以下、本発明の移動部材停止装置の第1の実施の形態の構成を図1ないし図6を参照して説明する。
図1ないし図6において、1は移動部材停止装置としての耐震ラッチである。この耐震ラッチ1は、各種の家具、例えば事務用キャビネット等の固定部材としての家具本体2に引き出し可能に取り付けられている移動部材としての引き出し体3に用いるものである。
すなわち、この耐震ラッチ1は、振動時の家具本体2に対する引き出し体3の移動を停止させる。具体的に、この耐震ラッチ1は、地震などの振動を感知して、この振動感知時に引き出し体3が振動によって家具本体2内から引き出されて飛び出さないように係合保持する。
ここで、この家具本体2は、前面が開口した箱状に形成されており、地板としての矩形平板状の底板部4を備えている。そして、この底板部4の両側縁には、矩形平板状の一対の側板部5が所定の間隙を介して立設されて取り付けられている。また、これら一対の側板部5上には、形平板状の天板部6が取り付けられている。さらに、これら底板部4、側板部5および天板部6の背面側には、矩形平板状の背板部7が取り付けられている。
この背板部7は、底板部4、側板部5および天板部6の背面側を閉塞している。したがって、これら底板部4、側板部5および天板部6の前面側は、開口されて開口部8とされており、この開口部8から家具本体2内に上下2つの引き出し体3が引き出し可能に収容されている。
そして、この引き出し体3は、上面が開口した箱状に形成されており、矩形平板状の底板11の両側に矩形平板状の一対の側板12が所定の間隙を介して立設されて取り付けられている。これら一対の側板12の後側には、矩形平板状の図示しない背板が取り付けられている。この背板は、一対の側板12および底板11の奥側を閉塞している。
さらに、これら一対の側板12の前側には、矩形平板状の前板14が取り付けられている。この前板14は、一対の側板12および底板11の前側を閉塞している。さらに、この前板14は、一対の側板12および底板11それぞれの前端縁に取り付けられ、これら一対の側板12および底板11の前端縁よりも外側に向けて突出している。
すなわち、この前板14は、引き出し体3を家具本体2の開口部8に収容させた際に、この開口部8の周縁に係止されるように構成されている。さらに、この前板14の前側に位置する表面には、引き出し体3を家具本体2から引き出す際の把持部となる取手15が取り付けられている。さらに、この引き出し体3の上面には、この引き出し体3に所望の収容物を収容させる開口部16が形成されている。
一方、耐震ラッチ1は、家具本体2の一対の側板部5のうち少なくとも一方の内側面に設けられている埋設凹部17に埋設されて取り付けられている。ここで、この耐震ラッチ1は、家具本体2の一方の側板部5の埋設凹部17のみに取り付けても、この家具本体2の一対の側板部5の埋設凹部17のそれぞれに取り付けても良い。さらに、この埋設凹部17は、一対の側板部5の開口部16寄りの位置に設けられている。そして、耐震ラッチ1は、固定部材としてのケース体21を備えている。このケース体21は、側面視で細長矩形状の長手方向の両端部を円弧状に湾曲させた形状に形成されている。
また、このケース体21の水平方向に沿った厚さ方向の一側面には、収容部としての側面視矩形状である断面凹状の収容凹部22が形成されている。この収容凹部22は、ケース体21の水平方向に沿った長手方向の中央部に設けられているとともに、このケース体21の鉛直方向に沿った幅方向の中央部に設けられている。
そして、図1、図4および図6に示すように、このケース体21の幅方向に沿った両側である収容凹部22の上側面および下側面のそれぞれには、側面視V字状の転動体設置部23が形成されている。これら転動体設置部23は、後述する転動体31が載置される転動体載置部である。そして、これら転動体設置部23は、収容凹部22の厚さ方向に沿った他側である奥側に設けられている。また、これら転動体設置部23は、収容凹部22の長手方向に沿った一端である後端寄りの位置に設けられている。
さらに、これら転動体設置部23それぞれの表面には、後述する転動体31が震動によって転動する転動面24が設けられている。すなわち、これら転動体設置部23は、これら転動体設置部23それぞれの転動面24を上下方向に沿って対向させた状態で、ケース体21の収容凹部22内に設けられている。
