以下、本発明の移動部材停止装置の第1の実施の形態の構成を図1ないし図12を参照して説明する。
図1ないし図12において、1は移動部材停止装置としての耐震ラッチ1である。この耐震ラッチ1は、各種の家具、例えば事務用キャビネット等の固定部材としての家具本体2に引き出し可能に取り付けられている移動部材としての引き出し体3に用いるものである。すなわち、この耐震ラッチ1は、振動時の家具本体2に対する引き出し体3の移動を停止させる。具体的に、この耐震ラッチ1は、地震などの振動を感知して、この振動感知時に引き出し体3が振動によって家具本体2内から引き出されて飛び出さないように係止する。
ここで、この家具本体2は、前面が開口した箱状に形成されており、地板としての矩形平板状の底板部4を備えている。そして、この底板部4の両側縁には、矩形平板状の一対の側板部5が所定の間隙を介して立設されて取り付けられている。また、これら一対の側板部5上には、形平板状の天板部6が取り付けられている。さらに、これら底板部4、側板部5および天板部6の背面側には、矩形平板状の図示しない背板部が取り付けられている。この背板部は、底板部4、側板部5および天板部6の背面側を閉塞している。したがって、これら底板部4、側板部5および天板部6の前面側は、開口されて開口部8とされており、この開口部8から家具本体2内に上下2つの引き出し体3が引き出し可能に収容されている。さらに、これら側板部5のうち少なくとも一方の内側面には、側面視長穴状の埋設凹部9が設けられている。
また、この家具本体2の一対の側板部5の内側面には、これら一対の側板部5の幅方向に長手方向を沿わせた状態で固定側レールであるインナーレール11がそれぞれ取り付けられている。これら一対のインナーレール11は、一対の側板部5それぞれの高さ方向の略中央部に取り付けられており、互いの長手方向を沿わせた状態で略水平に取り付けられている。さらに、これら一対のインナーレール11上には、これら一対のインナーレール11に対して長手方向を沿わせた状態で移動側レールであるアウターレール12がそれぞれ摺動可能に係合されて取り付けられている。これらアウターレール12は、引き出し体3に取り付けられており、この引き出し体3を家具本体2の開口部8から引き出し可能にする。
ここで、これらインナーレール11とアウターレール12とによってスライドレール13が構成されている。さらに、これらインナーレール11およびアウターレール12は、これらインナーレール11およびアウターレール12それぞれの長手方向を、引き出し体3の引き出し方向である水平方向に沿わせた状態で取り付けられている。
そして、この引き出し体3は、上面が開口した箱状に形成されており、矩形平板状の底板14の両側に矩形平板状の一対の側板15が所定の間隙を介して立設されて取り付けられている。これら一対の側板15は、引き出し体3の移動方向に沿った長手方向を有している。また、これら一対の側板15の後側には、矩形平板状の背板16が取り付けられている。この背板16は、底板14および一対の側板15の奥側を閉塞している。
さらに、これら一対の側板15の前側には、矩形平板状の前板17が取り付けられている。この前板17は、底板14および一対の側板15の前側を閉塞している。さらに、この前板17は、底板14および一対の側板15それぞれの前端縁に取り付けられ、これら底板14および一対の側板15の前端縁よりも外側に向けて突出している。
すなわち、この前板17は、引き出し体3を家具本体2の開口部8に収容させた際に、この開口部8の周縁に係止されるように構成されている。さらに、この前板17の前側に位置する表面には、引き出し体3を家具本体2から引き出す際の把持部となる取手18が取り付けられている。さらに、この引き出し体3の上面には、この引き出し体3に所望の収容物を収容させる開口部19が形成されている。
一方、耐震ラッチ1は、家具本体2の一対の側板部5のうち少なくとも一方の内側面に設けられている埋設凹部9に埋設されて取り付けられている。ここで、この耐震ラッチ1は、家具本体2の一方の側板部5の埋設凹部9のみに取り付けても、この家具本体2の一対の側板部5の埋設凹部9のそれぞれに取り付けても良い。さらに、この埋設凹部9は、一対の側板部5の開口部8寄りの位置に設けられている。
そして、耐震ラッチ1は、固定部材としてのケース体21を備えている。このケース体21は、側面視で2つの円形の中心をずらして重ね合わせた形状に形成されている。また、このケース体21の水平方向に沿った厚さ方向の一側面には、収容部としての側面視矩形状である断面凹状の収容凹部22が形成されている。
この収容凹部22は、ケース体21の水平方向に沿った長手方向の中央部に設けられているとともに、このケース体21の鉛直方向に沿った幅方向の中央部に設けられている。そして、この収容凹部22の開口外縁には、この収容凹部22の周方向に沿って垂直に突出するフランジ部23が設けられている。このフランジ部23は、収容凹部22の開口縁から垂直に突出しており、側面視略長円状に形成されている。
さらに、このフランジ部23の上下それぞれの内周縁には、収容凹部22の長手方向に沿って貫通した正面視凹溝状の摺動凹部24が設けられている。この摺動凹部24は、収容凹部22の長手方向に沿って設けられており、収容凹部22の鉛直方向に沿った幅寸法より大きな幅寸法を有している。さらに、これら摺動凹部24の長手方向に沿った両端部の各内縁部には、これら摺動凹部24の長手方向の両端部を円弧状に拡開させる案内面部25がそれぞれ形成されている。
また、フランジ部23には、このフランジ部23の厚さ方向に向けて貫通したねじ止め孔26が穿設されて開口されている。このねじ止め孔26は、収容凹部22の上側に位置しているフランジ部23の長手方向の中央部と、この収容凹部22より下側に位置しているフランジ部23の長手方向の中央部とのそれぞれに設けられている。さらに、これらねじ止め孔26は、収容凹部22より上側および下側それぞれに位置しているフランジ部23の鉛直方向に沿った幅方向の中央部に設けられている。
そして、ケース体21の幅方向に沿った他側である下側に位置する収容凹部22の下側面には、この収容凹部22の下側面より上方に向けて突出した載置台部27が設けられている。この載置台部27は、収容凹部22の下側面の開口側である前端寄りの位置に設けられており、この収容凹部22の奥行方向の略全体に亘って設けられている。さらに、この載置台部27の上側面には、収容凹部22の長手方向に沿った載置台部27の幅方向の中央部に向けてV字状に傾斜した傾斜面部28が形成されている。この傾斜面部28は、載置台部27の幅方向の中央部が最も低くなるように側面視V字状に形成されている。さらに、この傾斜面部28は、収容凹部22の下側面の幅方向に沿った載置台部27の奥行き方向に沿った略全体に亘って設けられている。
また、収容凹部22の奥行き方向の一側面であり、この収容凹部22の底面を構成する側面部には、この収容凹部22の長手方向に沿った長手方向を有する側面視長円状の摺動凹部29が設けられている。この摺動凹部29は、載置台部27より奥側であって、この載置台部27に対向する位置に設けられている。また、この摺動凹部29は、載置台部27の幅寸法より大きな長手寸法を有している。さらに、この摺動凹部29は、この摺動凹部29の長手方向の中央部が、載置台部27の傾斜面部28の最も低い部分である中央部に対向するように設けられている。また、この摺動凹部29と載置台部27との間には、収容凹部22の下側に向けて貫通した係止溝部31が設けられている。この係止溝部31は、摺動凹部29の幅方向の一側部である下側部の略全体に亘って収容凹部22の長手方向に沿って設けられている。
