JP2006200059A - 蒸気滅菌処理したのち再使用される繊維製品 - Google Patents

蒸気滅菌処理したのち再使用される繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】病院・介護施設・食品産業・バイオ研究施設などで使用されるユニフォーム等の衣料品やシーツなどの繊維製品であって、繰り返しの高温高圧蒸気処理により消毒・滅菌処理に対し高い耐久性を有し、さらに強アルカリ、強酸に対しても高い耐久性を有し、従来のポリエステルなみに染色加工が可能な繊維製品を提供する。
【解決手段】ジカルボン酸の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であるジカルボン酸成分とジアミン成分の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであるジアミン成分とからなるポリアミド繊維からなる繊維製品。
【選択図】なし

Description

本発明は、病院・介護施設・食品産業・バイオ研究施設などで使用されるユニフォーム等の衣料品やシーツなどの繊維製品に関し、詳しくは、蒸気滅菌処理したのち再使用される繊維製品であって、高温高圧蒸気処理(オートクレーブ処理)による消毒・滅菌処理に対して高い耐久性を示す繊維製品に関する。
従来、病院・介護施設・食品産業・バイオ研究施設では、使用後のユニフォーム等の衣料製品やシーツなどについては、その約80%にディスポーザブル製品が用いられている。そのため、使用後は医療廃棄物、産業廃棄物として焼却処分されるため、環境問題のおおきなひとつとして指摘されている。
焼却処分に代えて、再使用(リユース)する方法があり、再使用するためには、一般的に、使用後の繊維製品を高温高圧蒸気処理(オートクレーブ処理)により消毒・滅菌処理する方法が採用されている。従来、病院・介護施設・食品産業・バイオ研究施設で使用されているユニフォームやシーツなどの繊維製品は、ポリエチレンテレフタレート系のポリエステル長繊維を使用したものが多いが、従来のポリエステル系長繊維を使用した製品では、繰り返しオートクレーブ処理により経時的に加水分解による強度劣化を起こし、リユースにも限界があるのが現状である。加えて最近では、オートクレーブ処理の効率化の要求により、より高温処理条件が採用されるようになり、さらにリユース回数が減少するという問題が生じている。この対策として、ポリエステルの耐加水分解性を高めるべく、カルボキシル末端封鎖ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリエチレンテレフタレート等が発表されている。例えば特開2002−4146公報(特許文献1)には、蒸気滅菌用の布帛としてポリトリメチレンテレフタレート繊維を使用した布帛が適していることが記載されている。
しかしながら、従来のポリエステルよりは優れているものの本発明品の示す耐久性には至っていない。また、ポリエチレンテレフタレートのみならず、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリエチレンテレフタレートにおいてもエステル結合を有しており、これらエステル結合を有するポリマーは強アルカリ条件下加水分解が進行し、容易に強度劣化する弱点も有していることも周知の事実である。
特開2002−4146公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、繰り返しのオートクレーブ処理に対し高い耐久性を有し、さらに強アルカリ、強酸に対しても高い耐久性を有する結果、高温高圧蒸気処理により消毒・滅菌処理が行われたのち再使用に適した繊維製品を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行ってきた結果、特定の芳香族ジカルボン酸と特定のアルキレンジアミンからなるポリアミド繊維にて達成できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、高温高圧蒸気処理により消毒・滅菌処理が行われたのち再使用される繊維製品において、該繊維製品の少なくとも一部が、ジカルボン酸単位の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であるジカルボン酸単位とジアミン単位の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであるジアミン単位とからなるポリアミド繊維から構成されていることを特徴とする繊維製品である。そして、好ましくは、該ポリアミド繊維を構成するポリアミドが、実質的に芳香族ジカルボン酸単位と脂肪族ジアミン単位からなり、該芳香族ジカルボン酸単位の90モル%以上がテレフタル酸であり、該ジアミン単位の90モル%以上が1,9−ノナンジアミンまたは1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用物であるである繊維製品である。
