JP2006185526A - 磁気記録媒体のバック層用塗料およびそれを用いてなる磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体のバック層用塗料およびそれを用いてなる磁気記録媒体 Download PDF

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仁史 西垣
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Abstract

【課題】、磁気記録媒体における非磁性層に関して、カーボンブラックの分散性、保存安定性を改善し、高平滑、高強度、低摩擦係数な塗膜を得る。
【解決手段】支持体の一方の面に磁性層を有し、他方の面にバック層を有する磁気記録媒体のバック層を形成するための塗料であって、該塗料は、−SOM基または−COOM基を有する有機色素誘導体または複素芳香環誘導体と塩基性基を骨格中に有する樹脂を含むことを特徴とするバック層形成用塗料組成物。

Description

本発明は、磁気記録媒体に使用されるバック層形成用塗料に関する。
近年、磁気記録媒体、特にデータストレージテープ、ビデオテープの高記録容量化、高画質化に伴い、記録波長の短波長化、記録トラック幅の狭トラック化による高密度化が図られている。磁気記録媒体の記録特性向上には、強磁性粉末の磁気特性の改良、表面の平滑化などがあり種々の改良がなされている。また短波長化に伴い磁性層の厚みが厚いと出力が低下する自己減磁損失、厚み損失の問題が大きくなっており、磁性層の薄層化が求められてきている。
しかしながら磁性層を薄くすると、支持体の影響を受けやすくなり電磁変換特性の悪化を及ぼす。このため支持体に非磁性層、磁性層の順に積層するいわゆる重層塗布型磁気記録媒体が使用されることが多くなってきている。これにより支持体の表面状態が磁性層表面に現れにくくなり磁性層薄膜の平滑性を向上させることができる。また現在ビデオテープ等の磁気記録媒体の磁気テープ終端検出は光透過率の差を検知することにより行われている。磁気記録媒体の薄層化、磁気記録媒体に分散されている強磁性粉末の微粒子化により磁気記録層の光透過率が大きくなるとテープ終端検出が困難になるため、磁性層または非磁性層にカーボンブラック等を添加して光透過率を小さくすることが行われている。また磁気記録媒体の表面電気抵抗値が高いと帯電により磁気記録媒体製造時や使用時に切断くずや粉塵等が磁気記録媒体表面に付着し、その結果ドロップアウトが増加する。そのため磁気記録媒体の表面電気抵抗値を下げる目的でもカーボンブラックが使用されている。
一方、磁気記録媒体にはテープの走行安定性を付与する目的でバック層を設けることが行われている。バック層においても上述した表面電気抵抗の低下による帯電防止、磁気テープ終端検出のためカーボンブラックが使用されている。
上述のように磁気記録媒体におけるバック層ではカーボンブラックが重要な役割を担うが、バック層としての表面平滑性、塗膜強度等の要求が年々厳しくなってきており、その機能を発揮するためにはカーボンブラックを微細に分散する必要がある。しかしカーボンブラックは微細なほど分散安定化が難しく、形成された非磁性層またはバック層の塗膜表面の平滑性が不十分だと磁性層薄膜の平滑性を荒らす原因となり、電磁変換特性等の記録特性の低下をもたらす。
そこでバック層に使用されるカーボンブラックの分散性を改善するため種々の検討が行われている。特許文献1ではバック層に、特許文献2では、バック層、磁性層、またはその下塗り層にカーボンブラックと特定の有機色素化合物を含有することによりカーボンブラックの分散性を改善し平滑性を向上することが開示されている。しかし、これらの有機色素誘導体を単に分散剤として使用するだけでは、平滑性や塗料の経時安定性が充分でない場合があり、特に経時した塗料を塗布した場合には平滑性が低下する為、塗料の使用期限が限定されたり、保存環境が制限されるなどの問題があった。
特開昭61−224136号報 特開平1−232524号報
本発明が解決しようとする課題は、磁気記録媒体におけるバック層に関して、カーボンブラックの分散性、保存安定性を改善し、高平滑、高強度、低摩擦係数な塗膜を得ることである。
すなわち、本発明は一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物と、塩基性基をその骨格に含む樹脂と、さらにはカーボンブラックを含むことを特徴とする磁気記録媒体におけるバック層形成用塗料に関する。