さらに、ケース体21の長手方向に沿った一端側である後端側には、このケース体21の上下方向に向けて貫通した貫通孔としての第1の軸止孔32が設けられている。この第1の軸止孔32は、収容凹部22の上側面および下側面それぞれの奥側に設けられており、ケース体21の上端面から下端面までに亘って、このケース体21の幅方向に沿って貫通している。したがって、この第1の軸止孔32は、ケース体21の収容凹部22内を貫通している。すなわち、この第1の軸止孔32は、ケース体21の収容凹部22内に位置する、この収容凹部22の上側面および下側面のそれぞれに貫通している。
ここで、この第1の軸止孔32のうち、ケース体21の収容凹部22の下面側に設けられている第1の軸止孔32の収容凹部22側の開口縁には、円環状の第1の係合突部33が設けられている。この第1の係合突部33は、収容凹部22の下側面上であるとともに、この収容凹部22の下側面側の第1の軸止孔32の同心状に設けられている。また、この第1の係合突部33は、収容凹部22の下側面に沿った平坦な平坦部34を備えている。この平坦部34は、収容凹部22の長手方向に沿った一端である前端側に設けられており、第1の係合突部33の一部である約半分の領域に設けられている。また、この平坦部34の収容凹部22の開口側に位置する一端部には、この平坦部34から下方に向けてテーパ状に傾斜した第1の傾斜面部35が形成されている。この第1の傾斜面部35は、平坦部34の一端部に対して連続して設けられており、第1の係合突部33の収容凹部22の開口側の一部を構成している。ここで、平坦部34は、第1の傾斜面部35の上端縁を基準とした水平面である。
さらに、第1の傾斜面部35は、第1の軸止孔32の周方向に沿って傾斜した傾斜面である。そして、この第1の傾斜面部35は、ケース体21の収容凹部22の開口側に位置しており、この収容凹部22の前端側から後端側に向けて下方へと傾斜している。また、この第1の傾斜面部35の平坦部34とは反対側の一端部には、この平坦部34に対して平行な水平面部36が設けられている。この水平面部36は、第1の傾斜面部35より収容凹部22の後端側に設けられているとともに、第1の傾斜面部35の下端縁を基準とした水平面である。したがって、この水平面部36は、平坦部34より低い水平面である。すなわち、この水平面部36は、第1の傾斜面部35の一端部に対して連続して設けられており、第1の係合突部33の収容凹部22の後端側の一部を構成している。
また、平坦部34の収容凹部22の奥側に位置する他端部には、この平坦部34から上方に向けてテーパ状に傾斜した第2の傾斜面部37が形成されている。この第2の傾斜面部37は、第1の軸止孔32の周方向に沿って傾斜した傾斜面である。すなわち、この第2の傾斜面部37の傾斜角度は、第1の傾斜面部35の傾斜角度に等しい。さらに、この第2の傾斜面部37は、ケース体21の収容凹部22の奥側に位置しており、この収容凹部22の前端側から後端側に向けて上方へと傾斜している。すなわち、この第2の傾斜面部37は、平坦部34の他端部に対して連続して設けられており、第1の係合突部33の収容凹部22の奥側の一部を構成している。
さらに、この第2の傾斜面部37は、第1の傾斜面部35に対して第1の軸止孔32を中心とした点対称な位置に設けられている。言い換えると、この第2の傾斜面部37と第1の傾斜面部35とは第1の軸止孔32を介して対向した位置に設けられている。言い換えると、これら第1の傾斜面部35と第2の傾斜面部37とは、第1の軸止孔32を通過し収容凹部22の長手方向に沿った直線を基準とした略線対称な位置に設けられている。よって、これら第1の傾斜面部35と第2の傾斜面部37とは、第1の軸止孔32を中心として互いに向かい合う位置に設けられている。すなわち、これら第1の傾斜面部35および第2の傾斜面部37は、第1の軸止孔32の対称位置に設けられている。
一方、ケース体21の収容凹部22内の載置台部27上には、地震などの振動で姿勢変化する錘体である第1の感振体としての第1の感震体41が回転可能に収容されて載置されている。この第1の感震体41は、円柱状のローラである錘本体42を備えている。この錘本体42は、収容凹部22の載置台部27の幅寸法より小さな外径寸法を有しているとともに、この載置台部27の奥行き寸法より小さな高さ寸法を有している。
そして、この錘本体42の高さ方向である軸方向の一端縁には、この一端縁に沿った円環状の係止片部43が一体的に突設されている。この係止片部43は、錘本体42の周方向に沿って、この錘本体42の径方向に向けて突出している。さらに、この係止片部43は、収容凹部22の摺動凹部29の幅寸法より小さな外径寸法を有しているとともに、この収容凹部22の係止溝部31の幅寸法より小さな厚さ寸法を有している。
よって、この第1の感震体41は、この第1の感震体41の係止片部43をケース体21の収容凹部22の摺動凹部29に嵌合させつつ、この係止片部43の下側縁を収容凹部22の係止溝部31に摺動可能に嵌合させた状態で、この第1の感震体41の錘本体42の外周面を収容凹部22の載置台部27の傾斜面部28上に載置させて、この収容凹部22内に回転可能に収容されている。すなわち、この第1の感震体41は、非感震時に自重にて載置台部27の傾斜面部28の中央部の基準位置に載置され、感震時に摺動凹部29および係止溝部31にて案内されながらケース体21の長手方向に沿って回転する。
さらに、ケース体21の収容凹部22には、側面視細長略L字状の係止手段としての第1の係止体である第1のラッチ体51が回動可能に取り付けられて収容されている。この第1のラッチ体51は、感震時に引き出し体3の移動を停止させる係止体である。そして、この第1のラッチ体51の基端側が収容凹部22の後端側に回転可能に嵌合されて、この収容凹部22に取り付けられている。また、この第1のラッチ体51は、ケース体21の収容凹部22内に回転可能に収容されている第1の感震体41に対して、この第1の感震体41が回転する方向に直交する位置、すなわちケース体21の厚さ方向に沿った位置に並設されている。
そして、この第1のラッチ体51は、ケース体21の収容凹部22の長手寸法よりも若干小さな長手寸法を有する係止腕部52を有している。この係止腕部52は、収容凹部22の幅寸法より小さな幅寸法を有している。そして、この係止腕部52の長手方向の一端部である先端部の外側に位置する外側面には、係止切欠部53が形成されている。この係止切欠部53は、係止腕部52の先端縁よりもこの係止腕部52の基端側に向けて離間させた位置に設けられている。さらに、この係止切欠部53は、係止腕部52の幅方向に亘って断面視略凹状に形成されている。
ここで、この係止切欠部53の先端側の内側面には、係止腕部52の外側から内側へと向かう厚さ方向に略沿った垂直面である係止面54が形成されている。さらに、この係止切欠部53の基端側の内側面には、係止腕部52の先端側から基端側に向けて外側に傾斜した案内面55が形成されている。これら係止面54および案内面55のそれぞれは、係止腕部52の幅方向に亘って形成されている。さらに、係止切欠部53より係止腕部52の先端側の外側面には、この係止腕部52の先端側に向けて円弧状に内側に傾斜したテーパ面56が形成されている。このテーパ面56は、係止腕部52の幅方向に亘って形成されている。
また、この係止腕部52の先端側の内側に位置する内側面には、この係止腕部52の内側に向けて突出した係合部としての一対の係合突部57が設けられている。これら係合突部57は、感震時に第1の感震体41の錘本体42が係合して、第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54をケース体21の収容凹部22の開口縁よりも外側に突出させた状態に固定する。そして、この係合突部57は、係止腕部52の先端と、この係止腕部52の先端から後述する嵌合凹部を隔てた位置との2箇所に設けられている。また、これら係合突部57は、係止腕部52の幅方向に亘って設けられている。さらに、これら係合突部57の間で係止腕部52の内側に位置する内側面には、非感震時に第1の感震体41の錘本体42が嵌合される嵌合凹部58が設けられている。この嵌合凹部58は、第1の感震体41の錘本体42の外径寸法より若干大きな側面視略円形状に形成されている。また、この嵌合凹部58は、係合突部57の幅方向に沿って貫通している。
