JP5070756B2 - 磁気記録媒体用塗料組成物及びそれを用いてなる磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用塗料組成物及びそれを用いてなる磁気記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録媒体用塗料組成物及びそれを用いてなる磁気記録媒体に関する。特に、非磁性支持体に対し、互いに反対面に磁性層とバック層とを有する磁気記録媒体において、該バック層の形成に適する磁気記録媒体用塗料組成物に関する。また、非磁性支持体の一方の面が、少なくとも厚さ2.5μm以下の非磁性下層と厚さ0.3μm以下の磁性層とが重層された構成を有する磁気記録媒体において、非磁性層の形成に適する磁気記録媒体用塗料組成物に関する。
近年、磁気記録媒体、特にデータストレージテープ、放送・業務用VTRテープの高記録容量化、高画質化に伴い、磁気記録媒体の薄膜化、記録波長の短波長化及び記録トラック幅の狭トラック化が図られ、磁性層の更なる高平滑化が求められている。記録波長の短波長化におけるスペーシングロスの影響による出力低下の防止や、狭トラック化の実現に不可欠なMRヘッドやGMRヘッドでの出力安定化、更に磁気記録/再生における各種特性の向上を目的に、磁性層の高平滑化が求められているわけである。これに伴い、非磁性支持体に対し磁性層と反対面に形成されたバック層や、非磁性支持体に対し磁性層と同一面に重層された非磁性下層の高平滑化も求められている。
磁気記録テープは、一般に走行特性の改善や帯電による塵埃付着の防止あるいはテープ終端検出等を目的に、非磁性支持体に対し磁性層と反対面にバック層が形成されている。バック層は一次粒子の平均粒子径が10〜50nmの微細なカーボンブラックと、前記カーボンブラックに比較して一次粒子が大きい、平均粒子径が60〜500nmの大きいカーボンブラックと、一次粒子の平均粒子径が50〜500nmの無機質粉末と、結合剤などにより構成されており、10〜50nmの微細な粉末を用いて平滑性を得ると共に、これよりも粒子径の大きな50〜500nmの粉末を用いることにより任意の粒度分布を有するスパイク状の突起を配することによって、平滑性と走行性を両立させている(特許文献1、2参照)。
磁性層を塗布方式により形成する磁気記録媒体においては、磁性層の薄膜化を主目的に、非磁性支持体と磁性層との間に非磁性下層が形成された所謂重層塗布型磁気記録媒体が増加してきている。記録波長の短波長化に伴い、磁性層が厚いと出力が低下する自己減磁損失、厚み損失が大きな問題となるため、磁性層を薄膜化する必要がある。しかしながら、磁性層を薄くすると支持体の影響、特にその表面形状の影響を受け易くなり電磁変換特性の悪化等の問題を引き起こす。このため非磁性支持体に非磁性層、磁性層の順に積層するいわゆる重層塗布型磁気記録媒体が提案され実用化されている。これにより非磁性支持体の表面形状が磁性層表面に現れ難くなり磁性層の平滑性を向上することができる。
また、VTRテープ等の一部の磁気記録テープにおいて、テープの終端検出は光透過率の差を検知することにより行われており、磁気記録媒体の薄層化、磁気記録媒体に分散されている強磁性粉末の微粒子化により磁気記録層の光透過率が大きくなるとテープ終端検出が困難になるため、磁性層または非磁性下層にカーボンブラックを添加して光透過率を小さくすることが行われている。また、磁気記録媒体の表面電気抵抗値が高いと帯電により磁気記録媒体製造時や使用時に切断屑や粉塵等が磁性層側表面に付着し、その結果として磁気記録/再生特性の低下やドロップアウトが増加する。そのため磁気記録媒体の表面電気抵抗値を下げる目的でも磁性層または非磁性下層にカーボンブラックが使用されている。更に、走行特性の改善等の目的で使用される潤滑剤を保持するタンク機能としての役割を非磁性下層に持たせるために、非磁性下層にカーボンブラックが好適に用いられている(特許文献3、4、5参照)。
上述の通り、磁気記録媒体においてカーボンブラックはバック層、非磁性下層、磁性層で重要な役割を担っているが、その役割を充分に果たし且つ他に悪影響を及ぼさないためにはカーボンブラックを微細且つ均一に解砕し安定化する必要がある。カーボンブラックが微細且つ均一に分散安定化されずに磁気記録媒体用塗料組成物として用いた場合、バック層においては表面が粗くなり、バック層の凹凸がテープ製造工程時や走行時あるいはリール状に巻かれた状態での保存時に磁性層の表面に転写することにより生じる所謂エンボスが顕著となり、または、磁性層の表面に傷をつけるため、そのことが原因で記録波長に対応する周波数の信号に対するノイズの増加やドロップアウトの増加などの磁気特性の低下に繋がる。また、磁気記録媒体製造時や使用時にカーボンブラック凝集物を主体とする磁気記録媒体用塗料組成物の凝集物が脱落する所謂粉落ちにより各種問題を引き起こすことがある。一方、非磁性下層や磁性層においては、その平滑性が損なわれて電磁変換特性の低下等の磁気特性低下を招き、その他の機能を充分に発揮出来ないといった問題も生じる。
