JP2006201689A - 光学組成物、光学素子、及び調光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メモリー特性を付与した光学組成物、及びそれを備える光学素子を提供することで。また、この光学素子の調光方法を提供すること。
【解決手段】液体30と、温度変化による液体30との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲル30と、温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料40と、を含有する光学組成物。そして、これを備える光学素子及びその調光方法。
【選択図】 図1
【解決手段】液体30と、温度変化による液体30との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲル30と、温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料40と、を含有する光学組成物。そして、これを備える光学素子及びその調光方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は温度変化により可逆的な色変化や光の反射・透過率変化を示す光学組成物及びその組成物を用いた光学素子等に関するものである。また、光学素子の調光方法に関するものである。本発明の光学組成物及び光学素子は、例えば、変色材料、調光材料、表示素子、調光フイルム、調光ガラス、装飾、温度センサー、玩具など幅広く応用可能な有用なものである。
温度変化によって可逆的な色変化を示す材料(変色材料)はリライタブル記録メディア、電子ペーパー、表示素子、調光素子等に幅広く応用検討されている。これらの材料としては液晶、ロイコ色素、金属錯体、金属酸化物などが知られている。
一方、刺激応答性高分子ゲルの熱応答性を利用した新しい変色材料が提案されている。例えば、高分子ゲルの液体中での体積変化によって光散乱性が変化する材料や色素との組み合わせで色変化を得る材料が特開昭61−151621号公報、特開昭61−151625号公報などに開示されている。
また、本発明者等は刺激応答性高分子ゲル中に色材を高濃度に分散・保持した新規の変色・調光材料(光学組成物)を見出している(特許公報03543641号公報)。本材料は耐久性に優れること、化学的安定性に優れることなど、従来技術に対する特長をもつことから、新たな材料として期待されている。
特開昭61−151621号公報
特開昭61−151625号公報
特許公報03543641号公報
ところで、高分子ゲルの熱応答性を利用した変色・調光材料(光学組成物)は、温度変化によって組成物の色や光散乱性が可逆的に変化する。例えば、ゲルの相転移(体積変化)温度を境に高温側では色が消え(消色)、一方、低温側では着色(発色)するなどの性質を示す。
しなしながら、発色及び消色の各状態を室温で保持することはできない。つまり、いわゆるメモリー特性を持っていなかった。このため、前記において消色あるいは発色状態を維持するためには持続的に加熱する必要があった。このような継続的な加熱は、例えば表示素子や調光素子に用いる場合には電気エネルギー消費量が大きいなどの問題となっていた。
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、メモリー特性を付与した光学組成物、及びそれを備える光学素子を提供することである。また、この光学素子の調光方法を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
本発明の光学組成物は、
液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴としている。
本発明の光学組成物は、
液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴としている。
また、本発明の光学組成物としては、以下の2形態がある。
第1の形態は、
調光材料を含む液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴としている。
第1の形態は、
調光材料を含む液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴としている。
一方、第2の形態は、
液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こし、且つ調光材料を含む刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴としている。
液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こし、且つ調光材料を含む刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴としている。
本発明の光学組成物においては、前記固・液転移材料の固・液転移温度よりも、前記刺激応答性高分子ゲルが体積変化を起こす温度の方が高いことが好適である。また、前記刺激応答性高分子ゲルが体積変化を起こす熱応答性よりも、前記固・液転移材料が固・液転移する熱応答性が高いことが好適である。
本発明の光学組成物においては、前記固・液転移材料の固体状態により前記液体及び前記刺激応答性高分子ゲルの存在領域が保持されることが好適である。
本発明の光学組成物において、前記固・液転移材料は、転移温度が30℃〜150℃の範囲にあることが好適である。また、前記固・液転移材料は、前記液体と相溶しない材料であることが好適である。また、前記固・液転移材料は、ワックス類であることが好適である。
本発明の光学組成物において、前記刺激応答性高分子ゲルは、体積変化を起こす温度が−30℃〜300℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは−10℃〜200℃の範囲である。
一方、本発明の光学素子は、上記本発明の光学組成物を備えることを特徴としている。
本発明の光学素子においては、
前記光学組成物は一対の基板間に挟持されてなり、
前記刺激応答性高分子ゲルは、一方の前記基板面側に配置され、
前記液体は、前記刺激応答性高分子ゲルの収縮時には当該ゲルを配置した前記基板面側に層状に配置され、
前記固・液転移材料は、他方の前記基板面側に層状に配置されている、
ことが好適である。
前記光学組成物は一対の基板間に挟持されてなり、
前記刺激応答性高分子ゲルは、一方の前記基板面側に配置され、
前記液体は、前記刺激応答性高分子ゲルの収縮時には当該ゲルを配置した前記基板面側に層状に配置され、
前記固・液転移材料は、他方の前記基板面側に層状に配置されている、
ことが好適である。
上記構成において、一対の基板の少なくとも一方は、光透過性を有する、請求項13に記載の光学素子。また、前記層状の固・液転移材料は、厚みが10〜200μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは厚みが20〜100μmの範囲である。
本発明の光学素子の調光方法は、上記本発明の光学素子の調光方法であり、前記固・液転移材料を固体化させ、その固化状態により前記液体及び前記刺激応答性高分子ゲルの存在領域を保持する、ことを特徴としている。
本発明によれば、メモリー特性を付与した光学組成物、及びそれを備える光学素子を提供することができる。また、この光学素子の調光方法を提供することができる。
以下、本発明の光学組成物について詳細に説明する、また、この光学組成物を利用した光学素子及びその調光方法についても共に説明する。
本発明の光学組成物は、液体と、温度変化による液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲルと、温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、を含有している。
本発明の光学組成物では、温度変化が生じると刺激応答性高分子ゲルの体積変化が生じ、これに伴い液体を吸液或いは放出する。そして、刺激応答性高分子ゲルの体積変化状態に応じて、固・液転移材料を固体化させることで、その固化状態により液体及び刺激応答性高分子ゲルの存在領域を保持する(調光方法)。この存在領域の保持により、その光学的状態が維持され、メモリー性が付与される。
このような光学組成物には、液体により調光を行うために調光材料を含む液体(以下、必ず着色させるわけではないが、便宜上、着色液体と称す)を用いる形態、刺激応答性高分子ゲル(その体積変化)により調光を行うために調光材料を含む高分子ゲル(以下、必ず着色させるわけではないが、便宜上、着色高分子ゲルと称する)を用いる形態がある。なお、着色液体と区別するため、光透過性を有する液体を膨潤液体と称する。また、以降、刺激応答性高分子ゲルを単に高分子ゲルと表現することがある。
