JP2006199577A - フッ化金属単結晶体製造用引上げ装置および該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法 - Google Patents

フッ化金属単結晶体製造用引上げ装置および該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フッ化金属単結晶体の口径にかかわらず、単結晶体内部に存在する散乱体の数が極めて少ないフッ化金属単結晶体を製造することが容易な引上げ装置、および該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法を提供する。
【解決手段】フッ化金属単結晶育成炉を形成するチャンバー内に、外坩堝と該外坩堝内に収納されてなる内坩堝とからなる二重構造坩堝が設けられてなり、該二重構造坩堝における外坩堝と内坩堝の両内空部は一部連通しており、さらに、該二重構造坩堝は外坩堝に対する内坩堝の収納深さを連続的に変化させることが可能な構造の引上げ装置において、該単結晶体の育成に伴う内坩堝内の原料溶融液の減少に応じて、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを深くしていき、引上げの開始当初から終了までを、内坩堝内の原料溶融液の液量を一定範囲の浅い状態に維持して引上げをおこなう。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ化金属単結晶体製造用引上げ装置、詳しくは、光学材料を切り出した際に、その使用に大きく影響する、単結晶体内部に存在する散乱体の数が極めて少ないフッ化金属単結晶体を製造することが容易な引上げ装置、および該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法に関する。
フッ化カルシウムや、フッ化バリウム等のフッ化金属の単結晶体は、広範囲の波長帯域にわたって高い透過率を有し、低分散で化学的安定性にも優れることから、紫外波長または真空紫外波長のレーザを用いた各種機器、カメラ、CVD装置等のレンズ、窓材等の光学材料として需要が広がってきている。とりわけ、フッ化カルシウム単結晶体は、光リソグラフィー技術において次世代の短波長光源として開発が進められているArFレーザ(193nm)やFレーザ(157nm)での光源の窓材、光源系レンズ、投影系レンズとして期待が寄せられている。
従来、こうしたフッ化金属の単結晶体は、坩堝降下法(ブリッジマン法)や単結晶引上げ法(チョクラルスキー法)により製造するのが一般的である。ここで、坩堝降下法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液を、坩堝ごと徐々に下降させながら冷却することにより、坩堝中に単結晶を育成させる方法である。一方、単結晶引上げ法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液面に、目的とする単結晶からなる種結晶を接触させ、次いで、その種結晶を坩堝の加熱域から徐々に引上げて冷却することにより、該種結晶の下方に単結晶を育成させる方法である。
これら坩堝降下法や単結晶引上げ法等により製造されるフッ化金属のアズグロウン単結晶体には、集光照明下で観察を行うと、光を散乱して光っている粒として観測される内部欠陥、所謂、散乱体(Scattering body)が多数存在している問題があった。例えば、坩堝降下法により得られるフッ化金属単結晶体の場合、最大直径が20μm以下の散乱体が1cm当たり160個以下の光学部材を得るために、そのアズグロウン単結晶体全体から該散乱体の少ない単結晶体下部の一部分を選定して切り出さねばならないことが報告されている(特許文献1参照)。また、係る散乱体は、後述するようにその実態はほとんどが空孔であるため、坩堝中に収容された原料溶融液において、下方の液よりも上方の液が結晶化する過程で形成され易い状況があり、単結晶引上げ法により単結晶体を製造する場合には、上記坩堝降下法よりも、さらに激しく形成され易い傾向があった。
しかも、いずれの方法においても、これら散乱体は、小口径のものよりも大口径の単結晶体を製造する場合において、より顕著に発生していた。
散乱体が単結晶体中に多く存在すると、この単結晶体を光学材料に加工した場合には、光の散乱により透過率が低下したり、コントラストが低下したり、フレアやゴーストが発生する虞がある。したがって、単結晶体中において、該散乱体は極力減らす必要があるが、坩堝降下法や単結晶引上げ法において、該散乱体の形成を、光学材料の切り出しにおいて最も有用な箇所である直胴部や、或いはアズグロウン単結晶体全体にわたって有効に抑制する方法は知られておらず、現状では、その形成量が少ない僅かの部分を選択して切り出すしか手はなかった。よって、大口径の光学材料を切り出すことは難しく、また、小口径のものも、係る切り出し部分以外のアズグロウン単結晶体の大部分は不良品にせざるを得ず、製品の歩留まりが著しく低かった。
こうした背景にあって、本発明者らは、前記したとおり一般的には、散乱体の形成がより激しくなるはずである単結晶引上げ法においても、原料フッ化金属の溶融液の深さを、単結晶体の直胴部直径の0.65倍以下の深さにして引上げを行えば、該散乱体の形成を大きく抑制できることを見出し、先に特許出願した(特願2004−309430)。この方法によれば、散乱体形成の原因になる坩堝中での溶融液の自然対流を大きく弱めることができ、その結果、該散乱体の存在量が少ない大口径のフッ化金属のアズグロウン単結晶体を効率的に製造することができる。
しかしながら、この方法を、フッ化金属単結晶体の製造用として知られる既存の引上げ装置を用いて実施しようとしても、底の深い大口径の坩堝の中に、原料フッ化金属を極力少なめに収容して引上げを実施しようとすると、引上げ開始当初は、どうしても溶融液を深めに収容せざるを得ず、その効果を十分に発揮させることができなかった。特に、引上げる単結晶体が、大口径で直胴部の長さも長い場合には、引上げ開始当初は、前記規定値よりも溶融液を深く収容しなければならないこともあり得、この場合、上記溶融液が浅い状態での単結晶の育成は相当に引上げが進んだ状態でしか達成しえず、得られるアズグロウン単結晶体は、ショルダー部等の上方部においてかなりの散乱体が形成されたものになっていた。
ここで、フッ化金属単結晶体の引上げ開始当初から引上げ完了まで一定の溶融液深さを維持する方法としては、単結晶の引上げによって減少した溶融液に相当する原料を坩堝内に補充する方法が知られている。しかし、フッ化金属は高温における酸素や水との反応性が非常に高いため補充する原料に対しても高温脱水化処理やフッ化処理など入念な高純度化処理が必要であり、このような高純度を保った状態で補充することは装置構造上非常に困難である。
なお、単結晶体の引上げ装置としては、不純物をドーパントしたシリコン等の半導体単結晶体の製造用として、不純物濃度の均一性を高めるために外坩堝と内坩堝戸からなる二重構造をした坩堝を用いることが知られている(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。しかしながら、こうした二重構造坩堝を備えた引上げ装置は、半導体材料が主の用途であり不純物のドーパントなどは行わないフッ化金属単結晶体の製造には使用する動機がなく、事実、使用した例は全く知られていない。
国際公開第02/077676号パンフレット 特願昭61−261288号公報 特願昭62−87489号公報
