JP2006176388A - 誘電体磁器およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて薄い誘電体層に適用でき、高い比誘電率と安定した温度特性を有する誘電体磁器およびその製法を提供する。
【解決手段】チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子1が、シリコンを含有する副成分により構成される粒界相3を介して結合された誘電体磁器において、(a)結晶粒子1の平均粒径が0.2μm以下であり、かつ、(b)シリコンをSiO換算で、チタン酸バリウムをBaTiOとしたときに、該BaTiO100質量部に対して、SiOの含有量が0.1質量部以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体磁器およびその製法に関し、特に、小型高容量の積層セラミックコンデンサに好適に用いられる誘電体磁器およびその製法に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化の要求が高まってきている。このような要求に応えるために、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共に、積層数を大きくすることにより、小型・高容量化が図られている。また、薄層化に対応した平坦な誘電体層を形成するため、ならびに薄層化による積層セラミックコンデンサへの印加電界の増大による信頼性低下を抑制するために誘電体層を構成する結晶粒子の微小化が行われている。
例えば、ガラス粒子に着目した下記の特許文献1では、誘電体層の厚みをt、ガラス粒子の最大径をDとしたときに、D/t≦0.5の関係を満足するように誘電体層を形成することで、高い絶縁性を有し、高温負荷試験における信頼性を向上できると記載されている。
また、下記の特許文献2では、誘電体層を構成するチタン酸バリウム結晶粒子について、誘電体層の薄層化とともに、DCバイアス印加時に生じる比誘電率の低下を抑制するために、平均粒径が0.4μm未満のチタン酸バリウム粉末を用いることが記載されている。
特開2003−309036号公報 特開2003−40671号公報 Ferroelectrics,1998,Vols.206−207,pp337−353 M.H.FREY,Z.XU,P.HAN and D.A.PAYNE
ところで、上記した積層セラミックコンデンサの誘電体材料に主として用いられているチタン酸バリウムは、例えば、非特許文献1によれば、ペロブスカイト型の結晶構造を有するものであるが、比誘電率が約4800という極めて高い比誘電率を示すことが知られている。
しかしながら、積層セラミックコンデンサの製造では、通常、誘電体磁器の焼結性を高めるために、例えば、上記特許文献1に記載のように微粒のチタン酸バリウム粉末とともにシリコン成分含有量の多いガラス粉末を用いることが行われているが、このようなガラス粉末を用いた場合、誘電体粉末の局部的な粒成長を誘発させてしまうとともに、添加するガラス成分の誘電体粉末への固溶のしやすさから、本来高誘電率を示す結晶粒子の比誘電率が低下し、そのため、このような結晶粒子を有する積層セラミックコンデンサでは、静電容量が低下するとともに、静電容量の温度特性が大きくなるという問題があった。
従って本発明は、極めて薄い誘電体層に適用でき、高い比誘電率と安定した温度特性を有する誘電体磁器およびその製法を提供することを目的とする。
本発明の誘電体磁器は、(1)チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子が、シリコンを含有する副成分により構成される粒界相を介して結合された誘電体磁器において、前記結晶粒子の平均粒径が0.2μm以下であり、かつ、チタン酸バリウムをBaTiOとしたときに、該BaTiO100質量部に対して、シリコンをSiO換算で、SiOの含有量が0.1質量部以下であることを特徴とする。
上記誘電体磁器は、(2)前記BaTiO以外の副成分の含有量が、前記BaTiOを100質量部としたときに、前記副成分の含有量が2質量部以下であること、(3)前記結晶粒子間の粒界相中央部のシリコンの濃度をCGB、前記結晶粒子の界面からの距離3nmの位置におけるシリコンの濃度をCGRとしたときに、CGB/CGR≧10の関係を満足すること、(4)前記結晶粒子を構成するチタン酸バリウムのバリウムをAサイト、チタンをBサイトとしたときに、モル比で、A/B≧1.003の関係を満足すること、(5)前記結晶粒子の格子定数比がc/a≧1.005の関係を満足すること、(6)前記チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の一部がカルシウムを含有するとともに、前記カルシウムを含むチタン酸バリウムを化学式Ba1−xCaTiOで表したときに、X=0.02〜0.1であること、が望ましい。
