JP2006169697A - ポリエステル複合仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル複合仮撚加工糸およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期にわたり溶融紡糸操作を中断することなく、好ましい色調、優れた品質を有するポリエステルを溶融紡糸し得られた該ポリエステル未延伸糸を用い、仮撚加工において、発色性に優れ、かつ、ソフト感に優れ、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈する新規で高品質な複合仮撚加工糸を提供する。
【解決手段】比重5.0以上の金属元素の含有量が10重量ppm以下のポリエステルからなる芯鞘複合仮撚加工糸であって、ポリエステルマルチフィラメントAが主として糸の芯部を形成し、ポリエステルマルチフィラメントBがその周りに交互撚糸状に巻き付いて主として糸の外層部を形成する鞘部とからなるポリエステル複合仮撚加工糸であり、鞘部を形成するポリエステルマルチフィラメントBの糸の長さが、芯部を形成するポリエステルマルチフィラメントAの長さよりも長く、その糸足差が、10〜25%である、ポリエステル複合仮撚加工糸。
【選択図】なし

Description

本発明は、発色性(濃染性)、ソフト感に優れ、カスリ斑のない、かつ、滑らかな表面タッチで新規な風合を呈する複合仮撚加工糸の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、比重5.0以上の金属元素、特にアンチモン、ゲルマニウムの含有量が極めて少なく、色相に優れ、長時間連続的に溶融紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、好ましい色調、優れた品質を有するポリエステルを溶融紡糸し得られた該未延伸糸を用い、仮撚加工において、発色性の優れた、フィラメントの長手方向に沿って、芯部糸に鞘部糸がその周りに交互撚糸状に巻き付いた二層構造の複合仮撚加工糸およびその製造方法に関するものである。
従来、伸度差を有する2種以上のフィラメント糸を引き揃えて交絡し、引き続いて仮撚加工することにより、嵩高でウオーム感に優れた二層構造の複合仮撚加工糸を得る方法が知られている(例えば、特許文献1:特公昭60−11130号公報、特許文献2:特公昭61−19733号公報など)。しかしながら、これらの二層構造糸は、スパン感、嵩高性には優れているものの、仮撚による捲縮発現が強く、断面変形による粗硬感が強く、また特有のヌメリ感を呈するものであるため、盛夏用外衣などのレーヨン調風合、サラットした清涼感が要求される用途には十分対応しきれないという問題があった。さらに、上記の従来方法では、不均一な混繊によりカスリ斑が発生しやすく、また風合も十分に満足できるものではないという欠点もあった。
このような問題を解消するため、特許文献3(特開2000−136455号公報)には、ドラフト差を利用した紡糸混繊糸を特定の条件下で延伸仮撚加工する複合仮撚加工糸の製造方法が提案されている。確かにこの方法によれば、ソフト感に優れ、カスリ斑などの染色斑が発生し難く、かつ滑らかな表面タッチの風合を呈する二層構造の複合仮撚加工糸が得られる。しかしながら、この方法では、通常のポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートを紡糸する際、ポリエステル中に存在するアンチモン系触媒に起因して、紡糸時間の経過と共に紡糸口金吐出孔周辺に異物(口金異物と称することがある)が付着堆積し、安定に紡糸することができなくなるだけでなく、最終的に得られる複合仮撚加工糸の品質も低下するという問題があった。
さらに詳しく述べるならば、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの溶融紡糸においては、ポリエステルの重縮合反応段階で使用する触媒の種類によって、反応速度および得られるポリエステルの品質が大きく左右されることはよく知られている。ポリエチレンテレフタレートの重縮合触媒としては、アンチモン化合物が、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広く使用されている。しかしながら、アンチモン化合物を重縮合触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたって連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が発生し、これが原因となって紡糸、延伸、仮撚、工程において毛羽および/または断糸などを発生するという問題がある。
特に、ポリエステルマルチフィラメントに関しては、分子配向度が複屈折率で0.02以上のポリエステル未延伸糸(部分配向糸)を紡糸引き取りする際には、該口金異物が溶融ポリマー吐出状態に及ぼす影響が大きく、短時間の間に、異常吐出現象が発生することが多くなる。このような異常吐出現象が起こると、紡糸運転に支障をきたすのみならず、冷却・固化の過程で繊維構造斑が発生し、得られたポリエステル未延伸糸(部分配向糸)は品質斑(延伸仮撚加工時毛羽、断糸発生など)を内在したものとなる。これらのことから、紡糸、延伸仮撚工程での微小なベンディングによる糸径の変化でも仮撚工程において加工断糸が発生し生産効率が著しく低下することから、口金異物を抑制する研究が行われてきた。
口金異物を抑制するには、ポリエチレンテレフタレートの重合触媒としてアンチモンを使用しないことが有効な手段であるが、アンチモンを使用しない方法では、糸のカラーが低下してしまうため、特に衣料用には使用に供することができなかった。
