JP2006181997A - 光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】透明性と密着性に優れ、加熱処理した際に、フィルムの曇価上昇が極めて小さく、滑り性、耐ブロッキング性、寸法安定性に優れ、かつ干渉斑の目立たない高品位の光学用積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】実質的に粒子を含有しないポリエステル層(A層)を基材とし、前記基材の両面に共重合ポリエステルを含む組成物からなるポリエステル層(B層)を積層し、さらにはB層の少なくとも片面に密着性改質樹脂と粒子を含む組成物からなる密着性改質層(C層)を設けてなる積層ポリエステルフィルムであって、面方向屈折率((Nx(長手方向屈折率)+Ny(幅方向屈折率))/2)が1.57〜1.63であり、かつ、下記式(1)、(2)、(3)を満足する(I)℃、(II)℃、(III)℃の吸熱融解ピークを有する。 200<I≦II≦III<265 ・・・ (1) 8<(III−II)<35 ・・・ (2) 25<(III−I)<58 ・・・ (3)
【選択図】図1

Description

本発明は、アクリル系樹脂層を積層した際にアクリル系樹脂層との密着性に優れ、干渉斑が目立たず、後加工における加熱処理においても極めてヘイズの上昇が小さい、透明性に優れた光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム(以下、単に光学用積層ポリエステルフィルムと略することがある)に関するものである。
タッチパネル、コンピューター、テレビ、液晶表示装置等のディスプレイ、装飾材等の前面には、透明プラスチックフィルムからなる基材に、電子線、紫外線又は熱硬化系の樹脂からなるハードコート層を積層させてなるハードコートフィルムが使用されている。また、基材の透明プラスチックフィルムとしては、透明な二軸配向ポリエステルフィルムが一般的に用いられ、基材のポリエステルフィルムとハードコート層との密着性を向上させるために、これらの中間層として密着性改質層を設けられる場合が多い。
前記のハードコートフィルムには、温度、湿度、光に対する耐久性、透明性、耐薬品性、耐擦傷性、防汚性等が求められている。また、ハードコートフィルムには、ディスプレイや装飾材などに用いられることから、視認性や意匠性が要求されている。そのため、任意の角度から見たときの反射光によるぎらつきや虹彩状色彩等を抑えるため、ハードコート層の上層に、高屈折率層と低屈折率層を相互に積層した多層構造の反射防止層を設けることが一般的に行われている。
しかしながら、ディスプレイや装飾材などの用途では、近年、さらには大画面化(大面積化)及び高級性が求められ、それにともなって特に蛍光灯下での虹彩状色彩(干渉縞)の抑制に対する要求レベルが高くなってきている。また、蛍光灯は昼光色の再現性のため3波長形が主流となってきており、より干渉縞が出やすくなっている。さらには、反射防止層の簡素化によるコストダウン要求も高くなってきている。そのため、ハードコートフィルムのみでも干渉縞をできるだけ抑制することが求められている。
ハードコートフィルムの虹彩状色彩(干渉縞)は、基材のポリエステルフィルムの屈折率(例えば、PETでは1.62)とハードコート層の屈折率(例えば、アクリル樹脂では1.49)との差が大きいため発生すると考えられている。この屈折率差を小さくして干渉縞の発生を防止するために、ハードコート層に金属酸化物微粒子を添加することにより、ハードコート層の屈折率を高くする方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平7−151902号公報
しかしながら、ハードコート層への金属酸化物微粒子の添加により、ハードコート層本来の機能である透明性、耐薬品性、耐擦傷性、防汚性等が低下する。また、かかるハードコート層の上にさらには反射防止層を設けた場合は、ハードコート層の屈折率の変化に合わせた、反射防止層の最適化が必要になる。
また、ハードコート層の干渉縞を抑制する他の方法として、フィルム等の厚み斑に着目して干渉縞の幅又は面積比を規定した発明が開示されている(例えば、特許文献2及び3を参照)。さらには、フィルム自体の裏面反射率に着目して、裏面反射率を抑えて、特定の硬度のハードコートを積層する方法も開示されている(例えば、特許文献4を参照)。
特開2001−71439号公報 特開2002−241527号公報 特開2002−210906号公報
しかしながら、特許文献2及び3に記載の方法では、各層の厚みを厳密に制御することが必要であり、生産性の点から問題がある。また、特許文献4に記載の方法では、裏面反射率を小さくするために、ハードコートフィルムのハードコート層の反対面に特定屈折率と特定厚みを有するコート層を設けることが必要である。
二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性から各種光学用フィルムとして多く利用されている。特に、液晶表示装置に用いられるプリズムレンズシート用のベースフィルムやタッチパネル用ベースフィルム、拡散板用ベースフィルム、AR(アンチリフレクション)フィルム用のベースフィルムやCRT用の破砕防止フィルム、及び、プラズマディスプレイパネル用フィルター等の用途は、優れた強度、寸法安定性が要求されるため、100μm以上の比較的厚手のフィルムが好適に用いられる。このような光学用フィルムに用いられる基材フィルムは、優れた透明性と、ハードコート加工時に用いられるアクリル系樹脂と基材ポリエステルフィルムに優れた密着性が要求されるほか、ハードコート加工等に耐えられる熱安定性に優れ、曇価上昇が小さく、かつ干渉斑が目立たないことが望まれる。
ところが、一般に例えば二軸配向ポリエステルフィルムに密着性改質層、ハードコート層が順次積層されている場合、ハードコート表面での反射光とハードコート層と密着性改質層界面及び、密着性改質層と二軸配向ポリエステルフィルム界面での反射光の光路差によって生じる干渉斑が存在し、この干渉斑は密着性改質層と基材フィルムの界面との屈折率の差が大きいほどまた、密着性改質層表面あるいは基材フィルム表面が平滑であるほど鮮明に見える。この干渉斑は、ディスプレイの電源がOFF時に特に目立ちやすい傾向にあり、プラズマディスプレイパネル用フィルターやCRT用破砕防止フィルムなどにおいて、ディスプレイの品位を損ねる要因となっていた。また、LCD用拡散板における裏面のクリアコート等として用いた場合においても干渉斑の低減が求められるようになってきている。
一方、基材フィルムには、一般に、滑り性を良好にするため(易滑性)、不活性無機粒子等が含有される。しかしながら、これらの粒子をポリエステルフィルムに含有させると、フィルム表面の凹凸により、易滑性付与だけではなく、前記の干渉斑も目立ちにくくなるが、反面、光学用ポリエステルフィルム基材の最も重要な特性である透明性を阻害する傾向にある。すなわち、高い透明性を有しつつ、干渉斑を低減することは極めて困難であった。
ディスプレイの視認性向上のため、実質粒子を含まない基材フィルムに粒子を含む密着性改良層を積層した二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績社製、、商品名コスモシャインA4300)の片面にハードコート層、高屈折率帯電防止層、低屈折率層を順次積層した光学積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献5を参照)。しかしながら、特許文献5に記載の構成では、反射防止性の向上は認められるものの、前記干渉斑についてはほとんど改善効果が認められなかった。
特開2002−267804号公報
この原因は、下記のように推察している。
