JP2015009327A - 切削インサート - Google Patents

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孝 渡邊
Takashi Watanabe
孝 渡邊
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Abstract

【課題】拘束部材で押圧しても取付孔や窪みにおける焼結体の表面から破損することを抑制できるとともに、寸法精度が高く、かつ繰り返し使用によっても変形しにくい切削インサートを提供する。【解決手段】窒化珪素を主成分として粒界相形成成分を含有する窒化珪素質焼結体からなり、平板状で、主面の端部に切刃部5を有し、主面の中央部に拘束部材で押圧して固定するための取付孔6または窪みを有し、取付孔6または窪みにおける焼結体の表面における前記窒化珪素質焼結体の表面の酸素含有量が、切刃部5における前記窒化珪素質焼結体の表面の酸素含有量の1.2倍より多く、取付孔6または窪みにおける焼結体の表面における前記窒化珪素質焼結体の前記酸素以外の前記粒界相形成成分の総含有量が、切刃部5における前記窒化珪素質焼結体の前記酸素以外の前記粒界相形成成分の総含有量の0.9〜1.2倍である切削インサート1である。【選択図】図2

Description

本発明は、窒化珪素質焼結体からなる切削インサートに関する。
窒化珪素質焼結体は、高硬度でかつ高温で安定であることから耐摩耗性および耐酸化性に優れており、切削工具として用いられている。特に、窒化珪素質焼結体は、超硬合金やサーメットに比べて耐摩耗性および耐酸化性が高く、高速粗切削加工に用いられている。
例えば、特許文献1では、取付孔に薄肉の金属筒を嵌合したセラミック製のスローアウェイチップが開示され、取付孔を押圧部分から破損することを抑制できることが記載されている。また、特許文献2では、ダイヤモンドやcBN等の高硬度焼結体の切刃からなるスローアウェイチップの取付孔の近傍に、融点が1000℃以上の金属またはサーメットを配置して同時焼成することによって配置して、所望の形状の取付孔を作製できることが記載されている。
特開昭58−160002号公報 特開昭58−199841号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の取付孔に薄肉の金属筒を嵌合したスローアウェイチップでは、金属筒が摩耗しやすいので、繰り返して使用する場合には金属筒が変形してしまい、押圧部材が取付孔を通らなくなる場合があった。また、特許文献2に記載された、焼成する前のダイヤモンド成形体やcBN成形体の取付孔付近に金属やサーメットを配置して超高圧で同時焼成したスローアウェイチップでは、取付孔が焼成中に変形してしまい、押圧部材が取付孔を通らずネジ留めできない場合があった。また、どちらの方法でも、取付孔内に別の部品を差し込む必要があり、製造上手間がかかるという問題があった。
本発明の目的は、拘束部材で押圧して固定するための取付孔または窪みを有する切削インサートにおいて、拘束部材で押圧しても取付孔や窪みにおける窒化珪素質焼結体の表面から破損することを抑制できるとともに、寸法精度が高く、かつ繰り返し使用によっても変形しにくい切削インサートを提供することである。
本発明の切削インサートは、窒化珪素を主成分として、粒界相形成成分を含有する窒化珪素質焼結体からなり、平板状で、主面の端部に切刃部を有し、前記主面の中央部に拘束部材で押圧して固定するための取付孔または窪みを有するものであって、前記取付孔または前記窪みにおける前記窒化珪素質焼結体の表面の酸素含有量が、前記切刃部における前記窒化珪素質焼結体の表面の酸素含有量の1.2倍より多く、前記取付孔または前記窪みにおける前記窒化珪素質焼結体の表面の前記酸素以外の前記粒界相形成成分を構成する元素の総含有量が、前記切刃部における前記窒化珪素質焼結体の表面の前記酸素以外の前記粒界相形成成分を構成する元素の総含有量に比べて0.9〜1.2倍である。