このような問題を解決するために、チタン化合物と特定のリン化合物とを反応させて得られた生成物を(例えば、特許文献4および特許文献5参照)、またチタン化合物と特定のリン化合物の未反応混合物あるいは反応生成物を(例えば、特許文献6参照)、それぞれポリエステル製造用触媒として使用することが開示されている。確かにこの方法によれば、ポリエステルの溶融熱安定性は向上し、得られるポリマーの色相も大きく改善されるが、これらの方法ではポリエステル製造時の重合反応速度が遅いため、ポリエステルの生産性がやや劣ってしまう問題を有している。
したがって、触媒としてアンチモンを使用せず、かつ色相および紡糸、延伸、仮撚工程においての工程通過性に優れ、ポリエステル製造時の生産性が低下しないポリエステルマルチフィラメントが求められていた。
特公昭60―11130号公報 特公昭61―19733号公報 特開2000−136455号公報 国際公開第01/00706号パンフレット 国際公開第03/008479号パンフレット 国際公報第03/027166号パンフレット
かかるアンチモン化合物に起因する問題は、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いれば口金異物の付着・堆積は減少するものの、ポリエステル自身の黄色味が強くなるため、得られる複合仮撚加工糸は発色性が低下して衣料用途には使用できなくなるという問題があった。
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、長期にわたり溶融紡糸操作を中断することなく、好ましい色調、優れた品質を有するポリエステルを溶融紡糸し得られた該ポリエステル未延伸糸を用い、仮撚加工において、発色性に優れ、かつ、ソフト感に優れ、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈する新規で高品質な複合仮撚加工糸および該複合仮撚加工糸を安定して製造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合仮撚加工糸は、比重5.0以上の金属元素の含有量が10重量ppm以下のポリエステルからなる芯鞘複合仮撚加工糸であって、ポリエステルマルチフィラメントAが主として糸の芯部を形成し、ポリエステルマルチフィラメントBがその周りに交互撚糸状に巻き付いて主として糸の外層部を形成する鞘部とからなるポリエステル複合仮撚加工糸であり、鞘部を形成するポリエステルマルチフィラメントBの糸の長さが、芯部を形成するポリエステルマルチフィラメントAの長さよりも長く、その糸足差が、10〜25%である、ポリエステル複合仮撚加工糸により、達成される。
ここで、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、濃度20mg/L、光路長1cmでのクロロホルム溶液において測定された380〜780nm領域の可視光吸収スペクトルでの最大吸収波長が540〜600nmの範囲にあり、かつ最大吸収波長での吸光度に対する下記各波長での吸光度の割合が下記式(1)〜(4)のすべてを満たす有機化合物系整色剤を0.1〜10重量ppm含有することが好ましい。
[上記式中、A400、A500、A600およびA700はそれぞれ波長400nm、500nm、600nmおよび700nmでの可視光吸収スペクトルにおける吸光度を、Amaxは最大吸収波長での可視光吸収スペクトルにおける吸光度を表す。]
次に、本発明は、比重5.0以上の金属元素の含有量が10重量ppm以下のポリエステルからなる、伸度差が100〜250%で、複屈折率差が0.02〜0.06である、少なくとも2本以上のポリエステル未延伸糸を引き揃え、交絡処理をした後、交絡処理して得た、紡糸混繊糸を、非接触ヒータで、下記(イ)〜(ロ)を同時に満足する条件で延伸同時仮撚加工することを特徴とするポリエステル複合仮撚加工糸の製造方法により、達成される。
(イ)仮撚数(回/m)が(20,000〜35,000)/D1/2(Dはポリエステル仮撚加工糸の繊度(dtex))
(ロ)仮撚第1ヒータ温度(HA)が200〜400℃
本発明によれば、発色性、嵩高感、ソフト感に優れ、しかもカスリ斑などの染色斑が発生し難く、かつ滑らかな表面タッチの風合を呈する二層構造の複合仮撚加工糸を長期間安定して得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンナフタレートよりなる群から少なくとも1種選ばれるポリエステルであることが好ましく、これらの中でも特にポリエチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルであることが好ましい。
なお、「主たる構成成分」とは、ポリエステルの全繰り返し単位の80モル%以上が芳香族ポリエステルであることを示す。
本発明における比重5.0以上の金属元素とは、通常、ポリエステル中に含有される触媒や金属系の整色剤、艶消剤などに含有されている金属化合物に由来するものである。
具体的には、アンチモン、ゲルマニウム、マンガン、コバルト、セリウム、スズ、亜鉛、鉛、カドミウムなどが該当する。
これらに対し、チタン、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどは、ここでいう比重5.0以上の金属には該当しない。
本発明のポリエステル組成物は、比重5.0以上の金属元素の含有量が0〜10重量ppmである必要がある。ポリエステルに含有される金属の種類によって、その特徴、特性は変わるが、例えばアンチモン金属含有量が10重量ppmより多い場合、製糸や製膜時に異物となって口金やダイ周辺に付着し、長期間の連続成形性に悪影響を与える。ゲルマニウムの場合は、それ自体が高価なため、含有量が多くなると得られるポリエステル組成物の価格が上昇してしまい好ましくない。また、鉛やスズ、カドミウムなどの場合は、金属元素そのものに毒性があるため、ポリエステル中に多量に含有していることは好ましくない。上記金属元素の含有量は、0〜7重量ppmであることが好ましく、0〜5重量ppmであることがさらに好ましい。
