JP2006196242A - 回路遮断器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回路遮断器の開閉機構6が、ハンドル7に結合したハンドルレバー8と、引外し機構のラッチ11と、上リンク12と下リンク13とをピン結合してラッチと接触子ホルダ4との間に架け渡したトグルリンク機構と、開閉スプリング17との組立体からなり、上リンク12の側縁に突起12bを形成するとともに、該突起に対峙してハンドルレバー8のON側サイドにアーム状のストッパ片8bを設けるものとし、ここで前記ストッパ片には突起12bの先端に突き当ててハンドルの移動を阻止する壁部8c,およびトリップ動作状態で前記壁部が突起の下側に潜り込んでハンドルレバーをトリップ位置に係止拘束する切欠段部8dを形成する。そして、ハンドルレバー,上リンクの枢支軸受には、組立性の簡便なU溝状の開放形軸受8e,12cを採用する。
【選択図】 図1
Description
この場合に、接点溶着のままハンドルをOFF位置に移動操作することができると回路遮断器の主回路接点が開極したと誤認し、この状態で負荷側回路の保守,点検を行ったりすると、作業員が活線に触れて感電するおそれがある。
そこで、上記問題に対する対策として、通電中に接点が溶着した場合にはハンドルのOFF位置への移動を阻止するように機械的にロックする各種方式のアイソレーション機能を備えた回路遮断器が従来から知られており、その具体的な構成例として開閉機構の構成部材であるトグルリンク機構のリンクと操作ハンドルに結合したハンドルレバーとの間に、接点の溶着状態ではハンドルがOFF位置に移動できないようにする阻止部を設けた構成の回路遮断器が公知である(特許文献1参照)。
ここで、開閉機構6は、図9で示すように先端(図示の下端側)をフレーム(図示せず)に枢支して他端を操作ハンドル7に結合したハンドルレバー8と、一端を支軸9に枢支して他端をラッチ受け10に係止した引外し機構のラッチ11と、上リンク12と下リンク13との間をトグルピン14で連結した上で、支軸15,16を介してラッチ11と接触子ホルダ4との間に架け渡したトグルリンク機構と、前記トグルピン14とハンドルレバー8の上端側との間に張架した開閉スプリング(引っ張りばね)17との組立体になる。なお、18は可動接触子3に接続した主回路の可撓リード線、19は可動接触子3の接点を可動接触子2の接点に押圧する接圧ばねである。
上記構成になる回路遮断器の開閉動作は特許文献11に詳しく述べられており、操作ハンドル7をON位置に倒した投入状態(図8参照)では、開閉ばね17のばね力を受けたトグルリンク機構の上リンク12(上端側の支軸15が固定点となる)と下リンク13が直線状に延びて接触子ホルダ4を反時計方向に回動し、これにより可動接触子3が固定接触子2の上に重なって主回路接点が閉極している。また、この状態から操作ハンドル7をOFF位置(図9参照)に倒すと、開閉スプリング17のばね力作用線がデッドポイントを超えて反転し、これによりトグルリンク機構の上リンク12と下リンク13が逆「く」字状に座屈して接触子ホルダ4は時計方向に回動し、可動接触子3が固定接触子2から上方に移動して主回路接点が開極する。
一方、通電中に主回路に過大電流が通流して主回路接点が溶着した状態でハンドル7をONからOFF位置に移動操作しようとすると、次記のようにアイソレーション機能が働いてハンドル7の移動を阻止する。すなわち、図11に示す接点溶着の状態(非トリップ動作の状態)では、可動接触子3,接触子ホルダ4が図示位置にロックされているのでハンドル7をON位置からOFF方向に移動してもトグルリンク機構は反転できず、しかもハンドル7の移動途上でハンドルレバー8に形成した折り曲げ部8aの先端(下端側)が上リンク12に形成したカム部8aに突き当たって係合し、これ以上のハンドル移動が阻止される。
すなわち、図11に示した阻止状態でハンドル7にOFF方向に力を加えると、ハンドルレバー8の折り曲げ部8aを介してトグルリンク機構の上リンク12には支軸15を支点とする反時計方向のモーメント荷重が加わる。この場合に上リンク12の他端はトグルピン14,下リンク13を介して接触子ホルダ4に連結されて自由に回動できないことから、上リンク12は下向きの分力を受けるようになる。これに対して、通常の開閉動作時には開閉スプリング17のばね力により上リンク12は支軸15に対して上向きの力が加わる。したがって、支軸15に枢支する上リンク12の軸受部は上向きおよび下向きの力にも対応させるために貫通形(リンクに開けた軸受穴に支軸15を通す)として構成する必要がある。
