JP2006198560A - 印刷用シートの製造方法、印刷用シート及び印刷シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも無機粉末、MQレジン、シリコーンゴム及びセルロース系ポリマーを有機溶媒に分散して得られた混合液を塗工、乾燥する工程を含む、無機粉末、MQレジン、シリコーンゴム及びセルロース系ポリマーを少なくとも含む混合物をシート形態に保形してなる印刷用シートを製造する方法であって、前記有機溶媒が、トルエン20〜95重量%と、SP値が17.0〜21.0[(MPa)1/2]の有機溶剤5〜80重量%とからなることを特徴とする、印刷用シートの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕 少なくとも無機粉末、MQレジン、シリコーンゴム及びセルロース系ポリマーを有機溶媒に分散して得られた混合液を塗工、乾燥する工程を含む、無機粉末、MQレジン、シリコーンゴム及びセルロース系ポリマーを少なくとも含む混合物をシート形態に保形してなる印刷用シートを製造する方法であって、前記有機溶媒が、トルエン20〜95重量%と、SP値が17.0〜21.0[(MPa)1/2]の有機溶剤5〜80重量%とからなることを特徴とする、印刷用シートの製造方法。
〔2〕 SP値が17.0〜21.0[(MPa)1/2]の有機溶剤が、酢酸エチル、キシレン、1,4−ジオキサン及びメチルイソブチルケトンからなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上である、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕 無機粉末が針状結晶物である、上記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕 シートの片面に粘着層を有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕 上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法により製造された印刷用シート。
〔6〕 上記〔5〕に記載の印刷用シートに、熱転写方式によるインク情報を付与した印刷シート。
なお、SP値とは溶剤の溶解度パラメーターであり、通常以下の式により表される。
トルエンと併用する有機溶剤のSP値が17.0[(MPa)1/2]よりも小さいと、セルロース系ポリマーの溶解性が極端に悪くなり、分散混合液の分散安定性に問題が生じる。逆に、トルエンと併用する有機溶剤のSP値が21.0[(MPa)1/2]よりも大きいと、シリコーンゴムの溶解性が極端に悪くなり、やはり分散混合液の分散安定性に問題が生じる。
また、全有機溶媒中のトルエンと併用するSP値が17.0〜21.0[(MPa)1/2]の有機溶剤の濃度が5%よりも小さいと、分散混合液の粘度が高くなり、塗工性が悪くなる。80%よりも大きいと、いずれかの材料の溶解性が悪くなり、分散混合液の安定性が得られない。
分散混合液中の固形分の濃度は、適宜調整すればよいため特に限定されないが、展開性等の点から5〜85重量%となるように調整することが好ましい。
分散混合液の調製に際しては、必要に応じて分散剤や可塑剤や助燃剤などの適宜な添加剤を配合することができる。
その印刷シートの一態様を図1に示した。1が印刷用シート、2がインク情報である。なお3は必要に応じて設けられる粘着層であり、4は被着体である。
例としては、シートが保形層そのものからなる形態(図1)、例示の如く保形層11を補強基材12で補強した形態(図2)、粘着層を有する形態などが挙げられる。
補強基材は、例えばポリエステルやポリイミド、フッ素樹脂やポリアミドなどからなるポリマーの如く加熱処理時に消失するもので形成されていてもよいし、ガラスまたはセラミックや金属の如く加熱処理により消失しないもので形成されていてもよい。
無機粉末は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、顕微鏡法により測定した粒径が50μm以下、就中0.05〜20μmが一般的であるがこれに限定されない。
なお無機粉末をマイカの如き薄片母体に付着させてフレーク状の粉末として配合することは、隠蔽力または反射率の向上に有効である。
就中、無機粉末としては、チタン酸カリウムやホウ酸アルミニウムの如く針状結晶物であるものが白色度や焼結強度等の点より好ましく用いられうる。
一般には、MQレジンとシリコーンゴムの合計量に基づいて無機粉末100重量部あたり、20〜800重量部、就中30〜500重量部、特に100〜300重量部とされる。
MQレジンが配合不足では焼結強度に乏しくなり、シリコーンゴムが配合不足では耐熱硝酸性等の耐薬品性に乏しくなる。
消泡剤を併用するなどして展開層中に気泡が残らないよう十分に脱泡処理することが好ましい。
形成する印刷用シートまたは保形層の厚さは、適宜に決定されるが一般には5μm〜5mm、就中10μm〜1mm、特に20〜200μmとされる。
仮着用の粘着層を設けた場合などにはその加熱による分解ガスで印刷シートが膨らむときがあり、ポーラスな印刷用シートとすることでそれを予防することができる。
その加熱処理に際しては、印刷用シートに被固着物を付設し、これを加熱して当該加熱処理体を介し被固着物を被着体に固着する方法も採ることができる。
粘着層は、印刷用シート等を被着体に仮着して加熱処理に供するまでの適宜な段階で設けることができる。
従って、印刷用シートに情報を付与して印刷シートとする前に予め設けることもできるし、印刷シートとした後に設けることもできる。
粘着層の付設は、ドクターブレード法やグラビアロールコータ法等の適宜な塗工方法で粘着性物質を印刷用シートまたは印刷シートに塗工する方式や、前記に準じてセパレータ上に設けた粘着層を印刷用シートまたは印刷シートに移着する方式などの、粘着テープ等の形成方法に準じた適宜な方式で行うことができる。
その場合には、印刷用シートを上記したポーラス形態とすることがより好ましい。
図4に粘着層31を点在状態に設けた印刷用シート1を例示した。
点在状態等の粘着層は、例えばロータリースクリーン法などの塗工方法で形成することができる。
なお設けた粘着層に対しては、それを被着体に仮着するまでの間、セパレータ等で被覆して汚染等を防止することが好ましい。
印刷用シートまたは印刷シートの被着体への仮着にはロボットなどによる自動接着方法なども採ることができる。
前記の情報要素を複合させたものや、その他の種々の方式で形成した情報の複合情報を有するものなどからなる印刷シートも形成することができる。
