以下、本発明に係る建設機械の実施の形態について、小旋回型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図25を参照しつつ詳細に説明する。
ここで、図1ないし図15は本発明の第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、スイング式の作業装置を備えたキャブ仕様の油圧ショベルと、同じくスイング式の作業装置を備えたキャノピ仕様の油圧ショベルとを例示している。
まず、スイング式の作業装置を備えたキャブ仕様の油圧ショベルについて、図1ないし図8を参照して説明する。
図中、1はキャブ仕様の小旋回型油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより大略構成され、上部旋回体3の前部側には、後述するスイング式の作業装置8が設けられている。
そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム11と、該旋回フレーム11上に設けられオペレータが着席する運転席4と、該運転席4を収容する運転室を画成したキャブ5と、エンジン、油圧ポンプ等の機器類(図示せず)を覆う外装カバー6と、旋回フレーム11の後端部に設けられ作業装置8との重量バランスをとるカウンタウエイト7とにより構成されている。
この場合、図2に示すように、上部旋回体3の旋回中心をOとし、旋回中心Oからカウンタウエイト7の後端面7Aまでの距離によって規定される旋回半径をRとすると、上部旋回体3は、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方からみて略円形状に形成されている。
ここで、キャブ5は、図1および図2に示すように、前面部5A、後面部5B、左側面部5C、右側面部5D、上面部5E等によって囲まれた箱状に形成され、その内部に運転席4を収容する運転室を画成するものである。そして、キャブ5は、運転室内におけるオペレータの作業スペースを大きく確保するため、前面部5Aと左側面部5Cとが交わる左前角隅部5Fが、上述の仮想円Cから径方向外側に食み出す構成となっている。
また、カウンタウエイト7は、旋回半径Rの仮想円C内に収まるように円弧状に湾曲して左,右方向に延びる凸湾曲形状をなし、鋳造手段等によって一体形成されている。そして、カウンタウエイト7は、外装カバー6とほぼ同一面を形成し、該外装カバー6と共にエンジン等の機器類(図示せず)を後方から覆っている。
8は上部旋回体3の前部側に設けられたスイング式の作業装置で、該作業装置8は、後述の旋回フレーム11に左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト8Aと、該スイングポスト8Aに俯仰動可能に取付けられたブーム8Bと、該ブーム8Bの先端側に回動可能に取付けられたアーム8Cと、該アーム8Cの先端側に回動可能に取付けられたバケット8Dと、スイングシリンダ8E、ブームシリンダ8F、アームシリンダ8G、バケットシリンダ8Hとにより構成されている。
そして、作業装置8は、スイングシリンダ8Eを伸縮させることによりブーム8Bを左,右方向に揺動させ、この状態でブーム8Bを俯仰動させつつアーム8C、バケット8Dを回動させることにより掘削作業を行なうものである。
11は上部旋回体3のベースとなるキャブ仕様の旋回フレームで、該旋回フレーム11は、図3ないし図6に示すように、後述のセンタフレーム12と、右サイドフレーム23と、キャブ用左サイドフレーム25とにより強固な支持構造体として構成されている。そして、センタフレーム12と右サイドフレーム23とは、キャブ仕様の旋回フレーム11と後述するキャノピ仕様の旋回フレーム51とに共通して用いられるものである。
12は旋回フレーム11の中央部分を構成するセンタフレームで、該センタフレーム12は、厚肉な鋼板等を用いて平板状に形成され前,後方向に延びた底板13と、該底板13の上面側に立設され前,後方向に延びた左縦板14および右縦板15と、底板13の前,後方向の中間部に位置して該底板13上に立設され左,右方向に延びた横板16とにより大略構成されている。
ここで、左縦板14は、横板16よりも前側に位置する左前縦板14Aと、横板16よりも後側に位置する左後縦板14Bとにより構成され、右縦板15は、横板16よりも前側に位置する右前縦板15Aと、横板16よりも後側に位置する右後縦板15Bとにより構成されている。
そして、左,右の前縦板14A,15Aは、横板16から前方に向けてほぼ「ハ」の字状に延び、左,右の前縦板14A,15Aの前端側には、上述のスイングポスト8Aを支持する段付き円筒状のスイングブラケット17が接合されている。一方、左,右の後縦板14B,15Bは、横板16から後方に向けてほぼ平行に延び、これら左,右の後縦板14B,15B上にはエンジン(図示せず)が搭載される構成となっている。
18は左前縦板14Aの前部下端側に設けられた接続ブロックで、図5に示すように、接続ブロック18は略直方体のブロック状に形成され、底板13および左前縦板14Aに溶接によって固着されることにより、左前縦板14Aから外側(左側)に突出している。そして、接続ブロック18は、後述するキャブ用左サイドフレーム25の左前枠部27が接続されるもので、その突出端面には複数のボルト孔(雌ねじ孔)18Aが螺設されている。
19は左後縦板14Bの後端側に設けられた接続ブラケットで、該接続ブラケット19は、鋼板材等を用いて略L字状に形成され、底板13および左後縦板14Bに溶接によって固着されることにより上,下方向に延びている。また、接続ブラケット19の下端側には左後縦板14Bから外側(左側)に突出する突出部19Aが設けられ、該突出部19Aには複数のボルト挿通孔19Bが穿設されている。そして、接続ブラケット19の突出部19Aには、後述するキャブ用左サイドフレーム25の左曲げ枠部26が接続される構成となっている。
