JP2006184306A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒度分布のシャープな小粒径の電子写真用トナーを製造することができる方法及び該製造方法により得られる電子写真用トナーを提供すること。
【解決手段】水系媒体中で結着樹脂を含有してなる一次粒子を凝集させる工程(凝集工程)及び得られる凝集粒子を合一させる工程(合一工程)を有する電子写真用トナーの製造方法であって、さらに、前記一次粒子を、体積平均分子量が1,000〜90,000のアクリル酸系ポリマー塩の存在下で分散させる工程(分散工程)を有する電子写真用トナーの製造方法並びに該製造方法により得られうる、変動係数が26%以下、体積中位粒径が1〜10μmである電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナー及びその製造方法に関する。
近年、高画質化の追求から、トナーの小粒径化が望まれている。トナーの製造方法としては、溶融混練粉砕法と、乳化凝集法等の湿式製法とがあるが、結晶性ポリエステルを主体とした結着樹脂を用いたトナーを溶融混練粉砕法で製造する場合、粉砕制御が困難となり実用的でない。
特許文献1及び特許文献2には、湿式製法である乳化凝集法での製造に関する発明が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の、無機物や低分子系の界面活性剤を分散安定剤として用いる方法では、最終的にトナー中に多くの剤が残留し、帯電性の低下等の点で不十分である。また、特許文献2では、分子量の高いアクリル酸系ポリマー金属塩が開示されているが、凝集剤として作用している。
特開2003−122051号公報 特開2003−316068号公報
本発明の課題は、粒度分布のシャープな小粒径の電子写真用トナーを製造することができる方法及び該製造方法により得られる電子写真用トナーを提供することにある。
本発明は、
〔1〕 水系媒体中で結着樹脂を含有してなる一次粒子を凝集させる工程(凝集工程)及び得られる凝集粒子を合一させる工程(合一工程)を有する電子写真用トナーの製造方法であって、さらに、前記一次粒子を、体積平均分子量が1,000〜90,000のアクリル酸系ポリマー塩の存在下で分散させる工程(分散工程)を有する電子写真用トナーの製造方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られうる、変動係数が26%以下、体積中位粒径が1〜10μmである電子写真用トナー
に関する。
本発明により、粒度分布のシャープな小粒径の電子写真用トナーを製造することができる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、少なくとも結着樹脂を含有するものである。
本発明における結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられるが、なかでも、帯電性の観点から、ポリエステル及びスチレン-アクリル共重合体が好ましく、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルがより好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
ポリエステルは、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれであってもよいが、低温定着性の観点から、結晶性ポリエステルを含有していることがより好ましい。
ポリエステルの結晶化の度合いは、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、軟化点/吸熱の最高ピーク温度で定義される結晶性指数によって表わされ、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満のときは結晶性が低く非晶質部分が多い。結晶化の度合いは、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
本発明における結晶性ポリエステルは、この結晶性指数が0.6〜1.5のものをいう。結晶性ポリエステルの結晶性指数は、低温定着性の観点からは、0.8〜1.3が好ましく、より好ましくは0.9〜1.1である。
ポリエステルの原料モノマーとしては、公知の2価以上のアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール;式(I):
Figure 2006184306
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、酸無水物、及び酸のアルキルエステルを本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
さらに、アルコール成分及びカルボン酸成分には、分子量調整等の観点から、1価のアルコールや1価のカルボン酸化合物が適宜含有されていてもよい。
結晶性ポリエステルのアルコール成分には、ポリエステルの結晶性を促進する観点から、炭素数2〜8の脂肪族ジオールが含有されていることが好ましく、中でもα,ω―直鎖アルカンジオール、特には、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオールが好ましい。
炭素数2〜8の脂肪族ジオールの全アルコール成分中の含有量は、ポリエステルの結晶性を促進する観点から、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。なかでも、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、又はこれらの混合物が、全アルコール成分中、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されていることが望ましい。
結晶性ポリエステルのカルボン酸成分には、ポリエステルの結晶性を促進する観点から、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸等の炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物が含有されていることが好ましい。これらの炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物の全カルボン酸成分中の割合は、ポリエステルの結晶性を促進する観点から、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。中でもフマル酸及び/又はコハク酸が、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されていることが望ましい。
