JPH05339543A - 硬化被膜形成剤 - Google Patents

硬化被膜形成剤

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JPH05339543A
JPH05339543A JP15536692A JP15536692A JPH05339543A JP H05339543 A JPH05339543 A JP H05339543A JP 15536692 A JP15536692 A JP 15536692A JP 15536692 A JP15536692 A JP 15536692A JP H05339543 A JPH05339543 A JP H05339543A
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JP
Japan
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group
polymer
silicon
organic
bond
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Application number
JP15536692A
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English (en)
Inventor
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
Tadahiro Yoneda
忠弘 米田
Taisei Fuku
大成 富久
Tsunemasa Ueno
恒正 上野
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 建材や自動車等に使用される金属素材や非金
属無機素材等の基材表面または無機系塗膜の表面に、シ
リコーンのような高価な成分を用いずに、耐候性および
密着性に優れた被膜を比較的短時間で形成することがで
きる硬化被膜形成剤を提供する。 【構成】 この硬化被膜形成剤は、1分子当たり少なく
とも1個のR3 O基(R3 はメチルまたはエチルなどで
ある。)と少なくとも1個のSi原子を有し、R3 O基
とSi原子が結合してSi−O−C結合を形成している
とともに一部または全部のSi原子がSi−O−C結合
を介して主鎖と直接または間接的に結合している構造を
有し、有機溶剤(W)に可溶であって数平均分子量が
1,000〜1,000,000の範囲にある含珪素ポ
リマー(P)、有機溶剤(W)、ならびに、シラノール
基縮合用触媒(I)を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、硬化被膜形成剤に関
するものである。更に詳しくは、この発明は、建材や自
動車等に使用される無機素材(たとえば、ステンレス、
アルミニウム、ガラス、セメント、コンクリート、モル
タル、スレート、アルミナ、セラミックス等)や無機系
塗膜の表面に、耐候性、密着性および硬化性に優れ、そ
れらの素材の保護や美粧に有用な被膜を形成するための
硬化被膜形成剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、珪素を含有するポリマーを用
いた被膜形成剤が各種開発されている。これらはシロキ
サン結合の特徴である耐候性や無機素材との密着性を被
膜に付与することができるため、建材や自動車等の分野
への応用が進んでいる。たとえば、特開昭54−363
95号公報、特開昭54−40893号公報、特開昭5
4−91546号公報および特開昭62−275132
号公報では、アルコキシシリル基やアシロキシシリル基
等の加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル樹脂
を空気中の水分にて加水分解縮合してシロキサン架橋を
生成させ、硬化被膜を得ることが開示されている。
【0003】このような(メタ)アクリル樹脂を用いた
被膜形成剤は、耐候性、基板との密着性に優れた被膜を
形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記(メタ)アクリル
樹脂は、たとえば、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシランのような珪素含有モノマーを原料の一部と
して使用して合成され、加水分解性シリル基がSi−C
結合を介して結合しているため、加水分解および縮合速
度が遅い。このような(メタ)アクリル樹脂を用いた被
膜形成剤は、室温で硬化するのに約1〜2週間、加熱
(たとえば80℃)して硬化するのにも約2〜3時間を
要する。
【0005】この発明は、建材や自動車等に使用される
無機素材表面または無機系塗膜の表面に、比較的短時間
(たとえば、80℃で約0.5〜1時間程度)で硬化し
て(以下、このような性能を「硬化性」と言う)耐候性
および密着性に優れた被膜を形成することができる硬化
被膜形成剤を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記従来技
術の問題点を改善するために、耐候性および密着性に優
れた被膜を形成し、硬化性に優れた硬化被膜形成剤につ
いて鋭意検討した結果、特定の含珪素ポリマー(P)と
シラノール基縮合用触媒(I)を含む硬化被膜形成剤が
上記課題を解決することを見いだし、この発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち、この発明は、1分子当たり少な
くとも1個のR3 O基〔R3 は、水素原子、または、C
数1〜20のアルキル基、C数1〜20の置換アルキル
基、C数5〜10のシクロアルキル基、C数5〜20の
置換シクロアルキル基、C数6〜20のアリール基、C
数6〜20の置換アリール基、C数7〜20のアラルキ
ル基、C数7〜20の置換アラルキル基、C数1〜20
のアシル基およびC数1〜20の置換アシル基から選ば
れる1種の基であり、R3 が1分子中に複数ある場合、
複数のR3 は互いに同一であっても異なってもよい。〕
と少なくとも1個のSi原子を有し、R3 O基とSi原
子が結合してSi−O−C結合を形成しているとともに
一部または全部のSi原子がSi−O−C結合を介して
主鎖と直接または間接的に結合している構造を有し、有
機溶剤(W)に可溶であって数平均分子量が1,000
〜1,000,000の範囲にある含珪素ポリマー
(P);有機溶剤(W);ならびに、シラノール基縮合
用触媒(I)を含む硬化被膜形成剤を提供する。
【0008】この発明で用いる含珪素ポリマー(P)
は、上記R3 O基がSi原子に結合してSi−O−C結
合を形成している構造を有する。ポリマー(P)は、2
個以上のSi原子がシロキサン結合してなるポリシロキ
サン構造を有していても良い。含珪素ポリマー(P)
は、一部または全部のSi原子がSi−O−C結合を介
して直接または間接的に主鎖と結合している構造を有す
る。このSi−O−C結合は加水分解性を有するはずで
あるが、Siと結合しているR3 O基に比べて主鎖の分
子量が非常に大きく立体的にかさ高くなるので、加水分
解性が抑制されている。
【0009】Si原子と主鎖との間の結合の具体例は、
下記の2価の結合である。 −O− −COOR2 O− −COO− −R2 O− −CONHR2 O− −R2 COO− 〔R2 は、C数1〜20の範囲の2価の有機基であ
る。〕R2 の具体例としては、たとえば、直鎖状または
分岐状のC数1〜20のアルキレン基または置換アルキ
レン基(たとえば、メチレン、エチレン、プロピレン、
ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オク
タデシレン、2−メチルテトラメチレン、3−メチルテ
トラメチレン等)、C数6〜20のフェニレン基または
置換フェニレン基、−CH2 CHR1 −(OCH2 CH
1)q −〔q=1〜9、R1 は水素原子またはメチル基
である。〕のように例示されたアルキレン基における炭
素鎖が任意の位置で酸素原子により中断されたC数1〜
20のオキシアルキレン基;−CH2 CH2 〔OCO
(CH2)5 2 −等の基が挙げられる。R2 が1分子中
に複数ある場合、複数のR2 は互いに同一であっても異
なってもよい。
【0010】含珪素ポリマー(P)の主鎖は、炭素を主
体とするものであり、主鎖結合にあずかる炭素原子が7
0〜100モル%、残部をN,O,S,Si,P等の元
素が占めるものである。上記のような主鎖を有するポリ