20は左前縦板14Aの前部側と右前縦板15Aの前部側との間に設けられた補強板で、該補強板20は、図4および図5に示すように、鋼板等を用いて略台形状に形成され、底板13からスイングブラケット17に向けて斜め上向き延びている。そして、補強板20は、底板13、左,右の前縦板14A,15A、スイングブラケット17に溶接等によって固着され、これら各部材の接合強度や曲げ強度を高めるものである。
21は補強板20の上面側に設けられた接続板で、該接続板21は、図5に示すように、鋼板材を略L字状に折曲げることにより形成され、補強板20の上面に溶接等によって固着されている。そして、接続板21は、後述するキャブ用左サイドフレーム25のフロア支持板29が接続されるもので、その上面には1個のボルト孔(雌ねじ孔)21Aが螺設されている。
22は左,右の後縦板14B,15B間に位置して底板13の後端部に設けられたウエイト取付板で、該ウエイト取付板22は、カウンタウエイト7がボルト等を用いて取付けられるものである。
23はセンタフレーム12の右側に取付けられた右サイドフレームで、該右サイドフレーム23は、図4に示すように、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように円弧状に湾曲して前,後方向に延びる右曲げ枠部23Aと、該右曲げ枠部23Aの前端側からセンタフレーム12の右前縦板15Aに向けて左,右方向に延びる右前枠部23Bと、これら右曲げ枠部23Aと右前枠部23Bとの間を接続する右コーナ部23Cとにより構成されている。
ここで、右曲げ枠部23Aと右前枠部23Bとは、略D字状の断面形状を有する中空な筒体(パイプ材)を用いて形成されている。そして、右曲げ枠部23Aの長さ方向中間部は、左,右方向に延びる複数の横梁24を介して底板13に連結され、右前枠部23Bの左端部は、右前縦板15Aに溶接等によって接合されている。
25はセンタフレーム12の左側に取付けられたキャブ用左サイドフレームで、該キャブ用左サイドフレーム25は、センタフレーム12および右サイドフレーム23と共にキャブ仕様の旋回フレーム11を構成するものである。ここで、キャブ用左サイドフレーム25は、図5および図6に示すように、後述の左曲げ枠部26、左前枠部27、左コーナ部28等により構成され、後述のボルト31,32,33を用いてセンタフレーム12の左側に着脱可能に取付けられるものである。
26はキャブ用左サイドフレーム25を構成する左曲げ枠部で、該左曲げ枠部26は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、図2および図4に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体3の旋回半径Rに沿って円弧状に湾曲し、前,後方向に延びている。ここで、左曲げ枠部26の後端部には、略L字状に折曲げられた鋼板等からなる接続端板26Aが固着され、該接続端板26Aには、センタフレーム12(左後縦板14B)に設けた接続ブラケット19の各ボルト挿通孔19Bと対応する位置にナット26Bが固着されている。
27はセンタフレーム12の前部側から左曲げ枠部26に向けて左,右方向に延びる左前枠部で、該左前枠部27は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、後述の左コーナ部28を介して左曲げ枠部26の前端側に連結されている。そして、左前枠部27の右端部には、鋼板等を用いて四角形状に形成された接続端板27Aが固着され、該接続端板27Aには、センタフレーム12(左前縦板14A)に設けた接続ブロック18の各ボルト孔18Aと対応する位置にボルト挿通孔27Bが穿設されている。
28は左曲げ枠部26と左前枠部27との間を連結する左コーナ部で、該左コーナ部28は、図7および図8に示すように、鋳造または鍛造等の手段を用いて略L字状の中実なブロック体として構成され、その両端部には嵌合凸部28A,28Bが一体に設けられている。また、左コーナ部28には、その下面側を上面側に向けて部分的に窪ませることにより前,後方向に延びる凹窪部28Cが形成され、この凹窪部28Cは、図1に示すように、下部走行体2の履帯上面と左コーナ部28の下面との間に隙間を形成している。これにより、オペレータは、左コーナ部28の凹窪部28Cによって形成された隙間を利用して履帯上に足を掛け、キャブ5に容易に乗降することができる構成となっている。
そして、左コーナ部28は、一方の嵌合凸部28Aを左曲げ枠部26の前端側に嵌合させた状態で該左曲げ枠部26に溶接によって固着されると共に、他方の嵌合凸部28Bを左前枠部27の左端側に嵌合させた状態で該左前枠部27に溶接によって固着されることにより、左曲げ枠部26と左前枠部27との間を強固に連結している。この場合、左コーナ部28は、図2および図4に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体3の旋回半径Rから外側に突出し、この旋回半径Rの仮想円Cから食み出したキャブ5の左前角隅部5Fを下側から保護する構成となっている。
29は左前枠部27および左コーナ部28の上方に複数のブラケット30を用いて取付けられたフロア支持板で、該フロア支持板29は、左コーナ部28から左前枠部27に沿って左,右方向に延びている。また、フロア支持板29の右端側には、センタフレーム12に設けた接続板21のボルト孔21Aに対応するボルト挿通孔29Aが穿設されている。そして、フロア支持板29は、センタフレーム12の横板16と共に、運転席4に着席するオペレータの足場となるフロア(図示せず)を支持するものである。
31はキャブ用左サイドフレーム25の左曲げ枠部26をセンタフレーム12に取付ける複数のボルト、32は左前枠部27をセンタフレーム12に取付ける複数のボルト、33はフロア支持板29をセンタフレーム12に取付けるボルトで、これら各ボルト31,32,33は、キャブ用左サイドフレーム25をセンタフレーム12の左側に着脱可能に取付ける締結部材を構成するものである。