上記金属元素の含有量を10重量ppm以下にするには、該金属を含まない触媒や整色剤、艶消剤を使用することが望ましい。
また、本発明に用いられるポリエステル組成物は、整色剤を0.1〜10重量ppm含有することが好ましい。
ここで、整色剤とは、有機の多芳香族環系染料または顔料を表す。
具体的には、後述のように、青色系整色剤、紫系整色剤、赤色系整色剤、橙色系整色剤などが挙げられる。これらは単一種で用いても複数種を併用して用いても良い。
さらに、その整色剤においては、整色剤溶液の380〜780nm領域の吸収スペクトルでの最大吸収波長が540〜600nmの範囲にあり、かつ濃度20mg/L、光路長1cmでのクロロホルム溶液において、最大吸収波長での吸光度に対する各波長での吸光度の割合が下記式(1)〜(4)のすべてを満たす必要がある。
[上記式中、A400、A500、A600、A700はそれぞれ400nm、500nm、600nm、700nmでの可視光吸収スペクトルにおける吸光度、Amaxは最大吸収波長での可視光吸収スペクトルにおける吸光度を表す。]
ここで、吸収スペクトルとは、通常、分光光度計によって測定されるスペクトルである。
本発明のポリエステル組成物に含有される整色剤溶液の吸収スペクトルの最大吸収波長が540nm未満の場合は、得られるポリエステル組成物の赤味が強くなり、一方、600nmを超える場合は、得られるポリエステル組成物の青味が強くなるため好ましくない。最大吸収波長の範囲は、545〜595nmの範囲が好ましく、550〜590nmの範囲がさらに好ましい。
また、本発明のポリエステル組成物に含有される整色剤の濃度20mg/L、光路長1cmでのクロロホルム溶液において、最大吸収波長での吸光度に対する上記に示す各波長での吸光度の割合が式(1)〜(4)のいずれか一つでも外れる場合、得られるポリエステル組成物の着色が大きくなり好ましくない。上記式(1)〜(4)は、それぞれ下記式(6)〜(9)のいずれか1つ以上の範囲にあることが好ましく、さらに下記式(6)〜(9)すべてを満たしていることが好ましい。



[上記式中、A400、A500、A600、A700はそれぞれ400nm、500nm、600nm、700nmでの可視光吸収スペクトルにおける吸光度、Amaxは最大吸収波長での可視光吸収スペクトルにおける吸光度を表す。]
さらに、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸に含有される上述の整色剤の含有量が、0.1重量ppm未満の場合、ポリエステル複合仮撚加工糸の黄色味が強くなる。一方、10重量ppmを超える場合、明度が弱くなり見た目に黒味が強くなるため好ましくない。上記整色剤の含有量は、0.3重量ppm〜9重量ppmの範囲が好ましく、0.5〜8重量ppmの範囲にあることがさらに好ましい。
本発明に使用する有機化合物系整色剤の可視光吸収スペクトルの範囲が上述の範囲となるようにするには、整色剤として青色系整色用色素と紫色系整色用色素を重量比90:10〜40:60の範囲で併用すること、または青色系整色用色素と赤色系もしくは橙色系整色用色素を重量比98:2〜80:20の範囲で併用することが好ましい。
ここで、青色系整色用色素とは、一般に市販されている整色用色素の中で「Blue」と表記されているものであって、具体的には溶液中の可視光吸収スペクトルにおける最大吸収波長が580〜620nm程度にあるものを示す。
同様に、紫色系整色用色素とは、市販されている整色用色素の中で「Violet」と表記されているものであって、具体的には溶液中の可視光吸収スペクトルにおける最大吸収波長が560〜580nm程度にあるものを示す。
赤色系整色用色素とは、市販されている整色用色素の中で「Red」と表記されているものであって、具体的には溶液中の可視光吸収スペクトルにおける最大吸収波長が480〜520nm程度にあるものである。橙色系整色用色素とは市販されている整色用色素の中で「Orange」と表記されているものである。
これらの整色用色素としては油溶染料が特に好ましく、具体的な例としては、青色系整色用色素には、C.I.Solvent Blue 11、C.I.Solvent Blue 25、C.I.Solvent Blue 35、C.I.Solvent Blue 36、C.I.Solvent Blue 45 (Telasol Blue RLS)、C.I.Solvent Blue 55、C.I.Solvent Blue 63、C.I.Solvent Blue 78、C.I.Solvent Blue 83、C.I.Solvent Blue 87、C.I.Solvent Blue 94などが挙げられる。
紫色系整色用色素には、C.I.Solvent Violet 8、C.I.Solvent Violet 13、C.I.Solvent Violet 14、C.I.Solvent Violet 21、C.I.Solvent Violet 27、C.I.Solvent Violet 28、C.I.Solvent Violet 36などが挙げられる。
赤色系整色用色素には、C.I.Solvent Red 24、C.I.Solvent Red 25、C.I.Solvent Red 27、C.I.Solvent Red 30、C.I.Solvent Red 49、C.I.Solvent Red 52、C.I.Solvent Red 100、C.I.Solvent Red 109、C.I.Solvent Red 111、C.I.Solvent Red 121、C.I.Solvent Red 135、C.I.Solvent Red 168、C.I.Solvent Red 179などが例示される。