本発明の切削インサートによれば、拘束部材で押圧して固定するための取付孔または窪みにおける窒化珪素質焼結体の表面、すなわち取付孔の内壁面、または窪みを構成する凹面の表面における組成を、切刃における窒化珪素質焼結体の表面の組成と比較して、酸素含有量が1.2倍より多く、かつ酸素以外の粒界相形成成分の含有量は0.9〜1.2倍と同程度となっている。つまり、取付孔または窪みにおける焼結体の表面では酸素のみが多い状態であり、すなわち、取付孔または窪みにおける焼結体の表面においてシリカ(SiO)の含有量が多くなっている。それによって、この部分では硬度が低く靭性が高い状態となっている。そのために、拘束部材で押圧して固定する際に、取付孔または窪みにおける焼結体の表面から破損することを抑制できる。また、切刃における窒化珪素質焼結体の表面では、硬度が高いので耐摩耗性が高く、切削インサートの寿命が長くなる。
本発明の切削インサートの一実施態様についての概略斜視図である。 図1の切削インサートX−X断面図である。 本発明の切削インサートの他の実施態様を示す断面図である。
図1、2に示す本実施態様の切削インサート1は、主面が四角形の平板状で、主面がすくい面2と着座面4を構成し、側面が逃げ面3を構成する。また、すくい面2と逃げ面3との交差稜線部である主面の端部には切刃部5を有し、すくい面2を構成する前記主面の中央部には拘束部材で押圧して固定するための取付孔6を有している。なお、図3に示すように、本発明においては、取付孔6に代えて窪み7を設けるものであってもよい。
図1−3の切削インサート1は、窒化珪素を主成分として粒界相形成成分を含有する窒化珪素質焼結体からなる。本実施態様によれば、窒化珪素質焼結体(以下、単に焼結体と略す。)は、窒化珪素を主体とし、RE元素(イットリウムおよび希土類元素のいずれか1種以上)、マグネシウム、アルミニウムおよび酸素を含有している。酸素は、RE元素(イットリウムおよび希土類元素のいずれか1種以上)酸化物、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の粒界相形成成分を構成するとともに、一部は粒界相形成成分の1種である酸化珪素を構成する。
本発明において、窒化珪素を主成分とするとは、焼結体に窒化珪素結晶が50体積%以上、特に90体積%以上存在する状態をいう。本実施態様によれば、窒化珪素結晶はβ−窒化珪素結晶相からなり、図示はしないが、焼結体の断面を走査型電子顕微鏡にて観察した断面写真において、アスペクト比が3以上、長軸径が1〜3μmの細長結晶が窒化珪素結晶の総量に対して20面積%以上存在している。
そして、本実施態様によれば、取付孔6または窪み7における焼結体の表面6a、7aの酸素含有量が、切刃部5における焼結体の表面の酸素含有量の1.2倍より多く、かつ取付孔6または窪み7における焼結体の表面6a、7aの酸素以外の粒界相形成成分を構成する元素の総含有量が、切刃部5における酸素以外の粒界相形成成分を構成する元素の総含有量の0.9〜1.2倍である。この構成によって、取付孔または窪みにおける焼結体の表面6a、7aにおいては、シリカ(SiO)の含有量が多い状態であり、この部分では硬度が低く靭性が高い状態となっている。そのために、取付孔6または窪み7を拘束部材(図示せず)で押圧して固定する際に、取付孔6または窪み7における焼結体の表面6a、7aから破損することを抑制できる。また、切刃5における焼結体の表面は、硬度が高いので耐摩耗性が高く、切削インサート1の寿命が長くなる。なお、本実施態様において、各元素の含有量は電子線マイクロプローブ分析(EPMA)にて測定できる。なお、本実施態様では、取付孔6を有する場合、取付孔6の内壁面のみでなく、取付穴6が露出する主面において取付穴6の外周においても、焼結体の表面6aの酸素以外の粒界相
形成成分を構成する元素の総含有量が、切刃部5における酸素以外の粒界相形成成分を構成する元素の総含有量の0.9〜1.2倍である。
ここで、取付孔6または窪み7において、焼結体の表面6a、7aの酸素含有量が、焼結体の表面6a、7aから500μm以上の深さ(厚さ)の内部における酸素含有量の3〜10倍である。また、表面6a、7aにおける焼結体の酸素以外の粒界相形成成分を構成する元素の総含有量が、表面6a、7aから500μm以上の深さ(厚さ)の内部における酸素以外の粒界相形成成分を構成する元素の総含有量の0.9〜1.2倍である。これによって、取付孔6または窪み7における焼結体の表面6a、7aを拘束部材(図示せず)で押圧して固定する際に、切削インサート1が取付孔6または窪み7における焼結体の表面6a、7aから破損することを確実に抑制できる。これによって、取付孔6を拘束部材によって、取付孔6における焼結体の表面6aからの破損をより確実に抑制できる。