ここで、図5および図6に示すように、各ボルト31は、センタフレーム12の左後縦板14Bに固着された接続ブラケット19(突出部19A)のボルト挿通孔19Bに挿通された後、キャブ用左サイドフレーム25の左曲げ枠部26に固着された接続端板26Aのナット26Bに螺着されるものである。また、各ボルト32は、キャブ用左サイドフレーム25の左前枠部27に固着された接続端板27Aのボルト挿通孔27Bに挿通された後、センタフレーム12の左前縦板14Aに固着された接続ブロック18のボルト孔18Aに螺着されるものである。また、ボルト33は、キャブ用左サイドフレーム25のフロア支持板29に穿設されたボルト挿通孔29Aに挿通された後、センタフレーム12の補強板20に固着された接続板21のボルト孔21Aに螺着されるものである。
このようにして、キャブ用左サイドフレーム25をボルト31,32,33を用いてセンタフレーム12の左側に取付けることにより、センタフレーム12、右サイドフレーム23、キャブ用左サイドフレーム25からなるキャブ仕様の旋回フレーム11が構成されている。そして、キャブ用左サイドフレーム25の左コーナ部28は、図2および図4に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体3の旋回半径Rから外側に突出し、この旋回半径Rの仮想円Cから食み出したキャブ5の左前角隅部5Fを下側から保護する構成となっている。
図1および図2に示すキャブ仕様の油圧ショベル1は、上述の如きセンタフレーム12、右サイドフレーム23、キャブ用左サイドフレーム25からなるキャブ仕様の旋回フレーム11を有するもので、該油圧ショベル1は、下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させつつ、スイング式の作業装置8を用いて側溝等の掘削作業を行なう。
この場合、図2に示すように、キャブ5の左前角隅部5Fは、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円Cから食み出すものの、この左前角隅部5Fの下側には、旋回フレーム11を構成するキャブ用左サイドフレーム25の左コーナ部28が配置されている。このため、例えば市街地等の狭い作業現場で上部旋回体3の旋回動作を行なうことにより、キャブ5の左前角隅部5Fが周囲の障害物に衝突しようとしたとしても、キャブ用左サイドフレーム25の左コーナ部28が、キャブ5の左前角隅部5Fに先立って障害物に衝突することにより、キャブ5を障害物から保護することができる。
また、例えばキャブ用左サイドフレーム25が障害物と衝突して変形、破損等を生じた場合でも、ボルト31,32,33を用いて新たなキャブ用左サイドフレーム25をセンタフレーム12に交換して取付けることにより、キャブ仕様の旋回フレーム11を迅速かつ容易に修復することができる。
次に、スイング式の作業装置を備えたキャノピ仕様の油圧ショベルについて、図9ないし図15を参照して説明する。なお、このキャノピ仕様の油圧ショベルのうち、上述したキャブ仕様の油圧ショベル1と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41はキャノピ仕様の小旋回型油圧ショベルで、該油圧ショベル41は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体42とにより大略構成され、上部旋回体42の前部側にはスイング式の作業装置8が設けられている。
ここで、上部旋回体42は、後述の旋回フレーム51と、該旋回フレーム51上に設けられオペレータが着席する運転席4と、該運転席4の上方を覆うキャノピ43と、外装カバー6と、カウンタウエイト7とにより構成されている。
この場合、図10に示すように、上部旋回体42の旋回中心をOとし、旋回中心Oからカウンタウエイト7の後端面7Aまでの距離によって規定される旋回半径をRとすると、上部旋回体42は、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方からみて略円形状に形成されている。
また、キャノピ43は、運転席4の周囲に立設された複数本の支柱43Aと、該各支柱43Aによって支持され運転席4を上方から覆う天蓋部43Bとにより構成されている。そして、キャノピ43の天蓋部43Bは、上部旋回体42の旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まる構成となっている。
51は上部旋回体42のベースとなるキャノピ仕様の旋回フレームで、該旋回フレーム51は、図11ないし図13に示すように、キャブ仕様の旋回フレーム11を構成するセンタフレーム12と右サイドフレーム23とを共通して用い、このセンタフレーム12の左側に後述のキャノピ用左サイドフレーム52を取付けることにより構成されている。
52はセンタフレーム12の左側に取付けられたキャノピ用左サイドフレームで、該キャノピ用左サイドフレーム52は、センタフレーム12および右サイドフレーム23と共にキャノピ仕様の旋回フレーム51を構成するものである。ここで、キャノピ用左サイドフレーム52は、図13等に示すように、後述の左曲げ枠部53、左前枠部54、左コーナ部55等により構成され、ボルト31,32,33を用いてセンタフレーム12の左側に着脱可能に取付けられるものである。
53はキャノピ用左サイドフレーム52を構成する左曲げ枠部で、該左曲げ枠部53は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、図10および図12に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体42の旋回半径Rに沿って円弧状に湾曲し、前,後方向に延びている。ここで、左曲げ枠部53の後端部には、略L字状に折曲げられた鋼板等からなる接続端板53Aが固着され、該接続端板53Aには、センタフレーム12(左後縦板14B)に設けた接続ブラケット19の各ボルト挿通孔19Bと対応する位置にナット53Bが固着されている。
54はセンタフレーム12の前部側から左曲げ枠部53に向けて左,右方向に延びる左前枠部で、該左前枠部54は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、後述の左コーナ部55を介して左曲げ枠部53の前端側に連結されている。そして、左前枠部54の右端部には、鋼板等を用いて四角形状に形成された接続端板54Aが固着され、該接続端板54Aには、センタフレーム12(左前縦板14A)に設けた接続ブロック18の各ボルト孔18Aと対応する位置にボルト挿通孔(図示せず)が穿設されている。