さらに、係止腕部52の長手方向における他端である基端部には、収容凹部22の幅寸法より若干小さな幅寸法を有する回転支持部59が設けられている。この回転支持部59の長手方向の一端である下端側が係止腕部52の後端部に対して一体的に接続されている。すなわち、この回転支持部59は、収容凹部22内に回転可能に収容されて、この収容凹部22内で係止腕部52を収容凹部22の奥行き方向に向けて回転可能に支持する。
そして、この回転支持部59には、この回転支持部59の長手方向である上下方向に向けて貫通した軸挿通孔61が設けられている。この軸挿通孔61は、係止腕部52の先端側を水平方向、すなわちこの係止腕部52の厚さ方向に向けて回動可能にする。このとき、この係止腕部52は、この係止腕部52の回転軸方向と第1の感震体41の回転方向とが直交するように取り付けられている。
さらに、軸挿通孔61には、この軸挿通孔61の上端および下端のそれぞれをケース体21の第1の軸止孔32に連通させた状態で、回転軸となる細長棒状のピン体62が挿通されている。このピン体62は、第1のラッチ体51の軸挿通孔61を摺動可能に挿通した状態で、このピン体62の上端および下端のそれぞれがケース体21の第1の軸止孔33に挿入されて固定されている。したがって、このピン体62は、第1のラッチ体51の先端側の係止切欠部53がケース体21の収容凹部22内から水平方向に突出するように、この第1のラッチ体51を回動可能にケース体21の収容凹部22に軸支して軸止めさせる。すなわち、この第1のラッチ体51は、引き出し体3の移動方向に直交する方向である、この引き出し体3の幅方向に向けて突出するように構成されている。
また、この第1のラッチ体51の回転支持部59の上下方向の下側面には、ケース体21の第1の係合突部33に対応した形状の第1の被係合突部63が突設されている。この第1の被係合突部63は、第1のラッチ体51の下側面へと貫通した軸挿通孔61の開口縁に同心状に設けられている。そして、この第1の被係合突部63は、ケース体21の第1の係合突部33の平坦部34に当接する被平坦部64を備えている。
そして、この被平坦部64の係止腕部52の外側である一端部には、ケース体21の第1の係合突部33の第1の傾斜面部35に当接して、このケース体21の収容凹部22内から第1のラッチ体51の先端側を自重にて摺動させて突出させる摺接部としての第1の摺接面部65が形成されている。また、この第1の摺接面部65の被平坦部64とは反対側の一端部には、ケース体21の第1の係合突部33の水平面部36に当接する被水平面部66が設けられている。さらに、被平坦部64の係止腕部52の内側である他端部には、ケース体21の第1の係合突部33の第2の傾斜面部37に当接して、このケース体21の収容凹部22内から第1のラッチ体51の先端側を自重にて摺動させて突出させる摺接部としての第2の摺接面部67が形成されている。
すなわち、これら第1の摺接面部65および第2の摺接面部67は、第1のラッチ体51の自重による作用によってケース体21の第1の傾斜面部35および第2の傾斜面部37を摺接して、このケース体21の収容凹部22の外側へと第1のラッチ体51の先端側の係止切欠部53の係止面54を突出させる。ここで、これら被平坦部64、第1の摺接面部65、被水平面部66および第2の摺接面部67にて構成された第1の被係合突部63は、第1のラッチ体51の係止腕部52の先端側の係止切欠部53をケース体21の収容凹部22より外側に突出させるように、この第1のラッチ体51を常時付勢する付勢手段としての第1の付勢機構68を構成する。
そして、この第1の付勢機構68は、ケース体21の第1の係合突部33と第1のラッチ体51の第1の被係合突部63とで構成されたグラビティヒンジであって、第1のラッチ体51の自重によって、この第1のラッチ体51の係止切欠部53をケース体21の収容凹部22の開口縁より外側に突出させる方向に向けて、この第1のラッチ体51の基端部を付勢する。したがって、この第1のラッチ体51は、第1の付勢機構68による付勢によって、この第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54を収容凹部22より外側に常に突出させている。
さらに、この第1のラッチ体51の係止腕部52の基端側の内側面には、付勢手段としての弾性変形可能なばね体69が取り付けられている。このばね体69は、側面視略逆V字状に形成されており、このばね体69の一端部が係止腕部52の内側面に一体的に接続されている。さらに、このばね体69の他端部は、第1のラッチ体51をケース体21の収容凹部22内に収容させた状態で、この収容凹部22の底面側の側面部に当接されている。したがって、このばね体69は、このばね体69の弾性変形にて生じる復元力によって、第1のラッチ体51の先端側を収容凹部22より外側へ突出させる方向に向けて付勢する。よって、このばね体69もまた、第1の付勢機構68を構成する。
なお、この第1の実施の形態では、ばね体69と、ケース体21の第1の係合突部33および第1のラッチ体51の第1の被係合突部63にて構成されたグラビティヒンジとのそれぞれで第1の付勢機構68を構成したが、所望の付勢力が得られれば、第1の付勢機構68をばね体69あるいはグラビティヒンジのいずれか一方としてもよい。
ここで、第1のラッチ体51は、引き出し体3が家具本体2の開口部8に収容されて、この引き出し体3の前板17の裏面が家具本体2の各側板部5の前端面に当接して、これら引き出し体3の側板15と家具本体2の側板部5とが重なっている位置から、地震などの振動によって引き出し体3が引き出される方向に向けて、この引き出し体3の前側が家具本体2の開口部8から所定距離A突出して露出した状態で、この第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54が後述するラッチ受け具101の係止縁部103に係止されて引き出し体3の移動を停止させる。なお、この所定距離Aは、引き出し体3が家具本体2に閉じられた位置から、この引き出し体3の移動が第1のラッチ体51にて停止される位置までの距離である。
一方、ケース体21の収容凹部22内の載置台部27と、この収容凹部22の長手方向に沿った他端側である前端側に位置する前端面との間には、この収容凹部22の幅方向である上下方向に沿って貫通した貫通孔としての第2の軸止孔71が設けられている。この第2の軸止孔71は、ケース体21の前端側に設けられている。この第2の軸止孔71は、ケース体21の上端面から下端面までに亘って、このケース体21の幅方向に沿って貫通している。したがって、この第2の軸止孔71は、ケース体21の収容凹部22内も貫通している。すなわち、この第2の軸止孔71は、ケース体21の収容凹部22内に位置する、この収容凹部22の上側面および下側面のそれぞれに貫通している。
ここで、これら第2の軸止孔71のうち、ケース体21の収容凹部22の下面側に設けられている第2の軸止孔71の収容凹部22側の開口縁には、円環状の第2の係合突部72が設けられている。この第2の係合突部72は、収容凹部22の下側面上であるとともに、この収容凹部22の下側面側の第2の軸止孔71の同心状に設けられている。具体的に、この第2の係合突部72は、第1の係合突部33と同様に構成されている。
