JP2006207145A - 床構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 体育館、多目的ホール等の床構造に関し、運動使用時の弾力性能に優れるとともに過大な荷重にも耐え、かつ施工性にも優れた床構造を提供することを課題とする。
【解決手段】 スラブに立設した支持脚に支持される大引材4と、上記大引材の上部に配置され、板に連続した山部と谷部が形成されたデッキプレート6と、上記デッキプレートの谷部に配置された緩衝具9と、この緩衝具の上部に固定され、上面部が上記デッキプレートの山部より高い位置に設けられる根太材12と、上記根太材の上部に敷設される床材とを有し、上記根太材に加わる荷重により上記緩衝具の圧縮変形が所定量に達したとき、上記デッキプレートの山部に上記床材が当接して上記緩衝具の変形が規制される構成である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、体育館、多目的ホール等において運動競技の他各種イベントが行える床構造に関する。
従来、体育館等の大型建物は、運動の場として充分な運動性能が発揮できるように、床支持装置には床との間に弾性体を設け、或いは大引材を弾性体で支持する構造を採用し、弾力性能の良い床構造を構築している。
ここで近時、体育館等が通常に運動を行う場所として用いられる以外に、コンサート等の各種イベント会場として用いられる場合がある。このように体育館をイベント会場として使用する場合、会場設定等のためにフォークリフト等の重量機械が館内の床の上を走行し、また多数の人数が館内に出入りすることから床には過大な重量が作用する。このため、イベント会場としても使用される体育館では、床の支持装置は予め過大な重量に耐え得るように堅牢に構成する必要がある。
このように、過大な重量に耐え得る床構造の床は極めて硬く弾力性能の悪い構造となり、運動をする者のアキレス腱を痛めたり、また転倒したときに打撲、怪我などが起こりやすくなる等安全性においても問題を生じ、通常の運動を行う場所として充分な運動性能を発揮できない。
これに対して、特許文献1には図6に示すように、支持脚80の上部に弾性体の変形量を制限する規制部材82が配設され、床板84から弾性体86を所定量以上変形する荷重が作用する場合、床板からの荷重が規制部材82を介して大引部材88に直接作用する床装置が開示されている。また、特許文献2には、支持脚の高さ方向中間部に吸振材が設けられ、この吸振材の縦圧縮が所定量に達したときに相互当接可能となる上部及び下部の圧縮制限片が設けられている床用束基礎が開示されている。
特開平2−240366号公報 特開平7−324418号公報
さて、上記特許文献1及び特許文献2記載の床構造は、弾力性を確保する弾性体層の変位量を、ストッパ金具を用いて機械的に制限する形態である。このため、ストッパ金具の強度及びこれを受止める部材の強度を十分に確保する必要があり、また耐久性についても考慮を払う必要があり、設計上も困難を伴うものである。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、運動使用時の弾力性能に優れるとともに過大な荷重にも耐え、かつ施工性にも優れた床構造を提供することを目的とする。
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る床構造は、図1に示すように、スラブに立設した支持脚に支持される大引材4と、上記大引材の上部に配置され、板に連続した山部と谷部が形成されたデッキプレート6と、上記デッキプレートの谷部に配置された緩衝具9と、この緩衝具の上部に固定され、上面部が上記デッキプレートの山部より高い位置に設けられる根太材12と、上記根太材の上部に敷設される床材とを有し、上記根太材に加わる荷重により上記緩衝具の圧縮変形が所定量に達したとき、上記デッキプレートの山部に上記床材が当接して上記緩衝具の変形が規制される構成である。
本発明に係る床構造は、図2,4,5に示すように、上記緩衝具9は、上記根太材を取り付ける取付部48,69が設けられた弾性体10、この弾性体が載置される受け部43,62、及びこの受け部から上方に屈曲しさらに上記デッキプレートの上面部に延びる翼部46からなる構成である。
本発明に係る床構造において、上記緩衝具は、上記受け部の下方に突出し上記デッキプレートの谷部の付近まで延出される規制部44,74を有する構成である。
