ところで、シール部材により隙間をなくして良好な見栄えを達成するには、該シール部材の外面がスライドドアの外面に対して車内外方向に所定の位置関係となるように精度よく取り付ける必要があるが、上記特許文献1に記載の構造の場合、シールセンサ部材201が取り付けられるのが端面200aであるので、取付位置が車内外方向にずれやすく、該方向に対する位置精度が十分に得られない可能性がある。一方、十分な位置精度を得ようとすると、精密な位置調整が必要となり、組立工数の増加につながる。また、上記図15、図16に示すような端辺部を有する車両には適用するのは困難である。
また、シール部201aとタッチセンサ部201bとの間には車内外方向に延びる連結部201cが設けられているので、シール部201aの外面からセンサ部201bの内面までの車内外方向の厚みXが大きくなり、換言すれば、シールセンサ部材201の車内外方向の設置スペースが大きくなり、この結果、例えば、スライドドアの設計の自由度が損なわれるという問題が生じる。
これに対し、図15に示すものの場合、シール部材214が取り付けられるのは端辺部210aの車外側の面であるので、取付位置が車内外方向にずれにくく、シール部材214を車内外方向に対して精度よく位置決め可能であるが、ガーニッシュ213のない車には適用できない。
また、シール部材214とタッチセンサ部材212とはスライドドア210の端辺部210aを挟んで配設されているので、シール部材214の外面からセンサ部材212の内面までの車内外方向の厚みYが大きなものとなり、この結果、特許文献1に記載のものと同様の問題が生じる。なお、この場合、ガーニッシュ213もシール構造を構成する部品としてとらえると、一層厚みが大きくなる。
そして、図16に示すものの場合は、図15に示すものの場合同様、シール部材223が取り付けられるのは端辺部220aの車外側の面であるので、シール部材223を車内外方向に精度よく位置決め可能である。しかし、シール部材223とタッチセンサ部材222とはスライドドア220の端辺部220aを挟んで配設されているので、図15に記載のものと同様、シール部材223の外面からタッチセンサ部材222の内面までの車内外方向の厚みZが大きなものとなって同様の問題が生じる。
そこで、本発明は、シール部材及びタッチセンサ部材の配設部位の車内外方向の厚みを小さくすることができると共に、シール部材をスライドドアに取り付ける場合の車内外方向に対する取付位置精度の向上を達成することができるスライドドアのシール構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明(以下、第1発明という)は、車体に設けられた開口を開閉するスライドドアの閉じ方向側の端辺部とこれに対向する上記開口の縁部との隙間をシールするシール部材と、上記スライドドアの端辺部と上記開口の縁部とによる異物の挟み込みを検出するタッチセンサ部材とを具備する自動車用スライドドアのシール構造であって、上記シール部材の基部が、上記スライドドアの端辺部の車内側の面に配置されていると共に、上記タッチセンサ部材の基部が上記シール部材の基部の車内側に重合して配置されており、かつ、上記端辺部の車内側で一端が固定されかつ他端に上記タッチセンサ部材の基部が取り付けられるブラケット部材が設けられていると共に、上記シール部材の基部が上記タッチセンサ部材の基部により上記端辺部の車内側の面に押し当てられていることを特徴とする。
また、本願の請求項2に記載の発明(以下、第2発明という)は、上記第1発明において、上記シール部材と上記タッチセンサ部材とは一体とされていることを特徴とする。
そして、本願の請求項3に記載の発明(以下、第3発明という)は、上記第1発明において、上記シール部材と上記タッチセンサ部材とは別部材であり、上記スライドドアの端辺部の車内側で一端が固定されかつ他端にシール部材の基部が取り付けられる第2のブラケット部材が設けられていることを特徴とする。
さらに、本願の請求項4に記載の発明(以下、第4発明という)は、上記第3発明において、上記シール部材の基部が取り付けられる第2のブラケット部材は、上記タッチセンサ部材の基部が取り付けられるブラケット部材に接合されていることを特徴とする。