本発明に用いられるポリアミド繊維を構成するポリアミドは、ジカルボン酸単位とジアミン単位からなり、ジカルボン酸単位の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であること、およびジアミン単位の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであることに特徴を有する。
芳香族ジカルボン酸としては、耐高温高圧蒸気処理性の点でテレフタル酸が好ましく、このテレフタル酸の一部をイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香酸、4,4'−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4'−ジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の1種類または2種類以上で置き換えることもできる。
かかる芳香族ジカルボン酸の含有量は、耐高温高圧蒸気処理性の点でジカルボン酸単位の60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは90モル%以上が芳香族ジカルボン酸である場合である。上記芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等を挙げることができ、これらの酸は1種類のみならず2種類以上を併用することができる。
なかでも、繊維強度、耐オートクレーブ性および耐薬品性の点で、ジカルボン酸単位が100%芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。さらにトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を、繊維化・不織布化が容易な範囲内で含有させることもできる。
また、ジアミン単位の60モル%以上は炭素数が6〜12の脂肪族アルキレンジアミンで構成されていることが耐高温高圧滅菌処理性の点で必要であり、かかる脂肪族アルキレンジアミンとしては、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミンを挙げることができる。なかでも耐オートクレーブ性の点で、1,9−ノナンジアミンまたは1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用が好ましい。この脂肪族アルキレンジアミンの含有量はジアミン単位の60モル%以上であるが、75モル%以上、特に90モル%以上であることが好ましい。
上述の脂肪族アルキレンジアミン以外のジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルジアミン、トリシクロデカンジメチルジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、キシレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルエ−テル等の芳香族ジアミン、あるいはこれらの混合物を挙げることができ、これらは1種類のみならず2種類以上を併用することができる。
脂肪族アルキレンジアミンとして、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとを併用する場合、ジアミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつそのモル比は前者:後者=30:70〜99:1、特に前者:後者=40:60〜95:5、さらに好ましくは40:60〜60:40であることが繊維化工程性の点で好ましい。
以上のことから、本発明を構成するポリアミドとしては、実質的に芳香族ジカルボン酸単位と脂肪族ジアミン単位からなり、該芳香族ジカルボン酸単位の90モル%以上がテレフタル酸であり、該ジアミン単位の90モル%以上が1,9−ノナンジアミンまたは1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用物である場合である。
また、本発明に用いられるポリアミドは、その分子鎖における〔CONH/CH2 〕の比が1/2〜1/8、とくに1/3〜1/5であることが繊維強度で代表される繊維物性の点で好ましい。
上述のポリアミドの極限粘度(濃硫酸中30℃で測定した値)としては、0.6〜2.0dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.8dl/gの範囲、もっとも好ましくは0.7〜1.6dl/gの範囲である。該極限粘度の範囲内のポリアミドは、繊維化する際の溶融粘度特性が良好であり、さらに得られる繊維強度、耐オートクレーブ性、耐アルカリ性、耐酸性等が優れたものとなる。