マーの具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル樹
脂;スチレン樹脂;酢酸ビニル樹脂;ポリエチレンやポ
リプロピレン等のポリオレフィン;塩化ビニル樹脂;塩
化ビニリデン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポ
リエステル樹脂;セルロース樹脂;フッ素樹脂;およ
び、これらの共重合体や一部変性した樹脂等が挙げられ
る。ポリマー(P)は、これらの樹脂の主鎖を構成して
いる1個以上の炭素原子に上述のような2価の基を介し
てSiが結合している構造を有する。
【0011】ポリマー(P)中のSi−OR3 基が大気
中の水分により加水分解縮合してSi−O−Si結合
(シロキサン結合)を生成することにより、ポリマー
(P)が架橋硬化すると同時に無機素材や無機系塗膜の
表面と結合するため密着性に優れ、かつ、耐候性に優れ
た被膜が形成される。特に、ポリマー(P)は主鎖とS
iの間にSi−O−C結合を有しているため、上述した
ような従来の加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル
樹脂のようなSi−C結合を有する場合に比べてSi原
子のイオン性が高まる。その結果、Si−OR3 基の加
水分解および縮合速度が速くなり、硬化性および基板と
の密着性に優れた被膜となる。
【0012】R3 O基は、ポリマー(P)1分子当たり
平均少なくとも1個であり、好ましくは5個以上、更に
好ましくは10個以上である。R3 O基がないとポリマ
ー(P)の架橋点がなくなるため硬化しない。ポリマー
(P)がR3 O基を多く有するほど硬化被膜形成剤は硬
化性に優れたものとなる。ここでR3 は、水素原子、ま
たは、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20の置換
アルキル基、C数5〜10のシクロアルキル基、C数5
〜20の置換シクロアルキル基、C数6〜20のアリー
ル基、C数6〜20の置換アリール基、C数7〜20の
アラルキル基、C数7〜20の置換アラルキル基、C数
1〜20のアシル基およびC数1〜20の置換アシル基
から選ばれる1種の基である。R3の具体例としては、
たとえば、直鎖状または分岐状のアルキル基(たとえ
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、第2級ブチル、第3級ブチル、ヘキシル、オクチ
ル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、
オクタデシル等)、脂環式アルキル基(たとえば、シク
ロペンチル、シクロヘキシル等)、アリール基(たとえ
ば、フェニル、トリル、キシリル等)、アラルキル基
(たとえば、ベンジル、フェネチル等)、アシル基(た
とえば、アセチル、プロピニオル、ブチリル、エトキシ
カルボニル、プロポキシカルボニル等)などが挙げられ
る。C数1〜20の置換アルキル基、C数5〜20の置
換シクロアルキル基、C数6〜20の置換アリール基、
C数7〜20の置換アラルキル基およびC数1〜20の
置換アシル基としては、それぞれ、たとえば上記C数1
〜20のアルキル基、C数5〜10のシクロアルキル
基、C数6〜20のアリール基、C数7〜20のアラル
キル基およびC数1〜20のアシル基の各水素の1また
は2以上が、たとえば、メトキシ基、エトキシ基等のア
ルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル
基;塩素、臭素等のハロゲン等で置換されてなる基が挙
げられる。R3 が1分子中に複数ある場合、複数のR3
は互いに同一であっても異なってもよい。R3 は、水素
原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好
ましい。これは、R3 O基の加水分解縮合速度が更に速
くなるという理由による。
【0013】この発明で用いる含珪素ポリマー(P)の
数平均分子量は、1,000〜1,000,000の範
囲内にある必要があり、2,000〜200,000の
範囲内にあることが好ましい。分子量が小さい場合には
1分子中のR3 O基が少なくなり架橋点が少なくなるた
め硬化性および被膜の耐溶剤性等が低下する傾向にあ
る。逆に分子量が大きい場合には有機溶剤に溶解させる
のが困難となったり硬化被膜形成剤の粘度が高くなるた
め塗布するのが困難になる。
【0014】この発明に用いる含珪素ポリマー(P)
は、有機溶剤(W)に可溶であることが必要である。こ
れにより、ポリマー(P)およびシラノール基縮合用触
媒(I)を有機溶剤(W)に溶解して無機素材や無機系
塗膜表面に塗布することにより硬化被膜を形成すること
ができる。ポリマー(P)が有機溶剤(W)に可溶であ
るということは、ポリマー(P)が高度な架橋構造を有
しておらず、熱可塑的性質を示しており、たとえば、後
述の実施例における溶解性の試験方法で調べることがで
きる。ポリマー(P)は、後述する有機溶剤(W)の少
なくとも1種の単独溶剤または2種以上の混合溶剤に可
溶であればよい。
【0015】このような有機溶剤(W)は、反応性のも
のでも非反応性のものでも良く、好ましくは沸点が50
〜200℃の範囲にあり、溶解度パラメーター(SP
値)が4.0〜7.0の範囲にある有機溶剤が良い。沸
点が低すぎると塗布後にすぐに溶剤が蒸発するため被膜
が不均一になりやすく、高すぎると溶剤の蒸発が遅いた
め硬化性が悪くなる場合がある。また、溶解度パラメー
ターが上記範囲外である溶剤を用いるとポリマー(P)
が溶解しない場合がある。有機溶剤(W)の具体例とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、α−
メチルスチレンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブ
チル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル、酢酸アミル、
酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチ
レングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリ
コールモノブチルエーテル、酢酸メトキシブチル、酢酸
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ギ酸メチ
ル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメ
タクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、
メシチルオキシド、メチルイソアミルケトン、メチルア
ミルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、
エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ−n−ブチル
エーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、sec-ブタノール、t−ブタノール、メ
チルイソブチルカルビノール、シクロヘキサノール、ベ
ンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、メトキシブタノー
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル等のアルコール類;塩化メチレ
ン、トリクロルエチレン、クロロホルム、四塩化エチレ
ン、四塩化炭素、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化
水素類;ならびに、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族環状炭化水素類
などが挙げられる。
【0016】上記ポリマー(P)の製法に制限はない
が、工業的に有利な方法として、たとえば、大きく分け
て2種の方法によって製造することができる。その第1
の方法は、Si−O−C結合の交換反応を利用する方法
であり、第2の方法は、重合性不飽和基を有するモノマ
ー成分を共重合させる方法である。交換反応を利用する
方法は、加水分解性オルガノシロキサン(a)に対して
主骨格形成用OH含有有機ポリマー(b)を交換反応を
させる方法である。加水分解性オルガノシロキサン
(a)は、Si原子に結合したR3 O基〔R3 は、前記