また、本実施態様では、取付孔6または窪み7において、焼結体6a、7aの表面から500μm以上の深さの内部における酸素含有量に比べて、酸素含有量が多い領域が、焼結体の表面6a、7aから10〜100μmの厚みで存在する。これによって、取付孔6または窪み7における焼結体の表面6a、7a付近の変形量が大きくなりすぎることなく、変形によりクラックが発生することを抑制できる。
さらに、本実施態様によれば、焼結体の全体組成は、窒化珪素を94.5〜99.5質量%、RE元素をRE換算で0.1〜4.5質量%、マグネシウムをMgO換算で0.3〜2.5質量%、アルミニウムをAl換算で0〜1.5質量%、珪素の一部をSiO換算で0.1〜4.5質量%、周期表第6族元素珪化物を0〜2質量%で含有する。この組成であれば、焼結体全体としての耐摩耗性および耐欠損性が高いものである。
なお、本実施態様では、焼結体の表面におけるマグネシウム元素の含有比率が0.1〜2.0質量%である。これによって、焼結体の表面における硬度および高温強度を高めて、焼結体の耐摩耗性を高めることができる。なお、本実施態様では、RE元素、マグネシウムおよびアルミニウムは、粒界相形成成分であり、いずれも酸化物として存在し、珪素の一部も酸化珪素(SiO)として存在し、これも粒界相形成成分である。これによって、粒界相形成成分は少量で窒化珪素同士を強固に結合できるので、窒化珪素の含有比率を高めることができる。
さらに、本実施態様において、取付孔6または窪み7において、RE元素の含有量は、焼結体の緻密化のために、RE換算で0.5〜4.5質量%である。特に、RE元素の含有量の望ましい範囲は1〜2.5質量%である。マグネシウムの含有量は、粒界相形成成分となる焼結助剤の液相生成温度の低温化によって焼結体をより低温で緻密化させるために、MgO換算で0.35〜2.0質量%である。特に、マグネシウムの含有量の望ましい範囲は0.4〜1.0質量%である。アルミニウムの含有量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化、焼結体の緻密化および耐酸化性の低下による耐摩耗性の低下を抑制するために、Al換算で0.2〜1.0質量%である。特に、アルミニウムの望ましい含有量は0.3〜0.8質量%である。残余の酸素は窒化珪素の不純物として存在し酸化珪素(SiO)として存在しているが、SiOとして存在する珪素の含有量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化、焼結体の緻密化を保つとともに、耐酸化性および耐摩耗性を改善した焼結体を実現するためにSiO換算で0.1〜4.5質量%である。SiOとして存在する珪素の特に望ましい範囲は1.0〜2.5質量%、さらには1.5〜2質量%である。金属Siの含有量は、0より大きく0.5質量%以下であり、本実施態様では、X線回折測定ではSiのピークが検出されないほど少ない含有比率である。金属Siの存在はラマン分光分析によって確認することができる。
また、RE元素としてはランタン(La)を必須として含有すると、ランタン(La)を含まない場合に比べて焼結体を低温で緻密化できるので、焼結体の結晶が異常粒成長することなく結晶が微粒化できる。例えば、1730〜1780℃の常圧焼成で焼結体の相対密度が99%以上で、かつ視野0.015mmで長径が大きい方から6個の窒化珪素の平均長径を10μm以下に抑制することが可能となる。その結果、焼結体の硬度と強度を向上させることができる。
ここで、REと、マグネシウムと、アルミニウムと、一部の珪素は基本的に酸化物として粒界相を形成する。粒界相はその一部が結晶として析出した構成であっても良いが、粒界相自体の存在割合を4質量%以下と少なくすることによって、焼結体の硬度および高温強度が高まることから、粒界相の絶対量を減らしつつ窒化珪素結晶の結合性を高めるために、粒界相は非晶質で存在することが望ましい。