そこで、カーボンブラックを微細且つ均一に分散安定化するために種々の検討が行われており、特許文献6ではバック層に、特許文献7ではバック層、磁性層、非磁性下層にカーボンブラックと共に特定の有機色素化合物を用いることによりカーボンブラックの分散性を改善することが提案されている。
特開昭62−8328号公報 特開平2−7223号公報 特開昭57−98134号公報 特開平3−241522号公報 特許第2133967号公報 特開昭61−224136号公報 特開平1−232524号公報
しかしながら、上記文献で開示されている方法ではカーボンブラックの分散安定化が不十分であり、アグロメレートによる凝集物である粗大粒子が多く、上述の各種特性を低下させる原因となっていた。特に、粗大粒子によりバック層、非磁性下層、磁性層の表面性が大きく損なわれるため、データストレージテープやデジタル放送用VTRテープなどの高記録密度且つ高信頼性が要求される磁気記録媒体においては改善が求められていた。
そこで、本発明は以上の問題を解決し、カーボンブラックが微細且つ均一に分散され粗大粒子の数が少ない磁気記録媒体用塗料組成物及びそれを用いてなる表面性に優れた磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のフタロシアニン誘導体を組み合わせることによりカーボンブラックを微細且つ均一に分散安定化せしめ粗大粒子を減らすことが可能となることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、少なくともカーボンブラックと、フタロシアニン誘導体(D)と、結合剤と、溶剤とを含有する磁気記録媒体用塗料組成物であって、フタロシアニン誘導体(D)が、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し2個有するフタロシアニン誘導体(D2)とを含み、フタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)の重量比が85:15〜56:44であることを特徴とする磁気記録媒体用塗料組成物である。
一般式(1)
Figure 0005070756

(式中、XSO2 NH(CH2nを表し、nは1〜6の整数を表す。R1、R2炭素数1〜6アルキルを表す。)
また、本発明は、カーボンブラック100重量部に対し、フタロシアニン誘導体(D)を 0.1〜20重量部含有することを特徴とする磁気記録媒体用塗料組成物である。
また、本発明は、非磁性支持体に対し、互いに反対面に磁性層とバック層とを有する磁気記録媒体(1)であって、該バック層が磁気記録媒体用塗料組成物を含むことを特徴とする磁気記録媒体(1)である。
また、本発明は、非磁性支持体の一方の面が、少なくとも厚さ2.5μm以下の非磁性下層と厚さ0.3μm以下の磁性層とが重層された構成を有する磁気記録媒体(2)において、非磁性下層が、磁気記録媒体用塗料組成物を含み、磁性層が、強磁性粉末が結合剤に分散されたものであることを特徴とする磁気記録媒体(2)である。
本発明における磁気記録媒体用塗料組成物は、カーボンブラックと共に2種のフタロシアニン誘導体を特定の比率で用いることにより、カーボンブラックの分散安定性が向上し、粗大粒子の少ない磁気記録媒体用塗料組成物が得られ、それを用いて形成した塗布層は粗大粒子個数が少なく、表面平滑性に優れるため磁気特性、走行性、耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。また、データストレージやデジタル放送用VTRに適する高記録密度且つ磁気特性、信頼性に優れた磁気記録媒体を提供することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の磁気記録媒体用塗料組成物は、
少なくともカーボンブラックと、
フタロシアニン誘導体(D)と、
結合剤と、
溶剤とを含有する磁気記録媒体用塗料組成物であって、
フタロシアニン誘導体(D)が、
下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と、
下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し2個有するフタロシアニン誘導体(D2)とを含み、
フタロシアニン誘導体(D1):前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比が85:15〜56:44であることを特徴とする。
一般式(1)
Figure 0005070756

(式中、XSO2 NH(CH2nを表し、nは1〜6の整数を表す。R1、R2炭素数1〜6アルキルを表す。)
上記一般式(1)の置換基を有するフタロシアニン誘導体(D1)および(D2)は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、フタロシアニン化合物に下記一般式(2で示される置換基を導入した後、アミン成分を反応させて上記一般式(1)の置換基を形成することによって得ることができる。