以上から、製造する単結晶体の口径や直胴部の長さ等に影響されることなく、引上げの開始当初から終了までを、原料フッ化金属の溶融液が一定範囲の浅い状態で引上げを実施でき、上記溶融液が浅い状態での引上げによる単結晶体内部への散乱体の形成抑制作用を最大限に発揮させることが可能なフッ化金属単結晶体製造用の引上げ装置を開発することが大きな課題であった。
さらに、フッ化金属単結晶体の引上げ法による製造においては、原料フッ化金属を溶融液とした際に、該溶融液に固体不純物が発生し浮遊することが多々あり、このような状態で単結晶体の引上げを実施すると、該固体不純物が単結晶体に取り込まれたり、製造される結晶体が、これを起点として部分的に多結晶化する問題があったりした。
したがって、フッ化金属単結晶体製造用引上げ装置においては、こうした坩堝中の原料フッ化金属の溶融液に浮遊する固体不純物を、簡単に除去できるように構造を改善することも大きな課題であった。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を続けてきた。その結果、引上げ装置に設けられた坩堝を、特定の二重坩堝構造とすることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、単結晶育成炉を形成するチャンバー内に、外坩堝と、該外坩堝内に収納されてなる内坩堝とからなる二重構造坩堝が設けられてなり、該二重構造坩堝における外坩堝と内坩堝の両内空部は一部連通しており、さらに、該二重構造坩堝は外坩堝に対する内坩堝の収納深さを連続的に変化させることが可能であり、チャンバー内の上記内坩堝の内空部直上に、先端に種結晶を装着して使用される、上下動が可能な単結晶引上げ棒が垂下する構造であることを特徴とするフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置である。
また、本発明は、上記構造のフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置を用い、二重構造坩堝の外坩堝および内坩堝の各内空部に原料フッ化金属の溶融液を収容させ、次いで、単結晶引上げ棒を、その先端に装着した種結晶が、上記内坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液面に接触するまで下降させた後、該単結晶引上げ棒を徐々に引上げて単結晶体を育成するに際して、該単結晶体の育成に伴う内坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液の減少に応じて、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを深くしていき、内坩堝内の原料フッ化金属の溶融液の液量が一定範囲に維持されるように、外坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液を内坩堝内に補給することを特徴とするフッ化金属単結晶体の製造方法も提供する。
さらに、本発明は、このフッ化金属単結晶体の製造方法において、フッ化金属単結晶体製造用引上げ装置として、二重構造坩堝が、内坩堝の下方の壁部に設けられた連通口により、外坩堝と内坩堝の両内空部が一部連通したものを使用し、該二重構造坩堝の外坩堝および内坩堝の各内空部に原料フッ化金属の溶融液を収容させた後、一旦、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを浅くして、内坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液を外坩堝側に流出させ、その後再度、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを深くして、上記外坩堝内の原料フッ化金属の溶融液を該内坩堝内に送給する操作を、少なくとも一度実施した後、単結晶体の引上げ操作を開始するフッ化金属単結晶体の製造方法も提供する。
本発明の引上げ装置を用いれば、引上げの開始から終了までを、原料フッ化金属の溶融液の深さを一定に保ちながら単結晶の育成を行うことができる。これは、引上げる単結晶体が大型、特に、直胴部の直径が150mm以上であり、直胴部の長さが100mm以上である超大型ものであっても良好に実施できる。したがって、このような大型のフッ化金属単結晶体を製造する場合においても、引上げの全期間や直胴部の引上げ期間を、散乱体の形成が高度に抑制される溶融液が浅い状態で、安定的に行うことができ、該散乱体の存在量が著しく少ないフッ化金属のアズグロウン単結晶体を簡単に製造することができる。
また、本発明の引上げ装置は、引上げの開始に際して、フッ化金属の溶融液に固体不純物が浮遊している場合には、一旦、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを浅くして、内坩堝内に収容された単結晶原料の溶融液の全量を外坩堝内に流出させ、その後再度、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを深くして、上記外坩堝内の原料フッ化金属の溶融液を該内坩堝内に送給することにより、この固体不純物を外坩堝側に除去して引上げを行うことができる。したがって、得られるフッ化金属のアズグロウン単結晶体は、内部への固体不純物の含有が抑えられ、併せて同固体不純物に起因して発生する部分的な多結晶化も防止することができる。
本発明において、製造対象となるフッ化金属とは、特に制限されるものではないが、その具体例としては、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化セリウム、および、BaLiF、KMgF、LiCaALF等の2種類以上のカチオン元素を含むフッ化金属、上記フッ化金属に特定の金属元素、具体的には、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属元素やランタン、セリウム、ガドニウム、イッテリビウムなどの希土類元素などをドープしたもの等が挙げられる。このうち特に、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウムおよびフッ化バリウム等のフッ化アルカリ土類金属において最も顕著に効果が発揮され、また、目的物の工業的価値も高い。
本発明の引上げ装置は、こうしたフッ化金属の単結晶体を育成する(成長させる)ための引上げ装置である。その構造は、後述する坩堝の部分以外は、従来のフッ化金属単結晶体の製造用に使用されている公知の引上げ装置の構造が制限無く採用できる。こうした引上げ装置の代表的な態様を、図1及び図2の概略図に示す。
すなわち、図1の単結晶体製造用引上げ装置では、チャンバー(1)内において、回転可能な支持軸(2)に支えられた受け台(3)上には、後述するような機能を備えた外坩堝(4)と内坩堝(5)とからなる二重構造坩堝(6)が載置されており、その各々の坩堝の内部には、原料フッ化金属の溶融液(7)が収容される。そして、該外坩堝(4)の周囲には、加熱ヒーター(8)が設けられ、さらに、加熱ヒーター(8)を環囲して断熱材壁(9)が設けられている。断熱材壁(9)は、二重構造坩堝(6)の下方にも設けられている。
ここで、通常、加熱ヒーター(8)の上端の高さは、外坩堝(4)の上端の高さとほぼ同程度か、これを少し上回る程度の高さであるのが好ましい。また、断熱材壁(9)は、外坩堝(4)の下端から上端までを環囲していればよい。引上げられた単結晶体をゆっくり冷却する観点からは、該外坩堝(4)の上方における、フッ化金属単結晶体(10)が引上げられる空間までも環囲しているのが好ましい。
