JP2006198761A - サイアロン製インサート及びこれを備えた切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】刃先が摩耗し難く、耐欠損性に優れた寿命の長いサイアロン製インサート及びこれを備えた切削工具の提供。
【解決手段】α−サイアロン及びβ−サイアロンからなるサイアロン相を有し、焼結助剤由来の、Sc、Y、Dy、Yb、及びLuより成る群から選択される少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜5モル%含有し、サイアロン相中にα−サイアロンが占める比率を示すα率が10〜40%であり、Si6−ZAl8−Z(但し、0<Z≦4.2である。)で表されるβ−サイアロンのZ値が0.2〜0.7であり、焼結体の室温から1000℃の平均熱膨張係数が大きくても3.5×10−6/K、室温から1000℃までの熱伝導率が小さくても10W/m・Kであるサイアロン焼結体で形成されて成ることを特徴とするサイアロン製インサート及びこれをホルダーに保持した切削工具。
【選択図】図1

Description

本発明はサイアロン製インサート及びこれを備えた切削工具に関し、詳しくは刃先が摩耗し難く、耐欠損性に優れた寿命の長いサイアロン製インサート及びこれを備えた切削工具に関する。
切削用工具は例えば図2に示す外径加工用ホルダーや図5に示すフライス加工用カッターのように、ホルダーと呼ばれる支持体の先端に使い捨ての刃先であるインサート(スローアウェイチップ、刃先交換チップとも称する)を取り付けた構造が多い。このインサートには被削材の種類、加工工程、切削速度などによって各種の材料が使用されている。例えば、超硬合金、サーメット、セラミック、CBN、さらにはこれらの表面に被膜をコーティングした材料が用いられている。その中でも普通鋳鉄(FCと略称する)材の粗加工、特に高速加工には窒化珪素系セラミック製のインサートが好適とされている。
サイアロンは窒化珪素と比較して優れた硬度と、室温から高温にいたるまで高い強度を示し、化学的安定性が高い素材であると認識されている。そのため、耐熱性及び耐化学反応性が要求される熱鋼の圧延用ガイドロールやダイス、アルミニウム・ダイキャスト、機械のスリーブなどの構造材料として使われることが多かった。さらに、耐摩耗性が良好であると認識されていることから切削工具や軸受けにも利用可能であると考えられるに到った。しかしながら、現実においては、サイアロン製切削工具は、難削性の耐熱合金等の粗切削加工に用いられる程度で、被削材の面粗度や寸法精度に影響するインサート刃先の耐摩耗性についてはあまり考慮されることはなかった。
近年、自動車の燃費向上を目的としてFC材を主とする自動車部材の軽量化が大きな課題となっている。このような背景から、自動車部材の薄肉化、軽量化の要求が高まっており、粗加工と雖も高精度の加工が要求されるようになって来た。これらFC材の粗加工については、従来は窒化珪素製切削工具の使用が多かったが、窒化珪素自体は共有結合性の材料であり、高速加工時の高温によりシリコンと窒素とに分解しやすいことが欠点であった。その分解反応は、切削加工時に窒化珪素がFC材の主要成分である鉄や炭素と高い切削圧力にて接触することで化学反応が起こり、より早く進むことになる。インサート刃先の窒化珪素が分解することにより刃先が摩耗、損傷する。刃先が摩耗すると被削材の面粗度や寸法精度が悪化し、ついには工具が使用不能となり工具寿命となる。