また、本願の請求項5に記載の発明(以下、第5発明という)は、車体に設けられた開口を開閉するスライドドアの閉じ方向側の端辺部とこれに対向する上記開口の縁部との隙間をシールするシール部材と、上記スライドドアの端辺部と上記開口の縁部とによる異物の挟み込みを検出するタッチセンサ部材とを具備する自動車用スライドドアのシール構造であって、上記シール部材の基部が、上記スライドドアの端辺部の車内側の面に配置されていると共に、上記タッチセンサ部材の基部が上記シール部材の基部の車内側に重合して配置されており、かつ、上記端辺部の車内側で一端が固定されかつ他端に上記シール部材の基部が取り付けられる第1のブラケット部材が設けられていると共に、上記シール部材の基部が、該ブラケット部材により上記端辺部の車内側の面に押し当てられており、さらに、上記シール部材と上記タッチセンサ部材とは別部材であり、上記スライドドアの端辺部の車内側で一端が固定されかつ他端に上記タッチセンサ部材の基部が取り付けられる第2のブラケット部材が設けられていることを特徴とする。
そして、本願の請求項6に記載の発明(以下、第6発明という)は、上記第5発明において、上記第2のブラケット部材は上記第1のブラケット部材に接合されていることを特徴とする。
次に、本発明の効果について説明する。
まず、第1発明によれば、シール部材の基部が、ブラケット部材の他端に取り付けられたタッチセンサ部材の基部によってスライドドアの端辺部の車内側の面に押し当てられることにより、車内外方向に対する上記シール部材と上記端辺部との位置関係が決まる。したがって、上記シール部材が上記端辺部に対して、精密な位置調整を要することなく、最も見栄えが良くなる位置関係で固定されることとなり、上記端辺部に対するシール部材の車内外方向の取付位置精度が向上することとなる。その場合に、押し当てるための部材としてもともと必要なタッチセンサ部材及びブラケット部材を利用するので、別途部品を追加することなく、上記効果を達成することができる。
また、シール部材の基部とタッチセンサ部材の基部とは車内外方向に重合して配置されているので、両者が離れて配置されている場合よりも、両者を合せた全体的な車内外方向の厚みが小さくなって車内外方向の寸法に余裕が生じ、この結果、スライドドアひいては車体の設計の自由度が増す。
また、第2発明によれば、シール部材とタッチセンサ部材とは一体とされているから、これらが別部材である場合と比較して、部品点数を削減することができると共に、例えば、シール部材を別途他のブラケット部材に固定したり、端辺部の内面に仮止めしたりする等の手間が省け、組立工数を削減することができる。
そして、第3発明によれば、シール部材及びタッチセンサ部材は別部材で、それぞれブラケットに取り付けられているので、シール部材及びタッチセンサ部材の材質選択や形状設計の自由度が増す。なお、例えばスライドドアの端辺部と開口の縁部とが車内外方向に重なり合っていることによりこれらよりも車体内方側がもともと視認できないような他タイプの自動車においては、タッチセンサ部材のみ必要で見栄え改善のための上記シール部材については不要な場合があるが、前述のようにシール部材、タッチセンサ部材、ブラケット部材、第2のブラケット部材は別部材であるから、このような他タイプの自動車にも上記ブラケット部材及びタッチセンサ部材を利用することができる。
さらに、第4発明によれば、上記シール部材、上記タッチセンサ部材、上記2つのブラケット部材のスライドドアへの組付作業性が向上する。すなわち、2つのブラケット部材が接合されていない場合は2つのブラケット部材の一端をそれぞれ固定する必要があり、この固定先は例えば上記シール部材及びタッチセンサ部材に近い上記端辺部の近傍の部分とすることが考えられるが、この端辺部は通常スライドドアの端部の一部でその近傍のスペースも限られているので、いずれか一方のブラケット部材を固定すると、他方のブラケット部材をが取り付けにくくなり、組付作業性が悪い。しかし、本第4発明によれば、例えば、スライドドアへの組付前に作業環境のよい場所で、上記シール部材及びタッチセンサ部材の取り付けられた2つのブラケットを予め接合した上で、スライドドアに一度に固定することが可能となるので、組付作業性が向上するのである。
また、第5発明によれば、シール部材の基部が、ブラケット部材によってスライドドアの端辺部の車内側の面に押し当てられることにより、車内外方向に対する上記シール部材と上記端辺部との位置関係が決まることなる。したがって、第1発明同様、上記シール部材が上記端辺部に対して、精密な位置調整を要することなく、最も見栄えが良くなる位置関係で固定されることとなり、上記端辺部に対するシール部材の車内外方向の取付位置精度が向上することとなる。
また、第1発明同様、シール部材の基部とタッチセンサ部材の基部とは車内外方向に重合して配置されているので、これらが離れて配置されている場合よりも、全体的な車内外方向の厚みが小さくなり、この結果、車内外方向の寸法に余裕が生じ、スライドドアひいては車体の設計の自由度が増す。