そして、本発明の誘電体磁器の製法は、(7)チタン酸バリウムを主成分とする平均粒径が0.05〜0.15μmの誘電体粉末と複数の金属酸化物からなる複合酸化物との混合粉末を成形し焼成して得られる誘電体磁器であって、前記複合酸化物の融点が1000℃以上であることを特徴とするものであり、上記誘電体磁器の製法は、(8)複合酸化物が融点の異なる2種以上であり、そのうちの1種の複合酸化物の融点が1000℃以上であること、(9)複合酸化物とテルビウム酸化物を添加すること、(10)前記チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉末の一部がカルシウムを含有するとともに、前記カルシウムを含むチタン酸バリウムを化学式Ba1−xCaTiOで表したときに、X=0.02〜0.15であること、(11)前記カルシウムを含む誘電体粉末の平均粒径がカルシウムを含まない誘電体粉末の平均粒径よりも小さいこと、が望ましい。
本発明の誘電体磁器によれば、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の平均粒径が0.2μm以下であっても、副成分中のシリコン量を低減させることにより、誘電体粉末の局部的な粒成長を抑制できるとともに、磁器密度を高め、誘電体粉末への固溶を抑制できることから、磁器の比誘電率の低下を抑えることができるとともに、このような結晶粒子を有する誘電体磁器は、高い比誘電率と安定した比誘電率の温度特性を有する誘電体磁器となる。
また、本発明の誘電体磁器の製法によれば、平均粒径が極めて小さい誘電体粉末であっても、添加成分の融点が高いために、焼成時に誘電体粉末への添加成分の固溶を抑制でき、このため、誘電体粉末の粒成長を抑制し、比誘電率の温度特性の安定した誘電体磁器を容易に形成できる。
図1は、本発明の誘電体磁器の内部組織を示す模式図である。本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子1(BT結晶粒子)が、シリコンを含有する副成分により構成される粒界相3を介して結合された誘電体磁器であり、結晶粒子1の平均粒径が0.2μm以下であることが重要である。特に、結晶粒子1の粒径の下限値としては、誘電体磁器の比誘電率を高め、かつ比誘電率の温度依存性を抑制するという理由から0.05μm以上が好ましく、結晶粒子1の平均粒径が0.2μmよりも大きい場合には、高い絶縁性および高温負荷信頼性が得られにくくなるという理由から、0.05〜0.15μmがより好ましい。なお、本発明にかかる結晶粒子1の最大粒径はD90で表したときに0.3μm以下であることが好ましいものである。D90とは、粒度分布における質量での90%積算累積値である。なお本発明における平均粒径はD50(50%積算累積値)である。
また、本発明に係る誘電体磁器は、シリコンをSiO換算で、チタン酸バリウムをBaTiOとしたときに、該BaTiO100質量部に対する前記SiOの含有量を0.1質量部以下としたことを特徴とする。このように誘電体磁器中に含まれるSiOの含有量を低減することにより、結晶粒子1へのSiの固溶量が低減され、結晶粒子1の比誘電率の低下を抑制できる。特に、本発明のように、誘電体磁器が、平均粒径0.2μm以下、D90が0.3μm以下のような極めて微粒な結晶粒子1で構成される場合に、Si成分の低減が比誘電率の向上という点で望ましい。一方、シリコンをSiOとし、チタン酸バリウムをBaTiOとしたときに、BaTiO100質量部に対する前記SiOの含有量が0.1質量部よりも多い場合には、結晶粒子1へのシリコンの固溶量が多くなり誘電体磁器の比誘電率の低下を来たす。
即ち、本発明にかかる誘電体磁器は、BaTiO以外の副成分の含有量が、前記BaTiOを100質量部としたときに2質量部以下であることが望ましい。このようにBaTiO以外の成分を少なくすることにより、結晶粒子1へのSiなどの添加成分以外の成分の固溶量がさらに低減され、結晶粒子1の比誘電率の低下を抑制でき、誘電体磁器の高誘電率化を図ることができる。
つまり、本発明では結晶粒子1間の粒界相3の中央部のシリコンの濃度をCGB、結晶粒子9の界面からの距離3nmの位置におけるシリコンの濃度をCGRとしたときに、CGB/CGR≧10の関係を満足することが望ましい。シリコンの濃度勾配がこのような条件であれば、比誘電率の向上およびその温度特性としてもX5R規格を満足できる。なお、シリコンの濃度勾配は、透過電子顕微鏡に付設された分析装置によって測定できる。
また、本発明にかかる誘電体磁器は、Mg、希土類元素およびMnを含有することが望ましく、このBT結晶粒子に含まれるMg、希土類元素およびMnを含有量は、
BT結晶粒子100質量部に対して、Mg=0.04〜0.14質量部、希土類元素=0.1〜1.5質量部、Mn=0.02〜0.3質量部が好ましい。
これらMg、希土類元素およびMnは焼結助剤に由来するものであることから、これらの元素は結晶粒子1中に一部固溶するが、多くは粒界相3に存在する。