こうした、工具刃先の摩耗損傷は、工具刃先が被削材と化学反応して損傷を受ける化学摩耗が主因となると考えられる。化学摩耗を抑制する方法として、Z値の大きいβサイアロンを生成させることにより被削材と工具刃先の溶着損傷を低減する方法が、知られている(特許文献1〜4)。本願発明者らの検討によると、これらの方法により確かに被削材と工具刃先の溶着損傷は抑制されるものの、Z値の上昇に伴って工具刃先の強度が低下してしまうので、耐熱合金の粗加工用工具としては満足できるものではないと判断され、また、同材料はアブレッシブ摩耗が発生しやすく、アブレッシブ摩耗の成長により工具刃先が欠損してしまう問題も見出された。なお、このZ値は、X線回折測定により測定されるサイアロン焼結体中のβ-サイアロンのa軸格子定数と、β-窒化ケイ素のa軸格子定数(7.60442Å)の差から算出される(算出方法は例えば特許文献5参照)。
米国特許第4323323号 特開平10−36174号 特許第2824701号(特表平8−510965号) 特許第3266200号(特開平2−275763号) 特表2004−527434の段落番号0078
被削材によるインサート材料の化学反応を抑制する方法として、インサート表面に鉄と反応性の低い、チタン化合物やアルミ化合物からなる硬質層を被覆することが知られている。例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8には窒化チタン、炭化チタン等のチタン化合物とアルミナ等のアルミ化合物を被覆し、FC材を切削加工する事例が開示されている。さらに、窒化珪素に窒化チタンを添加し、基材自体の化学反応性を抑制させる方法が知られている。この窒化チタンは、分散粒子として組織中に存在し、基材の耐化学反応性を改善するものであり、例えば、特許文献9、特許文献10に開示されている。また、アルミニウムをアルミナや窒化アルミとして添加する方法が知られている。アルミナは窒化珪素粒子内に固溶しサイアロン粒子となり、窒化珪素粒子自体の耐化学反応性を改善する。それは特許文献3、特許文献2、特許文献5などに開示されている。
特許第3107168号公報 特開2002−192404号公報 特開2002−284589号公報 特開平11−335168号公報 特開2000−143351号公報
本願発明者らの検討によると以下の事柄を見出した。上述のような基材表面に被覆層を形成したインサートでは、被削材と切削工具基材の化学反応による摩耗は抑制されるが、被覆時に窒化珪素基材と窒化チタンやアルミナの熱膨張係数の相違により被覆層に引っ張り残留応力が生じ、被覆層を破壊の起点としてインサートの刃先が欠損し工具寿命が低下する事がある。また窒化チタン粒子の添加により、鋳鉄と窒化珪素粒子との化学反応は抑制されるものの、窒化チタンと窒化珪素粒子との熱膨張係数差が大きいため、特に高い切削速度で加工した際には、窒化珪素粒子と窒化チタン粒子との界面に応力が発生してインサート自体の破壊を引き起こすことがある。さらに、単にアルミ化合物を添加しただけでは、アルミ化合物が窒化珪素粒子内に固溶せず、粒界に結晶相あるいはガラス相として残ってしまい、高温特性の低下を招き、機械的な摩耗損傷を受けやすい。また、アルミ化合物が窒化珪素粒子内に充分固溶せず、粒界に残ってしまうと窒化珪素と比較して、熱膨張が大きい基材となって充分な熱衝撃抵抗性を得ることが難しい。加えてサイアロン化の弊害として熱伝導率の顕著な低下が生じる事が多い。
本発明はこうした問題点を解決するため、材料強度を低下させることなく、被削材とインサートとの化学反応による摩耗、及びアブレッシブな機械的摩耗を低減し、寿命の長いサイアロン製インサートを提供することを目的としている。
本発明者らは、このようなインサート素材の分解反応により刃先が摩耗する機構を鋭意研究し、以下のような課題を解決するための手段を見出した。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、α−サイアロン及びβ−サイアロンからなるサイアロン相を有し、焼結助剤由来の、Sc、Y、Dy、Yb、及びLuより成る群から選択される少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜5モル%含有し、サイアロン相中にα−サイアロンが占める比率を示すα率が10〜40%であり、Si6−ZAl8−Z(但し、0<Z≦4.2である。)で表されるβ−サイアロンのZ値が0.2〜0.7であり、焼結体の室温から1000℃までの平均熱膨張係数が大きくても3.5×10−6/K、室温から1000℃までの熱伝導率が小さくても10W/m・Kであるサイアロン焼結体から成ることを特徴とするサイアロン製インサートであり、