さらに、ケース体21の収容凹部22の下側面の載置台部27と第1の係合突部33との間には、この収容凹部22の幅方向である上下方向に沿って開口した軸支孔73が設けられている。この軸支孔73は、収容凹部22の下側面の幅方向の中央部よりもこの幅方向に沿った奥側に設けられている。また、この収容凹部22の下側面の幅方向の奥側に位置する側面部には、円柱状の係止凸部74が突設されている。この係止凸部74は、収容凹部22の側面部の高さ方向の中央部より上側の位置に設けられているとともに、軸支孔73に対して収容凹部の幅方向に沿った位置に設けられている。
また、ケース体21の収容凹部22には、地震などの振動によって姿勢変化する錘体である第2の感振体としての第2の感震体75が揺動可能に挿入されて取り付けられている。この第2の感震体75は、第1の感震体41とは感震動作および感震周期などが異なるように構成されている。そして、この第2の感震体75は、ケース体21の収容凹部22内に収容されており、上下方向に沿った高さ方向の中央よりも上方に重心が位置する側面視略三角形平板状の錘本体76を備えている。この錘本体76は、上側から下側に向けて徐々に縮径した形状に形成されている。また、この錘本体76は、ケース体21の収容凹部22の厚さ寸法より若干小さな厚さ寸法を有しているとともに、この収容凹部22の高さ寸法より小さな高さ寸法を有している。
さらに、この錘本体76の幅方向の両側部には、この錘本体76の高さ方向の下側に向けて内側に傾斜して縮径したテーパ状の作用面77がそれぞれ設けられている。これら作用面77は、錘本体76の両側部の高さ方向の略中央部からこの錘本体76の下側に向けて形成されている。また、この錘本体76の厚さ方向の両側面には、側面視略矩形状であり断面略凹状の係止凹部78がそれぞれ設けられている。これら係止凹部78は、錘本体76の幅方向の中央部であるとともに、この錘本体76の高さ方向の中央部より上側の位置に設けられている。そして、これら係止凹部78は、ケース体21の係止凸部74の外径寸法より大きな幅寸法および長手寸法を有している。すなわち、これら係止凹部78は、第2の感震体75の揺動を案内しつつ、この第2の感震体75の揺動角度を所定の角度以内に規制する。
また、この第2の感震体75の錘本体76の下端面の中央部には、この錘本体76の下方に向けて垂直に突出した支持部としての細長円柱状の軸体79が一体的に突設されている。この軸体79は、錘本体76がケース体21の収容凹部22内で揺動する際の中心軸となる。すなわち、この軸体79は、錘本体76の揺動中心として作用する。さらに、この軸体79は、ケース体21の収容凹部22に第2の感震体75を収容させた状態で、この収容凹部22の軸支孔73に揺動可能に挿入されて、この第2の感震体75を収容凹部22内に取り付けさせる。
また、この軸体79は、この軸体79の基端側から先端側に向けて徐々に縮径したテーパ状に形成されている。すなわち、第2の感震体75は、この第2の感震体75の軸体79をケース体21の軸支孔73に挿入させつつ、この第2の感震体75の係止凹部78にケース体21の係止凸部74を係合させた状態で、このケース体21の長手方向、すなわち引き出し体3の移動方向に沿って姿勢変化するように、このケース体21の収容凹部22内に揺動可能に収容されている。したがって、この第2の感震体75は、引き出し体3の移動方向である収容凹部22の長手方向に沿って第1の感震体41に対して並設されている。
一方、ケース体21の収容凹部22には、側面視略逆L字状の係止手段としての第2の係止体である第2のラッチ体81が回動可能に取り付けられて収容されている。この第2のラッチ体81は、感震時に引き出し体3の移動を停止させる係止体である。そして、この第2のラッチ体81は、第1のラッチ体51とは反対側である収容凹部22の前端側に、この第2のラッチ体81の基端側を回転可能に嵌合させた状態で、この収容凹部22内に取り付けられている。また、この第2のラッチ体81は、ケース体21の収容凹部22内に揺動可能に収容されている第2の感震体75に対して、この第2の感震体75が揺動する方向に直交する位置、すなわちケース体21の厚さ方向に沿った位置に並設されている。
そして、この第2のラッチ体81は、ケース体21の収容凹部22の長手寸法よりも若干小さな長手寸法を有する係止腕部82を有している。この係止腕部82は、収容凹部22の幅寸法より小さな幅寸法を有している。すなわち、この係止腕部82は、収容凹部22の幅寸法から第1のラッチ体51の係止腕部52の幅寸法を引いた大きさより若干小さな幅寸法を有している。さらに、この係止腕部82は、第1のラッチ体51の係止腕部52の幅寸法より大きな幅寸法とされている。
すなわち、この係止腕部82は、第1のラッチ体51の係止腕部52よりも上側の位置で収容凹部22内に回転可能に収容されている。したがって、これら第1のラッチ体51と第2のラッチ体81とは収容凹部22の幅方向である上下方向に沿って並設されて、この収容凹部22内に収容されている。
また、この第2のラッチ体81の係止腕部82の長手方向における一端である先端部には、係止面としての円弧状の円弧面である係止面部83が設けられている。この係止面部83は、係止腕部82の先端部の外側から内側に向けて基端側に傾斜したテーパ状に形成されている。さらに、係止腕部82の先端部の内側には、突出片部84が一体的に設けられている。この突出片部84の外側面は、係止腕部82の外側から内側に向けて先端側に傾斜したテーパ状に形成されており、係止面部83の基端縁に対して一体的に連続して設けられている。
さらに、係止腕部82の長手方向における他端である基端部には、ケース体21の収容凹部22の幅寸法より若干小さな幅寸法を有する回転支持部85が設けられている。この回転支持部85の長手方向の一端である上端側が係止腕部82の後端部に一体的に接続されている。すなわち、この回転支持部85は、収容凹部22内に回転可能に収容されて、この収容凹部22内で係止腕部82を収容凹部22の奥行き方向である前後方向に向けて回転可能に支持する。
そして、この回転支持部85には、この回転支持部85の長手方向である上下方向に向けて貫通した軸挿通孔86が設けられている。この軸挿通孔86は、係止腕部82の先端側を水平方向、すなわちこの係止腕部82の厚さ方向に向けて回動可能にする。このとき、この係止腕部82は、この係止腕部82の回転軸方向と第2の感震体75の揺動方向とが直交するように取り付けられている。
さらに、軸挿通孔86には、この軸挿通孔86の上端および下端のそれぞれをケース体21の第2の軸止孔71に連通させた状態で、回転軸となる細長棒状のピン体87が挿通されている。このピン体87は、第2のラッチ体81の軸挿通孔86を摺動可能に挿通した状態で、このピン体87の上端および下端のそれぞれがケース体21の第2の軸止孔71に挿入されて固定されている。したがって、このピン体87は、第2のラッチ体81の先端側の係止面部83をケース体21の収容凹部22内から水平方向に突出するように、この第2のラッチ体81を回動可能にケース体21の収容凹部22に軸支して軸止めさせる。すなわち、この第2のラッチ体81は、引き出し体3の移動方向に直交する方向である、この引き出し体3の幅方向に向けて突出するように構成されている。
また、この第2のラッチ体81の幅方向である鉛直方向の下面には、ケース体21の第2の係合突部72に対応した形状の第2の被係合突部88が突設されている。この第2の被係合突部88は、第2のラッチ体81の下面へと貫通した軸挿通孔86の開口縁に同心状に設けられている。具体的に、この第2の被係合突部88は、互いの軸挿通孔61,86を中心点として第1のラッチ体51の第1の被係合突部63に対して所定角度回転させた形状に形成されている。
