JP2006175561A - サイアロン製インサートおよび切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 切削工具の基材の強度を低下させることなく被削材と工具刃先の化学反応による摩耗およびアブレッシブな機械的摩耗を低減し、工具寿命を改善することを目的とする。
【解決手段】 焼結体中の粒界相が5〜20%であり、サイアロン粒子中のαサイアロンの比率を示すα率が40%以下であり、Si6−ZAl8−Zで表されるβサイアロンのZ値が0.2〜1.0であり、焼結体の(βサイアロンの実測Z値)/(焼結体組成から計算される理論Z値)で表されるAlの固溶率Aが70%以上であるサイアロン製インサートおよびこれを備えた切削工具。
【選択図】 図1

Description

本発明はサイアロン製インサートおよび切削工具に関し、詳しくは刃先が摩耗し難く、耐欠損性に優れた寿命の長いサイアロン製インサートおよび切削工具に関する。
切削用工具は図2に例示する外径加工用ホルダーのように、ホルダーと呼ばれる支持体の先端に使い捨ての刃先であるインサート(スローアウェイチップ、刃先交換チップなどを言う。)を取り付けた構造が多い。このインサートには被削材の種類、加工工程、切削速度などによって各種の材料が使用されている。例えば、超硬合金、サーメット、セラミック、CBN、さらにはこれらの表面に被膜をコーティングした材料が用いられている。その中でも普通鋳鉄(FCと略称する)材の粗加工、特に高速加工には窒化珪素系セラミック製のインサートが好適とされている。
近年、自動車の燃費向上を目的としてFC材を主とする自動車部材の軽量化が大きな課題となっている。このような背景から、自動車部材の薄肉化、軽量化の要求が高まっており、粗加工と雖も高精度の加工が要求されるようになって来た。これらFC材の粗加工については、従来は窒化珪素製切削工具の使用が多かったが、窒化珪素自体は共有結合性の材料であり、高速加工時の高温によりシリコンと窒素に分解しやすいことが欠点であった。その分解反応は、切削加工時に窒化珪素がFC材の主要成分である鉄や炭素と高い切削圧力にて接触することで化学反応が起こり、より早く進むことになる。工具刃先の窒化珪素が分解することにより刃先が摩耗、損傷する。刃先が摩耗すると被削材の面粗度や寸法精度が悪化して、ついには工具が使用不能となり工具寿命となる。
被削材によるインサート材料の化学反応を抑制する方法として、インサート表面に鉄と反応性の低い、チタン化合物やアルミ化合物からなる硬質層を被覆することが知られている。例えば、特許文献1には窒化チタン、炭化チタン等のチタン化合物とアルミナ等のアルミ化合物を被覆し、FC材を切削加工する事例が開示されている。さらに、被削材とインサート基材の化学反応を抑制するために、窒化チタンやアルミナを添加し、基材自体の化学反応性を抑制させる方法が知られている。この窒化チタンは、分散粒子として組織中に存在し、基材の耐化学反応性を改善する。また、アルミナは窒化珪素粒子内に固溶し窒化珪素粒子自体の耐化学反応性を改善するとされている。これらの方法は、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに報告されている。
特許第3107168号公報 特表平6−510965号公報 特開平10−36174号公報 特開2004−527434号公報
一方、サイアロンは窒化珪素等と比較して優れた硬度と室温から高温にいたるまで高い強度を示し、化学的安定性が高い素材として知られている。そのため、耐熱性および耐化学反応性が要求される熱鋼の圧延用ガイドロールやダイス、アルミニウム・ダイキャスト機械のスリーブなどの構造材料として使われていた。また、耐摩耗性が良好であることから切削工具や軸受けにも利用が広がってきた。しかし、サイアロン製切削工具は難削性の耐熱合金等の粗切削加工に用いられる程度で、被削材の面粗度や寸法精度に影響する工具刃先の耐摩耗性についてはあまり考慮されていなかった。
上述のような基材表面に被覆層を形成したインサートでは、被削材と切削工具基材の化学反応による磨耗は抑制されるが、被覆時に窒化珪素基材と窒化チタンやアルミナの熱膨張係数の相違により被覆層に引っ張り残留応力が生じ、被覆層を破壊の起点として工具刃先が欠損し工具寿命が低下する事がある。最近は、窒化珪素基材に窒化チタンを添加すると、窒化チタンと窒化珪素粒子の熱膨張係数の相違による耐熱衝撃性の低下を招く場合がある。窒化珪素基材へのアルミ化合物の添加による単なるサイアロン化では、粒子自体の強度が低下してしまい、とりわけ高速切削時の工具寿命を低下させてしまうことがある。また、アルミ化合物が窒化珪素粒子内に固溶せず、粒界相として残ったアルミ化合物は固溶したアルミ化合物と比べ分解反応に起因する摩耗、損傷に対しては大きな差はないが、機械的な摩耗が大きくなる場合がある。