一般式(2) −SO2
フタロシアニン誘導体(D1)とフタロシアニン誘導体(D2)を共に用いても、D1とD2の重量比が上記範囲外の場合には分散安定化が不十分となり、分散後にカーボンブラックが凝集して粗大粒子が多く発生する。
フタロシアニン誘導体(D1)とフタロシアニン誘導体(D2)の重量比は、以下のようにしてコントロールすることができる。
例えば、一般式(2)で示される置換基を導入する場合には、フタロシアニン化合物をクロルスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させるが、この時の反応温度、反応時間等の条件により、フタロシアニン化合物に導入する一般式(2)で示される置換基数をコントロールし、結果として前記フタロシアニン誘導体(D1)と前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比をコントロールすることができる。
フタロシアニン残基を構成するフタロシアニン化合物としては、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウム、鉄、亜鉛、マンガンなどの中心金属を有する金属フタロシアニン、または無金属フタロシアニンが挙げられる。さらに、フタロシアニンの中心核として、3価以上の原子価を有するハロゲン化金属であってもよい。フタロシアニン化合物は、フタルイミド骨格の水素原子が所望により、塩素原子、臭素原子、場合によっては、スルホン酸基、カルボキシル基で置換されていてもよい。
一般式(2で示される置換基と反応させて一般式(1)の置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジーsec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
一般式(2で示される置換基と上記アミン成分との反応時には、一般式(2で示される置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換することがある。その場合、一般式(2)で示される置換基はスルホン酸基となが、何れも遊離酸のままでもよく、また、1〜3価の金属または上記モノアミンと塩を形成していてもよい。
本発明の磁気記録媒体用塗料組成物におけるフタロシアニン誘導体(D)の混合方法に関して特に制限はないが、具体例としては分散時に他の材料に混合して用いる方法、予め結合剤溶液或いは溶剤中に溶解若しくは分散したものを用いる方法、液層或いは気相中でカーボンブラックに予め付着、吸着等の処理を施す方法等が挙げられる。
本発明で非磁性粒子として用いられるカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等を単独または組み合わせて用いることができる。公知の各種前処理を施されたり、目的に応じて他の物質で表面を処理されたり、グラフト化等の処理がなされたカーボンブラックも使用できる。更に、他の物質の表面等に付着した状態或いは処理された状態のカーボンブラックも使用できる。また、粒状、粉状、ウェット状、スラリー状の何れの形態であっても良い。
また、本発明における磁気記録媒体用塗料組成物は、カーボンブラック100重量部に対して、前記フタロシアニン誘導体(D)を0.1〜20重量部含有する。好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部より少ないと十分な効果が得られず、また、20重量部より多くても効果の向上が認められず、場合によっては分散安定性が低下し、ブリード等の悪影響を引き起こす原因となる。
本発明で用いられる結合剤としては、磁気記録媒体に用いられる公知の樹脂を単独または組み合わせて用いることができる。具体例としては塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、硝化綿等の繊維素系樹脂が挙げられる。好ましい結合剤としては、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、硝化綿、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂を単独もしくは組み合わせたものであり、特に好ましくはポリウレタン樹脂、または硝化綿とポリウレタン樹脂の組み合わせである。ポリウレタン樹脂としては、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。