一般に、二軸延伸ポリエステルフィルムのアッベ屈折率計による屈折率は、フィルムの厚み方向で1.49〜1.50、フィルムの面方向は1.65〜1.68である。平面波である可視光線の反射率は、後者の面方向の屈折率に大きく影響される。一方、密着性改良層の屈折率は一般に1.55以下なので、基材フィルムの面方向と密着性改良層との屈折率の差は依然大きい。そのため、反射率が大きいため、干渉斑を抑制できていないと推察される。
また、プリズム加工やハードコート加工、拡散層形成加工に際して100〜150℃の加熱が必要となる場合がある。さらには、熱寸法安定性向上のためアニール処理をする場合もある。しかし、この工程を経た、従来の二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートを基材とした光学用易接着フィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれる代表的な低分子量物である環状3量体がフィルム表面に析出し、それにより曇価の上昇や白色状の外観欠点が発生するという問題があった。これらは、得られた製品の視認性低下や品位低下につながることから、改善が強く望まれていた。
そのため、フィルム中の環状3量体をフィルム表面に析出することを抑制するために、3層の積層構造からなる積層ポリエステルフィルムの両外層に、固相重合処理したポリエステル樹脂を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献6を参照)。この方法によれば、加熱処理後の曇価上昇の抑制効果は確かにあるが、干渉斑の改善効果は認められない。また、固相重合処理したポリエステル樹脂を用いた場合、光学用途では好ましくないとされている黄色味を帯びた色調になりやすいという問題もある。
本発明において、加熱処理による曇価上昇抑制効果は、共重合ポリエステルの結晶性が低いがゆえに、加熱処理時に基材から析出される曇価上昇の原因となる環状3量体を、基材の両面に積層した共重合ポリエステル層で吸収する効果があるためと推察される。
本発明の目的は、前記問題点に鑑み、少なくとも片面に密着性改質層が必要な光学用フィルム用途において、透明性と密着性に優れ、特に紫外線硬化型又は電子線硬化型のアクリル樹脂からなる硬化物層を加熱処理して設ける際に、フィルムの曇価上昇が極めて小さく、滑り性、耐ブロッキング性、寸法安定性に優れ、かつ干渉斑の目立たない高品位の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
前記の課題を解決することができた光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムとは、以下の通りである。
すなわち、本発明の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムは、実質的に粒子を含有しないポリエステル層(A層)を基材とし、前記基材の両面に共重合ポリエステルを含む組成物からなるポリエステル層(B層)を積層し、さらにはB層の少なくとも片面に密着性改質樹脂と粒子を含む組成物からなる密着性改質層(C層)を設けてなる積層ポリエステルフィルムであって、面方向屈折率((Nx(長手方向屈折率)+Ny(幅方向屈折率))/2)が1.57〜1.63であり、かつ(I)℃、(II)℃、(III)℃の温度において吸熱融解ピークを有し、それぞれのピーク温度は5℃/分で30℃から300℃に加熱して示差走査熱量計(DSC)により測定され、下記式(1)、(2)、(3)を満足することを特徴とする。
200<I≦II≦III<265 ・・・ (1)
8<(III−II)<35 ・・・ (2)
25<(III−I)<58 ・・・ (3)
この場合において、基材の両面に積層されるポリエステル層(B層)に含まれる重合ポリエステルが、(a)エチレングリコール、(b)分岐状脂肪族グリコール成分又は脂環族グリコールを含むグリコール成分とから構成されることが好ましい。
また、前記光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムは、170℃で10分間加熱後のヘイズの上昇値が1%以下であることが好ましい。
また、前記光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムは、全光線透過率が90%以上で、かつヘイズが1%以下であることが好ましい。
また、前記光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムの静摩擦係数μsが1.0以下であることが好ましい。
また、前記光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムは、幅方向及び長手方向の熱収縮率が1.8%以下であることが好ましい。
また、前記光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムのC層の表面に、紫外線硬化型又は電子線硬化型アクリル系樹脂からなる硬化物層(D層)を設けてなることを特徴とする。
前記の(III)℃の温度における融解ピークは、主にA層、B層に用いられるホモのポリエステルに関するものであり、(II)℃の温度における融解ピークは、主にB層に用いられる共重合ポリエステル、又は該共重合ポリエステルと上記記述のホモのポリエステルとの混合体に関するものである。また、(I)℃の温度における融解ピークは幅方向延伸後の熱固定での熱処理により安定化した結晶の融解と考えられる熱履歴を示すものである。
また、前記の式(2)においては、8〜35℃の範囲である。さらには下限が10℃、上限が30℃の範囲であることがより好ましい。上記値が8℃未満の場合、干渉縞低減効果に乏しく、また、35℃より大きい場合には、B層の弾性率が極端に低下するため滑りが悪くなり、キズ、ブロッキングなどの問題を生じる。
前記の式(3)においては、25〜58℃の範囲である。さらには下限が30℃、上限が50℃の範囲であることがより好ましい。上記値が25℃未満の場合、B層の弾性率が極端に低下するため滑りが悪くなり、キズ、ブロッキングなどの問題を生じる。また、58℃よりも大きい場合には、加熱時の熱収縮率が大きくなり問題となる。
本発明の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムは、実質的に粒子を含有しない二軸配向ポリエステルフィルム(A層)を基材とし、前記基材の両面に特定の共重合ポリエステルを含む組成物からなるポリエステル層(B層)を積層し、さらにはB層の少なくとも片面に密着性改質樹脂と粒子を含む組成物からなる密着性改質層(C層)を設けてなる構成されているため、透明性に優れ、かつ紫外線硬化型又は電子線硬化型アクリル系樹脂からなる硬化物層(D)を加熱処理して積層した際に、該硬化物層(D)との密着性に優れ、曇価上昇が極めて小さく、かつ干渉斑が目立たないという利点がある。
以下、本発明の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを詳細に説明する。
本発明に用いる共重合ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分とから構成された共重合ポリエステルを基材フィルム原料の一部として、あるいは100質量%使用する。
前記共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分が主としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体からなるが、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
