JP2006201242A - 電子音楽装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画面を大型化すると共に、操作者が周囲の状況を簡単に把握できるようにする。
【解決手段】 閉蓋時においては装置本体に設けられた多数の操作手段の全て又は一部を覆うことで外部の塵埃の侵入や外部の衝撃などから前記操作手段を保護する蓋体に、透明又は半透明の平面状の表示媒体を透過性をもたせて配置する。そして、該蓋体の表示媒体にイメージ又は文字を表示する。このように、蓋体に配置した表示媒体上にイメージ又は文字を可視表示できるようにしたことから、表示画面をより大型化することができる。また、蓋体に透明又は半透明の表示媒体を透過性をもたせて配置するようにしたことから、操作者は当該蓋体の表示媒体を介して装置の周囲全体を見まわしてその状況を把握することができ、こうすることで周囲の状況にあわせて操作部を操作することが簡単にできるようになる。
【選択図】 図3

Description

この発明は、操作部の一部又は全てを覆うことでそれらを保護することのできる蓋体を有する電子音楽装置に関する。特に、透明あるいは半透明の表示媒体を透過性をもたせて蓋体に配置してなり、該蓋体の表示媒体上に各種情報を可視表示するようにした電子音楽装置に関する。
従来から、演奏操作子やパネル操作子(設定操作子とも呼ぶ)などのユーザが操作することの可能な操作部の一部又は全てを覆う蓋体(カバーとも呼ぶ)を具えた電子音楽装置が知られている。こうしたカバーを具えた電子音楽装置の1例としては、例えば下記に示す特許文献1に記載の電子楽器などがある。この特許文献1に開示されている電子楽器は、閉蓋時には操作部の一部又は全てを覆うことができ、開蓋時には楽器本体上に立設することのできる、上下方向に回動自在に配設された回動型のカバーを具える。すなわち、前記カバーは、閉蓋時(つまり操作部の非使用時)においては該操作部の一部又は全てを覆うことで外部の塵埃の侵入や外部の衝撃などから前記操作部を保護する一方で、開蓋時(つまり操作部の使用時)においては前記操作部を操作する操作者から見て前記操作部を挟んだ所定の立て掛け位置に立て掛けられて、そこに譜面などを置くことができるようになっている。また、最近の電子音楽装置には液晶ディスプレイ(LCD)などの表示器が装置本体のパネル上に一体的に配設されており、該表示器上にイメージ又は文字(例えば、楽譜や歌詞あるいは映像などの各種情報)を必要に応じて可視表示することができるようになっている。
特開平7-121175号公報
しかし、上述したような従来の電子音楽装置においては、イメージ又は文字を可視表示するための液晶ディスプレイ(LCD)などの表示器を装置本体のパネル上に設けていたことから、本体パネル上のスペースの点などから前記ディスプレイの大きさや配置位置などに制限をうけていた。そのため、従来ではこうしたディスプレイの画面を小さく構成せざるを得ず、そのためディスプレイ上に多くの情報を一度に可視表示させることができずに都合が悪い、という不都合があった。また、一般的に従来の蓋体(カバー)は不透明な部材で形成されており、開蓋時(つまり操作部の使用時)に該カバーを立て掛けると見栄えが悪くなるだけでなく、操作者の前方の視界を遮ってしまうことになるから、操作者は他の演奏者や観客などとコンタクトが取りにくく、周りの状況にあわせた操作を行うことが非常に難しかった。特に蓋体が大きくなるにつれて、こうした悪い影響はより顕著に現れる。さらに、開蓋時において、前記カバーは常時操作者の正面に立て掛けられているものであるにも関わらず、従来においては譜面などを立てること以外に特に利用されることがなかったために何ら面白みなく、単に邪魔となるだけのものであった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、透明あるいは半透明の透過性をもたせた表示媒体を蓋体(カバー)に配置してなり、操作部の使用時には該蓋体の表示媒体上にイメージ又は文字を可視表示することで大きく見やすい画面を提供すると共に、操作者が当該蓋体の表示媒体を介した反対側などを含む装置の周囲全体を見ながら操作部を操作することが簡単にできるようにした電子音楽装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電子音楽装置は、装置本体に設けられた多数の操作手段と、前記操作手段の全て又は一部を覆うように開閉可能であって、透明又は半透明の平面状の表示媒体を透過性をもたせて配置してなる蓋体と、前記蓋体の表示媒体にイメージ又は文字を可視表示させる表示制御手段とを具える。