さらに、この第2の被係合突部88は、第2の感震体による押圧によって収容凹部22の開口縁より外側に突出した第2のラッチ体81の係止腕部82の先端側の係止面部83をケース体21の収容凹部22内へと収容させるように、この第2のラッチ体81を常時付勢する付勢手段としての第2の付勢機構89を構成する。そして、この第2の付勢機構89は、ケース体21の第2の係合突部72と第2のラッチ体81の第2の被係合突部88とで構成されたグラビティヒンジであって、第2のラッチ体81の自重によって、第2のラッチ体81の係止面部83をケース体21の収容凹部22内へと収容させる方向に向けて、この第2のラッチ体81の基端部を付勢する。
また、第2のラッチ体81の係止腕部82の先端側の厚さ方向における一側面である内側面には、この係止腕部82の幅方向である上下方向に向けて貫通した凹弧状の当接凹部としての揺動受部91が設けられている。この揺動受部91は、係止腕部82の突出片部84の基端側に設けられており、第2の感震体75の上端部の長手寸法より大きな長手寸法を有している。また、この揺動受部91は、第2の感震体75の長手方向に沿った揺動による押圧によって、係止腕部82の先端側をケース体21の収容凹部22内から外側に向けて突出させる。すなわち、この揺動受部91の幅方向に沿った両側縁には、第2の感震体75の作用面77に対応して傾斜した円弧状の傾斜面92がそれぞれ設けられている。
そして、これら傾斜面92は、引き出し体3の移動方向である、第2のラッチ体81の係止腕部82の長手方向に対して傾斜している。すなわち、これら傾斜面92は、第2の感震体75が長手方向に沿って揺動した際に、この第2の感震体75のいずれか一方の作用面77が当接して、この第2の感震体75の作用面77の当接によって第2のラッチ体81の係止面部83をケース体21の収容凹部22内より外側に突出させる。さらに、これら傾斜面92は、引き出し体3の移動方向に対して傾斜しているとともに、この引き出し体3が取り付けられる家具本体2の底板部4に対して垂直な面である。
ここで、第2のラッチ体81は、引き出し体3が家具本体2の開口部8に収容されて、この引き出し体3の前板17の裏面が家具本体2の各側板部5の前端面に当接して、これら引き出し体3の側板15と家具本体2の側板部5とが重なっている位置から、地震などの振動によって引き出し体3が引き出される方向に向けて、この引き出し体3の前側が家具本体2の開口部8から所定距離B突出して露出した状態で、この第2のラッチ体81の係止面部83による後述するラッチ受け具101の係止縁部103への係止によって引き出し体3の移動を停止させる。なお、この所定距離Bは、引き出し体3が家具本体2に閉じられた位置から、この引き出し体2の移動が第2のラッチ体81にて停止される位置までの距離である。さらに、この第2のラッチ体81による引き出し体3の家具本体2からの突出距離である所定距離Bは、第1のラッチ体51による引き出し体3の家具本体2からの突出距離である所定距離Aより短い。すなわち、これら所定距離Aと所定距離Bとの差は、第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54から第2のラッチ体81の係止面部83までの間隔である。
さらに、ケース体21の収容凹部22には、この収容凹部22の開口縁の高さを調整可能にさせる円環状の高さ調整部材としてのスペーサ93が取り付けられている。このスペーサ93は、ケース体21のフランジ部23の外周形状に等しい外周形状に形成されている。そして、このスペーサ93の中央部には、ケース体21の収容凹部22の基端側である底面側が嵌合可能な幅寸法および長さ寸法を有する長孔状の嵌合口94が設けられている。さらに、このスペーサ93には、このスペーサ93の嵌合口94をケース体21の収容凹部22の底面側に嵌合させた際に、このケース体21のねじ止め孔26に連通するねじ挿通孔95が設けられている。これらねじ挿通孔95は、スペーサ93の上端部および下端部の長手方向の中央部に設けられている。
一方、引き出し体3の一対の側板15のうち少なくとも一方の外側面には、この側板15の幅方向である上下方向に沿った長手方向を有する係止部としての第1の係止溝部96が設けられている。この第1の係止溝部96は、引き出し体3の一方の側板15の前端部から所定間隔C離間した位置に設けられている。具体的に、この第1の係止溝部96は、引き出し体3の一方の側板15の前端部から長手方向に沿った後端側に向けて所定距離Bより短い所定距離C離間した位置に設けられている。
さらに、この第1の係止溝部96から側板15の基端側に向けて所定距離D離間させた位置には、上下方向に沿った長手方向を有する係止部としての第2の係止溝部97が設けられている。この第2の係止溝部97は、感震時に第1のラッチ体51および第2のラッチ体81のいずれかにて引き出し体3の移動を停止させた際に、この引き出し体3の側板15と家具本体2の側板部5とが重なる位置に設けられている。ここで、これら第1の係止溝部96と第2の係止溝部97とを一体的に構成して、矩形状の1つの開口部とすることもできる。
また、この引き出し体3の一方の側板15の外側面には、被係止体としての移動部材であるラッチ受け具101が取り付けられている。このラッチ受け具101は、感震時に耐震ラッチ1が係合する受体としての受具である。さらに、このラッチ受け具101は、地震などの振動によって引き出し体3の移動が耐震ラッチ1にて固定された状態で、この引き出し体3の側板15から着脱できるように取り付けられている。また、このラッチ受け具101は、耐震ラッチ1が取り付けられている側の側板部5に対向する引き出し体3の側板15の外側に取り付けられている。ここで、このラッチ受け具101は、引き出し体3の一方の側板15のみに取り付けても、この引き出し体3の一対の側板15のそれぞれに取り付けても良い。
そして、このラッチ受け具101は、引き出し体3の側板15の外側面に取り付けられる細長略矩形平板状の本体部である板状部102を備えている。この板状部102の表面の長手方向の一端である基端部には、上下方向に沿った長手方向を有する被係止部としての係止縁部103が一体的に突設されている。この係止縁部103は、板状部102の基端縁に沿って設けられており、第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54と第2のラッチ体81の係止面部83とのそれぞれが係止可能に構成されている。
したがって、この係止縁部103は、耐震ラッチ1の第1の感震体41の回転によって、この第1の感震体41の錘本体42が第1のラッチ体51の係合突部57に係合して回転が固定された第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54に係止されるように構成されている。さらに、この係止縁部103は、耐震ラッチ1の第2の感震体75の姿勢変化による、この第2の感震体75の押圧によって回転して突出した第2のラッチ体81の係止面部83が係止されるように構成されている。
また、板状部102の表面の長手方向の他端である先端部には、側面視略矩形状の平面部104が突設されている。この平面部104の中央部には、板状部102の厚さ方向に沿って貫通した挿通孔105が穿設されている。この挿通孔105の開口縁には、側面視凹状の切欠凹部106が形成されている。この切欠凹部106は、板状部102の下側に向けて平面部104を凹状に切り欠いた形状に形成されている。さらに、これら挿通孔105および切欠凹部106を含んだ開口部の開口縁には、板状部102の基端部の上側に向けて表面が凹状に切り欠かれた側面視略長孔状の取付凹部107が設けられている。この取付凹部107は、この取付凹部107の一端側が挿通孔105および切欠凹部106のそれぞれに連通しており、これら挿通孔105および切欠凹部106よりも板状部102の基端部の上側に向けて平面部104の表面が断面視凹状に切り欠いている。