また、これらの結合剤用樹脂には−COOM、−SOM、−OSOM、−PO(OM)(以上につきMは水素原子またはアルカリ金属)、−OH、−NR(Rは炭化水素、nは2〜3)、エポキシ基、スルホベタイン基などから選ばれる少なくとも1つ以上の極性基を導入したものが好ましい。またこれらの結合剤に紫外線または電子線で架橋する不飽和基を導入してもよい。またこれらの樹脂に架橋剤としてポリイソシアネートを組み合わせてもよい。ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4−4’ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、またいわゆるブッロク剤(マスク剤とも言う)でブロックされたブロックイソシアネート類、またこれらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、またイソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのポリイソシアネートは結合剤中の極性基と反応し3次元的に架橋し、塗膜の強度、耐久性等を高める効果がある。
本発明で用いられる溶剤としては特に制限はないが、具体例としてはメチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン等の溶剤や、これらの任意比率の混合溶剤が挙げられる。これらの溶剤は必ずしも純度100%である必要はなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純物が含まれていても構わない。
本発明の磁気記録媒体用塗料組成物には、必要に応じて粉末、分散剤、潤滑剤、その他各種添加剤等の公知の材料を含有しても良い。粉末の具体例としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素等が挙げられる。分散剤としては、従来公知の樹脂型分散剤、界面活性剤、カップリング剤、レシチン、リン酸エステル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、あるいは特開昭61−224136号公報や特第2602273号公報などに開示されている有機色素化合物やトリアジン化合物などを単独または2つ以上組み合わせて使用できる。
本発明の磁気記録媒体用塗料組成物の製造方法に関しては特に制限はないが、従来公知である製造工程、例えば2本ロールミル、3本ロールミル、ニーダー、加圧ニーダー、連続ニーダー、エクストルーダー、連続エクストルーダー、ボールミル、アトライター、サンドミル、コボールミル、アジテーターミル、スーパーミル、ショットミル、ピンミル、ジェットミル、ディスクミル、ホモジナイザー、バスケットミル、ペブルミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバー、超音波分散機などを、単独あるいは2つ以上組み合わせて用いる工程により製造することができる。
<磁気記録媒体(1)>
本発明の磁気記録媒体(1)は、非磁性支持体に対し、互いに反対面に磁性層とバック層とを有する磁気記録媒体であって、該バック層が本発明の磁気記録媒体用塗料組成物を含むことを特徴とする。
<磁気記録媒体(2)>
本発明の磁気記録媒体(2)は、非磁性支持体の一方の面が、少なくとも厚さ2.5μm以下の非磁性下層と厚さ0.3μm以下の磁性層とが重層された構成を有する。また、該非磁性下層が、本発明の磁気記録媒体用塗料組成物を含み、磁性層が、強磁性粉末が結合剤に分散されたものであることを特徴とする。
<磁性層>
本発明の磁気記録媒体(1)における磁性層は、非磁性支持体に対し、バック層と反対面に存するものである。磁性層は単層でも重層であってもよい。
また、本発明の磁気記録媒体(2)における磁性層は、非磁性支持体の一方の面において、非磁性下層の上面に厚さ0.3μm以下で重層されたものである。
磁性層は、強磁性粉末を、結合剤などを含むバインダーに分散させた磁性塗料組成物を塗布し乾燥、または蒸着やスパッタリングにより金属薄膜を形成する方法により得られる。磁気記録媒体(2)の場合には非磁性下層が塗料であるため、結合剤などを含むバインダーに分散させた磁性塗料組成物を用いることが好ましい。
強磁性粉末としては、金属磁性粉末、酸化鉄、炭化鉄、バリウムフェライトなどの磁性を有するものであれば特に制限はなく、形状も球状、針状、板状等任意に選択して使用できる。
これらの強磁性粉末には必要に応じて無機化合物、有機化合物で表面処理してもよい。また磁性層にはカーボンブラックや従来公知の潤滑剤、研磨剤、分散剤や各種添加剤を含有させることができる。
また、蒸着またはスパッタリングにより形成される金属薄膜としてはFe、Co、及びNi等の強磁性金属ならびにこれらの合金からなるものがあり、単層であっても多層であってもよい。また蒸着層の上層にスパッタリング,CVD法等による保護膜を形成してもよく、従来公知の潤滑層を形成してもよい。
<非磁性支持体>
本発明の磁気記録媒体(1)及び(2)で用いられる非磁性支持体としては、磁気記録媒体において汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリカーボネート等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等の金属フィルム、各種紙を用いることができる。また、厚さは1〜200μmが好ましく、2〜20μmがより好ましい。