本発明にかかる誘電体磁器において、Mg、希土類元素は結晶粒子をコアシェル構造とする成分であり、一方、Mnは還元雰囲気における焼成によって生成するBT結晶粒子中の酸素欠陥を補償し、絶縁性および高温負荷寿命を高めることができる。
また本発明にかかる誘電体磁器では、Si成分と同様に、希土類元素が粒子表面である粒界相3を最高濃度として結晶粒子1の表面から粒子内部にかけて濃度勾配を有するとともに、0.05原子%/nm以上であることが、比誘電率および高温負荷寿命の向上とともに容量温度特性としてもX5R規格を満足できるという点で望ましい。ここで本発明における希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Er、Tm、Yb、Lu、Scのうち少なくとも1種が好ましい。
上記のように、本発明の誘電体磁器を構成する結晶粒子1は、粒子中心よりも粒子表面側に焼結助剤に由来する、特に、Siが偏在したコアシェル型構造を形成し、その結果、高誘電率となり、高絶縁性という特性を有している。本発明にかかる誘電体磁器の比誘電率は1400以上、特に2000以上であることが好ましい。
さらに、上記した誘電体磁器を構成する結晶粒子1において、格子定数比がc/a≧1.005の関係を満足させると、さらに高い比誘電率を得ることができる。つまり、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子1の結晶構造をc/a≧1.005とすると、結晶粒子1中の正方晶の割合が高まるとともに、反対に立方晶の割合が減少するために、結晶粒子1自体の高誘電率化を図ることができる。加えて本発明では、結晶粒子1を構成するチタン酸バリウムにおける、バリウムのAサイト、およびチタンのBサイトのモル比が、A/B≧1.003の関係を満足することが望ましく、このようにA/B比を上記のように規定することにより、結晶粒子1の粒成長を抑制でき比誘電率の温度特性を安定化できる。
こうして本発明にかかる微粒子かつ高誘電率の誘電体磁器を用いることにより、小型高容量の積層セラミックコンデンサを形成できる。
図2は、積層セラミックコンデンサを示す概略断面図である。本発明の誘電体磁器を用いて形成される積層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体11の両端部に外部電極13が形成されている。この外部電極13は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。コンデンサ本体11は誘電体層15と内部電極層17とが交互に積層され構成されている。誘電体層15は、本発明の誘電体磁器により構成されている。
その厚みは2μm以下、特に1μm以下であることが積層セラミックコンデンサを小型高容量化する上で望ましい。さらに本発明では、静電容量のばらつきおよび容量温度特性の安定化のために、誘電体層15の厚みばらつきが10%以内であることがより望ましい。
内部電極層17は、高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望ましく、特に、本発明にかかる誘電体層15との同時焼成が図れるという点でニッケル(Ni)がより望ましい。
次に、本発明に係る誘電体磁器の製法について詳細に説明する。本発明の誘電体磁器の製法は、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉末と複数の金属酸化物からなる複合酸化物粉末との混合粉末を含有する混合粉末を所定の形状に成形して焼成することを特徴とするものである。
本発明の製法に用いられる誘電体粉末であるチタン酸バリウム粉末(BT粉末)は、BaTiOで表される原料粉末である。この誘電体粉末は、固相法、液相法(蓚酸塩を介して生成する方法を含む)、水熱合成法などから選ばれる合成法により得られたものである。このうち得られる誘電体粉末の粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成法により得られた誘電体粉末が望ましい。
ここで、用いる混合粉末のうちチタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉末の平均粒径は0.05〜0.15μmの範囲であることが重要である。誘電体粉末の平均粒径が0.05μmより小さい場合には比誘電率がもともと低いか、粒成長しやすく、焼成における粒径制御が困難となる。0.15μmより大きい場合には、誘電体層の薄層化に際し、絶縁性が低下し、誘電体層5の表面を平坦化できない。複合酸化物についてもチタン酸バリウム粉末と同程度の粒径であることが分散性および焼結速度の点で好ましい。なお本発明にかかるチタン酸バリウム粉末は、合成時点において複数回の仮焼を行うことにより、微粉末であっても正方晶の割合を高めることでき、ここで、c/aは1.003以上であることが好ましい。