また、分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオールなどが例示される。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましく、本発明の課題であるハードコート層積層時の干渉斑低減、後加工時における曇価上昇の低減の点からも好ましい。
さらには、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに下記のようなジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として併用してもよい。
テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とともに併用することができる他のジカルボン酸成分としては、(1)イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(2)シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(3)シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(4)p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
一方、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールとともに併用することができる他のグリコール成分としては、例えば1,3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。さらには、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに、さらにはトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させることもできる。
前記共重合ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。前記共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加してもよい。熱安定剤を用いる場合は、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
また、前記共重合ポリエステルは、機械的強度、製膜安定性の点から、固有粘度が0.50dl/g以上であることが好ましく、さらには好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、フィルム製造時に破断が発生しやすくなり生産性が低下する傾向がある。
また、本発明に用いる共重合ポリエステルは、例えばグリコール成分として、エチレングリコール(EG)とネオペンチルグリコール(NPG)とを主たる構成成分とした場合、前記NPG成分は、全グリコール成分に対して1〜40モル%であることが好ましい。
さらには全グリコール成分に対するNPGの組成比は、9モル〜28モル%、さらには、12〜25モル%とすることがより好ましい。上記組成比が9モル%未満の場合、干渉縞低減効果が乏しく、また28モル%より高い場合は、B層の弾性率が極端に低下するため滑りが悪くなり、キズ、ブロッキングなどの問題を生じる。
NPGの組成比が1モル%未満では、本発明の積層フィルムとして用いた場合、干渉斑低減効果が得られない。一方、NPGの組成比が40モル%を超えると、重合度が上がりにくくなり、所定の固有粘度に到達するまでに著しく時間を要する。そのため、その間の熱履歴により色調が悪化する。また、NPGの組成比が高すぎると、所定の粘度に到達しない場合もある。さらには、得られた共重合ポリエステルからフィルムを製造した場合、該フィルムは熱収縮率が高くなりすぎたり、力学的強度の低下が生じたりする。
また、本発明に用いるポリエチレンテレフタレート樹脂、及び、共重合ポリエステルの製造時に、本発明の目的を妨げない限り、酸化安定剤、UV吸収剤、などを必要に応じて添加してもよい。
本発明のB層に用いる樹脂、及びA層、C層に必要に応じてブレンドする樹脂には、実質的に粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートを用いる。前記の「基材フィルム中に実質的に粒子を含有しない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を密着性改質層に粒子を添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが混入する場合があるためである。
また、本発明のポリエステル系フィルムに使用する樹脂ペレットの固有粘度は、0.45〜0.75dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.45dl/gよりも低いと、フィルム製造時の破断が多発しやすくなり、耐引き裂き性も悪化する傾向がある。一方、固有粘度が0.75dl/gより大きいと、濾圧上昇が大きくなり高精度濾過が困難となる傾向がある。
本発明で使用する二軸延伸ポリエステルフィルムは、優れた強度、寸法安定性、取り扱いやすさが要求されるため、厚みが50μm以上、さらには好ましくは100μm以上のフィルムが好適である。
A層及びC層の厚みは特に限定されないが、A層の両側に積層されたB層の厚みの合計はフィルム全体の厚みの3〜30%、さらには5〜20%の範囲とすることが好ましい。この値が3%未満の場合、加熱処理による曇価上昇抑制効果が十分でなく、へイズ上昇を伴う。また、この値が30%より大きくなると、熱収縮率が大きくなり好ましくない。さらには、A層の両側に積層されたB層のそれぞれの層の厚みの差は2μm以下が好ましい。2μm以上では良好な平面性が得られず、また加熱時の反りが問題となる。本発明では、高い透明性を確保するために、フィルム基材中に易滑性を付与するための粒子を含有させないことが好ましい。
フィルム基材中に易滑性付与を目的とした粒子は添加されていなくてもインラインで積層される密着性改質層に均一な粒径の微小粒子含有により滑り性をもたせておけば、良好な巻き取り性、キズ発生防止機能を付与できるため、ポリエステル系基材フィルム中への粒子の添加は不要である。
ポリエステル原料(ペレット)を移送するには、通常、所定の配管を用いて空送で行われる。この際に用いられる空気は、埃混入防止のため、HEPAフィルターを用い、清浄化された空気を用いることが好ましい。該HEPAフィルターは、公称濾過精度0.5μm以上の埃を95%以上カットの性能を有するフィルターを用いるのが好ましい。
A層及びC層用ポリエステル原料として前記共重合ポリエステルと必要に応じてポリエチレンテレフタレートペレットを所定の割合で混合し、B層用としてポリエチレンテレフタレートペレットをそれぞれ乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化させて、未延伸フィルムを形成する。
この場合、溶融押出しの際、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことが好ましい。
溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定されないが、ステンレス焼結体の濾材は、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れるので、好ましい。