加えて、シール部材及びタッチセンサ部材は別部材で、それぞれブラケットに取り付けられているので、シール部材及びタッチセンサ部材の材質選択や形状設計の自由度が増す。なお、例えば、車種展開上、シール部材のみ必要でタッチセンサ部材が不要な場合があるが、前述のようにシール部材、タッチセンサ部材、第1のブラケット部材、第2のブラケット部材は別部材であるから、このような他タイプの自動車にも上記第1のブラケット部材及びシール部材を利用することができる。
そして、第6発明によれば、上記第2ブラケット部材は上記第1ブラケット部材に接合されているので、第4発明と同様の効果が奏される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1(本発明の実施の形態に係る自動車の外観斜視図)、図2(同自動車のリヤドアを開いた状態の外観斜視図)に示すように、本実施の形態に係る自動車1の車体2の側部には、乗降用開口3が設けられていると共に、該開口3における前側センターピラー4の前側部分を開閉するフロントドア5と、後側の部分を開閉するリヤドア6とが設けられている。
フロントドア5は、該ドア5の前端部と上記開口3における前側の部分の前端縁部近傍に設けられた図示しないヒンジを中心として回動可能に支持されている。
これに対し、リヤドア6は、車両前後方向にスライド可能に支持されている。すなわち、このリヤドア6のスライド機構は、車体2の側部における、上記前側センターピラー4の後側の開口部分の縁部の上部近傍及び下部近傍に設けられて前後に延びるアッパレール11及びロアレール12と、後側の開口部分の車両後方側に設けられたサイドウインドウ開口13の下縁部外面に設けられたセンタレール14とを有すると共に、上記リヤドア6の前端部上部と上記アッパレール11とを連結するアッパアーム15と、同リヤドア6の前端部下部と上記ロアレール12とを連結するロアアーム16と、同リヤドア6の後端部中央部と上記センタレール14とを連結するセンタアーム17とを有し、これらのアーム15,16,17のレール側部分が各レール11,12,14に車両前後方向にスライド可能に係合され、これにより、リヤドア6が車両前後方向にスライド可能とされている。
また、このリヤドア6の閉じ方向側の端辺部である車両前側の端辺部6aの車内側には、後に詳述するが、上記端辺部6aと該端辺部6aに対向するフロントドア5の後側の端辺部の縁部5a(特許請求の範囲における、スライドドアの閉じ方向側の端辺部に対向する車体に設けられた開口の縁部に対応する)との隙間を見栄えの向上のためにシールするシール部91(図5参照)と、上記リヤドア6の端辺部6aとフロントドア5の上記縁部5aとによる異物の挟み込みを検出するタッチセンサ部92(図5参照)とを有するシールセンサ部材90が設けられている。
ここで、このリヤドア6は電動式のものであり、図3(リヤドアの開閉制御システムの構成図である)に示すように、この自動車1には、その開閉制御システムとして、サーボモータを有するドア駆動機構31と、該駆動機構31と上記リヤドア6とを連結する図示しない駆動ケーブルとが備えられている。
また、リヤドア6の開閉を制御するコントローラ40が備えられており、該コントローラ40はリヤドア6の開閉操作用の開閉スイッチ(SW)41からの信号と、上記タッチセンサ92部からの信号とを入力し、これらの信号に基づいて、上記ドア駆動機構31のサーボモータに制御パルス信号を出力する。ここで、上記開閉スイッチ41は、開放操作時に開放操作信号を送出し、閉鎖操作時に閉鎖操作信号を送出する。
次いで、このコントローラ40によるリヤドア6の開閉制御を説明する。図4(リヤドアの開閉制御のフローチャートの一例である)に示すように、コントローラ40は、まず、ステップS1で、開閉スイッチ41からの開放操作信号の有無に基づいて、開閉スイッチ41が開放操作されているか否かを判定し、開放操作されているとき(YES)は、ステップS2で、リヤドア6が全開位置にあるか否かを判定する。なお、リヤドア6の現在位置は、上記サーボモータに出力した制御パルス信号数をカウントすることにより検出している。そして、全開位置にないとき(NO)は、ステップS3で、上記サーボモータに制御パルスを出力し、リヤドア6を開放駆動する。これに対し、全開位置にあると判定されたとき(YES)は、リターンする。