なお、窒化珪素は主結晶として存在するが、窒化珪素結晶としては、主にβ−窒化珪素結晶からなり、所望によりその一部がアルミニウムを含んでβ−サイアロンを形成したものであってもよい。また、β−窒化珪素結晶の一部がα−窒化珪素結晶であってもよいが、硬度および強度を高めるためにはα−窒化珪素結晶を含まないことが望ましい。
また、周期表第6族元素珪化物は高温強度の低下を抑制することができるとともに、焼結体の色を黒色化することもできる。周期表第6族元素珪化物として、珪化クロム、珪化モリブデン、珪化タングステンを例示できるが、微細な酸化物原料を用いて焼成体中に微細な粒子として存在させることができるという理由から珪化タングステンを用いることが望ましい。なお、この周期表第6族元素珪化物粒子は、窒化珪素質焼結体の粒界相に分散して存在する。
また、焼結体の取付孔6または窪み7における焼結体の表面6a、7aにおいても、焼結体の切刃5においても、表面側では内部に対してマグネシウムの含有比率が漸次低くなっており、表面におけるマグネシウムの含有比率は焼結体の内部における含有比率に対して70〜85%の範囲内であり、かつ表面におけるRE元素の含有比率は焼結体の内部における含有比率に対して85〜150%の範囲内であることが望ましい。焼結体の表面側では、焼結体の内部に対して表面に向かってマグネシウムの含有比率が漸次低くなることによって、表面側では焼結が進行しにくく、焼成による焼結体の収縮量が内部に比べて小さくなることから、焼結体の表面に圧縮応力が発生して、表面側におけるチッピングを抑制することができる。
(製造方法)
次に、上述した焼結体の製造方法について説明する。
まず、出発原料として、例えば、窒化珪素(Si)粉末と、RE元素の水酸化物(RE(OH))または酸化物(RE)、酸化アルミニウム(Al)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))を準備する。また、必要に応じて、酸化珪素(SiO)、周期表第6族元素珪化物の粉末を用意する。
窒化珪素原料は、α−窒化珪素粉末、β−窒化珪素粉末、又はこれらの混合物のいずれも用いることができる。これらの粒径は、1μm以下、特に0.5μm以下であることが好ましい。窒化珪素原料中には不可避の酸素が珪素の酸化物として存在する。そこで、窒化珪素原料中に存在する酸化物が酸化珪素(SiO)として存在していると考えて、組成を調整する。酸素分が不足する場合には酸化珪素(SiO)粉末を添加する。
RE元素の原料としては酸化物粉末を用いても良いが、例えばランタン(La)の場合には酸化ランタン(La)の吸湿性が高いため、水酸化ランタン(La(OH))のように吸水性が低く、焼成過程で酸化ランタン(La)に変化する化合物を用いることが好ましい。マグネシウム(Mg)原料としては、酸化マグネシウム(MgO)や炭酸マグネシウム(MgCO)を用いても良いが、酸化マグネシウム(MgO)は吸水性が高く、炭酸マグネシウム(MgCO)は炭酸ガスを発生してしまうので、水酸化マグネシウム(Mg(OH))のように、吸水性が低く、炭酸ガスの発生も無く、焼成過程で酸化マグネシウム(MgO)に変化する化合物を用いることが好ましい。
周期表第6族元素珪化物を形成するための原料は、周期表第6族元素の酸化物、炭化物、珪化物、窒化物等いずれでも良いが、安価で微粉末が得られやすいことから酸化物を用いることが望ましい。
次に、これらの原料を秤量した混合粉末に適宜バインダや溶剤を添加して混合、粉砕し、スプレードライ法等により乾燥、造粒する。そして、この造粒粉末を公知の成形手段により任意の形状に成形する。そして、本実施態様によれば、成形体の取付孔または窪みの表面に、酸化珪素(SiO)を含有するペーストを塗布して乾燥させる。