以下、これらの光学組成物を備える光学素子について説明する。
本発明の光学素子は、本発明の光学組成物を備えるものであるが、その基本構成は一対の基板間に上記3成分(高分子ゲル、液体、固・液転移材料)を含む光学組成物を特定の間隔で挟持したものである。高分子ゲルは一方の基板近傍に特定の間隔で配置されている。また、高分子ゲルに吸収・放出される液体(着色液体や膨潤液体)は、高分子ゲルが収縮時には、高分子ゲルを配置した基板近傍に層状に配置されている。一方、固・液転移材料は、これとは反対の基板面側に層状に配置されている。さらに、一対の基板の端部には封止手段を設け、光学組成物が封入されていることが望ましい。このような封止によって、光学組成物の組成変化が抑制され、素子の安定性が付与できる。
本発明の光学素子は、本発明の光学組成物を備えるものであるが、その基本構成は一対の基板間に上記3成分(高分子ゲル、液体、固・液転移材料)を含む光学組成物を特定の間隔で挟持したものである。高分子ゲルは一方の基板近傍に特定の間隔で配置されている。また、高分子ゲルに吸収・放出される液体(着色液体や膨潤液体)は、高分子ゲルが収縮時には、高分子ゲルを配置した基板近傍に層状に配置されている。一方、固・液転移材料は、これとは反対の基板面側に層状に配置されている。さらに、一対の基板の端部には封止手段を設け、光学組成物が封入されていることが望ましい。このような封止によって、光学組成物の組成変化が抑制され、素子の安定性が付与できる。
高分子ゲルの基板近傍への配置は、特に基板上に固定されていることが望ましい。ゲルの固定は、種々のニ官能性化合物や接着剤を利用したり、あるいは物理的な手段で行うことができる。例えば、反応性シランカップリング剤により基板上をあらかじめ処理することで官能基を導入し、これと高分子ゲル(ゲル粒子)の官能基とを反応させることによりイオン結合や共有結合させることが可能である。その他にも、種々の多官能性化合物や接着剤により高分子ゲル(ゲル粒子)を固定する方法や基板上を立体的に加工して、高分子ゲル(ゲル粒子)を物理的に固定化することも可能である。なお、高分子ゲル(ゲル粒子)の固定化においては基板等と密着させすぎると、応答特性が低下する場合があるため、空間を空けるために基板等の表面を立体的に加工し、その凸部に結合させる手段や長鎖化合物(スペーサー)を介して高分子ゲル(ゲル粒子)を、空間を設けて結合させる手段も好ましく実施される。
一方の基板上に配置される高分子ゲルの配置密度は、光学素子の調光特性、色変化特性に大きく影響する。そのため、目的に応じて所定の密度に設定することが望ましい。
また、一対の基板間に配される光学組成物の厚みは、通常、10μm〜250μmの範囲から選択される。この範囲であれば熱に対する良好なレスポンスが得られる。
また、光学組成物中では、液体(着色液体、膨潤液体)や、固・液転移材料は、層状に配置されることがよい(但し、液体は高分子ゲルの収縮時)。この液体(着色液体、膨潤液体)や、固・液転移材料はそれぞれ異なる基板側に層状に配置されることがよい。
これら各層の厚みは用途によって適宜選択されるもので、制限するものではないが、固・液転移材料の厚みは10μm〜200μm、より好ましくは20〜100μmの範囲である。厚みが10μmよりも小さいと、固体化時の十分な強度等が得られず本発明の目的とするメモリー性を得ることが難しくなる。また、厚みが200μmよりも大きいと、固・液転移に要するエネルギーが大きくなったり、液体から固化のレスポンスが低下する恐れがある。
一方、液体(着色液体、膨潤液体)の厚みは1μm〜50μm、より好ましくは2μm〜30μmの範囲である。厚みが1μmよりも小さいと、十分な光吸収が得られない恐れが、また50μmよりも大きいと、ゲルへの吸収・放出のレスポンスが低下する恐れがある。
なお、液体(着色液体、膨潤液体)のうち、着色高分子ゲルを用いる場合(後述する第3実施形態の場合)には、液体として膨潤液体を用いるが、この膨潤液体の層の好ましい厚みは収縮時の着色高分子ゲルの直径よりも小さいことが望ましく、1μm〜30μmの範囲から選択することが望ましい。
本発明の光学素子には、刺激付与手段を設けることが望ましい。これによって能動的に作動することができる。この場合、刺激付与手段は高分子ゲルに実質的に熱を付与するものであり、通電発熱抵抗体のほかに光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種手段が挙げられる。なかでも特に通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的にはNi−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル、窒化タンタル、酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層、カーボン層などに代表されるの発熱抵抗体層が好ましく用いられ、これらの層に配線し電流を付与することにより発熱させることができる。その他にも熱を間接的に付与する手段として、光の場合はレーザー、LED、ELなどの発光素子層、磁界や電磁波の場合は電磁コイル、電極等を設けることも可能である。また、前記した熱刺激付与手段はパターン化、セグメント化させて任意の部位に選択的に熱を付与させることも好ましく実施される。また、これらのパターンに対応して高分子ゲルを配置(固定)することも好ましく実施される。
本発明の光学素子には、その他にも、非接触な加熱方法として光、赤外線、電磁波等の放射線を外部から素子に付与して作動させることも実施可能である。
本発明の光学素子には、その他にも様々な層を形成しても構わない。例えば、光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、紫外線吸収層、帯電防止層などが挙げられる。
以下、本発明の光学素子について図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、本発明の第1実施形態に係る光学素子として、液体として着色液体30を、高分子ゲルとして高温収縮型の高分子ゲル粒子20を用いた形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学素子を示す概略断面図であり、(a)は消色状態、(b)は発色状態を示す。図2は、本発明の第1実施形態に係る光学素子を示す概略平面図であり、(a)は消色状態、(b)は発色状態を示す。
本実施形態に係る光学素子は、図1及び2に示すように、一対の基板として表示基板10及び背面基板11が対向して配置されており、表示基板10及び背面基板11間の空間内に高分子ゲル粒子20、着色液体30、及び固・液転移材料40からなる光学組成物が封止材13により封止されている。高分子ゲル粒子20は、背面基板11上に略一層に固定されて表示基板10及び背面基板11間の空間内に封入されている。着色液体30は、高分子ゲル粒子20が膨潤時には高分子ゲル粒子20内部に存在し、高分子ゲル粒子20が収縮時には背面基板11側に層状に表示基板10及び背面基板11間の空間内に封入されている。固・液転移材料40は、高分子ゲル粒子20及び着色液体30の存在領域以外(表示基板10側)に層状に表示基板10及び背面基板11間の空間内に封入されている。
図1(a)及び図2(a)の状態は、消色状態を示すもので、着色液体30は背面基板11上に配置された高分子ゲル粒子20中に吸収されている。また、高分子ゲル粒子20及び着色液体30を包囲して、その存在領域を保持するように固体化された固・液転移材料40が存在している。この消色状態では、着色液体30は高分子ゲル粒子20が膨潤して着色液体30が吸収されているため、高分子ゲル粒子20内部に部分的に局在して存在しており、入射した光の大部分は吸収されずに光学素子を透過する。
一方、図1(b)及び図2(b)の状態は、発色状態を示すもので、着色液体30は背面基板11に固定された高分子ゲル粒子20が収縮して放出され、背面基板11側に層状に広がっている。また、高分子ゲル粒子20及び着色液体30を包囲して、その存在領域を保持するように固体化された固・液転移材料40が存在している。この発色状態では、収縮状態の高分子ゲル粒子が存在して、着色液体30が背面基板11側に層状に広がっているため、光学素子(表示基板10及び背面基板11)の垂直方向から観察すると着色液体30の濃い発色状態となる。
ここで、いずれの状態でも、固・液転移材料40は常温では固体状態にあって、高分子ゲル粒子20及び着色液体30の存在領域を保持しているため、その状態は安定に維持されている。また、高分子ゲル粒子20は、光透過性を持たせ、調光能には寄与させず、着色液体30の吸収・放出能を担わせることにより、背面基板11上に膨潤時において疎に配置させることができる。