この発明によると、閉蓋時においては装置本体に設けられた多数の操作手段の全て又は一部を覆うことで外部の塵埃の侵入や外部の衝撃などから前記操作手段を保護する蓋体に、透明又は半透明の平面状の表示媒体を透過性をもたせて配置し、該蓋体の表示媒体にイメージ又は文字を表示する。このように、蓋体に配置した表示媒体上にイメージ又は文字を可視表示できるようにしたことから、表示画面を大型化することができる。また、蓋体に透明又は半透明の表示媒体を透過性をもたせて配置するようにしたことから、操作者は当該蓋体の表示媒体を介して装置の周囲全体を見まわしてその状況を把握することができ、こうすることで周囲の状況にあわせて操作部を操作することが簡単にできるようになる。
この発明によれば、蓋体に透明又は半透明の平面状の表示媒体を透過性をもたせて配置してなり、該蓋体の表示媒体上にイメージ又は文字を表示するようにしたことから、操作者は大きく見やすい表示を得ることができる、という効果を奏する。また、透過性ある表示媒体を蓋体に用いることで、操作者は当該蓋体の表示媒体を介した反対側などを含む装置の周囲全体を見まわすことができることから、周囲の状況にあわせて操作部を操作することなどが簡単にできるようになる、という効果を奏する。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例では、電子音楽装置として少なくとも演奏操作子4(鍵盤)を有する電子楽器を例に示す。また、蓋体(カバー)に透過性を持たせて配置することのできる透明又は半透明の表示媒体としては種々の方式のものが公知であるが、ここでは一例として透明液晶ディスプレイ7を用いた場合を示している。
図1に示す電子楽器は、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子楽器全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、演奏操作子4、パネル操作子5、表示器6、蓋体(カバー)を兼ねる透明液晶ディスプレイ7、音源8、サウンドシステム9がそれぞれ接続されている。更に、CPU1には、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ1Aが接続されている。例えば、タイマ1Aはクロックパルスを発生し、発生したクロックパルスをCPU1に対して処理タイミング命令として与えたり、あるいはCPU1に対してインタラプト命令として与える。CPU1は、これらの命令に従って各種処理を実行する。なお、この実施例に示す電子楽器は上記した以外のハードウェアを有する場合もあるが、ここでは必要最小限の資源を用いた場合について説明する。
ROM2は、CPU1により実行される各種プログラムや各種データを格納するものである。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。演奏操作子4は楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤やペダル、ホイールなどのようなものであり、各鍵等に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4(鍵盤等)はユーザによるマニュアル(手弾き)演奏のために使用できるのは勿論のこと、演奏の際に用いられる演奏環境設定などの各種設定を行うための入力手段として使用することもできる。パネル操作子(スイッチ等)5は図2に示すような本体パネル上に配設された多数の操作子類であり、例えば音高、音色、効果等の演奏環境設定を行うスイッチ、所定の伴奏データに従う自動伴奏の開始・停止を指示する伴奏スイッチなどである。勿論、これら以外にも、音高、音色、効果等を選択・設定・制御するために用いる数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいは表示機6に表示される所定のポインティングデバイスを操作するために用いるマウスなどの各種操作子を含んでいてよい。
表示器6は例えば透過性のない液晶表示パネルやCRT等から構成されるディスプレイであって、楽譜や歌詞などを表示したり、楽曲一覧を表示したり、上記パネル操作子5により設定された演奏環境設定を表示したり、あるいはCPU1の制御状態などを表示したりするなど、イメージや文字(各種情報)を可視表示することができる。前記表示器6は従来知られた電子楽器等に広く用いられている一般的なディスプレイであり、図2に示すようにパネル操作子5などと共に本体パネル上に配設される透過性のないディスプレイである。従来においては当該表示器6に対して各種情報を全て表示するようにしていたが、この表示器6は本体パネルのサイズ等からそのサイズを大きくすることができない。そこで、この電子楽器では表示器6とは別に、蓋体(カバー)上にも表示媒体として透明液晶ディスプレイ7が配置される。この透明液晶ディスプレイ7は例えば透明又は半透明の透過性ある部材で蓋体を兼ねるような形状で構成されており、閉蓋時には操作部の一部又は全てを覆うことができ、開蓋時には楽器本体上に立設させておくことができると共に、各種情報を表示することのできるようになっている。こうした透明液晶ディスプレイ7の詳細な説明については、後述する(後述の図2〜図5参照)。
