JP2005313357A - 熱転写インクシート及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高い感度と最大濃度が得られ、かつ長期間にわたり保存を行った後でも、カブリ安定性に優れた熱転写インクシート及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に、少なくとも熱拡散性色素とバインダー樹脂を含有するインク層を有する熱転写インクシートにおいて、該熱拡散性色素のSPD値(J/cm31/2 と該バインダー樹脂のSPB値(J/cm31/2との差ΔSP(SPD−SPB)の絶対値が、2.0(J/cm31/2未満であることを特徴とする熱転写インクシート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、色素熱転写記録に用いられる熱転写インクシートとそれを用いた画像形成方法に関し、さらに詳しくは熱転写インクシートの長期保存における熱拡散性色素の析出によるカブリが低減され、かつ高感度と最大濃度が得られる熱転写インクシート及びそれを用いた画像形成方法に関する。
従来、カラーまたはモノクロの画像の形成技術として、加熱により拡散移行する性質を有する熱拡散性色素を含有するインクシートを、受像シートの色素受容層と対向させて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱印字手段を用いて、該色素受容層に該熱拡散性色素を画像様に転写して画像を形成(いわゆる色素熱転写方式)する技術が知られている。このような熱転写方式は、デジタルデータを用いての画像形成を可能とし、現像液等の処理液を使わず、しかも銀塩写真に匹敵する高画質を形成できる方法として定評がある。
しかしながら、色素熱転写方式で用いる熱転写インクシートは、長期間にわたり保存した際の安定性に課題を抱えている。すなわち、これまでの熱転写インクシートでは、長期間の保存により熱拡散性色素がインク層の表面に析出し、印画の際に受像シート表面が色素で汚染され画像のデータのない部分(白地部)も着色していまうといういわゆるカブリという現象が起こることがあった。
従来、一般的に用いられている熱転写インクシートにおいては、分散色素がバインダー樹脂中に作製当初は溶解又は微分散していても、長期間の保存に伴い、色素の凝集、結晶成長、析出が生じ、この様な状態の色素分子を加熱して昇華させるには、色素凝集体、あるいは結晶内の相互作用を打ち破り、更にバインダー樹脂との相互作用を上回る熱エネルギーを色素分子に与えて、熱転写受像シートへ昇華させて染着させなければならず、高いエネルギーを必要とし、その結果、熱転写インクシートの熱感度が低いこと及び表面に析出した色素によつて熱転写受像シートが汚染される。
上記課題に対し、熱拡散性色素を含むバインダー樹脂からなるインク層を積層してなり、使用するバインダー樹脂として、分子量が6万〜20万、ガラス転移温度が60℃〜110℃、ビニルアルコール部分の質量%が10%〜40%であるポリビニルブチラール樹脂を90質量%以上含むことを特徴とする熱転写インクシートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、熱昇華性の色素分子は、分子量が150〜550位と比較的小さく、バインダー樹脂中で動きやすいものである。従って、例えば、ガラス転移温度(Tg)の低いバインダー樹脂を用いると、長期間にわたり保存した際に凝集し、析出する現像が生じ、結局は前述した様な、色素を粒子状に分散した様な状態になったり、あるいは熱転写インク層の表面にブリードしてくる為、印画時にサーマルヘッドとプラテン(圧盤)との間の圧力により加熱部分の周囲へも色素が付着して地汚れを発生させ、画像品質を著しく劣下させてしまうことが知られている。
上記課題に対し、基材シート上に、加熱により移行して熱転写受像シート上に転写される色素を含有するインク層が積層されてなる熱転写インクシートであって、インク層が、バインダー樹脂成分としてポリビニルアセトアセタール樹脂を含有する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、上記提案されているいずれの方法でも、過酷な条件下で長期間にわたり保存された際の熱転写インクシートのカブリ安定性や感度安定性としては、決して満足できる品質には至っていない。
特開平4−41679号公報 特許第2515310号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い感度と最大濃度が得られ、かつ長期間にわたり保存を行った後でも、カブリ安定性に優れた熱転写インクシート及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に、少なくとも熱拡散性色素とバインダー樹脂を含有するインク層を有する熱転写インクシートにおいて、該熱拡散性色素のSPD値(J/cm31/2と該バインダー樹脂のSPB値(J/cm31/2との差ΔSP(SPD−SPB)の絶対値が、2.0(J/cm31/2未満であることを特徴とする熱転写インクシート。
(請求項2)
前記バインダー樹脂のSPB値が、18.0(J/cm31/2以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写インクシート。
(請求項3)
前記熱拡散性色素が、金属イオン含有化合物とキレート錯体を形成することができる熱拡散性色素であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写インクシート。
(請求項4)
請求項1または2に記載の熱転写インクシートと、支持体上に少なくとも熱拡散性色素を受容しうる色素受容層を有する熱転写受像シートとを重ね合わせ、記録信号に応じて画像様に加熱することにより、該熱転写インクシートの熱拡散性色素を、該熱転写受像シートの色素受容層に転写して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(請求項5)
請求項3に記載の熱転写インクシートと、支持体上に少なくとも金属イオン含有化合物を含有し、熱拡散性色素を受容しうる色素受容層を有する熱転写受像シートとを重ね合わせ、記録信号に応じて画像様に加熱することにより、該熱転写インクシートの熱拡散性色素を、該熱転写受像シートの色素受容層に転写して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、高い感度と最大濃度が得られ、かつ長期間にわたり保存を行った後でも、カブリ安定性に優れた熱転写インクシート及びそれを用いた画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に、少なくとも熱拡散性色素とバインダー樹脂を含有するインク層を有する熱転写インクシートにおいて、該熱拡散性色素のSPD値(J/cm31/2と該バインダー樹脂のSPB値(J/cm31/2との差ΔSP(SPD−SPB)の絶対値が、2.0(J/cm31/2未満である熱転写インクシートにより、高い感度と最高濃度が得られ、かつ長期間にわたり保存を行った後でも、カブリ安定性に優れた熱転写インクシートを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、熱転写インクシートのインク層として、熱拡散性色素とバインダー樹脂の選択において、それぞれのSP値が極めて近似し、その差が2.0(J/cm31/2未満となるようにそれぞれの化合物を組み合わせることにより、熱拡散性色素とバインダー樹脂との相溶性が向上し、その結果、例えば、長期間にわたり様々な環境下で保存した際にも、バインダー樹脂からの熱拡散性色素の析出を抑制するものである。更に、驚くべきことに、熱拡散性色素のSPD値とバインダー樹脂のSPB値との差ΔSP(SPD−SPB)の絶対値を2.0(J/cm31/2未満とすることにより、感度が上昇し、高い最大濃度が得られることを見出した。
以下、本発明の詳細について説明する。
《熱転写インクシート》
はじめに、本発明の熱転写インクシートについて説明する。
本発明の熱転写インクシートは、上述のごとく、少なくとも熱拡散性色素とバインダー樹脂を含有するインク層を有し、熱拡散性色素のSPD値とバインダー樹脂のSPB値との差ΔSP(SPD−SPB)の絶対値を2.0(J/cm31/2未満であることを特徴とし、好ましくは、ΔSP(SPD−SPB)の絶対値が0〜1.0(J/cm31/2である。
本発明でいうSP値、すなわち溶解性パラメータは、有機溶剤に対する非電解質の溶け易さを評価する際によく用いられるHildebrandの溶解性パラメータにより得られる値である。この溶解性パラメータについてはJ.H.Hildebrand,J.M.Prausnitz.R.L.Scott著“Regular and Related Solutions”,Van Nostrand−Reinhold,Princeton(1970年)、「高分子データハンドブック基礎編」高分子学会を参照。各種溶剤の溶解性パラメータの値はA.F.M.Barton,“Handbook of Solrbility Parameters and Other Cohesion Parameters”,CRC Press,Boca Raton/Florida(1983年)、「高分子データハンドブック基礎編」高分子学会に記載されている。