さらに上述のポリアミドは、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましく、より好ましくは末端の40%以上、さらに好ましくは末端の70%以上が封止されている場合である。分子鎖の末端を封止することにより、得られる繊維強度、耐オートクレーブ性、耐アルカリ性、耐酸性等が優れたものとなる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であればとくに制限はないが、反応性および封止末端の安定性等の点からモノカルボン酸、モノアミンが好ましい。なかでも、取扱性の容易さ、反応性、封止末端の安定性、価格等の点でモノカルボン酸が好ましい。好適なモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸などを挙げることができる。なお、末端の封止率は1 H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めることができる。
上述のポリアミドの製造方法は特に制限されず、結晶性ポリアミドを製造する方法として公知の任意の方法を用いることができる。たとえば、酸クロライドとジアミンとを原料とする溶液重合法あるいは界面重合法、ジカルボン酸またはジカルボン酸のアルキルエステルとジアミンとを原料とする溶融重合法、固相重合法等の方法により製造できる。
一例を挙げると、末端封止剤、触媒、ジアミン成分およびジカルボン酸成分を一括して反応させ、ナイロン塩を製造した後、一旦280℃以下の温度において極限粘度が0.15〜0.30dl/gのプレポリマ−とし、さらに固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合を行うことにより、容易に製造することができる。重合の最終段階を固相重合を行う場合、減圧下または不活性ガス流通下に行うのが好ましく、重合温度が200〜250℃の範囲であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができるので好ましい。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合、重合温度が370℃以下であるとポリアミドの分解がほとんどなく、劣化のないポリアミドが得られるので好ましい。
重合触媒としてはリン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらのアンモニウム塩、それらの金属塩、それらのエステル類を挙げることができ、なかでも次亜リン酸ナトリウムが入手のし易さ、取扱性等の点で好ましい。また、必要に応じて銅化合物等の安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤等を重縮合反応時、またはその後に添加することができる。とくに熱安定剤としてヒンダ−ドフェノ−ル等の有機系安定剤、ヨウ化銅等のハロゲン化銅化合物、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属化合物を添加すると、繊維化の際の溶融滞留安定性が向上するので好ましい。
上述のようにして得られたポリアミドは、通常、溶融押出機を用いて溶融紡糸され、延伸が施されるが、スクリュ−型押出機を使用することが好ましい。ポリアミドの融点以上、360℃以下の温度で溶融し、30分以内の溶融滞留時間で口金ノズルより紡出することにより繊維化することができる。溶融温度、滞留時間が上記の範囲内であれば、紡糸時のポリアミドの熱分解を抑制することができる。
前述のごとく紡出した糸条を引取りロ−ラ等により引き取る。この時、必要に応じてノズル直下に加熱または保温ゾ−ンを設けたり、吹き付けチャンバ−等による冷却ゾ−ンを設けたり、紡出した糸条に油剤を塗布してもよい。延伸は加熱浴、加熱蒸気吹き付け、ロ−ラヒ−タ−、接触プレ−トヒ−タ−、非接触プレ−トヒ−タ−等を使用して270℃以下で行うことが好ましく、120〜230℃の範囲で行うことがより好ましい。さらに延伸倍率は2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。この時、270℃より高い温度で延伸を行うとポリアミドの劣化や結晶の再組織化等が起こり繊維強度が低下する。必要に応じて、延伸に引き続いて、さらに120〜270℃で定長熱処理、緊張熱処理または弛緩熱処理を行うことができる。上記の方法以外にも紡糸直結延伸を行うことも可能である。
また、繊維の繊度は、使用目的に応じて変更することができ、単繊維繊度が1デシッテクス〜30デシテックス程度とすることができる。さらに、繊維の断面形状も限定されず、円形以外に楕円形、三角断面、十字断面、中空断面など種々の断面の繊維とすることができる。
このようにして得られたポリアミド繊維は、常法により捲縮付与カットし、ステープルとして紡績糸とすることもできるし、また長繊維の場合、ディスク方式やベルト方式による仮撚加工により捲縮付与したウーリー加工糸とすることもできる。
このようにして得られた紡績糸またはウーリー加工糸は、140℃の湿熱処理1500分後50%以上の強度保持率を示し、また70℃の10%水酸化ナトリウム水溶液中で100時間処理後の強度保持率が80%以上であり、また70℃の10%硫酸水溶液中で100時間処理後の強度保持率が80%以上であり、高度な耐湿熱性、耐アルカリ性、耐酸性を有する繊維である。特に従来のポリアミド繊維の欠点であった、耐酸性にも優れる点は、素材の汎用性をさらに拡大するものである。