<バック層>
本発明の磁気記録媒体(1)におけるバック層は、非磁性支持体に対し、磁性層と反対面に本発明の磁気記録媒体用塗料組成物を塗布されてなる。
バック層には、カーボンブラック以外の金属酸化物、金属炭酸塩、金属窒化物、金属炭化物等の無機化合物を非磁性粉末として含んでもよい。具体例として酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素等が挙げられる。これらは単独、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
バック層におけるこれらの非磁性粉末の平均一次粒子径は5nm〜500nmが好ましいが、特に好ましいのは10〜350nmである。
これらの非磁性粉末は、必要に応じて無機化合物、有機化合物、カーボンブラックで表面処理してもよい。特にアルミニウムの水酸化物または酸化物、ケイ素の水酸化物または酸化物から選ばれた1種または2種以上で被覆処理することが好ましい。また、バック層には従来公知の潤滑剤、分散剤や各種添加剤を含有させることができる。
バック層の形成方法には特に制限はなく、従来公知の方法を用いることが可能で、例えば、上記材料を含有する組成物を塗布し乾燥すること等が挙げられる。磁性層と別々に形成してもよいし、同時に形成してもよい。
<非磁性下層>
本発明の磁気記録媒体(2)における非磁性下層は、非磁性支持体の一方の面において、非磁性支持体と磁性層の間、すなわち磁性層の下面に本発明の磁気記録媒体用塗料組成物を塗布されてなり、厚さ2.5μm以下のものである。
非磁性下層には、カーボンブラック以外の金属酸化物、金属炭酸塩、金属窒化物、金属炭化物等の無機化合物を非磁性粉末として含んでもよい。具体例として酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素等が挙げられる。これらは単独、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
非磁性下層におけるこれらの非磁性粉末の平均一次粒子径は5nm〜1000nmが好ましいが、特に好ましいのは10〜500nmである。非磁性粒子が球状の場合には平均一次粒子径は80nm以下が好ましく、針状粒子の場合には平均長軸経300nm以下が好ましい。
非磁性下層におけるこれらの非磁性粉末は、必要に応じて無機化合物、有機化合物、カーボンブラックで表面処理してもよい。特にアルミニウムの水酸化物または酸化物、ケイ素の水酸化物または酸化物から選ばれた1種または2種以上で被覆処理することが好ましい。
また、非磁性下層には従来公知の潤滑剤、分散剤や各種添加剤を含有させることができる。
非磁性下層の形成方法には特に制限はなく、従来公知の方法を用いることが可能だが、上記材料を含有する組成物を塗布し乾燥することが好ましい。磁性層と別々に形成してもよいし、同時に形成してもよい。
次に実施例と比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、各例において、特に指定しない限り「部」とは重量部を、「%」とは重量%をそれぞれ表す。
まず、実施例および比較例に用いたフタロシアニン誘導体(D)の調製について説明する。
[フタロシアニン誘導体(D)の調製]
クロルスルホン酸300部中に銅フタロシアニン30部を仕込み、完全に溶解した後、塩化チオニル24部を加え、徐々に昇温して101℃で3時間反応させた。その反応液を氷水9000部中に注入し、撹拌後、濾過、水洗した。得られたプレスケーキを水300部でスラリーとした後、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン15部を加え、室温で3時間、次いで、60℃で2時間撹拌した後、濾過、水洗、乾燥し、フタロシアニン誘導体組成物36部を得た。
得られたフタロシアニン誘導体組成物について、Waters社製液体クロマトグラフ質量分析計プラットフォームLCZで組成分析したところ、3個以上置換基を有するものは含まれていなかった。また、下記一般式(6)の置換基を1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と下記式(6)の置換基を2個有するフタロシアニン誘導体(D2)の重量比は85:15であった。
また、上記塩化チオニル24部を加えた後、反応温度を105℃、106℃、106.8℃、100℃、109.8℃とし、下記式(6)の置換基を1個有するフタロシアニン誘導体(D1):下記式(6)の置換基を2個有するフタロシアニン誘導体(D2)の重量比がそれぞれ65:35、60:40、56:44、90:10、41:59のフタロシアニン誘導体(D)を得た。
一般式(6)
Figure 0005070756
[磁性層の形成]
メタル磁性粉(比表面積50m、保磁力1500Oe) 100部