と同じである。〕を複数個有する珪素化合物である。主
骨格形成用OH含有有機ポリマー(b)は、炭素を主体
とする主鎖を有し、かつ、ヒドロキシル基およびカルボ
キシル基のうちの少なくとも一方を分子内に1個以上含
有するポリマーである。この交換反応では、加水分解性
オルガノシロキサン(a)が有するR3 O基の一部また
は全部と主骨格形成用OH含有有機ポリマー(b)が有
するヒドロキシル基およびカルボキシル基のうちの少な
くとも一方とで反応させて、R3 O基を(b)の残基
(下記Y)と交換する。すなわち、加水分解性オルガノ
シロキサン(a)を次式(I): で表し、主骨格形成用OH含有有機ポリマー(b)をY
−OH(ここで、OHは、ヒドロキシル基および/また
はカルボキシル基中のOHである。)で表した時に、次
式(II): で表される反応により目的とするポリマー(P)が生成
する反応である。
【0017】加水分解性オルガノシロキサン(a)は、
従来公知のものを使用することができ、特に限定されな
いが、たとえば、水ガラスを中和または陽イオン交換樹
脂で処理して得られるケイ酸あるいはケイ酸を更にアル
コール中でエステル化処理して得られるポリアルコキシ
シロキサンや一般式: R4 p Si(OR3)4-p … 〔式中、R3 は、上述したものであり、複数のR3 はす
べて同一または少なくとも1つが異なっていてもよい。
4 は、C数1〜20の範囲の1価の有機基である。p
は0〜2の整数である。R4 が2個の場合には、互いに
同一または異なっていてもよい。〕で示されるシラン化
合物、その加水分解物、および、その縮合物からなる群
から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。特に、一般
式で示されるシラン化合物、その加水分解物、およ
び、その縮合物は、容易に合成または入手できるので好
ましい。
【0018】上記一般式中のR4 は、C数1〜20の範
囲の1価の有機基から選ばれる少なくとも1種の基であ
り、C原子が直接Siと結合している。R4 の具体例と
しては、R3 の具体例として挙げたもの等が挙げられ
る。R4 が1分子中に複数ある場合、複数のR4 は互い
に同一であっても異なってもよい。一般式で示される
シラン化合物の具体例としては、たとえば、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピル
トリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラ
ン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルト
リエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラ
ン、ジメトキシジエトキシシラン等のアルコキシシラン
化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキ
シシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジアセトキ
シジメチルシラン等のアシロキシシラン化合物;ジシク
ロヘキシルジヒドロキシシラン、ジフェニルジヒドロキ
シシラン、オクチルトリヒドロキシシラン等のシラノー
ル化合物などを挙げることができ、それぞれ、単独で使
用されたり、2種以上併用されたりする。中でも、アル
コキシシラン化合物は、交換反応が容易に起こるので、
特に好ましい。
【0019】一般式で示されるシラン化合物の加水分
解物としては、たとえば、テトラヒドロキシシラン、メ
チルトリヒドロキシシラン、フェニルトリヒドロキシシ
ランなどを挙げることができ、それぞれ、単独で使用さ
れたり、2種以上併用されたりする。実際には、単離さ
れず、シラン化合物、その加水分解物、および、その縮
合物の混合物の形で使用されることが多い。
【0020】一般式で示されるシラン化合物の縮合物
としては、たとえば、平均組成が下記一般式で表され
るポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種の化合物
が挙げられ、それぞれ、単独で使用されたり、2種以上
併用されたりする。 〔式中、R3 およびR4 は前記と同じ、hは0以上、2
以下の数、iは3以下の正の数、h+iは3以下の正の
数である。ただし、R3 が1分子中に複数ある場合、複
数のR3 は互いに同一であっても異なってもよく、R4
が1分子中に複数ある場合、複数のR4 は互いに同一で
あっても異なってもよい。〕このようなポリシロキサン
は、たとえば、水を含むアルコール等の有機溶媒中で加
水分解縮合する方法により製造される。その際、触媒と
して塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、p−ト
ルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸;アンモニア、
水酸化ナトリウム等のアルカリ;酸性または塩基性のイ
オン交換樹脂;Al2 3 等の固体酸または塩基が使用
され、たとえば、数平均分子量200〜100,000
のものが使用される。中でも特に好ましいのは、反応後
の除去が容易であるという点で系に不溶な固体状触媒を
用いることが推奨される。
【0021】前記主骨格形成用OH含有有機ポリマー
(b)が有する、炭素を主体とする主鎖とは、主鎖結合
にあずかる原子のうち炭素原子が70〜100モル%、
残部をN,O,Si,S,P等の元素が占める主鎖であ
る。ポリマー(b)は、好ましくは数平均分子量が1,
000〜1,000,000である。このようなポリマ
ー(b)としては、ヒドロキシル基および/またはカル
ボキシル基を含有するポリマーなら従来公知のものを使
用することができ、特に限定されず、樹脂としてたとえ
ば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリ
ル樹脂、(メタ)アクリル−酢酸ビニル樹脂、ポリエス
テル、アルキド樹脂、アルキド変性(メタ)アクリル樹
脂、ニトロセルロース樹脂、ポリエーテル、(メタ)ア
クリル−シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルア
ルコール等が挙げられ、それぞれ、単独で使用された
り、2種以上併用されたりする。
【0022】ポリマー(b)としては、特に、アクリル
酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキ
ル、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも
1種のモノマーをアクリル酸エステル類、アクリルアミ
ド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、
アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルエステル
類、スチレン類等のラジカル重合性モノマーと共重合し
て得られるポリマーが容易に合成または入手できるので
好ましい。
【0023】ポリマー(b)の製造に用いられるモノマ
ーは、たとえば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒド
ロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタク
リレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒ
ドロキシル基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有モ
ノマーなどであり、その他、これらのモノマーと共重合
可能な不飽和基を1個有するコモノマーが必要に応じて
用いられる。このようなコモノマーとしては、たとえ
ば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、
クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイ
ン酸エステル類、フマール酸エステル類などの不飽和カ
ルボン酸エステル類;アクリルアミド類;メタクリルア
ミド類;アリル化合物;ビニルエーテル類;ビニルエス
テル類;スチレン類;ビニルニトリル類などから選ばれ
る少なくとも1種の化合物である。
【0024】この発明で用いる含珪素ポリマー(P)
は、上記のようにR3 O基を有しているとともに、下記
一般式(Z−1)〜(Z−8)で表される1価の反応性