本発明に係る床構造において、上記根太材12は、上面部、側面部及びこれら側面部の下端の左右部からそれぞれ内向きに屈曲する係止部56からなる断面C字状の長尺材からなる一方、上記緩衝具9には、上記弾性体10の上部に配置されかつ上記根太材の係止部に係止され、上記根太材12とともに上記弾性体10を上記受け部43,62との間で拘束する抜止め片57,70が設けられた構成である。
本発明に係る床構造によれば、大引材の上部に配置されたデッキプレートと、デッキプレートの谷部に配置された緩衝具と、この緩衝具の上部に固定され、上面部が上記デッキプレートの山部より高い位置に設けられる根太材と、根太材の上部に敷設される床材とを有し、根太材に加わる荷重により緩衝具の圧縮変形が所定量に達したとき、デッキプレートの山部に床材が当接して緩衝具の変形が規制される構成を採用したから、床上で運動が行われるときには緩衝具によって床の衝撃が緩和され、また床上を重量機械が走行し或いは荷物等により床に過大な重量が作用したときは、床材はデッキプレートの上部で強固に支持されて高い荷重性能を有するとともに、弾性体の圧縮が制限されて弾性体のヘタリ或いは破損が防止されるという効果を奏する。
また、緩衝具をデッキプレートの谷部という安定した位置に固定する構造であるため、弾性体の弾力性能、大きさ等を適宜に選択できて運動時の弾力性能を高い水準で確保することができ施工も容易であるという効果がある。さらに、緩衝具がデッキプレートの谷部に設けられているため、競技の内容により、緩衝具の硬度を変更したい場合は、床材を剥すことにより緩衝具が現れ、これを所定の硬度をもつ緩衝具と簡単に取替えができるという効果がある。
本発明に係る床構造によれば、緩衝具は、弾性体が載置される受け部、及びこの受け部から上方に屈曲しさらにデッキプレートの上面部に延びる翼部からなるものとしたから、緩衝具がデッキプレートに好適かつ安定して固定できるという効果がある。
本発明に係る床構造によれば、緩衝具は、受け部の下方に突出しデッキプレートの谷部の付近まで延出される規制部を有する構成としたから、根太材が強固にデッキプレートに支持され衝撃にも強いという効果がある。
本発明に係る床構造によれば、緩衝具は、根太材の係止部に係止され、根太材とともに弾性体を受け部との間で拘束する抜止め片を有する構成としたから、根太材が緩衝具に拘束保持されて的確に弾性体に固定でき、また上下衝撃等によっても根太材が緩衝具から外れることがないという効果がある。
以下、本発明に係る床構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この床構造は、体育館、多目的ホール等において運動競技の他各種イベントが行えるものである。図1,2は上記床構造の側面図を、図3は上記床構造の斜視図を示したものである。この床構造は、支持脚2、大引材4、デッキプレート6、緩衝具9、根太材12、パーチクルボード14、構造用合板16及び床板18を有する。
上記支持脚2は、支持台20、支持ボルト22、ナット24、ワッシャ26、保持具28及びボルトとナットからなる止着具30を有する。この支持脚2は、支持ボルト22およびナット24を調節することで、保持具28の高さを調整することができる。大引材4は断面四角形状で、上面板部32、側面部34及び下面板部36からなる鋼製角パイプである。
上記デッキプレート6は、鋼板を連続した山谷状(断面台形状)にプレス加工した板材であり、山部の頂部を形成する上面部38、傾斜状の側面を形成する側板部40及び谷部の底面を形成する下面部42からなる。このように、デッキプレート6の山部は断面が台形状で頂部の上面部38は平坦であり、谷部の底面としての下面部42も平坦な構成であることから、高い強度が確保されるとともに部材が安定して設置固定できる。
上記緩衝具9は、弾性体10と受け具8からなる。この弾性体10は、直方体状でゴム、合成樹脂等の弾性材からなる。弾性体10の左右の側面部には、上記根太材12を取り付けるために、内側に向けて少し切り込んだ切込部48が設けられている。また弾性体10には、弾力性を高めるため横向きに貫通した孔部50が形成されている。受け具8は、中央に形成された平坦な受け部43、この受け部の前後部位を下方に屈曲して形成された規制部44、及び左右部位を斜め上方に屈曲し先端部を外向きにして取付部45を設けた翼部46を有している。上記弾性体10は、受け具8の受け部43に加硫接着や接着剤等で固定される。
上記根太材12は、上面部52、側面部54及びこれら側面部54の下端の左右部からそれぞれ内向きに屈曲する係止部56からなる断面C字状の長尺のチャンネル鋼である。上記緩衝具9は、弾性体10の切込部48に根太材12の係止部56を係止させて根太材12を固定する。
