JP6998681B2 - 段床支持脚及びこれを用いた段床構造の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、教室、ホール等に設けられる階段状の段床を敷設するための段床支持脚、及びこれを用いた段床構造の施工方法に関する。
従来、階段状の段床に関して例えば特許文献1に記載の床組工法が知られている。これは、図11に示すように、先ず床スラブ上に、高さが階段状に異なる複数の床支持脚100を列状に立設し、これら支持脚100間に傾斜状に大引材102を載置し、これら大引材102上に直交向に根太材104を固定し、上部に鋼板106を敷設して傾斜面を形成する。そして、上記傾斜面上に所定間隔をおいて蹴込みプレート108及び側端プレート110を取り付け、各蹴込みプレート108間にコンクリートを打設し、階段床を構築するものである。
また特許文献2記載の段床構造は、スタジアム等に客席を設ける場合の段床に関し、踏み板、蹴上げ板が連続する段床基板を設け、最上段の踏み板にアジャストボルトを取り付けて高さ調整可能に段床ユニットを構成し、各段床ユニットを段床構築位置で受梁に沿って並列階段状に架設し、段床ユニット同士を接合して段床構造を構築するというものである。
特許文献3には鋼製床束が記載されており、これは設置プレート、大引を受け止める受けプレート、及び設置プレートと受けプレートとにそれぞれ立設固定したパイプ部材を有し、各パイプ部材の内周面に雌ネジを形成し、両端部に両パイプ部材の雌ネジと螺合する雄ネジを設け、この途中部に回転操作用の操作ナットを設けたネジ棒を備えたものである。
特開2000-309999号公報 特開2000-230303号公報 特開2003-138683号公報
さて、特許文献1に記載の床組工法は、階段状に床組みを行う際、各床支持脚が傾斜状に大引材を支える構成であるため、各床支持脚の高さ等全体のバランスを取るのに注意を要し、また階段状の床をコンクリートで構成しているため搬送、施工も大掛かりになるという問題がある。
また、特許文献2の段床構造は、多数段の段床基板、或いは受梁等を用いる構造であるため、材料が大型化して作業性、拡張性等に欠けるという問題がある。
特許文献3に係る鋼製床束は、高さ調整可能に配置された受けプレートに大引を載置し支持する床束であり、床束の中間部は高さ調整機構が設けられている。このような床束は、受けプレートの一か所で大引を支持する形態であり、異なる高さに大引を配置する場合には二種類の高さの床束を用意する等、床束の部品点数が増加し又床束の設置件数が増えて作業も手間取るという問題がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、生産性、施工性に優れ、拡張性にも優れる段床支持脚及びこれを用いた段床構造の施工方法を提供することを目的とする。
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る段床支持脚は、図1,2等に示すように、段床の任意の蹴込み部13の上側の踏み面14、及び下側の踏み面14の各下地材をそれぞれ支持する段床支持脚2であって、基礎面1に配置し立設される支柱部材8と、上記支柱部材8の上部に配置され、上記上側の踏み面14の下地形成に係る大引材4を載置し支持する第一大引支持部材10と、上記支柱部材8に取り付けられ、上記下側の踏み面14の下地形成に係る大引材4を載置し支持する第二大引支持部材12と、を有する構成である。
ここにおいて、上記第二大引支持部材12の支柱部材8への取り付け位置は、支柱部材8の中間部(上部近傍から下部近傍間の部位)の適宜な位置が選ばれる。また、第二大引支持部材12には、例えば横向きの平坦な部位を設け、ここに大引材4を載置し固定する。
本発明に係る段床支持脚に係り、上記第二大引支持部材12は、上記支柱部材8に取り付けられる位置調整具44、およびこの位置調整具44に一体的に形成される受け具46を有し、この受け具46に上記大引材4を載置した構成である。
ここで、例えば受け具46は、位置調整具44の側部等に一体的に形成する。また、二部品を接合して位置調整具44と受け具46を一体形成する形態、或いは一部品の一方の部位を位置調整具44、他方の部位を受け具46とする形態等がある。
本発明の段床支持脚に係り、上記第二大引支持部材12の位置調整具44は、断面矩形状、断面C字状、断面L字若しくは逆L字状、又は平板状の形状をなし、支柱部材8が挿通可能な挿通孔部又は支柱部材8が嵌入可能な切欠き部を有する構成である。
ここにおいて、上記断面C字状、断面L字若しくは逆L字状のものは、例えば、横向きの部位に挿通孔部を設けて支柱部材8を挿通し、縦向きの部位に受け具46を取り付け、また平板状のものは、一方の部位を位置調整具44として支柱部材8を挿通し、他方の部位を受け具46として大引材4を載置する。
また、本発明に係る段床支持脚は、上記第二大引支持部材の位置調整具44を、上板部48、この上板部48の左右部から下方に屈曲形成される側板部50,50、及び下板部52からなる断面矩形状に形成し、上記上板部48及び下板部52に、それぞれ上記支柱部材8が挿通可能な挿通孔部54,56又は支柱部材8を嵌入可能な切欠き部55,57を設けた構成である。
本発明に係る段床支持脚は、上記位置調整具44の挿通孔部又は切欠き部に、筒状又は溝状の補強部材69,71を嵌め入れ、この補強部材69,71の内部に上記支柱部材8を挿通させた構成である。
本発明の段床支持脚に係り、上記第二大引支持部材12の受け具46は、断面U字状、断面矩形状、断面C字状、断面L字若しくは逆L字状、又は平板状の形状をなす構成である。