有機基(Z)の少なくとも1種がSi−O−C結合を介
してSi原子に結合している、すなわち、Z−O−Si
となっている構造を有するものが好ましい。そのように
反応性有機基Zを有するポリマー(P)は、シロキサン
架橋以外の化学的結合による架橋ができる(たとえば、
不飽和結合と反応する化合物を用い、必要に応じて重合
触媒を用いて不飽和結合を反応させたり、あるいは、ジ
カルボン酸やジアミン等を用いてエポキシ基を開環させ
たりすることができる。)ため、基Zを有しないものに
比べると、被膜の耐溶剤性を向上させることができる。
このとき、シロキサン結合および他の化学的結合は、同
時にあるいは別々に生成させることができる。化学的結
合による架橋を有効なものにするという点からは、ポリ
マー(P)は基Zを1分子当たり平均少なくとも1個有
することが好ましい。 (Z−1) CH2 =C(R1)−COOR2 − (Z−2) CH2 =C(R1)−CO− (Z−3) CH2 =C(R1)−R2 − (Z−4) CH2 =C(R1)−CONHR2 − (Z−5) CH2 =C(R1)−CONHR2 −CO− (Z−6) CH2 =C(R1)−R2 −CO− 〔一般式(Z−1)〜(Z−8)中、互いに独立に、R
1 は水素原子またはメチル基、R2 は前記と同じであ
る。〕反応性有機基(Z)が1分子中に複数ある場合、
複数のZは互いに同一であっても異なってもよい。
【0025】交換反応を利用する方法では、ポリマー
(P)中に二重結合基やエポキシ基のような反応性有機
基Zを存在させる場合、加水分解性オルガノシロキサン
(a)に対して主骨格形成用OH含有有機ポリマー
(b)とOH含有反応性有機化合物(c)を交換反応さ
せる。この場合、交換反応は以下の方法により行うこと
ができる。 (1)加水分解性オルガノシロキサン(a)と主骨格形
成用OH含有有機ポリマー(b)とを、(a)の有する
一部のR3 O基と(b)の有するヒドロキシル基および
カルボキシル基のうちの少なくとも一方とで反応させて
3 O基を(b)の残基と交換すると同時に、(a)と
(c)とを、(a)の有する一部のR3 O基と(c)の
有するヒドロキシル基およびカルボキシル基のうちの少
なくとも一方とで反応させてR3 O基を(c)の残基と
交換する。
【0026】 (2)加水分解性オルガノシロキサン(a)とポリマー
(b)を予め交換反応させてなる含珪素有機ポリマー
(d)〔このポリマー(d)は上述のように基Zを持た
ないポリマー(P)である。〕とOH含有反応性有機化
合物(c)とを、(d)の有する一部のR3 O基と
(c)の有するヒドロキシル基およびカルボキシル基の
うちの少なくとも一方とで反応させてR3 O基を(c)
の残基と交換する。
【0027】 (3)加水分解性オルガノシロキサン(a)とOH含有
反応性有機化合物(c)を、(a)の有する一部のR3
O基と(c)の有するヒドロキシル基およびカルボキシ
ル基のうちの少なくとも一方とで反応させてR3 O基を
(c)の残基と予め交換してなる反応性有機珪素化合物
(e)とポリマー(b)とを、(e)の有する一部のR
3 O基と(b)の有するヒドロキシル基およびカルボキ
シル基のうちの少なくとも一方とで反応させてR3 O基
を(b)の残基と交換する。
【0028】 OH含有反応性有機化合物(c)は、ヒドロキシル基お
よびカルボキシル基のうちの少なくとも1つを1個以上
有するとともに、重合可能な不飽和基およびエポキシ基
から選ばれる少なくとも1種の反応性基を1個以上有す
る有機化合物である。このような化合物(c)として
は、従来公知のものを使用することができ、特に限定さ
れないが、たとえば、一般式Z−OH〔ただし、Zは上
記一般式(Z−1)〜(Z−8)で表される基であ
る。〕で示される化合物(たとえば、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−
ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエト
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルア
クリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アリ
ルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテ
ル、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒド
ロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸、アクリル
酸、1−カルボキシメチルメタクリルアミド、ビニル酢
酸、グリシドール、エチレングリコールモノグリシジル
エーテル、グリシド酸、3,4−エポキシブタン酸な
ど)から選ばれる少なくとも1つが例示される。これら
の化合物の中でも、交換反応が容易に起こる点で、ヒド
ロキシル基を有する化合物、すなわち、基Zが上記一般
式(Z−1)〜(Z−3)および(Z−7)で表される
化合物が好ましい。
【0029】上記のような交換反応は、触媒の存在下ま
たは非存在下に行われる。触媒としては、無機酸(たと
えば、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等)、有機酸(たとえ
ば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエ
ンスルホン酸等)、有機アミン化合物(たとえば、トリ
エチルアミン、トリプロピルアミン等)、有機アルカリ
金属化合物(たとえば、ナトリウムメトキシド、ナトリ
ウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキ
シド、カリウム−t−ブトキシド等)、ゼオライト類、
酸性もしくは塩基性イオン交換樹脂、金属酸化物(たと
えば、Ga2 3、Tl2 3 、Sb2 3 、Al2
3 等)等の液体状あるいは固体状の酸または塩基を挙げ
ることができる。中でも特に好ましいのは、反応後の除
去が容易であるという点で系に不溶な固体状触媒を用い
ることが推奨される。
【0030】上記交換反応は、溶剤中または無溶剤下に
0〜200℃、好ましくは40〜130℃に加温され、
また反応系は加圧下、常圧下、減圧下の如何を問わず、
また、交換反応によって副生するアルコール類またはカ
ルボン酸類を除去しつつ反応を行うことも可能である。
反応系に用いる溶剤としては、たとえば、加水分解性オ
ルガノシロキサン(a)、ポリマー(b)および化合物
(c)が溶解するものであれば、すべて使用でき、たと
えば、代表的なものとしては、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の
脂肪族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、n−ブチルエーテル等のエーテル
類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類など
が使用される。
【0031】交換反応に溶剤を用いた場合、得られたポ
リマー(P)を取り出す方法としては、ポリマー(P)
が、使用した有機溶剤に溶解する場合には有機溶剤を留
去したり、ポリマー(P)が不溶な有機溶剤に添加した
りして固体として取り出すことができるが、ポリマー
(P)を有機溶剤に溶解したままで使用することも可能
である。
【0032】交換反応の際に水が存在すると加水分解性
オルガノシロキサン(a)のR3 O基の加水分解および
縮合が生じるため、水を極力存在させない方が好まし
く、存在させても1000ppm以下に押さえることが
好ましい。交換反応は、たとえば、(a)中のR3 O基
1モルに対して、(b)中のヒドロキシル基およびカル
ボキシル基のモル数の合計が0.001〜1の割合とな
るようにポリマー(b)を用い、しかも、(c)中のヒ
ドロキシル基およびカルボキシル基のモル数の合計が
0.001〜1の割合となるように化合物(c)を用い
て、触媒の存在下または非存在下、溶剤中または無溶剤
下に10分〜5時間行われる。
【0033】ポリマー(P)を作るための上記共重合方
法は、反応性有機珪素化合物(R)単独、または、これ
と共重合可能な単官能性モノマー(B)を共重合させる
方法である。反応性有機珪素化合物(R)は、上記反応
性有機基(Z)のうちの一般式(Z−1)〜(Z−6)
で表されるものの中から選ばれる少なくとも1種を1個
以上とSi原子を有し、有機基(Z)とSi原子がSi
−O−C結合を形成している化合物であり、たとえば、