また本発明では、前記複合酸化物の融点が1000℃以上であることを特徴とするものである。また、本発明では融点の異なる2種以上の複合酸化物を用いることが望ましく、この場合、前記2種の複合酸化物のうちの1種の複合酸化物の融点が1000℃以上であることが好ましい。複合酸化物が融点の異なる2種以上の混合物である場合、融点が1000℃以上の複合酸化物がチタン酸バリウム粉末への添加物成分の固溶を抑止しつつ、それぞれの複合酸化物が融点付近から焼結助剤として作用する為、幅広い温度範囲で磁器を焼結させることが可能となる。
一方、複合酸化物の融点が1000℃より低い場合には、チタン酸バリウムなどの誘電体粉末の平均粒径が極めて小さい場合に、焼成時に誘電体粉末への添加成分の固溶が起こりやすく、このため、誘電体粉末の粒成長が起こり、薄層化した誘電体層としての絶縁性や比誘電率の温度特性を満足できないという問題が発生する。
また、融点1000℃以上の融点の複合酸化物を固溶抑止の目的で1種以上添加すれば、融点の異なる複合酸化物を混合することにより、広い温度範囲で、高い磁器密度を得ることができる。例えば、低い融点の複合酸化物を添加することにより、焼成温度範囲を低温側に広くすることが可能である。反対に、高い融点の複合酸化物を添加すれば、焼成温度範囲を高温側に広くすることが可能となる。つまり、融点の異なる2種以上の複合酸化物を用いることにより、単独で添加した場合よりも焼成温度幅を広くでき、焼成温度による焼結密度の変化を小さくできる。これとともに、比誘電率およびその温度特性についても焼成温度による変化率を低減できる。
通常、チタン酸バリウム粉末の粒子径が0.05〜0.15μmという微粒になると、チタン酸バリウム自体の焼結性が高い為、融点の低い焼結助剤を添加した場合、焼結性が助長され、粉末同士の粒界の成長及びコアシェル構造が破壊されてしまうものである。
これに対し、融点が1000℃以上の複合酸化物を添加した場合には、粉末自体の焼結性を抑止することができる為、粉末同士の粒界の成長及びコアシェル構造の破壊を抑止することが可能となる。これにより、少ない添加剤量でコアシェル構造を形成できる為、比誘電率の高い誘電体磁器が提供できる。
かくして得られる本発明の誘電体磁器は高誘電率を有している。例えば、平均粒子径が0.1μmのチタン酸バリウムを用いた場合、20℃での比誘電率ε(20℃)が1900以上、温度変化率TCCは±15%以内であることが望ましい。
融点が1000℃以上の複合酸化物としては、例えば、Bao=40〜70質量%、
CaO=20〜40質量%、SiO=5〜30質量%が好適である。高融点の複合酸化物として、その融点は、上記組成および2種以上の複合酸化物の混合割合を適宜調整することにより変えることができ、この場合、LiやB成分を一切含まないことが高融点かつ液相を形成しにくいという点で好ましい。
また、本発明では、チタン酸バリウム粉末に対して複合酸化物とともにテルビウム酸化物を添加することが望ましい。イオン半径が比較的大きいテルビウム(Te)は、チタン酸バリウムに固溶しやすいことから、その添加量を少なくすることが可能となる。これにより、チタン酸バリウムとの反応層である比較的誘電率の低いシェル層を薄くすることができ、誘電体磁器の比誘電率を向上できる。同時に1000℃以上の複合酸化物を添加することにより焼結性を抑止することができる為、粉末同士の粒界の成長及びコアシェル構造の破壊を抑止することが可能となる。これにより比較的固溶しやすいテルビウムを用いてもコアシェル構造をより形成しやすくでき比誘電率の高い誘電体磁器が提供できる。この場合、テルビウム元素は基本的にTeのような金属酸化物のかたちで添加される。
ここで用いる複合酸化物は当該元素を含有する化合物を用いて、固相法、液相法、あるいは気相法のいずれかの方法を用いて合成される。前記製法のなかで特に原料単価が安く、合成方法も仮焼手段が取れ、多量に生産できるという点で固相法が好ましい。
また上記誘電体磁器の製法では、チタン酸バリウム粉末にMg、希土類元素およびMnの酸化物を添加することが粒成長抑制および絶縁性などの特性向上の点で好ましいものである。希土類元素として、特にYおよびTbが好ましい。Yは誘電体磁器の比誘電率を高める効果がある。
上記誘電体粉末に添加する成分は、BT粉末100質量部に対して、それぞれ、Mg=0.04〜0.14質量部、希土類元素=0.1〜1.5質量部、Mn=0.04〜0.3質量部であることが好ましい。なお、チタン酸バリウム粉末に上記Mg、Mn希土類元素を被覆させたものであれば、Mg、Mn希土類元素量を低減できる。
複合酸化物の添加量は、チタン酸バリウム粉末である誘電体粉末100質量部に対して、0.3〜2質量部であることが磁器の焼結性を高め、誘電体磁器の比誘電率を高めるという点で好ましい。
本発明にかかるチタン酸バリウム粉末は上述のように、A/B比が1.003以上であることが好ましいが、このような粉末は、チタン酸バリウム粉末の表面に炭酸バリウムなどの粉末を固着させると粒成長が抑制される。なお、バリウム成分のBT粉末への被覆加工は仮焼のほかに表面にメカノケミカル的に被覆して形成することもできる。メカノケミカル的な被覆加工は仮焼などの方法を用いないために元のペロブスカイト型のチタン酸バリウム構造を崩すことなくバリウム成分を増やすことができるために、チタン酸バリウム粉末の比誘電率を高く維持させることができる。