ここで、上記受け具46は、何れも縦の部位(又は一端部)を位置調整具44と接合し、また、例えば、断面矩形状及び断面C字状のものは、上板部等に大引材4を載置し、また断面L字若しくは逆L字状、及び平板状のものは、何れも平面部に大引材を載置する。
また上記受け具46は、上記位置調整具44と接合により一体形成する形態、また両者を連続的に一体形成する形態等がある。
また、本発明に係る段床支持脚は、上記第二大引支持部材12の受け具46を、底板部58及び左右の側板部60,60からなる断面U字状に形成し、この受け具の両側板部60,60の上部近傍に、それぞれ大引固定具37を取り付け可能な孔部61,61を設け、上記両孔部61,61の中心線の延長部位を、上記支柱部材8の中心線より左又は右側に偏らせた構成である。
また、本発明に係る段床支持脚は、上記支柱部材8に螺子溝を刻設し、この支柱部材8に上記第二大引支持部材12を高さ調整可能に取り付けた構成である。
本発明に係る段床支持脚は、上記基礎面に配置される支持台9の上部に、上記支柱部材8を固定的に立設し又は高さ調整可能に立設した構成である。
本発明に係る段床構造の施工方法は、上記基礎面の前後方向に、上記何れかに記載の段床支持脚を配置し、任意の上記段床支持脚2の第一大引支持部材10と第二大引支持部材12との間の間隔を、段床の蹴上げ高さに調整し、上記任意の上記段床支持脚2の第一大引支持部材10の高さと、その直後の上記段床支持脚2の第二大引支持部材12の高さとを同一に調整し、上記各段床支持脚2について、同じ丈の段床支持脚2を横方向に一列に配置し、これら横方向に配置した各段床支持脚2の第一大引支持部材10間、及び第二大引支持部材12間にそれぞれ大引材4を配置し、これら大引材4をそれぞれ上記第一大引支持部材10及び上記第二大引支持部材12に取り付け、上記任意の段床支持脚2の第一大引支持部材10に取り付けた大引材4の上部と、その直後の上記段床支持脚2の第二大引支持部材12に取り付けた大引材4の上部間に、踏床材6を配置して段床の踏み面14を形成した構成である。
本発明に係る段床支持脚によれば、支柱部材と、この上部に配置され、上側の踏み面の大引材を支持する第一大引支持部材と、支柱部材に取り付けられ、下側の踏み面の大引材を載置する第二大引支持部材とを有する構成を採用したから、段床の構築に係る作業の効率化が図れて生産性、及び施工性に優れ、また一つの段床支持脚で、段床の上段及び下段の各踏み面の下地等が形成されることから、材料が削減されて経済性にも優れるという効果を奏する。
本発明に係る段床支持脚によれば、第二大引支持部材は、支柱部材に取り付けられる位置調整具および大引材の受け具を有する構成としたから、大引材が支柱部材に安定かつ有効に支持されるという効果がある。
本発明に係る段床支持脚によれば、第二大引支持部材の位置調整具を断面矩形状に形成し、上板部及び下板部にそれぞれ支柱部材の挿通孔部等を設けた構成としたから、支柱部材への第二大引支持部材の取付け及び保持が容易であるという効果がある。
本発明に係る段床支持脚によれば、位置調整具の挿通孔部又は切欠き部に、筒状又は溝状の補強部材を嵌め入れ、支柱部材を挿通させた構成としたから、位置調整具の挿通孔部等が補強され、支柱部材に対する位置調整具の固定を強固にすることができるという効果がある。
また、本発明に係る段床支持脚によれば、受け具の両側板部にそれぞれ大引固定具を取り付け可能な孔部を設け、両孔部の中心線の延長部位を、支柱部材の中心線より左又は右側に偏らせた構成としたから、大引材の固定作業が容易に行えて作業性に優れるという効果がある。
本発明に係る段床構造の施工方法によれば、段床支持脚の第一大引支持部材と第二大引支持部材との間を、段床の蹴上げ高さに調整し、横方向の第一大引支持部材間、及び第二大引支持部材間にそれぞれ大引材を配置し、これら大引材の上部間に踏床材を配置して段床の踏み面を形成した構成を採用したから、現場では主にビス等を用いて、各部材を組み立てて段床を完成することができることから、作業が迅速且つ容易に行えて生産性及び施工性に優れ、また材料が削減されて経済性にも優れ、加えて教室、ホール等の基礎面に、踏み面の大きさ、蹴上の高さなど適宜に設定可能な段床が形成でき、段床構造の自由度が高く拡張性にも優れるという効果を奏する。
実施の形態に係り、段床支持脚及び段床構造(一部)の側面を示す図である。 実施の形態に係り、段床構造の要部を示す図である。 実施の形態に係る第二大引支持部材を示す図である。 第二大引支持部材の位置調整具を示す図であり、(a)は挿通孔部を設けた例を、(b)は切欠き部を設けた例を示す。 第二大引支持部材を示す図であり、(a)は位置調整具に切欠き部を形成した例(2例)を示し、(b)は切欠き部を形成した位置調整具に、外れ防止プレートを設けた例を示す。 位置調整具に補強部材を取り付けた例を示す図であり、(a)は挿通孔部に補強部材を嵌め入れた例を、(b)は切欠き部に補強部材を嵌め入れた例を示す。 実施の形態に係り、段床支持脚及び段床構造(一部)の正面を示す図である。 実施の形態に係り、段床構造の全体の側面を示す図である。 他の第二大引支持部材に係り、(a)は位置調整具の他の例を、(b)は受け具の他の例を示す図である。 他の第二大引支持部材に係り、(a)は受け具に大引材を載置しネジ固定した例を、(b)は受け具に載置した大引材を、ボルトナットで固定した例を示す図である。 従来例に係る床組工法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2は、実施の形態に係る段床支持脚2等を示したものである。この段床支持脚2を用いた段床構造3は、教室、講義室、会議室、映画館、劇場、ホール、コンサートホール、イベント会場、その他公共の施設等において、基礎面1上に構築し、客席、座席等の設置が可能な階段状の段床に採用できる。