また、本発明のポリアミド繊維は、通常ポリエステル繊維に用いられる分散染料にて染色が可能であり、その堅牢度も実使用に適した耐久性を有している。
このようにして得られた繊維を、織物、編物、あるいは不織布等の繊維製品に供する。本発明に用いられるポリアミド繊維の初期強度は、2.0cN/dtex以上であることが好ましい。これは、本発明のポリアミド繊維の場合には、通常のポリエステル繊維の製造方法に準じた製糸条件に準じて容易に達成できる物性である。本発明に用いられるポリアミド繊維は、耐湿熱性に優れるとはいえ、オートクレーブ処理により強度劣化は免れないが、140℃湿熱1500分の処理後も実用可能レベルを目処とすると、初期強力値が2.0cN/dtexあれば、最大50%の強度劣化を受けたとしても、1.0cN/dtexの残留強度があり、強度的には実用上使用可能な下限レベルに留まることができる。
上述のポリアミド繊維からなる繊維製品は任意の製造方法で得ることができる。上記より得られた紡績糸あるいは長繊維を用い、任意の規格での織物・編物を製造し、必要により分散染料にて染色加工を施すことができる。最終的なユニフォームやシーツなどの繊維製品を作製する際には、使用する縫い糸も、本発明の紡績糸あるいは長繊維より作成した縫い糸を用いることが好ましい。なぜなら、生地自体の耐湿熱性が優れていても、縫い糸が強度劣化してしまうと、繊維製品が各パーツごとにバラバラになってしまう場合があるからである。
本発明の繊維製品は、上記したポリアミド繊維100%で構成されている場合がもっとも好ましいが、一部にそれ以外の繊維が用いられていても良い。
本発明の繊維製品の具体例としては、病院・介護施設・食品産業・バイオ研究施設等で使用するユニフォームや病院・介護施設等で使用するシーツ、布団カバー、パジャマ、枕カバー、タオル製品などが挙げられる。
そして、本発明では、これらのユニフォームやシーツ等は高温高圧蒸気処理により消毒・滅菌処理されるが、高温高圧蒸気処理による消毒・滅菌処理の具体的処理条件としては、120〜140℃、2〜4気圧で5〜40分処理する方法が用いられる。
本発明の繊維製品は、高温高圧蒸気処理により消毒・滅菌処理において劣化が低いことから、このような高温高圧蒸気処理により消毒・滅菌処理される繊維製品として適している。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法により測定した値である。
(1)繊維の強度(cN/dtex)
JIS L 1013の方法に準拠して測定した。
(2)強度保持率
繊維の初期強度をA1、処理後の残留強度をA2として、強度保持率K(%)は、下記式にて表される。なお、繊維は任意の20本を抜き出し、それぞれの強度を測定し、その平均値を用いた。
K={(A1−A2)/A1}×100 (%)
(3)140℃,1500分処理後の強度保持率(%)
繊維を140℃の飽和水蒸気中に放置した状態で1500分経過後の繊維の強度を測定し、処理前後の強度の比を求めた。測定した繊維の本数は20本である。
(4)70℃,10%硫酸水溶液処理後の強度保持率(%)
繊維を70℃の10重量%濃度の硫酸水溶液中に浸漬し、100分間放置した後の繊維の強度を測定し、処理前後の強度の比を求めた。測定した繊維の本数は20本である。
(5)70℃,10重量%濃度のNaOH水溶液処理後の強度保持率(%)
繊維を70℃の10%濃度のNaOH水溶液中に浸漬し、100分間放置した後の繊維の強度を測定し、処理前後の強度の比を求めた。測定した繊維の本数は20本である。
(6)洗濯堅牢度
JIS L0844B−1号の方法に準じて測定した。
実施例1
[ポリマーの調製]
テレフタル酸19.5モル、1,9−ノナンジアミン10モル、2−メチル−1,8−オクタンジアミン10モル、安息香酸1.0モル、次亜リン酸ナトリウム−水和物(原料に対して0.1重量%)および蒸留水2.2リットルを、内容積20リットルのオ−トクレ−ブに添加し、窒素置換を行った。ついで100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内温を210℃に昇温した。この時、オ−トクレ−ブは22kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2 に保持しながら反応を続けた。次に、30分かけて圧力を10kg/cm2 まで下げ、さらに1時間反応を続けてプレポリマ−を得た。このプレポリマ−を100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。粉砕物を230℃、0.1mmHg下にて10時間固相重合することに極限粘度0.9のポリマーを得た。このポリマーの〔CONH/CH2 〕の比は1/4であり、末端封止率は90%である。
[製糸]
上記ポリマーを、スクリュー型溶融押し出し機を用いて300℃にて押し出し、0.25φmmの孔が24個穿孔された口金ノズルより紡出し、2500m/分で巻き取った後、予熱温度93℃、延伸倍率2.5倍で延伸しつつ160℃接触プレートヒーターに接した後巻取り、86dtex、24フィラメントの長繊維を得た。強度は4.2cN/dtex、伸度は31%であった。本長繊維を、180℃のプレート温度にて常法のフリクションディスク型仮撚加工を施し、強度3.8cN/dtex,伸度25%のウーリー加工糸を得た。この加工糸をポリエステル繊維用の分散染料を用いてネイビーブルー色に染色した。