塩化ビニル樹脂(MR−110、日本ゼオン(株)) 10部
ポリウレタン溶液(UR−8300、東洋紡績(株)) 20部
α−アルミナ(粒子径:0.2μ) 3部
カーボンブラック(コンダクテックスSC、
コロンビアカーボン(株)) 5部
ステアリン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1部
トルエン 120部
メチルエチルケトン 120部
シクロヘキサノン 60部
上記組成物を1mm径のガラスビーズを充填したサンドミルで分散した後に、ポリイソシアネート(コロネートL,日本ポリウレタン製)を5部加え、5μmのフィルターで濾過して磁性層形成用塗料組成物を得た。
該組成物を、非磁性支持体として9μm厚のポリエチレンテレフタレート上に塗布、配向、乾燥後、カレンダー処理による鏡面加工を行い厚さ1.5μmの磁性層を形成した。
[バック層形成用塗料組成物(磁気記録媒体用塗料組成物)(1)]
下記組成物を2本ロールミルで分散処理し固形分散物を得た。
カーボンブラックA(一次粒子の平均粒子径17nm) 100部
70%湿潤硝化綿(HIG−1 旭化成ケミカルズ(株)) 81部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績(株)) 127部
銅フタロシアニン誘導体(D) 5部
(フタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=85:15)
上記固形分散物の120℃1時間加熱での不揮発分は95%であった。次にメチルエチルケトン240部、トルエン240部、シクロヘキサノン53部を予め混合した溶液中に上記固形分散物100部をディゾルバーで攪拌しながら加え、2時間攪拌した。
次に、得られた組成物を0.5mm径のジルコニアビーズを充填したアニュラー構造を有するメディア攪拌型分散機(ビーズミル)を用いて分散し、5μmのフィルターで濾過してバック層形成用塗料組成物(1)を得た。
[バック層形成用塗料組成物(磁気記録媒体用塗料組成物)(2)]
下記組成物を2本ロールミルで分散処理し固形分散物を得た。
カーボンブラックB(一次粒子の平均粒径270nm) 100部
70%湿潤硝化綿(HIG−1 旭化成(株)) 81部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績(株)) 127部
銅フタロシアニン誘導体(D) 5部
(フタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=85:15)
上記固形分散物の120℃1時間加熱での不揮発分は95%であった。次にメチルエチルケトン240部、トルエン240部、シクロヘキサノン53部を予め混合した溶液中に上記固形分散物100部をディゾルバーで攪拌しながら加え、2時間攪拌した。
次に、得られた組成物を0.5mm径のジルコニアビーズを充填したアニュラー構造を有するメディア攪拌型分散機(ビーズミル)を用いて分散し、10μmのフィルターで濾過してバック層形成用塗料組成物(2)を得た。
[バック層の形成]
上記バック層形成用塗料組成物(1)100部に対し(2)を3部混合した。これにポリイソシアネート(コロネートL,日本ポリウレタン製)を2部加え、5μmのフィルターで濾過をしてバック層形成用塗料組成物(3)を得た。
上記の磁性層が形成された非磁性支持体の、磁性層と反対面に(3)を塗布後乾燥して厚さ1μmのバック層を形成した。その後、60℃で24時間硬化促進し、1/2インチ幅に裁断して磁気テープを作成した。
[実施例2]
銅フタロシアニン誘導体(D)を、(D1):(D2)=65:35の重量比のものに変更した以外は実施例1と同様の方法で、各塗料組成物及び磁気テープを作成した。
[実施例3]
銅フタロシアニン誘導体(D)を、(D1):(D2)=60:40の重量比のものに変更した以外は実施例1と同様の方法で、各塗料組成物及び磁気テープを作成した。
[実施例4]
銅フタロシアニン誘導体(D)を、(D1):(D2)=56:44の重量比のものに変更した以外は実施例1と同様の方法で、各塗料組成物及び磁気テープを作成した。
[実施例5]
[非磁性下層形成用塗料組成物(磁気記録媒体用塗料組成物)(1)]
下記組成物を3本ロールミルで分散し、20μmのフィルターで濾過して非磁性下層形成用塗料組成物(1)を得た。
α−酸化鉄(平均長軸径0.10μm、BET値:55m/g) 100部
塩化ビニル樹脂(MR−110、日本ゼオン(株)) 19部
ポリウレタン溶液(UR−8300、東洋紡績(株)) 8部
ミリスチン酸 1部
ステアリン酸ブチル 1部
トルエン 60部
メチルエチルケトン 60部
シクロヘキサノン 14部
[非磁性下層形成用塗料組成物(磁気記録媒体用塗料組成物)(2)]
下記組成物を0.5mm径のジルコニアビーズを充填したアニュラー構造を有するメディア攪拌型分散機(ビーズミル)を用いて分散し、5μmのフィルターで濾過して非磁性下層形成用塗料組成物(2)を得た。