上記段床構造3は、段床支持脚2、大引材4及び踏床材6(根太材、踏み板)等を有する。
上記段床支持脚2は、支柱部材8、支持台9、第一大引支持部材10、及び第二大引支持部材12等を有し、全体が鋼材からなる。
段床支持脚2の第一大引支持部材10及び第二大引支持部材12は、それぞれ段床の任意の蹴込み部13の上側の踏み面14及び下側の踏み面14を形成する各下地材を支持する。これら下地材には、段床の下地構造を形成する大引材4及び踏床材6等が含まれる。
段床支持脚2は、支持台9の上部に支柱部材8を立設し、この支柱部材8の上部に第一大引支持部材10を配置し、また支柱部材8の中間部に第二大引支持部材12を取り付けた形態である。
上記第一大引支持部材10及び第二大引支持部材12にそれぞれ大引材4を取り付け、段床の蹴込み部13の上段部、及び下段部の各踏み面14の下地を形成する。第一大引支持部材10と第二大引支持部材12との間の部位に、段床の蹴込み部13が形成され、その間隔が蹴上げの高さとなる。
支持台9は、平坦な保持部16、この左右部から斜め下方に形成される脚部17,17、各脚部17からそれぞれ水平状外向きに形成される固定部18からなる。また、保持部16の中央には、支柱部材8を挿通させる保持孔20が設けられている。なお、保持孔20に螺子溝を刻設し、これに支柱部材8を高さ調整可能に螺合させる形態を採用することもできる。
支持台9の固定部18は、接着剤或いはビス(コンクリートビス)等の止着具を用いて基礎面1に固定する。
上記支柱部材8は、円柱状の棒材の全体に螺子溝が刻設された形状である。この支柱部材8は、ナット22,23及びワッシャ24を用いて、支持台9の保持部16に高さ調整可能に立設する。
支柱部材8の下部に、予めナット22を螺着してその下部側にワッシャ24を嵌め、支柱部材8の下部を支持台9の保持孔20に差し込み、下からナット23を螺合する。そして、これら2つのナット22,23で保持部16を挟み、この状態で支柱部材8を支持台9に立設固定する。
尚、支持台9の保持部16の上部或いは下部にナットを溶接等により固定し、これに支柱部材8を螺入して、高さ調整可能に立設することもできる。また、支持台9に支柱部材8を直接溶接等により固定し立設するような、ユニットタイプ化した形態も可能である。
また、上記支持台9に替えて、板状の座材に支柱部材8を立設固定した形態を採用することもできる。支持台9を用いないで、支柱部材8の下部を直接基礎面1に埋設して固定し、立設する形態等も採用可能である。
上記第一大引支持部材10は、底板部30、及び左右の側板部32からなる断面U字状の受け具28を有する。この受け具28は大引材4の載置が可能であるが、他に、受け具として断面L字状、或いは平坦な板状等、大引材4が載置可能な形状であれば、如何なる形状のものでも採用可能である。
また、第一大引支持部材10の底板部30の中央部には孔部34が形成され、この孔部34は支柱部材8の上部が挿通可能である。そして、上記底板部30の下部には、上記孔部34と同じ中心位置にナット36が溶接により固定されている。
第一大引支持部材10の受け具28には、左右の側板部32の上部近傍の中央部に、それぞれ大引固定具37を取り付けるための孔部42が形成されている。
この大引固定具37としては、ボルト38及びナット40からなるものを使用し、このボルト38の軸部を左右の側板部32の各孔部42に挿通させ、外側からナット40を締結し、受け具28内の大引材4を固定する。他に、ビス等を受け具28の側板部32から螺入し、さらに大引材4の側部にねじ込み、大引材4を直接受け具28に固定するようにしてもよい。
図3に示すように、第二大引支持部材12は、位置調整具44と受け具46とを有し、これら鋼材からなる両者は、溶接等により一体化されている。
位置調整具44は、図4(a)にも示すように、上板部48、左右の側板部50、及び下板部52からなる縦方向が長い断面矩形状の部品である。ここでは、位置調整具44の側板部50に受け具46を固定する。
そして、位置調整具44の上板部48の中央には挿通孔部54が、また下板部52の中央にも挿通孔部56が形成され、これら両挿通孔部54,56は支柱部材8の挿通が可能である。この位置調整具44は、両挿通孔部54,56に支柱部材8を挿通させ、この状態で、ナット等を用いて上板部48と下板部52とを支柱部材8に固定する。
位置調整具44として他に、図4(b)に示すように、上記両挿通孔部に替えて切欠き部55,57を設けることもできる。この切欠き部55,57は、位置調整具44の上板部48及び下板部52の各一辺部から中央部に向けてそれぞれ形成する。
上記切欠き部55,57は、ここでは、側板部50と直交する側の上板部48と下板部52との各辺部の中央部から、各板部の中心部にかけて所定の幅(支柱部材8が嵌合可能な幅)だけ、切り欠き形成した形状である。
他に、切欠き部55,57を、側板部50が形成された側(受け具46を取り付けない側)に形成することもできる。この場合、側板部50の中央部を上下に所定幅(支柱部材8が嵌入可能な幅)切除し、そのまま、上板部48と下板部52との各辺部の中央部から、各板部の中心部にかけて同様の幅切り欠いた形状となる。
上記位置調整具44は、両切欠き部55,57を支柱部材8に嵌め込み、これら両切欠き部55,57(奥の部位)に支柱部材8を挿通させ、この状態で、ナット等を用いて上板部48と下板部52とを支柱部材8に固定する。この位置調整具44についても、側板部50に受け具46を固定する。
上記位置調整具44(切欠き部55,57付き)を用いた場合、第二大引支持部材12の後付けが可能となり、或いは他の第二大引支持部材12との交換等が容易に行える。この場合、予め支柱部材8にナット等を螺着しておく。