そして、板状部102の挿通孔105には、この板状部102の先端側を引き出し体3の側板15の先端側に設けられている第1の係止溝部96に着脱可能に係止させる係止部材111が取り付けられている。この係止部材111は、第1のラッチ体51あるいは第2のラッチ体81によるラッチ受け具101の係止縁部103への係止にて引き出し体3の移動が停止されている状態で、このラッチ受け具101を引き出し体3の側板15に対して着脱可能にする。ここで、この係止部材111、板状部102の挿通孔105、切欠凹部106および取付凹部107によって着脱操作部108が構成されている。
さらに、この係止部材111は、挿通孔105の内径寸法より大きな外径寸法を有する円盤状の操作部112を有している。この操作部112は、引き出し体3の側板15に対するラッチ受け具101の着脱を操作可能にさせる。また、この操作部112の外側面には、十字状の係止凹部113が設けられている。この係止凹部113は、例えば図示しない十字ドライバの先端部を係止させて、この十字ドライバにて締め付け操作および取り外し操作できるように構成されている。さらに、操作部112の外周縁には、この操作部112の操作角度を確認可能とする目印となる目印突部114が一体的に突設されている。この目印突部114は、側面視三角形状に形成されており、操作部112の径方向に向けて突出している。
また、この操作部112の裏面中央部には、円柱状の挿通軸部115が同心状に突設されている。この挿通軸部115は、挿通孔105の内径寸法より若干小さな外径寸法を有している。そして、この挿通軸部115は、挿通孔105の長さ寸法より若干大きな長さ寸法を有している。すなわち、この挿通軸部115は、板状部102の挿通孔105に回転可能に挿通できるように構成されている。
さらに、この挿通軸部115の先端部には、板状部102の切欠凹部106に挿通可能な形状の被係止部としての切片部116が設けられている。この切片部116は、挿通軸部115の先端部の外周縁に設けられており、この挿通軸部115の径方向に向けて突出している。また、この切片部116は、側面視で目印突部114に対して操作部112の中心を基準とした点対称な位置に設けられている。すなわち、この切片部116は、目印突部114が突出している方向とは反対側に向けて突出している。
そして、この切片部116は、引き出し体3の側板15の第1の係止溝部96の幅寸法より若干小さな幅寸法を有しているとともに、この第1の係止溝部96の幅寸法より大きな長さ寸法を有している。すなわち、この切片部116は、これら切片部116および挿通軸部115を板状部102の切欠凹部106および挿通孔105を介して引き出し体3の側板15の第1の係止溝部96に挿通させた状態で、係止部材111の係止凹部113に図示しない十字ドライバなどを嵌合させて係止部材111を回転操作することによって、引き出し体3の側板15の第1の係止溝部96に係止されて、この引き出し体3の側板15にラッチ受け具101を着脱可能に取り付けさせる。したがって、この切片部116と第1の係止溝部96とによって、引き出し体3の側板15にラッチ受け具101を着脱可能に取り付けさせる第1の着脱部98が構成されている。
また、板状部102の裏面には、引き出し体3の側板15の第2の係止溝部97に着脱可能に係止可能な被係止部である着脱係止部117が設けられている。この着脱係止部117は、実質的に操作部を有さない着脱部であって、引き出し体3の前板17の裏面から引き出し方向に沿って所定距離A離間した位置より後側の第2の係止溝部97に着脱可能に係止される。そして、この着脱係止部117は、板状部102の長手方向の基端寄りの位置に設けられており、この板状部102の幅方向に沿った長手方向を有している。また、この着脱係止部117には、この着脱係止部117の幅寸法を引き出し体3の側板15の第2の係止溝部97の幅寸法に等しくさせる突片部118が一体的に設けられている。この突片部118は、板状部102の先端側に位置する着脱係止部117の一側面の幅方向の中央部に設けられている。
そして、この着脱係止部117の先端部には、第2の係止溝部97の基端側の縁部に係止可能な爪状部119が一体的に突設されている。この爪状部119は、板状部102の基端側に向けて突出しており、第2の係止溝部97の長手寸法に略等しい長手寸法を有している。さらに、この爪状部119と板状部102の裏面との間の隙間の幅寸法が引き出し体3の側板15の第2の係止溝部97の深さ寸法と略等しくなるように構成されている。したがって、この爪状部119と第2の係止溝部97とによって、引き出し体3の側板15にラッチ受け具101を着脱可能に取り付けさせる第2の着脱部99が構成されている。ここで、この第2の着脱部99は、第1の着脱部98に設けられている操作部112の操作によって引き出し体3の側板15から着脱可能に設けられている。
次に、上記第1の実施の形態の作用を説明する。
まず、非震動時においては、図5および図6に示すように、耐震ラッチ1の第1の感震体41の錘本体42がケース体21の載置台部27の傾斜面部28の幅方向の中央部に載置された停止状態となっている。
よって、第1のラッチ体51の自重およびばね体69の復元力にて作用する第1の付勢機構68による付勢によって、ケース体21の収容凹部22の外側へと第1のラッチ体51が、この第1のラッチ体51の先端側を突出させる方向に向けて付勢されている。
したがって、この第1のラッチ体51の先端側の係止切欠部53の係止面54がケース体21の収容凹部22の開口縁より外側に突出した状態から、この収容凹部22内に第1のラッチ体51が収容可能となっている。
このため、家具本体2から引き出し体3を引き出す際に、ラッチ受け具101の係止縁部103が耐震ラッチ1の第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54を押圧して、第1のラッチ体51を第1の付勢機構68による付勢に抗して回転させて収容凹部22内へと収容させることができるから、この家具本体2から引き出し体3を引き出すことができる。
また、非震動時においては、図9および図10に示すように、耐震ラッチ1の第2の感震体75の軸体79がケース体21の軸支孔73に挿入された状態で、このケース体21の収容凹部22の下側面上に第2の感震体75が載置された常体姿勢となっている。
よって、第2のラッチ体81の自重にて作用する第2の付勢機構89による、ケース体21の収容凹部22内への第2のラッチ体81の付勢によって、この第2のラッチ体81の係止面部83がケース体21の収容凹部22内へと収容された状態で、この収容凹部22内に第2のラッチ体81が収容されている。
このため、家具本体2から引き出し体3を引き出す際に、ラッチ受け具101の係止縁部103に耐震ラッチ1の第2のラッチ体81の係止面部83が係合しないので、この家具本体2から引き出し体3を引き出すことができる。
次いで、家具本体2に引き出し体3を収容させた状態で地震などで振動が生じると、図7および図8に示すように、震動時においては耐震ラッチ1の第1の感震体41の係止片部43がケース体21の摺動凹部29および係止溝部31のそれぞれにて案内されながら、この第1の感震体41の錘本体42が載置台部27の傾斜面部28の傾斜に抗して引き出し体3の移動方向に沿って回転して、この第1の感震体41が停止状態から回転した状態へと姿勢変化する。
このとき、この第1の感震体41の引き出し体3の移動方向に沿った回転による姿勢変化によって、この第1の感震体41の錘本体42が第1のラッチ体51の係合突部57に係合して係止され、この第1のラッチ体51の先端側の係止切欠部53をケース体21の収容凹部22の開口縁より外側に突出させた状態に固定される。