橙色系整色用色素には、C.I.Solvent Orange 60などが挙げられる。
ここで、青色系整色用色素と紫色系整色用色素を併用する場合、重量比90:10より青色系整色用色素の重量比が大きい場合は、得られるポリエステル組成物のカラーa値が小さくなって緑色を呈し、一方、40:60より青色系整色用色素の重量比が小さい場合は、カラーa値が大きくなって赤色を呈してくるため好ましくない。
同様に、青色系整色用色素と赤色系または橙色系整色用色素を併用する場合、重量比98:2より青色系整色用色素の重量比が大きい場合は、得られるポリエステル組成物のカラーa値が小さくなって緑色を呈し、一方、80:20より青色整色用色素の重量比が小さい場合は、カラーa値が大きくなって赤色を呈してくるため好ましくない。
上記整色用色素は、青色系整色用色素と紫色系整色用色素を重量比80:20〜50:50の範囲で併用すること、あるいは青色系整色用色素と赤色系または橙色系整色用色素を質量比95:5〜90:10の範囲で併用することがさらに好ましい。
なお、本発明におけるポリエステルの固有粘度(o−クロロフェノール、35℃)は、0.40〜0.80dL/gの範囲にあることが好ましく、さらに0.45〜0.75dL/g、特に0.50〜0.70dL/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.40dL/g未満であると、繊維の強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が0.80dL/gを超えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
また、本発明におけるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤などを含んでいてもよい。
本発明のポリエステルからなる芯鞘複合仮撚加工糸は、ポリエステルマルチフィラメントAが主として糸の芯部を形成し、ポリエステルマルチフィラメントBがその周りに交互撚糸状に巻き付いて主として糸の外層部を形成する鞘部からなるポリエステル複合仮撚加工糸であって、鞘部を形成するポリエステルマルチフィラメントBの糸の長さが、芯部を形成するポリエステルマルチフィラメントAの長さよりも長く、その糸足差が、10〜25%、(好ましくは13〜20%)であることが必要であり、その領域内でもってポリエステル複合仮撚加工糸を得ることによって達成される。
図1は、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸の模式図である。図1において、ポリエステルマルチフィラメントAが主として糸の芯部を形成し、その周りに(鞘部)ポリエステルマルチフィラメントBが、反転部C、Dを境に、交互撚糸状に巻き付いて主として糸の外層部を形成している。
ここで、糸足差は、特公昭58−18457公報に示されている方法で測定される値であり、この糸足差が10%未満のポリエステル複合仮撚加工糸では、スパンライク感に乏しく、風合いが硬い感触であり、逆に、糸足差が25%を超えると、融着糸様のガサツキ感が生じ、かつ、バルキー性に劣り、市場での製織工程でネップが発生する傾向があるので、不適当である。
本発明においては、特定のポリエステル組成繊維の採用、糸足差の適正化により、ソフト感に優れ、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈する新規で高品質な複合仮撚加工糸が得られる。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、比重5.0以上の金属元素の含有量が10重量ppm以下のポリエステルからなる、伸度差が100〜250%で、複屈折率差が0.02〜0.06である、少なくとも2本以上のポリエステル未延伸糸を引き揃え、交絡処理をした後、交絡処理して得た、紡糸混繊糸を、非接触ヒータで、下記(イ)〜(ロ)を同時に満足する条件で延伸同時仮撚加工することにより達成される。
(イ)仮撚数(回/m)が(20,000〜35,000)/D1/2[Dはポリエス
テル仮撚加工糸の繊度(dtex)]
(ロ)仮撚第1ヒータ温度(HA)が200〜400℃
本発明では、少なくとも2本以上のポリエステル未延伸糸からなる、伸度差が100〜250%で、複屈折率差が0.02〜0.06となるように調整設定することが大切で、この伸度差が100%未満では得られる加工糸の嵩高性が不十分となり、一方250%を超える場合には、カスリ斑が発生しやすくなるので好ましくない。
また、2種類の未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸の複屈折率差△(Δn)は上記の範囲内であることが、ソフト感、カスリ斑のない、滑らかな表面タッチで新規な風合を呈するため、必要である。複屈折率差△(Δn)0.02未満では風合いが硬く、一方、0.06を超える場合は、カスリ斑が発生し、かつ、風合いは、融着、ガサツキ感を呈するので、好ましくない。
なお、複屈折率が0.02未満ではサージング発生による熱セット斑に起因して染斑が大きくなる。一方、複屈折率が0.08を超える場合には、繊維断面形状の不均一化、断糸、毛羽などが多くなるので好ましくない。
なお、これら未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸のトータル繊度比は、5:5〜3:7(芯部:鞘部)と鞘部になる部分が多いほうが好ましく、トータル繊度は仮撚加工後の繊度で75〜330dtexの範囲が好ましい。