本発明の実施により得られる磁気記録媒体バック層形成用塗料は、特定の官能基を含む有機色素誘導体およびまたは複素芳香環誘導体を含まない分散体、または前記誘導体と塩基性基をその骨格中に含む樹脂を併用しない分散体に比べて、良好な安定性、塗膜強度、走行耐久性を示した。
本発明における磁性層は、強磁性粉末をバインダーに分散させた磁性塗料を塗布、乾燥するか、蒸着やスパッタリングにより金属薄膜を形成する方法により得られる。強磁性粉末としては、金属磁性粉末、酸化鉄、炭化鉄、バリウムフェライトなどの磁性をもつものであれば特に制限はなく、形状も球状、針状、板状等任意に選択して使用できる。これらの強磁性粉末には必要に応じて無機化合物、有機化合物で表面処理してもよい。また磁性層にはカーボンブラックや従来公知の潤滑剤、研磨剤、分散剤等の添加剤を含有させることができる。また蒸着またはスパッタリングにより形成される金属薄膜としてはFe、Co、及びNi等の強磁性金属ならびにこれらの合金からなるものがあり、単層であっても多層であってもよい。また蒸着層の上層にスパッタリング,CVD法等による保護膜を形成してもよく、従来公知の潤滑層を形成してもよい。
本発明におけるバック層は少なくともカーボンブラックと結合剤樹脂を有し、カーボンブラック以外の非磁性粉末を1種または2種以上使用してもよい。非磁性粉末の例としてはグラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素等が使用できる。また平均一次粒子径が10〜50nmのカーボンブラックまたは非磁性粉末と平均一次粒子径が50〜500nmのカーボンブラックまたは非磁性粉末を2種以上組み合わせることにより、摩擦係数を調整し平滑性と走行性のバランスをとることができる。またバック層に従来公知の分散剤、潤滑剤、防黴剤等の添加剤を含有させてもよい。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどの各種のものを用いることができる。また、通常行われている各種前処理(気相プラズマ処理、液相酸化処理等)されたカーボンブラックも使用できる。また、本発明に使用するカーボンブラックは、粉状品、粒状品いずれの形態であってもよい。
一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物のカーボンブラックに対する吸着性、脱着性を考えた場合、表面官能基の少ない中性カーボンの方が好ましい。また、カーボンブラックの粒径としては、通常のインキや塗料に用いるカーボンブラックの粒径範囲と同様に5〜1000nmが好ましく、特に、10〜500nmが好ましい。ただし、ここでいう粒径とは電子顕微鏡などで測定された平均一次粒子径を示し、この物性値は一般にカーボンブラックの物理的特性を表すのに用いられている。
本発明におけるポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルの縮合物もしくは造塩物および、一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物は、製造しようとするバックコート塗料組成物の性状に合わせて公知の方法にて合成して使用する。
ポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルの縮合物もしくは造塩物は、ポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルを混合加熱し、脱水によるアミド化によって得ることが出来る。その際の反応条件、即ちポリアリルアミンとカルボン酸を有するポリエステルの仕込み比、ポリアリルアミンとカルボン酸を有するポリアリルアミンの分子量、アミド化反応の反応率等により縮合物または造塩物が生成するため、得られる分散剤の分子量、アミド化反応の反応率等により縮合物または造塩物が生成するため、得られる分散剤の分子量、アミン価、酸価をコントロールすることができる。それぞれの好ましい範囲については、数平均分子量は1,000〜100,000のものがよく、アミン価については2〜50のものがよいが、さらに好ましくは、4〜20のものがよく、酸価は2〜50のものが好ましい。分散剤の分子量が小さすぎると顔料の分散効果や、保存安定性が低下し、大きすぎると分散体の増粘や種々の有機溶剤への溶解性が低下して分散不良を招く。アミン価と酸価はポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルの縮合物もしくは造塩物の溶解性と顔料への吸着性に大きな影響を及ぼし、これら好適な範囲で最も大きな効果を得ることができる。
本発明に使用するポリアリルアミンは下記一般式(4)で示される。