図5(a)に示すように、位置調整具44の切欠き部には、一方向に切り欠いた形状の切欠き部55,57等、及び一方向から直角に屈曲した形状に切り欠いた切欠き部55a,57a等がある。
また図5(b)に示すように、位置調整具44に切欠き部55,55a等を設けた場合、外れ防止プレート51を利用することが好ましい。この外れ防止プレート51には凹状の係合部53が形成され、この係合部53を切欠き部55,55a等と対応させ、両者で支柱部材8を挟持する。この外れ防止プレート51は、上記切欠き部55,55a等を設けた上板部48(及び/又は下板部52)の上面部或いは下面部に、ビス(又は接着剤)等を用いて取り付ける。外れ防止プレート51を用いることにより、より強固に位置調整具44を支柱部材8に固定することができる。
また、位置調整具44の両側板部50の各側端部を少し延長し、この延長部位をそれぞれ内側に屈曲して補強片49,49を形成することができる。この補強片49により、位置調整具44の強度が高められる。
なお、位置調整具44として、左右に側板部が形成された断面矩形状以外に、これら側板部の一方(受け具46と接続されてない側)及び/又は、上板部もしくは下板部の一方を欠いた形状も可能である。
他に、位置調整具44として、断面C字状等の形状、断面L字(又は逆L字)状の形状、断面U字(又は逆U字)状の形状、平板形状等のものが有り、支柱部材8が挿通可能な挿通孔部又は嵌入可能な切欠き部等が設けられ、受け具46を接続する部位が形成された形状等であれば、何れも採用が可能である。
ここで、位置調整具44として、上記断面C字状のものは、例えば、断面矩形状の一方の側板部の一部が欠けた形状があり、この場合、上板部と下板部にそれぞれ挿通孔部等を設けて支柱部材8を挿通し、また他方の側板部に受け具46を接合する。
また、断面L字(又は逆L字)状、断面U字(又は逆U字)状のものは、横向きの部位に挿通孔部を設け、縦向きの部位に受け具46を接合する。平板形状のものは、板厚に形成し、一方寄りの部位を位置調整具とし、ここに挿通孔部を設けて支柱部材8を挿通し、他方の部位を受け具として大引材を載置するようにしてもよい。
また、支柱部材8への固定を強固にするため、位置調整具44として、例えば挿通孔部間が中空ではなく、中実(中身が詰まった)で立体形状(直方体材等)のものを採用することもできる。この位置調整具44の場合、支柱部材8を挿通させるため、直方体材等に上下向きの貫通孔を設けて支柱部材8を挿通させ、また壁面部に受け具46を固定する。上記貫通孔は、内周に螺子溝を刻設し、支柱部材8を螺入させるようにしてもよい。
また、図6(a)に示すように、位置調整具44には、支柱部材8を囲む形で補強部材69を設けてもよい。この補強部材69は、筒状(例えば円筒状)の鋼材からなる。補強部材69は、内部を支柱部材8が挿通可能なように、内径等は支柱部材8の外径より大きく(僅かに)形成する。
補強部材69は、位置調整具44の挿通孔部54,56(直接支柱部材8を挿通させる場合より内径を大きく形成)に取り付けられ、位置調整具44の上板部48の挿通孔部54と、下板部52の挿通孔部56間にわたって挿通させて嵌入する。そして、補強部材69と上板部48の挿通孔部54近傍、及び下板部52の挿通孔部56近傍とをそれぞれ溶着、接着等により固定する。
補強部材69により、位置調整具44の挿通孔部54,56を補強し、支柱部材8に対する位置調整具44の固定を強固にすることができる。
また、図6(b)に示すように、位置調整具44として上記切欠き部55,57を設けた形態の場合は、断面U字又は半円等の溝状の補強部材71を、両切欠き部間にわたって嵌め入れて取り付ける。この場合も、補強部材71と上板部48の切欠き部55近傍、及び下板部52の切欠き部57近傍とをそれぞれ溶着等により固定する。この位置調整具44は、補強部材71の溝状の部位を支柱部材8に嵌め合わせ、溝内を支柱部材8が挿通する状態に配置する。
なお、上記補強部材69,71は、上下の挿通孔部の一方のみ、また切欠き部の一方のみに設けてもよい。また、補強部材69,71と併せて上記外れ防止プレート51を用いることにより、強固に位置調整具44を支柱部材8に固定することができる。
上記受け具46は、底板部58、及び左右の側板部60からなる断面U字形状の部品である。この受け具46の左右の側板部60の上部近傍には、それぞれ上記大引固定具37の取り付け用の孔部61が形成されている。受け具46として、他に、断面矩形状、断面C字状、断面L字(又は逆L字)状、平板状等、何れも横向きの平坦な部位を有し、大引材4が載置可能な形状であれば、如何なる形態のものでも採用可能である。
ここで、上記受け具46は、何れも縦の部位(又は一端部)等を位置調整具44と接合する。また受け具46として、例えば、断面矩形状のものは上板部等に大引材を載置し、また断面C字状のものは、例えば、断面矩形状の一方の側板部の一部が欠けた形状があり、この場合も上板部等に大引材を載置する。断面L字状、平板状のものは、横向きの平面部に大引材を載置する。
上記位置調整具44と受け具46とは、位置調整具44の側板部50と受け具46の側板部60とが、溶接等により接合され一体化されている。
通常、受け具46は位置調整具44の側部に一体的に形成するが、これ以外に、位置調整具44の上部(又は上部近傍)、或いは下部(又は下部近傍)等であっても、補助材(リブ材等)を用いて受け具46を取り付けることができる。
なお、第二大引支持部材12として位置調整具44と受け具46とは、支柱部材8が挿通可能な挿通孔部又は嵌入可能な切欠き部と、大引材4が載置可能な受け部とを有するものであれば採用可能であり、例えば断面L字状、断面ロ字状、断面C字状、板状の鋼材等の場合、単一の部材で構成してもよい。