上記の未延伸糸の混繊処理は、引取りローラーの前の段階で行っても、引取りローラーを通過した後の段階で行ってもよい。混繊処理方法は特に限定されず、従来公知の方法を適宜選定すればよいが、例えばインターレースノズルを用いて圧空処理して混繊交絡させる方法が好ましい。この際の交絡数は、多すぎると毛羽が多くなる傾向があり、一方少なすぎると混繊不良に起因してカスリ斑になる傾向があるので、10〜70個/mの範囲が適当である。
本発明においては、上述の要件を満足する紡糸糸条を、仮撚の熱セットヒーターが非接触式である仮撚加工機を用い、下記(イ)〜(ロ)を同時に満足するよう延伸仮撚加工条件を設定して延伸同時仮撚加工する必要がある。
(イ)仮撚数(K):20,000/D1/2回/m≦K≦35,000)/D1/2回/m[ただし、Dは複合仮撚加工糸の繊度(dtex)]、好ましくは25,000/D1/2回/m≦K≦30,000/D1/2回/m
(ロ)仮撚ヒータ温度(HA):200℃≦HA≦400℃、好ましくは 250℃≦HA≦350℃
仮撚加工において、仮撚数(回/m)が20,000/D1/2回/m未満の場合には、風合が硬く、フラットヤーンライクとなるので好ましくなく、一方、35,000/D1/2回/mを超える場合には、断糸や毛羽が急激に発生しやすくなるので好ましくない。
また、仮撚ヒータ温度(HA(HA:熱セットヒーター温度)が200℃未満の場合には、得られる複合加工糸の鞘部に配される糸の糸条長手方向における斑(熱セット不足による染斑)が発生しやすく、また嵩高性も不足して、本発明の目的を達成することができない。一方、400℃を超える場合には、ソフト感が不十分となって、やはり本発明の目的を達成することができない。
なお、仮撚加工後に再熱処理する場合においては、糸のオーバーフィード率は0〜8%の範囲が好ましく、0%未満(すなわち伸長)では得られる複合仮撚加工糸のバルキー性が低下する傾向にあり、一方、8%を超える場合では、得られる複合仮撚加工糸のループが大きくなって品位が低下する傾向にある。
次に、図2は、上記本発明の製造方法における一実施態様を示す概略工程図である。
図2において、伸度差を有する2種の未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸(1A)(高配向未延伸糸)、未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸(1B)(低配向未延伸糸)が引き揃えられ、ガイド2を経てフィードローラー3により延伸同時仮撚域に供給される。
次いで、フィードローラー3と第1デリベリーローラー8との間で延伸されながらフリクションディスク7により加撚・解撚され、その際、第1仮撚熱セットヒーター5で熱固定される。仮撚加工された糸条は、必要に応じて第1デリベリーローラー8と第2デリベリーローラー10との間で再熱処理ヒーター9で再熱処理され、次いで巻取ローラー11でパッケージ12として巻き取られる。
以上に詳述した本発明の複合仮撚加工糸の製造方法では、特定のポリエステル組成の存在下に重縮合して得られるポリエステルを用い、溶融紡糸した2種の未延伸糸からなる紡糸糸条を用いているので、発色性、嵩高感、ソフト感に優れ、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈する新規で高品質の複合仮撚加工糸が、長期にわたり連続的に安定して生産することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例、比較例における各特性値の測定は下記方法により行った。
(1)固有粘度
ポリエステル組成物チップを100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
(2)ポリマー中の比重5.0以上の金属成分定性分析
ポリマーサンプルを硫酸アンモニウム、硫酸、硝酸、過塩素酸とともに混合して、約300℃で9時間湿式分解後、蒸留水で希釈し、理学製ICP発光分析装置(JY170 ULTRACE)を用いて定性分析し、比重5.0以上の金属元素の存在の有無を確認した。1重量ppm以上の存在が確認された金属元素について、その元素含有量を示した。
(3)ポリマー中のポリエステルに可溶性のチタン、アルミニウム、アンチモン、マンガン、リン含有量:
ポリマー中のポリエステルに可溶性のチタン元素量、アルミニウム元素量、アンチモン元素量、マンガン元素量、リン元素量は粒状のポリマーサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて求めた。ただし、艶消剤として酸化チタンを添加したポリエステル組成物中のチタン元素量については、サンプルをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について、日立製作所製Z−8100形原子吸光光度計を用いて定量を行った。ここで、0.5規定塩酸抽出後の抽出液中に酸化チタンの分散が確認された場合は遠心分離機で酸化チタン粒子を沈降させ、傾斜法により上澄み液のみを回収して、同様の操作を行った。これらの操作によりポリエステル組成物中に酸化チタンを含有していてもポリエステルに可溶性のチタン元素の定量が可能となる。
(4)ジエチレングリコール含有量:
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いてポリエステルチップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィ−(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。
(5)整色剤の重量減少開始温度