具体的には、高分子ゲル粒子20が着色液体30を吸収して最大膨潤した状態(図1(a)及び図2(a))において、基板(表示基板10、背面基板11)に対し垂直方向からのゲルの占有面積率(ゲルの基板上への投射影面積が基板の実効面積に占める率)を定義した場合、それが5%〜70%の範囲が望ましく、さらに10%〜50%の範囲、特に好ましくは10%〜30%の範囲である。固定密度が5%よりも小さいと、図1(a)及び図1(a)の消色状態における光の透過性は優れるものの、図1(b)及び図2(b)の発色状態における層状の着色液体30の厚みが小さくなるため、高い色濃度が得られない恐れがある。一方、固定密度が70%よりも大きいと、消色状態における光透過性が低下し、発色・消色のコントラストが低下する恐れがある。
図3は、本発明の第1実施形態に係る光学素子の調光方法(消色・発色状態の切り替えメカミズム)を示す説明図である。なお、図中、Tは光学素子の温度、T1は高分子ゲル粒子20の体積変化を起こす温度、T2は固・液転移材料40の転移温度を示す。そして、高分子ゲル粒子20の体積変化を起こす温度T1>固・液転移材料の転移温度T2とする。
図3(a)に示す消色状態では、光学素子の温度T(常温)が固・液転移材料40の転移温度T2以下であり、着色液体30は背面基板11上に配置された高分子ゲル粒子20中に吸収され、高分子ゲル粒子20及び着色液体30を包囲して、その存在領域を保持するように固体化された固・液転移材料40が存在している(図1(a)及び図2(a)参照)
このような消色状態において、図3(b)に示すように、加熱を行うと、まずは固・液転移材料40がその転移温度T2以上で液体に転化し、図3(c)に示すように、さらに加熱を行うと、高分子ゲル粒子20がその体積変化を起こす温度T1以上で収縮し、これにともなって着色液体30が背面基板11側に広がって層を形成し、発色状態となる。
そして、図3(d)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以下まで冷却すると、高分子ゲル粒子20が膨潤する前に固・液転移材料40が迅速に固体に転化され、固化された固・液転移材料40により収縮した高分子ゲル粒子20及び層状の着色液体30が包囲されつつ保持される。このようにして、発色状態が保持される((図1(b)及び図2(b)参照))。
次に、図3(e)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以上、且つ高分子ゲル粒子20がその体積変化を起こす温度T1以下の範囲内(即ち固・液転移材料40が液化し高分子ゲル粒子20が収縮しない温度範囲:T1>T>T2の温度範囲内)で、加熱を行うと、固・液転移材料が液体に転化する共に、高分子ゲル粒子20は着色液体30を再び吸収して膨潤し、消色状態に転化する。
そして、図3(f)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以下まで冷却すると、固・液転移材料40が固体に転化され、固化された固・液転移材料40により着色液体30を吸収して膨潤した高分子ゲル粒子20が包囲されつつ保持される。このようにして、消色状態が保持される((図1(a)及び図2(a)参照))。
本実施形態に係る光学素子では、このようにして調光が行われ、尚且つ固・液転移材料40を固化させて、発色・消色状態を安定して保持し、メモリー性を持たせている。
ここで、本実施形態に係る光学素子の製造方法の一例について説明する。まず、表示基板10及び背面基板11の2枚の基板を用意し、この背面基板11表面上に前記した方法で高分子ゲル粒子20を固定化する。
次に背面基板11を他の表示基板10と特定の間隔を設けて貼り合わせてセルを作製する。この時の基板間の間隔は一般的には、例えば、10μm〜250μmから選択される。このように2枚の基板の間隔を設定するためには、種々の大きさのスペーサー粒子を散布する、フィルムスペーサーを用いる、基板等上に形成された立体的な構造体などを利用することが好ましく実施される。なお、2枚の基板を貼り合わせる場合、特定の開口部を除き周囲を接着剤、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂で封止することが好ましく実行される。
そして、一部に残された開口部から減圧注入法や加圧注入法等で固・液転移材料40と着色液体30を注入し、その後、開口部を封止することで、光学素子を作製することができる。また、固・液転移材料40をあらかじめ一方の基板上に塗布等によって形成しておき、2枚の基板を貼り合わせた後に着色液体30のみを注入・封止することも可能である。
このようにして、本実施形態に係る光学素子を得ることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る光学素子として、液体として着色液体30を、高分子ゲルとして高温膨潤型の高分子ゲル粒子21を用いた形態を説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る光学素子を示す概略断面図であり、(a)は消色状態、(b)は発色状態を示す。図5は、本発明の第2実施形態に係る光学素子を示す概略平面図であり、(a)は消色状態、(b)は発色状態を示す。
本実施形態に係る光学素子は、図4及び5に示すように、消色状態において(図4(a)及び図5(a)参照)、固体化された固・液転移材料40が、収縮した高分子ゲル粒子21及び高分子ゲル粒子21が膨潤時と同じゲル体積をほぼ反映する領域に存在する着色液体30を包囲して保持している。これ以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る光学素子の調光方法(消色・発色状態の切り替えメカミズム)を示す説明図である。なお、図中、Tは光学素子の温度、T1は高分子ゲル粒子21の体積変化を起こす温度、T2は固・液転移材料40の転移温度を示す。そして、高分子ゲル粒子21の体積変化を起こす温度T1>固・液転移材料の転移温度T2とする。
図6(a)に示す消色状態では、光学素子の温度T(常温)が固・液転移材料40の転移温度T2以下であり、着色液体30は背面基板11上に配置された高分子ゲル粒子21中から放出されているが、高分子ゲル粒子21が膨潤時とほぼ同じ領域に存在し、その存在領域を保持するように固体化された固・液転移材料40が存在している(図4(a)及び図5(a)参照)
このような消色状態において、図6(b)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以上、且つ高分子ゲル粒子21がその体積変化を起こす温度T1以下の範囲内(即ち固・液転移材料40が液化し高分子ゲル粒子21が膨潤しない温度範囲:T1>T>T2の温度範囲内)で、加熱を行うと、固・液転移材料が液体に転化し、これにともなって着色液体30が背面基板11側に広がって層を形成し、発色状態となる。
そして、図6(c)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以下まで冷却すると、固・液転移材料40が固体に転化され、固化された固・液転移材料40により収縮した高分子ゲル粒子21及び層状の着色液体30が包囲されつつ保持される。このようにして、発色状態が保持される((図4(b)及び図5(b)参照))。
次に、図6(d)に示すように、加熱を行うと、まずは固・液転移材料40がその転移温度T2以上で液体に転化し、さらに加熱を行い、高分子ゲル粒子21がその体積変化を起こす温度T1以上で膨潤し、着色液体30を吸収し、消色状態となる。
そして、図6(e)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以下まで冷却すると、高分子ゲル粒子21が収縮する前に固・液転移材料40が迅速に固体に転化され、固化された固・液転移材料40により着色液体30を吸収して膨潤した高分子ゲル粒子21が包囲されつつ保持される。その後、高分子ゲル粒子21は収縮し、結果、固体化された固・液転移材料40が、収縮した高分子ゲル粒子21及び高分子ゲル粒子21が膨潤時と同じゲル体積をほぼ反映する領域に存在する着色液体30を包囲して保持することとなる。このようにして、消極状態が保持される((図4(a)及び図5(a)参照))。
本実施形態に係る光学素子では、このようにして調光が行われ、尚且つ固・液転移材料40を固化させて、発色・消色状態を安定して保持し、メモリー性を持たせている。
次に、本発明の第3実施形態に係る光学素子として、高分子ゲルとして、高温収縮型の着色高分子ゲル粒子22を用いた形態を説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る光学素子を示す概略断面図であり、(a)は消色状態、(b)は発色状態を示す。図8は、本発明の第3実施形態に係る光学素子を示す概略平面図であり、(a)は消色状態、(b)は発色状態を示す。