物質の溶解性パラメータは、
SP=(δE/V)1/2
で定義されており、δEはモル当たりの凝集エネルギーであり、Vはモル体積である。
溶解性パラメータは、溶解度から求める方法、或いは蒸発潜熱法、蒸気圧法、膨潤法、表面張力法、熱膨潤係数法、屈折率法等幾つかの方法で求めることができる。
本発明においては、以下の方法により求めたいずれかの溶解性パラメータを用いるものとする。又、単位としては、本発明において(J/cm31/2で表すものとする。
溶解性パラメータは、各種のSP値が既知の溶媒中への溶解度から求めることができる。この溶媒中への溶解度によって溶解性パラメータを求める方法は、色素等の構造が未知の場合には有効である。
本発明に係る熱拡散性色素やバインダー樹脂においては、例えば、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等、SP値既知の各種の溶剤を用い、最も溶解度の高い溶剤のSP値から溶質としての熱拡散性色素やバインダー樹脂のSP値を求める溶解法を用いる。この方法では、最も溶解度の高いグループの溶剤それぞれのSP値の各成分であるδd(分散力項)、δp(極性項)、δh(水素結合項)をそれぞれ各項毎に分けてプロットし、各項毎に中心値を求める。熱拡散性色素やバインダー樹脂のSP値の各項の値としてこの中心値をそれぞれ用いて熱拡散性色素やバインダー樹脂のSP値を求めることが出来る。C.M.Hansen,J.Paint Technol.,39(505)104(1967)、C.M.Hansen,J.Paint Technol.,39(511)505(1967)
溶剤溶解性の低い熱拡散性色素やバインダー樹脂では溶解法でSP値を正確に求めることは難しいが、前記文献に懸濁状態を利用した測定が示されている。即ち、SP値の近い溶剤ほど熱拡散性色素やバインダー樹脂を良く濡らすことから、溶剤と熱拡散性色素やバインダー樹脂を混合後、良く振って懸濁状態の良好(沈降しない)な溶剤を、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等SP値既知の各種の溶剤のなかから選び(複数でよい)、懸濁状態の良好な溶剤それぞれのδd(分散力項)、δp(極性項)、δh(水素結合項)をそれぞれ各項毎に分けてプロットし、各δd(分散力項)、δp(極性項)、δh(水素結合項)項の中心値をそれぞれ算出し、算出した各項の中心値を、求める熱拡散性色素やバインダー樹脂のSP値の各項とすることで熱拡散性色素やバインダー樹脂のSP値を求めることが出来る。
溶解性パラメータは構造が既知の場合には計算により求めることができる。
Smallは化学組成とSP値を関係付け、分子中のモル引力定数ΔFの総和をモル体積Vで割ることでSP値が求められる計算方法を提案した。この方法ではΔFは各原子団に割り当てることが出来るため簡易に計算できる。
S=(ΣΔF)/V
しかし、Smallの式では分散力から生じた凝集エネルギーのみしか含まないため、上記計算方法の精度を更に上げるために、Rheinneck、Hoy、Krevelen、Fedorsらは各々異なった修正ΔFを提案している。また、Hansenは3次元に分解したパラメータを提唱した。各修正パラメータにより数値は若干変動するが本発明で定義している2種の色材の差としてみた時の誤差は小さい。構造が既知の場合は前記修正パラメータを用いた計算で求めた溶解性パラメータを用いることが出来る。本発明においては、SP値の計算プログラムとして、富士通株式会社製のCACheという分子計算パッケージ中のProject Leaderを用いた。
これらのいずれかの方法によって、算出した溶解性パラメータを本発明においては用いる。溶解性パラメータの値は、例えば溶剤に対する溶解度から求めた場合、採用する溶剤の溶解パラメータの値が、求める方法によってはやや異なる場合があり、熱拡散性色素やバインダー樹脂のSP値もこれに伴ってやや異なってくる。しかしながら、その値の違いはそれ程大きくないので、熱拡散性色素とバインダー樹脂のSP値の差としてはその差が、一番小さくなるものを採用すればよい。
従って、構造既知の熱拡散性色素やバインダー樹脂の場合には、前記の計算による方法を用いるのがよい。この様にして求めた熱拡散性色素やバインダー樹脂の溶解性パラメータの差が2.0未満であれば、熱拡散性色素とバインダー樹脂は適度な親和性をもち、熱拡散性色素とバインダー樹脂との相溶性が向上する効果があるため好ましい。
ちなみに、本発明に係る溶解性パラメータの具体的な数値は、原則として、J.BRANDRUP and E.H.IMMERGUT,“POLYMER HANDBOOK”,THIRD EDITION,JOHN WILEY & SONS(1989)に記載の数値を用いた。但し、前記文献に記載のないものについては、計算(シュミレーション)により求めた数値を使用した。
本発明に係る熱転写インクシートは、熱拡散性色素とバインダー樹脂を含む各インク層と、剥離可能な保護転写層を主な構成要素としている。
図1は、本発明に係る熱転写インクシートの1面順次に供給される形態の一例を示す斜視図である。図1において、熱転写インクシート11には、基材シート12の同一平面上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各色素に対応したインク層13Y、13M、13Cが形成されており、このインク層とは別の領域に、剥離可能な保護転写層を含む保護転写層ユニット14が面順次に設けられている。この保護転写層ユニット14は、基材シート12上に、非転写性の剥離層15、保護転写層16、接着層17の順に構成されている。また、基材シート2の他の面には耐熱滑性層18を備えている。なお、保護転写層16は保護層と接着層との積層体であっても良い。
図1においては、各々のインク層、あるいは保護転写層ユニット14の間に僅かな隙間を持っているが、熱転写記録装置の制御方法に併せて適宜隙間を調整しても良い。また、各インク層の頭出しの精度を高めるため、検知マークを熱転写インクシートに設けることが好ましく、設け方については、特に限定されることはない。基材シートの同一平面上にインク層と熱転写性の保護転写層、あるいは後加熱処理を行う領域を設けたものを示したが、もちろん、別個の支持体上にそれぞれの層を設けても良いことは言うまでもない。なお、各インク層に反応型の色素を用いた場合、インク層に含有されている色素自身は反応前の化合物であり厳密にいえばY、M、C色素とは言えないが、Y、M、C画像を最終的に形成する為の層という意味で、便宜上同様に表現する
〔基材シート〕
本発明に係る熱転写インクシートに使用される基材シートとしては、従来より熱転写インクシートの基材シートとして公知の材料を用いることができる。好ましい基材シートの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シートの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
また、基材シートの表面に形成するインク層との密着が乏しい場合には、その表面にプライマー処理や、コロナ処理を施すことが好ましい。
〔インク層〕
本発明に係る熱転写インクシートを構成するインク層は、少なくとも熱拡散性色素とバインダー樹脂を含有する熱昇華性色剤層である。
〈色素〉
本発明に係る熱転写インクシートで用いる色素含有領域は、色相において異なる2以上の色素含有領域とすることができ、例えば、色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、及びシアン色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に色素不含有領域が形成された態様、色素含有領域が黒色色素を含有するインク層からなり、該領域の次に色素不含有領域が形成された態様、及び色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、シアン色素を含有する領域及び黒色色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に色素不含有領域が形成された態様等が挙げられる。
熱昇華性色剤層に用いられる色素は、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用される、アゾ系、アゾメチン系、メチン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ナフトキノン系等のあらゆる色素を挙げることができ、特に制限はされない。具体的には、黄色色素として、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、赤色色素としてMSレッドG、マクロレックスレッドバイオレットR、セレスレッド7B、サマロンレッドHBSL、SKルビンSEGL等が挙げられ、さらに、青色色素として、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100、ダイトーブルーNo.1等が挙げられる。
また、キレート形成可能な熱拡散性色素としては、熱転写が可能であれば特に制限はなく、公知の各種の化合物を適宜に選定して使用することができ、例えば、特開昭59−78893号公報、同59−109349号公報、特開平4−94974号公報、同4−97894号公報、特許第2,856,225号明細書に記載されているシアン色素、マゼンタ色素、イエロー色素などを使用することができるが、その中でも、金属イオン含有化合物とキレート錯体を形成することができる熱拡散性色素であることが好ましい。