その後、例えば窒素雰囲気中で、常圧焼成法、ガス圧力焼成法、ホットプレス法等により1650〜1950℃の温度で焼成する。この焼成の具体的な条件は、上記成形体を窒化珪素質焼結体製の焼成鉢に入れるとともに、この焼成鉢の中にSi成分およびMg成分を入れる。そして、密封状態が焼成鉢の外の雰囲気に置換できる状態として焼成鉢の蓋を閉めて、焼成炉内にセットする。そして、焼成炉内を0.1MPa(1気圧)〜1MPaの窒素で置換した後、5℃/分〜15℃/分で昇温を開始し、1400〜1500℃の温度範囲における昇温速度を1℃/分〜5℃/分に変更した後、1500℃から第1の焼成温度の1650℃〜1820℃までの昇温速度は再度5℃/分〜15℃/分に変更する。そして、ガス抜きしたり窒素ガスを追加で導入したりして炉内の雰囲気が窒素0.1MPa〜1MPaに保たれるように調整して、第1の焼成温度で2〜12時間保持する。次に、昇温速度5℃/分〜15℃/分で、第1の焼成温度から30℃以上高い第2の焼成温度1680℃〜1950℃に昇温し、炉内の雰囲気を不活性ガス0.2MPa〜10MPaで第1の焼成温度におけるガス圧よりも高い圧力に加圧した状態で0.5時間〜3時間保持する。その後、1100℃までの降温速度を10℃/分〜50℃/分で冷却した後、室温まで冷却する条件とする。このとき、上記第1の焼成温度と第2の焼成温度の2段階焼
成を行うことによって、焼結体の表面と内部における窒化珪素(Si)の焼結状態を最適化して、焼結体の表面と内部における耐摩耗性および耐欠損性を最適化することができる。
なお、焼成鉢中に成形体とともに入れるSiおよびMg成分は、金属Si粉末、SiO粉末、Si粉末、MgO粉末、Mg(OH)粉末の状態で入れる方法が挙げられ、これらの粉末を成形体の周囲に置いたり、成形体の下面に敷き詰めたり、成形体自体を上記粉末中に埋めた状態で焼成することにより、焼成雰囲気中にSiOガスとMgOガスが生成して、焼結体の表面と内部での焼結状態のバランスを調整する方法が挙げられる。
さらに、一旦、焼成が終了した後、9.8MPa〜294MPa、1500℃〜1700℃で熱間静水圧焼成を施してもよく、これによって、緻密で、窒化珪素結晶粒子の異常粒成長が抑制された耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体が得られる。
また、上述した焼結体は、目的の性能に応じて研削加工が施されるが、本発明にて規定する表層領域が残る状態で研削加工する限りにおいては本発明の効果は失われない。なお
、焼結体の表面にTiNやAl、TiAlN等の硬質被覆層を施してもよい。
出発原料として、平均粒径0.3μmの窒化珪素(Si)粉末と、平均粒径1.2μmのRE元素化合物(水酸化ランタン(La(OH))、酸化イットリウム(Y)、酸化イッテリビウム(Yb)、酸化エルビウム(Er)、酸化セリウム(Ce)のいずれか)粉末と、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム(Al)粉末と、平均粒径2.5μmの水酸化マグネシウム(Mg(OH))粉末とを、焼結体の組成が表1となる割合で調合し、バインダと溶剤とを添加した後、アトライタミルにて72時間、粉砕、混合した。その後、乾燥して溶剤を除去して造粒粉末を作製し、この造粒粉末を98MPaの圧力でSNGN120412の切削工具形状にプレス成形した。
この成形体の取付孔の表面に、表1に示す厚みの酸化珪素(SiO)を含有するペーストを塗布して乾燥させた。なお、試料No.7については酸化珪素ペーストを塗布しなかった。試料No.8については酸化珪素と他の粒界相形成成分とを含有するペーストを成形体の表面全面に塗布した。これを焼成鉢内にセットする際、Si粉末を90質量%、SiO粉末、Mg(OH)粉末との混合粉末を成形体の周囲に充填してセットして蓋をし、これをカーボン製の円筒内に置いた状態で焼成炉内に載置した。そして、焼成炉内を窒素0.1MPaに置換して、脱脂後、1400℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、1400〜1500℃を2℃/分で昇温し、1500〜1800℃を10℃/分で昇温し、1800℃で6時間焼成した後、焼成炉内を窒素1.0MPaとして、10℃/分で昇温して1950℃で2時間焼成した。また、焼成後の冷却速度は20℃/分とした。この焼結体の主面と側面を0.3mm厚み研削加工(両頭加工と外周加工)して切削インサートを得た。
得られた切削インサートについて、取付孔の内壁面、切刃の表面および取付孔の内壁面から500μm研磨した内部において電子線マイクロアナライザ(EPMA)測定を行い、各位置における各成分の含有比率を測定した。なお、酸素以外の成分については、RE元素、マグネシウム元素、アルミニウム元素の比率を表2の含有比率として記載した。