一般式(4)
Figure 2006185526

式中の記号は下記の意味を表す。
n;2〜1,000の整数
本発明において、塗料組成物中の分散剤量は塗料組成物中のカーボンブラック種、カーボンブラック濃度、分散剤種、樹脂種、樹脂濃度によって変化するので、特に限定されるものではないが、カーボンブラックに対して3〜500重量%が好ましく、10〜100重量%が特に好ましい。
また、本発明で用いられる有機色素誘導体および複素芳香環誘導体は下記一般式(1)ないし(3)で表される。

一般式(1)
Figure 2006185526

式中の記号は下記の意味を表す。
;有機色素残基、アントラキノン残基、置換基を有していてもよい複素芳香環残基または置換基を有していてもよい芳香族環残基
;−O−R、−NH−R、ハロゲン基、−X−R、−X−Y−Z(Rは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基を表す。)
;−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−または−X−Y−X−(X及びXはそれぞれ独立に−NH−または−O−を表す。)
;−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−または−NHSO
;炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、あるいは置換基を有してもよいアルケニレン基、あるいは置換基を有してもよいアリーレン基
;−SOM、−COOM(Mは1〜3価のカチオンの1当量を表す。)
上記一般式(1)のQ1における有機色素残基としてはフタロシアニン系色素、アゾ系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、アントラピリミジン系色素、アンサンスロン系色素、インダンスロン系色素、フラバンスロン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジコ系色素、イソインドリノン系色素、トリフェニルメタン系色素等の顔料骨格または染料骨格が挙げられる。
上記一般式(1)のQにおける複素芳香環または芳香族環としては例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン等が挙げられる。

一般式(2)
Figure 2006185526

式中の記号は下記の意味を表す。
;有機色素残基またはアントラキノン残基
;直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−または−X−Y−X−(X及びXはそれぞれ独立に−NH−または−O−を表し、Yは置換基を有していてもよいアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
;−SOM、−COOM(Mは1〜3価のカチオンの1当量を表す。)
m;1〜4の整数
上記一般式(2)のQにおける有機色素残基としてはフタロシアニン系色素、アゾ系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、アントラピリミジン系色素、アンサンスロン系色素、インダンスロン系色素、フラバンスロン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジコ系色素、イソインドリノン系色素、トリフェニルメタン系色素等の顔料または染料が挙げられる。
前記誘導体中のスルホン酸残基、カルボン酸残基を造塩するためのカチオン種としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(7)で示されるアルキルアミン類が好ましい。