これに対して、アイソレーション機能を備えてない従来の回路遮断器では、前記のようにハンドルレバー8,上リンク12の枢支部には一方向のみの力が加わることから、その軸受部は貫通形とせずに、U字溝の開放形軸受を採用してフレーム,ラッチ11の支軸15に嵌合して枢支するようにした構成である。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、部品の組立性を損なうことなく、主回路接点の溶着状態ではハンドルがOFF位置へ移動するのを確実に阻止できるように改良したアイソレーション機能付きの回路遮断器を提供することを目的とする。
主回路接点が溶着した状態で操作ハンドルがOFF位置に移動するのを阻止するアイソレーション手段として、前記上リンクの側縁に突起を形成するとともに、該突起に対峙してハンドルレバーのON側サイドにアーム状のストッパ片を設けるものとし、ここで前記ストッパ片には前記突起の先端に突き当ててハンドルの移動を阻止する壁部,および開閉機構のトリップ動作状態で前記壁部が突起の下側に潜り込んでハンドルレバーをトリップ位置に係止拘束する切欠段部を形成する(請求項1)。
さらに、前記のハンドルレバーおよび上リンクの枢支部について、ハンドルレバーの先端,および上リンクの先端にU字溝の開放形軸受部を形成した上で、該軸受部を介してハンドルレバーおよび上リンクをそれぞれフレーム,ラッチに設けた支軸に枢支している(請求項3)。
このアイソレーション機能は特許文献1に開示されている阻止部と同様な原理であるが、本発明ではハンドルレバーに形成したストッパ片およびトグルリンク機構の上リンクに形成した突起の形状,および位置について請求項1,2のように規定したことにより、接点の溶着状態でハンドルをOFF方向に向けて移動しようとする過程でハンドルレバーには上向きの力が加わることがなく、また上リンクには下向きに力が加わることがない。したがって、ハンドルレバー,上リンクの枢支部については、請求項3のように開放形の軸受部を採用して開閉機構を組立てることができ、これにより組立性の向上と併せて製作コストの低減化が図れる。
まず、図1(a)〜(c)に回路遮断器の全体構造,およびその開閉機構に装備したアイソレーション機能部品の構造を示す。すなわち、図示実施例の回路遮断器およびその開閉機構は基本的に図8に示した特許文献1の構造と同様であり、開閉機構6の構成部材であるハンドルレバー8のON側サイドには、図8における折り曲げ部8aに相応するストッパ片8b(図1(b)参照)が、またトグルリンク機構の上リンク12には、図8におけるカム部12aに相応する突起12b(図1(c)参照)が形成されている。なお、図中で20は開閉機構6の組立用フレーム(コ字形の外枠)、21はフレーム20に架設してハンドルフレーム8を揺動可能に枢支する支軸、22は図示してない過電流引外し装置の機械的な出力を受けて開閉機構6のラッチ受け10を釈放するトリップクロスバーである。
また、トグルリンク機構の上リンク12の上端をラッチ11に架設した支軸15に枢支する軸受についても、図8の貫通形軸受に代えてU字溝になる開放形軸受部12cが形成されており、この開放形軸受部12cを下方側から支軸15に嵌合して上リンク12を支軸15に枢支している。
また、図2の投入状態で主回路に通流する過電流を検出して過電流引外し装置(図示せず)が作動すると、その機械的出力によりトリップクロスバー22が図4に示す位置に傾動し、これに従動して引外し機構のラッチ受け10がラッチ11の拘束を解除する。これにより、開閉スプリング17のばね力によりラッチ11が支軸9を支点に反時計方向に回動するとともに、ラッチ11に設けたトグルリンク機構の支軸15が開閉スプリング17の作用線の左側に移動する。その結果、開閉スプリング17のばね力によりトグルリンク機構の上リンク12,下リンク13が逆「く」の字形に座屈し、これに従動して接触子ホルダ4が時計方向に回動して可動接触子13を開極する。