また、トナーの帯電性及び耐久性の観点からは、結晶性ポリエステルのカルボン酸成分には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香環を有する芳香族ジカルボン酸化合物やシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸化合物が含有されていることが好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸化合物や脂環式ジカルボン酸化合物の全カルボン酸成分中の含有量は、トナーの帯電性及び耐久性の観点から、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。なかでも、テレフタル酸が、全カルボン酸成分中、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されていることが望ましい。
即ち、ポリエステルの結晶性を促進するためには、結晶性ポリエステルは、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを80〜100モル%含有したアルコール成分とカルボン酸化合物であるカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが好ましく、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを90〜100モル%含有したアルコール成分とカルボン酸化合物であるカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることがさらに好ましい。
また、さらにポリエステルの結晶性を促進するためには、結晶性ポリエステルは、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを80〜100モル%含有したアルコール成分と炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物を80〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが好ましく、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを90〜100モル%含有したアルコール成分と炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物を90〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることがさらに好ましい。
一方、トナーの帯電性及び耐久性の観点からは、結晶性ポリエステルが、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを80〜100モル%含有したアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物及び/又は脂環式ジカルボン酸化合物を80〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが好ましく、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを90〜100モル%含有したアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物及び/又は脂環式ジカルボン酸化合物を90〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることがさらに好ましい。
本発明における結晶性ポリエステルは、分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸等が挙げられ、樹脂の乳化性とそれを用いたトナーの耐環境特性との両立の観点からカルボキシル基が好ましい。結晶性ポリエステルの分子鎖末端の酸基の数量は、乳化粒子の安定性並びにトナーの粒度分布及び粒径を決める一つの重要な因子である。乳化粒子を安定にし、かつ小粒径のトナーをシャープな粒度分布で得るためには、該分子鎖末端の酸価は、1〜50mgKOH/gが好ましく、5〜45mgKOH/gがより好ましく、10〜40mgKOH/gがさらに好ましく、15〜35mgKOH/gがさらに好ましい。
また、必要に応じて、カルボン酸成分としてトリメリット酸等の多価酸や、アルコール成分としてペンタエリスリトール等の多価アルコールを用いてポリエステルの分子主鎖中にカルボキシル基を導入することもできる。ポリエステルの分子主鎖中の酸基の数量は、結晶化阻害の観点から、ポリエステルを構成するカルボン酸成分全体のモル数に対して、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。
また、結晶性ポリエステルにおける、分子主鎖中の酸基/分子鎖末端の酸基で表されるモル比は、同様の観点から、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、2モル%以下がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの分子主鎖中の酸基及び分子鎖末端の酸基の量は、結晶性ポリエステルの原料酸及び原料アルコールの構造と仕込み比率、結晶性ポリエステルの数平均分子量、及び酸価の測定から計算できる。また、核磁気共鳴分光法(NMR)や光電子分光法(XPS,ESCA等)等の分析手法を酸価の測定と組み合わせて求めることもできる。
結着樹脂中の結晶性ポリエステルの含有量は、低温定着性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。また、結晶性ポリエステルのトナー中の含有量は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80〜95重量%がさらに好ましい。
一方、非晶質ポリエステルのアルコール成分には、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が含有されていることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、5モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、100モル%が特に好ましい。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
