JP2006180759A - 農業用防虫網 - Google Patents

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Abstract

【課題】網の目開きが小さく、害虫の侵入を効果的に防止することができ、かつ、網内の温度上昇を防いで作物を良好な環境で生育させることができ、また、網内での人的作業能率を高めることができる農業用防虫網を提供する。
【解決手段】二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料1〜10重量%を含有するポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントの網からなることを特徴とする農業用防虫網。
【選択図】図5

Description

本発明は、農業用防虫網に関する。さらに詳しくは、本発明は、網の目開きが小さく、害虫の侵入を効果的に防止することができ、かつ、網内の温度上昇を防いで作物を良好な環境で生育させることができ、また、網内での人的作業能率を高めることができる農業用防虫網に関する。
安全で美味しい農作物を求めて、無農薬栽培や減農薬栽培が進められている。無農薬や減農薬により野菜、花卉、果実などを栽培するとき、害虫による侵食を防ぐために、農作物を覆って保護する防虫網が使用される。例えば、害虫による被害を受けることなく無農薬で葉菜を栽培する方法として、畝に苗を移植し、苗用穴が穿たれた布片を敷設し、布片用穴を穿ったマルチングシートで覆い、畝の上方を蝶及び蛾の侵入を阻止し得る目開きのネットで覆う方法が提案されている(特許文献1)。
防虫網は、栽培する農作物を侵食する害虫に応じてその目開きが選ばれるが、農作物を侵食する害虫は多種多様であり、目開きの小さい防虫網ほど、小さい害虫まで侵入を防止し、高い防虫効果を有する。しかし、農作物を防虫網で覆うと、通風が妨げられ、防虫網の内部が蒸れて温度が上昇し、農作物の生育に悪影響を及ぼし、農作物の品質を低下させる。防虫網の目開きが小さくなると、この傾向はいっそう顕著になる。このために、農作物の生長に悪影響を与えず、しかも微小な害虫の侵入を防止することができる農業用防虫網が求められていた。
特開2004−113009号公報
本発明は、網の目開きが小さく、害虫の侵入を効果的に防止することができ、かつ、網内の温度上昇を防いで作物を良好な環境で生育させることができ、また、網内での人的作業能率を高めることができる農業用防虫網を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料を含有するフィラメントの網は、目開きを小さくしても網内の温度上昇が少なく、農作物の生長に悪影響を与えないことを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料1〜10重量%を含有するポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントの網からなることを特徴とする農業用防虫網、及び、
(2)網が平織物であり、その目開きが0.20〜4.0mmである(1)記載の農業用防虫網、
を提供するものである。
本発明の農業用防虫網は、網の目開きが小さくても、網内の温度上昇が少なく、小さい害虫までその侵入を防ぎ、良好な環境で農作物を生育させ、品質の優れた農作物を収穫することができる。
本発明の農業用防虫網は、二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料1〜10重量%を含有するポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントの網からなる農業用防虫網である。
本発明に用いる二酸化チタンに特に制限はなく、ルチル形、アナタース形、ブルーカイト形のいずれをも用いることができる。これらの中で、アナタース形の二酸化チタンは、フィラメント中での分散性が良好なので、好適に用いることができる。
本発明に用いる二酸化チタン被覆顔料としては、例えば、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウムなどの薄片状基材を二酸化チタンで被覆した光輝性顔料などを挙げることができる。このような光輝性顔料は、薄片状基材をチタン塩の酸性溶液に分散し、加熱して加水分解することにより基材の表面に酸化チタンの水和物を析出させ、焼成することにより製造することができる。
本発明の農業用防虫網は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントの網からなる。ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエステルは、二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料の分散性が良好であり、二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料を高濃度に含有するフィラメントを容易に紡糸することができ、適当な強度を有し、網への加工性が良好である。これらの中で、ポリエチレンフィラメントは、耐候性が良好なので特に好適に用いることができる。
本発明の農業用防虫網を構成するポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントは、二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料1〜10重量%を含有し、より好ましくは1.5〜3重量%を含有する。二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料の含有量が1重量%未満であると、網内の温度上昇防止効果が十分に発現しないおそれがある。二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料の含有量が10重量%を超えると、フィラメントの紡糸性が不良になるおそれがある。