ここで、これら転動体設置部23それぞれの転動面24は、転動体設置部23の長手方向に沿った中央部から、この長手方向に沿って転動体設置部23の両端側に向けて下方あるいは上方に向けて傾斜した一対の傾斜面25を備えている。したがって、これら転動面24は、少なくとも2つ以上の面、すなわち一対の傾斜面25によって構成されている。
言い換えると、これら転動面24は、収容凹部22の上側に設けられた転動体設置部23上の転動面24と、この収容凹部22の下側に設けられた転動体設置部23上の転動面24とによっても、少なくとも2つ以上の面で構成されている。さらに、これら転動面24それぞれの一対の傾斜面25は、転動体設置部23の幅方向に沿って形成されている。そして、これら一対の傾斜面25のそれぞれは、転動体設置部23の幅方向に沿った中央部から、この幅方向に沿って転動体設置部23の両側に向けて上方に傾斜した一対のテーパ面26にて構成されている。
さらに、これら転動体設置部23と収容凹部22の開口縁との間には、後述するラッチ体32が収容される段状の収容段部27が形成されている。これら収容段部27は、転動体設置部23の幅方向の一側面と収容凹部22の下側面とによって構成されている。すなわち、これら収容段部27は、後述するラッチ体32の厚さ寸法よりも若干大きな幅寸法を有している。
また、ケース体21の長手方向に沿った他端である前端側には、このケース体21の上下方向に向けて貫通した貫通孔としての軸止孔28が設けられている。この軸止孔28は、ケース体21の上端面から下端面までに亘って、このケース体21の幅方向に沿って貫通している。したがって、この軸止孔28は、ケース体21の収容凹部22内にも貫通している。すなわち、この軸止孔28は、ケース体21の収容凹部22内に位置する、この収容凹部22の上側面および下側面のそれぞれに貫通している。
さらに、ケース体21の収容凹部22内の厚さ方向の他側である奥側に位置する側面上には、係止部としての片状の係止凸部29が突設されている。この係止凸部29は、ケース体21の幅方向に沿った長手方向を有する細長平板状に形成されている。また、この係止凸部29は、ケース体21の収容凹部22の長手方向の他端である前端寄りの位置に設けられている。すなわち、この係止凸部29は、ケース体21の収容凹部22の長手方向の他端面から所定距離離間された位置に設けられている。さらに、この係止凸部29は、軸止孔28よりもケース体21の後端側に設けられている。
一方、ケース体21の収容凹部22内には、地震などの振動で転動して姿勢変化する球状の錘体である転動体31が転動可能に収容されている。この転動体31は、ケース体21の収容凹部22内に設けられた転動体設置部23上に設置されている。さらに、この転動体31は、転動体設置部23の長手方向である、引き出し体3の移動方向に沿って転動可能に収容されている。すなわち、この転動体31は、転動体設置部23の一対の傾斜面25上に載置されている。よって、この転動体31は、一対の傾斜面25それぞれに設けられている一対のテーパ面26による作用によって、これら一対の傾斜面25の長手方向に沿って転動するように構成されている。
さらに、ケース体21の収容凹部22には、側面視細長矩形状の係止手段としての係止体であるラッチ体32が回動可能に取り付けられて収容されている。このラッチ体32は、ケース体21の収容凹部22内に転動可能に収容されている転動体31に対して、この転動体31が転動する方向に直交する位置、すなわちケース体21の厚さ方向に沿った位置に並設されている。
そして、このラッチ体32は、ケース体21の収容凹部22の長手寸法よりも若干小さな長手寸法を有しているとともに、この収容凹部22の幅寸法に略等しい幅寸法を有している。そして、このラッチ体32の長手方向の一端である先端面は、平坦な係止面としての平坦な係合面33とされている。