さらに、加熱ヒーター(8)と外坩堝(4)の外端との間には、ヒーターよりの輻射熱を均一化する目的で、隔離壁(18)を周設しても良い。そして、該加熱ヒーター(5)の熱が上方に逃失するのが防止するために、隔離壁(18)の上端を、加熱ヒーター(8)の上端よりも高くし、該上端と断熱材壁(9)との間に、隔離壁(18)と断熱材壁(9)との間隙を閉塞するリッド材(19)を横架し、この間隙を閉塞させるのが好ましい。
一方、内坩堝(5)の中心軸上には、先端に種結晶体(11)の保持具(12)が取り付けられた回転可能な単結晶引上げ棒(13)が吊設されている。この種結晶体(11)は、内坩堝(5)内の原料フッ化金属の溶融液(7)に下端面が接触された後に徐々に引上げられ、下方に単結晶体(10)が成長する。また、上記支持軸(2)の下端は、チャンバー(1)の底壁を貫通してチャンバー外へ伸びており、図示はしていないが冷却器と接した後、坩堝を回転させるための機構に接続されている。こうした基本構造を備えた単結晶体製造用引上げ装置の中でも、坩堝部分以外の構造は、例えば、特開2004−182587号に記載される装置が、単結晶引上げ域における温度分布の均一性が良く、フッ化金属の単結晶体をクラックの発生なく良好に製造できるため好ましい。
本発明のフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置の最大の特徴は、前記したように坩堝が、外坩堝(4)と内坩堝(5)とからなる二重構造(6)であり、しかも、該二重構造坩堝(6)は、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを連続的に変化させることができる点にある。この二重構造坩堝(6)は、その代表的態様における、この部分の拡大図である図2(図1の単結晶体製造用引上げ装置とは、該二重構造坩堝の内坩堝が別の態様のもの)に示すように、内坩堝(5)の壁部に少なくとも一個の連通孔(14)が設けられる等しており、外坩堝(4)と内坩堝(5)の両内空部は一部連通させてある。このため、上記構造の坩堝では、単結晶体の成長に伴って内坩堝(5)内に収容された原料フッ化金属の溶融液(7)が減少すると、その減少量に応じて、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを深くして、該外坩堝(4)から内坩堝(5)内に溶融液(7)を補給することができる。その結果、この引上げ装置では、引上げの開始から終了までを、原料フッ化金属の溶融液(7)の深さを内坩堝(5)内において、一定に保ちながら単結晶体の育成を行う(成長させる)ことができる。よって、該引上げの全期間を、溶融液(7)の深さを、前記散乱体の形成を高度に抑制可能な浅い状態に保てる。
ここで、二重構造坩堝(6)において、内坩堝(5)内に収容する原料フッ化金属の溶融液(7)の深さは、引上げるアズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.65倍以下の深さにするのが好ましい。そして、引上げの開始から終了までの可能な限りの多くの期間、好適には全期間中、上記深さが保たれるように、外坩堝(4)から内坩堝(5)への溶融液(7)の補給を行えばよい。
従来のフッ化金属単結晶体製造用に使用されている引上げ装置の坩堝の深さは、通常、アズグロウン単結晶体の直胴部直径の3〜5倍程度であり、該坩堝に十分な量の原料フッ化金属の溶融液(7)を収容させると、溶融液の深さは該直胴部直径に対して浅くても2倍程度の値になり、この値は引上げの終了時においても該直胴部直径の0.75倍は越える液量が残存しているのが普通である。しかして、このように溶融液の深さが深い状態で単結晶の引上げを行うと、溶融液の流動における自然対流の影響が大きくなり、単結晶体や坩堝の回転による強制対流と相まって流動も複雑化し、単結晶の育成界面近傍における温度分布が不安定になる。育成界面近傍における温度分布が不安定な状態では単結晶体の成長の際に散乱体の原因になる空孔が単結晶体中に多数形成される。これに対して、上記の如くに、溶融液の深さを、アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.65倍以下の深さに浅くすると、このような空孔の原因になる自然対流は大きく弱まり、引上げられた単結晶体中に存在する散乱体の数を著しく減少させることが可能になる。
なお、本発明において散乱体とは、集光照明下で観察を行うと、光を散乱して光っている粒として目視により観測される内部欠陥であり、その粒の最大直径は一般的には100μm以下であり、通常は、10〜100μmのものが観察される。また、その実態はほとんどが空孔であり、例えばフッ化カルシウムの場合には、これらは正八面体等の角張った形状をしているのが一般的である。これら散乱体は、通常は、単結晶の特定の方位に面がほぼ揃っており、レーザ光を照射すると入射光と単結晶の方位によって決定される特定の方向にのみ散乱光が観察される。なお、これらの結果から、該空孔は負結晶であると推測される。
前記した内坩堝(5)内に収容する原料フッ化金属の溶融液(7)の深さは、単結晶体内部への散乱体の形成を抑制する効果をより顕著に発揮させる観点からは、アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.55倍以下、さらに好ましくは0.50倍以下の深さにするのがより好ましい。一般には、この原料フッ化金属の溶融液の深さは、15cm以下、より好適には12cm以下であるのが好ましい。また、結晶引上げ工程における、単結晶体と坩堝、あるいは単結晶体と坩堝の底で固化した原料の一部との接触の防止の観点からは、坩堝中に収容される原料フッ化金属の溶融液の深さは、アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.1倍以上の深さ、一般には3cm以上の深さに保持するのがより好ましい。
この溶融液(7)の深さが、引上げ期間中において上記特定した範囲になるように、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを連続的に変化させ、その液面の高さの変化に応じて、単結晶引上げ棒(13)の高さも制御すればよい。引上げの開始当初において、坩堝中への原料フッ化物の溶融液の収容量を若干多めに収容した場合等は、原料フッ化金属の溶融液(7)の深さが前記特定値を超えてしまう場合も起こり得るが、このような場合も、少なくとも、光学部材を切り出す上で最も有用な部位である直胴部の引上げが行われている期間は、前記特定した範囲内の溶融液の深さにするのが好ましい。
また、上記した引上げ時の溶融液の深さの範囲内にあっても、引上げ(成長)界面をより安定させる観点からは、できるだけ溶融液の深さの変動幅は小さくするのが好ましく、実質的に所定の値に固定して引上げを実施するのが望ましい。少なくとも前記有用性の高い直胴部の引上げ期間は、溶融液の深さは所定値に実質的に固定して実施するのが、特に好ましい。
二重構造坩堝(6)において、内坩堝(5)の大きさは製造するフッ化金属単結晶体の大きさに応じて決定すればよい。即ち、内坩堝(5)の内直径は、製造されるフッ化金属単結晶体の直径の最大値よりも大きければよい。しかし、内坩堝(5)の内直径が単結晶体の直径の最大値に近すぎると溶融液(7)の乱れなどが生じ易く安定して結晶引上げを行うことが困難になる場合がある。一方、径が大き過ぎると外坩堝の口径もそれに応じて大きくする必要があり、また単結晶体の製造終了後に残存する原料の量も多くなる。そのため、製造される単結晶体の直径の最大値の1.1〜4倍であることが好ましく、より好ましくは1.1〜2.5倍、特に好ましくは1.2〜2倍である。なお通常は、製造する単結晶体の直胴部直径が、該単結晶体の直径の最大値となる。
