ゴムを提供することができる。
以下に、本発明による防振ゴムの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図3は実施例1〜3による防振ゴムの構造を示す断面図、図4〜図7は防振ゴムの使用例1〜4を示す要部の断面図、図8〜10は変形例1〜3を示す断面図である。
〔実施例1〕
実施例1による防振ゴムAは、図1に示すように、円筒状の内筒1と、内筒1の軸心Pを共有する(軸心P方向に沿う軸心を有する)ボス部2A、及び内筒1の径方向に沿う外向きフランジ部2Bから成る上下方向視で円形の外筒2と、ボス部2Aの内周面であり、かつ、外向きフランジ部2Bの外面でもある外筒2の上表面4と内筒1の外面5との間に介在されて両筒1,2を互いに加硫接着により一体化するゴム部3と、を有して構成された上下方向視で円形を呈している。内筒1と外筒2とは金属材から形成されている。
実施例1による防振ゴムAは、図1に示すように、円筒状の内筒1と、内筒1の軸心Pを共有する(軸心P方向に沿う軸心を有する)ボス部2A、及び内筒1の径方向に沿う外向きフランジ部2Bから成る上下方向視で円形の外筒2と、ボス部2Aの内周面であり、かつ、外向きフランジ部2Bの外面でもある外筒2の上表面4と内筒1の外面5との間に介在されて両筒1,2を互いに加硫接着により一体化するゴム部3と、を有して構成された上下方向視で円形を呈している。内筒1と外筒2とは金属材から形成されている。
内筒1は、ボルト挿通用の貫通孔6を有するとともに、上下の外周角部には面取り部8が形成されており、比較的厚肉の円筒部材に形成されている。外筒2には、ボス部2Aの上部、及び外向きフランジ部2Bの内径部とを屈曲形成することにより、上方に凹入した環状の角逃げ湾曲部9が形成されている。ゴム部3は、ボス部2Aの下端面2aに回り込む形状に形成されるとともに、ボス部2Aの下端面2aと内周面4との境目部分に形成される角部kが、二以上の鈍角部を有する多角形状又は曲面形状に形成されている。つまり、角部kには、ボス部1の面取り部8と同様な面取り(いわゆるC面取り)部10が形成されている。この面取り部10は、一般的な面取り加工によって形成されても良い。
ゴム部3は、図1に示すように、内筒1の上面1aと同一の高さレベルを有する上面3a、内筒1の底面1bと同一の高さレベルを有する内底面3b、外筒2のボス部2Aの下端面2aの下方に回り込み形成される中間底面3c、外筒2の外向きフランジ部2Bの水平部分2bの上面に密着する密着底面3d、内底面3bと中間底面3cとを結ぶ上方に大きく凹入した略逆U字状断面を有する凹入底面3e、この凹入底面3eに対応するように上面3aにおいて若干下方に凹入形成された溝面3f、及び上面3aと密着底面3dとを繋ぐ略テーパ面状の外周面3gとを有した形状に形成されている。
つまり、ゴム部3は、内筒1の外周側で、かつ、外筒2のほぼ上側となる位置において環状のものに形成されており、外向きフランジ部2Bの外端2tから内筒1の径方向に食み出ない大きさに形成されるとともに、ゴム部3の外端部は、外向きフランジ部2Bの厚さ程度以下の厚さに設定された状態で本体ゴム部3Hに続く薄肉外周部3hに形成されている。この薄肉外周部3hの厚みは、外筒2の厚みのおよそ半分であるとともに、外周面3gから径方向の突出量はほぼ外筒2の厚み程度に相当している。
そして、環状の薄肉外周部3hと外周面3gとは隅R(フィレットR)面16で接続されており、それによって滑らかに繋がる形状とされている。つまり、本体ゴム部3Hと薄肉外周部3hとの境目部分に形成される隅角部の表面が滑らかな凹曲面16に設定されているのである。これにより、本体ゴム部3Hと薄肉外周部3hとの境目部分における断面形状の急変が緩和され、その境目部分に応力集中による亀裂等の不具合発生するおそれを未然に防止できるようになっている。