本実施形態に係る光学素子は、図7及び8に示すように、一対の基板として表示基板10及び背面基板11が対向して配置されており、表示基板10及び背面基板11間の空間内に着色高分子ゲル粒子22、膨潤液体31、及び固・液転移材料40が封止材13により封入されている。着色高分子ゲル粒子22は、背面基板11上に略一層に固定されて表示基板10及び背面基板11間の空間内に封入されている。膨潤液体31は、着色高分子ゲル粒子22が膨潤時には着色高分子ゲル粒子22内部に存在し、着色高分子ゲル粒子22が収縮時には背面基板11側に層状に表示基板10及び背面基板11間の空間内に封入されている。固・液転移材料40は、着色高分子ゲル粒子22及び膨潤液体31の存在領域以外(表示基板10側)に層状に表示基板10及び背面基板11間の空間内に封入されている。
図7(a)及び図8(a)の状態は、発色状態を示すもので、膨潤液体31は背面基板11上に配置された着色高分子ゲル粒子22中に吸収されている。また、着色高分子ゲル粒子22及び膨潤液体31を包囲して、その存在領域を保持するように固体化された固・液転移材料40が存在している。この発色状態では、光学素子(表示基板10及び背面基板11)の垂直方向から観察すると、着色高分子ゲル粒子22が膨潤して占有面積を増大させているため、入射光の大部分を吸収し、着色高分子ゲル粒子22の濃い発色状態となる。
一方、図7(b)及び図8(b)の状態は、消色状態を示すもので、膨潤液体31は背面基板11に固定された着色高分子ゲル粒子22が収縮して放出され、背面基板11側に層状に広がっている。また、着色高分子ゲル粒子22及び膨潤液体31を包囲して、その存在領域を保持するように固体化された固・液転移材料40が存在している。この消色状態では、着色高分子ゲル粒子22が収縮しているため、入射した光の大部分は吸収されずに光学素子を透過する。
ここで、いずれの状態でも、固・液転移材料40は常温では固体状態にあって、着色高分子ゲル粒子22及び膨潤液体31の存在領域を保持しているため、その状態は安定に維持されている。また、膨潤液体31は、調光能には寄与させないために、光透過性を持たせる。また、着色高分子ゲル粒子22は、調光能に寄与させるため、背面基板11上に膨潤時において密に配置する。
具体的には、着色高分子ゲル粒子22が膨潤液体31を吸収して最大膨潤した状態(図7(a))及び図8(a)において、基板(表示基板10、背面基板11)に対し垂直方向からのゲルの占有面積率(粒子の基板上への投射影面積が基板の実効面積に占める率)を定義した場合、それが20%〜95%の範囲が望ましく、さらに40%〜95%の範囲、特に好ましくは60%〜95%の範囲である。固定密度が20%よりも小さいと、図7(b)及び図8(b)の消色状態における光の透過性は優れるものの、図7(a)及び図8(a)の発色状態における着色高分子ゲル粒子22の占有面積が低いため、高い色濃度が得られない恐れがある。一方、固定密度が95%よりも大きいと、発色状態の色濃度は高いが消色状態における光透過性が低下し、発色・消色のコントラストが低下する恐れがある。
図9は、本発明の第3実施形態に係る光学素子の調光方法(消色・発色状態の切り替えメカミズム)を示す説明図である。なお、図中、Tは光学素子の温度、T1は着色高分子ゲル粒子22の体積変化を起こす温度、T2は固・液転移材料40の転移温度を示す。そして、着色高分子ゲル粒子22の体積変化を起こす温度T1>固・液転移材料の転移温度T2とする。
図9(a)に示す発色状態では、光学素子の温度T(常温)が固・液転移材料40の転移温度T2以下であり、膨潤液体31は背面基板11上に配置された着色高分子ゲル粒子22中に吸収され、着色高分子ゲル粒子22及び膨潤液体31を包囲して、その存在領域を保持するように固体化された固・液転移材料40が存在している(図7(a)及び図8(a)参照)
このような消色状態において、図9(b)に示すように、加熱を行うと、まずは固・液転移材料40がその転移温度T2以上で液体に転化し、図9(c)に示すように、さらに加熱を行うと、着色高分子ゲル粒子22がその体積変化を起こす温度T1以上で収縮し、これにともなって膨潤液体31が背面基板11側に広がって層を形成し、消色状態となる。
そして、図9(d)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以下まで冷却すると、着色高分子ゲル粒子22が膨潤する前に固・液転移材料40が迅速に固体に転化され、固化された固・液転移材料40により収縮した着色高分子ゲル粒子22及び層状の膨潤液体31が包囲されつつ保持される。このようにして、消色状態が保持される((図7(b)及び図8(b)参照))。
次に、図9(e)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以下、且つ着色高分子ゲル粒子22がその体積変化を起こす温度T1以上の範囲内(即ち固・液転移材料40が液化し着色高分子ゲル粒子22が収縮しない温度範囲:T1>T>T2の温度範囲内)で、加熱を行うと、固・液転移材料が液体に転化する共に、着色高分子ゲル粒子22は膨潤液体31を再び吸収して膨潤し、発色状態に転化する。
そして、図9(f)に示すように、固・液転移材料40の転移温度T2以下まで冷却すると、固・液転移材料40が固体に転化され、固化された固・液転移材料40により膨潤液体31を吸収して膨潤した着色高分子ゲル粒子22が包囲されつつ保持される。このようにして、発色状態が保持される((図7(a)及び図8(a)参照))。
本実施形態に係る光学素子では、このようにして調光が行われ、尚且つ固・液転移材料40を固化させて、発色・消色状態を安定して保持し、メモリー性を持たせている。
以下、光学素子の各部材(材料)について説明する。なお、符号は省略して説明する。
−基板−
基板としての表示基板及び背面基板の構成材料としては、ガラス、金属、セラミック、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、セルロース誘導体などが使用できる。
基板としての表示基板及び背面基板の構成材料としては、ガラス、金属、セラミック、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、セルロース誘導体などが使用できる。
なお、透過型の光学素子として用いる場合には、基板うち少なくとも一方(本実施形態では表示基板)は、例えば、光透過率50%以上の光透過性を有する基板であることがよく、透過型光学素子の場合は、基板の全てが(表示基板、背面基板両方が)、例えば光透過率50%以上の光透過性を有する基板であることが好ましい。
ここで、光透過率は、次のようにして測定される値である。基板面に垂直に入射する特定光源(波長)の入射光の強度と、基板を透過した後の強度との比率と定義され、分光光度計、透過率計などの測定装置を用いて測定することができる。なお、上記に示す光透過率は可視光源(一般に400nmから800nm)に対する透過率が望ましい。なお、以下、同様である。
基板の厚みや大きさは所望の素子によって様々なものが適用でき、特に限定はしないが、厚みの好ましい範囲は10μmから50mmである。
基板の表面(対向する表面)には、液体(着色液体、膨潤液体)、固・液転移材料の各層を各々の基板近傍に安定に層状に配置するうえで、それぞれ各材料と親和性に優れる材料を形成することも可能である。
−封止材−
封止材としては、一般的な樹脂、金属、ガラス、セメント等を利用することができる。
封止材としては、一般的な樹脂、金属、ガラス、セメント等を利用することができる。
−高分子ゲル−
高分子ゲルは、温度変化により液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子が用いられる。ここで、相互作用とは、液体の吸収・放出に伴う高分子ゲルの体積変化を含む作用を意味する。このような高分子ゲルとしては、高温膨潤ゲルや高温収縮ゲルが利用可能である。これらは温度変化により水素結合性の変化、液体との溶媒和の変化や結晶構造の変化等による相転移特性を有するものである。つまり温度変化により、高分子ゲルの膨潤体としての体積が可逆的に変化する性質をもつ。
高分子ゲルは、温度変化により液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子が用いられる。ここで、相互作用とは、液体の吸収・放出に伴う高分子ゲルの体積変化を含む作用を意味する。このような高分子ゲルとしては、高温膨潤ゲルや高温収縮ゲルが利用可能である。これらは温度変化により水素結合性の変化、液体との溶媒和の変化や結晶構造の変化等による相転移特性を有するものである。つまり温度変化により、高分子ゲルの膨潤体としての体積が可逆的に変化する性質をもつ。