請求項2は、前記サイアロン焼結体は、室温での三点曲げ強度が小さくても1000MPaである前記(1)に記載のサイアロン製インサートであり、
請求項3は、前記サイアロン焼結体は、1000℃での三点曲げ強度が小さくても900MPaである前記(1)又は(2)に記載のサイアロン製インサートであり、
請求項4は、ホルダーに前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のサイアロン製インサートを装着して成ることを特徴とする切削工具である。
本発明のインサート及び切削工具はサイアロン製であり、切削刃の強度が高いだけでなく、被削材と工具基材との化学反応による分解、摩耗を抑えることができる。また、サイアロンを切削工具として使用する際に起こり易いアブレッシブ摩耗に代表される機械的損傷を抑制することができ、工具寿命を大幅に改善することができる。特に、本発明のサイアロン製インサート及び切削工具は普通鋳鉄のみならず難削材である、例えば、ダクタイル鋳鉄、耐熱合金等を高速加工する際、工具刃先の摩耗量が小さく、かつ欠損率が低く、工具寿命が長い。粗切削加工用工具として用いても被削材の面粗度や寸法精度に影響する工具刃先の耐摩耗性に優れ、面粗度や寸法精度のよい切削加工が長時間継続できる。
本発明のサイアロン製インサートは、β−サイアロン及びα−サイアロンからなるサイアロン相を主相としている焼結体で形成されて成る。
一般に、サイアロンは原料となる窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、シリカなどのSi,Al,O,Nといった構成元素を含む原料粉末に焼結助剤等を加えて焼結して成る。通常、サイアロン粒子には組成式Si6−ZAl8−Z(0<Z≦4.2)で表されるβ-サイアロンと、組成式Mx(Si,Al)12(O,N)16(0<X≦2、MはMg,Ca,Sc,Y,Dy,Er,Yb,Lu等の、侵入型となって固溶する元素を示す。)で示されるα−サイアロンが混在している。β−サイアロンは窒化珪素同様に針状組織が絡み合った組織となるため、高靭性であり、α−サイアロンは等軸状の粒子形状であるため、β−サイアロンと比較して低靭性ではあるが、硬度が高い特長を有する。
サイアロン粒子間の粒界相にはガラス相と結晶相とがある。焼結助剤は、焼結時に、窒化珪素及び窒化珪素に不純物として含まれるシリカ成分等とともに液相化して、サイアロン粒子の生成、サイアロン粒子の再配列、粒成長、緻密化に寄与したあと、冷却時に固化してガラス相又は結晶相としてサイアロン粒界に粒界相を生成する。この粒界相は、サイアロン粒子と比較すると、低融点かつ低靱性、低硬度であるため、サイアロン焼結体の耐熱性、靱性、硬度を改善するためには、適切な量に制御する必要がある。サイアロン粒子及び粒界相を制御するには、焼結助剤を調整する必要がある。したがって、本発明に係るサイアロン製インサートは、焼結助剤として用いられる希土類元素、好ましくはSc、Y、Dy、Yb、及びLuから成る群から選択される少なくとも一種の元素をサイアロン焼結体中に酸化物換算で0.5〜5モル%含有している。サイアロン組織の針状化に寄与する上記元素の種類及びその含有量を規定することでサイアロン焼結体を好適なサイアロン組織に制御することができる。0.5モル%未満では、サイアロン組織が十分に針状化しないためサイアロン焼結体の強度を低下させる原因となり、場合によっては緻密化自体が困難となる。逆に5モル%より多いとサイアロン焼結体自体の耐熱性、靱性、硬度が低下してしまうことになる。その結果、サイアロン製インサートはアブレッシブ摩耗に代表される様な機械的な摩耗損傷により寿命に至るため好ましくない。