また、内坩堝(5)の深さは、前述した、内坩堝(5)内に収容する原料フッ化金属の溶融液(7)の深さの好適な範囲の下限値以上とすることが好ましい。即ち、引上げるアズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.1倍より深くすることが好ましく、多くの場合、3cmより深くすることがより好ましい。
一方、内坩堝(5)の深さは、あまり深すぎると引上げの操作性が低下することがある。その観点からは、内坩堝(5)の深さは最大でも、前述した、内坩堝(5)内に収容する原料フッ化金属の溶融液(7)の深さの好適な範囲の上限値(引上げるアズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.65倍)を若干上回る程度の深さであることが好ましい。しかしながら、内坩堝(5)の上端部は熱の輻射の状態に大きな影響を与える。そのため該上端部は結晶成長界面となる融液表面から離れている、即ち、より深い方が好ましい。これらの要素を勘案すると、内坩堝の深さは、引上げるアズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.5〜3倍であることが好ましく、0.65〜2倍であることがより好ましい。なお、内坩堝(5)を分割可能とすること等により、操作性は特に問題とならなくすることができうる。従ってこのような場合には、上記した値の上限値よりさらに深くすることも、熱の輻射の観点から好適である。
外坩堝(4)は、引上げる単結晶体の大きさに応じた口径と、引上げに必要な原料フッ化金属の溶融液(7)を収容するのに十分な深さを有するものが使用される。外坩堝(4)の深さは、内坩堝(5)内への溶融液(7)の補給の円滑性を考慮すると、内坩堝(5)の深さの1.3〜3倍が好ましい。また外坩堝(4)の口径は、原料フッ化金属の溶融液(7)に含有される固体不純物の除去効果(後述)を考慮すると、上部開口面において、外坩堝(4)の側壁内面と内坩堝(5)の側壁外面との間隔が、好ましくは外坩堝(4)の内直径の1/10〜1/3、より好ましくは1/8〜1/4となる大きさとされる。
なお上記内坩堝(5)又は外坩堝(4)の内直径とは、該坩堝における内径の最も大きな部分の直径であり、深さとは坩堝の上端から最も深い位置までの長さである。通常、内坩堝(5)又は外坩堝(4)のいずれにおいても、上端部の直径(口径)が内直径に等しいことが好ましい。
内坩堝(5)において、底壁(15)面の形状は特に制限されるものではなく、図1の単結晶体製造用引上げ装置に設けられている内坩堝のように水平面であっても良いが、縦断面の形状がV字状、U字状等をしたすり鉢状や逆円錐台状等の下凸形状であっても良い。図2の二重構造坩堝(6)の拡大図は、底壁(15)面が、縦断面の形状がV字状をしたものである。
底壁(15)面の、水平面に対する下方向への傾斜角度が5〜55度、好適には8〜45度、特に15〜45度である下に凸形状が、散乱体の抑制効果のより優れたものになるために好ましい。逆円錐台状をしている場合、央部の水平面の直径は、内坩堝(5)の内直径の1/5以下であるのが好ましい。なお、このように内坩堝(5)の底壁(15)面の形状が下凸形状である場合、該坩堝に収容した原料フッ化金属の溶融液(7)の深さとは、溶融液の液面から、該坩堝内空部の底壁(15)面における最も深い部分までの深さをいう。
内坩堝(5)の壁部に設ける連通孔(14)は、底壁部(15)および側壁部(16)の如何なる箇所に設けても良い。外坩堝(4)と内坩堝(5)の両内空部の連通は、場合によっては、内坩堝(5)の側壁の上端に、切欠部を設けて連通させても良い。この場合、外坩堝(4)内に収容された溶融液(7)は、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを深くすることにより、該切欠部をオーバーフローして内坩堝(5)内に補給される。
しかしながら連通孔(14)は、内坩堝(5)のできるたけ下方の壁部に設けることが、内坩堝(5)に収容される溶融液の液面の安定性の点から効果的である。図1に示す内坩堝(5)のように、該内坩堝(5)の形状が底壁が水平である場合には、連通孔(14)は、側壁の最下端又は底壁に設けることが好ましい。
一方、図2に示す内坩堝(5)のように、底壁(15)面が下凸形状である場合には、連通孔(14)は、該底壁部の径が、内坩堝(5)の内直径の1/4以下となる位置よりも下方に設けることが好ましく、1/7以下となる位置よりも下方に設けることがより好ましい(図3参照)。さらに、後述する固体不純物の除去を効率的に行う点からは、内坩堝(5)の最深部に少なくとも1つの連通孔が設けられていることが好ましい。
連通孔(14)の開口面積は、あまりに小さいと外坩堝(4)からの溶融液(7)の内坩堝(5)への補充が円滑に行えなくなり、他方、あまりに大きいと内坩堝(5)に収容される溶融液面の安定性が低下する虞があるため、内坩堝(5)の上端開口面積に対して0.05〜0.8%であるのが好ましい。さらに、この開口面積は、一個の大口径の孔として設けるよりも、複数の小孔、好適には直径2〜8mmの小孔を4〜100個の数で設けるのが、前記内坩堝(5)に収容される溶融液面の安定性から好ましい。このように複数の小孔として連通孔(14)を設ける場合は、それぞれの孔はできるだけ偏在しないように設けるのが好ましく、内坩堝(5)の中心から対称的に設けるのが特に好ましい。
なお、連通孔(14)の穴形状は、特に制限されるものではないが通常は、円筒状であるの一般的である。その孔の軸方向は、形成される壁部が、水平な底壁である場合は垂直方向であり、側壁である場合は水平方向であるのが一般的であるが、それぞれ多少傾斜させて設けても良い。形成する壁部が、下に凸形状の底壁部における傾斜壁である場合には、該孔の軸方向は、垂直方向から水平方向まで適宜の角度から採択すればよい。
上記二重構造坩堝(6)において、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを連続的に変化させる方法は、外坩堝(4)および内坩堝(5)のいずれか一方の坩堝をチャンバー(1)に対して位置固定し、他方の坩堝を連続的に上下動させることが可能な構造とすればよい。外坩堝(4)をチャンバーに対して位置固定し、内坩堝(5)をチャンバー内を連続的に上下動させることが可能な構造とした場合、前記した原料フッ化金属の溶融液(7)の深さを一定範囲に保ちながら単結晶の育成を行おうとすると、その溶融液からの単結晶の引上げ界面が経時的に低下していくことになり、加熱ヒーター(8)からの加熱環境が微妙に変化する虞がある。したがって、安定的な単結晶の育成を行うという観点からは、内坩堝(5)をチャンバー(1)に対して位置固定し、外坩堝(4)をチャンバー内を連続的に上下動させる構造とするのが好ましい。
具体的には、支持軸(2)を連続的に上下動可能にすることにより、その上に載置される外坩堝(4)も従動して上下動可能にし、さらに、該内坩堝(5)は、一端がチャンバー(1)またはその内部部材に固定された連結部材(17)に接合して、該チャンバー内において位置固定する構造が好ましい。この時、連結部材(17)は、チャンバー(1)内の上方部材から懸架させても良いし、チャンバー(1)内の側方部材から横架させても良い。後者の場合、連結部材(17)は、外坩堝(4)の上下動の妨げにならないように、その上方では十分な高さで設けることが求められる。図1の引上げ装置の場合、連結部材(17)は、棒状のリッド材(19)に接合して固定されている。
支持軸(2)の上下動の機構は、公知の方法により行われ、単結晶体の育成に伴う内坩堝(5)内に収容された溶融液(7)の減少に対応して、同量の溶融液(7)が外坩堝(4)から該内坩堝(5)内に補充されるように、精密な上昇が行われる。