例えば、キレートシアン色素としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313357
上記一般式(1)において、R11及びR12は各々置換または無置換の脂肪族基を表し、R11及びR12は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、及びアダマンチル基等)、及びアルケニル基(例えば、2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば、2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えば、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、及び2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば、4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えば、N,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基等)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、N,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等)、スルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
11、R12として、非芳香族性の環状構造(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成する基も好ましい。
13は上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR13は同じでも異なっていてもよい。
14はアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R14は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R14として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R14のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
15はアルキル基であり、その例としては、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R15は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R15として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R15のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
16はアルキル基を表し、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R16として特に好ましい置換基は、炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基であり、最も好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基である。なお、R16のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
また、キレートイエロー色素としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313357
上記一般式(2)において、R1及びR2で表される各々の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、またはアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。例えば、メチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホンアミドエチル、シクロヘキシル等の各基)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−アシルアミノフェニル、2−メトキシフェニル等の各基)、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホニル基、アシル基等が挙げられる。
3で表されるアルキル基及びアリール基としては、R1及びR2で表されるアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
1で表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的には、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR1及びR2で表される置換基と同じものを挙げることができる。
また、キレートマゼンタ色素としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313357
上記一般式(3)において、Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、R1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子または1価の置換基を表す。nは0、1、2を表す。
Xとして特に好ましくは、下記一般式(4)で表される基である。
Figure 2005313357
上記一般式(4)において、Z2は少くとも一つのキレート化可能な窒素原子を含む基で置換された芳香族性含窒素複素環を形成するに必要な原子群を表す。該環の具体例としてはピリジン、ピリミジン、チアゾール、イミダゾール等の各環が挙げられる。これらの環は、更に他の炭素環(ベンゼン環等)や複素環(ピリジン環等)と縮合環を形成しても良い。
上記一般式(3)において、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、該環上には更に置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該環の具体例としては、3H−ピロール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、ピリジン環等が挙げられる。これらの環は更に他の炭素環(例えば、ベンゼン環)や複素環(例えば、ピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されていても良い。
1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)または1価の置換基を表すが、1価の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、一般式(3)として色素を形成できるものなら何でもよく、例えば、5−ピラゾロン、イミダゾール、ピラゾロピロール、ピラゾロピラゾール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、またはピラゾロピリドンが好ましい。
〈バインダー樹脂〉
本発明に係るインク層は、上記熱拡散性色素と共にバインダー樹脂を含有する。
インク層に使用するバインダー樹脂としては、本発明で規定する熱拡散性色素のSPD値(J/cm31/2とバインダー樹脂のSPB値(J/cm31/2との差ΔSPの絶対値を、2.0(J/cm31/2未満とする条件を満たすものであれば、特に制限はなく、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用されるバインダー樹脂を使用することができ、例えば、セルロース付加化合物、セルロースエステル、セルロースエーテル等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系エステル、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸共重合体等のビニル系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。更に、本発明においては、バインダー樹脂のSPB値が18(J/cm31/2以上であることが好ましい。
上記の各バインダー樹脂の中で、代表的なバインダー樹脂のSP値を以下に示す。
ポリ塩化ビニル樹脂:19〜22(J/cm31/2
ポリ酢酸ビニル樹脂:18〜19(J/cm31/2
ポリスチレン樹脂:17〜22.5(J/cm31/2
ポリピロピレン樹脂:17〜19(J/cm31/2
ポリメタクリル酸メチル樹脂:22.7(J/cm31/2
ポリプロピオン酸ビニル樹脂:18〜18.5(J/cm31/2
セルロースアセテートプロピオネート樹脂:18〜19(J/cm31/2
セルロースアセテートプトレート樹脂:17〜19(J/cm31/2