さらには、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)は、20μm以下、特に15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が20μmを超えると、20μm以上の大きさの異物が十分除去できない。
濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が20μm以下の濾材を用いて溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、粗大粒子による突起の少ないフィルムを得る上で重要な工程である。
より具体的には、各層用のポリエステル原料を乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台の押出機、3層のマニホールド又は合流ブロックを用いて、各層を構成するフィルム層を積層し、口金から2層のシートを押出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、溶融押出しの際、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために前記のように高精度濾過を行うことが好ましい。
得られた未延伸シートを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して、一軸配向PETフィルムを得る。本発明の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得るには、一軸延伸後の屈折率ΔNxを0.03〜0.12、さらには0.05〜0.08以下の範囲とすることが好ましい。なお、ΔNxは、下記式で表されるパラメータである。
ΔNx=Nx−(Ny+Nz)/2
このΔNxの値が0.04よりも小さい場合、フィルムの厚み均一性が悪化する。また、0.12よりも大きい場合、二軸延伸後の面方向屈折率が大きくなるため、干渉縞が目立ち好ましくない。
その後、少なくとも片面に密着性改質層を塗布し、さらには、フィルムの端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き、180〜245℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
この時の熱処理ゾーン温度は、干渉縞低減効果を左右する重要な項目である。熱処理ゾーンの温度は、該発明の請求項に記載してある溶融ピーク温度(II)℃±20℃、好ましくは(II)℃±15℃にするのが好ましい。このように熱処理温度を融解ピーク温度(II)℃付近にすることで、中間層のホモのポリエステル層は結晶化が進み、弾性率が向上するとともに熱収縮特性は低下し、安定したフィルム物性を与え、最外層は融解ピークに近い温度にさらされるため、結晶配向化が崩壊の方向へ進み、最外層の屈折率が低下し、干渉縞を低減させる。つまり、根本的なフィルム特性は中間層で、干渉縞などの光学特性は最外層でコントロールされる。
上記の熱処理ゾーンの温度が(II)℃−20℃よりも低くなると、フィルム自身の熱収
縮率が大きくなるとともに、干渉縞低減効果も十分でない。また、(II)℃+20℃より
も高くなると、最外層の配向崩壊が進みすぎ、弾性率が極端に低下するため滑りが悪くなり、キズ、ブロッキングなどの問題を生じる。
また、この熱固定処理工程中で、必要に応じて、幅方向又は長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。この弛緩処理時の温度は140〜230℃の範囲で任意に設定できるが、160〜200℃とすることがフィルムの収縮特性と平面性維持の観点からより好ましい。
上記密着性改質層を塗布するには、公知の任意の方法で行うことができる。例えばリバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法及びカーテン・コート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
上記塗布液を塗布する工程は、通常の塗布工程、すなわち二軸延伸し熱固定した基材フィルムに塗布する工程でもよいが、該フィルムの製造工程中に塗布するのが好ましい。さらには好ましくは結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。水溶液中の固形分濃度は通常30質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。該水性塗布液は、走行しているフィルム1m2あたり0.01〜5g、好ましくは0.2〜4gが付着されるように塗工される。該水性塗布液が塗布されたフィルムは、延伸及び熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、ポリエステル系績層フィルムとなる。十分な赤外線吸収層やハードコート層との密着性を得るためには、この時のコート量がフィルム1m2あたり0.01g/m2以上であって、100℃、1分以上の熱処理が必要である。上記、塗布液を塗布する際のクリーン度は、埃の付着を少なくするため、クラス1000以下が好ましい。
本発明のハードコート用二軸延伸ポリエステルフィルムには前記のように密着性改質層が積層される。前記密着性改質層の樹脂としては、例えば共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂などが挙げられ、少なくとも1つ以上を使用することが好ましい。なかでも、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂が優れた密着性を有し特に好ましい。
密着性改良層形成に用いる塗布液調整について以下に共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる塗布液の一例について説明する。
本発明の密着性改質層に用いる共重合ポリエステル系樹脂とは分岐したグリコール成分を構成成分とする。ここでいう分岐したグリコール成分とは例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2、2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
上記の分岐したグリコール成分は全グリコール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、さらには好ましくは20モル%以上の割合で含有される。上記化合物以外のグリコール成分としてはエチレングリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール又は1,4シクロヘキサンジメタノールなどを用いてもよい。
共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有される、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸及びイソフタル酸が最も好ましい。少量であれば他のジカルボン酸;ジフェニルカルボン酸及び2,6−ナルタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよい。
上記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸及び5−(4−スルフォフェノキシ)イソフタル酸及びその塩類等を挙げることができる。
本発明の密着性改質層に用いるポリウレタン樹脂とは例えばブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。上記ブロック化剤の内、熱処理温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるものとしては重亜硫酸塩類が最も好ましい。