リガク社製TAS−200熱天秤を用いてJIS K7120に従い、窒素雰囲気下中昇温速度10℃/分で測定した。
(6)色相(L値、a値、b値):
・チップ:
ポリエステルチップを285℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを140℃、1時間乾燥結晶化処理を行った。その後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターLおよびbを、ミノルタ株式会社製ハンター型色差計(CR−200型)を用いて測定した。Lは明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、bはその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。また他の詳細な操作はJIS Z−8729に準じて行った。
・複合仮撚加工糸:
複合仮撚加工糸を常法により筒編とした後、編地を4枚重ね合わせ、ミノルタ株式会社製ハンター型色差計(CR−200型)を用いて測定した。
(7)強度・伸度
JIS−L−1013に基づいて定速伸長引張試験機であるオリエンテック(株)社製テンシロンを用いて、つかみ間隔20cm、引張速度20cm/分にて測定した。
(8)口金異物高さ
4日間連続紡糸し、口金の吐出口外縁に発生する付着物の層の高さを測定した。紡糸口金表面に離型剤を吹き付けて、吐出ポリマーが付着しないようにして紡糸口金を取り外し、顕微鏡にて吐出孔周辺に付着・堆積した口金異物の高さを測定した。全ての吐出孔について口金異物の高さを測定し、それらの平均値で表した。
この付着物層の高さが大きいほど、吐出されたポリエステルメルトのフィラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の指標である。
(9)紡糸断糸率(%)
人為的あるいは機械的要因に起因する断糸を除き、4日間連続の紡糸機運転中に発生した紡糸断糸回数を記録し下記式で紡糸断糸率(%)を計算した。
紡糸断糸率(%)=[断糸回数/(稼動ワインダー数×ドッフ数)]×100
ここで、ドッフ数とはパッケージを10kgまで捲き取った回数をいい、ワインダー4錘取りワインダーとする。
(10)複屈折率
常法にしたがい、光学顕微鏡とコンペンセーターを用いて、繊維の表面に観察される偏光のリターデーションから求めた。
(11)毛羽個数
東レ(株)製DT−104型毛羽カウンター装置を用いて、延伸仮撚加工糸を500m/minの速度で20分間連続測定して発生毛羽数(個/10m)をカウントした。
(12)延伸仮撚断糸率
人為的または機械的要因に起因する断糸を除き、延伸仮撚機運転中に発生した断糸回数を記録し下記式で延伸仮撚断糸率(%)を計算した。
延伸仮撚断糸率(%)=[断糸回数/(稼動錘数×ドッフ数)]×100
ここで、ドッフ数とは仮撚加工糸パッケージを既定量(2.5kg)まで捲き取った回数をいう。
(13)未延伸ポリエステルマルチフィラメントの切断伸度
JIS L−1013−75に準じて測定した。
(14)捲縮率(TC)
複合仮撚加工糸に0.044cN/dtexの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作った。カセ作成後、カセの一端に0.00177cN/dtex+0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さL(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後、0.00177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥した。自然乾燥した試料に、再び0.00177cN/dtex+0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さL(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さLを測定し、次の算式で捲縮率を算出した。この測定を10回実施し、その平均値で表した。
TC(%)=[(L−L)/L]×100
(15)複合仮撚加工糸の風合
得られた複合仮撚加工糸を筒編機にて編立て、常法にしたがって精練、染色、ファイナルセットした後の編地の風合(ソフト感)および表面タッチを総合して、熟練者5人により官能判定した。判定は1(不良)×〜3○(極めて良好)の3段階で表し、2以上を合格レベルとした。
(16)嵩高性
複合仮撚加工糸を綛(周長1.25m)に320回転とり、2つ折りにしたサンプルの一端に5.88cN(6.0g)の荷重を吊るし、乾熱180℃下で5分間熱処理し、冷却後一定の重量(Wg)の体積(Vcm)を6.4gの荷重下で測定し以下の式で算出した。
嵩高性(cm/g)=V/W
(17)沸水収縮率(BWS)
約3,300dtexの複合仮撚加工糸のカセを作り、これに0.0883cN/dtexの荷重をかけて原長L(cm)を測定し、次にカセの荷重を0.00177cN/dtexに変え、これを沸水中で30分間熱処理し、次いで室温で乾燥させた後、荷重を0.0883cN/dtexに変えてその長さL(cm)を測定し、次の算式で算出し、10回測定してその平均値を求めた。
沸水収縮率(BWS)=(L−L)/L×100
[参考例1]整色剤(整色用色素)の可視光吸収スペクトル測定、整色剤調製
整色剤としてC.I.Solvent Blue 45(Clariant Japan社製)とC.I.Solvent Violet 36(有本化学社製)の2種類の整色剤を重量比2:1で濃度20mg/Lのクロロホルム溶液とし、光路長1cmの石英セルに充填し、対照セルにはクロロホルムのみを充填して、日立分光光度計U−3010型を用いて、380〜780nmの可視光領域での可視光吸収スペクトルを測定した。最大吸収波長とその波長における吸光度に対する、400、500、600および700nmの各波長での吸光度の割合を測定した。結果を表1に示す。