55は左曲げ枠部53と左前枠部54との間を連結する左コーナ部で、該左コーナ部55は、図14および図15に示すように、鋳造または鍛造等の手段を用いて円弧状に湾曲した中実なブロック体として構成され、その両端部には嵌合凸部55A,55Bが一体に設けられている。そして、左コーナ部55は、一方の嵌合凸部55Aを左曲げ枠部53の前端側に嵌合させた状態で該左曲げ枠部53に溶接によって固着されると共に、他方の嵌合凸部55Bを左前枠部54の左端側に嵌合させた状態で該左前枠部54に溶接によって固着されることにより、左曲げ枠部53と左前枠部54との間を強固に連結している。この場合、左コーナ部55は、図10および図12に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体42の旋回半径Rの仮想円C内に収まる構成となっている。
56は左前枠部54および左コーナ部55等の上方に複数のブラケット57を用いて取付けられたフロア支持板で、該フロア支持板56は、左コーナ部55から左前枠部54に沿って左,右方向に延びている。また、フロア支持板56の右端側には、センタフレーム12に設けた接続板21のボルト孔21Aに対応するボルト挿通孔(図示せず)が穿設されている。そして、フロア支持板56は、センタフレーム12の横板16と共に、運転席4に着席するオペレータの足場となるフロア(図示せず)を支持するものである。
そして、図13等に示すように、キャノピ用左サイドフレーム52の左曲げ枠部53は、センタフレーム12の左後縦板14Bに固着された接続ブラケット19の突出部19Aにボルト31を用いて取付けられ、キャノピ用左サイドフレーム52の左前枠部54は、センタフレーム12の左前縦板14Aに固着された接続ブロック18にボルト32を用いて取付けられ、キャノピ用左サイドフレーム52のフロア支持板56は、センタフレーム12の補強板20に固着された接続板21にボルト33を用いて取付けられている。
このようにして、キャノピ用左サイドフレーム52をボルト31,32,33を用いてセンタフレーム12の左側に取付けることにより、センタフレーム12、右サイドフレーム23、キャノピ用左サイドフレーム52からなるキャノピ仕様の旋回フレーム51が構成されている。そして、キャノピ用左サイドフレーム52の左コーナ部55は、図10および図12に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体42の旋回半径R内に収まることにより、上部旋回体42の旋回動作時等において旋回フレーム51が周囲の障害物と衝突するのを防止できる構成となっている。
図9および図10に示すキャノピ仕様の油圧ショベル41は、上述の如きセンタフレーム12、右サイドフレーム23、キャノピ用左サイドフレーム52からなるキャノピ仕様の旋回フレーム51を有するもので、該油圧ショベル41は、下部走行体2上で上部旋回体42を旋回させつつ、スイング式の作業装置8を用いて側溝等の掘削作業を行なう。
この場合、図10および図12に示すように、キャノピ用左サイドフレーム52の左コーナ部55、上部旋回体42のキャノピ43等は、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収められているので、例えば市街地等の狭い作業現場で上部旋回体42の旋回動作を行なった場合でも、キャノピ用左サイドフレーム52、キャノピ43等が周囲の障害物に衝突するのを防止することができる。
また、例えばキャノピ用左サイドフレーム52が障害物と衝突して変形、破損等を生じた場合でも、ボルト31,32,33を用いて新たなキャノピ用左サイドフレーム52をセンタフレーム12に交換して取付けることにより、キャノピ仕様の旋回フレーム51を迅速かつ容易に修復することができる。
このように、本実施の形態では、キャブ仕様の旋回フレーム11とキャノピ仕様の旋回フレーム51とで、センタフレーム12と右サイドフレーム23とを共通化し、キャブ仕様の旋回フレーム11の場合には、センタフレーム12の左側にボルト31,32,33を用いてキャブ用左サイドフレーム25を取付け、キャノピ仕様の旋回フレーム51の場合には、センタフレーム12の左側にボルト31,32,33を用いてキャノピ用左サイドフレーム52を取付ける構成としている。
これにより、例えばキャブ仕様の油圧ショベル1の組立時に、この油圧ショベル1をキャノピ仕様の油圧ショベル41に変更するといった急な仕様変更が生じた場合でも、センタフレーム12の左側に取付けられたキャブ用左サイドフレーム25を、キャノピ用左サイドフレーム52に交換するだけで、容易にキャノピ仕様の旋回フレーム51を形成することができる。
また、これとは逆に、キャノピ仕様の油圧ショベル41をキャブ仕様の油圧ショベル1に変更するといった急な仕様変更が生じた場合でも、センタフレーム12の左側に取付けられたキャノピ用左サイドフレーム52を、キャブ用左サイドフレーム25に交換するだけで、容易にキャブ仕様の旋回フレーム11を形成することができる。
かくして、本実施の形態によれば、センタフレーム12と右サイドフレーム23とを、キャブ仕様の旋回フレーム11とキャノピ仕様の旋回フレーム51とで共通化し、このセンタフレーム12の左側に、キャブ用左サイドフレーム25とキャノピ用左サイドフレーム52のうち一方を選択的に取付けることにより、キャブ仕様の旋回フレーム11とキャノピ仕様の旋回フレーム51との2種類の旋回フレームを作り分けることができる。従って、キャブ仕様の油圧ショベル1からキャノピ仕様の油圧ショベル41への仕様変更、あるいはキャノピ仕様の油圧ショベル41からキャブ仕様の油圧ショベル1への仕様変更を迅速に行うことができ、生産性を大幅に高めることができる。