また、このラッチ体32の長手方向の他端である後端部には、このラッチ体32の厚さ方向に沿って収容凹部22側に向けて突出した軸止部としての軸止片部34が設けられている。この軸止片部34は、ラッチ体32をケース体21の収容凹部22に回動可能に取り付けさせる。そして、この軸止片部34には、上下方向に沿ったラッチ体32の幅方向に向けて貫通した軸挿通孔35が設けられている。この軸挿通孔35は、ラッチ体32の基端側をケース体21の収容凹部22内に回転可能に軸支させて、このラッチ体32の先端側を水平方向、すなわちこのラッチ体32の厚さ方向に向けて回動可能にする。このとき、このラッチ体32は、このラッチ体32の回転軸方向と転動体31の転動方向とが直交するように構成されている。
よって、この軸挿通孔35には、この軸挿通孔35の上端および下端のそれぞれをケース体21の軸止孔28に連通させた状態で、回転軸となる軸体としての細長棒状のピン体36が周方向に摺動可能に挿通されている。このピン体36は、ラッチ体32の軸挿通孔35に摺動可能に挿通された状態で、このピン体36の上端および下端のそれぞれがケース体21の軸止孔28に挿入されて固定されている。
したがって、このピン体36は、ラッチ体32の先端側の係合面33をケース体21の収容凹部22内から水平方向に突出するように、このラッチ体32を回動可能にケース体21の収容凹部22に軸支して軸止めする。すなわち、このラッチ体32は、引き出し体3の移動方向に直交する方向である、この引き出し体3の幅方向に向けて突出するように構成されている。
さらに、このラッチ体32の軸止片部34には、このラッチ体32の厚さ方向に向けて貫通した断面細長矩形状の挿通開口部37が設けられている。この挿通開口部37は、ラッチ体32の軸挿通孔35を介した位置に設けられており、このラッチ体32の外側面および内側面のそれぞれに連通している。さらに、この挿通開口部37は、この挿通開口部37の外側面側の開口縁がラッチ体32の基端側に向けて拡開されて開口している。
また、この挿通開口部37の内側面側の開口縁の基端側には、係止部としての係止片部38が設けられている。この係止片部38は、ラッチ体32の基端縁に一体的に突設されている。言い換えると、この係止片部38は、ラッチ体32の長手方向における基端側の縁部に設けられている。さらに、この係止片部38は、ラッチ体32の軸止片部34の内側面と、この軸止片部34の基端側の一側面との角部に設けられている。また、この係止片部38は、軸止片部34の内側面および一側面のそれぞれに沿って設けられている。
そして、このラッチ体32の挿通開口部37には、弾性手段としての付勢手段である巻ばね41が挿入されて取り付けられている。この巻ばね41は、ケース体21の軸止孔28に挿通されて取り付けられたピン体36が挿入されて取り付けられている。すなわち、この巻ばね41は、螺旋状に巻回させた鋼線の両端部を外周面よりも外側に向けて突出させて構成されている。さらに、この巻ばね41は、この巻ばね41の弾性力によってラッチ体32をケース体21の収容凹部22内へ付勢する。
したがって、この巻ばね41は、ラッチ体32をケース体21の収容凹部22内側に付勢する付勢手段としての付勢機構である。すなわち、この巻ばね41は、ラッチ体32の係合面33が突出方向の反対側である、このラッチ体32の係合面33をケース体21の収容凹部22内に収容させる方向に、このラッチ体32を付勢する。このとき、この巻ばね41は、この巻ばね41の弾性力によってケース体21の収容凹部22内にラッチ体32を収容させる力が、感震時に転動体31がラッチ体32を押圧する力より小さくなるように、この巻ばね41の弾性力が設定されている。
ここで、この巻ばね41は、鋼線が螺旋状に巻回されて構成されたばね本体42を備えている。このばね本体42は、ラッチ体32の挿通開口部37内に挿入された状態で、このラッチ体32の軸挿通孔35およびケース体21の軸止孔28に挿通されて取り付けられているピン体36が挿通されている。そして、このばね本体42の両端部には、このばね本体42の螺旋状に巻回させた鋼線の両端部を、このばね本体42の接線方向に向けて突出させた一対の脚部43が設けられている。これら一対の脚部43は、ばね本体42の軸方向に直交する方向に突出している。
さらに、巻ばね41の一方の脚部43は、ケース体21の係止凸部29の一側である前端側に係止されている。また、この巻ばね41の一方の脚部43の反対側に位置する他方の脚部43は、ラッチ体32の係止片部38の一端である先端側に係止されている。したがって、この巻ばね41は、この巻ばね41の一対の脚部43間に作用する弾性力によって、ケース体21の収容凹部22内にラッチ体32が収容される側に向けて、このラッチ体32を付勢するように、これらケース体21とラッチ体32との間に取り付けられている。