この結果、このケース体21の収容凹部22内から突出した第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54が、ラッチ受け具101の係止縁部103に係止される。
したがって、このラッチ受け具101の係止縁部103への第1のラッチ体51の係止面54による係止によって、家具本体2内から引き出し体3が引き出せない状態となるので、振動による家具本体2からの引き出し体3の飛び出しなどが防止される。
この後、地震などによる振動が停止した場合には、図5および図6に示すように、第1の感震体41の回転が解除され、この第1の感震体41の錘本体42による第1のラッチ体51の係合突部57への係合が解除されて、この第1の感震体41の錘本体42が第1のラッチ体51の嵌合凹部58に嵌合可能な状態となる。したがって、この第1のラッチ体51の先端側の係止切欠部53をケース体21の収容凹部22の開口縁より外側に突出させた状態の固定が解除される。
この結果、ラッチ受け具101の係止縁部103による第1のラッチ体51の係止切欠部53の係止面54の押圧によって、この第1のラッチ体51がケース体21の収容凹部22内に収容可能となるから、家具本体2から引き出し体3を引き出すことが可能となる。
また、図11および図12に示すように、震動時においては耐震ラッチ1の第2の感震体75が引き出し体3の移動方向に沿って揺動して、この第2の感震体75の係止凹部78へのケース体21の係止凸部74による係合にて揺動角度が規制されながら、この第2の感震体75が常体姿勢から所定の傾斜角度に傾斜した状態に姿勢変化する。
このとき、この第2の感震体75の引き出し体3の移動方向に沿った姿勢変化によって、この第2の感震体75の作用面77が第2のラッチ体81の揺動受部91のいずれかの傾斜面92に当接して、この傾斜面92を押圧する。
この結果、この第2の感震体75の作用面77による第2のラッチ体81のいずれかの傾斜面92の押圧によって、この第2の感震体75が引き出し体3の移動方向に沿って倒れようとする力が第2のラッチ体81のいずれかの傾斜面92にて引き出し体3の移動方向に直交する方向である、この第2のラッチ体81の先端側の係止面部83を突出させようとする力に変換される。
すなわち、第2の感震体75の作用面77による第2のラッチ体81のいずれかの傾斜面92の押圧によって、この第2のラッチ体81の自重にて作用する第2の付勢機構89による、この第2のラッチ体81をケース体21の収容凹部22内に収容させようとする付勢に抗して、この第2のラッチ体81の係止面部83がケース体21の収容凹部22内から外側に向けて突出する。
したがって、このケース体21の収容凹部22内から突出した第2のラッチ体81の係止面部83が、ラッチ受け具101の係止縁部103に係止される。
この結果、このラッチ受け具101の係止縁部103への第2のラッチ体81の係止面部83による係止によって、家具本体2内から引き出し体3が引き出せない状態となるので、振動による家具本体2からの引き出し体3の飛び出しなどが防止される。
この後、地震などによる振動が停止した場合には、図9および図10に示すように、第2の感震体75の姿勢変化が解除され、この第2の感震体75の錘本体76の作用面77による第2のラッチ体81のいずれかの傾斜面92の押圧が解除され、第2の付勢機構89による付勢によって第2のラッチ体81がケース体21の収容凹部22内へと収容された状態となる。
したがって、家具本体2から引き出し体3を引き出す際に、ラッチ受け具101の係止縁部103に耐震ラッチ1の第2のラッチ体81の係止面部83が係合されない状態となるから、この家具本体2から引き出し体3を引き出すことができるようになる。
ここで、地震などによる振動がおさまった後であっても、耐震ラッチ1の破損や損傷などにより家具本体2の開口部8から引き出し体3を引き出すことができない場合がある。
この場合には、図7および図11に示すように、耐震ラッチ1の第1のラッチ体51あるいは第2のラッチ体81によるラッチ受け具101の係止縁部103への係止によって、家具本体2の開口部8から引き出し体3の側板15の先端側が少なくとも所定距離B突出した状態で、この引き出し体3の移動が耐震ラッチ1にて固定され、この引き出し体3の側板15に取り付けられているラッチ受け具101の係止部材111の操作部112が操作可能な状態となっている。
したがって、このラッチ受け具101の係止部材111の係止凹部113に、十字ドライバの先端部を係合させ、この十字ドライバにて係止部材111の操作部112を回動させて、この係止部材111の切片部116による引き出し体3の側板15の第1の係止溝部96への係合を解除させる。
この後、ラッチ受け具101の板状部102の先端側を外側に向けて湾曲させてから、この板状部102を先端側に向けて移動させて、この板状部102の着脱係止部117の爪状部119による引き出し体3の側板15の第2の係止溝部97への係合を解除させる。
この結果、このラッチ受け具101を引き出し体3の側板15から取り外すことができるので、この引き出し体3を家具本体2から引き出し可能にできる。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、第1のラッチ体51の先端側の係止切欠部53をケース体21の収容凹部22から突出させる方向に向けて第1の付勢機構68にて付勢させた。よって、引き出し体3を家具本体2の開口部8から引き出したり収容させたりする開閉動作をしても、第1の付勢機構68による付勢によって第1のラッチ体51がラッチ受け具101の係止縁部103と係止する状態へとその都度回動されるから、第1のラッチ体51を振動に対する引き出し体3の移動を停止できる状態に備えさせることができる。
また、感震時の第1の感震体41の回転によって、この第1の感震体41が第1のラッチ体51の係合突部57に係合して、第1のラッチ体51の先端側の係止切欠部53がケース体21の収容凹部22から突出させた状態が固定される構成とした。この結果、第1の感震体41の回転によって第1のラッチ体51の回動が固定されて、この第1のラッチ体51の係止面54が引き出し体3の側板15に取り付けられているラッチ受け具101の係止縁部103に係止されるので、この引き出し体3の移動が停止される。したがって、感震時の第1の感震体41による回転のみのワンステップで、第1のラッチ体51の係止面54をラッチ受け具101の係止縁部103に係止でき、このラッチ受け具101が取り付けられている引き出し体3の移動を停止できるので、耐震ラッチ1の振動の感知および振動時の引き出し体3の停止感度を向上できる。
さらに、感震時の第2の感震体75の姿勢変化によって、この第2の感震体75による押圧にて第2のラッチ体81の先端側がケース体21の収容凹部22より外側に向けて突出する。よって、第2の感震体75の姿勢変化によって第2のラッチ体81の係止面部83がラッチ受け具101の係止縁部103に係止して、このラッチ受け具101が取り付けられている引き出し体3の移動が停止される。このため、第1の感震体41および第2の感震体75の少なくともいずれか一方の姿勢変化によって、引き出し体3の移動を停止できるから、耐震ラッチ1の振動の感知をより向上でき、この耐震ラッチ1の感震感度をより向上できる。
また、第2のラッチ体81の先端側をケース体21の後端側に向けた状態で取り付けたことにより、振動時に第2のラッチ体81の係止面部83がラッチ受け具101の係止縁部103に係合する方向と、家具本体2の開口部8から引き出し体3を引き出す方向が一致するので、この引き出し体3が家具本体2の開口部8から引き出される方向に抗して、この引き出し体3の移動を第2のラッチ体81にて停止できるから、この第2のラッチ体81による感震時の引き出し体3の移動の停止をより確実にできる。