次に、上記チタン酸バリウム粉末に対して複合酸化物などの添加物を混合した混合粉末を所定の形状に成形し、この成形体を、所定の雰囲気下、温度条件で焼成して誘電体磁器が形成される。
焼成温度は最高温度が1100〜1300℃の範囲で、最高温度での保持時間が2〜3時間、雰囲気は、積層セラミックコンデンサにする場合に内部電極層として卑金属を用いることができるという点で水素−窒素が好ましい。また、焼成後の熱処理(再酸化処理)の最高温度が900〜1100℃、雰囲気が窒素であることが好ましい。
上記述べた本発明にかかるチタン酸バリウム粉末を基本とする結晶粒子1は、一般に、焼結時に原子拡散による粒成長を起こしやすく、微小粒径の緻密な焼結体を得にくいものである。特に、用いる原料粒子サイズがサブミクロンより小さい場合、粒子体積に対し、表面積が大きな割合を占め、表面エネルギーが大きいことによって、エネルギー的に不安定な状態になってしまう。このため、焼成に際して、原子拡散による粒成長を生じ、表面積が小さくなって表面エネルギーの低下による安定化が生じる。従って、粒成長が起こりやすく、微小サイズの粒子からなる緻密焼結体は得にくいものとなっている。
具体的には、0.15μmより小さい微小粒子サイズの結晶粒子1の焼結体は、容易に固溶や粒成長を生じ、粒子間の原子の移動を抑制するものを粒子間に導入しなければ1μmを越える大きな粒子サイズからなる焼結体が形成されてしまい、サブミクロン以下の微小粒子サイズからなる緻密な焼結体を得るのは困難である。しかるに、本発明では、微小結晶原料とともに、融点がより焼結温度に近い添加成分、もしくは融点が焼結温度に近く、かつ融点の異なる添加成分を混合し、さらに焼成条件を調整する事により、原料結晶粒子のサイズを反映した微小粒子焼結体を得ることができる。また、チタン酸バリウムにおいてAサイト側の元素比を高くすると、バリウムが粒子表面に多く存在することにより、これらバリウムが粒子表面に拡散し液相を形成する事により、焼結を促進するとともに、粒界近傍及び粒界に存在して母相である結晶粒子間におけるBa、TiあるいはMg、Mn、希土類元素などの添加成分原子の移動を抑制し粒成長を抑える。
この結果、結晶粒子1の表面側にバリウムのほかにMg及び希土類元素が拡散固溶した結晶相が形成されることになる。即ち、Mg及び希土類元素が粒子表面に偏在したコアシェル構造が形成される。尚、このようなコアシェル構造の形成は、これらの結晶粒子1を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
なお、上記本発明のチタン酸バリウムと複合酸化物を含む混合粉末を用いてグリーンシートを形成し、このグリーンシートの主面に内部電極パターンを形成し、この内部電極パターンを形成したグリーンシートを複数積層し、積層体を形成し、上記温度条件で焼成することにより、本発明の誘電体磁器を誘電体層として具備する積層セラミックコンデンサを形成できることはいうまでもない。
図4は、本発明の他の誘電体磁器の内部組織を示す模式図である。この誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子1(BT結晶粒子)と、このチタン酸バリウムの結晶粒子間にカルシウムを含有するチタン酸バリウム結晶粒子(BCT結晶粒子)11とから構成されるものであり、このように複合した結晶粒子によっても誘電特性に優れた誘電体磁器を形成できるものである。この場合、誘電体磁器中のシリコン量はSiO換算でBT結晶粒子およびBCT結晶粒子の合量を100質量部に対して求める。
即ち、前記チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の一部がカルシウムを含有するとともに、前記カルシウムを含むチタン酸バリウムを化学式Ba1−xCaTiOで表したときに、X=0.02〜0.1であることが望ましい。
Xが0.02以上であるとチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子がCaの固溶により比誘電率のACバイアスによる依存性が大きくなり、このため比誘電率を高くできるという利点がある。
Xが0.1以下であるとチタン酸バリウムへのCaの固溶限界以下となり異種の結晶相が生成し難いために誘電体磁器の高誘電率に効果的な結晶相の割合が多くなり、このため比誘電率を向上できるという利点がある。
また本発明の誘電体磁器では、Ca成分濃度の高い結晶粒子はCa成分濃度の低いBT結晶粒子間に存在する場合の他に、このCa成分濃度の高い結晶粒子がBT結晶粒子に比較して極めて微粒子である場合にはCa成分濃度の低い結晶粒子間の粒界相を形成しているものであることが望ましい。Ca成分濃度の高い結晶粒子は、元々Ca成分濃度の低い結晶粒子に比べて融点が低いために粒界相としてCa成分濃度の低い結晶粒子の焼結性を向上できるという利点がある。このような誘電体磁器は、主結晶粒子に含有されるCaのBaに対する平均濃度が、結晶粒子の界面からの距離3nmの位置において1モル%以上である。