なお、実施例、比較例で整色剤をポリエステル製造工程で添加する場合は、100℃の温度で、原料として用いるグリコール溶液に対し、濃度0.1重量%となるように溶解または分散させて調製した。
*1:最大吸収波長の吸光度に対する各波長下での吸光度の割合
[参考例2]チタン触媒Aの合成
無水トリメリット酸のエチレングリコール溶液(0.2重量%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中、常圧下で80℃に保持して60分間反応させた。その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させた。析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥させ、目的の化合物を得た。これをチタン触媒Aとする。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部の混合物に、参考例2で調製したチタン触媒A 0.016重量部を加圧反応が可能なSUS製容器に仕込んだ。0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.023重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物に酸化チタンの20重量%エチレングリコールスラリー1.5重量部、参考例1で調製した整色剤の0.1重量%エチレングリコール溶液0.2重量部を添加して重合容器に移し、290℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行って、ポリエステル組成物を得た。さらに、常法に従いチップ化した。得られたポリエステルは固有粘度0.63dL/g、ジエチレングリコール含有量が1.0重量%、カラーL71、a−5、b6であった。
このポリエチレンテレフタレートペレットを150℃で5時間乾燥した後、溶融紡糸して、図1におけるポリエステル未延伸糸(1A:芯糸となる高配向未延伸糸側)を、紡糸速度3,300m/分で紡糸して伸度130%、複屈折率0.045、138dtex/36フィラメントのポリエステルマルチフィラメントを得た。
他方、ポリエステル未延伸糸(1B:鞘糸となる低配向未延伸糸側)を、紡糸速度1,200m/分で紡糸して伸度350%、複屈折率0.015、153dtex/48フィラメントのポリエステルマルチフィラメントを得た。未延伸混繊糸として、10kgをパッケージ状に巻き取った。上記溶融紡糸操作はそれぞれ、4日間連続して行った。
次に、得られたポリエステル未延伸糸パッケージを、図2に示した装置で延伸同時仮撚加工を行った。すなわち、直径58mmのウレタンディスクを仮撚具として装備した帝人製機株式会社製HTS−1500型延伸仮撚加工機にて、延伸倍率1.65、仮撚ヒーター前半部温度400℃、後半部温度200℃、延伸仮撚速度850m/minの延伸仮撚条件で延伸仮撚加工を行い180dtex/84filの複合仮撚加工糸を得た。なお、10kg捲の未延伸パッケージから2.5kg捲の仮撚加工糸パッケージを4個作成する方法で延伸仮撚加工を行った。
その際の加撚張力(T)は50cN(0.26cN/dtex)、解撚張力(T)は37.2cNとし、850m/分の速度で加工した。得られた複合仮撚加工糸は、嵩高性は43cm/gと極めて嵩高性の大きいものであった。
得られた複合仮撚加工糸を筒編に編立て、常法にしたがって染色、仕上げした編地は、サラットした滑らかな表面タッチでかつソフトな風合を呈するものであった。また、この仮撚加工糸に、1,800T/mの撚糸を施し、経密度が176本/3.79cm、緯密度が106本/3.79cmの綾組織に織成し、常法にしたがって、リラックス(温度120℃、20分間)、プレセット(温度180℃、45秒)、アルカリ減量処理(減量率17%)、染色加工(温度130℃、45分間)、およびファイナルセット(温度160℃、45秒間)の工程をとおして織物を得た。得られた織物は、滑らかな表面タッチと優れたドレープ性を呈した優れた織物であった。得られた結果を表3にまとめて示す。
この時の紡糸の口金異物高さ、断糸率、仮撚断糸率、複合仮撚糸の物性および加工毛羽、および、色相をまとめて表2に示す。
[実施例2、3]
実施例1において、トリエチルホスホノアセテートの添加量を表2に記載のリン元素濃度となるように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
この時の紡糸の口金異物高さ、断糸率、仮撚断糸率、複合仮撚糸の物性および加工毛羽、および、色相をまとめて表2に示す。
表2において、得られた複合仮撚糸は、表2からも明らかなように、重合触媒として三酸化アンチモンを含有している水準(比較例1)に対して、本発明の複合仮撚糸は溶融紡糸の際に発生する口金異物が著しく少なく紡糸断糸率が低く、加工毛羽、断糸率が少なく、加工性も良好であり、色相、染斑も良好な結果となった。
[比較例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部との混合物に、酢酸マンガン四水和物0.032重量部を撹拌機、精留塔およびメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、リン酸トリメチル0.02重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。次いで、得られた反応生成物を撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、三酸化二アンチモン0.045重量部を添加して290℃まで昇温し、30Pa以下の高真空で重縮合反応を行って、ポリエステル組成物を得た。さらに、常法に従いチップ化した。得られたポリエステルは固有粘度0.63dL/g、ジエチレングリコール含有量が0.7重量%、カラーL72、a−5、b6であった。