なお、サイアロン焼結体中の上記特定の希土類元素の酸化物換算含有量のモル%は以下の方法で算出したものである。
(a)サイアロン焼結体中の各元素(非金属元素は除く、以下同じ)の量を蛍光X線又は化学分析などで分析し、各元素の重量比を算出する。
(b)上記の各元素を酸化物又は窒化物などの化合物とみなして分子量を求める。例えばSiはSi、AlはAl、YはYなどとして計算する。
(c)更に(a)で算出した各元素の重量比を(b)で求めた各元素の化合物の分子量で割ることでこれをモルとする。これらのモルの合計を100としてそれぞれの化合物のモル%として算出する。
本発明に係るサイアロン製インサートは、サイアロン粒子中のα−サイアロンの比率を示すα率が10〜40%である。サイアロン粒子中の一部がα−サイアロンであることが好適なインサート用焼結体を形成する。α−サイアロンはその生成時に焼結助剤として添加した特定の希土類酸化物に由来する特定の前記希土類元素を粒子内に固溶し、サイアロン粒界の結晶相あるいはガラス相の量を低減し、機械的な摩耗損傷を抑制することができる。α−サイアロンが十分に生成せず、しかも希土類酸化物由来の元素がα−サイアロン粒子内へ充分固溶しないと、前記元素が粒界に多く残ってしまい熱膨張係数の大きい焼結体となり、充分な熱衝撃抵抗性を得ることができない。サイアロン中に占めるα−サイアロンの比率であるα率は、X線回折におけるβ−サイアロンの(101)面ピーク強度をβ1、(210)面ピーク強度をβ2、α−サイアロンの(102)面ピーク強度をα1、(210)面ピーク強度をα2とした時に、{(α1+α2)/(β1+β2+α1+α2)}×100の計算式で算出される。前記α率が10%未満では粒界層が多く残り耐摩耗性、耐熱衝撃性が充分でない。また、前記α率が40%を越えると、靭性の低い等軸状のα-サイアロン粒子が多くなるために、耐欠損性が劣ってしまい好ましくない。
本発明のサイアロン製インサートを形成するサイアロン焼結体中のSi6−ZAl8−Zで表されるβ−サイアロンのZ値は0.2〜0.7である。β−サイアロンのZ値がこの範囲であるサイアロン焼結体は、窒化珪素と比べるとサイアロン製インサートは被削材との化学反応が発生しにくく、また、サイアロン化による強度低下も少ない。すなわち、0.2未満ではサイアロン製インサートと被削材の化学反応の抑制効果が充分でなく、0.7より大きいと、サイアロン製インサートの強度低下が顕著となる。このZ値の測定方法としては、X線回折測定により測定されるサイアロン焼結体中のβ-サイアロンのa軸格子定数と、β-窒化ケイ素のa軸格子定数(7.60442Å)の差から通常の方法により算出する(算出方法については特許文献5を参照のこと)。
本発明のサイアロン製インサートにおけるサイアロン焼結体の、室温から1000℃までの平均熱膨張係数は大きくても3.5×10−6/Kである。一般に、切削加工時に発生する熱によりインサートは熱膨張、熱収縮を繰り返し生じる。この膨脹、収縮の繰返しによりインサートはクラックを生じることがある。熱膨張係数の低減は、熱によるインサートの膨脹、収縮を抑えてクラックの発生、成長を抑制し、欠損を防止するために重要である。本願発明者らの検討によると、サイアロン相と粒界相の組成及び量とを種々検討した結果、粒界相量を低減した時に、熱膨張係数を小さくすることができることがわかった。そして、熱膨張係数と先に述べた熱クラック発生による、インサートの刃先の欠損との関係を調査した結果、熱膨張係数が3.5×10−6/Kより大きい場合には、切削加工時にサイアロン製インサートに熱クラックが発生しやすく、サイアロン製インサートの刃先が欠損する現象が顕著であることが判った。つまり、本発明に係るサイアロン製インサートにおいては、サイアロン焼結体の熱膨張係数を前記値以下にすることにより刃先の欠損を大幅に防止することができる。