上記樹脂において使用される、ウレタンプレポリマーの化学組成としては(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは、(3)分子内に少なくとも2個活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端イソシアネート基を有する化合物である。
上記(1)の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオール及びポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキシド及び、プロピレンオキシド等アルキレンオキシド類、あるいはスチレンオキシド及びエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた。
ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の多価の飽和及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。
さらにはポリエステルポリオールとしてはラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加せしめたポリエーテルエステル類も使用することができる。
上記(2)の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるい
はこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
上記(3)の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、及びピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。
上記(3)のウレタンポリマーを合成するには通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアネート重付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜120℃の温度において、5分ないし数時間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー中に遊離のイソシアネート基が残存することが必要である。
さらには遊離のイソシアネート基の含有量は10質量%以下であればよいが、ブロック化された後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7質量%以下であるのが好ましい。
得られた上記ウレタンプレポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、約5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な濃度にして、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当な濃度及び粘度に調製するが、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成したり、また他の官能基への付加を起こす性質を有するようになる。
上記に説明したブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)の1例としては、第一工業製薬社製の商品名エラストロンが代表的に例示される。エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有する、カルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶性となっている。
本発明で使用される、分岐したグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)及びブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)を混合して塗布液を調製する場合、樹脂(A)と樹脂(B)の質量比は(A):(B)=90:10〜10:90が好ましく、さらには好ましくは(A):(B)=80:20〜20:80の範囲である。固形分質量に対する上記樹脂(A)の割合が10質量%未満では、基材フィルムへの塗布性が不適で、表面層と該フィルムとの間の密着性が不十分となる。一方、10質量%未満の場合には、UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある密着性が得られない。
本発明で使用される水性塗布液には、熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加してもよく、例えば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質及び含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いられる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤及びノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、イソプロピルアルコール及びベンジルアルコール等のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50質量%未満となるまで混合してもよい。さらには、10質量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類とその他の有機溶剤との合計は、50質量%未満とする。
有機溶剤の添加量が50質量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50質量%を越えると、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらには火災などの危険性も考えられる。塗布液の溶液粘度は1.0PaS(パスカルセック)以下が好ましい。1.0PaS(パスカルセック)以上ではスジ状の塗布厚み斑が発生しやすい。
本発明では基材フィルム中に易滑性付与を目的とした滑剤を添加しないため、上記水性塗布液には、粒子を添加しフィルム表面に適度な突起を形成するのが好ましい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。なかでもシリカがポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く高い透明性が得やすいため最も好適である。
上記水性塗布液に添加する粒子の平均粒径は、通常1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらには好ましくは0.1μm以下である。平均粒径が1.0μmを超えるとフィルム表面が粗面化し、フィルムの透明性が低下する傾向がある。また、上記塗液中に含まれる粒子含有量は、通常、塗布、乾燥後で塗布膜の粒子含有量が60質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらには好ましくは40質量%以下になるよう添加する。塗布膜の粒子含有量が60質量%を超えるとフィルムの密着性が損なわれることがある。
