JP2009091185A - BaLiF3単結晶体 - Google Patents

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Abstract

【課題】BaLiF単結晶体を融液成長法で製造した際に、結晶中心部と周辺部で真空紫外光の透過率が異なりやすいという問題を解決し、真空紫外光透過用の光学部材を作製するための原材料として用いることの可能な、光透過率の均一性に優れたBaLiF単結晶体の製造方法を提供する。
【解決手段】BaFとLiFとKFとからなり、これらの含有比率がモル基準で、Li/(Ba+Li+K)が0.52〜0.65の範囲にあり、かつK/(Ba+K)が0.002〜0.040の範囲にある原料溶融液を用いてBaLiF単結晶体を育成する。得られる単結晶体は、通常、K/(Ba+K)が0.001〜0.010の範囲でKを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、BaLiF単結晶体に関する。より詳しくは、液浸式露光装置のラストレンズとして有望な、200nm以下の真空紫外光の透過性に優れたBaLiF単結晶体の製造方法に関する。
半導体集積回路などの電子材料の製造分野で実施されるリソグラフィー工程では、露光基板に対する転写パターンの微細化の要求が高まっており、この要求を実現すべく露光装置の解像度の向上が検討されている。
一般に露光装置では、露光波長が小さくレンズの開口数が大きいほど、解像線幅を小さくして解像度を向上できることが知られている。このため、波長200nm以下の真空紫外領域の光(たとえば、ArFエキシマレーザー;発振波長193nm、Fエキシマレーザー;発振波長157nmなど)を光源として使用する試みと共に、このような短波長の光に対応可能な光学系の設計や、レンズ材料の開発などが進められている。
また、これらの試みと並行して、露光基板と露光装置のラストレンズとの間に液体を充填することにより、露光基板面における光の波長を実質的に短くして解像度を向上させようとする液浸式露光装置の研究も進められている。
液浸式露光装置は、少なくとも、光源と、照明光学系と、マスク(レチクル)と、投影光学系と、液体の供給回収装置とを備えた装置であり、投影光学系の露光基板側の先端に設けられたレンズ(ラストレンズ)と、レジスト膜を有する露光基板との間に、液体を充填した状態で露光を行なう装置である。このような液浸式露光装置のラストレンズには、光源の光の波長における屈折率および透過率が高いこと、真性複屈折や応力複屈折が低いかあるいは存在しないこと、光源の光に対する耐久性があること、使用する液体に対する耐久性があることなどの種々の性能が要求される。
本発明者等は、液浸式露光装置のラストレンズとして使用できる上記のような物性を有する材料について検討を行い、その結果、BaLiF単結晶体が優れた物性を有することを見出し、すでに提案している(特許文献1参照)。
また液浸式露光装置のラストレンズ以外の用途としても、露光装置等の真空紫外光用装置の光学部材としてBaLiF単結晶体を用いることが既に提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
これら特許文献1,2等に開示されているように、BaLiF単結晶体は、チョクラルスキー法やブリッジマン法等の融液成長法では、BaFとLiFとがモル比で1:1の溶融原料から直接製造することはできず、LiFが過剰な溶融液を調整し、これから製造することが必要である。
この理由は、図1に示すBaFとLiFとの相平衡図から理解できる。即ち、図1に示されているように、BaFとLiFがモル比1:1の組成の溶融液を冷却しても、該モル比においては、BaLiF結晶の存在可能な上限温度である857℃以上よりも50〜60℃程度高い温度でBaFの方が析出することになる。そのため、理論モル比である1:1よりもLiFの割合が高い原料溶融液を調整し、これにBaLiF結晶からなる種結晶を接触させて、BaLiF単結晶体を成長させることが必要となっている。換言すれば、BaFとLiFとがモル比で1:1の溶融原料からBaLiF単結晶体を直接製造する方法は未だ見出されておらず、必然的に、LiFが過剰な溶融原料を用いることになる。