このように、ゴム部3の外径を外筒2の外径以下とすることにより、ゴム部3における外向きフランジ部2Bの直角の角部に被さる部分が存在しない構造となり、従って、その角部から亀裂が入る不都合自体が生ぜず、耐久試験もクリアできることとなる。但し、図1に仮想線で示すように、外周面3gがそのまま外向きフランジ部2Bの水平部分2bに当接する構造であると、矢印ロで示す境目部分への応力集中によってそれら両者3g,2bが剥離し易くなる。本発明においては、その「剥離のし易さ」を回避すべく薄肉外周部3hを設けて加硫接着面積が増やされている。
〔実施例2〕
実施例2による防振ゴムAは、図2に示すように、実施例1による防振ゴムAにおいて、薄肉外周部3hが外径側に延長されて、薄肉外周部3hの外径と外向きフランジ部2Bの外径とが同寸法に設定されたものであり、それ以外は図1に示す実施例1の防振ゴムAと同じである。この実施例2による防振ゴムAにおいては、薄肉外周部3hの外筒2との接着面積を増やして、これら両者3h,2どうしの剥離がより生じ難くなるようにされている。
実施例2による防振ゴムAは、図2に示すように、実施例1による防振ゴムAにおいて、薄肉外周部3hが外径側に延長されて、薄肉外周部3hの外径と外向きフランジ部2Bの外径とが同寸法に設定されたものであり、それ以外は図1に示す実施例1の防振ゴムAと同じである。この実施例2による防振ゴムAにおいては、薄肉外周部3hの外筒2との接着面積を増やして、これら両者3h,2どうしの剥離がより生じ難くなるようにされている。
〔実施例3〕
実施例3による防振ゴムAは、図3に示すように、実施例2による防振ゴムAにおいて、外筒2の外周面2tと上表面4との境目部分の角部cには、面取り加工による面取り部11が形成されており、それ以外は図2に示す実施例2の防振ゴムAと同じである。つまり、外向きフランジ部2Bの外周面2tと外面4との境目部分に形成される角部cが、二以上の鈍角部12,12を有する多角形状又は曲面形状に設定されている。これにより、薄肉外周部3hの外筒2との接着面積を無理なく増大させることができ、これら両者3h,2どうしの剥離がさらに生じ難くなるようにされている。
実施例3による防振ゴムAは、図3に示すように、実施例2による防振ゴムAにおいて、外筒2の外周面2tと上表面4との境目部分の角部cには、面取り加工による面取り部11が形成されており、それ以外は図2に示す実施例2の防振ゴムAと同じである。つまり、外向きフランジ部2Bの外周面2tと外面4との境目部分に形成される角部cが、二以上の鈍角部12,12を有する多角形状又は曲面形状に設定されている。これにより、薄肉外周部3hの外筒2との接着面積を無理なく増大させることができ、これら両者3h,2どうしの剥離がさらに生じ難くなるようにされている。
また、図示は省略するが、外向きフランジ部2Bの外端の角部cは、上表面4と外周面2tとの境目部分にR面取り部を形成し、曲面形状の面取り部に設定しても良い。さらに、C面取り加工を2回以上行い、断面が多角形となる面取り処理としても良い。
次に、上述の防振ゴムAを用いた防振構造の具体例を、使用例1〜4として説明する。尚、以下の使用例において用いられる防振ゴムAは、便宜上、実施例1による防振ゴムAとしてあるが、実施例2や3の防振ゴムAを用いても良いのは言うまでもない。
〔使用例1〕