その他、本発明の引上げ装置の細部を説明すると、加熱ヒーター(8)は、抵抗加熱ヒーターであるのが好ましい。誘導加熱ヒーターの場合、炉内の温度分布が急峻になり易く、高品質の結晶を得る上では、上記抵抗加熱ヒーターが有利である。
単結晶引上げ棒(13)、支持軸(2)及び覗き窓(20)等は、Oリングや磁性流体シールなどで気密化することが好ましい。原料フッ化金属の溶融工程や結晶の育成工程において、これらの部分からリークが発生すると、単結晶の着色や透明度の低下などの品質の著しい低下をもたらすおそれがある。
チャンバー(1)内を真空引きするための真空ポンプは、公知のものを用いることができるが、ロータリーポンプと油拡散ポンプ、あるいはロータリーポンプと分子ポンプの組み合わせが好ましい。
また、単結晶引上げ棒(13)または支持軸(2)に、結晶成長速度測定用のロードセルを設置し、測定値を、ヒーター出力または結晶引上げ速度にフィードバックすることにより安定した品質の単結晶を得ることができる。
二重構造坩堝(6)、支持軸(2)及び受け台(3)等の部材は、通常、黒鉛や金、白金−ロジウム合金、イリジウム等の高融点金属で製作される。他方、加熱ヒータ(8)や断熱材壁(9)は、通常、黒鉛、硝子状黒鉛、炭化珪素蒸着黒鉛等で製作される。
以上の構造をした本発明の引上げ装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造は、前記したように、単結晶引上げ法に従ってフッ化金属の単結晶体(10)を育成するに際して、該単結晶体(10)の育成に伴う内坩堝(5)内に収容された原料フッ化金属の溶融液(7)の減少に応じて、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを深くしていき、内坩堝(5)内の原料フッ化金属の溶融液(7)の液量が一定範囲、好適には、内坩堝(5)内の原料フッ化金属の溶融液の液量が、その深さが、3cm以上で且つ単結晶体(10)の直胴部直径の0.65倍以下の範囲に維持されるように、外坩堝(4)内に収容された原料フッ化金属の溶融液(7)を内坩堝(5)内に補給する方法により実施するのが好ましい。
この方法によれば、単結晶体内部に存在する散乱体の数が著しく少ないフッ化金属のアズグロウン単結晶体を製造されるが、その効果の顕著性からは、該アズグロウン単結晶体は、直胴部の直径が50mm以上であり、且つ該直胴部の長さが40mm以上である大型のものであるのが好ましい。前述したように、こうした大型のフッ化金属単結晶体の育成では、単結晶体内部には多数の散乱体が形成され易くなるが、本発明の製造方法では、該大型のフッ化金属単結晶体の引上げであっても、前記した散乱体の形成に対する優れた抑制効果は同様に発揮される。したがって、本発明によれば、該大型のフッ化金属のアズグロウン単結晶体において、直胴部の全内部に存在する散乱体の数が0.01個/cm以下、好ましくは0.005個/cm以下、さらに好ましくは0〜0.002個/cmである前記アズグロウン単結晶体や、或いは肩部等を含むアズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数が0.03個/cm以下、好ましくは0.01個/cm以下、さらに好ましくは0〜0.005個/cmである前記アズグロウン単結晶体を得ることができる。
さらにこの方法によれば、外坩堝(4)の容量さえ十分な大きさにしていれば、単結晶体(10)の引上げが行われる内坩堝(5)内の溶融液はいくら浅くしても、引上げの途中で溶融液(7)が不足することがない。したがって、上記大型のアズグロウン単結晶体の中でも、通常の坩堝を使用したのでは、こうした溶融液が浅い状態での引上げの実行は不可能な、直胴部の直径が150mm以上や、直胴部の長さが100mm以上、最も好適には該直径及び直胴部の長さを両方満足する超大型のものも良好に製造可能であり有益である。
また、上記方法によりフッ化金属単結晶体を製造するに際しては、使用するフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置が、その二重構造坩堝が、前述したように内坩堝の下方の壁部に設けられた連通口によって、外坩堝と内坩堝の両内空部が一部連通したものである場合には、引上げの開始前に次の前操作を行うのが好ましい。すなわち、二重構造坩堝(6)の外坩堝(4)および内坩堝(5)の各内空部に原料フッ化金属の溶融液(7)を収容させた後、一旦、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを浅くして、内坩堝(5)内に収容された原料フッ化金属の溶融液(7)を外坩堝(4)内に流出させ、その後再度、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを深くして、上記外坩堝(4)内の原料フッ化金属の溶融液(7)を該内坩堝(5)内に送給する操作を、少なくとも一度実施するのが好ましい。
このようにすれば、内坩堝(5)に収容された原料フッ化金属の溶融液(7)に浮遊性の固体不純物が含有されている場合にも、この固体不純物は、上記の操作により、該内坩堝(5)内の溶融液(7)を一旦、外坩堝(4)内に流出させた際に、その液流に同伴して、該外坩堝(4)側に排出される。そして、この固定不純物は、外坩堝内に収容される溶融液(7)面に浮上するため、再度、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを深くして、該内坩堝(5)内に送給しても、該内坩堝(5)内に再進入することはない。よって、単結晶体の引上げに際して、係る前操作を少なくとも一回、その固体不純物の除去効果に応じて複数回繰り返して行うことにより、内坩堝(5)内に収容された溶融液(7)に固体不純物が浮遊しない状態で、該単結晶の引上げを実施できる。その結果、製造されるアズグロウン単結晶体は、固体不純物が単結晶体に取り込まれておらず、該固体不純物に起因した部分的な多結晶化も発生しないものになる。
この前操作において、固体不純物の除去効果を良好に発揮させる観点からは、一操作ごとの、内坩堝(5)内に収容された原料フッ化金属の溶融液(7)の外坩堝(4)側への流出は、できるだけ多い量が効果的であり、できれば全量を流出させるのが好ましい。そのためには、内坩堝(5)に形成される連通孔(14)は、内坩堝のできるだけ下方に設けたものが好ましく、この意味からも、該連通孔(14)は、底壁部の径が、内坩堝(5)の内直径の1/4以下となる位置よりも下方に設けることが好ましく、1/7以下となる位置よりも下方に設けることがより好ましい。特に、内坩堝(5)内の溶融液(7)の全量を流出させるためには、連通孔(14)の少なくとも一個はその下端部(最深部)に設けるのが好ましい。
その他、上記方法によりフッ化金属単結晶体を製造する場合の製造条件は以下のものが好ましい。
原料フッ化金属は、フッ化カルシウムにおける蛍石等の天然鉱物を使用しても良いが、純度の面から化学合成品を使用するのが好ましい。坩堝降下法により得られた単結晶体の破砕物を用いるのも好適な態様である。上記原料フッ化金属は、粉末を使用しても良いが、溶融したときの体積減少が激しいため、粒状物、好適には60μm以上、好適には60〜1000μmの粒径の粒状物として用いるのが好ましい。
また、単結晶引上げ法によるフッ化金属単結晶体の育成では、水分が存在すると、単結晶体中に酸化物が取り込まれて着色等が発生する原因になるため、上記原料フッ化金属は、含有水分を可能な限り除去して用いるのが望ましい。水分を除去する前処理は、原料フッ化金属を真空ポンプによる減圧下で加熱処理することにより行われるが、単に焼成するだけでは原料内部の水分までを十分に除去することは困難であるため、該加熱処理に引き続いて気体スカベンジャーとしての四フッ化炭素、三フッ化炭素、六フッ化エタン等を含有する雰囲気中で原料フッ化金属を溶融させるのがより好ましい。気体スカベンジャーとしては、四フッ化炭素を用いるのが最も好ましい。