ポリビニルブチラール樹脂:20〜25(J/cm31/2
インク層のバインダー樹脂として、更に、特公平5−78437号に記載のイソシアナート類と、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールから選択される活性水素を有する化合物との反応生成物、イソシアナート類が、ジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物、及び活性水素を有する化合物100質量部に対して、10〜200質量部の量である上記反応生成物;天然及び/又は半合成水溶性高分子の分子内水酸基をエステル化及び/又はウレタン化した有機溶媒可溶性高分子、天然及び/又は半合成水溶性高分子;特開平3−264393号に記載のアセチル化度が2.4以上かつ総置換度が2.7以上の酢酸セルロース;ポリビニルアルコール(Tg=85℃)、ポリ酢酸ビニル(Tg=32℃)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(Tg=77℃)等のビニル樹脂、ポリビニルブチラール(Tg=84℃)、ポリビニルアセトアセタール(Tg=110℃)等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアクリルアミド(Tg=165℃)等のビニル系樹脂、脂肪族ポリエステル(Tg=130℃)等のポリエステル樹脂等;特開平7−52564号に記載のイソシアナート類と、含有するビニルアルコール部分の質量が15〜40%であるポリビニルブチラールとの反応生成物、上記イソシアナート類がジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物;特開平7−32742号に記載の一般式(I)のフェニルイソシア変性ポリビニルアセタール樹脂;特開平6−155935号に記載のイソシアナート反応性セルロース又はイソシアナート反応性アセタール樹脂の1種と、イソシアナート反応性アセタール樹脂、イソシアナート反応性ビニル樹脂、イソシアナート反応性アクリル樹脂、イソシアナート反応性フェノキシ樹脂及びイソシアナート反応性スチロール樹脂から選ばれる1種の樹脂及びポリイソシアナート化合物を含有する組成物の硬化物;ポリビニルブチラール樹脂(好ましくは分子量が6万以上、ガラス転移温度が60℃以上、より好ましくは70℃以上110℃以下、ビニルアルコール部分の質量%がポリビニルブチラール樹脂中10〜40%、好ましくは15〜30%のもの);アクリル変性セルロース系樹脂、セルロース系樹脂としては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース等のセルロース系樹脂(好ましくはエチルセルロース)等を用いることができる。
前記各種のバインダー樹脂は、その1種を単独で使用することもできるし、又その2種以上を併用することもできる。
また、本発明に係るインク層には、上記説明した熱拡散性色素とバインダー樹脂の他に、必要に応じて公知の種々の添加剤を含有することができる。インク層は、例えば、適当な溶剤中に上記の色素、バインダー樹脂、その他の添加剤を溶解または分散させて調製したインク塗布液を、グラビアコート法等の公知の手段により基材シート上に塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。本発明に係るインク層の厚みは、0.1〜3.0μm程度、好ましくは0.3〜1.5μm程度とすることができる。
(保護転写層)
本発明の熱転写インクシートにおいては、剥離可能な保護転写層を備えていることが好ましい。剥離可能な保護転写層は、受像シート上に熱転写して形成された画像の表面を覆う保護層となり、主に透明な樹脂層から構成されている。
保護転写層を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、これらの各樹脂のエポキシ変性樹脂、これらの樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ変性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ジオール成分および酸成分が一種類以上の脂環族化合物を有する脂環族ポリエステル樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、特開平11−151867号に記載された芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
本発明に使用されるエポキシ変性樹脂としては、エポキシ変性ウレタン、エポキシ変性ポリエチレン、エポキシ変性ポリエチレンテレフタレート、エポキシ変性ポリフェニルサルファイト、エポキシ変性セルロース、エポキシ変性ポリプロピレン、エポキシ変性ポリ塩化ビニル、エポキシ変性ポリカーボネート、エポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーン、エポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体が挙げられ、好ましくはエポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーンであり、更に好ましくはエポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体である。
〈電離放射線硬化性樹脂〉
保護転写層として電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
〈紫外線遮断性樹脂〉
紫外線遮断性樹脂を含有する保護転写層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
本発明において、基材シート上に保護転写層を形成する方法としては、合成樹脂に必要に応じて帯電防止剤、ワックス等の添加剤を添加した塗布液を調製し、この塗布液を基材シート上に既に形成されている離型層上に、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段を用いて塗布、乾燥する方法が挙げられる。形成する保護転写層の厚みは0.5〜5μm程度、好ましくは1〜2μm程度とする。
〔離型層〕
本発明に係る剥離可能な保護転写層は、基材シート上に非転写性の離型層を介して設けることが好ましい。
非転写性の離型層は、基材シートと非転写性離型層との間の接着力を、非転写性離型層と保護転写層との間に接着力よりも常に充分高くし、且つ、熱を印加する前の非転写性離型層と保護転写層との間の接着力が、熱印加後のそれに対し高くなるようにする目的で、(1)樹脂バインダーと共に、平均粒子径が40nm以下の無機微粒子を30〜80質量%含有しているか、(2)アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物を合計20質量%以上の割合で含有しているか、或いは(3)アイオノマーを20質量%以上の割合で含有している、ことが好ましい。非転写性離型層には、必要に応じて他の添加物が含有されていてもよい。
無機微粒子としては、例えば、無水シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子や、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物を使用することが出来る。無機微粒子の粒子径は、40nm以下とすることが好ましい。40nmを越えると、離型層表面の凹凸に起因して保護転写層の表面の凹凸も大きくなり、その結果保護転写層の透明性が低下してしまい好ましくない。
無機微粒子と混合する樹脂バインダーは特に制限されず、混合可能なあらゆる樹脂を用いることが出来る。例えば、各種ケン化度のポリビニルアルコール樹脂(PVA);ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;酢酸セルロース、アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
無機微粒子と樹脂バインダーを主体とする他の配合成分との配合比(無機微粒子/他の配合成分)は、質量比で30/70以上、80/20以下の範囲とすることが好ましい。配合比が30/70未満になると、無機微粒子の効果が不十分となり、一方80/20を越えると離型層が完全な膜とならず、基材シートと保護転写層が直接触れる部分が生じてしまう。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体としては、例えば、アルキルビニルエーテル部分のアルキル基がメチル基或いはエチル基であるもの、無水マレイン酸部分が部分的にまたは完全にアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等)とのハーフエステルとなったものを用いることができる。