音源8は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられる、ユーザによる演奏操作子4Aの操作に応じて発生された、あるいは予め記憶された伴奏データ等の演奏情報を入力し、これらの演奏情報に基づいて楽音信号を発生する。また、音源8では発生させる楽音信号を各種パラメータに基づいて制御し、該発生させた楽音信号をアンプやスピーカなどを含むサウンドシステム9から発音する。こうした音源8、サウンドシステム9の構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源8はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、CPU1やDSP(図示せず)等によるソフトウェア処理で構成してもよい。
外部記憶装置10は、楽譜や歌詞を表示するための楽譜表示情報や歌詞表示情報などの各種データ、タッチパネル操作子として透明液晶ディスプレイ7上に表示するスイッチ種類や画面構成などの画面表示情報、あるいはCPU1が実行する各種制御プログラム(例えば、後述する「メイン処理」など)や制御に関するデータなどを記憶するものである。なお、上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この外部記憶装置10(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、外部記憶装置10はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよい。
なお、上述した実施例のように、透明液晶ディスプレイ7ではない表示器6も同時に具備する場合、該表示器6と透明液晶ディスプレイ7とで同じ種類の情報(イメージ又は文字)を可視表示してもよいし、異なる種類の情報を可視表示してもよい。同じ種類の情報を可視表示する場合には、例えば透明液晶ディスプレイ7には1ページ分の情報を可視表示し、他の表示器にはそのうちの一部(例えば楽曲の進行位置近傍)のみを可視表示するなどしてよい。
なお、電子楽器は、演奏操作子4、パネル操作子5、表示器6、音源8、サウンドシステム9、外部記憶装置10などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、図示しないMIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよい。また、本発明に係る電子音楽装置は電子楽器の形態に限らず、各種信号をミキシングするためのミキサ装置、あるいはゲーム装置など、どのような形態の装置・機器に適用してもよい。
ここで、上記透明液晶ディスプレイについて、その概要を図2及び図3を用いて簡単に説明する。図2は、電子楽器における透明液晶ディスプレイの設置態様を示す上面外観概略図である。図3は、透明液晶ディスプレイが有する特徴的な機能である透過性について説明するための概念図である。図3(a)は図2に示した電子楽器における開蓋時の透明液晶ディスプレイの設置態様を側面から示した側面外観概略図であり、図3(b)は操作者から見た透明液晶ディスプレイの表示状態を示す概念図である。
図2に示すように、透明液晶ディスプレイ7は楽器本体側の一端を支点として全体が矢印X方向に回動するよう回動自在に配設されることで、透明液晶ディスプレイ7が回動型の蓋体(カバー)を兼ねるようにしている。すなわち、閉蓋時には図中において斜線で図示したように、透明液晶ディスプレイ7が楽器本体パネル上に配設されている操作部である鍵盤4(演奏操作子)やパネル操作子5、及び表示器6やスピーカ9(サウンドシステム)の一部又は全てを覆った状態となり、外部の塵埃の侵入や外部の衝撃などから楽器本体パネル上に配設されている各機器を保護するようにしている。一方、透明液晶ディスプレイ7を楽器本体の所定位置に立て掛けることで開蓋状態とすることができ、透明液晶ディスプレイ7の開蓋に応じて操作者は楽器本体パネル上に配設されている鍵盤4やパネル操作子5の操作を行ったり、表示器6に表示される画面を見たり、スピーカ9から発生される楽音を聞いたりすることができるようにしている。また、開蓋時には、立て掛けられた透明液晶ディスプレイ7上に楽譜や歌詞あるいは映像などの各種情報7aを可視表示することができる。勿論、表示内容は楽譜や歌詞あるいは映像などに限らず、他の表示可能な情報であればどのような情報であってもよい。また、映像を表示する場合には、カメラなどからリアルタイムに取り込んだ映像などをそのまま又は加工するなどして表示するようにしてあってもよい。