使用例1は、図4に示すように、自動車の車体フレーム等の支持部材21と、エンジン等の振動源に固定される防振部材22と、に跨って1個の防振ゴムAが取付けられる構成である。具体的には、厚板状の支持部材21の装着孔21Aに外筒2のボス部2Aを挿入し、支持部材21の上面21aに外向きフランジ部2Bを載せ付け、内筒1の上面1aに防振部材22を、かつ、装着孔21Aの径よりも大きな外径を有する金属円板で成るワッシャ23を内筒1の下面1bにそれぞれあてがった状態で、防振部材22と内筒1とワッシャ23との三者を貫通する取付ボルト24とナット25とで締付け固定する。尚、この使用例1では、ボス部2Aの下側にまでゴム部3が回り込むタイプの防振ゴムAを用いているが、回り込まないタイプのものでも良い。
使用例1は、図4に示すように、自動車の車体フレーム等の支持部材21と、エンジン等の振動源に固定される防振部材22と、に跨って1個の防振ゴムAが取付けられる構成である。具体的には、厚板状の支持部材21の装着孔21Aに外筒2のボス部2Aを挿入し、支持部材21の上面21aに外向きフランジ部2Bを載せ付け、内筒1の上面1aに防振部材22を、かつ、装着孔21Aの径よりも大きな外径を有する金属円板で成るワッシャ23を内筒1の下面1bにそれぞれあてがった状態で、防振部材22と内筒1とワッシャ23との三者を貫通する取付ボルト24とナット25とで締付け固定する。尚、この使用例1では、ボス部2Aの下側にまでゴム部3が回り込むタイプの防振ゴムAを用いているが、回り込まないタイプのものでも良い。
この使用例1の構造では、前後左右及び下方にはゴム部3の弾性による防振作用が支持部材21に発揮され、ワッシャ23と支持部材21との当接により、防振部材22の上方の動きは牽制阻止されるように機能する。外筒2に形成された角逃げ湾曲部9により、支持部材21の装着孔21Aに臨む縁角部21bが、プレス加工等の穿孔加工後に面取り等の仕上げ加工が行われない粗仕上げ状態(バリが存在するような状態)であっても、乗り上がり等の不都合なく嵌合できるようにしてある。また、角逃げ湾曲部9は、外筒2の上下左右のバネ定数を変える機能もある。
尚、予め予備荷重(プリロード)をゴム部3に持たせて、エンジン等の振動源の重量が作用する使用状態でも、図4のようにワッシャ23が支持部材21に当接する構造が可能である。また、図示は省略するが、振動源の重量が作用した使用状態では、ワッシャ23と支持部材21との間に若干の間隙が生じるように設定することも可能である。さらに、図4の21が振動源側の防振部材に、かつ、図4の22が支持部材とする前述とは逆の構成を採ることも可能である。
〔使用例2〕
使用例2は、図5に示すように、支持部材21と、これの下側に配されるワッシャ23との間にゴム等の弾性部材24を介装させた点以外は、図4に示す使用例1のものと同じ構成である。弾性部材24は、ワッシャ23の外周に沿って全周に亘って形成されるリング状のもので良いし、周方向に間欠的に配備される複数個のものでも良い。このように、弾性部材24を介装したことにより、前後左右、及び下方に対する防振作用に加えて、上方に対しても防振作用を生じさせることができるので、構造上、上方にも防振が必要であるとか、より防振条件の厳しい箇所といった場合に好適な構成となっている。また、図5の21が振動源側の防振部材に、かつ、図5の22が支持部材とする逆の構成を採ることも可能である。
使用例2は、図5に示すように、支持部材21と、これの下側に配されるワッシャ23との間にゴム等の弾性部材24を介装させた点以外は、図4に示す使用例1のものと同じ構成である。弾性部材24は、ワッシャ23の外周に沿って全周に亘って形成されるリング状のもので良いし、周方向に間欠的に配備される複数個のものでも良い。このように、弾性部材24を介装したことにより、前後左右、及び下方に対する防振作用に加えて、上方に対しても防振作用を生じさせることができるので、構造上、上方にも防振が必要であるとか、より防振条件の厳しい箇所といった場合に好適な構成となっている。また、図5の21が振動源側の防振部材に、かつ、図5の22が支持部材とする逆の構成を採ることも可能である。