図4は、他の形態の緩衝具9を示したものである。この緩衝具9は、抜止め片57を用いて、受け具8の上部に弾性体11を介して根太材12を固定する形態を示したものである。この抜止め片57は、補強のため矩形状の基板の左右部を下方に屈曲成形した、断面コの字形状の板材であり、中央部には孔が設けられている。上記弾性体11には中央部を上下に貫通する孔が設けられ、また受け具8の受け部43の中央にも孔が設けられている。そして、上記抜止め片57を、根太材12の係止部56の内側に係止させ、ボルト58を抜止め片57から弾性体11及び受け部43にわたって挿通させ、受け部43の下部でナット59を用いて締結し、根太材12を緩衝具9に拘束保持する。この抜止め片57により、上下振動等によっても根太材が緩衝具から外れることがない。
図5は、さらに他の形態の緩衝具9を示したものである。この緩衝具9は、受け部材60、弾性体13、抜止め片70及び規制部材71からなる。上記受け部材60は、中央に形成された平坦な受け部62、この受け部62の前後部位を上方に屈曲したフランジ部64、及び左右部位を斜め上方に屈曲し先端部を外向きにして取付部68を形成した翼部66を有している。
上記弾性体13は、直方体状でゴム、合成樹脂等の弾性材からなり、左右の側面部には上記根太材12を取り付ける切込部69が設けられている。抜止め片70は、矩形状の基板の左右部を下方に屈曲成形した断面コの字形状の板材である。規制部材71は、雄ネジが刻設された柱部の上部及び中間部に、それぞれ止付部材75及びフランジ部76が形成される形態である。
上記緩衝具9は、受け部62の上部に弾性体13を載置し、この弾性体13の上に抜止め片70を配置する。これら受け部62、弾性体13及び抜止め片70の中央部には上下に貫通孔が設けられており、これら3部材間に規制部材71の円柱部を挿通させる。この規制部材71は、円柱部の下部にはこの円柱部から膨出されたフランジ部76が形成され、上部には弾性体13を止め付けるスプリングワッシャーやナットからなる止付部材75が設けられている。そして、弾性体13の切込部69に、根太材12の係止部56を係止固定する。また、上記規制部材71には、上記受け部62の下方に突出しデッキプレートの谷部の下面部42まで延出される規制部74が形成されている。この規制部74により、根太材が強固にデッキプレートに支持され衝撃にも強い。
さて上記床構造は、デッキプレート6の下面部42に上記緩衝具9を配置し、根太材12を弾性支持する。このとき図2に示すように、根太材12の上面部52の位置は、デッキプレート6の上面部38より所定間隔(h)だけ高くなるように構成する。
この根太材12の上部には床材が敷設され、大きな荷重がかかった場合、上記所定間隔(h)の寸法分だけ緩衝具9の弾性体10が圧縮変形し、このため根太材12の上面部52はデッキプレート6の上面部38と同等の高さになり、この状態で床材はデッキプレート6の上面部38で支持され弾性体10の圧縮が制限される。
ここで、上記床構造の施工について説明する。スラブ面1に立設固定した上記支持脚2の保持具28間に上記大引材4を架設し、支持脚2の支持ボルト22及びナット24を操作して保持具28の高さを調整する。この大引材4は、保持具28の側面部33から止着具30を差し渡し、これを大引材4の側面部54に設けた孔を貫通させて保持具28に保持固定する。次に、大引材4の上部に、この大引材4と溝方向が直交する方向にデッキプレート6を配置する。このデッキプレート6は、隣り合うデッキプレート6同士の一部を重ね合わせ、全体的には連続した山谷形状に配置する。
次に、根太材12を緩衝具9とともにデッキプレート6の下面部42に配置する。このとき、緩衝具9に設けられた弾性体10の切込部48に根太材12の係止部56を係止させて取り付ける。こうして根太材12には複数の緩衝具9が取り付けられる。
そして、デッキプレート6の下面部42に緩衝具9の規制部44を載置する一方、翼部46の取付部45をデッキプレート6の上面部38にビス39等の止着具で固定する。このように、弾性体10をデッキプレート6の下面部42という安定した位置に固定する構造であることから、弾性体の硬さに左右されない設計が行なえ、このため弾力性能の高い弾性体10を自由に選択することができ、弾力性能を高い水準で確保するのが容易である。また従来技術の緩衝規制具は大きな荷重がかかるとき、ストッパ金具はこの荷重に耐える構成をとらなければならないが、上記床構造はこのストッパ金具を用いない構成であるから、無理なく高い耐荷重性能が得られる。