離型層は、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物だけで形成しても良いが、離型層と保護転写層の間の剥離力を調整する目的で、他の樹脂または微粒子をさらに加えても良い。その場合、離型層には、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物が20質量%以上含有されているのが望ましい。含有量が20質量%未満になると、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体の効果が十分に得られなくなる。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体に配合される樹脂または微粒子としては、混合可能で、被膜形成時に高い膜透明性が得られるもので有れば特に限定されず、あらゆる材料を用いることが出来る。例えば、前述の無機微粒子及び無機微粒子と混合可能な樹脂バインダーは好ましく用いられる。
アイオノマーとしては、例えば、サーリンA(デュポン社製)や、ケミパールSシリーズ(三井石油化学社製)等を使用することができる。また、アイオノマーには、例えば、前述の無機微粒子、無機微粒子と混合可能な樹脂バインダー、或いはその他の樹脂や微粒子をさらに加えることが出来る。
非転写性離型層を形成するには、上記(1)〜(3)のいずれかの成分を所定の配合割合で含有する塗布液を調製し、かかる塗布液を、グラビアコート法、グラビアリバースコート法のような公知の技術で基材シート上に塗布し、塗布層を乾燥させる。非転写性離型層の厚みは、通常、乾燥後の厚みで0.1〜2μm程度とする。
非転写性離型層を介して、あるいは介さずに基材シート上に積層される保護転写層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護転写層の他、保護転写層と印画物の受像面との接着性を高めるために、保護転写層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護転写層や、保護転写層本来の機能以外の機能を付加するための層(例えば偽造防止層、ホログラム層等)が設けられてもよい。主保護転写層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護転写層が受像面の最表面となるように、接着層と主保護転写層との間に他の層を配置する。
〔接着層〕
保護転写層の最表面には接着層が形成されていることが好ましい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。また、上記樹脂に加え、上述した電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂などを必要に応じて混合してもよい。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
非転写性離型層上あるいは基材シート上に保護転写層を形成するには、例えば、保護転写層形成用樹脂を含有する保護転写層用塗布液、熱接着性樹脂を含有する接着層用塗布液、その他必要に応じて付加される層を形成するための塗布液をあらかじめ調製し、それらを所定の順序で非転写性離型層上あるいは基材シート上に塗布し、乾燥させる。各塗布液は従来公知の方法で塗布すればよい。また、各層の間には適切なプライマー層を設けても良い。
〔その他〕
〈UV吸収剤〉
保護転写層ユニット(剥離層、保護転写層及び接着層)の少なくとも1層には、紫外線吸収剤が含有されていることが好ましいが、透明樹脂層に含有させた場合、保護転写層転写後は透明樹脂層が印画物の最表面に存在するため、長期間の間に環境などの影響を受け経時的にその効果が低下することから、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられ、例えば具体的にはTinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 320、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 328、Tinuvin 312、Tinuvin 315(以上、チバガイギー社製)、Sumisorb−110、Sumisorb−130、Sumisorb−140、Sumisorb−200、Sumisorb−250、Sumisorb−300、Sumisorb−320、Sumisorb−340、Sumisorb−350、Sumisorb−400(以上、住友化学工業(株)製)、Mark LA−32、Mark LA−36、Mark 1413(以上、アデカアーガス化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、いずれも本発明で使用することが出来る。
また、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとがランダム共重合したTg60℃以上、好ましくは80℃以上のランダム共重合体を用いることも出来る。
上記の反応性紫外線吸収剤は、従来公知のサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール系水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。具体的には、UVA635L、UVA633L(以上、BASFジャパン(株)製)、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、何れも本発明で使用することが出来る。
以上のような反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体における反応性紫外線吸収剤の量は10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲である。また、このようなランダム共重合体の分子量は5000〜250000程度、好ましくは9000〜30000程度とすることが出来る。上述した紫外線吸収剤、及び、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体は、各々単独で含有させても良いし、両方を含有させても良い。反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体の添加量は、含有させる層に対し5〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。
〈耐光剤〉
もちろん紫外線吸収剤以外にも他の耐光化剤を含有させても良い。ここで耐光化剤とは、光エネルギー、熱エネルギー、酸化作用など、色素を変質あるいは分解する作用を吸収または遮断して色素の変質や分解を防止する薬剤であり、具体的には上述した紫外線防止剤の他、従来合成樹脂の添加剤などとして知られている酸化防止剤、光安定剤があげられる。その場合も、保護転写層の少なくとも1層、即ち前記剥離層、透明樹脂層、感熱接着層のうち少なくとも1層に含有させてよいが、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤としてはフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、アミン系等の一次酸化防止剤、或いは硫黄系、リン系等の二次酸化防止剤があげられる。また、光安定剤としてはヒンダードアミン系等があげられる。
上記の紫外線吸収剤を含む、耐光化剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは含有させる層を形成する樹脂100質量部当たり0.05〜10質量部、好ましくは3〜10質量部の割合で使用する。使用量が少なすぎると耐光化剤としての効果が得難く、一方多すぎては不経済である。
また、上記の耐光剤の他にも、例えば、蛍光増白剤、充填剤等の各種の添加剤も同時に接着剤層に適当な量で添加することができる。
保護転写層転写シートの透明樹脂層は、基材シート上に単独で設けても良いし、熱転写インクシートのインク層と面順次に設けても良い。
〔耐熱滑性層〕
本発明に係る熱転写インクシートにおいて、インク層とは基材シートを挟んで反対側の面に耐熱滑性層を設けることが好ましい。
耐熱滑性層は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シートとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行うとともに、サーマルヘッドの付着物を除去する目的で設けられる。
この耐熱滑性層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリルースチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン等の天然または合成樹脂の単体または混合物が用いられる。耐熱滑性層の耐熱性をより高めるために、上記の樹脂のうち、水酸基系の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。
更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与するために、耐熱滑性層に固形あるいは液状の離型剤または滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤または滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸、有機カルボン酸及びその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。耐熱滑性層に含有される滑剤の量は5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%程度である。このような耐熱滑性層の厚みは0.1〜10μm程度、好ましくは0.3〜5μm程度とすることができる。