このような高分子ゲルを例示すれば、LCST(下限臨界共融温度)やUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体、互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN体(相互侵入網目構造体)、セミIPN体や結晶性などの凝集性の側鎖をもつ高分子ゲルなどが好ましい。
LCSTゲルは、高温において収縮し、IPNゲル、セミIPNゲルや結晶性ゲルは逆に高温で膨潤する特性をもっている。LCSTゲルの具体例としては、ポリ[N−イソプロピルアクリルアミド]などのポリ[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド]の架橋体、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどから選択される1種以上との共重合体の架橋体やその塩、ポリビニルメチルエーテルの架橋体やメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。
一方、IPNゲルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸を含む共重合体の架橋体からなるIPN体及びその部分中和物などが挙げられる。また、セミIPNゲルとしては前記したIPNゲルを構成する高分子の組み合わせのうち、少なくとも一種の高分子が非架橋体であるものが挙げられる。また、結晶性ゲルとしてはオクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基などの長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩、コレステリル系モノマあるいは芳香族系モノマと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩が挙げられる。
なお、上記のなかで、(メタ)アクリルなる記述は、アクリル及びメタアクリルのようないずれをも含むことを意味する。
高分子ゲルは、刺激による体積変化量は大きいことが調光性能から好ましく、膨潤時及び収縮時の体積比が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上のものである。
また、高分子ゲルが体積変化を起こす温度(相転移温度)は、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計が可能である。なお、好ましい相転移温度の範囲は−30℃〜300℃の範囲から選択され、特に好ましくは−10℃〜200℃の範囲である。
ここで、相転移温度は次のようにして求められた値である。温度変化によって発生する高分子ゲルの体積変化において、最大膨潤状態及び最大収縮状態を示し各温度の中心値と定義する。高分子ゲル粒子を液体中、温度コントロール下で顕微鏡観察し、その膨潤状態等から測定することができる。
上記に列挙した高分子ゲルは、球体、立方体、楕円体、多面体、繊維状、星状、針状、中空状などのものが適用できる。特に、利用性や応答特性に優れる真球状の粒子であることが望ましい。また、粒子の好ましい大きさはその液体を含まない状態において平均粒径で0.1μm〜1mmの範囲、より好ましくは1μm〜500μmの範囲である。粒径が0.1μm以下であると粒子のハンドリングが困難になる、優れた光学特性が得られないなどの問題を生じることがある。一方、粒径が500μmよりも大きくなると、体積変化に要する応答速度が大幅に遅くなってしまうなどの問題を生じることがある。
また、高分子ゲルの粒子は、を物理的粉砕法によって粉砕する方法や架橋前の高分子を物理的粉砕法や化学的粉砕法によって粒子化した後に架橋してゲルとする方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な方法によって製造することができる。
なお、高分子を架橋させるためには、種々の架橋剤(多官能性化合物)を重合時あるいは重合後に添加し反応させる、あるいは高分子に電子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加するなどの一般的な方法が適用できる。
また、刺激応答による体積変化特性をより高速にするために、従来技術と同様に高分子ゲルを多孔質化して液体の出入りを向上させることも好ましい。一般に膨潤した高分子ゲルを凍結乾燥する方法で多孔質化することができる。
高分子ゲルには、調光能を持たせる場合(上記第3実施形態に用いる着色高分子ゲル)、調光材料を含ませることができる。調光材料としては、色材、光散乱材などが挙げられる。特に、高分子ゲルの着色を目的とした場合、調光材料として色材を高濃度に含有した高分子ゲルを設計する必要がある。具体的には飽和吸収濃度あるい飽和光散乱濃度レベルの色材をゲルに含有させることが望ましい。
まず、色材としては、各種の顔料及び染料が挙げられる。例えば、黒色顔料の各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)や黒色染料のニグロシン系化合物、そしてカラー顔料、例えば、ベンジジン系のイエロー顔料、キナクリドン系、ローダミン系のマゼンタ顔料、フタロシアニン系のシアン顔料などを挙げることができる。
より詳しくは、イエロー顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
またマゼンタ顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
そしてシアン顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
また染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの顔料及び染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。ただし、耐候性の観点からは染料よりも顔料を用いるほうが好ましい。また、染料は高分子ゲル中に化学反応によって結合したり、あるいは前記染料化合物に重合可能な基を導入して高分子ゲルに共重合することも好ましい。
一方、光散乱材としては、高分子ゲルの体積変化に用いられる液体の屈折率と異なる屈折率を有する材料が好ましいが、それ以外には特に制限はなく、各種の無機化合物及び有機化合物が適用できる。
無機化合物の具体例としては、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンモチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、珪素土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等の無機酸化物や、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金などの金属材料、ITO(インジウム・スズ酸化物)等の無機導電性材料などが挙げられる。
また、有機化合物の具体例としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)などの高分子材料が挙げられる。
上記した顔料や光散乱材の好ましい大きさは平均粒子径で0.01μm〜500μmの範囲、より好ましくは0.05μm〜100μmの範囲である。これは、平均粒子径で0.01μm以下又は500μm以上になると、顔料及び光散乱部材に求められる発色効果及び光散乱効果が低くなるためである。さらに、平均粒子径0.01μm以下では、高分子ゲル内部からの外部への流出が起こりやすい。
また、色材としての染料を選択した場合には、特に光吸収係数の高いものが望ましい。また、高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが好ましいので、高分子ゲルと化学結合する基が導入されている反応染料等が特に望ましく適用される。
高分子ゲル中に含有される色材の濃度は、高分子ゲルが収縮した時に、少なくとも高分子ゲルの一部分で飽和吸収濃度以上の濃度に達することが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、色材濃度が十分に濃い状態において、単位色材当たりの光吸収効率が低下する濃度である。また、飽和吸収濃度以上という定義を別な特性で表現すれば、特定の光路長のもとにおける色材濃度と光吸収量の関係が1次直線の関係から大きく外れるような色材濃度である。
つまり色材濃度が飽和吸収濃度以上になると、色材の1粒子又は1分子あたりの光吸収効率が下がることで、光吸収量が色材濃度に比例しなくなり、1次直線の関係から予想される光吸収量と比べて低くなる。一方、飽和吸収濃度以下では、光吸収量が色材濃度に比例しており、色材1粒子又は1分子あたりの光吸収効率は殆ど一定になる。したがって、飽和吸収濃度以上に色材を高分子ゲル中に含有させた場合、膨潤時に光を効率よく吸収することができ、収縮時と比べて光吸収量を大きくすることができる。