他方、CeをドープしたBaLiF単結晶体の製造する際に、NaF、又はKFを共に添加する製造技術が知られている(特許文献4参照)。当該技術は、3価のCeをBaLiF単結晶体中にドープした結晶体を得る場合に、純度の低いフッ化物原料を用いても多結晶化することなく、良質な単結晶を得ることを目的とした技術であり、1価のNa又はKの添加は、三価のCeを2価のBaのサイトにドープしやすくするための電荷補償が目的である。
特開2007−005777号公報 特開2002−228802号公報 特開2003−119096号公報 特許請求の範囲、第0008段落、実施例3 特開2000−351697号公報
しかしながら、上記のようにLiFを理論モル比よりも過剰に配合した溶融原料からBaLiF単結晶体を製造し、これを光学部材とするために概ね水平方向に切断して板状体(以下、「ディスク」という)を得、このディスクに真空紫外光を照射して透過率を測定した場合、測定部位によって光透過率に差が生じることが判明した。
具体的には、ディスクの厚み方向の真空紫外光の透過率を測定すると、ディスク外縁の近くほど透過率が高く、中心部に近くなるにつれて相対的に光透過率が低下する傾向がある。このようなディスクの水平方向(横方向)位置の違いよる真空紫外光の透過率のばらつき(以下、単に「光透過率のばらつき」と称する)は、BaLiF単結晶体を液浸露光装置のラストレンズなどの光学材料として用いる場合に、極めて大きな問題となる。
この透過率のばらつきの原因は定かではないが、以下の如く推定している。即ち、上記の如くLiFを理論モル比よりも過剰に配合した溶融原料から製造したBaLiF単結晶体では、該単結晶が太陽光の下で透明にみえた場合(目視による)でも、高強度の可視光線を照射して観察した際に、結晶内部が白濁した状態になっているのが確認されることがしばしばある。この濁りの原因は、BaLiF単結晶体中にLiFが分相、析出しているためであると推測されるが、完全に明らかとはなっていない。このような濁りは、特に結晶の中心付近で濃くなる傾向があるため、この可視光を散乱して濁りとして見える部分が、真空紫外光も散乱し、よって濁りの多いディスク中心部では真空紫外光透過率が低くなっているのではないかと推定している。
BaLiF単結晶体の内部の濁りや上記光透過率のばらつきは、単結晶体が大きくなるほど顕著になりやすく、特に直径40mmを超えるような大型の単結晶体を育成する場合に大きな問題となる。
従って本発明は、上記問題点を解決し、光透過率のばらつきが少なく、光透過率の均一性に優れ、液浸露光装置のラストレンズ等の真空紫外用光学部材と使用可能なBaLiF単結晶体を効率よく製造することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、その結果、少量のKFを添加した溶融原料から単結晶体を製造すると、LiFを過剰に配合した場合でも、結晶が白濁することがほとんどなく、ディスクにおける光透過率の均一性に優れた単結晶体を安定的に得られることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、融液成長法によって、真空紫外光透過用光学部材を作製するための原材料として用いるBaLiF単結晶体を製造する方法であって、原料溶融液として、BaFとLiFとKFとからなり、これらの含有比率がモル基準で、Li/(Ba+Li+K)が0.52〜0.65の範囲にあり、K/(Ba+K)が0.002〜0.040の範囲にある原料溶融液を用いることを特徴とする前記BaLiF単結晶体の製造方法である。
上記製造方法によれば、光透過率のばらつきが少なく、よって光透過率の均一性に優れたBaLiF単結晶体が効率よく製造できる。従って、このBaLiF単結晶体を加工して真空紫外光透過用の光学材料とした場合にも、光透過特性に優れた光学部材を得ることができる。またK量が少量であるため、得られたBaLiF単結晶体が本来有する物性を損なうことがほとんどない。このようなBaLiF単結晶体を加工して得られる光学部材は液浸露光装置のラストレンズ等として極めて有用である。
本発明の製造方法は原料溶融液に種結晶を接触させ、該種結晶に接触した部分から徐々に結晶化させ、種結晶の結晶方位と合致した単結晶体を成長させる、いわゆる融液成長法で単結晶体を製造するものである。
当該融液成長法としては、チョクラルスキー法やブリッジマン法が例示され、本発明の製造方法はいずれの方法に適用してもよい。製造する単結晶体の組成とは異なる原料の組成で行う場合の製造の容易さの点から、チョクラルスキー法でのBaLiF単結晶体の製造に本発明を適用することが好ましい。