保護転写層ユニットが保護転写層と接着層との積層体である場合、接着層は、保護転写層の被転写体への転写を容易にする作用をなすものである。この接着層を形成する接着剤としては、アクリル、スチレンアクリル、塩化ビニル、スチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱溶融性接着剤を使用することができる。接着層の形成はグラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段により行うことができ、接着層の厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。
《熱転写受像シート》
本発明の画像形成方法においては、上記説明した本発明の熱転写インクシートを、支持体上に少なくとも熱拡散性色素を受容しうる色素受容層を有する熱転写受像シートとを重ね合わせ、記録信号に応じて画像様に加熱することにより、熱転写インクシートの熱拡散性色素を、熱転写受像シートの色素受容層に転写して画像を形成することを特徴とする。また、本発明の熱転写インクシートを、支持体上に少なくとも金属イオン含有化合物を含有し、熱拡散性色素を受容しうる色素受容層を有する熱転写受像シートとを重ね合わせ、記録信号に応じて画像様に加熱することにより、該熱転写インクシートの熱拡散性色素を、該熱転写受像シートの色素受容層に転写して画像を形成することを特徴とする。
以下、本発明の熱転写受像シートの詳細について説明する。
(基材シート)
熱転写受像シートで用いる支持体は、熱拡散性色素受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
このような支持体の材料としては特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
また、上記支持体の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。これらの基材シートの厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度である。
より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることが出来る。また、各種基材シートの上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックフィルムまたは合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/またはポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド(空隙)形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルムまたは合成紙が好ましい。これらがポリエステル等を主体としたものの場合には、その粘弾性的あるいは熱的性質から、クッション性、及び断熱性が、ポリプロピレンを主体としたものに比較して劣るため、印字感度に劣り、濃度ムラなども生じやすい。
これらの点を考慮すると、プラスチックフィルム及び合成紙の20℃における弾性率は5×108Pa〜1×1010Paが好ましい。また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故に、これらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層で合っても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が含有しても良い。このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
微細空隙を有する層としては、基材の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或いは複数をブレンドして使用することができる。
また、必要に応じて、支持体の受像層を設ける側とは反対側の面に、カール防止の目的として、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等の樹脂や合成紙の層を設けることが出来る。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子(株)製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
上述したような、プラスチックフィルムと合成紙、或いはそれら同士、或いは各種紙とプラスチックフィルムや合成紙、等を積層する場合、接着層により貼り合わせることができる。
上記基材シートと熱拡散性色素受容層との接着強度を大きくする等の目的で、基材シートの表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明に係る熱転写受像シートにおいて、バインダー樹脂としては公知のものを用いることができ、その中でも色素が染着しやすいものを用いることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリウレタン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、または混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂及びセルロース誘導体が好ましい。
(離型剤)
本発明に係る熱拡散性色素受容層には、熱拡散性色素受容層との熱融着を防止する目的で、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、燐酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンをはじめ各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種でも、あるいは2種以上のものを併せて用いても良い。また、離型剤の添加量は、色素受容層形成用のバインダー樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写インクシートと熱転写受像シートの色素受容層との融着もしくは印画感度低下などの問題が生じる場合がある。なお、これらの離型剤は、色素受容層に添加せず、熱拡散性色素受容層上に別途離型層として設けても良い。
(金属イオン化合物)
本発明に係る色素受容層には、金属イオン含有化合(以下、メタルソースともいう)を含有させることが好ましい。
メタルソースとしては、金属イオンの無機または有機の塩及び金属錯体が挙げられ、中でも有機酸の塩及び錯体が好ましい。金属としては、周期律表の第I〜第VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti及びZnが好ましく、特にNi、Cu、Cr、Co及びZnが好ましい。メタルソースの具体例としては、Ni2+、Cu2+、Cr2+、Co2+及びZn2+と酢酸やステアリン酸等の脂肪族の塩、或いは安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボン酸の塩等が挙げられる。
本発明においては、メタルソースとしは下記一般式(I)で表される錯体が、バインダー樹脂中に安定に添加でき、かつ実質的に無色である為に特に好ましい。
一般式(I)
〔M(Q1X(Q2Y(Q3ZP+(L-P
上記一般式(I)において、Mは金属イオン、好ましくはNi2+、Cu2+、Cr2+、Co2+またはZn2+を表す。Q1、Q2及びQ3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。これらの配位化合物としては、例えば、キレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。L-は有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニルホウ素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等を挙げることができる。Xは1、2または3を表し、Yは1、2または0を表し、Zは1または0を表す。Pは1または2を表す。この種のメタルソースの具体例としては、米国特許第4,987,049号明細書に例示された化合物、あるいは特開平9−39423号公報に例示された化合物No.1〜99などを挙げることができる。特に好ましくは、特開平10−241410号公報に記載された下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
一般式(II)
2+(X1 -2
上記一般式(II)において、M2+は2価の遷移金属イオンを表すが、これらの中でも金属イオン供給化合物自身の色及びキレート化した色素の色調から、ニッケル及び亜鉛が好ましい。X1 -は2価の金属イオンと錯体を形成することができる配位化合物を表す。また、これらの化合物は中心金属に応じて中性の配位子を有してもよく、代表的な配位子としてはH2OあるいはNH3が挙げられる。
(中間層)