カーボンブラックA(一次粒子の平均粒子径17nm) 100部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8300 東洋紡績(株)) 94部
銅フタロシアニン誘導体(D) 5部
(フタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=85:15)
トルエン 240部
メチルエチルケトン 240部
シクロヘキサノン 61部
[非磁性下層の形成]
上記非磁性下層形成用塗料組成物(1)100部に対し(2)を70部混合し、0.5mm径のジルコニアビーズを充填したアニュラー構造を有するメディア攪拌型分散機(ビーズミル)を用いて分散後、ポリイソシアネート(コロネートL,日本ポリウレタン製)を2部加え、5μmのフィルターで濾過をして得られた非磁性下層形成用塗料組成物(3)を得た。
非磁性支持体として9μm厚のポリエチレンテレフタレート上に(3)を塗布後乾燥し、カレンダー処理による鏡面加工を行い厚さ1.5μmの非磁性下層を形成した。
尚、本発明の磁気記録媒体(2)は非磁性下層の上面に磁性層を重層するが、非磁性下層の評価を行うために実施例5〜8及び比較例3、4においては磁性層を形成しない。即ち、最終製品形態では非磁性下層の表面特性を評価出来ないため、磁性層を塗工せずに評価した。また、測定の際の取り扱い性を向上させるため、非磁性支持体において非磁性下層塗布面の反対面にバック層を塗布した。
[バック層形成用塗料組成物(磁気記録媒体用塗料組成物)(4)]
下記組成物を2本ロールミルで分散処理し固形分散物を得た。
カーボンブラックA(一次粒子の平均粒子径17nm) 100部
70%湿潤硝化綿(HIG−1 旭化成ケミカルズ(株)) 81部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績(株)) 127部
銅フタロシアニン誘導体組成物 5部
(フタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=60:40)
上記固形分散物の120℃1時間加熱での不揮発分は95%であった。次にメチルエチルケトン240部、トルエン240部、シクロヘキサノン53部を予め混合した溶液中に上記固形分散物100部をディゾルバーで攪拌しながら加え、2時間攪拌した。
次に、得られた組成物を0.5mm径のジルコニアビーズを充填したアニュラー構造を有するメディア攪拌型分散機(ビーズミル)を用いて分散し、5μmのフィルターで濾過してバック層形成用塗料組成物(4)を得た。
[バック層形成用塗料組成物(磁気記録媒体用塗料組成物)(5)]
下記組成物を2本ロールミルで分散処理し固形分散物を得た。
カーボンブラックB(一次粒子の平均粒径270nm) 100部
70%湿潤硝化綿(HIG−1 旭化成(株)) 81部
ポリウレタン溶液(バイロンUR8200 東洋紡績(株)) 127部
銅フタロシアニン誘導体組成物 5部
(フタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=60:40)
上記固形分散物の120℃1時間加熱での不揮発分は95%であった。次にメチルエチルケトン240部、トルエン240部、シクロヘキサノン53部を予め混合した溶液中に上記固形分散物100部をディゾルバーで攪拌しながら加え、2時間攪拌した。次に得られた組成物を0.5mm径のジルコニアビーズを充填したアニュラー構造を有するメディア攪拌型分散機(ビーズミル)を用いて分散し、10μmのフィルターで濾過してバック層形成用塗料組成物(5)を得た。
[バック層の形成]
上記バック層形成用塗料組成物(4)100部に対し(5)を3部混合した。これにポリイソシアネート(コロネートL,日本ポリウレタン製)を2部加え、5μmのフィルターで濾過をしてバック層形成用塗料組成物(6)を得た。
上記の非磁性下層が形成された非磁性支持体の、非磁性下層と反対面に(6)を塗布後乾燥して1μm厚のバック層を形成した。その後、60℃で24時間硬化促進し、1/2インチ幅に裁断し塗布テープを作成した。
[実施例6]
非磁性下層用塗料組成物(6)における銅フタロシアニン誘導体組成物をフタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=65:35の重量比のものに変更した以外は実施例5と同様の方法で、各塗料組成物及び塗布テープを作成した。
[実施例7]
非磁性下層用塗料組成物(6)における銅フタロシアニン誘導体組成物をフタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=60:40の重量比のものに変更した以外は実施例5と同様の方法で、各塗料組成物及び塗布テープを作成した。
[実施例8]
非磁性下層用塗料組成物(6)における銅フタロシアニン誘導体組成物をフタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)=56:44の重量比のものに変更した以外は実施例5と同様の方法で、各塗料組成物及び塗布テープを作成した。