本発明のサイアロン製インサートにおける焼結体は、室温から1000℃までの熱伝導率は小さくても10W/m・Kである。熱伝導率に関しては、室温から高温に至るまで高い値であるほうが、放熱が容易でインサートの加熱を緩和することができ、熱衝撃の緩和に効果的である。特に、熱伝導率は10W/m・Kとすると熱クラックの発生・成長によるサイアロン製インサートの欠損を顕著に抑制することができる。特にサイアロン製インサートが高温となりやすい高速切削加工時には欠損を顕著に抑制することができる。
本発明のサイアロン製インサートを構成するサイアロン焼結体の中でも、その室温での三点曲げ強度(これを「室温強度」と略称することがある。)が小さくても1000MPaであるサイアロン焼結体が好ましい。
切削工具として本発明のサイアロン製インサートを用いる場合、サイアロン焼結体の強度が大きいほど、単純な強度だけでなく、熱衝撃抵抗性にも優れ、安定した加工が可能となるので、前記三点曲げ強度を有するサイアロン製インサートはとりわけ好適である。室温強度が1000MPa以上である本発明のサイアロン製インサートは、安定した加工が可能になる。
本発明のサイアロン製インサートを構成するサイアロン焼結体の中でもは、1000℃における三点曲げ強度が小さくても900MPaであるサイアロン焼結体が好ましい。
切削工具として本発明のサイアロン製インサートを用いる場合、被削材との摩擦などにより工具が高温になる。そのため、本発明におけるサイアロン焼結体の特に高温における強度が高いほど、高速加工において安定した加工が可能である。
本発明の切削工具は、本発明のサイアロン製インサートとこれをスローアウェイチップとして装着するホルダーとを有し、高性能の切削工具として使用される。特に、本発明のサイアロン製インサート及び切削工具は普通鋳鉄のみならず難削材である例えばダクタイル鋳鉄、耐熱合金等を高速加工する際、工具刃先の摩耗量が小さく、かつ欠損率が低く、工具寿命が長い。粗切削加工用工具として用いても被削材の面粗度及び寸法精度等に影響する工具刃先の耐摩耗性に優れ、面粗度や寸法精度のよい切削加工が長時間継続できる。なお、本発明の切削工具は広義の切削工具であり、旋削加工、フライス加工などを行う工具全般を言う。
本発明のサイアロン製インサートの好ましい製造方法について、以下に説明する。Si粉末及びAl粉末、AlN粉末等のサイアロンを構成する元素を含む粉末を、焼結助剤として希土類元素の酸化物粉末であるSC粉末、Y粉末、CeO粉末、Dy粉末、Er粉末、Yb粉末、Lu粉末等と混合して得られる混合物を原料粉末とする。原料粉末は、その平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下の粉末を用いるとよい。これらの原料粉末は焼結後のインサートの組成を考慮してそれぞれの比率を決めればよい。通常は、Si粉末を95〜50モル%、Al粉末を0.5〜20モル%、AlN粉末を0〜40モル%、焼結助剤を0.5〜5モル%とすればよい。調製した原料粉末をボールミルのような混合粉砕機、例えばSi製ボールを備えたSi製ポットを用いてエタノール等の粉末を実質的に溶解しない液体を加えて1〜300時間混合してスラリーを製造する。この際、原料粉末の粒径が大きいときには粉砕時間を長くして粉砕を十分にする。