非晶質ポリエステルの軟化点は95〜160℃、ガラス転移点は50〜75℃、酸価は1〜40mgKOH/g、水酸基価は3〜60mgKOH/gであることが、それぞれ好ましい。結晶性ポリエステルの軟化点及び融点は、低温定着性の観点から、好ましくは60〜150℃、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。
非晶質ポリエステルの数平均分子量は、耐久性及び定着性の観点から、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、乳化性、定着性及び耐オフセット性の観点から、2,000〜100,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、2,000〜10,000がさらに好ましく、2,000〜8,000がさらに好ましい。
本発明に用いられる水系媒体とは、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を主成分(50重量%以上)とするものをいう。環境の観点から、水の含有量は、水系媒体中、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を微粒化させることができる。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が好ましい。
水系媒体の混合量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましく、250〜1000重量部がさらに好ましい。
本発明において、少なくとも結着樹脂、さらに必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤等の添加剤を含有する一次粒子は、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で生成させることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルあるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリエチレングルコールモノステアレート、ポリエチレングルコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、非イオン性界面活性剤にアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を併用してもよい。
安定な結着樹脂の分散液を得るためには、非イオン性界面活性剤のHLBは12〜18であることが好ましく、2種以上の異なるHLBの非イオン性界面活性剤を用いることもできる。後者の場合、上記HLBの好ましい範囲は、2種以上の非イオン性界面活性剤のHLBの加重平均をあらわす。
非イオン性界面活性剤の曇点は、常圧、水中で結着樹脂を微粒化させる場合には、70〜105℃が好ましく、80〜105℃がより好ましい。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キトサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。
また、離型剤の添加により定着工程で離型性が向上し、接触加熱型定着方式では定着ロールに塗布する離型オイルを減少させる又はなくすことができる。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンラックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。
一次粒子を生成させる系内の固形分濃度は、分散工程での分散液の安定性と凝集工程での分散液の取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。なお、固形分には、樹脂等の不揮発性成分が含まれる。
一次粒子の粒径は、攪拌力、水の添加速度等により、また、非イオン性界面活性剤を添加したときにはさらにその添加量によっても制御することができる。結着樹脂及び着色剤等の添加剤を含有した混合物に、水系媒体を添加する速度は、均一な一次粒子を得る観点から、混合物100gあたり0.1〜50g/分が好ましく、0.5〜40g/分がより好ましく、1〜30g/分がさらに好ましい。
なお、結着樹脂がカルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する場合は、結着樹脂を全部もしくは一部を中和した後、又は中和しながら水を添加してもよい。結着樹脂に酸性基を有するものを用いる場合は、樹脂の自己乳化性の因子が一次粒子の粒径の制御因子となる。
一次粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一に凝集させる観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.6μmがさらに好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中で結着樹脂を含有した一次粒子を凝集させる工程(凝集工程)及び一次粒子を合一させる工程(合一工程)を有するものであるが、さらに、一次粒子を特定の体積平均分子量を有するアクリル酸系ポリマー塩の存在下で分散させる工程(分散工程)を有する点に1つの特徴を有する。
アクリル酸系ポリマー塩を分散剤として系内に添加することにより、凝集工程における一次粒子の凝集状態を制御することができ、合一粒子の粒径及び粒度分布を容易に制御することができるという、トナーの製造において極めて重要な特徴が得られる。低分子の界面活性剤では、温度とともに粒子への吸着力が急激に低下するため凝集を制御することは難しいが、本発明では、分散剤として特定の体積平均分子量を有するアクリル酸系ポリマー塩を用いることにより、粒子への吸着力の低下を抑制することができ、一次粒子の凝集状態を制御することができると推定される。一次粒子が分散した状態で凝集粒子を生成させる観点から、アクリル酸系ポリマー塩を添加する分散工程は、凝集工程よりも前に行われることが好ましい。即ち、分散剤の添加開始が凝集工程よりも前に行われればよく、分散剤の添加直後から凝集が始まってもよい。アクリル酸系ポリマー塩の体積平均分子量は、分散剤としての効果を十分に得る観点から、1,000〜90,000であり、好ましくは5,000〜70,000、より好ましくは10,000〜50,000である。