また、本実施の形態によれば、キャブ仕様の旋回フレーム11を、主としてセンタフレーム12、右サイドフレーム23、キャブ用左サイドフレーム25の3部材によって形成することができ、キャノピ仕様の旋回フレーム51を、主としてセンタフレーム12、右サイドフレーム23、キャノピ用左サイドフレーム52の3部材によって形成することができる。これにより、これらキャブ仕様の旋回フレーム11、キャノピ仕様の旋回フレーム51に用いられる部品点数を削減し、部品管理や工数管理を簡略化することにより、製造コストの低減にも寄与することができる。
次に、図16ないし図25は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、オフセット式の作業装置を備えたキャブ仕様の油圧ショベルと、同じくオフセット式の作業装置を備えたキャノピ仕様の油圧ショベルとを例示している。
まず、オフセット式の作業装置を備えたキャブ仕様の油圧ショベルについて、図16ないし図20を参照して説明する。
図中、61はキャブ仕様の小旋回型油圧ショベルで、該油圧ショベル61は、自走可能な下部走行体62と、該下部走行体62上に旋回可能に搭載された上部旋回体63とにより大略構成され、上部旋回体63の前部側には、後述するオフセット式の作業装置68が設けられている。
そして、上部旋回体63は、後述の旋回フレーム71と、該旋回フレーム71上に設けられオペレータが着席する運転席64と、該運転席64を収容する運転室を画成したキャブ65と、エンジン、油圧ポンプ等の機器類(図示せず)を覆う外装カバー66と、旋回フレーム71の後端部に設けられたカウンタウエイト67とにより構成されている。
この場合、図17に示すように、上部旋回体63の旋回中心をOとし、旋回中心Oからカウンタウエイト67の後端面67Aまでの距離によって規定される旋回半径をRとすると、上部旋回体63は、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方からみて略円形状に形成されている。
ここで、キャブ65は、図16および図17に示すように、前面部65A、後面部65B、左側面部65C、右側面部65D、上面部65E等によって囲まれた箱状に形成され、その内部に運転席64を収容する運転室を画成するものである。そして、キャブ65は、運転室内におけるオペレータの作業スペースを大きく確保するため、前面部65Aと左側面部65Cとが交わる左前角隅部65Fが、上述の仮想円Cから径方向外側に食み出す構成となっている。
また、カウンタウエイト67は、旋回半径Rの仮想円C内に収まるように円弧状に湾曲して左,右方向に延びる凸湾曲形状をなし、鋳造手段等によって一体形成されている。そして、カウンタウエイト67の上側部位は、外装カバー66とほぼ同一面を形成し、該外装カバー66と共にエンジン等の機器類(図示せず)を後方から覆っている。また、カウンタウエイト67の下側部位には、重量を増加させるために後方に向けて円弧状に張出した張出し部67Bが設けられ、この張出し部67Bの後端面67Aによって上部旋回体63の旋回半径Rが規定されている。
68は上部旋回体63の前部側に設けられたオフセット式の作業装置で、該作業装置68は、基端側が旋回フレーム71に俯仰動可能に取付けられたロアブーム68Aと、該ロアブーム68Aの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアッパブーム68Bと、該アッパブーム68Bの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアーム支持部材68Cと、該アーム支持部材68Cの先端側に回動可能に取付けられたアーム68Dと、該アーム68Dの先端側に回動可能に取付けられたバケット68Eと、ロアブーム68Aとアーム支持部材68Cとの間を連結するリンク68Fと、ブームシリンダ68G、オフセットシリンダ68H、アームシリンダ68I、バケットシリンダ68Jとにより構成されている。
そして、作業装置68は、オフセットシリンダ68Hを伸縮させることによりアーム68Dをロアブーム68Aに対して左,右方向に平行移動させ、この状態でロアブーム68Aを俯仰動させつつアーム68D、バケット68Eを回動させることにより、側溝等の掘削作業を行なうものである。
71は上部旋回体63のベースとなるキャブ仕様の旋回フレームで、該旋回フレーム71は、図18ないし図20に示すように、後述のセンタフレーム72と、右サイドフレーム82と、キャブ用左サイドフレーム84とにより強固な支持構造体として構成されている。そして、センタフレーム72と右サイドフレーム82とは、キャブ仕様の旋回フレーム71と後述するキャノピ仕様の旋回フレーム111とに共通して用いられるものである。
72は旋回フレーム71の中央部分を構成するセンタフレームで、該センタフレーム72は、後述の底板73、左前縦板74、右前縦板75、横板77、左後縦板78、右後縦板79等により構成されている。
73はセンタフレーム72のベースとなる底板で、該底板73は、厚肉な鋼板等を用いて前,後方向に延びる略長方形状に形成されている。そして、底板73の前部側上面には、左前縦板74と右前縦板75とが立設され、これら左,右の前縦板74,75は、左,右方向で一定の間隔をもって対面しつつ前,後方向に延びている。
ここで、左,右の前縦板74,75は、図18に示すように、底板73から上方に突出する山形状をなし、これら各前縦板74,75の上端側は、作業装置68のロアブーム68Aが取付けられるブームブラケット部74A,75Aとなっている。また、左,右の前縦板74,75間は補強用の連結板76によって連結され、該連結板76には、作業装置68のブームシリンダ68Gが取付けられるシリンダブラケット76Aが設けられている。そして、左前縦板74の前端側には、後述するキャブ用左サイドフレーム84の左前枠部86が、後述のボルト91を用いて取付けられる構成となっている。
77は各前縦板74,75の後端側に位置して底板73の中央部上面に立設された横板で、該横板77は、左,右の前縦板74,75の後端部に溶接等によって固着されることにより両者間を連結している。そして、横板77は、底板73から後述のキャブ用左サイドフレーム84に向けて左,右方向に延びている。