高分子ゲルが収縮した時に、色材を飽和吸収濃度以上になるように含有させる場合、この高分子ゲルが膨潤すると、色材濃度が下がり色材1粒子又は1分子あたりの光吸収効率を上げることができる。その結果、膨潤時に光吸収量を大きく上げ、収縮時に光吸収量を大きく下げることができる。一方、含有させる色材の濃度を飽和吸収濃度以下にすると、膨潤時の色材1粒子あたりの光吸収効率は収縮時とほとんど同程度となる。その結果、膨潤時に光吸収量を大きく上げ、収縮時に光吸収量を大きく下げることができなくなる。以上のことから、飽和吸収濃度とは膨潤・収縮による光吸収量変化を大きくするために必要な濃度であり、色材濃度を飽和吸収濃度以上に設定することで表示コントラストを高くすることができる。
このような特性を有するために必要な高分子ゲルに含有させる色材の濃度は、色材の粒子径、屈折率、吸光係数や比重等にも依存するが、一般的には乾燥状態の刺激応答性高分子ゲルに色材を3質量%〜95質量%の範囲で含有させることが好ましく、より好ましくは5質量〜80質量%の範囲である。色材の濃度が3質量%以下であると、調光材料の高分子ゲルの体積変化による発色量変化が現れなくなり、さらに十分な調光コントラストを得るためには、光学素子の厚みが厚くなるなどの問題が生じる。一方、色材の濃度が95質量%以上の場合、高分子ゲルの膨潤・収縮が応答性や体積変化量が低下する恐れがある。
また、高分子ゲル中に含有される光散乱部材の濃度も、色材の濃度と類似した議論のもとに、高分子ゲルが収縮した時に、少なくとも高分子ゲルの一部分で飽和散乱濃度以上の濃度に達することが望ましい。ここで、飽和散乱濃度以上とは、ひとつの指標として各々の光散乱部材同士の平均間隔が十分に短くなることで、光散乱部材の光散乱の働きが1次粒子的なものから、集合体的なものに変化し、光散乱の効率が減少する濃度である。このような光散乱部材が集合体的な光散乱特性を示す状態を、光散乱部材の濃度が飽和散乱濃度以上にある状態と呼ぶ。また、飽和散乱濃度以上という定義を別な特性で表現すれば、特定の光路長のもとにおける光散乱部材濃度と光散乱量の関係が1次直線の関係から大きく外れるような光散乱部材濃度である。
高分子ゲルの収縮状態でこのような飽和散乱濃度以上の状態を達成するためには、光散乱材の粒子径、屈折率、導電率や比重等にも依存するが、一般的には乾燥状態の刺激応答性高分子ゲルに光散乱材を2質量%〜95質量%の範囲で含有させることが好ましく、より好ましくは5質量〜95質量%の範囲である。光散乱材の濃度が2質量%以下であると、高分子ゲルの体積変化による光散乱量変化が現れなくなり、さらに十分なコントラストを得るためには、光学素子の厚みが厚くなるなどの問題が生じる。一方、光散乱部材の濃度が95質量%以上の場合、高分子ゲルの膨潤・収縮が応答よく進行しにくくなり、光学素子の刺激応答特性や体積変化量が低下してしまう。
高分子ゲルに色材及び光散乱材を含有させる方法は、架橋前の高分子に色材及び光散乱材を均一に分散、混合した後に架橋する方法や重合時に高分子前駆体組成物に色材及び光散乱部材を添加して重合する方法等が適用できる。重合時において色材及び光散乱部材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ色材及び光散乱部材を使用し、化学結合することも好ましい。また、色材及び光散乱部材は高分子ゲル中に極力均一に分散されていることが望ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。
―液体(着色液体、膨潤液体)―
使用可能な液体(膨潤液体)は、固・液転移材料に非相溶なものであることが好ましい。例示すれば、水、電解質水溶液、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類やそれらの混合物が使用できる。
使用可能な液体(膨潤液体)は、固・液転移材料に非相溶なものであることが好ましい。例示すれば、水、電解質水溶液、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類やそれらの混合物が使用できる。
液体には、調光能を持たせる場合(上記第1及び第2実施形態に用いる着色液体)、調光材料を含ませることができる。調光材料としては、色材、光散乱材などが挙げられる。調光材料としては、上記した液体に溶解性を考えると、染料等の色素であることが好適である。
染料としては、上記した液体に溶解性に優れるものが望ましく、公知の様々な染料を用いることができる。例示すれば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
液体に添加する染料の好ましい濃度は、0.01質量%〜10質量%の範囲である。濃度が0.01質量%よりも少ないと、着色液体層の着色性が低下する恐れがありまた10質量%を超えると、高分子ゲル(ゲル粒子)への吸収・放出のレスポンスが低下する恐れがある。
また、液体には、必要に応じて各種高分子、酸、アルカリ、塩、界面活性剤や分散安定剤あるいは酸化防止や紫外線吸収などの安定剤などを添加しても構わない。
−固・液転化材料−
固・液転化材料の特徴は温度変化によって、転移温度を境に高温側で溶融(液化)し、逆に低温側で固化するもので、かつ可逆的に状態変化するものである。
固・液転化材料の特徴は温度変化によって、転移温度を境に高温側で溶融(液化)し、逆に低温側で固化するもので、かつ可逆的に状態変化するものである。
固・液転化材料として具体的には、ワックス類、高分子材料等が挙げられる。ワックス類としては、植物ろう、動物ろう、石油ろう、鉱物ろうなどの天然ろう、合成ろうの分類があり、具体的にはカルナウバろう、木ろう、サトウろう、蜜ろう、昆虫ろう、鯨ろう、羊毛ろう、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンろう、オゾケライト、カーボワックス、ポリエチレンろう、塩素化ナフタレンろう、エステル化合物などがある。高分子材料としては、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリエーテル、ポリエステル、結晶性高分子、液晶性高分子、などが使用可能である。なかでもワックス類は固・液転移時の挙動がシャープであるために好ましい。固・液転移時の転移特性がシャープなほど、本発明の光学組成物の応答特性が向上することから望ましい。
固・液転移材料の転移温度は30℃〜150℃の範囲が好ましい。30℃よりも低温であると常温での状態維持性が悪く、150℃を超える高温であると発色・消色の各状態の切り替えに必要なエネルギーが増大してしまうことがある。
ここで、転移温度は次のようにして求められた値である。固・液転移材料は一般的に低温では固体状態を示し、加熱によって固有温度で液体に転移する。また、その転移時の温度幅は一般にごく狭いものである。したがって、材料を顕微鏡観察下で温度コントロール装置にて加熱し、液体に転化した時点の温度を測定することで転移温度を求めることができる。また別の方法としては、示差熱分析装置を用いて、固・液転移材料が転移する場合の吸熱ピークを測定し、その中心値として求めることもできる。
また、光の透過性の変化を利用する光学素子の用途では固・液転移材料は、光透過率50%以上の光透過性を有することが望ましい。一方、固・液転移材料が不透明であったりり、ヘイズ(濁度)が高い場合は、光の反射を利用する光学素子等に応用できる。
固・液転移材料は液体(着色液体、膨潤液体)と相溶しないことが望ましい。例えば、液体(着色液体、膨潤液体)として水系液体を用いた場合は、疎水性の強い固・液転移する材料を用いることが好ましく、用いる液体(着色液体、膨潤液体)との相性から選択されることが望ましい。
また、温度によって体積変化する高分子ゲルと固・液転移材料との温度特性、つまり高分子ゲルの体積変化を起こす温度(T1)は固・液転移材料の転移温度温度(T2)よりも高いこと(即ちT1>T2)が望ましい。この関係についての意義は上記実施形態の説明にて記したとおりである。
また、高分子ゲルが体積変化を起こす熱応答性よりも固・液転移材料が固・液転移する熱応答性が高いことも望ましい。つまり、固・液転移材料の固・液転移時の挙動が高分子ゲルの体積変化時の挙動よりも、速いことが望ましい。この関係についての意義は、上記実施形態の説明にて記したとおりである。
以上、説明した光学組成物としての3成分(高分子ゲル、液体、固・液転移材料)の組成比は、利用形態、素子形態によって種々選定されるもので特に限定するものではないが、一般的な好ましい範囲としては、高分子ゲル:液体(着色液体、膨潤液体):固・液転移材料の各質量比で、0.1〜10質量部:1〜30質量部:70〜99質量部である。この範囲内であれば、本組成物は目的とする機能を発現することができる。
以下に本発明の詳細な実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