ここで、上記断面L字状のものは、縦の部位に上下に貫通孔を設けて支柱部材8を挿通させ、また断面ロ字形状のものは一方寄りの部位に挿通孔部を設けて支柱部材8を挿通させ、他方寄りの部位の上板部に大引材を載置する。また、断面C字状のものは、例えば断面ロ字状の一方の側板部の一部が欠けた形状の場合、上記断面ロ字状のものと同様に支柱部材8を挿通させ、また大引材を載置する。
上記受け具46の下部には、直角三角形状のリブ材62が設けられ、位置調整具44との固定が補強されている。リブ材62は、面平行に配置した直角三角形状(長辺部とこれと直交する短辺部、及び斜辺部)の二つの片の各斜辺部同士を、幅の狭い板片で連結した形状である。
このリブ材62は、長辺部が受け具46の底板部58に固定(溶着)され、短辺部が位置調整具44の側板部50に固定(溶着)されている。
なお、このリブ材の形状は、直角三角形状に限らず、四角形状、直方体形状等様々な形状のものが採用可能であり、リブ材の形状、大きさ及び設置数は所望の補強強度に応じて適宜選択される。
また、図7に示すように、ここでは第二大引支持部材12の位置調整具44の側板部50の横幅と、受け具46の側板部60の横幅とを同一程度にしている。そして、位置調整具44の側板部50の中央部に対して、受け具46の側板部60の中央部を少し横方向に偏らせた(ここでは図中左に移動)位置で、両者を固定している。
併せて、位置調整具44に対して受け具46を上寄りに配置し、側板部60の孔部61が位置調整具44の上板部48の上方に位置するようにしている。また、受け具46の両側板部60,60の各孔部61,61は、それぞれ側板部60の上部近傍の中央部から、上記受け具46を移動させた方向と同じ方向(図中左寄り)に偏らせた位置に形成している。
これは、第二大引支持部材12の受け具46に大引材4を載置し、この受け具46の両孔部61,61に大引固定具37のボルト38を挿通させナット40を締結する際の、作業性を考慮したものである。つまり、支柱部材8及び位置調整具44固定用のナット64等が、ボルト38或いはナット40の取り付け及び締結の邪魔になるため、受け具46の両孔部61,61の中心位置を支柱部材8(の芯)から少しずらした(偏らせた)ものである。
また、上記位置調整具44に対する受け具46の位置を横に偏らせる方法以外に、受け具46の側板部60等のサイズ(縦及び横)を大きくすることで、大引固定具37の取り付け及び締結の邪魔にならない孔部61の位置を、比較的自由に定めることができる。
他に、第二大引支持部材12の受け具46の両側板部60を、大引材4より上に延設して大引材4の上方で内側に絞る(間隔を狭める)ようにすれば、大引固定具37の取り付け等が邪魔にならなくなる。この場合、位置調整具44に対する受け具46の位置、或いは受け具46の孔部61の位置等は、比較的自由に定められる。
なお、第二大引支持部材12の位置調整具44と受け具46とは、溶接等により両者を一体的に固定しているが、他にボルト(及びナット)等で両者を一体的に固定することも可能である。
また、第二大引支持部材12の位置調整具44は、これと一体の受け具46を支柱部材8の中間位置に取り付けることが可能な形状、また受け具46は大引材4を載置できる形状であれば如何なる形状であっても採用可能である。
上記第一大引支持部材10に取り付ける大引材4は、ここでは、上面部45、左右の側面部47、及び各側面部の下部からそれぞれ内向きに下片部43が形成され、下部中央部が開口した断面C字状の長尺状の鋼材を用いている。
この大引材4は断面が正方形状であるが、他に、断面が正方形状で開口部の無い形状、或いは断面四角形状(縦長、或いは横長)の角型鋼等を用いても良い。さらに大引材4として、断面C字状(側部等が開口)の鋼材、H型鋼、断面ハット形鋼等の使用が可能である。
また、第二大引支持部材12には、上記第一大引支持部材10に取り付ける大引材4と同様な形状のものを用いても良く、また異なる形状の大引材4を用いてもよい。
特に、第二大引支持部材12の受け具46に載置する大引材4として、断面四角形状、又は下部が開口したC字状の鋼材等を用いる場合、特に縦長(縦辺の方が横辺よりも長い)の断面形状のものを用いるのも有効である。この場合、大引材4からの荷重の中心が、比較的、支柱部材8寄りになるため、段床支持脚2による支持のバランスが良い。
次に、上記段床支持脚2の組み立て方法等について説明する。
ここでは、先ず支柱部材8の中間部(第一大引支持部材10の下方で、第一大引支持部材10と支持台9との間)に第二大引支持部材12を取り付ける。支柱部材8を、第二大引支持部材12の位置調整具44の挿通孔部54から、下板部52の挿通孔部56にかけて挿通させ、支柱部材8の中間部に第二大引支持部材12を嵌める。
そして、位置調整具44の上板部48の上側にワッシャ63を介在させてナット64を螺合し、下板部52の下側からワッシャ63を介在させてナット66を締結し、位置調整具44を上下部から挟む状態で、支柱部材8に第二大引支持部材12を高さ調整可能に取り付け固定する。
このとき、上記位置調整具44の下板部52とワッシャ63(ナット66)との間に、中空板状の座金部材67を嵌めて介在させる。この座金部材67は鋼材からなり、下板部52と同程度の大きさを有し、広い面積で位置調整具44を支えることでナット66による支持を補強し強固にする。
第二大引支持部材12は、ナット64,66を調整することにより、支柱部材8の中間部に高さ調整可能に配置でき、支柱部材8の所定位置に取り付ける。具体的には、第一大引支持部材10から略蹴上の高さ分下方位置であって、支柱部材8の該当位置に第二大引支持部材12を取り付ける。
なお、位置調整具44に補強部材69を設けた場合であっても、この補強部材69に支柱部材8を挿通させ、他は上記と同様な形態で位置調整具44を支柱部材8に取り付ける。