熱転写プリンタ等に適用するための印字リボンの如きインクシートは例えば、かかるインクにワックスやポリマー等のバインダを添加してフィルムや布等からなる支持基材に保持させることにより得ることができる。従って、熱転写方式等にて公知のインクやそのインクシートを用いることができる。
なお管理ラベル等の識別ラベルを形成する場合などには、加熱処理後における印刷用シートとインク情報とに良好なコントラスト、または色調の相違が形成されるようにすることが好ましい。
プリンタによりインク情報を形成する場合には、予めインク情報を付与した印刷シートとして、それを被着体に仮着する方式が通例である。
一般には、800℃以下、就中200〜650℃、特に250〜550℃の加熱温度とされる。
加熱処理により、粘着層等の有機成分は消失しつつ、印刷用シートを形成するMQレジンとシリコーンゴムとセルロース系ポリマーがインク情報と融和しつつ硬化し、焼成シート化して被着体と固着する。
就中、熱硝酸への浸漬にも耐えてそのインク情報を良好に保持する等の優れた耐薬品性を有することなどより、例えばブラウン管の製造から、それをリサイクルしてリワーク部品を回収するまでの管理ラベルの形成などに好ましく用いうる。
なお被着体は、平板形態や容器等の曲面形態などの任意な形態を有するものであってよい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
MQレジン130部(重量部、以下同じ)及びシリコーンゴム30部(いずれも信越化学工業社製)、チタン酸カリウム80部、エチルセルロース60部をトルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)にて均質に混合し固形分濃度25%の分散液を得た。その分散液を厚さ75μmのPETフィルム上にドクターブレード法にて塗工し乾燥させて厚さ65μmの保形層を形成し、印刷用シートを得た。
一方、重量平均分子量が約100万のポリブチルアクリレート100部を含むトルエン溶液をシリコーン系剥離剤で処理した厚さ70μmのグラシン紙からなるセパレータ上にドクターブレード法にて塗工し乾燥させて厚さ20μmの粘着層を形成し、それを前記の保形層面に接着してPETフィルムを剥離し、粘着層付きの印刷用シートとした。
ついで、前記印刷用シートの保形層に、金属酸化物系黒色顔料とビスマスガラスを含有するワックス系インクを保持した市販のインクリボンと熱転写プリンタを用いてバーコードからなるインク情報を付与し、印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比50/50)を用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比20/80)を用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、トルエン/キシレン混合溶剤(重量比50/50)を用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、トルエン/1,4−ジオキサン混合溶剤(重量比80/20)を用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、トルエン/メチルイソブチルケトン混合溶剤(重量比80/20)を用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、トルエンのみを用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、酢酸エチルのみを用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、キシレンのみを用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
トルエン/酢酸エチル混合溶剤(重量比80/20)に代えて、メチルイソブチルケトンを用いたほかは実施例1に準じて、印刷用シートと印刷シートを得た。
粘度
B型粘度計(東京計器)にて混合分散液の粘度を測定した。(23℃)
分散安定性
約200mlの混合分散液を約250mlのガラス瓶に入れて密閉し、23℃で24時間静置した後の混合分散液の層分離状態を目視で観察した。
実施例および比較例で得た印刷シートよりセパレータを剥がしてその粘着層を介しガラス板に仮着し、470℃で30分間加熱処理(空気中)し、白色地の上に黒色のバーコードからなるインク情報を鮮明な状態で有する焼成シートが固着したガラス板を得、下記の試験に供した。
なお前記の加熱処理により、印刷用シートのエチルセルロースや粘着層等における有機成分は焼失した。
また焼成シートは、MQレジン及び/又はシリコーンゴムが硬化物として残存したものであった。
焼成シートの表面を綿布で擦りインク情報の定着力、及びガラス板との固着力を調べ、次の基準で評価した。
良好:焼成シートの脱落なく、インク情報が試験前と同じ判読性を維持した場合。
不良:焼成シートが欠落し、インク情報が判読不能となった場合。
焼成シートの白色地における反射率を波長400〜800nmの光について調べた。
焼成シートをガラス板と共に80℃、15%硝酸液に2分間浸漬したのち取りだして、前記の焼結強度試験と同じ方法により評価した。
焼結強度、反射率、耐薬品性については、いずれの実施例、比較例においても良好な結果が得られた。
11 保形層
12 補強基材
13 微細な孔
2 インク情報層
3 粘着層
31 点状に分布した粘着層
4 被着体
Claims (6)
- 少なくとも無機粉末、MQレジン、シリコーンゴム及びセルロース系ポリマーを有機溶媒に分散して得られた混合液を塗工、乾燥する工程を含む、無機粉末、MQレジン、シリコーンゴム及びセルロース系ポリマーを少なくとも含む混合物をシート形態に保形してなる印刷用シートを製造する方法であって、前記有機溶媒が、トルエン20〜95重量%と、SP値が17.0〜21.0[(MPa)1/2]の有機溶剤5〜80重量%とからなることを特徴とする、印刷用シートの製造方法。
- SP値が17.0〜21.0[(MPa)1/2]の有機溶剤が、酢酸エチル、キシレン、1,4−ジオキサン及びメチルイソブチルケトンからなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上である、請求項1に記載の方法。
- 無機粉末が針状結晶物である、請求項1または2に記載の方法。
- シートの片面に粘着層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造された印刷用シート。
- 請求項5に記載の印刷用シートに、熱転写方式によるインク情報を付与した印刷シート。
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