〔使用例3〕
使用例3は、図6に示すように、より厚肉の支持部材21の装着孔21Aに一対の防振ゴムA,Aを向い合せ状態で配備して用いる構成である。つまり、図4に示す使用例1における支持部材21とワッシャ23との上下間に、上下逆さま状態の防振ゴムAを介装したような構造である。この構造では、上下の内筒1,1どうしを密着させて取付ボルト24で締付けた状態では、各外筒2,2においてはそれらのボス部2A,2Aどうしの間に間隙が存在するように設定されており、支持部材21を確実に上下から挟み込めるようになっている。
使用例3は、図6に示すように、より厚肉の支持部材21の装着孔21Aに一対の防振ゴムA,Aを向い合せ状態で配備して用いる構成である。つまり、図4に示す使用例1における支持部材21とワッシャ23との上下間に、上下逆さま状態の防振ゴムAを介装したような構造である。この構造では、上下の内筒1,1どうしを密着させて取付ボルト24で締付けた状態では、各外筒2,2においてはそれらのボス部2A,2Aどうしの間に間隙が存在するように設定されており、支持部材21を確実に上下から挟み込めるようになっている。
この使用例3では、図1又は図2に示されるタイプの防振ゴムAが用いられているが、図3に示すタイプの防振ゴムAを用いても良い。計2個の防振ゴムAを上下に配して用いるので、前後左右及び上下の三次元方向に十分な防振が行えるとともに、各防振ゴムAは互いに同じ部品で済む利点がある。また、図示は省略するが、図6の21が振動源側の防振部材に、かつ、図6の22が支持部材とする逆の構成を採ることも可能である。
〔使用例4〕
使用例4は、図7に示すように、一対の防振ゴムA,Aを、これらの間に防振部材22を介して背中合わせ状態で用いる構成である。即ち、外筒2のボス部2Aが嵌入される装着孔21Aが形成された支持部材21が上下一対設けられており、上側の防振ゴムAは逆さ向きで、かつ、下側の防振ゴムAは通常姿勢とされ、それぞれの内筒1,1間に防振部材22を差し込むとともに、上下一対のワッシャ23,23を用いて取付ボルト24及びナット25で締付け固定される。この使用例4においても、使用例3のものと同様に、前後左右及び上下の三次元方向に十分な防振が行える。また、図示は省略するが、図7の21が振動源側の防振部材に、かつ、図7の22が支持部材とする逆の構成を採ることも可能である。
使用例4は、図7に示すように、一対の防振ゴムA,Aを、これらの間に防振部材22を介して背中合わせ状態で用いる構成である。即ち、外筒2のボス部2Aが嵌入される装着孔21Aが形成された支持部材21が上下一対設けられており、上側の防振ゴムAは逆さ向きで、かつ、下側の防振ゴムAは通常姿勢とされ、それぞれの内筒1,1間に防振部材22を差し込むとともに、上下一対のワッシャ23,23を用いて取付ボルト24及びナット25で締付け固定される。この使用例4においても、使用例3のものと同様に、前後左右及び上下の三次元方向に十分な防振が行える。また、図示は省略するが、図7の21が振動源側の防振部材に、かつ、図7の22が支持部材とする逆の構成を採ることも可能である。
〔変形例1〜3〕
次に、実施例1〜3の防振ゴムの変形例1〜3について説明する。図8〜図10に示すように、ゴム部3の外周面(外周側面)3gの全周に亘って断面円弧の窪みFが形成されており、この窪みFの断面円弧の半径Lは、ゴム部3の厚みをHとしたときに、
H/5≦L≦5H……(A)
であるとともに、窪みの深さをWとしたときに、
1mm≦W≦H/2……(B)
であるように設定されている。
次に、実施例1〜3の防振ゴムの変形例1〜3について説明する。図8〜図10に示すように、ゴム部3の外周面(外周側面)3gの全周に亘って断面円弧の窪みFが形成されており、この窪みFの断面円弧の半径Lは、ゴム部3の厚みをHとしたときに、