一般式(3)
Figure 2006185526

式中の記号は下記の意味を表す。
;炭素数5〜20のアルキル基
,R,R;炭素数1〜20のアルキル基
本発明において、塗料組成物中の一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物の量は塗料組成物中のカーボンブラック種、樹脂種、固形分濃度等によって変化するので、特に限定されるものではないが、カーボンブラックに対して0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%が特に好ましい。
本発明におけるバック層は少なくとも1種類のカーボンブラックと結合材を有し、カーボンブラック以外の非磁性粉末を1種類または2種以上使用してもよい。非磁性粉末としてはグラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等が使用できる。また、平均一次粒子径が10〜50nmのカーボンブラックまたは非磁性粉末と、平均一次粒子径が50〜500nmのカーボンブラックまたは非磁性粉末を2種以上組み合わせることにより、摩擦係数を調整し平滑性と走行性のバランスをとることにより、摩擦係数を調整し、平滑性と走行性のバランスをとることができる。またバック層に従来公知の分散剤、潤滑剤、防黴剤等の添加剤を含有させてもよい。
本発明に用いられる結合剤成分としては、特に限定されるものではないが、磁気記録媒体に用いられる従来公知の樹脂を単独、あるいは2種類以上組み合わせて使用できる。例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルビチラール、ビニルアセタール等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、硝化綿等の繊維素系樹脂が挙げられる。好ましい結合剤としては塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、硝化綿、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂を単独もしくは組み合わせたものであり、特に好ましくはポリウレタン樹脂または硝化綿とポリウレタン樹脂の組み合わせ、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂の組み合わせである。ポリウレタン樹脂としては、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタン、など公知のものが使用される。
また、これらの樹脂に架橋剤として、ポリイソシアネートを組み合わせてもよい。ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、またいわゆるブロック剤でブロックされたイソシアネート類またこれらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、またイソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用できる。これらのイソシアネート類は結合剤中の極性基と反応することによって3次元的に架橋し、塗膜の強度、耐久性を高める効果がある。
本発明に用いられる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、具体例としては磁気記録媒体用塗料に汎用的に使用されているメチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン等の任意比率の混合溶媒を使用することができる。これらの有機溶剤は必ずしも100%純粋である必要はなく、主成分以外にも異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純物が微量含まれていてもかまわない。
本発明におけるバック層形成用塗料の製造方法としては、従来公知の混練り機、分散機を使用した製造工程を用いることができる。使用する分散機の例としては、2本ロールミル、3本ロールミル、ニーダ−、加圧ニーダー、連続ニーダー、エクストルーダー、連続エクストルーダー、ボールミル、アトライター、サンドミル、コボールミル、アジテーターミル、スーパーミル、ショットミル、ピンミル、ジェットミル、ディスクミル、ホモジナイザー、バスケットミル、ペブルミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバー、超音波分散機などを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
次に実施例示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。各例において、特に指定しない限り「部」とは重量部を、「%」とは重量%をそれぞれ表す。
実施例中の一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物については既に公知の方法で得られたものを用いた。
本発明におけるポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルの縮合物もしくは造塩物について下記表1に示すような性状のものをそれぞれ公知の方法にて合成し、分散剤A〜Eを得た。
Figure 2006185526
[磁性層の作成]
メタル磁性粉(比表面積50m2、保持力1500Oe 100部
塩化ビニル樹脂(MR−110、日本ゼオン株式会社製) 10部
ポリウレタン溶液(UR−8300、東洋紡績株式会社製) 20部
α―アルミナ(粒子径:0.3μ) 3部
カーボンブラック(コンダクテックスSC、コロンビヤンカーボン株式会社製) 5部
ステアリン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1部
トルエン 120部
メチルエチルケトン 120部
シクロヘキサノン 60部
上記組成物をサンドミルで分散した後に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン製)を5部加え、磁性塗料を得た。該磁性塗料を9μm厚のポリエチレンテレフタラート支持体上に塗布、配向、乾燥後、カレンダー処理による鏡面加工を行い、3μm厚の磁性塗膜(磁性層)を作成した。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径17nm) 100部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体A(一般式(8)) 5部
分散剤A(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物をサンドミルで分散した後、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン株式会社製)を5部加えバック層用塗料を得た。該バック層用塗料を磁性層を形成した反対面に塗布、乾燥して約0.6μmのバック層を形成した後、60℃24時間硬化し、1/2インチ幅に裁断し、塗布テープを作成した。
一般式(8)
Figure 2006185526
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径17nm) 100部
カーボンブラックB(平均一次粒子径270nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体A(一般式(8)) 5部
分散樹脂B 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックC(平均一次粒子径35nm) 100部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体A(一般式(8)) 3部
分散樹脂C(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックC(平均一次粒子径35nm) 100部
カーボンブラックD(平均一次粒子径120nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体A(一般式(8)) 3部
分散樹脂D(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径17nm) 100部
カーボンブラックD(平均一次粒子径120nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体A(一般式(8)) 5部
分散樹脂E(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径17nm) 100部
カーボンブラックB(平均一次粒子径270nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体B(一般式(9)) 5部
分散樹脂A(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
一般式(9)
Figure 2006185526
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径17nm) 100部
カーボンブラックD(平均一次粒子径120nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体B(一般式(9)) 5部
分散樹脂B(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径35nm) 100部
カーボンブラックB(平均一次粒子径270nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体B(一般式(9)) 3部
分散樹脂E(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径17nm) 100部
カーボンブラックB(平均一次粒子径270nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体C(一般式(10)) 5部
分散樹脂A(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。