アクリル酸系ポリマー塩の好ましい具体例としては、例えば下記の式(II)で表されるポリアクリル酸ナトリウム、式(III)で表されるアクリル酸ナトリウムとマレイン酸ナトリウムの共重合体、下記式(IV)で表わされるポリマレイン酸ナトリウム等の高分子化合物が挙げられる。これらの高分子化合物は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
Figure 2006184306
式中、m、n、p及びqは、式(II)〜(IV)で表される高分子化合物の体積平均分子量が前記範囲内となる値であれば特に限定されないが、m及びnは10〜1000が好ましく、50〜800がより好ましい。また、p及びqの和も同様に、10〜1000が好ましく、50〜800がより好ましい。式(III)で表される共重合体におけるアクリル酸ナトリウムとマレイン酸ナトリウムのモノマー比率、即ちpとqの比は、任意の値でかまわないが、qの値がpの値よりも大きい方が分散剤としての効果が高く好ましい。
アクリル酸系ポリマー塩の中和度は、分散剤としての効果を発揮する観点から、中和度は50%以上であることが好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
アクリル酸系ポリマー塩のカチオンとしては、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオンの他に、アンモニウムイオンやアルキルアンモニウムイオン等も使用できる。これらの中でも、分散性の観点から、アルカリ金属イオンが好ましく、式(II)〜(IV)等で例示されているようにナトリウムイオンであることがより好ましい。
分散工程における系内のアクリル酸系ポリマー塩の存在量は、一次粒子の分散性及びトナーとして高温高湿条件下における帯電安定性の観点から、0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましく、0.01〜1.5重量%がさらに好ましい。
なお、本発明におけるアクリル酸系ポリマー塩による効果が損なわれない範囲で他の分散剤が併用されていてもよい。
分散工程では、分散剤(アクリル酸系ポリマー塩)の均一分散の観点から、系内を攪拌しながら、分散剤を添加することが好ましく、ホモミキサーなどを用いて例えば周速5m/sec程度の強い攪拌をかけることがより好ましい。また、分散工程の系内の温度は、特に限定されないが、製造上の観点から凝集工程の系内の温度より低いことが好ましい。
分散工程における系内のpHは一次粒子の分散性の観点から、4〜10が好ましく、5〜9がより好ましく、6〜8がさらに好ましい。
また、凝集工程における系内のpHは、混合液の分散安定性と、結着樹脂及び着色剤等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−50℃以上(軟化点より50℃低い温度以上の意、以下同様)、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集工程及び続く合一工程における系内の一次粒子の濃度は、工業的な生産性及び生産安定性の観点から、5〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、有機系では、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等、無機系では、無機金属塩、2価以上の金属錯体等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。その中でも、3価のアルミニウム塩およびその重合体は添加量が少なくて凝集能力が高く、簡便に製造できるため好ましい。また、帯電特性制御の観点からは、金属錯体、4級塩のカチオン性界面活性剤が特に好ましい。
凝集剤の使用量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程における系内の温度は、凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましい。目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−40℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下がさらに好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行われてもよい。
得られた合一粒子を、適宜、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナーを得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナーの乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
本発明により、高精細、高画質に適した、球形で小粒径かつ粒度分布が狭いトナーを得ることができる。
さらに、本発明により得られるトナーには、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤が、適宜添加されていてもよい。
トナーの体積中位粒径(D50)は、高画質化と生産性の観点から、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。また、トナーの粒径分布は、同様の観点から、変動係数(CV値=体積粒径の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)は、26%以下が好ましく、24%以下がより好ましく、22%以下がさらに好ましい。また、生産性の観点からは、10%以上が好ましい。
また、トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃が好ましく、60〜130℃がより好ましく、60〜120℃がさらに好ましい。また、示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度は、同様の観点から、60〜140℃が好ましく、60〜130℃がより好ましく、60〜120℃がさらに好ましい。
本発明におけるトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加処理することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
本発明の方法は種々のトナーの製造に適用することができるが、なかでも非磁性の一成分現像用及び二成分現像用トナーに好適である。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070に従って測定する。