また、このラッチ体32の厚さ方向における一側面である内側面には、このラッチ体32をケース体21の収容凹部22内に収容させた際に、このケース体21の転動体載置部23上へと挿入される細長矩形状の突出片部44が設けられている。この突出片部44は、ラッチ体32の長手方向に沿った長手方向を有しており、このラッチ体32の幅方向に中央部に設けられている。さらに、この突出片部44は、ラッチ体32の先端縁である係合面33より基端側に向けて離間された位置に設けられている。そして、この突出片部44の先端側には、ラッチ体32の上下方向に向けて貫通した上面視略凹弧状の当接凹部としての転動受部45が設けられている。
ここで、この転動受部45は、突出片部44の長手方向の中央部に設けられており、転動体31の直径寸法よりも大きな長手寸法を有している。すなわち、この転動受部45は、転動体31によるケース体21の長手方向に沿った転動によって、この転動体31の当接による押圧によって、ラッチ体32の先端側をケース体21の収容凹部22よりも外側に向けて突出させる。さらに、この転動受部45の幅方向の両側縁には、転動体31の転動方向に対応して傾斜した円弧状の傾斜面46がそれぞれ設けられている。
これら傾斜面46は、引き出し体3の移動方向である、ラッチ体32の長手方向に対して傾斜している。すなわち、これら傾斜面46は、転動体31が移動方向に沿って転動した際に、この転動体31が当接して、この転動体31の当接によってラッチ体32の係合面33をケース体21の収容凹部22内よりも外側に突出させる。さらに、これら傾斜面46は、引き出し体3の移動方向に対して傾斜しているとともに、この引き出し体3が取り付けられる家具本体2の底板部4に対して垂直な面でもある。
一方、引き出し体3の一対の側板12のうち少なくとも一方の外側面には、被係止体としての移動部材であるラッチ受け具51が取り付けられている。このラッチ受け具51は、感震時に耐震ラッチ1が係合する係止体受け具である。さらに、このラッチ受け具51は、耐震ラッチ1が取り付けられている側の側板12に取り付けられている。すなわち、このラッチ受け具51は、引き出し体3の一方の側板12のみに取り付けても、この引き出し体3の一対の側板12のそれぞれに取り付けても良い。
そして、このラッチ受け具51は、引き出し体3の側板12の外側面に取り付けられる取付部材52を備えている。この取付部材52には、この取付部材52に対して回転可能に略細長矩形平板状の被係止部材53が取り付けられている。この被係止部材53は、この被係止部材53を回転させた状態で、取付部材52を引き出し体3の前板14の裏面に取り付けることによって、この被係止部材53が取り付け時の障害とならないように、取付部材52に対して回転可能に取り付けられている。
さらに、この被係止部材53は、細長略矩形平板状に形成されており、長手方向を引き出し体3の移動方向である引き出し方向に沿わせた状態で、この引き出し体3に取り付けられている。さらに、この被係止部材53は、長手方向における一端縁である基端縁が、細長棒状のピン体54を介して取付部材52に回転可能に取り付けられている。すなわち、この被係止部材53は、水平方向に沿った方向に向けて回転可能に取り付けられている。
さらに、この被係止部材53の長手方向における他端である先端縁は、平坦な平坦面55とされている。この平坦面55は、被係止部材53の幅方向に亘って形成されている。そして、この被係止部材53の先端縁より基端側には、この被係止部材53の厚さ方向に向けて貫通した被係止凹部56が形成されている。この被係止凹部56は略矩形状に開口しており、この被係止凹部56の先端側の内側面が、この被係止凹部56の先端縁と平行な被係止部としての平坦な係止縁部57とされている。
そして、この係止縁部57は、ラッチ体32の係合面33が係合可能な形状に形成されている。すなわち、この係止縁部57は、ラッチ体32の係合面33よりも若干大きな幅寸法を有し、この係合面33よりも大きな曲率の円弧状に形成されている。したがって、この係止縁部57には、耐震ラッチ1の転動体31の転動による、この転動体31の押圧によって回転して突出したラッチ体32の係合面33が係合するように構成されている。