本発明はこうした問題点解決するため、材料強度を低下させることなく、被削材とインサートの化学反応による摩耗、およびアブレッシブな機械的摩耗を低減し、寿命の長いサイアロン製インサートを提供することを目的としている。
本発明者らは、このような切削工具素材の分解反応により刃先が摩耗する機構を鋭意研究したところ、FC材と工具材質の化学反応を抑制することが工具寿命を延長させるために重要であることを見出した。また、特定のサイアロン製インサートが基材の強度を低下させることなく被削材と工具刃先の化学反応による摩耗およびアブレッシブな機械摩耗を低減し、工具寿命を改善できることを見出した。すなわち、本発明の課題を解決するための手段は以下のようなものである。
(1)焼結体中の粒界相が5〜20%であり、サイアロン粒子中のα−サイアロンの比率を示すα率が40%以下であり、Si6−ZAl8−Zで表されるβ−サイアロンのZ値が0.2〜1.0であり、焼結体中の{(β−サイアロンの実測Z値)/(焼結体組成から計算される理論Z値)}で表されるAlの固溶率Aが70%以上であるサイアロン製インサートである。
(2)Sc、Y、Ce、Er、Dy、Yb、Luの各元素から選ばれる1種以上を、焼結体に対し酸化物換算で0.5〜10モル%含有している(1)に記載のサイアロン製インサートである。
(3)焼結体中に硬質成分としてチタンの炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる1種以上を30モル%以下含有している(1)または(2)に記載のサイアロン製インサートである。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のサイアロン製インサートをホルダーに備えた切削工具である。
本発明のインサートおよび切削工具はサイアロン製であり、切削刃の強度が高いだけでなく、被削材と工具基材の化学反応による分解、摩耗を抑えることができる。また、アルミニウムの固溶率を規定することは、サイアロンを切削工具として使用する際アブレッシブ摩耗に代表される機械的損傷を抑制することができ、工具寿命を大幅に改善することができる。特に、本発明のサイアロン製インサートおよび切削工具はFC材等の切削に最適であり、粗切削加工用工具として用いても被削材の面粗度や寸法精度に影響する工具刃先の耐摩耗性に優れ、面粗度や寸法精度のよい切削加工が長時間継続できる。
本発明のインサートは、β−サイアロンおよびα−サイアロンからなるサイアロン相またはβ−サイアロンからなるサイアロン相を主相とし、焼結助剤を添加して焼結した焼結体である。そして、このサイアロン製のインサートは焼結体中の粒界相が5〜20%であり、サイアロン粒子中のα−サイアロンの比率を示すα率が40%以下であり、Si6−ZAl8−Zで表されるβ−サイアロンのZ値が0.2〜1.0であり、焼結体中のβ−サイアロンの実測されるZ値と焼結体組成から計算される理論Z値の比で表されるAlの固溶率A(=実測Z値/理論Z値×100)が70%以上である。
サイアロンは原料となる窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、シリカなどのSi,Al,O,Nといった構成元素を含む原料粉末に焼結助剤等を加えて焼結したものである。通常、サイアロンには組成式Si6−ZAl8−Z(0<Z≦4.2)で表されるβ-サイアロンと、組成式Mx(Si,Al)12(O,N)16(0<X≦2、MはMg,Ca,Sc,Y,Dy,Er,Yb,Lu等の侵入型で固溶する元素を示す。)で示されるα−サイアロンが焼結体中で混在している。β−サイアロンは窒化珪素同様に針状組織が絡み合った組織となるため、高靭性であり、α−サイアロンは等軸状の粒子形状であるため、低靭性ではあるが、β−サイアロンと比較して硬度が高い特徴を有する。