こうした前処理を施した原料フッ化金属は、溶融状態からそのまま引上げ法による単結晶の育成を行っても良いが、好ましくは、一旦冷却固化して、その表面に存在している固体不純物を可能な限り切削除去してから用いるのが、多結晶化の低減の観点から好ましい。
上記原料フッ化金属を坩堝に収容した後、溶融させるに先立っては、減圧下での加熱処理を施し、前処理後の吸着水等を除去するのが好ましい。原料フッ化金属の溶融および単結晶の育成は、不活性ガスの雰囲気下で行うのが好ましく、該不活性ガスは、継続的に装置内に供給していき、それに伴ってスカベンャーと残存水分とが反応して生じた二酸化炭素を装置外に排出させるのが好ましい。
単結晶の引上げは、原料フッ化金属を坩堝底の測定温度において融点〜融点+100℃に加熱した条件、例えばフッ化金属がフッ化カルシウムであれば1420℃〜1520℃の温度で実施するのが好ましく、該温度への昇温速度は50〜500℃/Hrであるのが好ましい。単結晶の引上げを開始する前に、原料フッ化金属の融点よりも20〜150℃高めの温度で30〜180分程度保持し、その間に溶融液に浮遊する固体不純物を除去しておくのは、多結晶化の抑制に対して効果的である。
種結晶および育成中の結晶は、引上げ軸を中心として回転させることが好ましく、回転速度は5〜30回/分であることが好ましい。また、上記種結晶の回転に併せて、坩堝も反対方向に同様の回転速度で回転させても良い。好適な結晶の引上げ速度は、1〜10mm/時間である。
こうした単結晶の引上げは、前記原料フッ化金属において前処理を経ても残留する微量の水分の影響をなくすため、スカベンジャーの存在下で行うのが好ましい。スカベンジャーとしては、前記前処理で説明した四フッ化炭素等の気体スカベンジャーを雰囲気に導入する方法を採用しても良いが、その場合、溶融液への固体不純物の発生量が多くなるため、フッ化亜鉛、フッ化鉛、ポリ四フッ化エチレン等の固体スカベンジャー、好適にはフッ化亜鉛を坩堝内に原料フッ化金属と共に仕込む方法が好ましい。固体スカベンジャーの使用量は、原料フッ化金属100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
結晶育成後の降温は、好適には0.1〜3℃/分の降温速度で適宜に実施すれば良い。
なお、引上げ法に用いる種結晶は、育成するフッ化金属と同材質の単結晶体を用いるのが好ましい。種結晶の育成面は任意に選択することができるが、フッ化カルシウムの種結晶を用いる場合は、{111}面、{100}面、または{110}面及びこれらの等価面を好適に用いることができる。
実施例
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、アズグロウン単結晶体の直胴部全内部に存在する散乱体の数、およびアズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数は、それぞれ以下の方法により測定した。
・散乱体の測定
ガラス製の水槽に測定対象の単結晶体全体が浸漬できる量のマッチングオイル(フッ化カルシウム単結晶の屈折率と同程度の屈折率に調整したオイル)を満たし、その中にアズグロウン体を静置した。次に、一方向から白色のハロゲンランプ光を照射し、該単結晶体を回転させ、視点を変えながら散乱体からの散乱光が観察できる位置を探し、測定対象に存在する散乱体の個数を目視により測定した。
実施例1
二重構造坩堝(6)が図2に示したものある以外は、図1に示された構造である単結晶体製造用引上げ装置を用いて、フッ化カルシウム単結晶体の製造を行った。
この単結晶体製造用引上げ装置において、チャンバー(1)内に設置された高純度グラファイト製の外坩堝(4)は、内直径38cm(外直径40cm)であり、高さ30cmのものであった。この外坩堝(4)内に、連結部材(17)によりチャンバーのリッド材(19)に固定された状態で収納される内坩堝(5)は、内直径25cm(外直径26cm)であり、高さ14cmのものであった。
内坩堝(5)の底壁は、水平面に対して下方向への傾斜角度が15度で傾斜する縦断面の形状がV字状(すり鉢状)の形状であった。その下端部(中心部)に1個と、中心部から底壁面に沿って上方へ25mm離れた位置の円周上に均等間隔で8個、口径が4mmの円筒状の連通孔(14)が各形成されていた(これらの連通孔の総開口面積は、内坩堝の上端開口面積に対して0.2%であった)。断熱材壁(6)は、ピッチ系グラファイト成型断熱材であり、厚み方向の放熱能力は9W/m・Kのものであり、他方、天井板(14)は、グラファイト製であり、厚み方向の放熱能力は5000W/m・Kのものであった。
上記外坩堝(4)および内坩堝(5)内に、十分な精製処理及び水分除去処理を施した原料フッ化カルシウム塊を計40kg投入し、さらに、内坩堝(5)内にスカベンジャーとして高純度フッ化亜鉛4gを投入し、チャンバー(1)内に設置した。そして、チャンバー(1)内を真空引き(5×10-6torr以下)し、加熱ヒーター(5)に通電し原料の過熱を開始し、250℃まで昇温し、この温度に2時間保持した。上記保持後、再び昇温を開始し、600℃に達した時点で、真空排気ラインを遮断し、高純度アルゴンをチャンバー(1)内に供給し、内圧を106.4KPaに保った。
原料が完全に溶融し、外坩堝(4)および内坩堝(5)内に、原料フッ化カルシウムの溶融液(7)が収容された状態で、1480℃で40分間保持した後、ヒーター出力を低下させて1440℃で120分間保持した。覗き窓(20)より、内坩堝(5)内に収容された溶融液(7)の表面状態を観察したところ、固体不純物の浮遊が確認されたので、支持軸(2)を下降させて、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを浅くして、内坩堝(5)内に収容された単結晶原料の溶融液(7)の全量を外坩堝(4)内に流出させ、その後再度、支持軸(2)を上昇させて、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを深くして、上記外坩堝(4)内の原料フッ化カルシウムの溶融液(7)を該内坩堝(5)内に供給する操作を実施した。上記操作の後において、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さは、該内坩堝(5)内において、原料フッ化カルシウムの溶融液(7)の深さが6cm(アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.33倍の深さ)になる深さであった。また、覗き窓(20)より、内坩堝(5)内に収容された溶融液(7)の表面状態を再度観察したが、今度は固体不純物は確認できなかった。
次いで、単結晶引上げ棒(9)を垂下させて、種結晶(7)の結晶面が(111)である下端面(単結晶成長面)を原料フッ化カルシウムの溶融液(10)の表面に接触させ、単結晶の育成を開始した。種結晶(7)は、6回/分で回転させ、他方、外坩堝(4)も、これと逆方向に2回/分で回転させた状態で引上げを行った。上記引上げ中において、支持軸(2)を、内坩堝(5)内の溶融液(7)の深さが前記6cmに維持されるように、連続的に上昇させた。引上げ終了後、常温まで降温した。