このスラリー中に粗粒がある場合は、スラリーを200〜500メッシュ程度のふるいにかけ粗粒を除くとよい。調製した原料粉末にマイクロワックス系等の有機バインダを原料粉末に対し1〜30質量%添加し、スプレードライ等により造粒乾燥する。得られた造粒粉末を焼成後の焼結体の形状を想定して所望の形状にプレスする。成形は射出成形、押出し成形、鋳込み成形等を応用することもできる。成形した後に成形体を脱脂をする。通常、加熱装置内において窒素等の不活性ガス雰囲気中で脱脂をする。脱脂は400〜800℃にて30〜120分程度で完了する。脱脂した成形体を1500〜1900℃、好ましくは1650〜1800℃で焼結する。焼結は2段階で実施することが好ましく、一次焼結は炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素等で形成されたサヤ内で、好ましくはAr雰囲気下で1500〜1600℃で1〜4時間前記成形体を保持し、その後に1〜9気圧の窒素又はAr雰囲気下にて1650〜1800℃まで昇温し1〜5時間保持すればよい。2次焼結は熱間静水圧成形(HIP)によればよい。例えば、100〜5000気圧の窒素雰囲気下において1650〜1800℃で1〜5時間加熱する。このようにして得た焼結体はサイアロン焼結体であり、これを図1、図3に示すようなインサートとしての形状に研磨加工して本発明のサイアロン製インサートにすることができる。切削工具とするには図2、図5に示すような通常のホルダーにこのスローアウェイチップを装着すればよい。
(1)インサートの作製
平均粒径1.0μm以下のα−Si粉末、焼結助剤として平均粒径1.0μm以下の、Sc粉末、Y粉末、CeO粉末、Dy粉末、Er粉末、Yb粉末、及びLu粉末、さらにAl粉末、並びにAlN粉末から表1に示す組成となるように表1に示す割合で配合して原料粉末を調製した。次に、この原料粉末をそれぞれ内壁がSi製のポットとSi製ボールとを用いて、エタノールを加えて96時間混合してスラリーを作製した。このスラリーを325メッシュのふるいで粗粒を除き、エタノールに溶解したマイクロワックス系の有機バインダを5.0質量%添加してからスプレードライして顆粒を作製した。得られた顆粒を図1に示すISO規格でSNGN120412のインサートの形状にプレス成形した後に、加熱装置内において1気圧の窒素雰囲気中で600℃にて60分脱脂を行った。脱脂した成形体の一次焼結は、窒化珪素製のサヤ内にセットし、セットした状態で1600℃で60〜240分間保持し、次いで1〜9気圧の窒素雰囲気下にて1700〜1800℃まで昇温し120分保持した。最後に、熱間静水圧成形(HIP)により2次焼結を行った。2次焼結は1000気圧の窒素雰囲気下において1700〜1800℃で180分加熱した。得られたサイアロン焼結体を研磨加工してISO規格でSNGN120412形状に整え切削工具用のインサートとした。表1に実施例及び比較例のインサートの組成、性状を切削性能評価結果とともに示した。表1中、「例」の欄において「*」で示すのは比較例である。なお、サイアロン焼結体の組成は前記方法でモル%表示した。
(2)インサートの性状の測定
前記インサートの特性等の測定方法について説明する。サイアロン粒子中のα率、β−サイアロンのZ値については前述の方法にて求めた。熱膨張係数は、上記サイアロン焼結体を、縦5mm×横5mm×長さ10mmに研磨加工し、JIS R1618法により、窒素雰囲気中で室温から1000℃までの平均熱膨張係数を測定した。熱伝導率については作製した焼結体を直径10mm、厚み2mmの円板状に研磨加工し、JIS R1611法(これは、レーザーフラッシュ法と通称される。)により室温から1000℃までの値を測定し最も低い値を示した。
強度については、縦3mm×横4mm×長さ36mm以上のサンプルを作製、研磨加工し、JIS R1601法により3点曲げ試験を5回以上実施し、その平均値を示した。
なお、得られた焼結体をアルキメデス法により密度測定し、理論密度で除して理論密度比を算出した。すべての実施例のサンプルは理論密度比が十分高く、焼結体中にマイクロポアが残存せず緻密化していた。
(3)切削性能の評価