一方、上記ステップS1で、開閉スイッチ41が開放操作されていないとき(NO)は、ステップS4で、開閉スイッチ41からの閉鎖操作信号の有無に基づいて、開閉スイッチ41が閉鎖操作されているか否かを判定する。そして、閉鎖操作されているとき(YES)は、ステップS5で、リヤドア6が全閉位置にあるか否かを判定する。なお、リヤドア6の位置は、ステップS2同様、上記サーボモータに出力した制御パルス信号数をカウントすることにより検出している。そして、全閉位置にないとき(NO)は、ステップS6で、上記サーボモータに制御パルスを出力し、リヤドア6を閉鎖駆動する。
次いで、ステップS7で、タッチセンサ部92でタッチが検出されているか否か、すなわち異物の挟み込みが生じているか否かを検出する。そして、タッチが検出されているとき(YES)は、ステップS8で、リヤドア6を開放駆動、すなわち反転駆動させる。これに対し、タッチが検出されていないとき(NO)は、リターンする。
他方、上記ステップS5で、全閉位置にあるとき(YES)は、リターンする。
以上のような制御によれば、リヤドア6を閉鎖駆動中に、異物の挟み込みが検出されたときには、リヤドアが反転駆動(開放駆動)されることにより、異物の挟み込みが解消されることとなる。
次に、本自動車1における、前側センターピラー4周辺の構造について詳しく説明する。すなわち、図5(図1のA−A矢視図である)に示すように、前側センターピラー4は、前端部及び後端部にフランジ部を有して互いに反対方向に膨出する断面ハット状のアウタパネル51及びインナパネル52が接合されたものであり、両フランジ部には、上下方向に延び、防水及び防音を兼ねた第1、第2シール部材53,54が取り付けられている。
フロントドア5は、該ドア5の外面を構成するアウタパネル61と、同内面を構成するインナパネル62とを有し、該インナパネル62の後端側フランジ部62aがアウタパネル61の後端側折り返し部61aに挿し込まれた状態で接合されている。また、インナパネル62には、後端側フランジ部62aの車両前方側に、車内側に膨出する膨出部62bが設けられ、該膨出部62bの側面に第3シール部材63が取り付けられている。
リヤドア6は、該ドア6の外面を構成するアウタパネル71と、同内面を構成するインナパネル72とを有し、該インナパネル72の前端側フランジ部72aがアウタパネル71の前端側折り返し部71aに挿し込まれた状態で接合されている。なお、スライドドア6の上記端辺部6aは、リヤドア6におけるインナパネル72のフランジ部72aとアウタパネル71の接合された部分及びその車両前方部分に対応する。インナパネル72には、前端側フランジ部72aの車両後方側に、車内側に膨出する膨出部72bが設けられている。
このような構成によれば、フロントドア5が閉じられた状態においては、前側センターピラー4の前端側フランジ部に取り付けられた第1シール部材53が、フロントドア4のインナパネル62の膨出部62bに押し付けられると共に、該膨出部62bの側面に取り付けられた第3シール部材63が前側センターピラー4のアウタパネル51の外面に押し付けられることにより、フロントドア5と前側センターピラー4との隙間が防水、防音シールされることとなる。また、リヤドア6が閉じられた状態においては、前側センターピラー4の後端側フランジ部に取り付けられた第2シール部材54が、リヤドア6のインナパネル72の膨出部72bに押し付けられることにより、リヤドア6と前側センターピラー4との隙間が防水、防音シールされることとなる。
次いで、フロントドア5の縁部5aとリヤドア6の端辺部6aとの隙間のシール構造について説明する。
すなわち、図6(以下説明するシールセンサ部材90とブラケット81とが組付けられた状態の単品斜視図である(右側リヤドア用))にも併せて示すように、上記リヤドア6の端辺部6aの車内側には、略上下方向に延び、上記リヤドア6の端辺部6aに略平行な面を有する本体部81aと、複数の取付部81b…81bとを有するブラケット81が、上記インナパネル72の膨出部72bの側面に複数のビス82を用いて固定されている。
このブラケット81の前端部には、上下方向に延び、前述したようにシール部91とタッチセンサ部92とが一体とされたシールセンサ部材90が取り付けられている。
シール部91は、基部91aと、該基部91aからフロントドア5側に延びるリップ状の本体部91bとを有し、基部91aがリヤドア6の端辺部6aの車内側の面に配置されている。
タッチセンサ部92は、上記ブラケット81の前端部に嵌められる二股状の基部92aと、該基部92aのフロントドア5側に設けられた筒状の本体部92bとを有し、基部92aが上記シール部91の基部91aの車内側に重合して配置されている。タッチセンサ部92の基部92aには上記ブラケット81の前端部を挟持するためのU字状の芯金92cが内蔵され、本体部92bには検出部材92dが挿通されている。