フィルム中に、上記粒子を2種類以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよい。いずれにしても、粒子全体の平均粒径、及び合計の含有量が上記した範囲を満足することが好ましい。上記塗布液を塗布する際には塗布液中の粒子の粗大凝集物を除去するために塗布直前に塗布液が精密濾過されるように濾材を配置する必要がある。
本発明で用いられる塗布液を精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下(初期濾過効率:95%)であることが必要である。25μm以上では粗大凝集物が十分去できず、除去できなかった多くの粗大凝集物は塗布、乾燥後一軸延伸、あるいは二軸延伸した際に密着性改質層に粒子の粗大凝集物が広がって100μm以上の凝集物として認識され結果として多くの光学欠点が発生する。
塗布液を精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、かつ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
上記水性塗布液の組成物には、その効果を消失しない限りにおいて帯電防止剤、顔料、有機フィラー及び潤滑剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらには、塗布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限りにおいて、性能向上のために、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂及びエマルジョン等を塗布液に添加してもよい。
上記の様にして得られたフィルムの面方向屈折率〔(Nx(長手方向屈折率)+Ny(幅方向屈折率)/2)〕は1.57〜1.63の範囲であり、さらには1.59〜1.62であることがより好ましい。この値が1.57より低い場合、もしくは1.62よりも高い場合は、ハードコートとの屈折率差が大きくなり、界面での反射が大きくなるためハードコートを施した後の干渉縞がきつく見えてしまい問題となる。また、このフィルム屈折率を得るためには上記方法での製膜により達成できるが、特にはB層に用いられる共重合ポリエステルの組成比、一軸目、二軸目の延伸時の温度、倍率、熱固定ゾーンでの熱処理温度、処理時間、緩和処理時の温度と緩和率等が主に寄与している。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本発明のハードコート用二軸延伸ポリエステルの特性は以下の方法にしたがって測定した。
(1)吸熱融解ピーク〔融点(Tm)〕
JIS K 7121に準拠し、DSC6200(セイコーインスツルメント社)を用い、乾燥窒素中で試料を測定し、融解ピーク温度I、II、IIIを測定した。ポリエステルフィルムのサンプル片10mgをアルミ製パンに入れ、20℃/minで30℃から300℃に加熱し、DSC曲線を出力した。吸熱融解ピーク温度は、JIS K 7121に記載の「融解温度の求め方」に従い読み取った。
(2)全光線透過率の測定
実施例及び比較例で得た光学用易接着フィルムをヘイズメーター(日本電色社製モデルTNDH2000)を用いて測定した。
(3)曇価の測定
実施例及び比較例で得た光学用易接着フィルムをヘイズメーター(日本電色社製モデルTNDH2000)を用いて測定した。
曇価上昇値は加熱処理(170℃10分)前後の曇価値の差から求めた。
(4)干渉縞の評価方法
実施例及び比較例で得た光学用易接着フィルムのA層側の易接着表面に、大日精化社製ハードコート剤(セイカビームEXF01(B))を#8ワイヤバーにより塗布し、70℃で1分間乾燥し溶剤を除去した後、高圧水銀灯で200mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下で、厚み3μmのハードコート層を形成し、ハードコートフィルムを得た。
次に、ハードコート層と反対側に黒色光沢テープを貼りあわせて見やすくして、該フィルムのハードコート層側から3波長光線(ナショナル パルック 3波長形昼白色(F.L 15EX−N 15W))を照射して、斑の強さを観察し、下記の基準で評価した。
○:ほとんど干渉斑が確認できない
△:薄く干渉縞が確認される
×:鮮明に干渉縞が観察される
(5)摩擦係数μs
JIS−K 7125に準拠し、下記条件により評価した。 平板用試験片:幅130mm、長さ250mmで溶融押出し後の冷却ロールに接する側の面を使用。 そり用(テーブル側)試験片:幅120mm、長さ120mmで平板用試験片と逆側の面を使用。 測定雰囲気:23℃、50%RH、そり質量:200gf、試験速度:150mm/分。
(6)ハードコート層の密着性評価方法
実施例及び比較例で得た光学用易接着フィルムのA層側の易接着表面に、大日精化社製ハードコート剤(セイカビームEXF01(B))を#8ワイヤバーにより塗布し、70℃で1分間乾燥し溶剤を除去した後、高圧水銀灯で200mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下で、厚み3μmのハードコート層を形成した。
得られたフィルムをJIS−K5400の8.5.1記載に準じた試験方法で密着性を求めた。具体的には、ハードコート層及び、密着性改質層を貫通して基材フィルムに達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製405番;24mm幅)を升目状の切り傷面に張り付け、消しゴムでこすって完全に付着させた後、垂直に引き剥がして目視により下記の式から密着性を求めた。密着性(%)=(1−剥がれ面積/評価面積)×100
(7)フィルム屈折率
厚み方向の屈折率(Nz)及び幅方向の屈折率(Ny)及び長手方向屈折率(Nx)
アタゴ社製アッベ屈折計4Tを用いて、接眼レンズに偏光板を取り付け、偏光板の向き及びフィルムの向きをそれぞれ調整し、フィルム厚み方向の屈折率(Nz)、幅方向の屈折率(Ny)、長手方向の屈折率(Nx)を測定した。中間液としてジョードメタンを用いた。各方向の屈折率の測定は、各サンプルに対しn=3でフィルム両面について行い、その平均値を各方向の屈折率とした。
ここでいう幅方向とは、ロール巻き出し方向に対し垂直な方向、長手方向とは、ロールの巻き出し方向に平行な方向をいう。面方向屈折率は以下のようにして求めた。
面方向屈折率=(Nx+Ny)/2
(8)耐ブロッキング性
50mm幅に切断した2枚のサンプルフィルム を面が異なるようにを重ねあわせ30kg/cm2の荷重下、60℃×80%RHにて20時間処理した後、塗設面と非塗設面との剥離力を測定し、耐ブロッキング 性を下記の通り評価する。
○: 剥離力≦20gf(耐ブロッキング 性良好)
△: 20gf<剥離力≦50gf(耐ブロッキング 性やや不良)
×: 50gf<剥離力 (耐ブロッキング 性不良)
(9)熱収縮率
測定すべき方向に対し、フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り取り、200mm間隔で印を付け、5gfの一定張力下で印の間隔Aを測定する。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150±3℃で30分間加熱処理した後、印の間隔Bを5gfの一定張力下で測定する。以下の式より熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
実施例1
(共重合ポリエステル樹脂(a)の製造)