78,79は横板18の後側に位置して底板73の後部側上面に立設された左,右の後縦板で、これら左後縦板78と右後縦板79とは、左,右の前縦板74,75の間隔よりも大きな間隔をもって左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びている。ここで、左,右の後縦板78,79の前端部は、横板77に溶接等によって固着されることにより、該横板77を介して連結されている。そして、左,右の後縦板78,79上には、エンジン(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態で搭載される構成となっている。
80は左後縦板78の後端側に設けられた接続ブラケットで、該接続ブラケット80は、鋼板材等を用いて略L字状に形成され、底板73および左後縦板78に溶接によって固着されることにより上,下方向に延びている。また、接続ブラケット80の下端側には左後縦板78から外側(左側)に突出する突出部80Aが設けられ、該突出部80Aには、後述するキャブ用左サイドフレーム84の左曲げ枠部85が取付けられる構成となっている。
81は左,右の後縦板78,79間に位置して底板73の後端部に設けられたウエイト取付板で、該ウエイト取付板81は、カウンタウエイト67がボルト等を用いて取付けられるものである。
82はセンタフレーム72の右側に取付けられた右サイドフレームで、該右サイドフレーム82は、図19に示す旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように円弧状に湾曲して前,後方向に延びる右曲げ枠部82Aと、該右曲げ枠部82Aの前端側からセンタフレーム72の右前縦板75に向けて左,右方向に延びる右前枠部82Bと、これら右曲げ枠部82Aと右前枠部82Bとの間を接続する右コーナ部82Cとにより構成されている。
ここで、右曲げ枠部82Aと右前枠部82Bとは、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成されている。そして、右曲げ枠部82Aの長さ方向中間部は、左,右方向に延びる複数の横梁83を介して底板73に連結され、右前枠部82Bの左端部は、右前縦板75に溶接等によって接合されている。
84はセンタフレーム72の左側に取付けられたキャブ用左サイドフレームで、該キャブ用左サイドフレーム84は、センタフレーム72および右サイドフレーム82と共にキャブ仕様の旋回フレーム71を構成するものである。ここで、キャブ用左サイドフレーム84は、図18ないし図20に示すように、後述の左曲げ枠部85、左前枠部86、左コーナ部87等により構成され、後述のボルト90,91を用いてセンタフレーム72の左側に着脱可能に取付けられるものである。
85はキャブ用左サイドフレーム84を構成する左曲げ枠部で、該左曲げ枠部85は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、図17および図19に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体63の旋回半径Rに沿って円弧状に湾曲し、前,後方向に延びている。ここで、左曲げ枠部85の後端部には、略L字状に折曲げられた鋼板等からなる接続端板85Aが固着され、該接続端板85Aは、センタフレーム72を構成する左後縦板78に固着された接続ブラケット80の突出部80Aに、後述のボルト90を用いて取付けられる構成となっている。
86はセンタフレーム72の前部側から左曲げ枠部85に向けて左,右方向に延びる左前枠部で、該左前枠部86は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、後述の左コーナ部87を介して左曲げ枠部85の前端側に連結されている。そして、左前枠部86の右端部には、上,下方向に延びる接続ブラケット86Aが固着され、該接続ブラケット86Aは、センタフレーム72の左前縦板74に後述のボルト91を用いて取付けられる構成となっている。
87は左曲げ枠部85と左前枠部86との間を連結する左コーナ部で、該左コーナ部87は、鋳造または鍛造等の手段を用いて略L字状の中実なブロック体として構成されている。また、左コーナ部87には、その下面側を上面側に向けて部分的に窪ませることにより前,後方向に延びる凹窪部87Aが形成され、この凹窪部87Aは、図16に示すように、下部走行体62の履帯上面と左コーナ部87の下面との間に隙間を形成している。これにより、オペレータは、左コーナ部87の凹窪部87Aによって形成された隙間を利用して履帯上に足を掛け、キャブ65に容易に乗降することができる構成となっている。
そして、左コーナ部87は、左曲げ枠部85の前端側に溶接によって固着されると共に、左前枠部86の左端側に溶接によって固着されることにより、左曲げ枠部85と左前枠部86との間を強固に連結している。この場合、左コーナ部87は、図17および図19に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体63の旋回半径Rから外側に突出し、この旋回半径Rの仮想円Cから食み出したキャブ65の左前角隅部65Fを下側から保護する構成となっている。
88は左前枠部86および左コーナ部87の上方に複数のブラケット89を用いて取付けられたフロア支持板で、該フロア支持板88は、左コーナ部87から左前枠部86に沿って左,右方向に延び、その右端側は左前枠部86の接続ブラケット86Aに溶接等によって固着されている。そして、フロア支持板88は、センタフレーム72の横板77と共に、運転席64に着席するオペレータの足場となるフロア(図示せず)を支持するものである。
90はキャブ用左サイドフレーム84の左曲げ枠部85をセンタフレーム72に取付ける複数のボルト、91は左前枠部86をセンタフレーム72に取付ける複数のボルトで、これら各ボルト90,91は、キャブ用左サイドフレーム84をセンタフレーム72の左側に着脱可能に取付ける締結部材を構成するものである。