下記一般式で表される重合性有機珪素化合物(K)お
よび平均組成が下記一般式で表され数平均分子量が4
00〜100,000の重合性オルガノポリシロキサン
(L)から選ばれる少なくとも1種である。ここで、重
合性とは、1個以上のラジカル重合可能な不飽和基を有
することを示す。
【0034】 〔式中、Zは上記一般式(Z−1)〜(Z−6)で表さ
れる基から選ばれる1種、R3 およびR4 は、上述した
ものである。rは1〜3の整数、sは1〜3の整数、r
+sは2〜4の整数、tは3以下の正の数、uは3以下
の正の数、vは0〜2の範囲の数、t+u+vは3以下
の正の数である。ただし、Zが1分子中に複数ある場
合、複数のZは互いに同一であっても少なくとも1つが
異なってもよく、R3 が1分子中に複数ある場合,複数
のR3 は互いに同一であっても異なってもよく、R4
1分子中に複数ある場合,複数のR4 は互いに同一であ
っても異なってもよい。〕特に、重合性有機珪素化合物
(K)として、分子中に2個以上の互いに同一または少
なくとも1つが異なっていても良い基Zが存在する多官
能性有機珪素化合物(A)や、0.5≦(M/N)×t
≦10を満足する官能性オルガノポリシロキサン(F)
〔ここで、Mは官能性オルガノポリシロキサン(F)の
数平均分子量、Nは一般式の式量、tは一般式にお
いて有機基(Z)の数を表す3以下の正の数である。〕
から選ばれる1種を使用する場合には、(R)と(B)
との合計量に対して(A)0.5〜60wt%および
(F)0.5〜80wt%の内の少なくとも一方をこの範
囲で含有させて有機溶剤中で共重合させることにより、
得られるポリマー(P)中に一般式(Z−1)〜(Z−
6)で表される基Zを存在させることができる。
【0035】前記重合性有機珪素化合物(K)の具体例
としては、たとえば、メタクリロキシエトキシトリメト
キシシラン、メタクリロキシエトキシトリエトキシシラ
ン、メタクリロキシエトキシトリアセトキシシラン、メ
タクリロキシプロポキシトリメトキシシラン、アクリロ
キシエトキシトリメトキシシラン、アクリロキシプロポ
キシトリメトキシシラン、アクリロキシトリエトキシト
リエトキシシラン、メタクリロキシトリメトキシシラ
ン、メタクリロキシトリエトキシシラン、アクリロキシ
トリメトキシシラン、アクリロキシトリエトキシシラ
ン、アクリロキシトリアセトキシシラン、アリルオキシ
トリメトキシシラン、ビニルフェノキシトリメトキシシ
ラン、CH2 =CHCONHCH2 CH2 OSi(OC
3)3 、CH 2 =CHCONHCH2 CH2 COOSi
(OCH3)3 などを挙げることができる。
【0036】多官能性有機珪素化合物(A)の具体例と
しては、ビス(メタクリロキシプロポキシ)ジメトキシ
シラン、ビス(メタクリロキシエトキシ)ジメトキシシ
ラン、ビス(メタクリロキシプロポキシ)ジエトキシシ
ラン、ビス(メタクリロキシエトキシ)ジエトキシシラ
ン、ビス(メタクリロキシブトキシ)ジメトキシシラ
ン、ビス(メタクリロキシジエトキシ)ジメトキシシラ
ン、ビス(メタクリロキシテトラエトキシ)ジメトキシ
シラン、ビス(メタクリロキシクロロプロポキシ)ジメ
トキシシラン、トリス(メタクリロキシクロロプロポキ
シ)メトキシシラン、トリス(メタクリロキシエトキ
シ)メトキシシラン、ビス(メタクリロキシエトキシ)
ジアセトキシシラン、ビス(アクリロキシエトキシ)ジ
メトキシシラン、ビス(アクリロキシエトキシ)ジフェ
ノキシシラン、トリス(アクリロキシエトキシ)メトキ
シシラン、トリス(アクリロキシエトキシ)フェノキシ
シラン、ビス(アクリロキシプロポキシ)ジメトキシシ
ラン、ビス(アクリロキシブトキシ)ジブトキシシラ
ン、トリス(アクリロキシジエトキシ)ドデシロキシシ
ラン、ジ(メタクリロキシ)ジメトキシシラン、ジ(メ
タクリロキシ)ジエトキシシラン、トリ(メタクリロキ
シ)ブトキシシラン、ジ(アクリロキシ)ジメトキシシ
ラン、ジ(アクリロキシ)ジアセトキシシラン、トリ
(アクリロキシ)ブトキシシラン、ビス(アリルオキ
シ)ジメトキシシラン、トリス(アリルオキシ)エトキ
シシラン、トリス(ビニルフェノキシ)ブトキシシラ
ン、(CH2 =CHCONHCH2 CH2 O)2Si(O
CH3)2 、(CH2 =CHCONHCH2 CH2 CO
O)2Si(OCH3)2 などを挙げることができる。
【0037】上記重合性オルガノポリシロキサン(L)
の具体的な合成法としては、たとえば、上記一般式で
表されるシラン化合物の少なくとも1種を加水分解縮合
して得られる平均組成が一般式で示されるポリシロキ
サン、あるいは、水ガラスを中和または陽イオン交換樹
脂で処理して得られるケイ酸あるいはケイ酸を更にアル
コール中でエステル化処理して得られるポリアルコキシ
シロキサンを、一般式Z−OHで示されるOH含有反応
性有機化合物(c)〔Zは上記一般式(Z−1)〜(Z
−6)で示される基である。〕、すなわち、CH2 =C
(R1)COOR 2 OH(R1 およびR2 は前記と同
じ)、(メタ)アクリル酸〔CH2 =C(R 1)COO
H:R1 は前記と同じ〕、CH2 =C(R1)R2 OH
(R1 およびR2は前記と同じ)、CH2 =C(R1)C
ONHR2 OH(R1 およびR2 は前記と同じ)、CH
2 =C(R1)CONHR2 COOH(R1 およびR2
前記と同じ)、CH2 =C(R1)R2 COOH(R1
よびR2 は前記と同じ)等で交換反応することにより得
られる。
【0038】また、単官能性モノマー(B)としては、
重合可能な不飽和基を1個有する化合物であり、たとえ
ば、下記一般式で表される単官能性有機珪素化合物
(C)、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボ
ン酸類;アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル
類、クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マ
レイン酸エステル類、フマール酸エステル類などの不飽
和カルボン酸エステル類;アクリルアミド類;メタクリ
ルアミド類;アリル化合物;ビニルエーテル類;ビニル
エステル類;スチレン類;ビニルニトリル類;ラジカル
重合性を有するシランカップリング剤(不飽和基を有す
るシランカップリング剤)などから選ばれる少なくとも
1種の化合物である。
【0039】 〔式中、Zは上記一般式(Z−1)〜(Z−6)で表さ
れる基から選ばれる1種、R3 およびR4 は、上述した
ものである。wは0〜3の整数である。ただし、R3
1分子中に複数ある場合,複数のR3 は互いに同一であ
っても異なってもよく、R4 が1分子中に複数ある場
合,複数のR4 は互いに同一であっても異なってもよ
い。〕反応性有機珪素化合物(R)とモノマー(B)を
共重合させる際の(R)と(B)の割合は、(R)+
(B)の合計量に対して、(R)0.5〜100wt%、
(B)0〜99.5wt%の範囲であり、(R)が0.5
wt%未満の場合には、ポリマー(P)中にSiOR3
いう構造を有するポリマーが少なくなるおそれがある。
【0040】反応性有機珪素化合物(R)単独であるい
はこれとモノマー(B)を重合させる方法は、従来公知
の方法がとられ、ラジカル開始剤の存在下、バルク重
合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等のいずれの方法を
用いてもよい。しかしながら、有機珪素化合物(R)と
して多官能性有機珪素化合物(A)や官能性オルガノポ
リシロキサン(F)を使用する場合には、溶液重合をと
ることが好ましい。他の方法では、高度な架橋構造を有
するポリマーとなり、有機溶剤に不溶となる恐れがあ
る。
【0041】ラジカル重合開始剤としては、たとえば、
従来公知のものを使用することができ、特に限定されな
いが、好ましくは、アゾ化合物、過酸化物などから選ば
れる少なくとも1種の化合物である。上記したラジカル
重合開始剤の量としては特に限定はないが、多量に使用
すると発熱量が多くなって反応の制御が困難となり、一
方、少量使用の場合は高度な架橋構造を生成し、有機溶
剤に不溶となりやすくなるので、好ましくは(R)+
(B)の合計量に対して0.5〜7wt%、更に好ましく
は1〜6wt%の範囲で使用する方が良い。
【0042】溶液重合に用いる有機溶媒は、有機珪素化
合物(R)およびモノマー(B)が溶解するものであれ
ば特に限定されず、具体例としては、ケトン類、エステ
ル類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アルコール類、