実施例と比較例のインサートの刃先に図4に示すように、面取り幅を0.3mm、面取り角が25度となる面取り刃先加工を行ない、図5に示す正面削り用6枚歯フライスカッター用ホルダーにセットし、以下に示す加工条件にて切削加工した。インサート刃先の摩耗量(VB)が0.3mmとなるまでに加工可能であった被削材枚数を寿命として評価した.また、VBが0.3mmとなる前に刃先が欠損した場合にはその時点で寿命と判定した。
(加工条件)・被削材:JIS FCD600(ダクタイル鋳鉄、鋳肌付き)
・形状:縦130mm×横700mm×厚み30mm
・切削速度:700m/min
・送り速度:0.15mm/刃
・切り込み深さ:2.0mm
・切削油:乾式
・使用カッター:φ100、1枚刃にて加工。
Figure 2006198761
表1において例A〜Uが実施例であり、例*1〜*11が比較例である。表1に示されるように、実施例である例A〜Uの切削チップは、工具刃先の摩耗量(VB)が0.3mmとなるまでの被削材加工可能枚数が多く、かつ工具刃先の欠損も認められない。それに対して、比較例である例*1、*3、*7〜*11のインサートは切削可能枚数が明らかに少なく、耐欠損性も劣り実施例のインサートより寿命が劣っている。
特に、Z値が0.2未満である例*3の結果と実施例の結果とを比較すると、本発明に係るサイアロン製インサートにおいては、被削材と工具基材との化学反応による分解・摩耗が抑制されていることが分かる。α率が10%未満である例*2及び例*9の結果と実施例の結果とを比較すると、本発明に係るサイアロン製インサートにおいては、アブレッシブ摩耗に代表される機械的損傷が抑制されていることが分かる。結局、本発明に係るサイアロン製インサートは、粗切削加工用工具として用いられても被削材の面粗度及び寸法精度等に影響する工具刃先の耐摩耗性に優れ、面粗度及び寸法精度の良好な切削加工を長時間に亘って行うことができる。
図1はインサートの例の斜視図である。 図2はホルダーにインサートを取り付けた外径加工用切削工具の例である。 図3はインサートの例の斜視図である。 図4は図3のインサートの面取り加工を示す正面図である。 図5はフライスカッター用ホルダーにインサートを取り付けた切削工具の平面図である。
符号の説明
1:インサート
2:外径加工用ホルダー
3:押さえ金
5:インサートの面取り加工部
6:フライスカッター用ホルダー
7:フライスカッター用ホルダー本体
8:インサート設置用カートリッジ
9:インサート取付け用くさび

Claims (4)

  1. α−サイアロン及びβ−サイアロンからなるサイアロン相を有し、焼結助剤由来の、Sc、Y、Dy、Yb、及びLuより成る群から選択される少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜5モル%含有し、サイアロン相中にα−サイアロンが占める比率を示すα率が10〜40%であり、Si6−ZAl8−Z(但し、0<Z≦4.2である。)で表されるβ−サイアロンのZ値が0.2〜0.7であり、焼結体の室温から1000℃までの平均熱膨張係数が大きくても3.5×10−6/K、室温から1000℃までの熱伝導率が小さくても10W/m・Kであるサイアロン焼結体で形成されて成ることを特徴とするサイアロン製インサート。
  2. 前記サイアロン焼結体は、室温での三点曲げ強度が小さくても1000MPaである請求項1に記載のサイアロン製インサート。
  3. 前記サイアロン焼結体は、1000℃での三点曲げ強度が小さくても900MPaである前記請求項1又は2に記載のサイアロン製インサート。
  4. ホルダーに請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイアロン製インサートを装着して成ることを特徴とする切削工具。
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