本発明に用いるポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントは、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれともすることができる。本発明に用いるポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントの太さに特に制限はないが、50〜500dtexであることが好ましく、100〜400dtexであることがより好ましい。フィラメントの太さが50dtex未満であると、農業用防虫網の強度が不足するおそれがある。フィラメントの太さが500dtexを超えると、農業用防虫網の展張性が不良となるおそれがある。本発明において、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントがマルチフィラメントである場合、その単糸デニールは、1〜120デニールであることが好ましく、2〜50デニールであることがより好ましい。
本発明の農業用防虫網の網組織に特に制限はなく、例えば、平織物、綾織物、カラミ織物、本目網、蛙股網、無結節網、ラッセル網などを挙げることができる。これらの中で、平織物は、組織が簡単で効率的に製造することができるので、好適に用いることができる。必要に応じて、目ずれを防止するために、熱処理、樹脂加工などを行うことができる。
本発明の農業用防虫網が平織網である場合、その目開きが0.20〜4.0mmであることが好ましく、0.30〜1.1mmであることがより好ましい。目開きが0.20mm未満であると、農業用防虫網として通気性が不足するおそれがある。目開きが1.7mmを超えると、害虫が侵入しやすくなるおそれがある。
本発明の農業用防虫網の展張方法に特に制限はなく、例えば、図1に示すトンネル型、図2に示す屋根型、図3に示すハウス型などを挙げることができる。
本発明の農業用防虫網は、可視光線の透過率が高く、赤外線の反射率が高い。したがって、防虫網内の農作物は、可視光線のエネルギーにより光合成を行って生長し、鮮やかに発色するが、赤外線が反射されるので、防虫網内の温度上昇が抑制され、蒸れが防止される。本発明の農業用防虫網により、オオタバコガ、ハイマダラノメイガ、モンシロチョウ、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、コナガ、青虫、カブラハバチ、ヨトウムシ、キスジノミハムシ、ダイコンハムシ、アブラムシ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ハモグリバエ、マメハモグリバエ、ナスハモグリバエ、アザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、コナジラミ、オンシツコナジラミ、シルバーリーフコナジラミなどの害虫の侵入を防いで、農作物を保護することができる。また、本発明の農業用防虫網により、害虫の侵入を防ぐのみならず、施設内で使う受粉用昆虫や天敵昆虫などの逃亡を防いで、農作物の生産性を向上することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
高密度ポリエチレン[日本ポリエチレン(株)、HY430、メルトフローレート0.8g/10min]100重量部と、二酸化チタン被覆顔料マスターバッチ[大日精化工業(株)、顔料30重量%]7.7重量部を混合して、太さ167dtexのモノフィラメントを紡糸した。このモノフィラメントから、44×40メッシュ、目開き0.33×0.37mmの平織の農業用防虫網を作製した。
実施例2
実施例1と同様にして、太さ365dtexのモノフィラメントを紡糸し、22×20メッシュ、目開き0.75×0.83mmの平織の農業用防虫網を作製した。
比較例1
高密度ポリエチレン[日本ポリエチレン(株)、HY430、メルトフローレート0.8/10min]より、太さ167dtexのモノフィラメントを紡糸した。このモノフィラメントから、44×40メッシュ、目開き0.33×0.37mmの平織の農業用防虫網を作製した。
比較例2
比較例1と同様にして、太さ365dtexのモノフィラメントを紡糸し、22×20メッシュ、目開き0.75×0.83mmの平織の農業用防虫網を作製した。
実施例3
図4は、試験に用いた装置の説明図である。天面が空いている一辺50cmの立方体の木製の箱1の底面の中央に温度センサー[(株)大成イーアンドエル、サーモリーフ]2を置き、天面に実施例1〜2及び比較例1〜2で作製した農業用防虫網3を張り付けて、4個の防虫網試験装置を作製した。
この試験装置を室内温度20±2℃の試験室内に設置し、試験装置の天面の中央から50cm上方に、熱源として450Wハロゲンヒーター4を取り付けて点灯し、10分ごとに180分間温度センサーにより試験装置内の温度を記録した。
結果を、第1表、図5及び図6に示す。
Figure 2006180759
第1表、図5及び図6に見られるように、二酸化チタン被覆顔料を含有するポリエチレンのモノフィラメントから作製した実施例1〜2の農業用防虫網を張り付けた試験装置内の温度は、180分経過後も、二酸化チタン被覆顔料を含有しないポリエチレンのモノフィラメントから作製した比較例1〜2の農業用防虫網を張り付けた試験装置内の温度より2.5℃ないし3.0℃低く、二酸化チタン被覆顔料を含有するポリエチレンのモノフィラメントを用いることにより、防虫網内の温度上昇が抑制されることが分かる。
本発明の農業用防虫網を用いることにより、網の目開きを小さくして、微小な害虫の侵入も効果的に防止することができ、かつ、防虫網内の温度上昇を防いで作物を良好な環境で生育させ、品質の優れた農作物を収穫することができる。また、作物の葉面温度や果実温度を下げる効果があり、収穫後の賞味期限を延長させることができる。
トンネル型の展張方法の説明図である。 屋根型の展張方法の説明図である。 ハウス型の展張方法の説明図である。 実施例で用いた試験装置の説明図である。 試験装置内の温度の経時変化を示すグラフである。 試験装置内の温度の経時変化を示すグラフである。
符号の説明
1 木製の箱
2 温度センサー
3 農業用防虫網
4 ハロゲンヒーター

Claims (2)

  1. 二酸化チタン又は二酸化チタン被覆顔料1〜10重量%を含有するポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルのフィラメントの網からなることを特徴とする農業用防虫網。
  2. 網が平織物であり、その目開きが0.20〜4.0mmである請求項1記載の農業用防虫網。
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