さらに、ケース体21の収容凹部22の長手方向の両端部の第1の軸止孔32および第2の軸止孔71に挿通させた異なるピン体62,87にて第1のラッチ体51と第2のラッチ体81とを回動可能とし、これら第1のラッチ体51および第2のラッチ体81によるラッチ受け具101の係止縁部103との係止位置を引き出し体3の移動方向に沿って異ならせた。
この結果、振動時に第1の感震体41および第2の感震体75のいずれか一方が偶然にも瞬間的に非感震位置に移動してしまい、第1のラッチ体51および第2のラッチ体81のいずれか一方がラッチ受け具101の係止縁部103に係止されない状態となったとしても、第1の感震体41および第2の感震体75のいずれか他方の感震動作による第1のラッチ体51および第2のラッチ体81のいずれか他方とラッチ受け具101の係止縁部103との係止が控えている。したがって、振動時の耐震ラッチ1による引き出し体3の移動の停止をより確実にできるから、この耐震ラッチ1の信頼性を格段に向上できる。
さらに、ケース体21の収容凹部22内において第1の感震体41と第2の感震体75とを、引き出し体3の移動方向に沿った収容凹部22の長手方向に沿って並設させた。また、ケース体21の収容凹部22内において第1のラッチ体51と第2のラッチ体81とを、ケース体21の幅方向である上下方向に沿って並設させた。この結果、このケース体21を引き出し体3の移動方向に直交するケース体21の厚さ方向に薄くできるから、このケース体21を小型化でき、このケース体21を家具本体2の側板部5に埋設可能となるとともに、このケース体21を一般的に厚みが少ない引き出し体3の側板15であっても埋設可能にできる。
また、第1のラッチ体51を付勢する第1の付勢機構68および第2のラッチ体81を付勢する第2の付勢機構89のそれぞれを、これら第1のラッチ体51および第2のラッチ体81の自重を利用したグラビティヒンジとした。この結果、これら第1のラッチ体51および第2のラッチ体81とは別部材のばねなどを用いる必要がなく、これら第1のラッチ体51および第2のラッチ体81あるいはケース体21と一体にできるから、耐震ラッチ1の部品点数を少なくできる。
さらに、仕様によっては、引き出し体3および家具本体2の位置設定が異なり、引き出し体3の側板15の外側面と家具本体2の側板部5の内側面との間の隙間寸法が異なる場合がある。この場合には、ケース体21の収容凹部22の底面側にスペーサ93の嵌合口94を嵌合させて、このケース体21のフランジ部23の厚さ寸法をスペーサ93にて厚くしてから、このケース体21の収容凹部22を家具本体2の側板部5の内側面に設けられている埋設凹部9に埋設させる。この結果、このケース体21の収容凹部22の開口縁から引き出し体3の側板15の内側面までの間隔をスペーサ93の厚さ分小さくできる。したがって、引き出し体3および家具本体2の位置設定に合わせたスペーサ93を仕様に合わせて用意することにより、仕様に合わせた耐震ラッチ1を新たに設ける必要が無くなるから、製造コストを削減できるとともに、引き出し体3および家具本体2の位置設定が異なる場合であっても対応させて用いることができる。
また、ケース体21の第1の係合突部33および第2の係合突部72の第1の傾斜面部35と第2の傾斜面部37とを第1の軸止孔32あるいは第2の軸止孔71を中心とした対称位置に設けるとともに、第1のラッチ体51の第1の被係合突部63および第2のラッチ体81の第2の被係合突部88の第1の摺接面部65と第2の摺接面部67とを軸挿通孔61,86を中心とした対称位置に設けたことにより、これら第1の係合突部33と第1の被係合突部63とにて構成されるグラビティヒンジ、および第2の係合突部72と第2の被係合突部88とにて構成されるグラビティヒンジのそれぞれによる付勢を周方向に亘って略平均的にできるから、これら第1のラッチ体51および第2のラッチ体81をより安定して確実に付勢できる。
なお、上記第1の実施の形態では、第1の感震体41の錘本体42をケース体21の載置台部27の傾斜面部28上に載置させて、この第1の感震体41の振動時の回転によって第1のラッチ体51のケース体21の収容凹部22からの突出を固定させる構成としたが、図13および図14に示す第2の実施の形態のように、ケース体21の収容凹部22の上側面に第1の感震体41を揺動可能に係止させて、この第1の感震体41の振動時の揺動によって第1のラッチ体51のケース体21の収容凹部22からの突出を固定させる構成とすることもできる。
そして、第1の感震体41の錘本体42の外周面には、細長棒状の支持部材121の長手方向の一側部が嵌合されて固定されている。この支持部材121は、この支持部材121の長手方向を錘本体42の径方向に沿わせた状態で、この錘本体42に取り付けられている。さらに、この支持部材121の長手方向の他端部は、ケース体21の収容凹部22の上側面に揺動可能に係合されて取り付けられている。そして、この支持部材121は、引き出し体3の移動方向であるケース体21の長手方向に沿って揺動可能に取り付けられている。
したがって、振動時に第1の感震体41が支持部材121の他端部を揺動中心としてケース体21の長手方向に沿って揺動して、この第1の感震体41の錘本体42が第1のラッチ体51の係合突部57に係合されて、この第1のラッチ体51の係止面54がラッチ受け具101の係止縁部103に係止されて、引き出し体3の移動が停止されるので、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記各実施の形態では、ケース体21の第1の係合突部33および第1のラッチ体51の第1の被係合突部63にて構成されたグラビティヒンジとばね体69とで第1の付勢機構68を構成し、ケース体21の第2の係合突部72および第2のラッチ体81の第2の被係合突部88にて構成されたグラビティヒンジで第2の付勢機構89を構成したが、これら第1の付勢機構68および第2の付勢機構89を、第1のラッチ体51、第2のラッチ体81あるいはケース体21などに一体的に成形された樹脂部材や金属板、コイルスプリングなどの可撓性を有する付勢手段で構成することもできる。
また、家具本体2の側板部5の内側面にケース体21を取り付けるとともに、引き出し体3の側板15の外側面にラッチ受け具101を取り付けたが、この家具本体2の側板部5自体にケース体21を設けて固定部材として機能させたり、引き出し体3の側板15自体をラッチ受け具101として機能させて移動部材としたりすることもできる。
さらに、耐震ラッチ1をスライドレール13のインナーレール11やアウターレール12に取り付けることもできる。この場合には、ケース体21をインナーレール11に取り付け、ラッチ受け具101をアウターレール12に取り付ければよい。また、インナーレール11自体に収容凹部22を設けてケース体とし、アウターレール12自体に係止縁部103を設けて移動部材とすることもできる。さらに、ケース体21をアウターレール12に取り付け、ラッチ受け具101をインナーレール12に取り付けるなどすることもできる。
また、引き出し体3の両側板15のそれぞれにラッチ受け具101を取り付けて、これらラッチ受け具101が振動時に係止する耐震ラッチ1を家具本体2の両側板部5のそれぞれに取り付ける構成とすることもできる。また、引き出し体3の一方の側板15のみにラッチ受け具101を取り付けて、このラッチ受け具101が振動時に係止する耐震ラッチ1を家具本体2の一方の側板部5のみに取り付ける構成とすることもできる。
そして、家具本体2に収容された引き出し体3の震動時の移動を防止する耐震ラッチ1について説明したが、引き戸や開き戸などであっても対応させて用いることにより、これら引き戸および開き戸の震動時の開きを耐震ラッチ1の感震動作にて防止する構成とすることもできる。