また、本発明のカルシウムを含む結晶粒子からなる誘電体磁器においても、前記カルシウムを含まない結晶粒子からなる誘電体磁器の場合と同様、誘電体層の薄層化に伴う絶縁性向上という理由からその結晶粒子の平均粒径は0.2μm以下、D90であっても0.3μm以下であることが望ましい。ここでD90とは粒度分布測定における小粒径からの90%累積での粒径の値を意味するものである。誘電体磁器について平均粒径およびD90は電子顕微鏡観察により得られた結晶組織写真から、その単位面積内に存在する任意の個数の結晶粒子を画像解析により求める。
この誘電体磁器においては、特に粒界相におけるSi濃度が検出限界以下であることが好ましく、このように粒界相のSi濃度が低いと粒界相自体の比誘電率が高くなり、このため誘電体磁器の比誘電率を自ずと高めることができる。
また、本発明にかかるカルシウムを含むチタン酸バリウムの結晶粒子を有する誘電体磁器においても、上述のBT結晶粒子と同じように、この結晶粒子にもMg、希土類元素およびMnを含ませることができるが、この場合、前記BT結晶粒子と同じ添加量であることが望ましく、その効果もまたBT結晶粒子の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
上記のように、本発明のBCT結晶粒子11を有する誘電体磁器においても、BT結晶粒子1の場合と同様、そのBCT結晶粒子11は、粒子中心よりも粒子表面側に焼結助剤に由来する、特に、Siが偏在したコアシェル型構造を形成し、その結果、高誘電率となり、高絶縁性という特性を有している。本発明にかかる誘電体磁器の比誘電率は1500以上、特に2000以上であることが好ましい。
さらに、上記したBCT結晶粒子11を有する誘電体磁器についても格子定数比c/a≧1.005の関係を満足させるとさらに高い比誘電率を得ることができる。加えて本発明では、BCT結晶粒子11を構成するチタン酸バリウムにおける、バリウムのAサイト、およびチタンのBサイトのモル比が、A/B≧1.003の関係を満足することが望ましく、このようにA/B比を上記のように規定することにより、BCT結晶粒子11の粒成長を抑制でき比誘電率の温度特性を安定化できる。この場合、カルシウムを含まないチタン酸バリウムのBT結晶粒子1もまた、粒成長の抑制という点で、A/B≧1.003の関係であることが望ましい。
そして、上記したBCT結晶粒子11を有する誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする粉末(BT粉末)と、チタン酸バリウムにおけるバリウムの一部をカルシウムで置換したチタン酸バリウムカルシウム(BCT粉末)との混合粉末を成形し焼成して得られるものであり、前記カルシウムを含むチタン酸バリウムを化学式Ba1−xCaTiOで表したときに、X=0.02〜0.15であることが好ましい。
この場合、BCT粉末の平均粒径がBT粉末の平均粒径よりも小さいことが望ましく、例えば、BT粉末の平均粒径が0.05〜0.15μmである場合に、BCT粉末の平均粒径を0.05μm以下とすると、BT粉末の焼結においてBCT粉末を焼結助剤としても用いることができる。
本発明では、まず、用いる複合酸化物の融点を確認するために各種複合酸化物を直径12mm、厚み1mmのタブレット状に成形し、これを焼成して示差熱分析(DTA)装置を用いて評価した。その組成と融点の結果を表1に示した。
また、用いたチタン酸バリウムの平均粒径、焼結助剤とその添加量、焼成温度および誘電体磁器の特性を表2に示した。用いるチタン酸バリウム粉末は、チタン酸バリウム粉末100質量部に対して、Mg、Y、Mnが酸化物換算で、0.3、0.7、0.2質量部を添加して含有させた。表6に示した試料では、Yの代わりにTbを表6に示す量だけ添加した。ここで用いるBT粉末におけるA/Bサイト比は1.003、c/a=1.005のものも用いた。
上記粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合した。次に、湿式混合した粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエン・アルコールの混合溶媒を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合して、直径16mm、厚み1mmのタブレット状に成形し、これを大気中にて焼成して試料を作製した。電極はタブレットの上下表面にIn−Ga電極を塗布して形成した。
次に、上記誘電体磁器を構成する結晶粒子の平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた。研磨面をエッチングし、電子顕微鏡写真内の結晶粒子を任意に20個選択し、インターセプト法により各結晶粒子の最大径を求め、それらの平均値(D50)を求めた。