ハロゲン化炭化水素類などが挙げられ、いずれか1つが
単独で使用されたり、2以上の溶剤の混合溶剤で使用さ
れたりする。
【0043】また、共重合させる際の温度は、重合方法
や使用するラジカル重合開始剤によって適宜選択可能で
あるが、反応の制御のし易さから30〜200℃、好ま
しくは50〜150℃の範囲とされる。共重合の際に連
鎖移動剤や分子量調節剤、界面活性剤等を適宜使用して
もかまわない。重合を行う時間は、たとえば、1〜12
時間とされる。
【0044】この発明では、硬化被膜形成剤の構成成分
として、有機溶剤(W)が用いられる。この有機溶剤
(W)は、上記ポリマー(P)および後述するシラノー
ル基縮合用触媒(I)が溶解するものであれば特に限定
されず、たとえば、上述した有機溶剤が挙げられる。こ
の発明の硬化被膜形成剤は、シラノール基縮合用触媒
(I)を含有している。シラノール基縮合用触媒(I)
としては、従来公知の酸性または塩基性触媒あるいは有
機金属化合物が挙げられる。たとえば、塩酸、硝酸、硫
酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マ
レイン酸、クエン酸、安息香酸、p−トルエンスルホン
酸、コハク酸、シュウ酸等の有機酸;アンモニア、尿
素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エタノールア
ミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、テトラメ
チルアンモニウムハイドロオキサイド等のアルカリ;ナ
トリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム
エトキシド、カリウムエトキシド等の有機アルカリ金属
化合物;チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ
ブトキシド、ジイソプロポキシ−ビス(アセチルアセト
ネート)チタネート等の有機チタン化合物;アルミニウ
ムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリsec-ブトキ
シド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アル
ミニウムイソプロポキシド−ビスアセチルアセトネート
等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラブト
キシド、テトラキス(アセチルアセトネート)ジルコニ
ウム等の有機ジルコニウム化合物;ジブチル錫ジアセテ
ート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジエチルヘ
キサノエート、ジブチル錫ジマレエート等の有機錫化合
物;(CH3 O)2 P(=O)OH、(CH3 O)P
(=O)(OH)2 、(C49 O)2 P(=O)O
H、(C8 17O)P(=O)(OH)2 等の酸性リン
酸エステル等が挙げられ、いずれか1つが単独で使用さ
れたり、または、2以上が併用されたりする。中でも、
硬化性の点で有機錫化合物、酸性リン酸エステル、有機
アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニ
ウム化合物が好ましい。
【0045】これらのシラノール基縮合用触媒(I)は
塗布する直前にポリマー(P)や有機溶剤(W)と混合
する方が経時安定性の面で好ましい。含珪素ポリマー
(P)、有機溶剤(W)およびシラノール基縮合用触媒
(I)の割合は特に限定されないが、好ましくは(P)
+(W)+(I)の合計量に対して(P)1〜80wt
%、(W)20〜99wt%、(I)0.1〜10wt%の
範囲である。(P)の量が前記範囲よりも少ないかまた
は(W)の量が前記範囲よりも多いと被膜の収縮が大き
くなる恐れがあり、(P)の量が前記範囲よりも多いか
または(W)の量が前記範囲よりも少ないと粘度が高く
なって被膜の均一性が不充分となる恐れがある。(I)
の量が前記範囲よりも少ないと硬化性が遅くなる恐れが
あり、多いと被膜の強度が不充分となる恐れがある。
【0046】この発明の硬化被膜形成剤には、各種レベ
リング剤、増粘剤、染料、顔料、界面活性剤、カップリ
ング剤、(P)と異なる有機ポリマー等の添加剤を別途
添加することも可能であり、更に一般式やで示され
る化合物や一般式やで示されるポリシロキサンを添
加することにより表面硬度を高くする等の機械的性質あ
るいは透過率や光散乱等の光学的性質を自由に調節する
ことができる。
【0047】この発明の硬化被膜形成剤は、対象物であ
る、ステンレス、アルミニウム、鋼、ガラス、セラミッ
クス、セメント、コンクリート、モルタル、スレート等
の無機素材表面または無機系塗膜の表面に、刷毛、スプ
レー、ディッピング、ロールコート、スピンコート、バ
ーコート等の塗装手段を用いて塗布される。硬化の条件
は、大気中で室温から200℃程度までの温度で15分
〜2時間程度乾燥することにより硬化被膜を作製するこ
とができる。硬化被膜の厚みは、たとえば、0.1〜5
00μmとされる。
【0048】
【作用】上記特定の含珪素ポリマー(P)、有機溶剤
(W)およびシラノール基縮合用触媒(I)を含む硬化
被膜形成剤を無機素材表面または無機系塗膜の表面に塗
装することにより、耐候性、密着性および硬化性に優れ
た被膜が得られる。その結果、建材や自動車や缶等の基
材の保護または美粧用として使用することができる。
【0049】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
なお、以下では、「部」は「重量部」を、「%」は「wt
%」をそれぞれ表す。まず、下記実施例で使用する含珪
素ポリマー(P)を下記製造例1〜13により、下記比
較例で使用する比較用含珪素ポリマーを下記比較製造例
1〜3により作った。
【0050】−製造例1− 攪拌機、滴下口、温度計、冷却管およびN2 ガス導入口
を備えた1リットルのガラス製反応器に有機溶剤として
トルエン200gを入れ、N2 ガスを導入しながらトル
エンを110±2℃の温度に調整した。ついで、攪拌し
ながら、反応性有機珪素化合物(R)として2−メタク
リロキシエトキシトリメトキシシラン20gを、単官能
性モノマー(B)としてメチルメタクリレート100g
およびブチルアクリレート80gを、ラジカル重合開始
剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2gを
混合した溶液を滴下口より2時間かけて滴下した。滴下
後も同温度で1時間攪拌を続けた後、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル0.2gを30分おきに2回添加
し、更に2時間加熱して共重合を行い、含珪素ポリマー
(P−1)がトルエンに溶解した溶液を製造した。該ポ
リマー(P−1)の、不揮発分、数平均分子量、1分子
当たりの平均Z基数およびR3 O基数、有機溶剤への溶
解性を調べた。その分析結果を表5に示した。
【0051】−製造例2,3− 製造例1において、反応性有機珪素化合物(R)および
単官能性モノマー(B)の種類および量を表1に示すよ
うに変えたこと以外は製造例1と同様にして含珪素ポリ
マー(P−2)および(P−3)がそれぞれトルエンに
溶解した溶液を得た。得られた含珪素ポリマー(P−
2),(P−3)の分析結果を表5に示した。
【0052】−製造例4− 攪拌機、温度計および冷却管を備えた1リットルの4つ
口フラスコにテトラメトキシシラン608g、水72
g、強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15(ロー
ム&ハース・ジャパン社製)72gおよびメタノール1
00gを混合し、攪拌しながら還流下2時間加熱(温度
65℃)を続け、テトラメトキシシランの加水分解縮合
を行った。
【0053】冷却後、冷却管を外し、蒸留塔に代え、再
び100℃で加熱し、メタノールを留去しながら、更に
加水分解縮合を進め、メタノールが留去しなくなったら
冷却してポリメトキシシロキサンを得た。再び、蒸留塔
を外して冷却管につけ代え、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート104gとメトキノン0.02gを加え、攪
拌しながら還流下1時間加熱(温度70℃)を続け、ポ
リメトキシシロキサンのメトキシ基と2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートの交換反応を行った。ついで、再び