次に、上記第1の実施の形態の作用を説明する。
非震動時においては、図3および図4に示すように、耐震ラッチ1の転動体31がケース体21の転動体設置部23上である、この転動体設置部23の長手方向に沿った一対の傾斜面25間に位置して、この転動体31が常体位置となっている。
したがって、ケース体21の係止凸部29とラッチ体32の係止片部38との間に取り付けられた巻ばね41の弾性力による、ケース体21の収容凹部22内へのラッチ体32の付勢によって、このラッチ体32の係合面33がケース体21の収容凹部22より外側に突出しない状態で、この収容凹部22内に収容されている。
このため、家具本体2から引き出し体3を引き出す際に、ラッチ受け具51の係止縁部57に耐震ラッチ1のラッチ体32の係合面33が係合しないので、この家具本体2から引き出し体3を引き出すことができる。
次いで、家具本体2に引き出し体3を収容させた状態で地震が起きると、図5および図6に示すように、震動時においては耐震ラッチ1の転動体31が引き出し体3の移動方向に沿って転動する。
すなわち、この転動体31が、ケース体21の転動体設置部23の長手方向に沿った中央部に設置されている常体姿勢から、このケース体21の転動体設置部23の一対の傾斜面25のいずれか一方の傾斜に抗して転動して姿勢変化する。
このとき、この転動体31の引き出し体3の移動方向に沿った転動によって、この転動体31の外周面がラッチ体32のいずれか一方の傾斜面46に当接して、この傾斜面46を押圧する。
この結果、この転動体31によるラッチ体32の傾斜面46の押圧によって、この転動体31が引き出し体3の移動方向に沿って転動する力がラッチ体32の傾斜面46にて引き出し体3の移動方向に直交する方向である、このラッチ体32の係合面33を突出させようとする力に変換される。
すなわち、転動体31によるラッチ体32の傾斜面46の押圧によって、ケース体21の係止凸部29とラッチ体32の係止片部38との間を付勢する巻ばね41の弾性力による、このラッチ体32をケース体21の収容凹部22内に収容させようとする力に抗して、このラッチ体32の係合面33がケース体21の収容凹部22内から外側に向けて突出する。
したがって、このケース体21の収容凹部22内から突出したラッチ体32の係合面33が、ラッチ受け具51の係止縁部57に係合して係止される。このため、この係止縁部57へのラッチ体32の係合面33による係合によって、家具本体2内から引き出し体3が引き出せない状態となるので、振動による家具本体2からの引き出し体3の飛び出しなどが防止される。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、震動時に耐震ラッチ1の転動体31が引き出し体3の移動方向に沿って転動する。そして、この転動体31の転動によって、この転動体31がラッチ体32の傾斜したいずれか一方の傾斜面46に当接する。この結果、この転動体31がケース体21の傾斜面25に抗して転動する力が、ラッチ体32の傾斜面46によって、引き出し体3の移動方向に直交する方向である、ラッチ体32の係合面33を突出させようとする力に変換される。
したがって、この転動体31の転動によってラッチ体32の係合面33がケース体21の収容凹部22内から突出する。このため、これら耐震ラッチ1およびラッチ受け具51の取り付け向きに関わらず、震動時の転動体31の転動によってラッチ体32の係合面33がラッチ受け具51の係止縁部57に係止して、このラッチ受け具51が取り付けられた引き出し体3が家具本体2内に固定される。
この結果、震動時に家具本体2内から引き出し体3が引き出せなくなるから、この家具本体2からの引き出し体3の飛び出しなどを防止できる。
また、ケース体21の収容凹部22内に転動可能に収容されている転動体31に対して、この転動体31が転動する方向に直交する位置にラッチ体32を並設させたことにより、これらラッチ体32および転動体31をより効率良くケース体21の収容凹部22内に収容できるので、耐震ラッチ1をより小型化できる。