さらに、開蓋時には、立て掛けられた透明液晶ディスプレイ7上にパネル操作子5のようなメカ的に動作するスイッチとは異なる多数の擬似的なスイッチ7b(タッチパネル操作子とも呼ぶ)からなるスイッチ群を表示することができ、操作者が画面上に表示されたこれらの擬似的なスイッチ7bに触れることにより各種設定を行うタッチパネルとして、透明液晶ディスプレイ7を使用することができるようにもなっている。この際には操作者によりタッチされた画面上の操作位置から表示済みのタッチパネル操作子7bに対応した指示を特定するのであるが、このタッチパネル上においてタッチされた位置を求める方式としては、赤外線光を利用する方式、抵抗膜方式、静電容量方式など種々の方式がある。これらの各方式については公知のどのような技術を用いてもよいことから、ここではそれらの説明を省略する。
蓋体(カバー)を兼ねる透明液晶ディスプレイ7は透明又は半透明の透過性ある部材で構成されていることから、図3(a)に示すように、操作者Aからは透明液晶ディスプレイ7の反対側にいる従来のカバーであるならば視線をずらさなければ見ることのできなかった実在する人物B(例えば観客など)を、透明液晶ディスプレイ7を通して確認することができる。その様子を示すと、図3(b)に示した図のようになる。この図3(b)から理解できるように、透明液晶ディスプレイ7には楽器自体による制御に伴い表示される楽譜や擬似的なスイッチ群に、透明液晶ディスプレイ7を介して操作者Aと対峙している実在の人物Bが重ね合わされるようにして映り込む。したがって、操作者Aは視線を透明液晶ディスプレイ7からずらすことなく、透明液晶ディスプレイ7を見つづけたままで、透明液晶ディスプレイ7の向こう側にいる実在する人物Bを確認することが簡単にできるようになる。こうした透過性のある透明液晶ディスプレイ7の構造については、後述する(後述の図4参照)。
また、透明液晶ディスプレイ7の操作者A側にのみ各種情報を表示するだけでなく、実在する人物B側にも、つまり透明液晶ディスプレイ7の表面及び裏面の各面毎に各種情報を表示することのできるように透明液晶ディスプレイ7を構成してよい。こうした場合には、透明液晶ディスプレイ7の各面に表示する情報の内容を操作者A側と実在する人物B(例えば観客など)側とで異なるように表示するとよい。こうすると、操作者Aは大型画面で各種情報を確認したり各種設定を行ったりすることができるだけでなく、常時操作者Aの正面に立て掛けられているカバー(つまり透明液晶ディスプレイ7)を、実在する人物B(観客など)を楽しませる道具などとして積極的に利用することができるようになる。このような両面表示可能な透明液晶ディスプレイ7の構造については、後述する(後述の図5参照)。さらに、透明液晶ディスプレイ7の両面に各種情報を表示するように構成した場合には、開蓋時だけでなく閉蓋時においても外側になる透明液晶ディスプレイ7の面に各種情報を表示させることもでき、そうすることで閉蓋時においてもカバー(つまり透明液晶ディスプレイ7)を積極的に利用することができるようにもなり有利である。
上述したように、本電子楽器が具える蓋体(カバー)は透明液晶ディスプレイ7からなり、これに各種情報を可視表示することで大型画面として活用することができるようにしている。また、蓋体(カバー)を兼ねる透明液晶ディスプレイ7は透明又は半透明の光を透過する特性をもつ部材で構成されており、透明液晶ディスプレイ7の反対側にいる実在する人物Bなど一部周囲の状況を透明液晶ディスプレイ7を通して確認することのできるようにしている。そこで、このような蓋体として電子楽器に装着されることで、蓋体に透過性をもたせるようにして配置される透明液晶ディスプレイ7の構造について、図4又は図5を用いて説明する。図4は、透明液晶ディスプレイの構造の一実施例を示す一部拡大断面図である。