冷却管から蒸留塔に代え、100℃、200mmHg下で
生成したメタノールを留去した。冷却後、濾過によりア
ンバーリスト15を除去し、重合性オルガノポリシロキ
サン(1)を得た。
【0054】重合性オルガノポリシロキサン(1)の数
平均分子量を測定したところ、5200であった。ま
た、重合性オルガノポリシロキサン(1)の平均組成を
求めるため、以下の方法で分析した。Si量は元素分析
により定量した。メトキシ基の量は、重合性オルガノポ
リシロキサン(1)中の残存メタノールを予めGCで測
定した後、1N−NaOH水溶液100gに重合性オル
ガノポリシロキサン(1)2gを入れ、6時間攪拌した
均一溶液中のメタノールをGCで定量し、増加したメタ
ノールの量で求めた。これは増加したメタノールがメト
キシ基の加水分解物と見なせるからである。2−メタク
リロキシエトキシ基の量は、重合性オルガノポリシロキ
サン(1)中の残存する2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートをGCで定量し、その転化率より求めた。これら
の分析結果より、重合性オルガノポリシロキサン(1)
の平均組成式は、 であった。
【0055】次に、製造例1において、反応性有機珪素
化合物(R)として上記重合性オルガノポリシロキサン
(1)を用い、単官能性モノマー(B)を表1に示す量
に変えた以外は同様にして含珪素ポリマー(P−4)が
トルエンに溶解した溶液を得た。得られた含珪素ポリマ
ー(P−4)の分析結果を表5に示した。 −製造例5〜9− 製造例1において、反応性有機珪素化合物(R)、単官
能性モノマー(B)およびラジカル重合開始剤の種類お
よび量を表1および2に示すようにしたこと以外は製造
例1と同様にして含珪素ポリマー(P−5)〜(P−
9)がトルエンに溶解した溶液を得た。得られた含珪素
ポリマー(P−5)〜(P−9)の分析結果を表5に示
した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】−製造例10− 攪拌機、温度計、冷却管、滴下口およびN2 ガス導入口
を備えた1リットルのガラス製反応器に有機溶剤として
トルエン300gを入れ、N2 ガスを導入しながらトル
エンを110±2℃の温度に調整した。ついで、反応器
中のトルエンを攪拌しながら、メチルメタクリレート2
61g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート39g、
および、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル6gを混合してなる溶液を滴下口よ
り1時間かけて滴下した。滴下後も同温度で1時間攪拌
を続けた後、未反応のモノマーを重合させるためラジカ
ル重合開始剤として1,1’−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.3
gを1時間おきに2回添加し、更に2時間加熱してヒド
ロキシル基含有ポリマー(b−1)のトルエン溶液を得
た。得られたヒドロキシル基含有ポリマー(b−1)の
ポリスチレン換算の数平均分子量を測定したところ、1
4000であった。次に残存モノマーを除去するため、
n−ヘキサン中に該トルエン溶液を添加し、ヒドロキシ
ル基含有ポリマー(b−1)を沈殿させた。この沈殿を
回収して新たにトルエンに溶解してn−ヘキサン中で沈
殿させるという再沈精製を、残存モノマーがGC分析で
検知されなくなるまで繰り返し行った後、n−ヘキサン
で再沈した固体を60℃で5時間真空乾燥し、ヒドロキ
シル基含有ポリマー(b−1)を得た。該ポリマー(b
−1)は1分子当たり平均13個のヒドロキシル基を有
するポリマーであった。
【0059】ついで、攪拌機、温度計、冷却管を備えた
200mlの四つ口フラスコに加水分解性オルガノシロキ
サン(a)としてテトラメトキシシラン7.6g、主骨
格形成用OH含有有機ポリマー(b)としてヒドロキシ
ル基含有ポリマー(b−1)のトルエン溶液80g、反
応性有機化合物(c)としてグリシドール3.7g、ト
ルエン30gを入れ、24時間還流下加熱した。冷却
後、冷却管の代わりに蒸留塔およびそれに接続された冷
却管と留出口を付け、圧力200mmHgで80℃まで2
時間かけて昇温し、留出する液がなくなるまで同温度で
保持し、含珪素ポリマー(P−10)がトルエンに溶解
した溶液を製造した。得られた含珪素ポリマー(P−1
0)の分析結果を表6に示した。
【0060】−製造例11− 製造例10でのヒドロキシル基含有ポリマー(b−1)
の合成において、メチルメタクリレートの代わりにステ
アリルメタクリレート299gと2−ヒドロキシエチル
メタクリレート1gを、ラジカル重合開始剤として2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル1.5gを用いたこ
と以外は製造例10と同様にしてヒドロキシル基含有ポ
リマー(b−2)のトルエン溶液を得た。得られたヒド
ロキシル基含有ポリマー(b−2)は、数平均分子量1
50000であり、1分子当たり平均4個のヒドロキシ
ル基を有していた。
【0061】ついで、攪拌機、温度計、冷却管を備えた
200mlの四つ口フラスコに加水分解性オルガノシロキ
サン(a)としてテトラエトキシシラン10g、主骨格
形成用OH含有有機ポリマー(b)としてヒドロキシル
基含有ポリマー(b−2)のトルエン溶液80g、トル
エン30gを入れ、24時間還流下加熱した。冷却後、
製造例10と同様にして含珪素ポリマー(P−11)が
トルエンに溶解した溶液を製造した。得られた含珪素ポ
リマー(P−11)の分析結果を表6に示した。
【0062】−製造例12− 攪拌機、温度計、冷却管を備えた200mlの四つ口フラ
スコに加水分解性オルガノシロキサン(a)としてテト
ラブトキシシラン10g、主骨格形成用OH含有有機ポ
リマー(b)としてポリエステル(東洋紡績株式会社
製、商品名「バイロン−200」、数平均分子量150
00〜20000、カルボキシル基0.02〜0.06
mmol/g、ヒドロキシル基0.1〜0.15mmol/g含
有)40g、キシレン70g、強酸性陽イオン交換樹脂
アンバーリスト15(ローム&ハース・ジャパン社製)
2gを入れ、常圧下に120℃まで2時間かけて昇温
し、留出する液(ブタノール)がなくなるまで同温度で
保持した。その後、室温まで冷却後、アンバーリスト1
5を濾別し、含珪素ポリマー(P−12)がキシレンに
溶解した溶液を製造した。得られた含珪素ポリマー(P
−12)の分析結果を表6に示した。
【0063】
【表3】
【0064】−比較製造例1− 製造例1において、2−メタクリロキシエトキシトリメ
トキシシランの代わりにγ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−5
03」)を用いたこと以外は製造例1と同様に行い、比
較用含珪素ポリマー(P−21)がトルエンに溶解した
溶液を得た。得られた比較用含珪素ポリマー(P−2
1)の分析結果を表6に示した。
【0065】−比較製造例2− 製造例1において、2−メタクリロキシエトキシトリメ
トキシシランの代わりに2−メタクリロキシエトキシト
リメチルシランを用いたこと以外は製造例1と同様に行
い、比較用含珪素ポリマー(P−22)がトルエンに溶
解した溶液を得た。得られた比較用含珪素ポリマー(P
−22)の分析結果を表6に示した。
【0066】
【表4】
【0067】なお、製造例および比較製造例で得られた
含珪素ポリマーの主鎖とSiの間のSi−O−C結合の
確認、数平均分子量、1分子当たりの平均有機基(Z)
数およびR3 O基数、有機溶剤への溶解性は、下記の方
法により分析し評価した。結果を表5および6に示し
た。 〔Si−O−C結合の確認〕得られた含珪素ポリマーを
ヘキサン、アセトニトリルまたはメタノール等の貧溶媒
を選択して再沈精製し、ガスクロマトグラフィー(G
C)および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分
析で、残存する未反応原料が検出されなくなるまで再沈
精製を繰り返した。精製した含珪素ポリマーを50℃で
2時間真空乾燥し、FT−IR分析、H−NMR分析お
よびSi−NMR分析にかけてSi−O−C結合を確認
した。確認できたものを○で示した。 〔数平均分子量〕上記方法により再沈精製して真空乾燥
した含珪素ポリマーについてゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算