ここで、図18ないし図20に示すように、各ボルト90は、センタフレーム72の左後縦板78に固着された接続ブラケット80の突出部80Aに挿通された後、キャブ用左サイドフレーム84の左曲げ枠部85に固着された接続端板85Aに螺着されるものである。また、各ボルト91は、キャブ用左サイドフレーム84の左前枠部86に固着された接続ブラケット86Aに挿通された後、センタフレーム72を構成する左前縦板74の前端側に螺着されるものである。
このようにして、キャブ用左サイドフレーム84をボルト90,91を用いてセンタフレーム72の左側に取付けることにより、センタフレーム72、右サイドフレーム82、キャブ用左サイドフレーム84からなるキャブ仕様の旋回フレーム71が構成されている。そして、キャブ用左サイドフレーム84の左コーナ部87は、図17および図19に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体63の旋回半径Rから外側に突出し、この旋回半径Rの仮想円Cから食み出したキャブ65の左前角隅部65Fを下側から保護する構成となっている。
図16および図17に示すキャブ仕様の油圧ショベル61は、上述の如きセンタフレーム72、右サイドフレーム82、キャブ用左サイドフレーム84からなるキャブ仕様の旋回フレーム71を有するもので、該油圧ショベル61は、下部走行体62上で上部旋回体63を旋回させつつ、オフセット式の作業装置68を用いて側溝等の掘削作業を行なう。
この場合、図17に示すように、キャブ65の左前角隅部65Fは、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円Cから食み出すものの、この左前角隅部65Fの下側には、旋回フレーム71を構成するキャブ用左サイドフレーム84の左コーナ部87が配置されている。このため、例えば市街地等の狭い作業現場で上部旋回体63の旋回動作を行なうことにより、キャブ65の左前角隅部65Fが周囲の障害物に衝突しようとしたとしても、キャブ用左サイドフレーム84の左コーナ部87が、キャブ65の左前角隅部65Fに先立って障害物に衝突することにより、キャブ65を障害物から保護することができる。
また、例えばキャブ用左サイドフレーム84が障害物と衝突して変形、破損等を生じた場合でも、ボルト90,91を用いて新たなキャブ用左サイドフレーム84をセンタフレーム72に交換して取付けることにより、キャブ仕様の旋回フレーム71を迅速かつ容易に修復することができる。
次に、オフセット式の作業装置を備えたキャノピ仕様の油圧ショベルについて、図21ないし図25を参照して説明する。なお、このキャノピ仕様の油圧ショベルのうち、上述したキャブ仕様の油圧ショベル61と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、101はキャノピ仕様の小旋回型油圧ショベルで、該油圧ショベル101は、自走可能な下部走行体62と、該下部走行体62上に旋回可能に搭載された上部旋回体102とにより大略構成され、上部旋回体102の前部側にはオフセット式の作業装置68が設けられている。
ここで、上部旋回体102は、後述の旋回フレーム111と、該旋回フレーム111上に設けられオペレータが着席する運転席64と、該運転席64の上方を覆うキャノピ103と、外装カバー66と、カウンタウエイト67とにより構成されている。
この場合、図22に示すように、上部旋回体102の旋回中心をOとし、旋回中心Oからカウンタウエイト67の後端面67Aまでの距離によって規定される旋回半径をRとすると、上部旋回体102は、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方からみて略円形状に形成されている。
また、キャノピ103は、運転席64と作業装置68との間に立設され運転席64を右側方から覆う側壁部103Aと、該側壁部103Aの上端側から左側に延び運転席64を上方から覆う天蓋部103Bとにより構成されている。そして、キャノピ103の天蓋部103Bは、図22に示すように、上部旋回体102の旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まる構成となっている。
111は上部旋回体102のベースとなるキャノピ仕様の旋回フレームで、該旋回フレーム111は、図23ないし図25に示すように、キャブ仕様の旋回フレーム71を構成するセンタフレーム72と右サイドフレーム82とを共通して用い、このセンタフレーム72の左側に後述のキャノピ用左サイドフレーム112を取付けることにより構成されている。
112はセンタフレーム72の左側に取付けられたキャノピ用左サイドフレームで、該キャノピ用左サイドフレーム112は、センタフレーム72および右サイドフレーム82と共にキャノピ仕様の旋回フレーム111を構成するものである。ここで、キャノピ用左サイドフレーム112は、図23ないし図25に示すように、後述の左曲げ枠部113、左前枠部114、左コーナ部115等により構成され、ボルト90,91を用いてセンタフレーム72の左側に着脱可能に取付けられるものである。
113はキャノピ用左サイドフレーム112を構成する左曲げ枠部で、該左曲げ枠部113は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、図22および図24に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体102の旋回半径Rに沿って円弧状に湾曲し、前,後方向に延びている。ここで、左曲げ枠部113の後端部には、略L字状に折曲げられた鋼板等からなる接続端板113Aが固着され、該接続端板113Aは、センタフレーム72の左後縦板78に固着された接続ブラケット80の突出部80Aに取付けられるものである。
114はセンタフレーム72の前部側から左曲げ枠部113に向けて左,右方向に延びる左前枠部で、該左前枠部114は、略D字状の断面形状を有するパイプ材を用いて形成され、後述の左コーナ部115を介して左曲げ枠部113の前端側に連結されている。そして、左前枠部114の右端部には、上,下方向に延びる接続ブラケット114Aが固着され、該接続ブラケット114Aは、センタフレーム72の左前縦板74にボルト91を用いて取付けられる構成となっている。