図4に示すように、透明液晶ディスプレイ7は、互いに重ね合わせたガラス基板又はプラスティック基板との間に液晶部材を挟み込んだタッチセンサー(図示せず)付の大型透明液晶パネルPNの一方の面に、ハーフミラーHMを蒸着したものである。液晶パネルPNの周縁部にハーフミラーHMに反射してバックライトとして機能する拡散光源LTを設けることにより、薄く使いやすいパネルとなるようにしている。また、液晶パネルPNの一方の面にハーフミラーHMを蒸着すると、液晶パネルを挟んだ内側からと外側からとでは、透明液晶ディスプレイ7の見え方が異なる。すなわち、内側から発せられた光はハーフミラーHMにより反射されることから(図中の反射光)、外側からは内側を見ることができない一方、外側から発せられた光はハーフミラーHMにより反射されることがなく透過されることから(図中の透過光)、内側から外側を見ることができる。このようにして、操作者(内側)からは透明液晶ディスプレイ7の反対側にいる実在する人物など(外側)を見えるようにしておき、実在する人物など(外側)からは操作者を見えないようにしておくことができる。これにより、操作者は他の演奏者や観客などとコンタクトが取りやすくなり、周りの状況にあわせた操作を行うことが簡単にできるようになる。
図5は透明液晶ディスプレイの構造の別の実施例を示す一部拡大断面図であり、ここに示す透明液晶ディスプレイは両面表示可能な構造のものである。この図5に示す透明液晶ディスプレイ7は、上述したような液晶パネルPNを2枚重ね合わせることで、透明液晶ディスプレイ7を挟む内側と外側のそれぞれに対して各種情報を表示することができる。例えば、操作者(内側)に対しては機器の設定や音源の情報や楽譜などを表示するとよく、透明液晶ディスプレイ7の反対側にいる実在する人物など(外側)に対しては操作者からのメッセージや歌詞などを表示させるようにするとよい。こうした透明液晶ディスプレイ7の各面に表示する内容を、操作者が適宜に切り替えることのできるようにしてよい。また、重ね合わせた2枚の液晶パネルPNのうちの操作者側(内側)とする一方の液晶パネルPNにはハーフミラーHMを蒸着することで、この場合においても操作者(内側)からは透明液晶ディスプレイ7の反対側にいる実在する人物など(外側)を見えるようにしておき、実在する人物など(外側)からは操作者を見えないようにしておく。こうすると、操作者は周りの状況にあわせた操作を簡単に行うことができるようになる。
次に、操作者による演奏操作子4やパネル操作子5の操作にあわせて該当する処理を実行する「メイン処理」について、図6を用いて説明する。図6は、操作者による操作にあわせて各種処理を実行する「メイン処理」の一実施例を示すフローチャートである。この「メイン処理」は図1に示したCPU1において実行される処理であり、電子楽器の電源オン時に開始されて電源オフ時に終了される。
まず、ステップS1では初期化を行う。ステップS2では、操作者によるパネル操作子5又は透明液晶ディスプレイ7上に表示されたタッチパネル操作子7bが操作されることに応じたパネル入力があったか否かを判定する。パネル入力があったと判定した場合には(ステップS2のYES)、該パネル入力がタッチパネル操作子7bがタッチ操作されたことに応じたものであるか否かを判定する(ステップS3)。該パネル入力がタッチパネル操作子7bが操作者により画面タッチ操作されたことに応じたものであると判定した場合には(ステップS3のYES)、操作位置から指示を特定する(ステップS5)。この操作位置に応じた指示の特定はタッチパネル上の操作された座標(つまりタッチされた画面位置)を求めて、操作者が操作したタッチパネル操作子7bに応じた目的指示内容を検出することによる。こうした技術は公知であるので、ここでの説明を省略する。ステップS4では、タッチパネル操作子7bに割り当てた処理を実行する。すなわち、タッチパネル操作子7bがタッチ操作された場合には、該タッチされた擬似的なスイッチであるタッチパネル操作子7bに予め割り当てられた処理を実行する。他方、タッチパネル操作子7bが操作されたのではなく本体パネル上に配設された通常のメカ的なパネル操作子5が操作されたような場合には、各パネル操作子5のメカ的な動作に応じて割り当てられている処理を実行する。
ステップS6では、「状況変化」があるか否かを判定する。ここでいう「状況変化」とは、演奏進行を進めた、操作者がパネル操作子5を操作したなど、なんらかの変化が該楽器に生じた場合をいう。「状況変化」があったと判定した場合には(ステップS6のYES)、対応する映像データを生成する(ステップS7)。ステップS8では、前記生成した映像データに基づき表示器6又は透明液晶ディスプレイ7上に表示する映像画面を更新する。ただし、ここで表示する映像をカメラなどからリアルタイムに取り込んでいるような場合には、その映像については随時に更新される。ステップS9では、演奏信号処理を実行する。すなわち、操作者により鍵盤やペダル、ホイールなどの演奏操作子4が操作されたような場合には、操作された演奏操作子に応じた楽音を発生するための演奏情報(演奏信号)を生成する処理を行う。この際に、自動伴奏などが行われている場合には、時間経過とともに伴奏を発生させるための演奏情報(演奏信号)を生成する処理を行う。ステップS10では、前記生成した演奏情報(演奏信号)に基づき楽音信号出力処理を実行する。すなわち、前記生成した演奏情報(演奏信号)を元とする楽音を音源で生成し発音させる。ステップS10の処理を終了するとステップS2の処理に戻って、上記ステップS2〜ステップS10までの処理を繰り返し実行する。