次に、上記誘電体磁器を厚さ400μmに研磨加工し、試料上下面にIn−Gaを塗布して電極を形成した。電気特性は、LCRメータを用いて−25℃〜85℃の温度範囲で、AC:1V、測定周波数:1kHzの条件で静電容量を測定し比誘電率を算出した。比誘電率の温度変化率TCCを、下記式:TCC(%)={ε(T)−ε(20℃)}×100/ε(20℃)より求めた。20℃を基準温度としている。結晶粒子間の粒界相中央部および結晶粒子の界面からの距離3nmの位置におけるシリコンの濃度は透過電子顕微鏡に付設した分析装置により求めた(図3は、(a)従来、(b)本発明の、誘電体磁器中のシリコンの濃度分布を示すグラフである)。結果を表1〜6に示した。
Figure 2006176388
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表1~6の結果から明らかなように、平均粒径が0.05〜0.17μmのチタン酸バリウム粉末に対して融点が1000℃以上の複合酸化物を所定量添加して得られた本発明に係る誘電体磁器では、結晶粒子の平均粒径が0.2μm以下であった。また、本発明のかかる試料No.7〜10ではシリコンをSiOとし、チタン酸バリウムをBaTiOとしたときに、該BaTiO100質量部に対する前記SiOの含有量が0.1質量部以下であり、比誘電率が高く(平均粒子径0.12μmで1830以上)、比誘電率の変化率も85℃と125℃において−7.1〜−11.7%となり全て±15%以内であった。また、本発明の試料(No.7)は、結晶粒子間の粒界相中央部のシリコンの濃度をCGB、結晶粒子の界面からの距離3nmの位置におけるシリコンの濃度をCGRとしたときに、CGB/CGR=17であり、融点が900℃の複合酸化物を用いた試料(No.13)に比較してSi成分の拡散が抑制されていた。
また、表4、5の結果から明らかなように、平均粒径0.1μmのチタン酸バリウム粉末に対して、融点の異なる複合酸化物を所定量添加して得られた本発明に係る誘電体磁器(試料No.22.24)では、焼成密度が5.75g/cm以上になる温度範囲を広くでき、比誘電率が1440〜1700であり、比誘電率の温度特性についても85℃で最高−9.4%、125℃においても−14.8%以内であった。
また、表6の結果から明らかなように、融点が1220℃の複合酸化物とともに、酸化イットリウムの代わりに酸化テルビウムを0.4質量部添加した誘電体磁器では、チタン酸バリウム粉末の平均粒径が0.05〜0.15μmの場合に、結晶粒子サイズが0.17μm以下、誘電体磁器の焼結密度が5.7以上となり、比誘電率が高く(平均粒子径0.1μmで1450以上)、比誘電率の変化率も85℃において−7.5%、125℃において−14.3%であり、いずれも±15%以内であった。
一方、チタン酸バリウム粉末の平均粒径が0.05〜0.15μmの範囲にない場合には結晶粒子が異常粒成長し、比誘電率の温度変化率が±15%を外れるか、または、本発明で規定する結晶粒子サイズを満たさないものとなった。
複合酸化物の融点が1000℃未満の場合には、結晶粒子の平均粒径が0.2μmよりも大きくなるか、または比誘電率が大きいが比誘電率の温度変化率が±15%を外れていた。
本実施例では、カルシウムを含まないチタン酸バリウム粉末(BT粉末)は実施例1と同じ粉末を用い、このBT粉末に対してカルシウムを含むチタン酸バリウム粉末(BCT粉末)を添加した。それらの平均粒径、焼結助剤とその添加量、焼成温度および誘電体磁器の特性を表7に示した。BT粉末BCT粉末の両チタン酸バリウム粉末は、質量比で100:0.3〜100:1.2の割合で混合した。ここで、BCT粉末のCa量はBa1−xCaTiOで表したときにX=0.02〜0.1とした。
また、これらBT粉末およびBCT粉末の混合粉末100質量部に対して、Mg、Y、Mnが酸化物換算で、0.3、0.7、0.2質量部を添加して含有させた。
次に、上記粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合した。次に、湿式混合した粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエン・アルコールの混合溶媒を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合して、直径16mm、厚み1mmのタブレット状に成形し、これを大気中にて焼成して試料を作製した。
次に、上記誘電体磁器を構成する結晶粒子の平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた。研磨面をエッチングし、電子顕微鏡写真内の結晶粒子を任意に20個選択し、インターセプト法により各結晶粒子の最大径を求め、それらの平均値(D50)を求めた。
次に、上記誘電体磁器を厚さ400μmに研磨加工し、試料上下面にスパッタ法によりAu電極を形成した。電気特性は、LCRメータを用いて−25℃〜85℃の温度範囲で、AC:1V、測定周波数:1kHzの条件で静電容量を測定し比誘電率を算出した。比誘電率の温度変化率TCCを、下記式:TCC(%)={ε(T)−ε(20℃)}×100/ε(20℃)より求めた。20℃を基準温度としている。