また、上記位置調整具44に切欠き部55等を設けたものは、後付け等が可能であるため、適宜な時点で、位置調整具44を支柱部材8に嵌め込み、上記ナット64,66等を用いて取り付け固定する。
続いて、支持台9の保持部16に支柱部材8の下部近傍を取り付ける。この際、支持台9の保持孔20に支柱部材8の下部を差し込み、ナット22及びワッシャ24を保持部16の上側から用い、ナット23を下側から用いて締結し、支柱部材8を支持台9に立設固定する。
最後に、支柱部材8の上部に第一大引支持部材10を取り付ける。先に、支柱部材8の上部近傍にナット68を螺着し、その上部にワッシャ63を介在させ、支柱部材8の上端部を、第一大引支持部材10の下部に固定されたナット36に螺入する。この際、支柱部材8の上端部は、ナット36の上部の受け具28の孔部34を通過して、受け具28の内部に突入可能である。
これにより、段床支持脚2は、支持台9に対して支柱部材8が高さ調整可能に、また、支柱部材8に対する第二大引支持部材12の高さ位置も自在に調整可能であり、支柱部材8に対して第一大引支持部材10の高さも調整可能である。
なお、段床支持脚2は、第二大引支持部材12の受け具46で大引材4からの荷重を受ける際、その荷重の中心は、支柱部材8の中心から受け具46側に偏っている。また、第一大引支持部材10は、その中心を支柱部材8の中心と一致させており、このため大引材4は偏りなく支柱部材8の中心で支持される形態である。
この場合、第一大引支持部材10及び第二大引支持部材12の両者に相当の荷重が加わる状況が予想される段床等では、例えば、段床支持脚2の支持バランスをとるため、第一大引支持部材10の中心位置を、支柱部材8の中心から、第二大引支持部材12の受け具46の配置位置とは反対側に偏らせて配置することも可能である。
つまり、支柱部材8に対して図中(図1等)右側に第二大引支持部材12の受け具46が配置されているが、この場合、第一大引支持部材10の中心(大引材を支持する中心)を支柱部材8に対して図中左側に偏らせて(偏心)配置する。
具体的には、第一大引支持部材10の底板部30の中央部に形成される孔部34等を、底板部30の右寄り(図中)の位置に形成し、この位置で支柱部材8を支持する。
これにより、段床支持脚2に加わる、第一大引支持部材10及び第二大引支持部材12(受け具46)からの荷重が、支柱部材8の両側(図中左右)に分散され、段床支持脚2の支持バランスが良くなる。
他に、段床支持脚2の支持バランスをとるため、段床支持脚2の支柱部材8等から主に基礎面1の前方にかけて斜材を配置し、段床支持脚2の固定を補強してもよい。
なお、通常、段床の各段に踏床材6(根太材74、踏み板76)を配置しこれを取り付けることにより、自ずと段床支持脚2の左右動も止められ、段床支持脚2が固定されて支持バランスもとれることになる。
他には、第二大引支持部材12と同様の部材を、上段部の第一大引支持部材10に替えて用いる。つまり、支柱部材8の上端部近傍に別の第二大引支持部材12を配置し、その受け具46を、下段部の第二大引支持部材12の受け具46が配置される側(図1中右側)と反対側(図1中左側)に配置する。
これにより、段床支持脚2に加わる上段部及び下段部を形成する各第二大引支持部材12(受け具46)からの荷重が、支柱部材8の両側(図1中左右)に分散され、段床支持脚2の支持バランスが良くなる。
また、段床支持脚2を、高さに応じたサイズを揃えるユニットタイプ化するような場合は、敢えて高さ調整を行うことは不要である。このため、支柱部材8を、単なる棒状の(螺子溝の無い)部材で形成し、この支柱部材と支持台9、第一大引支持部材10、及び第二大引支持部材12とを、それぞれ溶接等により固定した形態とすることも可能である。
また、第二大引支持部材12の位置調整具44の挿通孔部54,56自体に、螺子溝を刻設する等により、ナットを使用しないで位置調整具44を支柱部材8に高さ調整可能に螺着することが可能である。また、上板部48の挿通孔部54のみ螺子溝を刻設し、下板部52の挿通孔部56の下部にのみにナット66を使用し、位置調整具44を支柱部材8に螺着することもできる。
次に、上記段床支持脚2を用いた段床構造3の施工等について説明する。
ここでは、建物(教育施設等)の基礎面1に上記段床構造3の段床を構築する。この段床は、例えば、基礎面1の前後方向の中間部から後方の全体にかけて構築する。
なお、基礎面1は平坦な場合が多いが、例えば傾斜地の利用等により基礎面1が斜面状の場合であっても、段床支持脚2の高さ調整等により何ら問題なく段床構造3を構築できる。
施工では先ず図8に示すように、基礎面1の前後方向に段床支持脚2を複数配置する。段床支持脚2同士の間隔は、踏み面14の大きさ等に基づいて定める。段床支持脚2は、後方に向かうに従って丈の高い段床支持脚2を使用する。
各段床支持脚2同士の中央部には、通常形状の中間床支持脚70を配置し踏み面14の中央部を補強する。この中間床支持脚70は、支持台にボルト材が立設され、このボルト材の上端部のみに大引支持部材の受け具が高さ調整可能に取り付けられた形状である。
上記中間床支持脚70の大引支持部材の丈は、直前(同じ段)の段床支持脚2の第一大引支持部材10の高さ(これは直後の段床支持脚2の第二大引支持部材12の高さと同じ)、と同じに調整する。
なお、最後部の段床支持脚2の後方の壁際等に、これと同じ高さの通常の床支持脚を配置すれば、段床の最上段の踏み面14が形成できる。
また、基礎面1の横方向には同じ丈の段床支持脚2を、所定間隔をおいて一列に配置する。この横方向の段床支持脚2同士の間隔は、踏み面14に加わる荷重等に応じて調整する。中間床支持脚70についても、同様に配置し間隔を調整する。