比較例1:ポリエチレンテレフタレート繊維からなるウーリー加工糸
(株)クラレ製のポリエチレンテレフタレート繊維からなるウーリー加工糸(銘柄CT120)、84dtex,24フィラメントを用いた。実施例1と同様の染色を行った。
比較例2:ポリブチレンテレフタレート繊維からなるウーリー加工糸
市販のポリブチレンテレフタレート樹脂(ポリプラスチック株式会社製)を用い、紡糸温度260℃にて0.25φmmの孔が24個穿孔された口金ノズルより紡出し、500m/分で巻き取った後、予熱温度65℃、延伸倍率2.7倍で延伸しつつ120℃接触プレートヒーターに接した後巻取り、84dtex、24フィラメントの長繊維を得た。強度は3.1cN/dtex、伸度は42%であった。本長繊維を、150℃のプレート温度にて常法のフリクションディスク型仮撚加工を施し、強度3.3cN/dtex,伸度36%のウーリー加工糸を得た。実施例1と同様の染色を行った。
比較例3:ポリトリメチレンテレフタレート繊維からなるウーリー加工糸
市販のポリトリメチレンテレフタレート樹脂(シェルジャパン株式会社製)を用い、紡糸温度260℃にて0.25φmmの孔が24個穿孔された口金ノズルより紡出し、1000m/分で巻き取った後、予熱温度70℃、延伸倍率3.0倍で延伸しつつ120℃接触プレートヒーターに接した後巻取り、85dtex、24フィラメントの長繊維を得た。強度は2.9cN/dtex、伸度は47%であった。本長繊維を、150℃のプレート温度にて常法のフリクションディスク型仮撚加工を施し、強度3.2cN/dtex,伸度45%のウーリー加工糸を得た。実施例1と同様の染色を行った。
比較例4:ナイロン6繊維からなるウーリー加工糸
宇部興産製のナイロン6チップを用いて通常の溶融紡糸方法によりナイロンウーリー加工糸(85dtex−24フィラメント)を得た。
実施例2
実施例1において、2−メチル−1,8−オクタンジアミン10モルの全量を1,9−ノナンジアミン10モルに置き換える以外は、同一の方法により、ジカルボン酸単位がテレフタル酸、ジアミン単位が1,9−ノナンジアミンであり、末端の90%が安息香酸により封鎖された極限粘度が0.95であるポリアミド樹脂を製造した。このポリマーの〔CONH/CH2 〕の比は1/4.5である。得られたポリアミド樹脂を口金温度を20℃ほど実施例1より高める以外は実施例1と同様にして、86dtex、24フィラメントの長繊維を得た。
強度は4.4cN/dtex、伸度は28%であった。本長繊維を、180℃のプレート温度にて常法のフリクションディスク型仮撚加工を施し、強度4.0cN/dtex,伸度23%のウーリー加工糸を得た。
表1に、本発明のポリアミド繊維の実施例と各比較例との強度保持率を示す。本発明のポリアミド繊維は、高温高圧処理に対して良好な強度保持性を示し、また、アルカリ・酸両方についても劣化の進行が極めて少ないことが分かる。一般にポリアミド繊維は、アルカリ性には良好な耐久性を示すものの、酸性条件下では容易に劣化が進行するが、本発明のポリアミド繊維は、耐酸性に優れる利点を有している。また、汎用のポリエステルと同様に分散染色にて染色可能であり、堅牢度も同等である。
Figure 2006200059
以上の実施例および比較例の加工糸を経糸および緯糸として用いてそれぞれ織物を作製し、これらの織物を1.2m×2.4mのシーツに仕上げた。その際の縫い糸として、それぞれの実施例および比較例で使用した繊維と同一の繊維からなる糸を使用した。このシーツを病院のベッド用のシーツとして3日間使用した後、131℃、2.7気圧で10分間の加熱加圧蒸気滅菌処理を行い、そして、通常のアニオン系の洗剤で洗濯乾燥させた後、アイロン掛けして、再度病院のベッドのシーツとして使用するリユースを15回繰り返した。その結果、繊維の強度保持率を表2に示す。
Figure 2006200059

Claims (2)

  1. 高温高圧蒸気処理により消毒・滅菌処理が行われたのち再使用される繊維製品において、該繊維製品の少なくとも一部が、ジカルボン酸単位の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であるジカルボン酸単位とジアミン単位の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであるジアミン単位とからなるポリアミド繊維から構成されていることを特徴とする繊維製品。
  2. ポリアミド繊維を構成するポリアミドが、実質的に芳香族ジカルボン酸単位と脂肪族ジアミン単位からなり、該芳香族ジカルボン酸単位の90モル%以上がテレフタル酸であり、該ジアミン単位の90モル%以上が1,9−ノナンジアミンまたは1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用物である請求項1記載の繊維製品。
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