以上のようにして、閉蓋時には操作部の一部又は全てを覆い、開蓋時には楽器本体上に立設することのできる、上下方向に回動自在に配設された回動型のカバーを、透明液晶ディスプレイ7で構成し、開蓋時には該透明液晶ディスプレイ7に各種情報を表示するようにした。こうすると、操作者は大きく見やすい表示を得ることができる。また、透明液晶ディスプレイ7に透過性をもたせたことから、該蓋体(カバー)を介した反対側などを見ながら周囲の状況にあわせて操作を行うことが簡単にできるようになる、という利点もある。
なお、蓋体(カバー)全体を透明液晶ディスプレイ7で構成することなく、カバーの大部分に透明液晶パネルを組み込むようにしてカバーを構成するようにしてもよい。
なお、透明液晶ディスプレイ7のように自らが発光して表示を行うことのできるものでカバーを構成することに限らず、プロンプターのように楽器本体に設けられた投影器などから投射された情報を表示することのできる透明又は半透明な透過性ある部材でカバーを構成するようにしてもよい。また、透明有機EL(Electro Luminescenceの略)などを用いて構成した有機ELディスプレイでカバーを構成するようにしてもよい。こうした有機ELディスプレイを使用した場合には光源を設けずに発光させて表示を行うことが可能であることから、カバーを兼ねるディスプレイをより薄く形成することができるようになる。さらに、透明液晶ディスプレイ7にイメージや文字を表示するには電子的な制御によるもののみに限らず、ホログラム等の準光学的な制御によるものであってもよい。
なお、透明液晶ディスプレイ7などで構成するカバーは回動式に限らずスライド式のものであってもよい。そうした場合には、開蓋時において従来のようにスライドしたカバーを本体内に全て収納することなく全部又は一部を収納せずにしておき、その収納しなかった部分をそのままディスプレイやタッチパネル操作子などとして用いることのできるようにしてよい。また、開蓋時において、パネル操作子5などの上方に前記スライド式の透過性あるカバーを位置させておき、該カバー(透明液晶ディスプレイ7)の対応する位置に下方に位置するパネル操作子5の操作方法や操作タイミングなどを適宜に表示するようにすると便利であってよい。
なお、演奏操作子4としては鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。
この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。 電子楽器における透明液晶ディスプレイの設置態様を示す上面外観概略図である。 透明液晶ディスプレイが有する透過性について説明するための概念図であり、図3(a)は開蓋時の透明液晶ディスプレイの設置態様を、図3(b)は透明液晶ディスプレイの表示状態を示す。 透明液晶ディスプレイの構造の一実施例を示す一部拡大断面図である。 透明液晶ディスプレイの構造の別の実施例を示す一部拡大断面図である。 操作者による操作にあわせて各種処理を実行するメイン処理の一実施例を示すフローチャートである。
符号の説明
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…演奏操作子(鍵盤等)、5…パネル操作子、6…表示器、7…透明液晶ディスプレイ(蓋体)、8…音源、9…サウンドシステム、10…外部記憶装置、1D…通信バス(データ及びアドレスバス)、A…操作者、B…実在する人物、PN(PNa、PNb)…透明液晶パネル、LT…拡散光源、HM…ハーフミラー

Claims (2)

  1. 装置本体に設けられた多数の操作手段と、
    前記操作手段の全て又は一部を覆うように開閉可能であって、透明又は半透明の平面状の表示媒体を透過性をもたせて配置してなる蓋体と、
    前記蓋体の表示媒体にイメージ又は文字を可視表示させる表示制御手段と
    を具えた電子音楽装置。
  2. 前記蓋体の表示媒体が触れられたことを検知し、前記検知に応じて該触れられた位置に可視表示されているイメージ又は文字に関連した動作を実行する制御手段を具えたことを特徴とする請求項1に記載の電子音楽装置。
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