115は左曲げ枠部113と左前枠部114との間を連結する左コーナ部で、該左コーナ部115は、鋳造または鍛造等の手段を用いて円弧状に湾曲した中実なブロック体として構成されている。そして、左コーナ部115は、左曲げ枠部113の前端側に溶接によって固着されると共に、左前枠部114の左端側に溶接によって固着されることにより、左曲げ枠部113と左前枠部114との間を強固に連結している。この場合、左コーナ部115は、図22および図24に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体102の旋回半径Rの仮想円C内に収まる構成となっている。
116は左前枠部114および左コーナ部115等の上方に複数のブラケット117を用いて取付けられたフロア支持板で、該フロア支持板116は、左コーナ部115から左前枠部114に沿って左,右方向に延び、その右端側は左前枠部114の接続ブラケット114Aに溶接等によって固着されている。そして、フロア支持板116は、センタフレーム72の横板77と共に、運転席64に着席するオペレータの足場となるフロア(図示せず)を支持するものである。
そして、キャノピ用左サイドフレーム112の左曲げ枠部113は、センタフレーム72の左後縦板78に固着された接続ブラケット80の突出部80Aにボルト90を用いて取付けられ、キャノピ用左サイドフレーム112の左前枠部114は、センタフレーム72を構成する左前縦板74の前端側にボルト91を用いて取付けられている。
このようにして、キャノピ用左サイドフレーム112をボルト90,91を用いてセンタフレーム72の左側に取付けることにより、センタフレーム72、右サイドフレーム82、キャノピ用左サイドフレーム112からなるキャノピ仕様の旋回フレーム111が構成されている。そして、キャノピ用左サイドフレーム112の左コーナ部115は、図22および図24に示す旋回中心Oを中心とした上部旋回体102の旋回半径R内に収まる構成となっている。
図21および図22に示すキャノピ仕様の油圧ショベル101は、上述の如きセンタフレーム72、右サイドフレーム82、キャノピ用左サイドフレーム112からなるキャノピ仕様の旋回フレーム111を有するもので、該油圧ショベル101は、下部走行体62上で上部旋回体102を旋回させつつ、オフセット式の作業装置68を用いて側溝等の掘削作業を行なう。
この場合、図22および図24に示すように、キャノピ用左サイドフレーム112の左コーナ部115、上部旋回体102のキャノピ103等は、旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収められているので、例えば市街地等の狭い作業現場で上部旋回体102の旋回動作を行なった場合でも、キャノピ用左サイドフレーム112、キャノピ103等が周囲の障害物に衝突するのを防止することができる。
また、例えばキャノピ用左サイドフレーム112が障害物と衝突して変形、破損等を生じた場合でも、ボルト90,91を用いて新たなキャノピ用左サイドフレーム112をセンタフレーム72に交換して取付けることにより、キャノピ仕様の旋回フレーム111を迅速かつ容易に修復することができる。
このように、本実施の形態では、キャブ仕様の旋回フレーム71とキャノピ仕様の旋回フレーム111とで、センタフレーム72と右サイドフレーム82とを共通化し、キャブ仕様の旋回フレーム71の場合には、センタフレーム72の左側にボルト90,91を用いてキャブ用左サイドフレーム84を取付け、キャノピ仕様の旋回フレーム111の場合には、センタフレーム72の左側にボルト90,91を用いてキャノピ用左サイドフレーム112を取付ける構成としている。
これにより、本実施の形態においても、センタフレーム72と右サイドフレーム82とを、キャブ仕様の旋回フレーム71とキャノピ仕様の旋回フレーム111とで共通化し、このセンタフレーム72の左側に、キャブ用左サイドフレーム84とキャノピ用左サイドフレーム112のうち一方を選択的に取付けることにより、キャブ仕様の旋回フレーム71とキャノピ仕様の旋回フレーム111との2種類の旋回フレームを作り分けることができる。従って、キャブ仕様の油圧ショベル61からキャノピ仕様の油圧ショベル101への仕様変更、あるいはキャノピ仕様の油圧ショベル101からキャブ仕様の油圧ショベル61への仕様変更を迅速に行うことができ、生産性を大幅に高めることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、キャブ用左サイドフレーム25を構成する左曲げ枠部26と左前枠部27との間を、左コーナ部28を用いて連結した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば1本のパイプ材等を用いて左曲げ枠部26、左前枠部27、左コーナ部28を一体形成してもよい。また、これと同様に、キャノピ用左サイドフレーム52を構成する左曲げ枠部53、左前枠部54、左コーナ部55を1本のパイプ材等を用いて一体形成してもよい。このことは、第2の実施の形態によるキャブ用左サイドフレーム84、キャノピ用左サイドフレーム112についても同様である。
また、上述した第2の実施の形態では、オフセット式の作業装置68を備えたキャブ仕様の油圧ショベル61とキャノピ仕様の油圧ショベル101とを例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばスイング動作を行なわないモノブーム式の作業装置を備えたキャブ仕様の油圧ショベルとキャノピ仕様の油圧ショベルにも適用することができる。
また、上述した各実施の形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体を備えた油圧ショベルを例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベル、油圧クレーン等の他の建設機械にも適用することができる。