段床支持脚2は、支持台9の固定部18を基礎面1に固定する。このとき、基礎面1と固定部18との間にゴム等の弾性板19を介在させると、密着性が良く固定が安定し軋み音の防止にもなる。中間床支持脚70についても、同様にして基礎面1に固定する。
そして、前側の段床支持脚2の第一大引支持部材10の高さと、その直後の段床支持脚2の第二大引支持部材12の高さとを同一に調整する。また、各段床支持脚2の第一大引支持部材10と第二大引支持部材12との間隔(両高さの差)を、段床の蹴上げの高さに調整する。後方の段床支持脚2についても、同様にして各高さを調整する。
最前の段床支持脚2の前方には、丈の低い床支持脚72を配置する。これは、段床の前側は床の高さが低く、段床支持脚2を用いるのが困難となるためである。この床支持脚72は、支持台にボルト材が立設され、このボルト材の上端部のみに大引支持部材の受け具が高さ調整可能に取り付けられた形状である。
上記床支持脚72の高さは、最前の段床支持脚2の第二大引支持部材12の高さと同一に調整する。そして、上記段床支持脚2と床支持脚72との中間部には、この床支持脚72と同じ高さの中間床支持脚70を配置する。
さらに、上記前方に配置した床支持脚72の直前に、これとは蹴上げ高さ分高さの低い床支持脚72を配置する。そして、この床支持脚72の前方にも同じ高さの床支持脚72を配置する。これら両床支持脚72の中間部にも、この床支持脚72と同じ高さの中間床支持脚70を配置する。また、上記各床支持脚72の横方向には、それぞれ同じ丈の床支持脚72を所定の間隔をおいて一列に配置する。
上記横方向の段床支持脚2同士の間隔、及び床支持脚72同士の間隔は、荷重に応じて調整し、例えば50~200cmの間隔とする。また上記横方向の中間床支持脚70同士の間隔についても、同様に調整する。
そして、図7に示すように、各横方向に配置した各段床支持脚2の第一大引支持部材10間、及び第二大引支持部材12間にそれぞれ大引材4を配置する。大引材4は、第一及び第二大引支持部材の各受け具28,46に載置する。同様に、横方向に配置した各中間床支持脚70の受け具間にも、それぞれ大引材4を載置する。
このとき、受け具28,46等の内側(下部、左右側部)には、ゴム等からなる弾性板材73を貼着介在させても良く、この介在により受け具と大引材4間の軋み音等を防止することができる。また、各受け具の上部には、大引固定具37を締結して大引材4を挟持し、大引材4を受け具に固定する。
次に、段床の各段の踏み面14の下地として、段床支持脚2等により同一高さに支持された前後の各大引材4の上部に、踏床材6を配置する。ここでは、段床の踏床材6として、根太材74及び踏み板76を使用する。
この根太材74としては、上面部78、両側面部79及び左右のフランジ部80からなる断面ハット状の長尺状の鋼材を用いる。根太材74として、他にH鋼、角型鋼等を用いることができる。
踏み板76としては、例えば合板等のボード材を用いることができる。ここでは、板厚12mmの針葉樹合板を矩形状等に成形して用いる。蹴込板82についても、同様に合板等のボード材を用いる。
根太材74は、各段の前端部の大引材4と後端部の大引材4との間に架設し、各大引材4とは直交する方向に配置する。
根太材74は、各段の横方向にも所定の間隔をおいて同様に配置する。この間隔は、踏み面14の荷重及び踏み板76の強度等を考慮して決めればよく、例えば20~100cmの間隔とする。根太材74は、フランジ部80にビスなど(セルフドリリングビス等)の止着具を用いて、大引材4の上面部45に固定する。
そして、上記各根太材74の上部には、踏み板76を敷設し段床の踏み面14を形成する。ここでは、踏み板76を二枚重ねて敷設する。踏み板76は、ビス等を用いて根太材74の上面部78に固定する。
このように、段床支持脚2の第一大引支持部材10により段床の上段部の踏み面14の下地を形成し、第二大引支持部材12により下段部に踏み面14の下地を形成する。これら、上下段の各踏み面14同士の間隔が蹴上げの高さとなる。
なお、踏み板76が比較的強固なボード材によって構成される場合には、根太材74を用いないで、各大引材4の上面部45に直接踏み板76を配置し、踏み面14を形成することも可能である。
また、各段床の蹴込み部13には、蹴込板82を配置して蹴込み面を形成する。
このとき、段床の上段側に配置した根太材74の端部に蹴込固定金具84を取り付ける。この蹴込固定金具84は金属(軽金属等)或いは合成樹脂材からなり、矩形状の固定板部86、この固定板部86の左右部から横に屈曲された側片部87,87、及び固定板部86から下方に延設された当て片部88を有する。
蹴込固定金具84は、両側片部87,87を、それぞれ根太材74の端部の両側面部79の外側に嵌め、ビス等を各側片部87から螺入して根太材74の両側面部79に固定する。
一方、段床の下段側には、踏み板76の端部近傍に、木質の角材等のバー材からなる固定材90を横向きに配置し、ビス、接着剤等により踏み板76に固定する。なお、段床の最前部は、下方に踏み板76がないため基礎面1上に直接固定材90を配置、固定する。
蹴込板82を垂直に配置する場合は、上段側の根太材74に取り付けた蹴込固定金具84の固定板部86の直下に、下段側の固定材90の前側部を位置させる。
そして、蹴込板82として、蹴上げの高さの幅の長尺材を蹴込み部13に配置する。この蹴込板82は、その上部近傍を、ネジ92(セルフドリリングネジ等)を用いて蹴込固定金具84の固定板部86に固定し、また下部近傍を、ネジ92を用いて固定材90の側部に固定して取り付ける。
段床の全体に踏み板76及び蹴込板82を敷設した後は、各踏み板76及び蹴込板82の表面にシート状の表面材を接着剤等により布設し、全体を仕上げる。
以上で、教室等の基礎面1に段床支持脚2を用いた段床構造3の段床が構築される。そして、段床構造3の各踏み面14には、必要に応じて机、椅子、客席用の椅子等の設置を行う。