原料溶融液の調製は、通常、BaF、LiF及びKFを所定の割合で混合、加熱溶融することにより行われる。これらBaF、LiF及びKFとしては可能な限り不純物の少ないものを用いることが好ましく、アルカリ土類金属以外の金属(例えば、La、Ce等のランタノイド類や鉄などの遷移金属等)の不純物濃度が、各原材料を所定の割合で混合した後の状態で各々10ppm以下、さらには5ppm以下、特に1ppm以下となるような純度のフッ化金属であることが望ましい。原料フッ化金属中に遷移金属類が多量に存在している場合、製造したBaLiF単結晶体及びこれを加工した光学材料中にも遷移金属が混入する可能性が高くなり、レーザー耐性等の耐久性を低下させたり、真空紫外光の光透過率を低下させたりする可能性がある。また水分や酸化物(BaO、LiO及びKO等)も可能な限り除去された原料を用いることが好ましい。
このような原料BaF、LiF及びKFが、モル基準でLi/(Ba+Li+K)が0.52〜0.65、K/(Ba+K)が0.002〜0.040の範囲となるように配合された原料の溶融液にBaLiF単結晶体からなる種結晶を接触、徐々に引き上げて結晶体を得る。前述したように融液成長法では、Baに対してLiが過剰な原料を用いない限り、光学材料として使用可能な大きさを有するBaLiF3単結晶体を、再現性を持って得ることは事実上できない。なお、以下の説明において、Ba、Li及びKの各成分の比率は、特に断らない限りモル基準である。
本発明の最大の特徴は、原料溶融液として上記範囲のKを含んだ溶融液を用いる点にある。原料溶融液にKを配合しない場合には結晶が白濁しやすく、光透過率のばらつきも生じやすい場合が多く、またKを配合しても、該Kの配合量がK/(Ba+K)で0.003未満であるとその効果がほとんど得られない。
一方、Kの配合量が多すぎても、白濁や、光透過率のばらつきの低減効果が頭打ちになるだけではなく、BaLiF単結晶体中に散乱体が生成したり、更にKの添加量を増やすと極端な場合には、極端な場合には得られた結晶体全体が全く異なる結晶となってしまうなどの問題が生じる。K添加量を増やした際に現れる散乱体は、高強度の可視光線を照射して観察した際に特定の角度に強い光を散乱することから確認されものであり、K添加量が少ない結晶で多く観察される、どの方向からも確認可能な白濁とは異なるものである。散乱体が生成する原因は不明であるが、Kを構成成分とする異結晶が結晶内に析出したものと推測される。
上述の通り、白濁や散乱体の生成を抑え、真空紫外光の透過率のばらつきの少ないBaLiF単結晶体を得られる当該Kの配合量は、K/(Ba+K)が0.002〜0.040の範囲であり、より好ましくは0.003〜0.030であり、特に好ましくは0.004〜0.020である。
結晶育成に際しては、上記モル比で混合した原料BaF、LiF及びKFを高密度黒鉛焼結体などのカーボン製坩堝や、白金坩堝等に充填し、炉内で溶融温度以上に昇温する。該溶融温度は図1に示されるようにBaFとLiFのモル比により異なる。またKFの配合によっても若干変動するが、その配合量は少量であるため、図1に示されるBaF及びLiFの混合物の溶融温度とみなしても実質的な差し支えはない。十分に溶融させるため、通常は当該昇温時の最高温度を溶融温度+(10〜200)℃程度とする。
坩堝に充填する原料としては、各々粉末状または塊状のものを用いても、あるいは予め所定比で混合し、さらに加熱して焼結体や溶融固化体とした原料を用いても良い。炉内での溶融に先立ち、600〜650℃程度までは炉内を真空排気(好ましくは10−5〜10−2Pa程度)することも、吸着水分等の揮発性不純物を除去できる点で好ましい。さらには真空排気後、又は真空排気せずにHF、CF等のフッ素系ガスを導入し、その雰囲気下で加熱することも、水分や酸化物を効率的に除去できる点で好ましい。
上記の如き原料溶融液から結晶を育成する方法は、チョクラルスキー法(CZ法)又はブリッジマン法等の公知の融液成長法の製造方法に準じて行えばよい。以下ではより具体的に、CZ法によってBaLiF結晶体を育成する方法について述べる。
CZ法によってBaLiF単結晶体を育成する場合、十分に溶融した原料溶融液に、BaLiF単結晶体からなる種結晶体を接触させて徐々に引上げる。種結晶体は、引上げる結晶体の方位に合せて任意に選ぶことができる。例えば、<100>や<111>のものを用いることができる。