また、シール部91の基部91aは、上記タッチセンサ部92の上記基部92aが取り付けられたブラケット部材81によりタッチセンサ部92の基部92aを介して、つまり、ブラケット81に取り付けられた上記タッチセンサ部92の基部92aにより、上記端辺部6aの車内側の面に押し当てられている。
以上のように構成したことにより、本実施の形態によれば、以下のような作用効果が得られる。
すなわち、シール部91の基部91aが、タッチセンサ部92の基部92aが取り付けられるブラケット81によりタッチセンサ部92の基部92aを介して、つまり、ブラケット81の他端に取り付けられたタッチセンサ部92の基部92aによってリヤドア6の端辺部6aの車内側の面に押し当てられることにより、車内外方向に対する上記シール部91と上記端辺部6aとの位置関係が決まる。したがって、上記シール部91が上記端辺部6aに対して、精密な位置調整を要することなく、最も見栄えが良くなる位置関係で固定されることとなり、上記端辺部6aに対するシール部91の車内外方向の取付位置精度が向上することとなる。その場合に、押し当てるための部材としてもともと必要なタッチセンサ部92及びブラケット81を利用するので、別途部品を追加することなく、上記効果を達成することができる。なお、本実施の形態においては、シール部91とタッチセンサ部92とを一体としたので、これらが別部材である場合と比較して、部品点数を削減することができると共に、シール部材を別途他のブラケット部材に固定したり、端辺部の内面に仮止めしたりする等の手間が省け、組立工数を削減することができる。
また、シール部91の基部91aとタッチセンサ部92の基部92aとは車内外方向に重合して配置されているので、これらが離れて配置されている場合よりも、これらの車内外方向の厚みLが小さくなって車内外方向の寸法に余裕が生じ、この結果、リヤドア6ひいては車体2の設計の自由度が増す。
また、タッチセンサ部92の基部92aがシール部91の基部91aに押し当てられているので、該タッチセンサ部92がブラケット81から脱落しにくくなる。したがって、上記芯金92cを細くすることができ、より車内外方向の上記厚みLを小さくすることができる。
なお、上記実施の形態においては、シール部材とタッチセンサ部材とを一体化したものについて説明したが、本発明は、一体化されていないものを除外するものではなく、例えば、図7(当該変形例に係る図5相当の図である)に示すように、シール部材91′とタッチセンサ部材92′とを別体で設けてもよく、これによれば、シール部材91′及びタッチセンサ部材92′毎に最適な材質及び形状に設定することができるようになる。なお、この場合、シール部材91′をファスナ93′で仮止めした状態で、タッチセンサ部材92′が取り付けられたブラケット81′をビス82′でスライドドア6に取り付けてもよいし、ファスナ93′を用いず、手で端辺部6a内面に押さえた状態で取り付けてもよい。
なお、本発明に係るシール構造は、上記例(以下、第1の例という)に限定されるものではなく、以下、いくつか他の例を挙げて説明する。なお、説明に際しては、スライドドアの符号については、該ドアが同一またはほぼ同一である限り同一の符号を用いる。
まず、第2の例は、図8(当該第2の例に係る図5相当の図である)、図9(同図6相当の図である)に示すように、タッチセンサ部材101の基部101aが取り付けられるブラケット102におけるスライドドア6の端辺部6a側の面に第2のブラケット103を接合し、その前端部にシール部材104の基部104aを取り付けたものである。
これによれば、第1の例の変形例である図7に示すもの同様、シール部材104及びタッチセンサ部材101の材質選択や形状設計の自由度が増す。
また、上記シール部材104、上記タッチセンサ部材101、上記2つのブラケット102,103のリヤドア6への組付作業性が向上する。すなわち、2つのブラケット102,103が接合されていない場合はこれらのブラケットの一端をそれぞれ固定する必要があり、この固定先は上記シール部材104及びタッチセンサ部材101に近い上記端辺部6a近傍部分であるインナパネル72の膨出部72bとすることが考えられるが、この部位は狭いので、いずれか一方のブラケットを固定すると、他方のブラケットを取り付けにくくなり、組付作業性が悪い。しかし、本実施の形態のこの第2の例によれば、例えば、リヤドア6への組付前に作業環境のよい場所で、上記シール部材104及びタッチセンサ部材101の取り付けられた2つのブラケット102,103を予め接合した上で、リヤドア6に一度に固定することが可能となるので、組付作業性が向上するのである。なお、例えば、組付作業性が十分確保されるような構造である場合や、接合すべきでない理由等がある場合は、もちろん、ブラケット102,103同士を接合せず、端辺部6a近傍等にそれぞれ固定してもよい。