また、熱転写受像シートは、基材シートと熱拡散性色素受容層との間に中間層を設けても良い。本発明でいう中間層は、基材シートと熱拡散性色素受容層との間に存在する全ての層を指し、多層構成であってもよい。中間層の機能としては、耐溶剤性能、バリア性能、接着性能、白色付与能、隠蔽性能、帯電防止機能等が挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層全てが適用できる。
中間層に耐溶剤性能、バリア性能を付与させるためには、水溶性樹脂を用いることが好ましい。水溶性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、でんぷん等の多糖類系樹脂、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン、寒天、また、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製ベオパ)、酢酸ビニル(メタ)アクリル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、また、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。ここで言う水溶性樹脂とは、水を主体とする溶媒に、完全溶解(粒径0.01μm以下)、またはコロイダルディスパージョン(0.01〜0.1μm)、またはエマルジョン(0.1〜1μm)、またはスラリー(1μm以上)の状態になる樹脂のことである。これらの水溶性樹脂のなかで、特に好ましいのは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等の汎用溶剤により、溶解はもとより、膨潤さえしない樹脂である。この意味で、水を主体とする溶媒に完全に溶解する樹脂が最も好ましい。特に、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。
中間層に接着性能をもたせるためには、基材シートの種類やその表面処理により異なるが、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が一般的である。また、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物のような硬化剤を併用すると良好な接着性が得られる。中間層に白色付与能をもたせるためには、蛍光増白剤を用いることができる。使用する蛍光増白剤は、従来公知のいずれの化合物でも使用でき、スチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル−オキサゾール系、ピレン−オキサゾール系、クマリン系、アミノクマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、ジスチリル−ビフェニル系の蛍光増白剤等が挙げられる。白色度は、これら蛍光増白剤の種類と添加量で調整することができる。蛍光増白剤の添加方法としては、あらゆる方法を用いることができる。すなわち、水に溶解させて添加する方法、ボールミル、コロイドミルによって粉砕分散して添加する方法、高沸点溶媒に溶解して親水性コロイド溶液と混合し、水中油滴型分散物として添加する方法、高分子ラテックス中に含浸させて添加する方法等がある。
更に、基材シートのギラつき感や、ムラを隠蔽するために、中間層に酸化チタンを添加してもよい。更に、酸化チタンを用いることで基材シートの選択の自由度が広がる点で好ましい。酸化チタンには、ルチル型酸化チタンと、アナターゼ型酸化チタンの2種類があるが、白色度及び蛍光増白剤の効果を考慮すると、ルチル型よりも紫外部の吸収がより短波長側であるアナターゼ型酸化チタンが好ましい。中間層のバインダー樹脂が水系で、酸化チタンが分散しにくい場合には、表面に親水性処理を施した酸化チタンを用いるか、もしくは、界面活性剤、エチレングリコール等の既知の分散剤により分散することができる。酸化チタンの添加量は、樹脂固形分100質量部に対して酸化チタン固形分として10〜400質量部が好ましい。
中間層に帯電防止機能をもたせるためには、導電性無機フィラーや、ポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等、従来公知の導電材料を中間層バインダー樹脂に合わせて適宜選択して使用することができる。このような中間層の厚みは、0.1〜10μm程度の範囲で設定することが好ましい。
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置として、例えば、図2に示すような熱転写記録装置を用いることができる。図2において、21は熱転写インクシートの供給ロール、11は熱転写インクシート、22は使用された熱転写インクシート11を巻き取る巻取ロール、23はサーマルヘッド、24はプラテンローラ、1はサーマルヘッド23とプラテンローラ24との間に挿入された熱転写受像シートである。
図2に示す熱転写記録装置を用い、例えば、図1に示す熱転写インクシートを用いて画像を形成する場合のプロセスについて説明する。まず、熱転写インクシートの図1のイエロー色素を含有するインク層13Yと熱転写受像シートの受像層とを重ね合わせ、サーマルヘッド23の熱印加によりインク層13Y中のイエロー色素を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いで、このイエロー画像の上に、マゼンタ色素を含有するインク層13Mから、同様にしてマゼンタ色素を画像様に移行させ、次いでこの転写画像の上にシアン色素を含有するインク層13Cから同様にしてシアン色素を画像様に移行させ、最後に、この画像の全面に転写性の保護転写層を含む保護転写層ユニット14を熱転写インクシートより熱転写して画像の形成を完了する。
本発明に用いられる熱転写記録装置において、光沢調とマット調の制御を同一装置内で選択可能にすると、1機種で所望の表面性の印画物が得られるため好ましい。選択の方法は特に限定されない。例えば、熱転写記録装置内に本発明の光沢調とマット調に対応する制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを読み出して、そのデータに従い制御部をコントロールしてもよいし、記録装置にパソコンが接続されている場合は、パソコン側に制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを記録装置に送りだしても良い。また、熱ローラーにて加熱をする場合には、表面を変質させる材料、例えば、光沢を出すような離型シート、マット調にするための凹凸のあるシートを画像記録後の受像層表面にあてがって、シート裏面より熱ローラーにて加熱を行うことで、表面の異なった記録体を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」、「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
《熱転写インクシート1の作製》
〔基材シートの作製〕
厚さ6μmの片面に易接着処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステル(株)製、K−203E−6F)の易接着処理面とは反対側の面に、下記組成の耐熱滑性層塗布用組成物をグラビア塗布方式で塗布、乾燥した後、加熱硬化処理を行って、乾燥膜厚1μmの耐熱滑性層を有する熱転写インクシート用の基材シートを作製した。
(耐熱滑性層塗布用組成物)
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製 エスレックBX−1) 3.5質量部
リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬社製 プライサーフA208S)
3.0質量部
リン酸エステル系界面活性剤(東邦化学社製 フォスファノールRD720)
0.3質量部
ポリイソシアネート(大日本インキ化学工業社製 バーノックD750−45)
19.0質量部
タルク(日本タルク社製 Y/X=0.03) 0.2質量部
メチルエチルケトン 35質量部
トルエン 35質量部
〔保護層用塗布液の調製及び塗布〕
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱滑性層を形成した面とは反対側の面に、下記の組成からなる離型層塗布液を、ワイヤーバーコーティング方式で乾燥膜厚が1.0μmとなる条件で塗布、乾燥を行って離型層を設けた。更に、剥離層上に、下記組成からなる保護層塗布液を、乾燥膜厚が2.0μmとなる条件で塗布、乾燥を行い、保護層を設けて、保護層転写シートを形成した。
(離型層塗布液)
ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製、ハイドランAP−40) 5.0部
ポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学社製、ゴーセノールC500) 8.0部
水 80.0部
エタノール 80.0部
(保護層塗布液)
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(BASFジャパン(株)製、UVA635L) 2.5部
アクリル樹脂(三菱レイヨン社製、ダイヤナールBR83) 15.0部