一般式(10)
Figure 2006185526
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックA(平均一次粒子径17nm) 100部
カーボンブラックB(平均一次粒子径120nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体C(一般式(10)) 5部
分散樹脂D(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
磁性面の形成については実施例1と同様に行った。
[バック層の作成]
カーボンブラックC(平均一次粒子径35nm) 100部
カーボンブラックB(平均一次粒子径270nm) 3部
70%湿潤硝化綿(セルノバBTH−1 旭化成株式会社製) 70部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績株式会社製) 100部
有機色素誘導体C(一般式(10)) 5部
分散樹脂E(表1) 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
シクロヘキサノン 120部
上記組成物を実施例1と同様にして分散、支持体への塗工を行い、塗布テープを得た。
(比較例1)
実施例1において、分散剤Aを使用しないこと以外は同様にして、塗布テープを得た。
(比較例2)
実施例2において、分散剤Bの代わりに分散剤DisperBYK111(ビックケミー社製)を用いること以外は同様にして、塗布テープを得た。
(比較例3)
実施例3において、有機色素誘導体Aを用いないこと以外は同様にして、塗布テープを得た。
(比較例4)
実施例5において、分散剤Eを使用しないこと以外は同様にして、塗布テープを得た。
(比較例5)
実施例6において、分散剤Aの配合量を10部から3部へと減量すること以外は同様にして、塗布テープを得た。
(比較例6)
実施例7において、有機色素誘導体Bを用いる代わりに、下記一般式(11)で表される有機色素骨格を含まない酸性化合物を用いること以外は同様にして、塗布テープを得た。

一般式(11)
Figure 2006185526

(比較例7)
実施例9において、有機色素誘導体Cの配合量を5部〜2部へと減量すること以外は同様にして、塗布テープを得た。
(比較例8)
実施例11において、有機色素誘導体Aを使用しないこと以外は同様にして、塗布テープを得た。
以上の実施例1〜11、比較例1〜8で作成した塗布テープのバック層の塗膜について、またバック層用塗料について、下記に示す方法で評価した。
[中心線平均粗さ]:バック層の表面を触針式表面粗さ計(触針径1ミクロン)によりJIS−B−0601−1982に基づきカットオフ値0.08で測定し、中心線平均粗さRaを求めた。Raは小さいほど平滑であることを示す。またRaについては塗料作成直後に塗布テープを作成した塗膜と塗料を40℃1ケ月保存した後塗布テープを作成した塗膜それぞれについて測定した。
[塗膜ヤング率]:バック層を塗布したテープ、非磁性層のみ塗布したテープ、いずれも塗布していない支持体それぞれについて、引っ張り試験機によって応力伸び特性を測定し、初期立ち上がりの傾き及び膜厚より、非磁性層塗膜及びバック層塗膜それぞれの塗膜ヤング率を求めた。塗膜ヤング率は塗膜強度の尺度として見ることができ、高いほど塗膜強度が高いことを示す。
[バック層走行耐久性]:バック層面とSUS304ガイドピンの摩擦係数をテープ走行試験機により測定した。巻き付け角180度で100パス走行後の摩擦係数、走行後のバック層面の傷つき状態を評価した。走行後にバック層にほとんど傷が見られないを○、若干の傷が見られるものを△、多数の傷があるものを×とした。
[塗料安定性]:バック層用塗料を40℃で1ケ月保存した後の塗料粘度を初期粘度との比較から評価した。塗料粘度については液温を25℃に調整した後、BL型粘度計において60rpm1分後の値を測定した。
以上の評価結果を表1にまとめた。表1から明らかなように、本発明によって磁気記録媒体バック層用塗料の経時安定性が大きく向上し、40℃保存1ケ月後においても作成直後と同等の塗料流動性、塗膜平滑性が得られた。またこれら塗料を塗布し硬化させた塗膜は、塗膜強度が向上しており、優れた走行耐久性を示した
Figure 2006185526
高密度記録が要求されるデータストレージテープやデジタル放送用VTRテープ等の磁気記録媒体に限らずカーボンブラックを含有する他の記録メディア、表示材料、機能性材料等あらゆる分野に利用可能である。