また、ラッチ体32の転動受部45の両側縁に傾斜面46を設けたことにより、転動体31が引き出し体3の移動方向に沿ったいずれの方向に転動した場合であっても、この転動体31がラッチ体32のいずれか一方の傾斜面46に当接する。したがって、このラッチ体32の傾斜面46への転動体31の押圧によって、このラッチ体32の係合面33がケース体21の収容凹部22内から突出する。このため、転動体31の転動向きに関わらず、ラッチ体32の係合面33をラッチ受け具51の係止縁部57に係合できるから、引き出し体3を家具本体2から引き出せないようにできる。
さらに、ケース体21の転動体設置部23に、この転動体設置部23の中心部からこの長手方向に沿った両端部に向けて上方に傾斜した一対の傾斜面25を設けた。この結果、この転動体設置部23に設置された転動体31が感震時に転動体設置部23の長手方向に沿ったいずれの方向に転動した場合であっても、この転動体31の自重によって、この転動体31が震動停止時に一対の傾斜面25にて、これら一対の傾斜面25間である中央部へと案内される。したがって、震動停止時に転動体31が一対の傾斜面25間である常体位置へと案内されるので、この震動停止時にラッチ体32がケース体21の収容凹部22内へと収容可能となるため、震動停止時の耐震ラッチ1の感震動作の解除が可能となる。
また、ケース体21の転動体設置部23に設けた一対の傾斜面25のそれぞれに、転動体設置部23の中心部から幅方向に沿って両側部へと上方に傾斜した一対のテーパ面26を設けた。この結果、このケース体21の転動体設置部23に設置された転動体31が感震時に転動すると、この転動体31の自重によって、この転動体31が一対のテーパ面26にて転動体設置部23の幅方向の中央部に案内された状態で、この転動体31が転動体設置部23の長手方向に沿って転動する。したがって、この転動体31を転動体設置部23の長手方向に沿って確実に転動できるとともに、この転動体31の転動時における転動体設置部23からの落下を防止できる。
さらに、ケース体21の係止凸部29とラッチ体32の係止片部38との間に巻ばね41を取り付けて、この巻ばね41の弾性力でラッチ体32をケース体21の収容凹部22内に付勢して収容させる構成とした。この結果、感震時の転動体31の転動が復帰した際に、巻ばね41の弾性力によって、ラッチ体32のケース体21からの突出が解除され、このラッチ体32がケース体21の収容凹部22内に確実に収容される。
このため、このラッチ体32の係合面33によるラッチ受け具51の係止縁部57への係合が巻ばね41による付勢にて解除される。したがって、震動停止時の耐震ラッチ1の感震動作の解除である復帰動作を、巻ばね41の弾性力にて補助できるから、震動停止時の耐震ラッチ1の感震動作の解除をより確実にできる。
すなわち、この巻ばね41の弾性力によって、家具本体2内での引き出し体3の停止状態である固定が解除されて、この引き出し体3が家具本体2から引き出し可能となるから、ラッチ体32の初期状態の移動によって、引き出し体3の停止状態を解除できる。さらに、巻ばね41の弾性力によって、震動停止時に転動体31がラッチ体32の傾斜面46にて押圧されて、この転動体31が転動体設置部23上の常体位置へと案内される。したがって、この巻ばね41の弾性力によって震動停止時の転動体31の復帰動作を補助できる。
さらに、ケース体21の収容凹部22の上側面および下側面のそれぞれに転動体設置部23を設けたことにより、このケース体21を上下反転させて設置させても、このケース体21の収容凹部22のいずれかの転動体設置部23によって、震動時に転動体31を引き出し方向に沿って転動できる。
したがって、耐震ラッチ1を上下反転させて取り付けても、この耐震ラッチ1のラッチ体32が震動時に転動体31にて押圧されて突出して、ラッチ受け具51の係止縁部57に係合する。この結果、同一製品の耐震ラッチ1で左右共通または上下共通にできるから、この耐震ラッチ1の左右または上下の取り付け向きの変更を容易にできるので、この耐震ラッチ1の使い勝手を向上できる。