さらに、得られた窒化珪素質焼結体からなる切削インサートを用いて、取付孔にネジ(押圧部材)を挿入してネジで取付孔の上方の表面を押圧しながら切削インサートを固定する試験を切削インサート100個について実施し、これによって破損やチッピングが生じた個数を評価した。
また、下記条件により切削性能を評価した。
被切削材:FCD−450 スリーブ材
切削速度:500m/分
送り量:0.5mm/rev
切り込み量:2.0mm
切削条件:湿式切削
評価項目:100個加工後の切刃のフランク摩耗量をデジタルスコープにて観察した。また、引き続き加工し、工具寿命に至るまでの加工数を確認した。
結果は表2に示した。
表1、2に示した結果によれば、本発明の範囲内の試料No.1〜6はいずれもネジによる拘束によってインサートが破損することもなく、かつ切刃においては、摩耗量が小さく刃先のチッピングの少ない耐欠損性がよい切削性能を示した。これに対して、取付孔における焼結体の表面の酸素含有量が、切刃部における焼結体の表面の酸素含有量と同じ試料No.7では、押圧部材で切削インサートを固定する際に100個中2個破損した。また、取付孔における焼結体の表面の酸素以外の粒界相形成成分を構成する元素の総含有量が、切刃部における焼結体の表面の酸素以外の粒界相形成成分を構成する元素の総含有量と同じ試料No.8では、切削試験における加工数が少ないものであった。
1 切削インサート
2 すくい面
3 逃げ面
4 着座面
5 切刃部
6 取付孔
6a 取付孔における焼結体の表面
7 窪み
7a 取付孔における焼結体の表面

Claims (6)

  1. 窒化珪素を主成分として、粒界相形成成分を含有する窒化珪素質焼結体からなり、平板状で、主面の端部に切刃部を有し、前記主面の中央部に拘束部材で押圧して固定するための取付孔または窪みを有する切削インサートであって、
    前記取付孔または前記窪みにおける前記窒化珪素質焼結体の表面の酸素含有量が、前記切刃部における前記窒化珪素質焼結体の表面の酸素含有量の1.2倍より多く、前記取付孔または前記窪みにおける前記窒化珪素質焼結体の表面の前記酸素以外の前記粒界相形成成分を構成する元素の総含有量が、前記切刃部における前記窒化珪素質焼結体の表面の前記酸素以外の前記粒界相形成成分を構成する元素の総含有量に比べて0.9〜1.2倍である切削インサート。
  2. 前記取付孔または前記窪みにおいて、前記窒化珪素質焼結体の表面の酸素含有量が、前記窒化珪素質焼結体の表面から500μm以上の深さにおける前記窒化珪素質焼結体の内部の酸素含有量の3〜10倍であり、前記窒化珪素質焼結体の表面における前記酸素以外の前記粒界相形成成分の総含有量が、前記窒化珪素質焼結体の内部における前記酸素以外の前記粒界相形成成分の総含有量の0.9〜1.2倍である請求項1記載の切削インサート。
  3. 前記取付孔または前記窪みにおいて、前記窒化珪素質焼結体の表面から500μm以上の深さにおける前記窒化珪素質焼結体の内部の酸素含有量に比べて、酸素含有量が多い領域が、前記窒化珪素質焼結体の表面から10〜100μmの厚みで存在する請求項1または2記載の切削インサート。
  4. 前記粒界相形成成分が、RE元素(イットリウムおよび希土類元素のいずれか1種以上)、マグネシウム、アルミニウムおよび珪素を酸化物として含有する請求項1乃至3のいずれか記載の切削インサート。
  5. 全体組成が、窒化珪素を94.5〜99.5質量%含有するとともに、残部に、RE元素をRE換算で0.1〜4.5質量%、マグネシウムをMgO換算で0.3〜2.5質量%、アルミニウムをAl換算で0〜0.6質量%、珪素をSiO換算で0.1〜4.5質量%、周期表第6族元素珪化物を0〜2質量%含有する請求項4記載の切削インサート。
  6. 前記取付孔または前記窪みおよび前記切刃において、前記窒化珪素質焼結体の表面におけるマグネシウムの含有比率が前記窒化珪素質焼結体の内部における含有比率に対して70〜85%の範囲内であり、かつ前記窒化珪素質焼結体の表面におけるRE元素の含有比率が前記窒化珪素質焼結体の内部における含有比率に対して85〜150%の範囲内である請求項5記載の切削インサート。
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