Claims (11)

  1. 支持体の一方の面に磁性層を有し、他方の面にバック層を有する磁気記録媒体のバック層を形成するための塗料であって、該塗料は、カーボンブラックと下記一般式(1)で示される化合物または下記一般式(2)で示される化合物と塩基性基を骨格中に有する樹脂を含むことを特徴とするバック層形成用塗料組成物。
    一般式(1)
    Figure 2006185526
    式中の記号は下記の意味を表す。
    ;有機色素残基、アントラキノン残基、置換基を有していてもよい複素芳香環残基または置換基を有していてもよい芳香族環残基
    ;−O−R、−NH−R、ハロゲン基、−X−R、−X−Y−Z(Rは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基を表す。)
    ;−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−または−X−Y−X−(X及びXはそれぞれ独立に−NH−または−O−を表す。)
    ;−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−または−NHSO
    ;炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、あるいは置換基を有してもよいアルケニレン基、あるいは置換基を有してもよいアリーレン基
    ;−SOM、−COOM(Mは1〜3価のカチオンの1当量を表す。)
    一般式(2)
    Figure 2006185526
    式中の記号は下記の意味を表す。
    ;有機色素残基またはアントラキノン残基
    ;直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−または−X−Y−X−(X及びXはそれぞれ独立に−NH−または−O−を表し、Yは置換基を有していてもよいアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
    ;−SOM、−COOM(Mは1〜3価のカチオンの1当量を表す。)
    m;1〜4の整数
  2. 塩基性基を骨格中に有する樹脂が、ポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルの縮合物もしくは造塩物であることを特徴とする請求項1記載のバック層形成用塗料組成物。
  3. ポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルの縮合物もしくは造塩物の数平均分子量が1,000〜100,000である請求項1乃至2いずれかに記載のバック層形成用塗料組成物。
  4. 一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物のスルホン酸基またはカルボン酸基を造塩するためのカチオンが下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1乃至3記載の塗料組成物

    一般式(3)
    Figure 2006185526
    式中の記号は下記の意味を表す。
    ;炭素数5〜20のアルキル基
    ,R,R;炭素数1〜20のアルキル基
  5. カーボンブラックと一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物を液相中で前処理された表面処理カーボンブラックと、塩基性基を骨格中に有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のバック層形成用塗料組成物の製造方法。
  6. 液相処理にメディア型分散機を用いることを特徴とする請求項5に記載のバック層形成用塗料組成物の製造方法。
  7. カーボンブラックと一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物を事前に乾式処理された表面処理カーボンブラックと、塩基性基を骨格中に有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のバック層形成用塗料組成物の製造方法
  8. 請求項1乃至7いずれかに記載の表面処理カーボンブラックと塩基性基を骨格中に含む樹脂とを事前に乾式処理された表面処理カーボンブラックを含むことを特徴とする請求項7記載のバック層形成用塗料組成物の製造方法。
  9. 乾式処理にメディア型分散機を用いることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載のバック層形成用塗料組成物の製造方法。
  10. カーボンブラック、一般式(1)で示される化合物または一般式(2)で示される化合物とさらには塩基性基を骨格中に含む樹脂とを2本ロールミルを用いて混練分散し、固形チップとした後、塗料化することを特徴とする請求項1乃至9記載のバック層形成用塗料組成物の製造方法。
  11. 請求項1乃至4いずれかに記載の塗料組成物によって形成されたバック層を有する磁気記録媒体
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