〔樹脂及びトナーの軟化点、吸熱の最高ピーク温度、融点及びガラス転移点〕
(1)軟化点
高化式フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量(流れ値)をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)吸熱の最高ピーク温度及び融点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする(ただし、ピークを形成しない場合は、最も高温側のベースラインを形成しはじめた温度を読み取る)。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
(3)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。結着樹脂が結晶性ポリエステルの他に非晶質樹脂を含むか、あるいは結晶性ポリエステルが非晶質部分を含む場合は、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピーク温度を、あるいは吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
〔樹脂の結晶性指数〕
上記に従って測定した軟化点及び吸熱の最高ピーク温度を用い、下記式から、結晶性の度合いとして結晶性指数を算出する。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
〔樹脂の数平均分子量〕
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結晶性ポリエステルはクロロホルムに、非晶質ポリエステルはテトラヒドロフランに、溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業(株)製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
溶解液として、結晶性ポリエステルを測定する場合はクロロホルムを、非晶質ポリエステルを測定する場合はテトラヒドロフランを、毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
〔アクリル酸系ポリマー塩の分子量〕
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定する。
カラム:TSK PWXL+G4000PWXL+G2500PWXL(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI又はUV(210nm)
溶離液:0.2mol/L リン酸緩衝液/アセトニトリル(9/1)
流速:1.0mL/min
注入量:0.1mL
試料の分子量は、標準物質にポリエチレングリコールを用いあらかじめ作成した検量線に基づき算出する。
〔一次粒子の分散粒径及び合一粒子の粒径〕
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(島津製作所製、SALD-2000J)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
〔トナーの粒径〕
(1)分散液の調製:分散液(エマルゲン 109P(花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液)5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液(アイソトンII(ベックマンコールター社製))25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。
ポリエステルの製造例1
1,5-ペンタンジオール1456g、1,6-ヘキサンジオール2478g、テレフタル酸5926g及びジブチル錫オキサイド19.7gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら200℃でテレフタル酸の粒が観測されなくなるまで反応させた後、さらに8.3kPaにて1時間反応させて樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は95.3℃、吸熱の最高ピーク温度(融点)は99.5℃、結晶性指数は0.96、酸価は17.5mgKOH/g、数平均分子量は7,140であった。
ポリエステルの製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3500g、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3250g、イソドデセニル無水コハク酸322g、テレフタル酸2291g、及びジブチル錫オキサイド20gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、210℃で無水トリメリット酸960gを添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて樹脂Bを得た。樹脂Bの軟化点は124℃、吸熱の最高ピーク温度は73℃、結晶性指数は1.70、ガラス転移点66℃、酸価は21.0mgKOH/g、数平均分子量は3,390であった。
実施例1
5リットル容のステンレス釜で、樹脂A 300g、着色剤「ECB-301」(大日精化社製、銅フタロシアニン、個数平均粒径:60nm)15g、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=11.7モル付加)、曇点:98℃、HLB=14.6)60gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、120℃で溶融させた。内容物を98℃で安定させ、カイ型の攪拌機で500r/minの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)75gを4g/分で滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、脱イオン水を5g/分で滴下し、計1200gを添加した。この間、系の温度を98℃に保持し、一次粒子(体積中位粒径(D50):0.56μm)を含む分散液を得た。分散液を200メッシュ(目開き:105μm)の金網に通しても金網上には何も残らなかった。このとき、系内のpHは7.2であった。