加えて、例えば、図10(他タイプの自動車への適用例に係る図5相当の図である)に示すように、リヤドア6′の端辺部6a′とフロントドア5′の縁部5a′とが車内外方向に重なり合っていることによりこれらよりも車体内方側がもともと視認できないような他タイプの自動車においては、タッチセンサ部材101のみ必要で見栄え改善のための上記シール部材については不要であるが、前述のようにこの第2の例においては、シール部材104、タッチセンサ部材101、ブラケット102、第2のブラケット103は別部材であるから、このような他タイプの自動車にも上記ブラケット102及びタッチセンサ部材101を利用することができる。
次に、第3の例は、上記第2の例とは2つのブラケットの取り付け方を逆にしたものである。すなわち、図11(第3の例に係る図5相当の図である)、図12(同図6相当の図である)に示すように、シール部材111の基部111aは、上記スライドドア6の端辺部6a近傍の膨出部6bの側面に固定された第1ブラケット112に取り付けられていると共に、該シール部材111の基部111aが上記第1ブラケット112により上記端辺部6aの上記車内側の面に押し当てられている。一方、タッチセンサ部材113の基部113aは、上記第1ブラケット112における上記端辺部6aとは反対側の面に接合された第2ブラケット114に取り付けられている。
これによれば、シール部材111の基部111aが、第1ブラケット112によってリヤドア6の端辺部6aの車内側の面に押し当てられることにより、車内外方向に対する上記シール部材111と上記端辺部6aとの位置関係が決まるので、上記第1、第2の例同様、上記シール部材111が上記端辺部6aに対して、精密な位置調整を要することなく、最も見栄えが良くなる位置関係で固定されることとなり、上記端辺部6aに対するシール部材111の車内外方向の取付位置精度が向上することとなる。
また、上記第1、第2の例同様、シール部材111の基部111aとタッチセンサ部材113の基部113aとは車内外方向に重合して配置されているので、これらが離れて配置されている場合よりも、全体的な車内外方向の厚みが小さくなり、この結果、車内外方向の寸法に余裕が生じ、設計の自由度が増す。
また、シール部材111及びタッチセンサ部材113は別部材であるので、シール部材111及びタッチセンサ部材113の材質選択や形状設計の自由度が増す。
また、第1ブラケット112と第2ブラケット114とは接合されているので、上記第2の例同様、上記シール部材111、上記タッチセンサ部材113、及び上記2つのブラケット112,114のリヤドア6への組付作業性が向上する。なお、第2の例において説明したように、例えば、組付作業性が十分確保されるような構造である場合や、接合すべきでない理由等がある場合は、もちろん、第1、第2ブラケット112,114を接合せず、端辺部6a近傍等にそれぞれ固定してもよい。
なお、例えば、例えばリヤドアが電動式でないスライドドアの場合は、図13(他タイプの自動車への適用例に係る図5相当の図である)に示すように、シール部材111のみ必要でタッチセンサ部材113が不要な場合があるが、前述のようにシール部材111、タッチセンサ部材113、第1ブラケット112、第2ブラケット114は別部材であるから、このような他タイプの自動車にも、上記第1ブラケット112及びシール部材111を利用することができる。
なお、以上の実施の実施の形態においては、自動車の車体の側壁に設けられた開口を開閉するスライドドアの場合について説明したが、本発明は、例えば、車体の後壁に設けられた開口、あるいは天井に設けられた開口を開閉するスライドドアについても適用可能である。また、乗降用開口を開閉するスライドドアの場合について説明したが、この発明は、乗降用開口に限られず、例えば物品の搬入用開口等種々の開口に適用可能である。
また、以上の実施の形態においては、シール部材(シール部)の本体部の形状はリップ状としたが、これに限定されるものではなく、上記シール部材(シール部)の本体部の外面からタッチセンサ部材(タッチセンサ部)の内面までの距離Lに大きな影響を与えず、かつタッチセンサ部材(タッチセンサ部)のセンサ機能に悪影響を与えない形状である限り、例えば、筒状、柱状さまざまな形状が適用可能である。