−高温収縮ゲル粒子1の調製−
N−イソプロピルアクリルアミド系の高温収縮ゲル粒子を以下ようなプロセスによって製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド系の高温収縮ゲル粒子を以下ようなプロセスによって製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド9.9g、アクリル酸0.1g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド50mgを蒸留水30mlに溶解したモノマ水溶液を調製し、これをよく窒素置換した。
別途、分散媒としてソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン50)5.0gをシクロヘキサン1000mlに溶解した溶液を調製し、これをよく窒素置換し、温度を30℃に設定した。
上記のモノマ水溶液に重合開始剤として過硫酸アンモニウム20mgを添加し、これを先の分散媒中に投入後、回転式攪拌羽根を用いて高速攪拌して乳化させた。乳化後、反応助剤であるテトラメチルエチレンジアミン0.6mlを少量づつ添加した。攪拌しながら3時間重合を行った。その後、生成した高分子ゲル粒子を回収し、純水で繰り返し洗浄を行なった。
得られた粒子の平均粒径は20℃において約50μmであった。20℃における純水吸水量は約40g/g(乾燥ゲル粒子1gあたり40gの純水を吸収する)であった。本ゲル粒子は加熱によって純水中で収縮する性質をもち、約33℃に相転移点をもっていた。つまり、相転移点よりも高温では収縮し、低温では膨潤する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の大きさは2.5倍以上変化することが分かった。
さらにこのゲル粒子は0.2質量%濃度のドデシルスルフォン酸ナトリウム(SDSと略す)水溶液中では約60℃で相転移することがわかった。
−高温収縮ゲル粒子2の調製−
N−イソプロピルアクリルアミド系の高温収縮ゲル粒子を以下ようなプロセスによって製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド系の高温収縮ゲル粒子を以下ようなプロセスによって製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド7.0g、アクリル酸3.0g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド50mgを蒸留水30mlに溶解したモノマ水溶液を調製し、これをよく窒素置換した。
別途、分散媒としてソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン50)5.0gをシクロヘキサン1000mlに溶解した溶液を調製し、これをよく窒素置換し、温度を30℃に設定した。
上記のモノマ水溶液に重合開始剤として過硫酸アンモニウム20mgを添加し、これを先の分散媒中に投入後、回転式攪拌羽根を用いて高速攪拌して乳化させた。乳化後、反応助剤であるテトラメチルエチレンジアミン0.6mlを少量づつ添加した。攪拌しながら3時間重合を行った。その後、生成した高分子ゲル粒子を回収し、純水で繰り返し洗浄を行なった。
得られた粒子の平均粒径は20℃において約50μmであった。20℃における純水吸水量は約40g/g(乾燥ゲル粒子1gあたり40gの純水を吸収する)であった。本ゲル粒子は加熱によって収縮する性質をもち、約50℃に相転移点をもっていた。つまり、相転移点よりも高温では収縮し、低温では膨潤する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の大きさは2.5倍以上変化することが分かった。
−着色した高温収縮ゲル粒子3の調製−
N−イソプロピルアクリルアミド系の高温収縮ゲル粒子を以下ようなプロセスによって製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド系の高温収縮ゲル粒子を以下ようなプロセスによって製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド7.0g、アクリルアミド3.0g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド50mg、フタロシアニン系青色顔料(大日本インキ製)をその固定分として4.0g、蒸留水30mlを混合したモノマ水溶液を調製し、これをよく窒素置換した。
別途、分散媒としてソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン50)5.0gをシクロヘキサン1000mlに溶解した溶液を調製し、これをよく窒素置換し、温度を30℃に設定した。
上記のモノマ水溶液に重合開始剤として過硫酸アンモニウム20mgを添加し、これを先の分散媒中に投入後、回転式攪拌羽根を用いて高速攪拌して乳化させた。乳化後、反応助剤であるテトラメチルエチレンジアミン0.6mlを少量づつ添加した。攪拌しながら3時間重合を行った。その後、生成した着色高分子ゲル粒子を回収し、純水で繰り返し洗浄を行なった。
得られた粒子の平均粒径は20℃において約50μmであった。20℃における純水吸水量は約35g/g(乾燥ゲル粒子1gあたり35gの純水を吸収する)であった。本ゲル粒子は加熱によって収縮する性質をもち、約50℃に相転移点をもっていた。つまり、相転移点よりも高温では収縮し、低温では膨潤する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の大きさは2.5倍以上変化することが分かった。
(実施例1)
以下に2枚の基板間に光学組成物を挟持した光学素子を作製し、その特性評価を実施した。
以下に2枚の基板間に光学組成物を挟持した光学素子を作製し、その特性評価を実施した。
光学組成物の3成分として、前記にて合成したゲル粒子1、アントラキノン系青色染料を0.5質量%及びSDSを0.2質量%含有した水溶液、固・液転移材料として炭素鎖長C26のパラフィンワックス(固・液転移温度:約52℃)を夫々用いた。
ガラス基板(大きさ50mmx50mm、厚み3mm)を2枚用意した。一枚のガラス基板の表面にはゲル粒子を固定するために接着層としてγ−Aminopropyltriethoxysilaneを塗布、乾燥させることで基板表面にアミノ基を導入した。さらに、ゲル粒子を0.1質量%の濃度で蒸留水に分散させた懸濁液を調製した。
接着層を形成したガラス基板を処理面を上面としプラスチック容器の底に配置し、これに先のゲル懸濁液を加え、1時間、静置してゲルを固定した。その後、ゲルを固定した基板を蒸留水に浸漬して洗浄した。
ガラス基板上を顕微鏡観察すると、ゲル粒子がほぼ均一の間隔で固定されていた。また、基板上に固定されたゲル粒子の20℃(膨潤状態)における密度を測定したところ、面積率で約20%であった。
他方のガラス基板上には前記した炭素鎖長C24のパラフィンワックス(固・液転移温度:約45℃)を加熱・塗布することで約90μmの厚みでシール部を除き形成した。
ゲルを固定したガラス基板上に100μmの樹脂スペーサーを所定量散布した後、一部の開口部を除き外周部に紫外線硬化樹脂を塗布し、他方の基板と張り合わせ、紫外線を照射して接着させてセル状の素子を作製した。
次に、セル内部に、先の着色液体を注入し開口部を封止し、光学素子を作製した。作製後の素子の外観は、濃い青色を呈していた。これは、これを顕微鏡観察すると着色液体が基板上に約10μmの厚みで層を形成していることが判明した。
この素子に温度を付与して、透過率の変化、メモリー性を評価した。素子をワックスの液化温度以上の50℃に加熱すると、瞬時に消色が起こった。50℃から室温まで冷却すると、消色した状態のまま保持することがわかった。可視−紫外分光光度計で透過率を測定すると約68%(波長600nm)であった。素子内部を顕微鏡観察するとゲル粒子が着色液体を吸収し膨潤しており、着色液体層がほぼ無くなっていた。次に、素子をゲルの相転移温度以上である70℃まで加熱したところ、再び、初期の発色状態に変化した。70℃から室温まで冷却すると、着色状態のまま保持された。この状態の透過率を測定すると約5%(波長600nm)であった。また、顕微鏡観察すると、ゲル粒子に吸収されていた着色液体が放出され、基板上に層を形成していた。したがって、発色時と消色時との透過率比で約14ものコントラスト比が得られることが判明した。また、発色及び消色の各状態は室温にて1ヶ月経過後も安定に保持されていた。
さらに、耐久性評価のために加熱による発・消色状態の切り替えを100サイクル実施したが、光学的特性に変化は無く、安定性にも優れていることが分かった。