得られた一次粒子を含む分散液500g(固形分の濃度23.6重量%)を1リットル容の容器に入れ、室温で、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、分散剤として前記式(II)で表されるポリアクリル酸ナトリウム水溶液(花王社製、体積平均分子量:38,000(式(II)のn=420)、中和度:100%、有効濃度:40重量%)5gを添加した(分散工程)。分散工程における系内のpHは7.4であった。凝集剤として塩化カルシウムニ水和物1.95g分の水溶液を添加し、室温で10分間攪拌した後、攪拌しながら、昇温速度0.8℃/分で98℃まで加熱した(一次粒子の濃度21.7重量%)。
分散液の温度が98℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで徐冷した。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して、凝集粒子が合一した合一粒子を得た。得られた微粒子の体積中位粒径(D50)は7.6μm、水分含有量は0.3重量%、軟化点は92.6℃、吸熱の最高ピーク温度は91.8℃であった。
この合一粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972、個数平均粒子径:16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は7.8μm、変動係数(CV値)は23.3%であった。
得られたシアントナーに平均粒径60μmのシリコーンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)を添加し、二成分現像剤を得た。得られた二成分現像剤を市販の複写機に実装して未定着画像を印字し、シリコーンオイル塗布型定着機で定着試験を行ったところ、120℃で定着可能であることが確認された。
実施例2
5リットル容のステンレス釜で、樹脂B 200g、着色剤「ECB-301」(大日精化社製、銅フタロシアニン、個数平均粒径:60nm)10g、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=11.7モル付加)、曇点:98℃、HLB=14.6)80gをカイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、120℃で溶融させた。内容物を98℃で安定させ、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)60gを4g/分で滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、脱イオン水を5g/分で滴下し、計800gを添加した。この間、系の温度を98℃に保持し、一次粒子(体積中位粒径(D50):0.38μm)を得た。分散液を200メッシュ(目開き:105μm)の金網に通しても金網上には何も残らなかった。このとき、系内のpHは7.3であった。
得られた一次粒子を含む分散液400g(固形分濃度26.7重量%)及び脱イオン水336gを1リットル容の容器に入れ、室温で、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、分散剤として前記式(II)で表されるポリアクリル酸ナトリウム(花王社製、体積平均分子量:38,000(式(II)のn=420)、中和度:100%、有効濃度:40重量%)0.44gを添加した(分散工程)。分散工程における系内のpHは7.4であった。凝集剤として塩化カルシウムニ水和物2.03g分の水溶液を添加し、室温で10分攪拌した後、攪拌しながら、昇温速度0.2℃/minで77℃まで加熱した(一次粒子の濃度13.7重量%)。
分散液の温度が77℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら1時間保持した後、室温まで徐冷した。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して凝集粒子が合一した合一粒子を得た。得られた微粒子の体積中位粒径(D50)は6.4μm、水分含有量は0.3重量%、軟化点は121℃、吸熱の最高ピーク温度は56℃であった。
この合一粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972、個数平均粒子径:16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.1μm、変動係数は23.6%であった。
得られたシアントナーに平均粒径60μmのシリコーンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)を添加し、混合した現像剤を市販の複写機で未定着画像を印字し、シリコンオイル塗布型定着機で定着試験を行ったところ、150℃で定着可能であることを確認した。
比較例1
分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を使用しない以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を試みた。しかしながら、凝集粒子の生成過程において、分散液の温度が94℃になった時点で著しい凝集を起こしたため、トナーの製造を中止した。
本発明により得られる電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (6)

  1. 水系媒体中で結着樹脂を含有してなる一次粒子を凝集させる工程(凝集工程)及び得られる凝集粒子を合一させる工程(合一工程)を有する電子写真用トナーの製造方法であって、さらに、前記一次粒子を、体積平均分子量が1,000〜90,000のアクリル酸系ポリマー塩の存在下で分散させる工程(分散工程)を有する電子写真用トナーの製造方法。
  2. 分散工程が凝集工程よりも前に行われる請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 分散工程におけるアクリル酸系ポリマー塩の存在量が0.01〜5重量%である請求項1又は2記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 凝集工程における一次粒子の濃度が10〜50重量%である請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. 結着樹脂がポリエステルを含有してなる請求項1〜4いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の製造方法により得られうる、変動係数が26%以下、体積中位粒径が1〜10μmである電子写真用トナー。
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