H/5≦L≦5H……(A)
であるとともに、窪みの深さをWとしたときに、
1mm≦W≦H/2……(B)
であるように設定されている。
上記式(A)、(B)により、圧縮荷重が加えられる前の初期状態でゴム部3の外周面3gの自由表面積が大きくなって、大荷重が防振ゴムAに付加されるときでも、ゴム部3の外周面3gの引張り応力が分散されるので、しわやピンホールの発生を防止することができ、ゴム部3の許容歪みを超えることもなく、耐久性の向上に寄与できる利点が追加される。尚、図8に示す変形例1による防振ゴムAは、実施例1の防振ゴム(図1参照)を基本としたものであり、図9に示す変形例2による防振ゴムAは、実施例2の防振ゴム(図2参照)を基本としたものであり、図10に示す変形例3による防振ゴムAは、実施例3の防振ゴム(図3参照)を基本としたものである。
1 内筒
2 外筒
2t 外向きフランジ部の外周面
2A ボス部
2B 外向きフランジ部
3 ゴム部
3h 薄肉外周部
3H 本体ゴム部
4 ボス部の内周面、外向きフランジ部の外面、外表面
12 鈍角部
16 凹曲面
c 外向きフランジ部の外周面と外面との境目部分に形成される角部
k ボス部における端面と内周面との境目部分に形成される角部
A 防振ゴム
P 軸心
2 外筒
2t 外向きフランジ部の外周面
2A ボス部
2B 外向きフランジ部
3 ゴム部
3h 薄肉外周部
3H 本体ゴム部
4 ボス部の内周面、外向きフランジ部の外面、外表面
12 鈍角部
16 凹曲面
c 外向きフランジ部の外周面と外面との境目部分に形成される角部
k ボス部における端面と内周面との境目部分に形成される角部
A 防振ゴム
P 軸心
Claims (5)
- 内筒と、前記内筒の軸心方向に沿う軸心を有するボス部、及び前記内筒の径方向に沿う外向きフランジ部から成る外筒と、前記ボス部の内周面及び前記外向きフランジ部の外面と前記内筒との間に介在されて前記両筒を互いに加硫接着により一体化するゴム部と、を有して構成される防振ゴムであって、
前記ゴム部は、前記外向きフランジ部の外端から前記内筒の径方向に食み出ない大きさに形成されるとともに、前記ゴム部の外端部は、前記外向きフランジ部の厚さ程度以下の厚さに設定された状態で本体ゴム部に続く薄肉外周部に形成されている防振ゴム。 - 前記本体ゴム部と前記薄肉外周部との境目部分に形成される隅角部の表面が滑らかな凹曲面に設定されている請求項1に記載の防振ゴム。
- 前記薄肉外周部の外径と前記外向きフランジ部の外径とが同寸法に設定されるとともに、前記外向きフランジ部の外周面と前記外面との境目部分に形成される角部が、二以上の鈍角部を有する多角形状又は曲面形状に設定されている請求項1又は2に記載の防振ゴム。
- 前記ゴム部は、前記ボス部の端面に回り込む形状に形成されるとともに、前記ボス部における前記端面と前記内周面との境目部分に形成される角部が、二以上の鈍角部を有する多角形状又は曲面形状に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の防振ゴム。
- 前記二以上の鈍角部を有する形状又は曲面形状は、前記角部に面取り処理が為されたことによるものである請求項3又は4に記載の防振ゴム。
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-
2005
- 2005-01-28 JP JP2005020795A patent/JP2006207704A/ja active Pending
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