[比較例1]
銅フタロシアニン誘導体(D)を、(D1):(D2)=90:10の重量比のものに変更した以外は実施例1と同様の方法で、各塗料組成物及び磁気テープを作成した。
[比較例2]
銅フタロシアニン誘導体(D)を、(D1):(D2)=41:59の重量比のものに変更した以外は実施例1と同様の方法で、各塗料組成物及び磁気テープを作成した。
[比較例3]
銅フタロシアニン誘導体組成物(D)を、(D1):(D2)=90:10の重量比のものに変更した以外は実施例5と同様の方法で、各塗料組成物及び塗布テープを作成した。
[比較例4]
銅フタロシアニン誘導体組成物(D)を、(D1):(D2)=41:59の重量比のものに変更した以外は実施例5と同様の方法で、各塗料組成物及び塗布テープを作成した。
以上の実施例1〜8および比較例1〜4で作成したテープのバック層及び非磁性下層について、表面性、粒子個数、粉落ち性を下記に示す方法にて測定・評価した。
[中心線平均粗さRa]:触針式(触針1μ)表面粗さ測定機によりJIS−B−0601−1982に基づきカットオフ値0.08で測定した。
[粗大粒子個数]:画像解析装置(SEIKO製SV−250)を用いて、1mm角の視野における塗膜中の1μm以上の粒子の数を測定し、10視野の積算値を求めて粗大粒子個数とした。
[粉落ち性]:テープ走行試験機(横浜システムラボラトリ製TBT−300D)を用い、バック層面とSUS304ガイドピンとの摩擦により生じるバック層形成物の脱落状態を評価した。巻き付け角180度で500パス繰り返し走行した後の上記ガイドピンの汚れ状態及び周囲への脱落状況を目視判定した。尚、ガイドピンへの汚れ及び周囲への脱落物が殆ど認められないものを○とし、若干の汚れや脱落が認められるものを△、汚れや脱落が顕著に認められるものを×とした。
以上の測定・評価結果を表1にまとめた。尚、表中の初期とは、該当する層の形成用塗料組成物をその調整直後に測定した場合を表し、経時後とは該当する層の形成用塗料組成物をその調整後、密閉状態で50℃の環境下1週間保存後に測定した場合を表す。
表1から明らかなように、フタロシアニン誘導体(D1)とフタロシアニン誘導体(D2)とを85:15〜56:44の重量比の範囲内で用いることにより、カーボンブラックの分散安定性が良好となり、それを含有する磁気記録媒体用塗料組成物を用いて形成したバック層は粗大粒子個数が少なく、表面の平滑性に優れ、粉落ち性にも優れており、また、上記磁気記録媒体用塗料組成物を用いて形成した非磁性下層は、粗大粒子個数が少なく、表面の平滑性に優れるものとなった。
Figure 0005070756
高密度記録が要求されるデータストレージテープやデジタル放送用VTRテープ等の磁気記録テープに限らず、ハードディスク等の他の磁気記録メディアに利用可能である。

Claims (4)

  1. 少なくともカーボンブラックと、
    フタロシアニン誘導体(D)と、
    結合剤と、
    溶剤とを含有する磁気記録媒体用塗料組成物であって、
    フタロシアニン誘導体(D)が、
    下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と、
    下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し2個有するフタロシアニン誘導体(D2)とを含み、
    フタロシアニン誘導体(D1):フタロシアニン誘導体(D2)の重量比が85:15〜56:44であることを特徴とする磁気記録媒体用塗料組成物。
    一般式(1)
    Figure 0005070756

    (式中、XSO2 NH(CH2nを表し、nは1〜6の整数を表す。R1、R2炭素数1〜6アルキルを表す。)
  2. カーボンブラック100重量部に対し、フタロシアニン誘導体(D)を0.1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用塗料組成物。
  3. 非磁性支持体に対し、互いに反対面に磁性層とバック層とを有する磁気記録媒体(1)であって、該バック層が請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用塗料組成物を含むことを特徴とする磁気記録媒体(1)。
  4. 非磁性支持体の一方の面が、少なくとも厚さ2.5μm以下の非磁性下層と厚さ0.3μm以下の磁性層とが重層された構成を有する磁気記録媒体(2)において、
    非磁性下層が、請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用塗料組成物を含み、
    磁性層が、強磁性粉末が結合剤に分散されたものであることを特徴とする磁気記録媒体(2)。
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