また、高温負荷寿命は、250℃の恒温糟中に保持した試料に直流400Vを印加し、抵抗値が初期値に比べ、1桁低下した時間とした。
結晶粒子間の粒界層中央部および結晶粒子の界面からの距離3nmの位置におけるカルシウムの濃度は透過電子顕微鏡に付設した分析装置により求めた。また、磁器中のCa量およびA/B比はICP法を用いて分析した。c/a比はX線回折により求めた。結果を表7に示した。
Figure 2006176388
表7の結果から明らかなように、平均粒径が0.05〜0.18μmのチタン酸バリウム粉末に対して、平均粒径が0.1μm以下で、Ca濃度が2〜10モル%であるBCT粉末を所定量添加して、適正な焼成温度下で得られた本発明に係る誘電体磁器では磁器中の結晶粒子の平均粒径が0.2μm以下であった。また、これら本発明の試料では結晶粒子の表面から3nmの位置におけるCa量が1.5atm%以上であり、比誘電率が1510以上であり、比誘電率の変化率も−25℃と85℃において−7〜−8.2%となり全て±10%以内であった。また、高温負荷寿命も13時間以上であった。
ただし、BCT粉末を1.2質量部添加した試料No.33、46では焼成後の結晶粒子の平均粒径を0.2μm以下にするためにBCT粉末の添加量が0.6質量部以下の試料に比較して低い焼成温度での焼成が必要となり、そのため磁器全体のA/B比が1.002となり、c/aも低下した。また、BT粉末およびBCT粉末を両方同じ粒径のものを用いた場合(試料No.47)には、BT粉末の焼結性が低下し、高温負荷寿命が低下した。
本発明の誘電体磁器の内部組織を示す模式図である。 積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 (a)従来製法、(b)本発明の、誘電体磁器中のシリコンの濃度分布を示すグラフである。 本発明の他の誘電体磁器の内部組織を示す模式図である。
符号の説明
1 結晶粒子
3 粒界相
11 BCT結晶粒子

Claims (11)

  1. チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子が、シリコンを含有する副成分により構成される粒界相を介して結合された誘電体磁器において、前記結晶粒子の平均粒径が0.2μm以下であり、かつ、チタン酸バリウムをBaTiOとしたときに、該BaTiO100質量部に対して、シリコンをSiO換算で、SiOの含有量が0.1質量部以下であることを特徴とする誘電体磁器。
  2. 前記BaTiOを100質量部としたときに、前記副成分の含有量が2質量部以下である請求項1記載の誘電体磁器。
  3. 前記結晶粒子間の粒界相中央部のシリコンの濃度をCGB、前記結晶粒子の界面からの距離3nmの位置におけるシリコンの濃度をCGRとしたときに、CGB/CGR≧10の関係を満足する請求項1または2に記載の誘電体磁器。
  4. 前記結晶粒子を構成するチタン酸バリウムのバリウムをAサイト、チタンをBサイトとしたときに、モル比で、A/B≧1.003の関係を満足する請求項1乃至3のうちいずれか記載の誘電体磁器。
  5. 前記結晶粒子の格子定数比がc/a≧1.005の関係を満足する請求項1乃至4のうちいずれか記載の誘電体磁器。
  6. 前記チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の一部がカルシウムを含有するとともに、前記カルシウムを含むチタン酸バリウムを化学式Ba1−xCaTiOで表したときに、X=0.02〜0.1である請求項1乃至5のうちいずれか記載の誘電体磁器。
  7. チタン酸バリウムを主成分とする平均粒径が0.05〜0.15μmの誘電体粉末と複数の金属酸化物からなる複合酸化物との混合粉末を成形し焼成して得られる誘電体磁器の製法であって、前記複合酸化物の融点が1000℃以上であることを特徴とする誘電体磁器の製法。
  8. 複合酸化物が融点の異なる2種以上であり、そのうちの1種の複合酸化物の融点が1000℃以上である請求項7記載の誘電体磁器の製法。
  9. 複合酸化物とテルビウム酸化物を添加する請求項7または8記載の誘電体磁器の製法。
  10. 前記チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉末の一部がカルシウムを含有するとともに、前記カルシウムを含むチタン酸バリウムを化学式Ba1−xCaTiOで表したときに、X=0.02〜0.15である請求項7乃至9のうちいずれか記載の誘電体磁器の製法。
  11. 前記カルシウムを含む誘電体粉末の平均粒径がカルシウムを含まない誘電体粉末の平均粒径よりも小さい請求項11に記載の誘電体磁器の製法。
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