あらかじめ反応物を含有している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を70モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を30モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比を2.0としたスラリーを、生成ポリマーとして1ton/hrの生産量となるように連続的に供給した。さらには、三酸化アンチモンを12g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してSb含有量が0.025モル%となるように、第1エステル化反応缶に連続的に供給し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約250℃で平均滞留時間として約3時間反応を行った。
この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約260℃で平均滞留時間として約1時間反応を行った。次いで、この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約260℃で所定の反応度まで反応を行った。
この時得られたオリゴマーはその末端基の酸価が380eq/tonであった。このオリゴマーに、酢酸マグネシウム4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してMg含有量(M)が0.17モル%となるように、リン酸トリメチルを65g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してP含有量(P)が0.079モル%(M/P=2.2;モル比)となるよう、酢酸ナトリウムを10g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してNa含有量が0.018モル%となるように、酢酸コバルト4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対して0.0035モル%となるように別々の供給口から第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を第1重縮合反応缶に連続的に供給し、攪拌下、約265℃、35hPaで約1時間、次いで第2重縮合反応缶で攪拌下、約270℃、5hPaで約1時間、さらには最終重縮合反応缶で攪拌下、約280℃、0.5〜1.5hPaで約1時間重縮合させた。重縮合後、除去率が95%以上のろ過精度が60μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを通過させた。次いで、溶融樹脂をダイスからストランド状に抜き出し、水槽で水冷後、チップ状にカッティングして固有粘度(IV)が0.74dl/gの共重合ポリエステルを得た。
(共重合ポリエステルb)
グリコール成分が脂環族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を30.5モル%含有する固有粘度(IV)が0.75dl/gの粒子を含有しない共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、FP301)を用いた。
(ポリエチレンテレフタレート樹脂)
固有粘度(IV)が0.62dl/g粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡績社製、ME−553)を用いた。
(密着性改質層形成用の塗布液の調整)
密着性改質層形成用の塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部及び三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に5−ナトリウムイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の30質量%水分散液を6.7質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂の20質量%水溶液(第一工業製薬製、商品名エラストロンH−3)を40質量部、エラストロン用触媒(Cat64)を0.5質量部、水を47.8質量部及びイソプロピルアルコールを5質量部、それぞれ混合し、さらにはアニオン性界面活性剤を1質量%、球状コロイダルシリカ粒子(日産化学工業製、スノーテックスOL)を5質量%添加し塗布液とした。
(積層フィルムの製造)
B層用原料として前記共重合ポリエステル樹脂ペレットaを50質量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)50質量部とをブレンドし50℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1(B層用)に、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(東洋紡績社製、ME−553)を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(A層用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2つのポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)で濾過し、3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時の沿う構成はB:A:B層となるようし、それぞれの層の厚さの積層比は8:84:8となるように各押出機の吐出量を調整した。
この製膜の際、溶融樹脂の異物除去用濾材として濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)15mのステンレス製焼結濾材を用いた。次にこの未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで110℃に加熱し、その後、周速差のあるロール群で長手方向に1段目は1.95倍、2段目は1.64倍、合計で3.2倍の延伸を行い、一軸配向PETフィルムを得た。この時の屈折率ΔNxは0.062であった。
その後、前記密着性改質層形成用の塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で両面に塗布、乾燥した。塗布後引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に3.6倍に延伸し230℃に設定された熱固定ゾーン1にて5秒間熱固定処理し、その後200℃に設定されたゾーン2にて5秒間処理し、この熱処理工程中で幅方向に3%の弛緩処理し、その後冷却ゾーンに導き冷却を完了させ、光学用二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。この時のフィルム厚さ100μmであり、この時の密着性改質層のコート量は0.01g/m2であった。
実施例2
実施例1において、B層用原料として前記共重合ポリエステル樹脂ペレットaを67質量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)33質量部とし、2軸目の延伸工程において熱固定ゾーン1の設定温度を225℃とした以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例3
実施例1において、B層用原料として前記共重合ポリエステル樹脂ペレットaを40質量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)60質量部とし、2軸目の延伸工程において熱固定ゾーン1の設定温度を245℃とした以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例4