用いる坩堝としては、特開2006−199577号公報等に開示されている内坩堝と外坩堝からなる二重構造坩堝を用いることも好ましい。
引上げは、常圧、減圧又は加圧下で行うことができる。負結晶などの結晶欠陥の少ないBaLiF単結晶体が得られやすい点で、減圧下で行うことが好ましい。減圧を行う場合の圧力は炉内圧力が0.5〜70kPa、好ましくは1〜50kPa、より好ましくは1〜30kPaである。また雰囲気としてはHF、CF等のフッ素系ガスや、Ar、He、Ne、Nなどの不活性ガス、あるいは該不活性ガスで希釈したフッ素系ガス等の雰囲気下で行うことができる。酸素の影響を排除しやすい点で、フッ素系ガス又は不活性ガスで希釈したフッ素系ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。引上げ速度は通常、0.1〜20mm/hである。
所望の長さのBaLiF結晶体を引上げた後、室温程度まで冷却し、CZ炉内から取り出す。冷却に際しては、冷却速度が速いほど分相を起こしにくいが、一方で、極端に速いと熱衝撃により製造した(引上げた)結晶体にひびが入るなどの問題が生じる場合がある。従って、冷却速度は1〜500℃/hrとすることが好ましく、3〜50℃/hrとすることがより好ましい。
上記のようにしてBaLiF単結晶体を製造すると、Kを配合せずに製造する場合に比べて、LiFが析出したものと推測される白濁を生じることが少なく、光透過率のばらつきが生じ難い。これにより直径40mmを越えるような大型のBaLiF単結晶体であっても、光透過率のばらつきの極めて少ない単結晶体が得られる。多くの場合には、上記の光透過率のばらつきが少なく、最も光透過率の高い部位の内部透過率(X%)と最も光透過率の低い部位の内部透過率(Y%)との差(X%−Y%)が20%以内であるBaLiF単結晶体が得られ、更には内部透過率のばらつきが15%以内、特に10%以内の単結晶体を得ることもできる。
このようにして製造したBaLiF単結晶体には、通常少量のKが含まれる。当該BaLiF単結晶体中のK量は、原料溶融液におけるKのLiに対する比率よりも少なくなる傾向がある。また、結晶成長前半と後半では、後半の方が含まれるK量が多い傾向がある。これは、BaLiF単結晶体に対しての異原子であるKが取り込まれ難く、結晶成長に伴って原料溶融液中のK濃度が徐々に増加していくためであると推測される。このようなKの偏析現象は特に原料溶融液中のKの含有比率が多い場合に顕著である。一方、原料溶融液中のKの含有比率が少なくなるにつれて、得られたBaLiF単結晶体中のKのLi+Kに対する比率は原料溶融液の組成に近づく傾向がある。
本発明者らの検討によれば、本発明の製造方法で製造したBaLiF単結晶体には、通常、K/(Ba+K)=0.001〜0.010の範囲でKが含まれる。Kの含有量が多くなると、高強度の可視光線を照射した際に特定の角度に光を散乱する散乱体が確認されるようになり、例えばリソ用のレンズや窓材等の光学部材として使用する場合には、レーザー光の透過率が低下する可能性があるため、このような用途に用いる場合には、K/(Ba+K)≦0.010のものが好ましい。
K含有量の少ないBaLiF単結晶体は、製造に際して前記範囲内でKFの使用量を少なくしたり、同じCZ法で製造したインゴットでも上方(ブリッジマン法であれば下方)から切り出すことにより入手できる。
上述したように、本発明の製造方法で得られるBaLiF単結晶体は、真空紫外光の透過率のばらつきが少ないため、リソグラフィー装置の窓材、光源系レンズ、投影系レンズとして好適に使用できるが、特に液侵式露光装置のラストレンズとして有用である。当該ラストレンズとして使用する場合には、チョクラルスキー法やブリッジマン法等の融液成長法で製造したままの状態では、応力歪が大きく十分な解像度が得られない場合があるため、上記方法で製造した後、アニール処理を行って歪除去を行うことが好ましい。
当該アニール処理は、フッ化物単結晶のアニール処理の方法として知られる公知の方法を適用すればよい。具体的には、BaLiFの融点(857℃)よりも5〜50℃程度低い温度まで加熱し、その後、徐々に降温すればよい。降温速度は0.1〜5℃/hr程度、特に0.1〜2℃/hr程度である。またより高い温度領域ではゆっくりと降温し、温度が低下するにつれて徐々に降温速度をはやくしていくことも効果的である。