以上により、直胴部の直径が180mmであり、且つ該直胴部の長さが150mmであるフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体15.1kg(直胴部の体積3820cm、アズグロウン単結晶体全体の体積4750cm)が得られた。このフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体について、直胴部全内部およびアズグロウン単結晶体全内部に各存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は5個であり、その存在割合は0.0013個/cmであった。また、アズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数は21個であり、その存在割合は0.004個/cmであった。
なお、上記アズグロウン単結晶体は、育成方向に垂直な面で厚さ10mmにスライスし、X線トポグラフを用いて結晶性を調べたところ、亜粒界は存在するものの、面方位の偏差が0.1度以内にあり、単結晶体であることが確認できた。
比較例1
実施例で使用した単結晶体製造用引上げ装置において、坩堝として、内坩堝(5)は使用せず、外坩堝(4)のみを使用して、この中に、原料フッ化カルシウム塊と高純度フッ化亜鉛を同量投入した。この原料フッ化カルシウム塊の坩堝(4)に対する収容量は、溶融した場合において、溶融液の深さが12.2cm(アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.76倍の深さ)になる量であった。
チャンバー(1)内を真空引き(5×10-6torr以下)し、加熱ヒーター(5)に通電し原料の過熱を開始し、250℃まで昇温し、この温度に2時間保持した。上記保持後、再び昇温を開始し、600℃に達した時点で、真空排気ラインを遮断し、高純度アルゴンをチャンバー(1)内に供給し、内圧を106.4KPaに保った。
原料が完全に溶融した1480℃で40分間保持した後、ヒータ出力を低下させて1440℃で120分間保持した。この時、覗き窓(20)より、内坩堝(5)内に収容された溶融液(7)の表面状態を観察したところ、固体不純物の浮遊が確認された
次いで、単結晶引上げ棒(9)を垂下させて、種結晶(7)の結晶面が(111)である下端面(単結晶成長面)を原料フッ化金属の溶融液(10)の表面に接触させ、単結晶の育成を開始した。種結晶(7)は、6回/分で回転させ、他方、坩堝(4)も、これと逆方向に2回/分で回転させた状態で引上げを行った。引上げ終了後、常温まで降温した。係る単結晶体の引上げにおいて、引上げ終了時の坩堝(4)に残存する原料フッ化カルシウムの溶融液(10)量は、深さが7.6cm(アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.48倍の深さ)になる量であった。
以上により、直胴部の直径が160mmであり、且つ該直胴部の長さが200mmであるフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体15.0kg(直胴部の体積4020cm、アズグロウン単結晶体全体の体積4690cm)が得られた。このフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体について、直胴部全内部およびアズグロウン単結晶体全内部に各存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は72個であり、その存在割合は0.018個/cmであった。また、アズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数は164個であり、その存在割合は0.035個/cmであった。
なお、上記アズグロウン単結晶体は、育成方向に垂直な面で厚さ10mmにスライスし、X線トポグラフを用いて観察したところ、部分的に面方位が完全に異なる部分が観察され、部分的に多結晶化している箇所があることが確認された。
実施例2
実施例1において、外坩堝(4)および内坩堝(5)内に収容する原料フッ化カルシウム塊の量を50kgとし、内坩堝(5)内に収容するする高純度フッ化亜鉛の量を2.5gとする以外、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体を製造した。おな、引上げ開始前において、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さは、該内坩堝(5)内において、原料フッ化カルシウムの溶融液(7)の深さが12cm(アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.60倍の深さ)になる深さであった。
以上により、直胴部の直径が200mmであり、且つ該直胴部の長さが250mmであるフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体28kg(直胴部の体積7850cm、アズグロウン単結晶体全体の体積8900cm)が得られた。このフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体について、直胴部全内部およびアズグロウン単結晶体全内部に各存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は13個であり、その存在割合は0.0017個/cmであった。また、アズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数は42個であり、その存在割合は0.0047個/cmであった。
なお、上記アズグロウン単結晶体は、育成方向に垂直な面で厚さ10mmにスライスし、X線トポグラフを用いて、結晶性を調べたところ、亜粒界は存在するものの、面方位の偏差が0.1度以内にあり、単結晶体であることを確認した。
実施例3
実施例1において、種結晶(7)の結晶面が(100)である下端面(単結晶成長面)を原料フッ化カルシウムの溶融液(10)の表面に接触させ、単結を育成させる以外は、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体を製造した。
以上により、直胴部の直径が180mmであり、且つ該直胴部の長さが200mmであるフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体18.9kg(直胴部の体積5090cm、アズグロウン単結晶体全体の体積5940cm)が得られた。このフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体について、直胴部全内部およびアズグロウン単結晶体全内部に各存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は4個であり、その存在割合は0.0008個/cmであった。また、アズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数は22個であり、その存在割合は0.0037個/cmであった。
なお、上記アズグロウン単結晶体は、育成方向に垂直な面で厚さ10mmにスライスし、X線トポグラフを用いて、結晶性を調べたところ、亜粒界は存在するものの、面方位の偏差が0.1度以内にあり、単結晶体であることを確認した。
実施例4
実施例1で用いたものと同じ単結晶体製造用引上げ装置を用いて、フッ化バリウム単結晶体の製造を行った。
上記外坩堝(4)および内坩堝(5)内に、十分な精製処理及び水分除去処理を施した原料フッ化バリウム塊を計40kg投入し、さらに、内坩堝(5)内にスカベンジャーとして高純度フッ化亜鉛6gを投入し、チャンバー(1)内に設置した。そして、チャンバー(1)内を真空引き(5×10-6torr以下)し、加熱ヒーター(5)に通電し原料の過熱を開始し、250℃まで昇温し、この温度に2時間保持した。上記保持後、再び昇温を開始し、600℃に達した時点で、真空排気ラインを遮断し、高純度アルゴンをチャンバー(1)内に供給し、内圧を106.4KPaに保った。
