JPH0932392A - 扉の耐震ロック装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常時の開扉操作性を損なわずに地震時の閉
扉保持力の増強を達成する。 【解決手段】 その慣性によって扉の開放側端縁の開扉
軌跡の接線方向にケーシングと相対移動自在なる永久磁
石片、及び、通常位置にある永久磁石片の側面に吸着さ
れてケーシングの外壁から没入した位置と、慣性で移動
する永久磁石片に押し退けられてケーシングの外壁から
突出した位置との間で変位可能なるフック部材とを収納
したケーシングをキャビネット本体に固定し、地震の揺
れによる慣性力で移動した永久磁石片に押し退けられて
ケーシングの外壁から突出したフック部材に係合し得る
係合部材を扉に固定するものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、扉が地震により開
いてしまうことを防止するための耐震ロック装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば食器棚、本棚、キッチン用吊り戸
棚など、家庭用家具の扉の多くは、開口面積が大きくと
れるので観音開きの扉が多用されている。この観音開き
の扉の閉扉保持手段は、ヒンジ部に設けた反転スプリン
グや、マグネットキャッチャ等が一般に用いられてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の閉扉
保持手段は、開扉操作は容易である反面、閉扉保持力が
極めて低いのが実情である。そのため、大地震に遭遇し
た際に、キャビネットを転倒防止金具などで壁面に固定
しておいても、地震の揺れによって収納品が扉の内面に
衝突した衝撃で扉が開いてしまい、収納品が落下、散乱
する、といった事例が比較的多く見られる。つまり従来
の観音開きの扉は、開扉操作を容易にすると閉扉保持力
が低下するといった欠点を有するものであった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決
し、通常時の開扉操作性を損なわずに地震時の閉扉保持
力の増強を達成するために、本発明に於いては、その慣
性によって扉の開放側端縁の開扉軌跡の接線方向にケー
シングと相対移動自在なる永久磁石片、及び、通常位置
にある永久磁石片の側面に吸着されてケーシングの外壁
から没入した位置と、慣性で移動する永久磁石片に押し
退けられてケーシングの外壁から突出した位置との間で
変位可能なるフック部材とを収納したケーシングをキャ
ビネット本体に固定し、地震の揺れによる慣性力で移動
した永久磁石片に押し退けられてケーシングの外壁から
突出したフック部材に係合し得る係合部材を扉に固定す
るものとした。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発
明の実施の形態について詳細に説明する。

【０００６】図１は、本発明に基づき構成された観音開
き扉用の耐震ロック装置を示している。このロック装置
１は、キャビネットの天板の内面中央に固定された箱形
のケーシング２内に、永久磁石片からなる慣性移動体
３、及び磁性材からなるフック部材４を収容してなるロ
ック本体５と、遊端縁同士を互いに突き合わせた一対の
扉６の内面の遊端側にロック本体５の側面に対向して固
定されたＬ字形金具７とからなっている。

【０００７】慣性移動体３は、概ね台形をなす永久磁石
片の外周面を例えばフッ素系合成樹脂材のような潤滑性
に富む材料で被覆して成り、ケーシング２の底面に設け
られたガイド突条８に係合して扉６の開閉軌跡の接線方
向に沿って滑動し得るようになっている。そしてこの慣
性移動体３は、適宜に設定された所定の振動加速度で移
動し得る慣性質量が与えられている。

【０００８】慣性移動体３の両側方には、一端側が概ね
Ｌ字形に曲折された一対のフック部材４が、水平面上で
旋回動可能なように、その他端９をもってケーシング２
の底面に枢支されている。そして両フック部材４が旋回
動した際に、Ｌ字形に曲折されたその終端部１０がケー
シング２の外側へ突出し得るように、ケーシング２の両
側壁には貫通孔１１が設けられている。

【０００９】これら慣性移動体３とフック部材４との各
部の寸法及び位置関係は、慣性移動体３がケーシング２
の奥側の扉６から離間した位置にある状態で慣性移動体
３のテーパ状をなす側面１２にフック部材４のアーム部
１３が磁気吸着され、この時フック部材４の遊端の終端
部１０がケーシング２内に没入するように定められてい
る。

【００１０】一方、ケーシング２の扉側の前壁内面に
は、磁性材からなる吸着板１４が固定されている。そし
てこの面の中央には、吸着板１４を貫通したスリット状
の孔１５が開設されている。

【００１１】扉６の開口端側の内面には、閉扉状態でケ
ーシング２の両側壁に対向する位置にＬ字形金具７がそ
れぞれ固定されている。これらのＬ字形金具７には、扉
６の開閉軌跡の接線方向に沿って長い長孔１６が、各側
壁の貫通孔１１に対応する位置に開設されている。

【００１２】次に上記装置の作動要領について説明す
る。

【００１３】通常は、慣性移動体３はケーシング２の奥
側にあり、その側面１２にアーム部１３が吸着し、フッ
ク部材４の全体がケーシング２内に収容された状態で静
止している。この状態では、ロック本体５とＬ字形金具
７とは互いに干渉しないので、扉６は自由に開閉するこ
とができる。

【００１４】地震の際に所定値以上の振動加速度が扉６
の開閉軌跡の接線方向に作用すると、慣性移動体３がケ
ーシング２の底面を滑動して前方へ移動する。そして前
側の吸着板１４に磁気吸着すると、その位置で固定され
る。この時、慣性移動体３のテーパ状側面１２でアーム
部１３が押し退けられることによってケーシング２の側
壁外面からフック部材４の終端部１０が突出し、これが
扉６の内面に固定されたＬ字形金具７の長孔１６に突入
する。これにより、収納品が内面に衝突しても扉６は開
くことができなくなり、収納品が飛散することが防止さ
れる。

【００１５】ロック状態を解除するには、吸着板１４を
貫通してケーシング２の前面に設けられたスリット状の
孔１５に、薄い鋼板等で形成した解除工具１７を扉６の
隙間を介して差し込み、ケーシング２の奥側へ慣性移動
体３を一杯に押し込むことにより、フック部材４が元の
位置に復帰してＬ字形金具７との係合が解かれるので、
扉６を開くことができるようになる。

【００１６】

【発明の効果】このように本発明によれば、地震振動を
感知して扉が自動的にロックされるような構成をとるこ
とができるので、通常の円滑な開閉操作性を低下させず
地震時の閉扉保持力を高める上に大きな効果を奏するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の通常状態を一部切除して示す平面
図。

【図２】本発明装置の作動状態を一部切除して示す平面
図。

【図３】本発明装置のリセット操作状態を一部切除して
示す平面図。

【符号の説明】

１ ロック装置 ２ ケーシング ３ 慣性移動体 ４ フック部材 ５ ロック本体 ６ 扉 ７ Ｌ字形金具 ８ ガイド突条 ９ 他端 １０ 終端部 １１ 貫通孔 １２ 側面 １３ アーム部 １４ 吸着板 １５ スリット状孔 １６ 長孔 １７ 解除工具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャビネット本体に固定されたケーシン
   グ内に収納され、その慣性によって扉の開放側端縁の開
   閉軌跡の接線方向にケーシングと相対移動自在なる永久
   磁石片、及び、通常位置にある永久磁石片の側面に吸着
   されてケーシングの外壁から没入した位置と、慣性力で
   移動した永久磁石片に押し退けられてケーシングの外壁
   から突出した位置との間で変位可能なるフック部材と、 前記ケーシングの外壁から突出した前記フック部材に係
   合し得るように扉に固定された係合部材とからなること
   を特徴とする扉の耐震ロック装置。