メチルエチルケトン 100.0部
〔インク層塗布液の調製及び塗布〕
次に、上記保護層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱滑性層を形成した面とは反対側の面に、下記の組成からなるシアン(C)インク層を形成するシアンインク塗布液を、グラビア塗布方式により、塗布(乾燥後膜厚:0.8μm)し、次いで100℃にて1分間乾燥してシアンインク層を形成して、シアンインク層及び保護層が面順次に配置された熱転写インクシート1を作製した。
〈シアンインク塗布液〉
ポストキレート色素C−1〔SPD値:19.8(J/cm31/2〕 4.0質量部
バインダー樹脂F:セルロースアセテートブチレート〔SPB値:17.94(J/cm31/2〕 5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
《熱転写インクシート2〜24の作製》
上記熱転写インクシート1の作製において、インク層塗布液で用いるポストキレート色素及びバインダー樹脂の種類を、表1に記載のように変更した以外は同様にして、熱転写インクシート2〜24を作製した。
なお、表1に略称で記載したポストキレート色素及びバインダー樹脂の詳細は、以下の通りである。
〈ポストキレート色素〉
C−1:ポストキレートシアン色素〔SPD値:19.8(J/cm31/2
M−1:ポストキレートマゼンタ色素〔SPD値:19.7(J/cm31/2
Y−1:ポストキレートイエロー色素〔SPD値:21.2(J/cm31/2
Y−2:ポストキレートイエロー色素〔SPD値:18.4(J/cm31/2
〈バインダー樹脂〉
F:セルロースアセテートブチレート〔SPB値:17.94(J/cm31/2
G:酢酸セルロース〔SPB値:19.56(J/cm31/2
J:ポリメチルアクリロニトリル〔SPB値:25.45(J/cm31/2
KY−24:ポリビニルアセトアセタール樹脂〔電気化学工業社製、デンカブチラールKY−24、SPB値:21.07(J/cm31/2
KS−5:ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学工業社製、エスレックKS−5、SPB値:22.53(J/cm31/2
BX−L:ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学工業社製、エスレックBX−L、SPB値:24.42(J/cm31/2
Figure 2005313357
〔熱転写インクシートの強制劣化処理〕
上記作製した各熱転写インクシートを、50℃、80%RHの環境下で3週間保存して、長期間保存を想定した強制劣化処理を施した熱転写インクシートを、別途作製した。
《熱転写受像シートの作製》
基材として、厚みが150μmの合成紙(王子油化合成紙社製 ユポFPG−150)の一方の面に、下記の組成からなる受像層塗布液をワイヤーバーコーティング方式にて、乾燥時の固形分量が4g/m2になるように塗布した後、110℃にて30秒間乾燥して熱転写受像シート1を得た。
(受像層塗布液の調製)
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製 エスレックBX−1) 4.5部
金属イオン含有化合物(MS−1:*A) 3.0部
メチルスチリル変成シリコーンオイル(信越化学(株)製 KF410) 0.5部
メチルエチルケトン 80.0質量部
酢酸ブチル 10.0質量部
(*A)MS−1:Ni2+[C715COC(COOCH3)=C(CH3)O-2
《画像形成》
図2に記載のように、抵抗体形状がスクエア(主走査方向長80μm×副走査方向長120μm)、300dpi(dpiとは、2.54cm当りのドット数を表す)ラインヘッドのサーマルヘッドを搭載した熱転写記録装置に、熱転写受像シート1の受像層部と、強制劣化処理有無の各熱転写インクシート1〜24のそれぞれのインク層を重ね合わせてセットし、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、5〜80mJ/mm2の印加エネルギー範囲で順次増加させ、イエロー、マゼンタ、またはシアンの各ステップパターンを、送り速度10msec/line、1ライン当たりの送り長さを85μmで、インク層の背面側から加熱して、熱転写受像シートの受像層上に各色素を転写させて、画像を形成した。
次いで、画像形成に使用したのと同じ熱転写記録装置を用いて、画像を形成した熱転写受像シートと、熱転写インクシート1〜24のそれぞれの各保護層を重ね合わせて、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、60mJ/mm2の印加エネルギー、送り速度10msec/lineで保護層転写シートの背面側から加熱して受像シートの画像上全面に保護層を転写して、画像1〜24を作成した。
《形成画像の評価》
以上のようにして作製した各画像について、下記の各評価を行った。
(保存後のカブリ耐性の評価)
上記強制劣化処理を施した熱転写インクシートを用いて作成した画像の白地部の反射光学濃度を濃度計(X−rite310)を用いて最小濃度D1を測定し、次いで、強制劣化処理を行わなかった未処理の熱転写インクシートを用いて作成した画像の最小濃度D2を測定し、最小濃度差(ΔDmin=D2−D1)を算出し、下記の基準に従って保存後のカブリ耐性の評価を行った。
◎:最小濃度差ΔDminが0.05未満
○:最小濃度差ΔDminが0.05以上、0.1未満
△:最小濃度差ΔDminが0.1以上、0.2未満
×:最小濃度差ΔDminが0.2以上
(感度の評価)
上記の画像形成方法において、強制劣化処理を行わなかった各熱転写インクシート1〜24を用いて、印加エネルギーを変化させながら画像形成を行い、反射濃度1.0を得るに要する印加エネルギーE(mJ/mm2)を測定し、下記の基準に従って感度の評価を行った。
◎:E≦4.8mJ/mm2
○:4.8mJ/mm2<E≦5.2mJ/mm2
△:5.2mJ/mm2<E≦5.6mJ/mm2
×:E>5.6mJ/mm2
(最大濃度の測定)
上記の画像形成方法において、強制劣化処理を行わなかった各熱転写インクシート1〜24を用いて作成した各色の画像パターンの最大濃度部の反射光学濃度を、濃度計(X−rite310)を用いて測定し、下記の基準に従って最大濃度の評価を行った。
○:最大濃度が2.2以上
△:最大濃度が2.0以上、2.2未満
×:最大濃度が2.0未満
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2005313357
表1に記載の結果より明らかなように、熱拡散性色素のSPD値とバインダー樹脂のSPB値との差ΔSP(SPD−SPB)の絶対値が2.0(J/cm31/2未満となる組み合わせからなるインク層を有する熱転写インクシートを用いて形成した画像は、強制劣化処理を施した後に印画しても、カブリ(最小濃度)の上昇が低く、また、未処理試料においても高い感度と最高濃度を得ることができることが分かる。
本発明の熱転写インクシートの1面順次に供給される形態の一例を示す斜視図である。 本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
11 熱転写シート
12 基材シート
13Y、13M、13C 染料層
14 保護転写層ユニット
15 非転写性の剥離層
16 保護転写層
17 接着層
21 熱転写シートの供給ロール
22 使用された熱転写シートを巻き取る巻取ロール
23 サーマルヘッド
24 プラテンローラ

Claims (5)

  1. 支持体上に、少なくとも熱拡散性色素とバインダー樹脂を含有するインク層を有する熱転写インクシートにおいて、該熱拡散性色素のSPD値(J/cm31/2と該バインダー樹脂のSPB値(J/cm31/2との差ΔSP(SPD−SPB)の絶対値が、2.0(J/cm31/2未満であることを特徴とする熱転写インクシート。
  2. 前記バインダー樹脂のSPB値が、18.0(J/cm31/2以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写インクシート。
  3. 前記熱拡散性色素が、金属イオン含有化合物とキレート錯体を形成することができる熱拡散性色素であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写インクシート。
  4. 請求項1または2に記載の熱転写インクシートと、支持体上に少なくとも熱拡散性色素を受容しうる色素受容層を有する熱転写受像シートとを重ね合わせ、記録信号に応じて画像様に加熱することにより、該熱転写インクシートの熱拡散性色素を、該熱転写受像シートの色素受容層に転写して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  5. 請求項3に記載の熱転写インクシートと、支持体上に少なくとも金属イオン含有化合物を含有し、熱拡散性色素を受容しうる色素受容層を有する熱転写受像シートとを重ね合わせ、記録信号に応じて画像様に加熱することにより、該熱転写インクシートの熱拡散性色素を、該熱転写受像シートの色素受容層に転写して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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