実施例1において、2軸目の延伸工程において熱固定ゾーン1の設定温度を245℃とした以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例5
実施例4において、2軸目の延伸工程において熱固定ゾーン1の設定温度を215℃とした以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例6
実施例1において、B層用原料として前記共重合ポリエステル樹脂ペレットaを50質量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)40質量部と、平均粒子径が2.5μmのシリカ粒子2000ppmを含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、RE−554)10質量部を用いた以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例7
A層及びC層用原料として共重合ポリエステル樹脂b(東洋紡績社製、FP301)を60質量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)40質量部を用い、2軸目の延伸工程において熱固定ゾーン1の設定温度を220℃とした以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例1
実施例1において、B層用原料として粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)100質量部、その乾燥条件を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)とした以外は同様の方法で光学用二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
比較例2
実施例1において、B層用原料として前記共重合ポリエステル樹脂ペレットaを27質量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)73質量部を用い、2軸目の延伸工程において熱固定ゾーン1の設定温度を245℃とした以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例3
実施例1において、B層用原料として前記共重合ポリエステル樹脂ペレットaを100質量部用い、2軸目の延伸工程において熱固定ゾーン1の設定温度を210℃とした以外は同様の方法で光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例4
実施例1において、B層用原料として前記共重合ポリエステル樹脂ペレットaを40質量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(東洋紡績社製、ME−553)60質量部を用い、得られた未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで90℃に加熱し、その後、周速差のあるロール群で長手方向に1段で3.6倍の延伸を行い、一軸配向PETフィルムを得た。この時の屈折率ΔNxは0.115であった。
その後、前記密着性改質層形成用の塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で両面に塗布、乾燥した。塗布後引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して100℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に4.2倍に延伸し210℃に設定された熱固定ゾーン1にて5秒間熱固定処理し、この熱処理工程中で幅方向に3%の弛緩処理し、その後すぐに冷却ゾーンに導き冷却を完了させ、光学用二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例1〜7及び比較例1〜4で得られたフィルムの製造条件と物性を表1に、物性と評価結果を表2に示す。
Figure 2006181997
Figure 2006181997
以上、本発明の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムは加熱処理後の曇価上昇が極めて小さく、滑り性、耐ブロッキング性、寸法安定性に優れ、かつ干渉斑も目立たないため、タッチパネル、液晶表示板(LCD)、テレビやコンピューターのブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)等の表示画面の前面に装着して、外光の写り込み、ぎらつき、虹彩状色彩等を抑制することができ、かつ視認性に優れる、反射防止フィルムなどの各種光学用フィルムの基材として好適である。
本発明の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルムにおける、吸熱融解ピークを示すDSCチャートの一例である。
符号の説明
I:吸熱融解ピ−ク
II:吸熱融解ピ−ク
III:吸熱融解ピ−ク

Claims (7)

  1. 実質的に粒子を含有しないポリエステル層(A層)を基材とし、前記基材の両面に共重合ポリエステルを含む組成物からなるポリエステル層(B層)を積層し、さらにはB層の少なくとも片面に密着性改質樹脂と粒子を含む組成物からなる密着性改質層(C層)を設けてなる積層ポリエステルフィルムであって、面方向屈折率((Nx(長手方向屈折率)+Ny(幅方向屈折率))/2)が1.57〜1.63であり、かつ(I)℃、(II)℃、(III)℃の温度において吸熱融解ピークを有し、それぞれのピーク温度は5℃/分で30℃から300℃に加熱して示差走査熱量計(DSC)により測定され、下記式(1)、(2)、(3)を満足することを特徴とする光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    200<I≦II≦III<265 ・・・ (1)
    8<(III−II)<35 ・・・ (2)
    25<(III−I)<58 ・・・ (3)
  2. 基材の両面に積層されるポリエステル層(B層)に含まれる重合ポリエステルが、(a)エチレングリコール、(b)分岐状脂肪族グリコール成分又は脂環族グリコールを含むグリコール成分とから構成さることを特徴とする請求項1記載の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記積層ポリエステルフィルムは、170℃で10分間加熱後のヘイズの上昇値が1%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記積層ポリエステルフィルムは、全光線透過率が90%以上で、かつヘイズが1%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 前記積層ポリエステルフィルムの静摩擦係数μsが1.0以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. 幅方向及び長手方向の熱収縮率が1.8%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の積層ポリエステルフィルムのC層の表面に、紫外線硬化型又は電子線硬化型アクリル系樹脂からなる硬化物層(D層)を設けてなることを特徴とする光学用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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