アニール処理は、インゴットの状態で行っても良いが、最終部品形状に近い大きさまで加工した後に行うことがより効果的である。
アニール処理により必要なレベルまで歪を除去したBaLiF単結晶体は、その後、さらに光学部材の最終部品形状まで加工して使用すればよい。当該光学部材としては、レンズブランク、レンズ、プリズム、窓材等が挙げられ、各々公知の方法に従い加工すればよい。
単結晶体製造から光学部材(レンズ)を得るまでの大まかな流れを図6として例示する(BaLiF単結晶体の製造がCZ法による場合を図示)。
用いたBaF及びLiF原料としては、不純物としての金属濃度でTi,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Cd,Pb,Zn,Y,La,Ce,Eu及びYbがいずれも1ppm未満のものを用いた。またKFは純度99.9%以上のものを用いた。
実施例1
塊状のBaF原料2497g、塊状のLiF原料495g、およびKF粉末8.36gを混合して特開2006−199577号公報等に開示されている内坩堝と外坩堝からなる二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した。ここでのBaF原料、LiF原料、KF原料の混合比率は、モル基準で、Li/(Ba+Li+K)が0.57、K/(Ba+K)が0.010である。上記の二重坩堝を構成する外坩堝の内径は120mm、内坩堝の内径は84mmであった。
次に、炉内を1×10−3Pa以下の真空度に保ち坩堝を600℃まで24時間かけて加熱昇温させ、その後、純度99.999%のCFガスを炉内に導入し大気圧にした。その後、坩堝を900℃まで2時間かけて加熱昇温させて、上記混合物を融解させた後、溶融液の温度がBaLiF単結晶の結晶化温度になるまで冷却した。
次いで、坩堝内の原料融液に、引上げ方向が<100>であるBaLiF単結晶体からなる種結晶を接触させ、この種結晶を15rpmで回転させながら1.0mm/hの速度で引き上げることにより、BaLiF単結晶体のインゴットを成長させた。BaLiF単結晶のインゴットを所定の大きさまで成長させた後、溶融液からインゴットを切り離した。次いで、CZ結晶育成炉を36時間かけて冷却した後に、インゴットをCZ結晶育成炉から取り出した。得られたインゴットは全長135mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が50mmであった。
上記のインゴットについて、暗室にてハロゲンライトの光を照射して肉眼で観察したところ、インゴット内部の透明性が高く、散乱点は確認されなかった。
次にインゴットの中央部を育成方向に垂直な{100}面で切断してディスク1枚を取得し、ディスクの表裏面を光学研磨して厚み10mm、直径40mmの試験片を作製した。なおこのディスクの中心は、上記結晶製造時の中心と一致するようにした。
次にディスク状の試験片の中央から半径方向に0mm、7.5mm、15mmの距離の3点の位置について真空紫外光(VUV)透過率を測定し、その結果を図2に示した。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で67.9%(最小値は67.4%、最大値は68.6%)であった。波長193nmにおけるBaLiF単結晶の理論透過率は88.9%(屈折率は1.64)であることから、ここで評価したBaLiF単結晶ディスクの表面反射を除いた内部透過率は平均値で76.4%(最小値は75.8%、最大値は77.2%)であった。
次いでBaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりK含有量を評価した。K含有量は、K/(Ba+K)で0.0033であった。
実施例2
塊状のBaF原料2502g、塊状のLiF原料493g、および、KF粉末原料4.17gを混合して、二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した以外は、実施例1と同様の方法でBaLiF単結晶体のインゴットを得た。ここでのBaF原料、LiF原料、KF原料の混合比率は、モル基準で、Li/(Ba+Li+K)が0.57、K/(Ba+K)が0.005である。