サイアロン粒子間の粒界相は、焼結助剤、窒化珪素及び窒化珪素に不純物として含まれるシリカ成分等が焼結時に液相化して、サイアロン粒子の生成、サイアロン粒子の再配列、粒成長に寄与したあと、冷却時に固化してガラス相あるいは結晶相としてサイアロン粒界に生成するものである。この粒界相は、サイアロン粒子と比較すると、低融点かつ低靱性、低硬度であるため、サイアロン焼結体の耐熱性、靱性、硬度を改善するためには、適切な量に制御する必要がある。しかし、粒界ガラス相および粒界結晶相は、例えば焼結助剤量の低減により、減少させることができるが、5%未満まで減少させると、サイアロン焼結体の強度を低下させる原因となる。逆に20%より増やすと、前述のように粒界相はサイアロン粒子と比較すると、融点、靱性、硬度が劣る成分である為、サイアロン焼結体の耐熱性、靱性、硬度が低下してしまうことになる。その結果、アブレッシブ摩耗に代表されるような機械的損傷により寿命が短くなるため好ましくない。すなわち、粒界結晶相および粒界ガラス相の粒界相を5〜20%とすることが必要である。なお、粒界相の比率(%)は走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、5000倍の観察倍率でサイアロン焼結体の焼肌から1mm以上内部の断面を写真撮影した後、その写真の一定領域中の粒界相部分の面積比率を画像処理ソフトにより測定することで、その一定領域全体に対する粒界相部分の面積の割合(%)として求めたものである。なお、炭化チタン等の硬質成分粒子等を含む焼結体では硬質成分粒子等は粒界層部分ではない。
本発明のインサートは、サイアロン粒子がβ−サイアロンであると高靭性であることにより、良好な切削性能が得られるが、一部がα−サイアロンであっても切削性能の低下は認められない。X線回折におけるβ−サイアロンの(101)面ピーク強度をβ1、(210)面ピーク強度をβ2、α−サイアロンの(102)面ピーク強度をα1、(210)面ピーク強度をα2とした時に、{(α1+α2)/(β1+β2+α1+α2)}×100で算出されるα−サイアロンの比率α率が40%までは良好な切削性能が得られた。α率が40%を越えると、靭性の低い等軸状のα−サイアロン結晶粒子が多くなるために、耐欠損性が劣ってしまい好ましくない。つまり、上述したように、α率が40%以下の場合には十分な切削性能(耐摩耗性および耐欠損性)を有しており好適である。
本発明のインサートは組成式Si6−ZAl8−Zで表されるβ-サイアロンのZ値が0.2〜1.0である。通常はZ値が0〜4.2の範囲であるものがβ-サイアロンとされている。本発明のインサートはZ値(実測Z値)が0.2〜1.0の範囲にあるので、窒化珪素と比べ被削材との化学反応による分解が発生しにくく、サイアロン化による強度低下が少ない。さらに、本発明のインサートはAlの固溶率が70%以上である。これにより、粒界相へのアルミ成分の残存量が少なく、被削材とのアブレッシブ摩耗に代表される様な機械的損傷が抑制される。ここで実測Z値は、X線回折測定により測定されるサイアロン焼結体の焼肌から1mm以上内部のβ−サイアロンのa軸格子定数と、β−窒化珪素のa軸格子定数(7.60442Å)の差により算出する(算出方法は、例えばWO02/44104号公報、第28頁参照)。理論Z値は、焼結体の焼肌から1mm以上内部の蛍光X線などの化学分析などからSi、Al量(重量%)を算出し、それらの値から以下の式を用いて計算される。
理論Z=6×(Al/26.98)/{(Al/26.98)+(Si/28.09)}
なお、式中AlはAl重量%、SiはSi重量%を表す。
本発明のインサートは実測Z値/理論Z値で表されるAlの固溶率が70%以上であることにより、粒界のアルミ成分の残存量が少なく、被削材とのアブレッシブ摩耗に代表される様な機械的損傷が抑制される。なお、Alの固溶率は焼結体焼成時の焼成温度や昇温時間、焼成雰囲気を調整したり、焼結体中の窒素と酸素の比を変化させることで、制御することが可能である。
前記サイアロン製インサートの焼結に用いる焼結助剤としては、希土類元素のSc、Y、Ce、Er、Dy、Yb、Luから選ばれる1種以上を焼結体に対し酸化物換算で0.5〜10モル%用いることが好ましい。本発明のインサートのサイアロン組織の針状化に寄与する希土類元素の種類およびその含有量を上記のように規定することによりサイアロン組織を好適なものに制御することができる。0.5モル%未満では、サイアロン組織が十分に針状化しないためサイアロン基材の強度を低下させる原因となる。逆に10モル%より多いと焼結体自体の耐熱性、靱性、硬度が低下してしまうことになる。その結果、アブレッシブ摩耗に代表される様な機械的損傷により寿命に至るため好ましくない。
なお、焼結体中の上記希土類元素の酸化物換算含有量のモル%は以下の方法で算出したものである。
(a)焼結体中の各元素(非金属元素は除く、以下同じ)の量を蛍光X線や化学分析などで分析し、重量比を算出する。
(b)上記の各元素を酸化物や窒化物などの化合物とみなして分子量を求める。例えばSiはSi、AlはAl、窒化アルミ、YはYなどとして計算する。
(c)更に(a)で算出した重量比を(b)で求めた各元素の化合物の分子量で割ることでこれをモルとする。これらのモルの合計を100としてそれぞれの化合物のモル%として算出する。