なお、図7に示す第2の実施の形態のように、ラッチ体32に作用する重力、すなわちこのラッチ体32の自重を利用して、このラッチ体32がケース体21の収容凹部22内に収容されるように付勢する構成とすることもできる。この場合、このケース体21の収容凹部22の下面側に設けられている軸止孔28の収容凹部22側の開口縁には、円環状の係合突部61が設けられている。この係合突部61は、収容凹部22の下側に位置する下側面上であるとともに、この収容凹部22の下面側の軸止孔28の同心状に設けられている。
また、この係合突部61は、収容凹部22の下面に沿った平坦な平坦部62を備えている。この平坦部62は、収容凹部22の前端側および開口側に近接した係合突部61の一部である約半分の領域に形成されている。さらに、この平坦部62の一端部には、この平坦部62から垂直に上方に向けて突出した垂直面である鉛直面部63が設けられている。この鉛直面部63は、ケース体21の収容凹部22の開口側に位置しており、この収容凹部22の高さ方向である鉛直方向に沿った垂直面である。
さらに、この鉛直面部63よりも収容凹部22の内側に位置する係合突部61の一部には、この係合突部61の平坦部62よりも上方に向けて突出した平坦な水平面部64が設けられている。この水平面部64は、係合突部61の平坦部62に対して平行に形成されており、収容凹部22の後端側および内側に近接した係合突部61の一部の領域に形成されている。
そして、この水平面部64と平坦部62との間には、この水平面部64と平坦部62とを連結させる連結面としての傾斜面部65が形成されている。この傾斜面部65は、水平面部64側から平坦部62側に向けて下方に傾斜した傾斜面であり、係合突部61の鉛直面部63に略対向した位置に設けられている。すなわち、この傾斜面部65は、ラッチ体32の回転方向に向けて傾斜している。
また、このラッチ体32の幅方向である鉛直方向における下面には、ケース体21の係合突部61に対応した形状の被係合突部66が突設されている。この被係合突部66は、ラッチ体32の下面へと貫通した軸挿通孔35の開口縁に同心状に設けられた半円弧状の突部である。そして、この被係合突部66は、ケース体21の係合突部61の平坦部62に当接する被平坦部67を備えている。
この被平坦部67の後端寄りには、ケース体21の係合突部61の傾斜面部65に当接して、このケース体21の収容凹部22内へとラッチ体32を自重によって摺接させて摺動させる摺接部としての摺接面部68が形成されている。この摺接面部68は、ラッチ体32に作用する重力、すなわちこのラッチ体32の自重による作用によって、ケース体21の傾斜面部65を押圧して摺接して、このケース体21の収容凹部22内にラッチ体32を収容させる。このとき、この摺接面部68および傾斜面部65は、ケース体21の収容凹部22内にラッチ体32を収容させる力が、感震時に転動体31がラッチ体32を押圧する力より小さくなるように、これら摺接面部68および傾斜面部65それぞれの傾斜角度が設定されている。
ここで、これら被平坦部67および摺接面部68にて構成された被係合突部66は、ラッチ体32をケース体21の収容凹部22内側に付勢する付勢手段としての付勢機構69の一部を構成する。そして、この付勢機構69は、ラッチ体32の係合面33が突出方向の反対側である、このラッチ体32の係合面33をケース体21の収容凹部22内に収容させる方向に、このラッチ体32を付勢するように構成されている。
この結果、ラッチ体32の摺接面部68をケース体21の傾斜面部65に当接させて、このラッチ体32の自重にて、このラッチ体32をケース体21の収容凹部22の内側に向けて付勢して収容させる構成としたことにより、転動体31の復帰時にラッチ体32がケース体21の収容凹部22内に確実に収容されるとともに、この転動体31の復帰動作がラッチ体32による押圧にて補助されるから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、ケース体21の傾斜面部65とラッチ体32の摺接面部68との摺接によって、震動停止時にラッチ体32をケース体21の収容凹部22内へと強制的に収容させる構成としたことにより、ケース体21とラッチ体32との間に巻ばね41などの付勢手段を取り付けることなく、転動体31の転動が復帰した際に、ラッチ体32の係合面33の突出が解除されて、このラッチ体32の係合面33によるラッチ受け具51の係止縁部57への係合が解除される。