まず、図5(a),(b)は主回路接点が溶着し、かつ回路遮断器がトリップ動作した場合の動作を表している。すなわち、固定接触子2の接点と可動接触子3の接点が溶着したままの状態でトリップ動作すると、操作ハンドル7、ハンドルレバー8,およびトグルリンク機構は図5(a)の位置に停止する。この状態からハンドル7をOFF位置に向けて移動操作しようとすると、図5(b)で表すようにハンドル7の移動経路の途上でハンドルレバー8のストッパ片8bが上リンク12の突起12bに衝合してハンドル7のそれ以上の移動が阻止される。この阻止状態では図1(b)に示したストッパ片8bの直線壁部8cが図1(c)に示した突起12bの下側に潜り込んで、突起12bが切欠段部8dの上に係止される。しかも、この状態では上リンク12の両端が支軸15,ピン結合された下リンク13を介してラッチ11と接触子ホルダ4との間に拘束されているので上向きには動けず、したがってハンドル7にOFF方向の力を加えても、ハンドルレバー8はOFF方向への傾動が阻止され、しかもハンドル7に加えた力のモーメント荷重はストッパ片8bと突起12bとの係止点を支点としてハンドルレバー8の枢支軸受部を支軸21に押しつけるよう下向きに作用するので、ハンドルレバー8の開放形軸受部8e(図1(b)参照)が支軸21から抜け出てハンドル7が浮き上がるおそれはない。また、トグルリンク機構の上リンク12に対してもハンドル7に加えた力が上向きの荷重として作用するので、上リンク12の開放形軸受部12c(図1(c)参照)が支軸15から抜け出るおそれもない。
一方、回路遮断器がトリップ動作せずに接点が溶着した状態で、ハンドル7をON位置からOFF方向に移動しようとする際のアイソレーション機能動作を図6(a),(b)で説明する。すなわち、回路遮断器がトリップ動作せずに主回路接点が溶着した状態では、ハンドル7,開閉機構6のトグルリンク機構が図6(a)の位置に停止している。この状態からハンドル7をOFF方向に移動しようとすると、その操作途上でハンドルレバー8に設けたストッパ片8bの壁部8c(図1(b)参照)が上リンク12の突起12aに衝合してハンドル7のそれ以上の移動が阻止される。
上記の説明から判るように、図示実施例の構造によれば、ハンドルレバー8,トグルリンク機構の上リンク12について、相手側の支軸21,15に枢支する軸受として組立性の簡便な開放形軸受を採用しつつ、接点溶着状態ではハンドル7のOFF位置への移動を確実に阻止することができる。
3 可動接触子
4 接触子ホルダ
6 開閉機構
7 操作ハンドル
8 ハンドルレバー
8b ストッパ片
8b 壁部
8c 切欠段部
8e 開放形軸受部
9,15,16,21 支軸
11 ラッチ
12 トグルリンク機構の上リンク
12b 突起
12c 開放形軸受部
13 下リンク
14 トグルピン
17 開閉スプリング
20 フレーム
Claims (3)
- 主回路の固定接触子および回動式の接触子ホルダに保持した可動接触子,接触子の開閉機構,開閉操作ハンドル,および過電流引外し装置を装備した回路遮断器であって、前記開閉機構が先端をフレームに枢支してハンドルに結合したハンドルレバーと、過電流引外し装置の動作に応動する引外し機構と、上リンクと下リンクとをピン結合して前記引外し機構のラッチと接触子ホルダとの間に架け渡したトグルリンク機構と、トグルリンク機構のトグルピンとハンドルレバーとの間に張架した開閉スプリングとの組立体からなり、ハンドルのON,OFF操作により主回路接点を開閉し、また過電流の通流時に前記引外し機構のラッチを釈放してトリップ動作させるようにしたものにおいて、
主回路接点が溶着した状態で操作ハンドルがOFF位置に移動するのを阻止するアイソレーション手段として、前記上リンクの側縁に突起を形成するとともに、該突起に対峙してハンドルレバーON側サイドにアーム状のストッパ片を設け、かつ該ストッパ片には前記突起の先端に突き当ててハンドルの移動を阻止する壁部,および開閉機構のトリップ動作状態で前記壁部が突起の下側に潜り込んでハンドルレバーをトリップ位置に係止拘束する切欠段部を形成したことを特徴とする回路遮断器。 - 請求項1記載の回路遮断器において、ハンドルレバーに形成したストッパ片の壁部をハンドル操作により上リンクの突起部に衝合した状態で、その力点を通る作用線が該力点と上リンクの枢支点とを結ぶ仮想線とほぼ一致するように前記突起,ストッパ片の形状,位置を定めたことを特徴とする回路遮断器。
- 請求項1または2に記載の回路遮断器において、ハンドルレバーの先端およびトグルリンク機構の上リンクの先端にU字溝の開放形軸受部を形成した上で、該開放形軸受部を介してハンドルレバーおよび上リンクをそれぞれフレーム,ラッチに設けた支軸に枢支したことを特徴とする回路遮断器。
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