の数平均分子量を下記条件において測定した。
【0068】(試料の調製)テトラヒドロフランを溶媒
として使用し、含珪素ポリマー0.1gを1gのテトラ
ヒドロフランに溶解して試料とした。 (装置)東ソー株式会社製の高速GPC装置HLC−8
020を用いた。
【0069】(カラム)東ソー株式会社製のG3000
H、G2000HおよびGMHXLを用いた。 (標準ポリスチレン)東ソー株式会社製のTSK標準ポ
リスチレンを用いた。 (測定条件)測定温度40℃、流量1ml/分で測定し
た。 〔1分子当たりの平均有機基(Z)数〕上記方法により
再沈精製して真空乾燥した含珪素ポリマー10gをテト
ラヒドロフラン50gに溶解した。その際、残存してい
るZOHおよびR3 O−HをGCおよびHPLC分析で
定量した。ついで、水10gを添加して均一な溶液と
し、還流下、1週間加熱(60℃)してSi原子に結合
しているZO基およびR3O基を加水分解により切断し
た。GCおよびHPLC分析によりZOHおよびR 3
−Hを定量し、加水分解により切断したZOHおよびR
3 O−Hを求め、下記の式に従って含珪素ポリマー1分
子当たりの平均Z基数(β)および1分子当たりの平均
3 O基数(γ)を定量した。
【0070】β=(W1 /Mw1 )/(W2 /Mn) 〔ここで、 W1 :加水分解により切断して生成したZOHの量
(g) Mw1 :ZOHの分子量 W2 :再沈精製した含珪素ポリマーの量(g) Mn:再沈精製した含珪素ポリマーの数平均分子量〕 γ=(W3 /Mw3 )/(W2 /Mn) 〔ここで、 W3 :加水分解により切断して生成したR3 O−Hの量
(g) Mw3 :R3 O−Hの分子量 W2 :再沈精製した含珪素ポリマーの量(g) Mn:再沈精製した含珪素ポリマーの数平均分子量〕 〔有機溶剤への溶解性〕上記方法により再沈精製した含
珪素ポリマー1gを下記の各有機溶剤100gに室温下
で1時間攪拌して溶解し、東洋ろ紙株式会社製No.2
のろ紙を用いてろ過により残渣を取り出し、残渣を50
℃で2時間真空乾燥して精秤し、0.6g未満の場合は
溶解しているとみなした。表中の記号は、次のとおりで
ある。
【0071】◎…残渣が0.2g未満 ○…残渣が0.2g以上、0.4g未満 △…残渣が0.4g以上、0.6g未満 ×…残渣が0.6g以上 (有機溶剤) ケトン類:アセトン エーテル類:テトラヒドロフラン(THF) 芳香族炭化水素類:トルエン エステル類:酢酸エチル
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】なお、「KBM−503」は、信越化学社
製シラン系カップリング剤(γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン)である。 −実施例1− 含珪素ポリマー(P)および有機溶剤(W)として、含
珪素ポリマー(P−1)のトルエン溶液80g〔含珪素
ポリマー(P−1)分38.8g、トルエン40g、残
留モノマー1.2g〕およびn−ブタノール19g、シ
ラノール基縮合用触媒(I)としてジブチル錫ジラウレ
ート1gを混合し、硬化被膜形成剤(1)を作った。
【0075】この硬化被膜形成剤(1)をガラス板にフ
ィルムアプリケーターを用いて塗布し(塗布膜厚76μ
m)、80℃で20分間加熱乾燥した。得られた被膜
(1)の膜厚、密着性、耐候性、硬化性および耐溶剤性
を下記に示す方法に従って測定した。その結果を表9に
示した。 〔膜厚〕マイクロメーターあるいは日本真空技術社製の
表面粗さ計(DEKTAK IIA)を用いて基板および
被膜の付いた基板の厚みあるいは表面状態を測定してそ
の差を膜厚とした。 〔密着性〕日本工業規格K5400による碁盤目剥離試
験を3回実施し、その平均によった。 〔耐候性〕日本工業規格K5400により、サンシャイ
ンウェザーメーターで5000時間照射試験を実施し、
被膜の状態を観察し、下記基準により評価した。
【0076】○:全く異常なし。 △:一部に剥離などが見られ、被膜は黄変、白色化し
た。 ×:ほとんどまたは全部が剥離し、被膜は黄変、白色化
および不均一なものであった。 〔硬化性〕四フッ化エチレン樹脂(デュポン社の商品名
「テフロン」)製シャーレに硬化被膜形成剤10gを入
れ、上記被膜形成の硬化条件と同じ条件下で硬化した。
得られた硬化体を粉砕し、テトラヒドロフランによる抽
出を行い、ゲル分率を測定し、下記の基準で評価した。
【0077】○:ゲル分率が90%以上 △:ゲル分率が80%以上、90%未満 ×:ゲル分率が80%未満 〔耐溶剤性〕得られた被膜の上に、円筒型のガラスをの
せ、その中にメチルエチルケトンを入れてふたをして室
温下、2週間放置した後の被膜を観察し、下記の基準で
評価した。
【0078】○:変化なし。 △:一部ふくれが生じていた。 ×:全体的に小さなふくれが多数生じていたり、一部剥
離や溶解があったりした。 −実施例2〜12− 含珪素ポリマー(P)、有機溶剤(W)およびシラノー
ル基縮合用触媒(I)の種類および量を表7および8に
示すように変えて硬化被膜形成剤(2)〜(12)を作
った。
【0079】これら硬化被膜形成剤(2)〜(12)に
ついて、基板の種類、塗布方法、硬化条件を表7および
8に示すように変えた以外は実施例1と同様にして硬化
被膜(2)〜(12)を得た。その結果を表9に示し
た。 −比較例1,2− 実施例1において、含珪素ポリマー(P−1)のトルエ
ン溶液の代わりに比較用含珪素ポリマー(P−21)と
(P−22)を用いた以外は同様にして比較用硬化被膜
形成剤(1)と(2)を作った。比較用硬化被膜形成剤
(1)と(2)を用いて実施例1同様にして得られた比
較用被膜(1)と(2)の分析結果を表9に示した。
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】
【発明の効果】この発明の硬化被膜形成剤によれば、金
属素材や非金属無機素材等の無機素材表面または無機系
塗膜の表面に、シリコーンのような高価な成分を用いず
に、耐候性および密着性に優れた被膜を比較的短時間で
形成することができる。このため、この発明の硬化被膜
形成剤は、建材、自動車などに用いられる無機素材の表
面保護や美粧のための被膜を形成するのに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 恒正 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子当たり少なくとも1個のR3 O基
    〔R3 は、水素原子、または、C数1〜20のアルキル
    基、C数1〜20の置換アルキル基、C数5〜10のシ
    クロアルキル基、C数5〜20の置換シクロアルキル
    基、C数6〜20のアリール基、C数6〜20の置換ア
    リール基、C数7〜20のアラルキル基、C数7〜20
    の置換アラルキル基、C数1〜20のアシル基およびC
    数1〜20の置換アシル基から選ばれる1種の基であ
    り、R3 が1分子中に複数ある場合、複数のR3 は互い
    に同一であっても異なってもよい。〕と少なくとも1個
    のSi原子を有し、R3 O基とSi原子が結合してSi
    −O−C結合を形成しているとともに一部または全部の
    Si原子がSi−O−C結合を介して主鎖と直接または
    間接的に結合している構造を有し、有機溶剤(W)に可
    溶であって数平均分子量が1,000〜1,000,0
    00の範囲にある含珪素ポリマー(P);有機溶剤
    (W);ならびに、シラノール基縮合用触媒(I)を含
    む硬化被膜形成剤。
  2. 【請求項2】 ポリマー(P)がR3 O基を有するとと
    もに、下記一般式(Z−1)〜(Z−8)で示される反
    応性有機基(Z)から選ばれる少なくとも1種を有し、
    前記Z基がO原子を介してSi原子に結合してSi−O
    −C結合を形成している請求項1記載の硬化被膜形成
    剤。 (Z−1) CH2 =C(R1)−COOR2 − (Z−2) CH2 =C(R1)−CO− (Z−3) CH2 =C(R1)−R2 − (Z−4) CH2 =C(R1)−CONHR2 − (Z−5) CH2 =C(R1)−CONHR2 −CO− (Z−6) CH2 =C(R1)−R2 −CO− 〔一般式(Z−1)〜(Z−8)中、R1 は水素原子ま
    たはメチル基、R2 はC数1〜20の範囲の2価の有機
    基である。〕
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