以上に示すように、本発明の光学組成物及びそれを用いた光学素子は、十分な調光性能、メモリー性と安定性を持つことが明らかとなった。
(実施例2)
実施例1において、着色液体中の染料濃度を1.0質量%に増加したこと、以外は同じ材料からなる組成物を用い、また、ゲル粒子の固定化条件を変化させて、基板上のゲルの固定密度を面積率で約10%とする以外は同様な方法で素子を作製した。
実施例1において、着色液体中の染料濃度を1.0質量%に増加したこと、以外は同じ材料からなる組成物を用い、また、ゲル粒子の固定化条件を変化させて、基板上のゲルの固定密度を面積率で約10%とする以外は同様な方法で素子を作製した。
この素子の実施例1と同様に評価した結果、透過率変化は消色状態で約80%(波長600nm)、発色状態で約6%であり、実施例1に比べより優れた調光性能を示した。また、メモリー性、安定性ともに実施例1と同様、優れたものであった。
以上のように、基板上に固定するゲルの密度や着色液体の染料濃度を種々最適化することで、光学特性(調光性能)を種々に設定できることがわかった。
(実施例3)
光学組成物の3成分として、前記にて合成したゲル粒子2、アントラキノン系青色染料を0.5質量%含有した水溶液、固・液転移材料として炭素鎖長C22のパラフィンワックス(固・液転移温度:約38℃)を夫々用いた。
光学組成物の3成分として、前記にて合成したゲル粒子2、アントラキノン系青色染料を0.5質量%含有した水溶液、固・液転移材料として炭素鎖長C22のパラフィンワックス(固・液転移温度:約38℃)を夫々用いた。
実施例1と同様な手法で、ゲル粒子の固定密度が面積率で約25%の素子を作製した。
この素子に温度を付与して、透過率の変化、メモリー性を評価した。素子をワックスの液化温度以上の45℃に加熱すると、瞬時に消色が起こった。45℃から室温まで冷却すると、消色した状態のまま保持することがわかった。可視−紫外分光光度計で透過率を測定すると約60%(波長600nm)であった。素子内部を顕微鏡観察するとゲル粒子が着色液体を吸収し膨潤しており、着色液体層がほぼ無くなっていた。次に、素子をゲルの相転移温度以上である60℃まで加熱したところ、再び、初期の発色状態に変化した。60℃から室温まで冷却すると、着色状態のまま保持された。この状態の透過率を測定すると約4%(波長600nm)であった。また、発色及び消色の各状態は室温にて1ヶ月経過後も安定に保持されていた。また、メモリー性、安定性ともに実施例1と同様、優れたものであった。
以上のように転移温度の低い固・液材料を選定することで、より低い温度(エネルギー)での作動が可能なことがわかった。
(実施例4)
光学組成物の3成分として、前記にて合成した着色ゲル粒子3、膨潤液体として蒸留水、固・液転移材料として炭素鎖長C24のパラフィンワックス(固・液転移温度:約45℃)を夫々用いた。
光学組成物の3成分として、前記にて合成した着色ゲル粒子3、膨潤液体として蒸留水、固・液転移材料として炭素鎖長C24のパラフィンワックス(固・液転移温度:約45℃)を夫々用いた。
実施例1と同様な方法で着色ゲル粒子を基板上に固定化した。ただし、固定密度を高めるために固定時のゲル粒子分散液の濃度を1%として着色ゲル粒子の固定密度が面積率で約85%とした。
他方のガラス基板上には前記した炭素鎖長C24のパラフィンワックス(固・液転移温度:約45℃)を加熱・塗布することで約80μmの厚みでシール部を除き形成した。
ゲルを固定したガラス基板上に100μmの樹脂スペーサーを所定量散布した後、一部の開口部を除き外周部に紫外線硬化樹脂を塗布し、他方の基板と張り合わせ、紫外線を照射して接着させてセル状の素子を作製した。
次に、セル内部に、膨潤液体として蒸留水を注入し(膨潤液体層の厚みは約20μm)開口部を封止し、光学素子を作製した。作製後の素子の外観は、ごく薄い青色(消色状態)を呈していた。これは、これを顕微鏡観察すると着色高分子ゲル粒子が収縮しているため、入射光を吸収する着色ゲル部分の面積が小さいからであることがわかった。
この素子に温度を付与して、透過率の変化、メモリー性を評価した。素子をワックスの液化温度以上の50℃に加熱すると、色が著しく濃くなった(着色状態)。50℃から室温まで冷却すると、着色状態のまま保持することがわかった。可視−紫外分光光度計で透過率を測定すると約13%(波長600nm)であった。素子内部を顕微鏡観察すると着色ゲル粒子が膨潤液体である蒸留水を吸収し膨潤していた。次に、素子をゲルの相転移温度以上である70℃まで加熱したところ、再び、初期の消色状態に変化した。70℃から室温まで冷却すると、消色状態のまま保持された。この状態の透過率を測定すると約70%(波長600nm)であった。また、顕微鏡観察すると、ゲル粒子は収縮状態にあることがわかった。したがって、発色時と消色時との透過率比で約5のコントラスト比が得られることが判明した。また、発色及び消色の各状態は室温にて1ヶ月経過後も安定に保持されていた。
さらに、耐久性評価のために加熱による発・消色状態の切り替えを100サイクル実施したが、光学的特性に変化は無く、安定性にも優れていることが分かった。
以上に示すように、本発明の光学組成物及びそれを用いた光学素子は、十分な調光性能、メモリー性と安定性を持つことが明らかとなった。
10 表示基板
11 背面基板
13 封止材
20、21、22 高分子ゲル粒子
30、31 液体(着色液体、膨潤液体)
40 固・液転移材料
11 背面基板
13 封止材
20、21、22 高分子ゲル粒子
30、31 液体(着色液体、膨潤液体)
40 固・液転移材料
Claims (17)
- 液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴とする光学組成物。 - 調光材料を含む液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こす刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴とする光学組成物。 - 液体と、
温度変化による前記液体との相互作用によって体積変化を起こし、且つ調光材料を含む刺激応答性高分子ゲルと、
温度変化によって可逆的に固・液転移する固・液転移材料と、
を含有することを特徴とする光学組成物。 - 前記固・液転移材料の固・液転移温度よりも、前記刺激応答性高分子ゲルが体積変化を起こす温度の方が高い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 前記刺激応答性高分子ゲルが体積変化を起こす熱応答性よりも、前記固・液転移材料が固・液転移する熱応答性が高い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 前記固・液転移材料の固体状態により前記液体及び前記刺激応答性高分子ゲルの存在領域が保持される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 前記固・液転移材料は、転移温度が30℃〜150℃の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 前記固・液転移材料は、前記液体と相溶しない材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 前記固・液転移材料は、ワックス類である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 前記刺激応答性高分子ゲルは、体積変化を起こす温度が−30℃〜300℃の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 前記刺激応答性高分子ゲルは、体積変化を起こす温度が−10℃〜200℃の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学組成物を備えることを特徴とする光学素子。
- 前記光学組成物は一対の基板間に挟持されてなり、
前記刺激応答性高分子ゲルは、一方の前記基板面側に配置され、
前記液体は、前記刺激応答性高分子ゲルの収縮時には当該ゲルを配置した前記基板面側に層状に配置され、
前記固・液転移材料は、他方の前記基板面側に層状に配置されている、
請求項12に記載の光学素子。 - 前記一対の基板の少なくとも一方は、光透過性を有する、請求項13に記載の光学素子。
- 前記層状の固・液転移材料は、厚みが10〜200μmの範囲である、請求項13に記載の光学素子。
- 前記層状の固・液転移材料は、厚みが20〜100μmの範囲である、請求項13に記載の光学素子。
- 請求項12に記載の光学素子の調光方法であって、
前記固・液転移材料を固体化させ、その固化状態により前記液体及び前記刺激応答性高分子ゲルの存在領域を保持する、
ことを特徴とする光学素子の調光方法。
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