なお、簡易的な算出方法として、焼結原料粉末は過不足なく焼結体になるものと想定して、焼結体中の含有組成ではなく、素地調製時の組成からモル%を求めることもできる。
本発明のサイアロン製インサートにおいては、硬質成分としてチタンの炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる1種以上を30モル%以下、好ましくは0.1〜25モル%さらに好ましくは1〜20モル%含有していることが望ましい。通常、このような硬質成分は焼結体中で単独で粒子分散している。上記チタン化合物はアルミナと同様に窒化珪素と比べると、被削材の主成分である鉄や炭素との反応性が低いため、焼結体中に存在することで被削材との反応性を抑制することが可能である。上記チタン化合物については焼結体中に固溶せずに単独で粒子分散している。上記チタン化合物含有量が上記上限を超えると切削性能の低下は認められなかったがサイアロンと比較し熱膨張係数が大きい成分であるため、切削加工時に発生する熱の影響を受け発生する熱クラックにより工具刃先が欠損するため好ましくない。なお、チタン化合物が単独で粒子分散しているか否かは光学顕微鏡や電子顕微鏡で確認できる。また、モル%の算出方法は上記希土類元素の酸化物換算含有量のモル%の算出方法と同様にして算出する。
このように本発明のインサートはスローアウェイチップとしてホルダーに装着して高性能の切削工具として使用される。特に鋳鉄などの高速粗加工を精度よく行う長寿命のインサートとして最適である。なお、本発明の切削工具は広義の切削工具であり、旋削加工、フライス加工、溝入加工などの粗加工、仕上加工などを行う工具全般を言う。
本発明のインサートの好ましい製造方法について、以下に説明する。Si粉末およびAl粉末、AlN粉末等のサイアロンを構成する元素を含む粉末を、焼結助剤として希土類元素の酸化物粉末であるSC粉末、Y粉末、CeO粉末、Dy粉末、Er粉末、Yb粉末、Lu粉末等のいずれかと混合し、好ましくは硬質成分のTiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末のいずれかを加えて原料粉末とする。原料粉末は平均粒径5μm以下、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下の粉末を用いるとよい。これらの原料粉末は焼結後のインサートの組成を考慮してそれぞれの比率を決めればよい。通常は、Si粉末を95〜30モル%、Al粉末を0.5〜20モル%、AlN粉末を0〜20モル%、焼結助剤を0.5〜10モル%、硬質成分を0〜30モル%とすればよい。調製した原料粉末をボールミルのような混合粉砕機、例えばSi製ボールを備えたSi製ポットを用いてエタノール等の粉末を溶解しない溶媒を加えて10〜300時間混合してスラリーを製造する。この際、原料粉末の粒径が大きいときには粉砕時間を長くして粉砕する。
このスラリー中に粗粒がある場合は、スラリーを200〜500メッシュ程度のふるいにかけ粗粒を除く。そしてマイクロワックス系等の有機バインダを原料粉末に対し3〜15重量%添加しスプレードライ等により造粒乾燥する。得られた造粒粉末を所望の形状にプレス成形した後に、加熱装置内において窒素等の不活性ガス雰囲気中で脱脂をする。成形は射出成形、押出し成形、鋳込み成形等を応用することもできる。脱脂は400〜800℃にて30〜120分行うことができる。脱脂した成形体を1500〜1900℃、好ましくは1700〜1800℃で焼結する。焼結は2段階で実施することが好ましく、一次焼結はカーボン、窒化ホウ素又は窒化珪素等のサヤ内で1〜9気圧の窒素又はAr雰囲気下にて1700〜1800℃まで昇温し1〜5時間保持すればよい。2次焼結は熱間静水圧成形(HIP)によればよい。例えば、100〜2000気圧の窒素雰囲気下において1700〜1800℃で1〜5時間加熱する。このようにして得た焼結体はサイアロン焼結体であり、これを図1に示すようなインサートとしての形状に研磨加工して本発明の切削工具用のスローアウェイチップとすることができる。さらに、図2に示すようにホルダーに装着することにより切削工具とすることができる。
(1)インサートの作製