このため、家具本体2内での引き出し体3の停止状態である固定が解除されて、この引き出し体3が家具本体2から引き出し可能となる。したがって、耐震ラッチ1のケース体21に傾斜面部65を設け、ラッチ体32に摺接面部68を設けるという簡単な構成で、震動の停止時に耐震ラッチ1の感震動作を確実に解除できる。すなわち、このラッチ体32をケース体21の収容凹部22内に付勢する機構を、これらケース体21およびラッチ体32に容易に作り込むことができるとともに、このラッチ体32をケース体21内に付勢する機構の構成を簡略にできる。
このとき、これらケース体21とラッチ体32との間に挿通されたピン体36に押圧手段として図示しないコイルばねを挿通させて、このコイルばねの弾性力でラッチ体32の摺接面部68をケース体21の傾斜面部65に押圧させ、このラッチ体32をケース体21の収容凹部22内に向けて付勢する構成とすることもできる。
すなわち、このコイルばねは、震動停止時に転動体31がケース体21の一対の傾斜面25間である定常位置へと転動した際に、このコイルばねの弾性力によって、ラッチ体32をケース体21側に向けて回転させ、このラッチ体32の係合面33をケース体21の収容凹部22内へと収容させる。したがって、このコイルばねは、ラッチ体32の係合面33によるラッチ受け具51の係止縁部57への係合を解除させて、家具本体2から引き出し体3を引き出し可能にする。
この結果、耐震ラッチ1の上下を反転させても、コイルばねの弾性力によって、震動停止時にラッチ体32がケース体21の収容凹部22内に確実に収容できる。したがって、耐震ラッチ1の上下を反転させても、コイルばねの弾性力で震動停止時に耐震ラッチ1を復帰動作できるから、この耐震ラッチ1の使い勝手をより向上できる。
ここで、コイルばねの弾性力でラッチ体32をケース体21の収容凹部22内側に向けて付勢する構成としたが、このコイルばね以外の、例えば板ばねなどの付勢手段でラッチ体32をケース体21内に向けて直接的に付勢することもできる。そして、この付勢手段を、ラッチ体32あるいはケース体21に一体成形された樹脂部材や金属板などの可撓性を有する弾性手段で構成することもできる。
さらに、家具本体2の各側板部5の内側面にケース体21を取り付けるとともに、引き出し体3の各側板12の外側面にラッチ受け具51を取り付けた構成としたが、この家具本体2の側板部5自体にケース体21を設けて固定部材として機能させたり、引き出し体3の側板12自体をラッチ受け具51として機能させて移動部材としたりすることもできる。
なお、上記各実施の形態では、転動体31を球状の錘体としたが、図8に示す第3の実施の形態のように、この転動体31をコロなどの円筒状の錘体とすることもできる。この場合、この転動体31は、軸方向をケース体21の厚さ方向に沿わせた状態で、このケース体21の収容凹部22内の転動体設置部23上に設置されている。
そして、この転動体31は、震動時にケース体21の長手方向に沿って転動して、ラッチ体32のいずれか一方の傾斜面46を押圧する。したがって、この転動体31が震動時にラッチ体32の係合面33を突出させてラッチ受け具51の係止縁部57に係合させて係止させるので、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、ケース体21の収容凹部22内の上面および下面のそれぞれに転動体設置部23を設けたが、この収容凹部22内の4面すべてに転動体載置部23を設けることもできる。さらに、これら転動体設置部23上の転動面24を構成する一対の傾斜面25を、断面V溝状となる一対のテーパ面26で構成したが、これら一対の傾斜面25を断面凹溝状に湾曲した円弧面で構成することもできる。
この場合、これら円弧面で構成された一対の傾斜面25をつなげて、2つの円錐の底面同士を同心状に連結させた形状や、2つの円錐台の底面同士を同心状に連結させた略樽形状などの転動面24をケース体21の収容凹部22内に形成することもできる。
さらに、ケース体21内の転動体設置部23上の転動面24を中央に向って両側から傾斜する一対の傾斜面25にて構成したが、この転動面24をケース体21の長手方向に沿って傾斜した一方の傾斜面25のみで構成することもできる。