従って、上記実施の形態によれば、一の段床支持脚で、段床の上段及び下段の各踏み面の下地等が形成されることから、材料が削減されて経済性にも優れ、また施工に係る作業も容易であるから、作業の効率化が図れて生産性及び施工性に優れる。
また、上記段床支持脚を用いた段床構造を構築する際、現場では主にビス等を用いて、各部材を組み立てて段床を完成することができることから、作業が迅速且つ容易に行えて生産性及び施工性に優れ、また、教室、ホール等の基礎面に、踏み面の大きさ、蹴上の高さなど適宜に設定可能な段床構造の段床が形成できて、段床構造の自由度が高く拡張性にも優れるという効果がある。
なお、他の形態として、段床支持脚2の第二大引支持部材12等は、下記形態を採用することができ、また同様の効果を得ることができる。
例えば、図9(a)に示す段床支持脚2は、第二大引支持部材12の位置調整具44として、断面C字状で側板部の一部が欠けた形状のものを用いた例である。この位置調整具44は、上板部48と下板部52にそれぞれ挿通孔部54,56等を設けて支柱部材8を挿通し、また側板部50に受け具46を接合した形状である。
図9(b)に示す段床支持脚2は、第二大引支持部材12の受け具46として、断面逆L字状のものを用いた例である。この第二大引支持部材12は、位置調整具44の側板部50に受け具46の縦向きの固定部94を接合(溶着等)し、横向きの載置部95の上部に大引材4(断面ハット状)を載置し、ビス96等を用いて大引材4のフランジ部を固定した形状である。
また、図10(a)(b)に示す段床支持脚2は、第二大引支持部材12として、位置調整具44と受け具46とを連続的に一体化したものである。この第二大引支持部材12は、断面ロの字状(横長)の単一の部品で構成したものであり、一方寄り(図中左寄り)の部位に挿通孔部54,56を設けて支柱部材8を挿通させ、他方寄り(図中右寄り)の部位の上板部97の上部に大引材4を載置する形状である。ここで、上記挿通孔部54,56を設けた部位(断面C字状)が位置調整具44に該当し、上記大引材4を載置した部位(断面C字状、但し左右逆向き)が受け具46に該当する。
そして、図10(a)に示す第二大引支持部材12は、受け具46の部位の上板部97に大引材4(断面ハット状)を載置し、ビス96等を用いて大引材4のフランジ部を固定した形状である。
また、図10(b)に示す第二大引支持部材12は、受け具46の部位の上板部97に、大引材4(断面ロの字状)を載置し、該当箇所の上下に貫通孔、及び同じ箇所の受け具46の上板部97に孔部を形成し、大引材4の上からボルト98を挿通させて受け具46の上板部97の下方に突出させ、ナット99を締結して大引材4を受け具46に固定した形状である。
1 基礎面
2 段床支持脚
3 段床構造
4 大引材
6 踏床材
8 支柱部材
9 支持台
10 第一大引支持部材
12 第二大引支持部材
13 蹴込み部
14 踏み面
44 位置調整具
46 受け具
48 上板部
50 側板部
52 下板部
54,56 挿通孔部
69,71 補強部材

Claims (5)

  1. 段床の任意の蹴込み部の上側の踏み面、及び下側の踏み面の各下地材をそれぞれ支持する段床支持脚であって、
    基礎面に配置し立設される支柱部材と、
    上記支柱部材の上部に配置され、上記上側の踏み面の下地形成に係る大引材を載置し支持する第一大引支持部材と、
    上記支柱部材に取り付けられ、上記下側の踏み面の下地形成に係る大引材を載置し支持する第二大引支持部材と、を有し、
    上記第二大引支持部材は、上記支柱部材に取り付けられる位置調整具、およびこの位置調整具に付属して設けられる受け具を有し、上記受け具に上記大引材を載置し、
    上記受け具を、底板部及び左右の側板部からなる断面U字状に形成し、この受け具の両側板部の上部近傍に、それぞれ大引固定具を取り付け可能な孔部を設け、上記両孔部の中心線の延長部位を、上記支柱部材の中心線より左又は右側に偏らせたことを特徴とする段床支持脚。
  2. 上記位置調整具は、断面矩形状、断面C字状、断面L字若しくは逆L字状、又は平板状の形状をなし、この位置調整具を上記支柱部材に取り付けたことを特徴とする請求項記載の段床支持脚。
  3. 上記位置調整具を、上板部、この上板部の左右部から下方に屈曲形成される側板部、及び下板部からなる断面矩形状に形成しことを特徴とする請求項記載の段床支持脚。
  4. 上記基礎面に配置される支持台の上部に、上記支柱部材を固定的に立設し又は高さ調整可能に立設したことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の段床支持脚。
  5. 上記基礎面の前後方向に、請求項1乃至の何れかに記載の段床支持脚を配置し、
    任意の上記段床支持脚の第一大引支持部材と第二大引支持部材との間の間隔を、段床の蹴上げ高さに調整し、上記任意の上記段床支持脚の第一大引支持部材の高さと、その直後の上記段床支持脚の第二大引支持部材の高さとを同一に調整し、
    上記各段床支持脚について、同じ丈の段床支持脚を横方向に一列に配置し、これら横方向に配置した各段床支持脚の第一大引支持部材間、及び第二大引支持部材間にそれぞれ大引材を配置し、これら大引材をそれぞれ上記第一大引支持部材及び上記第二大引支持部材に取り付け、
    上記任意の段床支持脚の第一大引支持部材に取り付けた大引材の上部と、その直後の上記段床支持脚の第二大引支持部材に取り付けた大引材の上部間に、踏床材を配置して段床の踏み面を形成したことを特徴とする段床構造の施工方法。
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