次に実施例1と同様に、インゴットを切断してディスクを取得した後に、このディスクについてVUV透過率を測定した。結果を図3に示した。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で70.0%(最小値は66.6%、最大値は72.1%)であり、表面反射を除いた内部透過率は平均値で78.7%(最小値は74.9%、最大値は81.1%)であった。
次いでBaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりK含有量を評価したところ、K含有量は、K/(Ba+K)で0.0019であった。
比較例1
塊状のBaF原料2508g、塊状のLiF原料492gを混合して二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した以外は、実施例1と同様の方法でBaLiF単結晶のインゴットを得た。ここでのBaF原料、LiF原料の混合比率は、モル基準で、Ba/(Ba+Li)が0.57である。
得られたインゴットについて、暗室にてハロゲンライトの光を照射して肉眼で観察したところ、インゴットの内部で光が散乱して白く濁った状態になるのが確認された。
次に実施例1と同様にインゴットを切断加工してディスクを取得し、VUV透過率を測定した。結果を図4に示した。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で66.9%(最小値は50.6%、最大値は78.5%)であり、表面反射を除いた内部透過率は平均値で75.3%(最小値は57.0%、最大値は88.3%)であった。
比較例2
塊状のBaF原料2507g、塊状のLiF原料492g、および、KF粉末原料0.83gを混合して、二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した以外は、実施例1と同様の方法でBaLiF単結晶体のインゴットを得た。ここでのBaF原料、LiF原料、KF原料の混合比率は、モル基準で、Li/(Ba+Li+K)が0.57、K/(Ba+K)が0.001である。
次に実施例1と同様に、インゴットを切断してディスクを取得した後に、このディスクについてVUV透過率を測定した。結果を図5に示した。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で63.5%(最小値は43.5%、最大値は78.4%)であり、表面反射を除いた内部透過率は平均値で71.5%(最小値は48.9%、最大値は88.2%)であった。
次いでBaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりK含有量を評価したところ、K含有量は、K/(Ba+K)で0.0008であった。
LiFおよびBaFの相平衡図である。 K/(Ba+K)が0.010となるようにして配合した溶融液から製造したBaLiF単結晶体のVUV透過率の測定結果である。 K/(Ba+K)が0.005となるようにして配合した溶融液から製造したBaLiF単結晶体のVUV透過率の測定結果である。 Kを配合せずに製造したBaLiF単結晶体のVUV透過率の測定結果である。 K/(Ba+K)が0.001となるようにして配合した溶融液から製造したBaLiF単結晶体のVUV透過率の測定結果である。 BaLiF単結晶体製造から光学部材(レンズ)を得るまでの大まかな流れを示す模式図である。

Claims (3)

  1. 融液成長法によって、真空紫外光透過用光学部材を作製するための原材料として用いるBaLiF単結晶体を製造する方法であって、原料溶融液として、BaFとLiFとKFとからなり、これらの含有比率がモル基準で、Li/(Ba+Li+K)が0.52〜0.65の範囲にあり、K/(Ba+K)が0.002〜0.040の範囲にある原料溶融液を用いることを特徴とする前記BaLiF単結晶体の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法でBaLiF単結晶体を製造し、得られたBaLiF単結晶体を加工して光学部材とする、真空紫外光透過用光学部材の製造方法。
  3. Kを含有し、かつKの含有比率がモル基準で、K/(Ba+K)が0.001〜0.010の範囲にあるBaLiF単結晶体からなる真空紫外光透過用光学部材。
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