平均粒径1.0μm以下のα−Si粉末および焼結助剤として平均粒径1.0μm以下の、Sc粉末、Y粉末、CeOに粉末、Dy粉末、Er粉末、Yb粉末、Lu粉末を、さらにAl粉末、AlN粉末、TiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末を表1に示す割合で配合して原料粉末を調製した。次に、この原料粉末をそれぞれ内壁がSi製のポットとSi製ボールを用いて、エタノールを加えて96時間混合してスラリーを作製した。このスラリーを325メッシュのふるいに通し、エタノールに溶解したマイクロワックス系の有機バインダを5.0重量%添加しスプレードライで顆粒を作製した。得られた顆粒を図1に示すISO規格でSNGN120408のインサートの形状にプレス成形した後に、加熱装置内において1気圧の窒素雰囲気中で600℃にて60分脱脂を行った。脱脂した成形体の一次焼結は、カーボン製、窒化ホウ素製又は窒化珪素製のサヤ内にセットし、1〜9気圧の窒素雰囲気下にて1700〜1800℃まで昇温し120分保持した。最後に、熱間静水圧成形(HIP)により2次焼結を行った。2次焼結は1000気圧の窒素雰囲気下において1700〜1800℃で180分加熱した。得られたサイアロン焼結体を研磨加工してISO規格でSNGN120408形状に整え切削工具用のインサートを得た。表1に組成または焼成温度を変化させて作製した本発明の実施例および比較例のインサートの性状および切削性能を示した。焼結体中の成分の組成は原料組成からモル%を算出する方法により求めた。
(2)インサートの性状の測定方法
前記インサートの特性等の測定方法について説明する。得られた実施例および比較例のインサートをアルキメデス法により密度測定し、理論密度で除して理論密度比を算出した。すべてのサンプルは理論密度比が十分高く、焼結体中にマイクロポアが残存せず緻密化していた。また、粒界相の面積%、実測Z値測定および計算、理論Z値および固溶率の計算、α率の測定および計算については前述の方法にて求めた。
(3)切削性能の評価方法
上記(1)で作製した実施例及び比較例のインサートについて、以下の性能試験を行った。結果は表1に示す。
・切削距離
インサート形状:SNGN120408、チャンファー0.2mm、被削材:鋳鉄(FC200)、切削速度:500mm/min、切り込み:0.3mm、送り速度:0.3mm/分及び乾式の条件下で切削後、前逃げ面の最大VB摩耗量(VBmax)が0.3mmに達した時点での切削距離を算出した。
・境界摩耗量
インサート形状:SNGN120408、チャンファー0.2mm、被削材:側面に鋳砂の残った鋳鉄(FC200)、切削速度:300mm/min、切り込み:1.5mm、送り速度:0.2mm/分及び乾式の条件下でフランク最大摩耗量を測定し、境界摩耗量(単位:mm)とした。
・耐欠損性
インサート形状:SNGN120408、チャンファー0.085mm、被削材:鋳鉄(FC200)、切削速度:150mm/min、切り込み:2.0mm、送り速度:0.6mm/revからスタートし、各加工パス毎に0.05mm/revずつ増やす評価方法で、乾式の条件下にて欠損に至る送り速度により評価した。
Figure 2006175561
表1に示す様に、本発明の実施例のインサートは工具刃先の切削距離が長い上に、境界摩耗量が少なく、耐欠損性にも優れている。それに対して、比較例のインサートは切削距離、境界摩耗量および耐欠損性のいずれかが劣り好ましくない。
本発明のインサートおよびこれを備えた切削工具は耐磨耗性、耐欠損性に優れた長寿命のインサートおよび切削工具として各種材料の加工に使用できる。
図1はインサート(スローアウェイチップ)の例である。 図2はホルダーにインサートを取り付けた切削工具の例である。
符号の説明
1:インサート(スローアウェイチップ) 2:ホルダー 3:押さえ金

Claims (4)

  1. 焼結体中の粒界相が5〜20%であり、サイアロン粒子中のα−サイアロンの比率を示すα率が40%以下であり、Si6−ZAl8−Zで表されるβ−サイアロンのZ値が0.2〜1.0であり、焼結体中の{(β−サイアロンの実測Z値)/(焼結体組成から計算される理論Z値)}で表されるAlの固溶率Aが70%以上であるサイアロン製インサート。
  2. Sc、Y、Ce、Er、Dy、Yb、Luの各元素から選ばれる1種以上を、焼結体に対し酸化物換算で0.5〜10モル%含有している請求項1に記載のサイアロン製インサート。
  3. 焼結体中に硬質成分としてチタンの炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる1種以上を30モル%以下含有している請求項1または2に記載のサイアロン製インサート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のサイアロン製インサートをホルダーに備えた切削工具。
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