原料が完全に溶融し、外坩堝(4)および内坩堝(5)内に、原料フッ化バリウムの溶融液(7)が収容された状態で、1380℃で40分間保持した後、ヒータ出力を低下させて1320℃で120分間保持した。覗き窓(20)より、内坩堝(5)内に収容された溶融液(7)の表面状態を観察したところ、固体不純物の浮遊が確認されたので、支持軸(2)を下降させて、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを浅くして、内坩堝(5)内に収容された単結晶原料の溶融液(7)の全量を外坩堝(4)内に流出させ、その後再度、支持軸(2)を上昇させて、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さを深くして、上記外坩堝(4)内の原料フッ化バリウムの溶融液(7)を該内坩堝(5)内に供給する操作を実施した。上記操作の後において、外坩堝(4)に対する内坩堝(5)の収納深さは、該内坩堝(5)内において、原料フッ化バリウムの溶融液(7)の深さが8cm(アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.44倍の深さ)になる深さであった。また、覗き窓(20)より、内坩堝(5)内に収容された溶融液(7)の表面状態を再度観察したが、今度は固体不純物は確認できなかった。
次いで、単結晶引上げ棒(9)を垂下させて、種結晶(7)の結晶面が(111)である下端面(単結晶成長面)を原料フッ化バリウムの溶融液(10)の表面に接触させ、単結晶の育成を開始した。種結晶(7)は、6回/分で回転させ、他方、外坩堝(4)も、これと逆方向に2回/分で回転させた状態で引上げを行った。上記引上げ中において、支持軸(2)を、内坩堝(5)内の溶融液(7)の深さが前記8cmに維持されるように、連続的に0.83mm/Hrの速度で上昇させた。引上げ終了後、常温まで降温した。
以上により、直胴部の直径が180mmであり、且つ該直胴部の長さが120mmであるフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体18.0kg(直胴部の体積3050cm、アズグロウン単結晶体全体の体積3730cm)が得られた。このフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体について、直胴部全内部およびアズグロウン単結晶体全内部に各存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は5個であり、その存在割合は0.0016個/cmであった。また、アズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数は17個であり、その存在割合は0.0046個/cmであった。
なお、上記アズグロウン単結晶体は、育成方向に垂直な面で厚さ10mmにスライスし、X線トポグラフを用いて、結晶性を調べたところ、亜粒界は存在するものの、面方位の偏差が0.1度以内にあり、単結晶体であることを確認した。
図1は、本発明の単結晶体製造用引上げ装置の代表的態様を示した概略図である。 図2は、本発明の単結晶体製造用引上げ装置の別の態様における、二重構造坩堝部分の拡大図である。 図3は、内坩堝が下凸状である場合に、連通孔の好適な位置を示す模式図である。
符号の説明
1;チャンバー
2;支持軸
3;受け台
4;外坩堝
5;内坩堝
6;二重構造坩堝
7;原料フッ化金属の溶融液
8;加熱ヒーター
9;断熱材壁
10;フッ化金属単結晶体
11;種結晶体
12;保持具
13;単結晶引上げ棒
14;連通孔
15;内坩堝の底壁
16;内坩堝の側壁
17;連結部材
18;隔離壁
19;リッド材
20;覗き窓
21;単結晶引上げ棒の挿入孔
23;底部断熱材

Claims (7)

  1. 単結晶育成炉を形成するチャンバー内に、外坩堝と該外坩堝内に収納されてなる内坩堝とからなる二重構造坩堝が設けられてなり、該二重構造坩堝における外坩堝と内坩堝の両内空部は一部連通しており、さらに、該二重構造坩堝は外坩堝に対する内坩堝の収納深さを連続的に変化させることが可能であり、チャンバー内の上記内坩堝の内空部直上に、先端に種結晶体を装着して使用される、上下動が可能な単結晶引上げ棒が垂下する構造であることを特徴とするフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置。
  2. 内坩堝をチャンバーに対して位置固定し、外坩堝を、チャンバー内を連続的に上下動させることが可能な構造とすることにより、前記外坩堝に対する内坩堝の収納深さを連続的に変化させることを可能とした請求項1記載のフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置。
  3. フッ化金属単結晶体が、フッ化カルシウム単結晶体である請求項1または請求項2記載のフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置を用い、二重構造坩堝の外坩堝および内坩堝の各内空部に原料フッ化金属の溶融液を収容させ、次いで、単結晶引上げ棒を、その先端に装着した種結晶体が、上記内坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液面に接触するまで下降させた後、該単結晶引上げ棒を徐々に引上げて単結晶体を育成するに際して、該単結晶体の育成に伴う内坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液の減少に応じて、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを深くしていき、内坩堝内の原料フッ化金属の溶融液の液量が一定範囲に維持されるように、外坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液を内坩堝内に補給することを特徴とするフッ化金属単結晶体の製造方法。
  5. フッ化金属単結晶体の引上げ中において、内坩堝内の原料フッ化金属の溶融液の液量が、その深さが、3cm以上で且つ単結晶体の直胴部直径の0.65倍以下の範囲に維持されるように、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを深くしていく請求項4記載のフッ化金属単結晶体の製造方法。
  6. 使用するフッ化金属単結晶体製造用引上げ装置の二重構造坩堝が、内坩堝の下方の壁部に設けられた連通口により、外坩堝と内坩堝の両内空部が一部連通したものである請求項4または請求項5記載のフッ化金属単結晶体の製造方法。
  7. 請求項6記載のフッ化金属単結晶体の製造方法において、二重構造坩堝の外坩堝および内坩堝の各内空部に原料フッ化金属の溶融液を収容させた後、一旦、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを浅くして、内坩堝内に収容された原料フッ化金属の溶融液を外坩堝側に流出させ、その後再度、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを深くして、上記外坩堝内の原料フッ化金属の溶融液を該内坩堝内に送給する操作を、少なくとも一度実施した後、単結晶体の引上げ操作を開始するフッ化金属単結晶体の製造方法。
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