このポリエチレンテレフタレートペレットを、実施例1と同じ方法でマルチフィラメントとして巻き取った。この時の紡糸の口金異物高さ、断糸率、仮撚断糸率、複合仮撚糸の物性および加工毛羽、および、色相、まとめて表2に示す。
なお、本比較例では、表2に示したように、紡糸時間の経過にともない口金異物が急速に成長し、吐出糸条の屈曲、ピクツキおよび旋回が増加するにしたがい、紡糸断糸の急激な増加が認められ、紡糸3日経過後には紡糸断糸が多発して、正常な紡糸操作が困難となったので運転を中止した。
[比較例2]
実施例1で得たポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸して、図1におけるポリエステル未延伸糸(1A:芯糸となる高配向未延伸糸側)を、紡糸速度6,000m/分で紡糸して伸度70%、複屈折率0.080、84dtex/12フィラメントのポリエステルマルチフィラメントを得た。
他方、ポリエステル未延伸糸(1B:鞘糸となる低配向未延伸糸側)を、紡糸速度1,500m/分で紡糸して伸度350%、複屈折率0.015、145dtex/48フィラメントのポリエステルマルチフィラメントを得た。
両フィラメントを引き揃え、加工倍率1.30として、その他は実施例1と同じ条件で延伸仮撚加工を行い、180dtex/60filの複合仮撚加工糸を得た。
得られた複合仮撚加工糸の嵩高性は、20cm/gと低いものであった。
この複合仮撚加工糸を実施例1と同じ処理して織物となしたところ、得られた織物は表面タッチがザラザラとしていて、風合が劣ったものであった。
[実施例4〜6、比較例3〜5]
伸度差を変更すること以外は、実施例1と同様条件として巻き取った。この時の、複合仮撚糸の物性および加工毛羽、および、色相、まとめて表3に示す。
また、実施例1において、仮撚条件を表3または4に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして複合仮撚加工糸を得た。これらの結果はそれぞれ表3および4に示す。
[実施例7〜10、比較例6〜9]
仮撚条件(撚数、加工温度)変更変更した以外は、実施例1と同様にして複合仮撚加工糸を得た。これらの結果はそれぞれ表4に示す。
*1:トリメリット酸チタン
*2:トリエチルホスホノアセテート
*3:チタン元素濃度
*4:リン元素濃度







<編地の風合い>
☆:風合い 硬い(ガサツキ感)
★:バルキー不足
<編地の風合い>
☆:風合い 硬い(ガサツキ感)
★:バルキー不足
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、発色性に優れ、かつ、ソフト感に優れ、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈する新規で高品質な複合仮撚加工糸であり、各種衣料の用途に有用である。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸の模式図である。 実施例で使用した複合仮撚加工糸を製造する装置の概略図である。
符号の説明
1 ポリエステル高配向未延伸糸(1A)、ポリエステル低配向未延伸糸(1B)
2 ガイド
3 フィードローラー
4 インターレースノズル
5 熱セットヒーター(仮撚温度)
6 冷却プレート
7 撚掛装置(仮撚ディスク)
8 第1デリベリーローラー
9 再熱処理ヒーター(再熱処理温度)
10 第2デリベリーローラー
11 巻取ローラー
12 パッケージ

Claims (3)

  1. 比重5.0以上の金属元素の含有量が10重量ppm以下のポリエステルからなる芯鞘複合仮撚加工糸であって、ポリエステルマルチフィラメントAが主として糸の芯部を形成し、ポリエステルマルチフィラメントBがその周りに交互撚糸状に巻き付いて主として糸の外層部を形成する鞘部とからなるポリエステル複合仮撚加工糸であり、鞘部を形成するポリエステルマルチフィラメントBの糸の長さが、芯部を形成するポリエステルマルチフィラメントAの長さよりも長く、その糸足差が、10〜25%である、ポリエステル複合仮撚加工糸。
  2. 濃度20mg/L、光路長1cmでのクロロホルム溶液において測定された380〜780nm領域の可視光吸収スペクトルでの最大吸収波長が540〜600nmの範囲にあり、かつ最大吸収波長での吸光度に対する下記各波長での吸光度の割合が下記式(1)〜(4)のすべてを満たす有機化合物系整色剤を0.1〜10重量ppm含有する請求項1記載のポリエステル複合仮撚加工糸。
  3. 比重5.0以上の金属元素の含有量が10重量ppm以下のポリエステルからなる、伸度差が100〜250%で、複屈折率差が0.02〜0.06である、少なくとも2本以上のポリエステル未延伸糸を引き揃え、交絡処理をした後、交絡処理して得た、紡糸混繊糸を、非接触ヒータで、下記(イ)〜(ロ)を同時に満足する条件で延伸同時仮撚加工することを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル複合仮撚加工糸の製造方法。
    (イ)仮撚数(回/m)が(20,000〜35,000)/D1/2[Dはポリエステル仮撚加工糸の繊度(dtex)]
    (ロ)仮撚第1ヒータ温度(HA)が200〜400℃
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