この状態で、根太材12は緩衝具9により弾性支持されている。そして、この根太材12の上面部52は、デッキプレート6の上面部38よりも所定間隔(h)高く位置するように構成されている。この間隔(h)は、緩衝具9の弾性体10の弾性強さ(硬さ)にもよるが5mm〜10mmが適当であり、ここでは7mmとしている。また、フロアとして各種運動競技性能にマッチした弾性力を得るためには、弾性体10の弾性強さを適宜に選択することで容易に対応できる。
上記根太材12の上部には床材として、下張り(捨板)としてパーチクルボード14及び構造用合板16を配置し、この上に床板18を敷設する。なお、デッキプレート6の上面部38には、受け具8の取付部45が介在するが、この取付部45は小さい部分でありデッキプレート6の下面部に食い込むことから上記所定間隔(h)には影響しない。
このように、上記実施の形態においては、デッキプレートで主力となる床下地構造を構成し、床板等で仕上げる二重構成の床組にすることで、その間に弾性圧縮可能な所定間隔のクリアランス確保することで、フロアとして変位の抑止機構をもった床構造が構成されている。
上記床構造により、通常、床板18等は根太材12によって支持され、この根太材12は緩衝具9によって弾性支持されていることから、スポーツなどでの押圧力に対して好適な弾力性を有するスポーツフロアとなる。一方、展示会やコンサート等のイベント開催時にフォークリフト等の重量物がフロアを移動等するときは、床板18等から根太材12に加わる押圧力のため弾性体10は弾性圧縮し、所定圧縮後は床材はデッキプレート6の上面部38で強固に支持され弾性体の圧縮が規制される。
したがって、上記実施の形態に係る床構造によれば、スポーツ施設として良好な緩衝性を有するフロアが得られる一方、イベント開催時には重量物であってもデッキプレート等の下地組部で十分な強度が維持されるため、高い耐荷重性能を発揮する。また、緩衝具がデッキプレートの下面部という安定した位置に固定する構造であるため、弾力性の高い弾性体の選択が可能であり、運動時の弾力性能を高い水準で確保することができ施工も容易に行なえるという効果がある。
本発明の実施の形態に係る床構造の側面を示す図である。 実施の形態に係る床構造の側面の部分拡大図である。 実施の形態に係る床構造の部分斜視図である。 床構造における緩衝具の他の形態を示す側面図である。 床構造における緩衝具のさらに他の形態の(a)は斜視図を、(b)は断面を示す図である。 従来例に係る床装置を示す図である。
符号の説明
2 支持脚
4 大引材
6 デッキプレート
8 受け具
9 緩衝具
10,11,13 弾性体
12 根太材
43,62 受け部
44,74 規制部
48,69 取付部(切込部)
57,70 抜止め片

Claims (4)

  1. スラブに立設した支持脚に支持される大引材と、
    上記大引材の上部に配置され、板に連続した山部と谷部が形成されたデッキプレートと、
    上記デッキプレートの谷部に配置された緩衝具と、
    この緩衝具の上部に固定され、上面部が上記デッキプレートの山部より高い位置に設けられる根太材と、
    上記根太材の上部に敷設される床材とを有し、
    上記根太材に加わる荷重により上記緩衝具の圧縮変形が所定量に達したとき、上記デッキプレートの山部に上記床材が当接して上記緩衝具の変形が規制されることを特徴とする床構造。
  2. 上記緩衝具は、上記根太材を取り付ける取付部が設けられた弾性体、この弾性体が載置される受け部、及びこの受け部から上方に屈曲しさらに上記デッキプレートの上面部に延びる翼部からなることを特徴とする請求項1記載の床構造。
  3. 上記緩衝具は、上記受け部の下方に突出し上記デッキプレートの谷部の付近まで延出される規制部を有することを特徴とする請求項2記載の床構造。
  4. 上記根太材は、上面部、側面部及びこれら側面部の下端の左右部からそれぞれ内向きに屈曲する係止部からなる断面C字状の長尺材からなる一方、
    上記緩衝具には、上記弾性体の上部に配置されかつ上記根太材の係止部に係止され、上記根太材とともに上記弾性体を上記受け部との間で拘束する抜止め片が設けられたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の床構造。
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